JP3464007B2 - Hfc冷媒用冷凍装置 - Google Patents

Hfc冷媒用冷凍装置

Info

Publication number
JP3464007B2
JP3464007B2 JP30029092A JP30029092A JP3464007B2 JP 3464007 B2 JP3464007 B2 JP 3464007B2 JP 30029092 A JP30029092 A JP 30029092A JP 30029092 A JP30029092 A JP 30029092A JP 3464007 B2 JP3464007 B2 JP 3464007B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refrigerant
concentration
refrigerating
machine oil
refrigerating machine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP30029092A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06129722A (ja
Inventor
佐藤  忍
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Carrier Corp
Original Assignee
Toshiba Carrier Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Carrier Corp filed Critical Toshiba Carrier Corp
Priority to JP30029092A priority Critical patent/JP3464007B2/ja
Publication of JPH06129722A publication Critical patent/JPH06129722A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3464007B2 publication Critical patent/JP3464007B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B31/00Compressor arrangements
    • F25B31/002Lubrication
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B2400/00General features or devices for refrigeration machines, plants or systems, combined heating and refrigeration systems or heat-pump systems, i.e. not limited to a particular subgroup of F25B
    • F25B2400/18Refrigerant conversion

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Compressor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、密閉された冷凍サイク
ルを有する冷凍装置に関し、特に冷媒としてハイドロフ
ルオロカーボン系を使用し、冷凍機油としてハイドロフ
ルオロカーボン系の冷媒と相溶性を有するポリエステル
系油またはポリエーテル系油を使用する耐久性に優れた
HFC冷媒用冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】オゾン層の破壊に繋がるフロンの使用が
規制されるとともにオゾン層を破壊しないハイドロフル
オロカーボン系の冷媒を使用した冷凍装置の開発が早急
に必要とされている。
【0003】冷凍装置は、蒸発、圧縮、凝縮、膨脹の4
つの作用からなる冷凍サイクルが組込まれた空気調和機
や冷蔵庫等に代表される。冷凍サイクルにおいて、冷媒
は液体から気体へ、気体から液体へ変化を繰り返しなが
ら密閉容器内を循環している。また、冷凍機油は冷媒を
圧縮する冷媒圧縮機において摺動部材間の潤滑を維持す
るための必須の要素となっている。
【0004】従来の冷媒圧縮機を図1をもとに説明す
る。図1は密閉型回転式圧縮機の例を示す。
【0005】密閉されたケーシング1内にステータ2と
ロータ3とで構成されるモータ機構4が設置されてい
る。またモータ機構4の下部に圧縮機構5を設け、シャ
フト8を介してモータ機構4により圧縮機構5を駆動す
る。圧縮機構5によって、図示しないアキュームレータ
を介して供給管6から導入された冷媒を圧縮し、ケーシ
ング1内に一旦吐出させた後、ケーシング1の上部に設
けられた吐出管7から冷凍機側に冷媒を供給する。な
お、圧縮機構5を潤滑するために冷凍機油20が収容さ
れている。なお、図1において、9は軸受け、10はシ
リンダ、11はサブベアリング、12はクランク、13
はローラ、14はブレード、15はスプリングを表す。
【0006】図2は密閉型往復運動式冷媒圧縮機であ
り、密閉型回転式圧縮機とともに冷凍装置に多用されて
いる。圧縮機構5はピストン16と往復運動式用シリン
ダ17によって構成され、冷凍機油20によって潤滑さ
れている。
【0007】冷媒圧縮機で圧縮された冷媒は冷凍サイク
ル内を循環する。冷蔵庫を例にとり、冷凍サイクルを図
3により説明する。
【0008】冷媒は圧縮機構である圧縮機23により圧
縮され、凝縮機構である受台パイプ24、放熱パイプ2
5、クリーンパイプ26を通り冷却され、膨脹機構であ
るキャピラリーチューブ21を通り膨脹し、蒸発機構で
ある蒸発器22において蒸発し、冷蔵庫27内を冷却す
る。その後再び圧縮機23で圧縮される。従来、このよ
うな密閉型冷凍サイクルの冷媒としては、ジクロロジフ
ルオロエタン(以下 CFC12と称する)やモノクロロジフ
ルオロメタン(以下 HCFC22 と称する)が主に用いられ
ており冷凍サイクル内を循環している。また圧縮機23
の潤滑性を保つために封入される冷凍機油としては、 C
FC12や HCFC22 に対して溶解性を示すナフテン系やパラ
フィン系鉱油が用いられている。
【0009】しかしながら、最近上記冷媒( CFC12)等
のフロン放出がオゾン層の破壊に繋がり、人体や生物系
に深刻な影響を与えることがはっきりしてきたため、オ
ゾン破壊係数( CFC12の場合は1.0 )の高い CFC12等は
段階的に使用が削減され、将来的には使用しない方向に
決定している。
【0010】このような状況下にあって、 CFC12の代替
冷媒として、塩素を含有しないフロンとして 1,1,1,2-
テトラフルオロエタン(以下 HFC134aと称する)や 1,1
- ジフルオロエタン(以下 HFC152aと称する)等のハイ
ドロフルオロカーボン系の冷媒が開発されている。また
冷凍機油として、ハイドロフルオロカーボン系の冷媒と
相溶性があるポリエーテル系油、ポリエステル系油、ふ
っ素系油などの使用が試みられている。
【0011】これらの中で、ふっ素系油は、製造コスト
が非常に高いとの問題があった。これに対して、ポリエ
ステル系油およびポリエーテル系油は、従来の鉱油と比
較すると吸湿性の点において劣っているが、ふっ素系油
より製造コストが安価であり、ハイドロフルオロカーボ
ン系冷媒と共に使用できる冷凍機油として有望である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ハイドロフルオロカーボン系冷媒とポリエステル系油ま
たはポリエーテル系油を冷凍装置に適用した場合、次の
ような問題がある。
【0013】冷媒として HFC134aを、冷凍機油としてポ
リエステル系油またはポリエーテル系油を使用し、従来
の CFC12と鉱油を用いた冷凍装置と同様に作製した冷凍
装置を用いて 2000 時間から 4000 時間程度の耐久試験
を行った結果、従来の CFC12と鉱油を用いた冷凍機では
認められないような異物(以下デポジットと称す)が冷
凍サイクル内面に堆積することが認められた。このデポ
ジットは、特に冷媒が液体から気体に相変化するエバポ
レータ近傍に多量に析出する傾向が認められ、冷媒が循
環するキャピラリの内径が小さい箇所ではキャピラリの
内径の減少による通過抵抗が大きくなり、キャピラリ内
を通過する冷媒量の減少による冷凍機としての効率低下
や、甚だしくはキャピラリ詰りに至ることによる冷却不
良などの機能不全が発生する問題がある。
【0014】冷凍サイクル内面に堆積するデポジットの
発生を調査するため、従来のHFC冷媒用冷凍装置を用
いて次のような詳細な実験と解析を行った。
【0015】R−Clx 、R−Sx −R、(RO)x
P(O)y などで示される工程副資材を用いた製造工程
にて作製した圧縮機を冷凍サイクルに組み合わせて冷凍
装置を組み上げて、冷凍機油としてポリエステル系油、
冷媒として HFC134aを所定量充填した。この冷凍装置の
初期ならし運転を 10 時間行った。なお、ならし運転は
サイクル内部での各元素の偏在をなくすために行うもの
である。ならし運転後に冷凍機油と冷媒を採取して、ガ
スクロマトグラフィ分析と水抽出法によるイオンクロマ
トグラフィ分析とを実施した。その結果、 63 ppmの
濃度のClを検出した。
【0016】その後、この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃
で 4000 時間運転した後、各部のサイクル内面を調査し
た結果、全ての調査部分において変色およびデポジット
の堆積が確認された。
【0017】エバポレータ近傍のキャピラリ部内面部の
SEM(走査型電子顕微鏡)像を模写した図を図4に、
同一箇所のEDS(エネルギー分散型X線分析装置)分
析結果を図5に、デポジットの赤外分光スペクトルを図
6に、イオンクロマトグラフ分析結果およびピーク1、
ピーク2の質量分析の結果を図7に示す。なお、図6の
イ)はキャピラリ部内面部よりデポジットをスパチュラ
にて掻き落とした試料、ロ)はデポジット表面部のみを
採取した試料の赤外分光スペクトルである。
【0018】図4より黒色粘稠物がサイクル内面に堆積
していることが確認された。図5より、サイクル構成元
素であるCu,Al以外にFe,Cl,Sの各元素が検
出され、FeClx やCuClx のような腐食生成物
で、かつポリエステル系冷凍機油の劣化に対し触媒機能
を有する物質の存在が認められた。図6の赤外分光スペ
クトルは、デポジットがサイクル内面の金属塩濃度の高
い領域と脂肪族炭化水素よりなる表面部よりなることを
示している。図7のイオンクロマトグラフ分析結果は、
デポジットがMClx の金属塩と脂肪族炭化水素よりな
ることを示している。
【0019】以上の分析結果から、デポジットは主にM
Clx の金属塩からなる腐食生成物の上に生成した金属
セッケンや脂肪族炭化水素から構成されていると考えら
れる。 このように CFC12等に替わる冷媒である HFC13
4a等とポリエステル系油の冷凍サイクルへの適用に際し
て、デポジットが生じて冷凍装置の品質ならびに耐久性
が大きく低下するという問題がある。
【0020】本発明は、このような課題を解決するため
になされたもので、冷媒として HFC134aなどのハイドロ
フルオロカーボン系冷媒を、冷凍機油としてポリエステ
ル系油またはポリエーテル系油を使用する場合において
も、機能・効率に支障が生じないで長期間にわたって使
用することができる耐久性を有するHFC冷媒用冷凍装
置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明のHFC冷媒用冷
凍装置は、冷媒としてハイドロフルオロカーボン系の冷
媒を、冷凍機油組成物として前記ハイドロフルオロカー
ボンと相溶性を有するポリエステル系油またはポリエー
テル系油から選ばれた少なくとも1種類からなる冷凍機
油組成物を有し、前記冷媒を低圧より高圧に圧縮する圧
縮機構と、前記高圧に圧縮された冷媒を冷却する凝縮機
構と、前記凝縮された冷媒を膨脹させる膨脹機構と、前
記膨脹した冷媒を蒸発させ低圧の冷媒とする蒸発機構と
からなる密閉された冷凍サイクルを有するHFC冷媒用
冷凍装置において、前記冷凍サイクル内のCl濃度が
冷凍サイクル内の冷凍機油および冷媒全体量に対する重
量割合で50ppm以下であることを特徴とする。
【0022】また、本発明は、冷凍サイクル内のSおよ
び/またはPの濃度が、冷凍サイクル内の冷凍機油およ
び冷媒全体量に対する重量割合で100ppm以下であ
ることを特徴とする。
【0023】さらに、本発明は、冷凍サイクル内のO
濃度が、冷凍サイクル内の冷凍機油および冷媒全体量に
対する重量割合で100ppm以下であることを特徴と
する。
【0024】本発明に係わるハイドロフルオロカーボン
は、炭素、弗素、水素からなる化合物であって、従来の
冷媒である CFC12、HCFC22を代替しうるものをいう。例
えばHFC134a、 HFC152a、ジフルオロメタン(以下 HFC3
2と称する)、ペンタフルオロエタン(以下 HFC125 と
称する)を例示することができる。これらのハイドロフ
ルオロカーボンは単独でも、 2種以上の混合物としても
使用することができる。
【0025】本発明に係わるハイドロフルオロカーボン
と相溶性を有するポリエステル系油は、水酸基とカルボ
キシル基との反応によって生成するエステル結合を分子
内に有し、ハイドロフルオロカーボンの単独または混合
物を溶解させることができ、かつ冷凍サイクル内におい
て摺動部材間の潤滑性を保つ化合物をいう。
【0026】これらポリエステル系油のなかでも、ネオ
ペンタンジオール、ネオペンタントリオール、ペンタエ
リトリトールなどのヒンダードアルコール類とモノカル
ボン酸類との反応生成物であるペンタエリトリトールテ
トラヘキサエートなどのヒンダードエステル(ポリオー
ルエステル)系油や多価アルコール類とモノカルボン酸
またはジカルボン酸類との反応生成物であるコンプレッ
クスエステル(ポリエステル)系油がハイドロフルオロ
カーボンとの相溶性に優れ、また冷凍サイクル内におけ
る摺動部材間の潤滑性にも優れているため好適である。
【0027】また、本発明に係わるハイドロフルオロカ
ーボンと相溶性を有するポリエーテル系油は、エチレン
オキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオ
キサイド類と多価アルコール類との反応性生物であっ
て、ハイドロフルオロカーボンの単独または混合物を溶
解させることができ、かつ冷凍サイクル内において摺動
部材間の潤滑性を保つ化合物をいう。
【0028】上述のハイドロフルオロカーボン系冷媒と
ポリエステル系油またはポリエーテル系油とを使用する
冷凍サイクル内に発生するデポジットの分析および解析
を行った結果、デポジットの発生とその堆積量は、1)
冷凍サイクル内のCl(塩素)、S(硫黄)およびP
(リン)の各元素の有無とその存在量、2)冷凍サイク
ル雰囲気中に混入・共存するO2 (酸素)の有無とその
存在量、3)冷凍サイクル雰囲気中に混入・共存する水
分の有無とその存在量とに大きく依存することを見出し
た。
【0029】冷凍サイクル内でのデポジット生成反応
は、摺動部材が摺動することによる局部的な高温、活性
金属面の生成、冷媒の存在による高圧などの雰囲気下で
行われるため非常に複雑になるが、堆積したデポジット
の分析結果より、Cl(塩素)、S(硫黄)および同様
な働きをし、かつ冷凍サイクル内に存在する可能性の高
いP(リン)の各元素の作用により金属イオンが生成
し、さらにポリエステル系油またはポリエーテル系油の
冷凍機油を分解し、デポジットが堆積してゆくものと考
えられる。
【0030】すなわち、冷凍サイクル内に存在するCl
(塩素)、S(硫黄)およびP(リン)は、MClx
MCl(O)x 、MSx 、MS(O)x 、MPx 、MP
(O)x のような化合物(ここでMは金属を表す)を作
り、金属イオンがポリエステル系油またはポリエーテル
系油の冷凍機油を分解する触媒として作用したり、金属
セッケンの生成に関与したりすることにより、デポジッ
トが堆積してゆく。さらに、ポリエステル系油またはポ
リエーテル系油の分解アルキル残基の再結合反応や、カ
ルボキシル基やカルボニル基含有アルキル基の還元反応
によりデポジットの表面に脂肪族炭化水素が堆積する。
【0031】サイクル内面へのデポジット堆積量とCl
(塩素)、S(硫黄)およびP(リン)濃度との関係を
調べるため、次のような濃度を変化させたHFC冷媒用
冷凍装置を用いてさらに実験を行った。まず、Cl(塩
素)、S(硫黄)およびP(リン)を分子内に含まない
工程副資材を用いた製造工程にて作製した圧縮機を冷凍
サイクルに組み合わせて冷凍装置を組み上げて、冷凍機
油としてポリエステル系油、冷媒として HFC134aを所定
量充填し、さらに、塩酸をCl(塩素)濃度として 10
〜 70 ppmまで変化させて混入添加した冷凍装置、お
よび硫酸+リン酸をS(硫黄)+P(リン)濃度として
50 〜200 ppmまで変化させて混入添加した冷凍装置
を準備した。この冷凍装置の初期ならし運転を 10 時間
行った。ならし運転後に冷凍機油と冷媒を採取して、ガ
スクロマトグラフィ分析と水抽出法によるイオンクロマ
トグラフィ分析とを実施し、各濃度が添加されているこ
とを確認した。なお、本発明の冷凍装置において、冷凍
サイクル内での各濃度は、密閉された冷凍サイクル内に
存在する冷凍機油および冷媒全体に対して含まれるガ
ス、イオンおよび化合物等を合算した全重量割合をい
う。ただし、Cl(塩素)、S(硫黄)およびP(リ
ン)については、元素単体に換算して合算した濃度をい
う。 その後、この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 400
0 時間運転した後、サイクル内面へのデポジット堆積厚
さを測定した。この結果を図8と図9に示す。図8と図
9から、Cl濃度については 50 ppm、S+P濃度に
ついては 100ppmを越える領域になるとサイクル内面
へのデポジット堆積厚さの急増がみられた。
【0032】冷凍サイクル内のCl(塩素)、S(硫
黄)およびP(リン)含有量を減少させるには、これら
の元素を含まない工程副資材を使用することが好まし
い。たとえば、従来のCl(塩素)、S(硫黄)および
P(リン)を含む極圧添加剤、摩耗防止剤等を、これら
の元素を含まないものに変更するか、あるいはこれらの
元素を含まない工程副資材に変更することが好ましい。
たとえば、脂肪酸、油脂、長鎖アルコール等の油性剤、
多価アルコール半エステルなどの摩擦調整剤、ヒンダー
ドフェノールなどの酸化防止剤、消泡剤等がある。とく
に、摺動部品表面に垂直に配向する特性を有する油性剤
が好ましい。
【0033】前述のように、冷凍サイクル内でのデポジ
ット生成反応は非常に複雑であるが、MClx などが触
媒として作用することが明らかになったこと、およびデ
ポジット堆積物表面に脂肪族炭化水素の形成が見られる
ことなどから、冷凍機油の劣化機構としてラジカル反応
機構の存在も考えられる。ラジカル反応機構による炭化
水素などの自動酸化反応においては、一般にパーオキシ
ラジカルが生成する連鎖成長反応段階において酸素(O
2 )が必要となる。実験の結果、本願の冷凍装置は、冷
凍サイクル内のO2 濃度が 100ppm以下であるときデ
ポジット堆積厚さの急増が見られなかった。
【0034】また、ポリエステル系油またはポリエーテ
ル系油は、分子構造から加水分解反応も考えられ、水分
が分解に関係する重要な要因となる。実験の結果、本願
の冷凍装置は、冷凍サイクル内の冷凍機油組成物内のH
2 O濃度が 100ppm以下であるときデポジット堆積厚
さの急増が見られなかった。
【0035】なお、各々冷凍機油の加温した状態での不
活性ガスの吹込や真空引および真空引したチャンバ内に
冷凍機油を急激に霧化して吹出す方法などによる脱水処
理、また冷凍サイクルを冷凍機として組立てるときの圧
縮機および冷凍サイクルの充分な真空引などの方法によ
り、冷凍装置内でのH2 OとO2 の含有量を減少させる
ことができる。
【0036】さらに、Cl(塩素)、S(硫黄)および
P(リン)に起因して生成する酸性物質を吸着するため
の吸着トラップを本発明の冷凍装置に設けることが好ま
しい。この吸着トラップは、冷凍機油を含む冷媒が液体
リッチから液体の状態へと変化する冷凍サイクル内の圧
縮機構から膨脹機構との間に設けることが好適であり、
その材質は、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナト
リウム等の塩基性物質、シリカゲル等の吸着性物質を主
成分とし、その形状は、ハニカム構造のように多接触面
を有するものが好ましい。
【0037】デポジット生成を効果的に防止する他の手
段は、冷凍サイクル内の圧縮機構部における吐出ガス温
度を 130℃以下にすればよいことが判明した。とくにこ
の手段は、密閉型往復式圧縮機において好適である。吐
出ガス温度を 130℃以下にするには、吐出ガス低温化機
構を吐出部に設けることが好ましい。吐出ガス低温化機
構としては、圧縮機内部の冷凍機油または低圧冷媒を圧
縮室に導き吐出ガスを冷却する機構を設ける、シリンダ
ーに高熱伝導性フィン、マフラー等をつける等がある。
【0038】
【作用】本発明の冷凍装置は、ハイドロフルオロカーボ
ン系冷媒とポリエステル系油またはポリエーテル系油を
使用する場合において、冷凍サイクル内のCl(塩
素)、S(硫黄)およびP(リン)の各元素の含有量を
規定することにより、ポリエステル系油またはポリエー
テル系油の分解を防ぐことができる。このため、デポジ
ットの析出および析出によるキャピラリ詰りの発生を防
止することで、冷凍装置として信頼性が高くかつ充分な
性能を有するものとなる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の冷凍装置を実施例に基づいて
詳細に説明する。
【0040】実施例1 圧縮機を含む冷凍サイクルの製造工程のとくに切削、絞
り工程で工程副資材として用いられているCl(塩
素)、S(硫黄)および(リン)を含む極圧添加剤の代
わりに、これらを含まない油性剤に変更した製造工程で
密閉型往復運動式冷媒圧縮機を有する冷凍装置を作製し
た。
【0041】圧縮機にポリエステル系油として、ヒンダ
ードエステルを所定量充填した後、冷凍サイクルの内部
を充分に真空引きした後、冷媒として HFC134aを所定量
充填した。冷媒充填後、サイクル内部での各元素の偏在
をなくすため、通常条件でのならし運転を 10 時間行っ
た。このならし運転後に冷凍機油と冷媒を採取して、各
々水抽出法によるCl、SおよびPのイオンクロマトグ
ラフィ分析とガスクロマトグラフィ分析を実施した。こ
の結果、Cl濃度は 11 ppm、SおよびP濃度は 25
ppm以下、H2 O濃度は 60 ppm以下という結果を
得た。分析用の冷凍機油と冷媒を採取した後、この冷凍
装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000 時間運転した。
【0042】運転終了後、冷凍サイクル内面を分解しデ
ポジットの生成状況を調査した。エバポレータ近傍のキ
ャピラリ部内面部のSEM像を模写した図を図10に示
す。またSEM像撮影と同一箇所のEDS分析結果を図
11に示す。その結果、全ての調査部において堆積物は
確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内面を有して
いることが認められた。また、EDS分析結果もサイク
ル構成元素であるCu,Alのみが検出され、異常が認
められなかった。
【0043】実施例2 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、極微
量の水と、冷媒として HFC152aを所定量充填した。実施
例1と同一の条件でならし運転を行った後、実施例1と
同一の方法で各濃度を測定した。Cl濃度は 10 pp
m、SおよびP濃度は 25 ppm以下、H2 O濃度は 6
0 ppmであった。
【0044】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内
面を有していることが認められた。
【0045】実施例3 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、冷媒
として HFC134aを所定量充填した。実施例1と同一の条
件でならし運転を行った後、実施例1と同一の方法で各
濃度を測定した。Cl濃度は 11 ppm、S濃度は 25
ppm、P濃度は 25 ppm、H2 O濃度は 80 ppm
以下であった。また、ガスクロ法で測定したO2 濃度は
80 ppmであった。この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃
で 4000 時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデ
ポジットの生成状況を調査した。その結果、全ての調査
部において堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と
同様の内面を有していることが認められた。
【0046】実施例4 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、極微
量の硫黄系の極圧添加剤と、冷媒として HFC134aを所定
量充填した。実施例1と同一の条件でならし運転を行っ
た後、実施例1と同一の方法で各濃度を測定した。Cl
濃度は 11 ppm、S濃度は 60 ppm、P濃度は 30
ppm以下、H2 O濃度は 80 ppm以下であった。
【0047】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内
面を有していることが認められた。
【0048】実施例5 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、極微
量のリン系の極圧添加剤と、冷媒として HFC134aを所定
量充填した。実施例1と同一の条件でならし運転を行っ
た後、実施例1と同一の方法で各濃度を測定した。Cl
濃度は 11 ppm、S濃度は 25 ppm以下、P濃度は
70 ppm、H2 O濃度は 80 ppm以下であった。
【0049】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内
面を有していることが認められた。
【0050】実施例6 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエー
テル系油として、ポリプロピレンオキサイド系エーテル
を所定量充填した後、冷凍サイクルの内部を充分に真空
引きした後、極微量の硫黄系およびリン系の極圧添加剤
と、冷媒としてHFC134aを所定量充填した。実施例1と
同一の条件でならし運転を行った後、実施例1と同一の
方法で各濃度を測定した。Cl濃度は 11 ppm、S濃
度は 30ppm、P濃度は 40 ppm、H2 O濃度は 80
ppm以下であった。また、ガスクロ法で測定したO
2 濃度は 80 ppmであった。
【0051】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内
面を有していることが認められた。
【0052】実施例7 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、冷媒
として HFC32を所定量充填した。実施例1と同一の条件
でならし運転を行った後、実施例1と同一の方法で各濃
度を測定した。Cl濃度は 12 ppm、S濃度は 25 p
pm以下、P濃度は 25 ppm以下、H2 O濃度は 60
ppm以下であった。
【0053】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内
面を有していることが認められた。
【0054】実施例8 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、冷媒
として HFC32/ HFC134a(35/65)の混合冷媒を所定量
充填した。実施例1と同一の条件でならし運転を行った
後、実施例1と同一の方法で各濃度を測定した。Cl濃
度は 12 ppm、S濃度は 25 ppm以下、P濃度は 2
5 ppm以下、H2 O濃度は 60 ppm以下であった。
【0055】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内
面を有していることが認められた。
【0056】実施例9 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、冷媒
として HFC32/ HFC152a(40/60)の混合冷媒を所定量
充填した。実施例1と同一の条件でならし運転を行った
後、実施例1と同一の方法で各濃度を測定した。Cl濃
度は 12 ppm、S濃度は 25 ppm以下、P濃度は 2
5 ppm以下、H2 O濃度は 60 ppm以下であった。
【0057】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内
面を有していることが認められた。
【0058】実施例10 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、冷凍サイクル内の
圧縮機と膨脹弁との間に炭酸バリウムからなるハニカム
構造の吸着トラップを設けた。圧縮機にポリエステル系
油として、ヒンダードエステルを所定量充填した後、冷
凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、極微量の水
と、極微量の硫黄系およびリン系の極圧添加剤と、冷媒
として HFC32/ HFC152a(40/60)の混合冷媒を所定量
充填した。実施例1と同一の条件でならし運転を行った
後、実施例1と同一の方法で各濃度を測定した。Cl濃
度は 12 ppm、S濃度は 25 ppm、P濃度は 25 p
pm、H2 O濃度は 60 ppm以下であった。
【0059】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内
面を有していることが認められた。
【0060】実施例11 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機のシリンダ
ー17にAl製の放熱,フィンを取付けた。圧縮機にポ
リエステル系油として、ヒンダードエステルを所定量充
填した後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした
後、極微量の水と、極微量の硫黄系およびリン系の極圧
添加剤と、冷媒として HFC32/ HFC152a(40/60)の混
合冷媒を所定量充填した。実施例1と同一の条件でなら
し運転を行った後、実施例1と同一の方法で各濃度を測
定した。Cl濃度は 12 ppm、S濃度は 25 ppm、
P濃度は 25 ppm、H2 O濃度は 60 ppm以下であ
った。
【0061】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した。なお、運転時の吐出ガス温度は 120℃で
あった。その後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て堆積物は確認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内
面を有していることが認められた。
【0062】実施例12 圧縮機を含む冷凍サイクルの製造工程のとくに切削、絞
り工程で工程副資材として用いられているCl(塩
素)、S(硫黄)および(リン)を含む極圧添加剤の代
わりに、これらを含まない油性剤に変更した製造工程で
密閉型回転式冷媒圧縮機を有する冷凍装置を作製した。
【0063】圧縮機にポリエステル系油として、ヒンダ
ードエステルを所定量充填した後、冷凍サイクルの内部
を充分に真空引きした後、冷媒として HFC152aを所定量
充填した。冷媒充填後、サイクル内部での各元素の偏在
をなくすため、通常条件でのならし運転を 10 時間行っ
た。このならし運転後に冷凍機油と冷媒を採取して、各
々水抽出法によるCl、SおよびPのイオンクロマトグ
ラフィ分析とガスクロマトグラフィ分析を実施した。こ
の結果、Cl濃度は 10 ppm、SおよびP濃度は 25
ppm以下、H2 O濃度は 60 ppm以下という結果を
得た。分析用の冷凍機油と冷媒を採取した後、この冷凍
装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000 時間運転した。その
後、冷凍サイクル内面を分解しデポジットの生成状況を
調査した。その結果、全ての調査部において堆積物は確
認されず、ほぼ加工、組立て時と同様の内面を有してい
ることが認められた。
【0064】比較例1 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、微量
の硫黄系の極圧添加剤と、冷媒として HFC152aを所定量
充填した。実施例1と同一の条件でならし運転を行った
後、実施例1と同一の方法で各濃度を測定した。Cl濃
度は 11 ppm、S濃度は 120ppm、P濃度は 25 p
pm以下、H2 O濃度は 60 ppm以下であった。
【0065】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て変色およびスラッジの堆積が認められた。
【0066】比較例2 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、微量
のリン系の極圧添加剤と、冷媒として HFC134aを所定量
充填した。実施例1と同一の条件でならし運転を行った
後、実施例1と同一の方法で各濃度を測定した。Cl濃
度は 11 ppm、S濃度は 25 ppm以下、P濃度は 1
20ppm以下、H2 O濃度は 60 ppm以下であった。
【0067】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て変色およびスラッジの堆積が認められた。
【0068】比較例3 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、微量
の酸素と、冷媒として HFC134aを所定量充填した。実施
例1と同一の条件でならし運転を行った後、実施例1と
同一の方法で各濃度を測定した。Cl濃度は 11 pp
m、S濃度は 25 ppm以下、P濃度は 120ppm以
下、H2 O濃度は 60 ppm以下であった。また、ガス
クロ法で測定したO2 濃度は 110ppmであった。
【0069】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て変色およびスラッジの堆積が認められた。
【0070】比較例4 実施例1と同一の冷凍装置を作製し、圧縮機にポリエス
テル系油として、ヒンダードエステルを所定量充填した
後、冷凍サイクルの内部を充分に真空引きした後、微量
の水と、冷媒として HFC134aを所定量充填した。実施例
1と同一の条件でならし運転を行った後、実施例1と同
一の方法で各濃度を測定した。Cl濃度は 11 ppm、
S濃度は 25 ppm以下、P濃度は 25 ppm以下、H
2 O濃度は 110ppmであった。
【0071】この冷凍装置を雰囲気温度 35 ℃で 4000
時間運転した後、冷凍サイクル内面を分解しデポジット
の生成状況を調査した。その結果、全ての調査部におい
て変色およびスラッジの堆積が認められた。
【0072】
【発明の効果】本発明の冷凍装置は、冷媒としてハイド
ロフルオロカーボン系の冷媒を、冷凍機油組成物として
ハイドロフルオロカーボンと相溶性を有するポリエステ
ル系油またはポリエーテル系油から選ばれた少なくとも
1種類からなる冷凍機油組成物を有し、冷凍サイクル内
のCl濃度、Sおよび/またはPの濃度、O濃度を
冷凍サイクル内の冷凍機油および冷媒全体量に対する重
量割合で、それぞれ50ppm以下、100ppm以
下、100ppm以下に設定したので、運転状態におけ
るサイクル内面へのデポジットの堆積および堆積による
キャピラリ詰りを防止することができる。したがって、
HFC冷媒用冷凍装置の信頼性および耐久性を大幅に向
上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の密閉型回転式冷媒圧縮機を破断して示す
図である。
【図2】従来の密閉型往復動式冷媒圧縮機を破断して示
す図である。
【図3】冷蔵庫用の冷凍サイクルを示す図である。
【図4】従来例でのキャピラリ部内面部のSEM像の模
写を示す図である。
【図5】従来例での冷凍サイクル内面のEDS分析結果
を示す図である。
【図6】冷凍サイクル内面のデポジットの赤外分光スペ
クトルを示す図である。
【図7】冷凍サイクル内面のデポジットのイオンクロマ
トグラフ分析および質量分析結果を示す図である。
【図8】デポジットの堆積厚さと塩素濃度の関係を示す
図である。
【図9】デポジットの堆積厚さと硫黄+リン濃度の関係
を示す図である。
【図10】実施例1でのキャピラリ部内面部のSEM像
の模写を示す図である。
【図11】実施例1での冷凍サイクル内面のEDS分析
結果を示す図である。
【符号の説明】
1………ケーシング、2………ステータ、3………ロー
タ、4………モータ機構、5………圧縮機構、6………
供給管、7………吐出管、8………シャフト、9………
軸受、10………シリンダ、11………サブベアリン
グ、12………クランク、13………ローラ、14……
…ブレード、15………スプリング、16………ピスト
ン、17………往復運動式用シリンダ、20………冷凍
機油、21………キャピラリーチューブ、22………蒸
発器、23………コンプレッサ、24………受台パイ
プ、25………放熱パイプ、26………クリーンパイ
プ、27………冷蔵庫。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 1/00 395 C09K 5/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒としてハイドロフルオロカーボン系
    の冷媒を、冷凍機油組成物として前記ハイドロフルオロ
    カーボンと相溶性を有するポリエステル系油またはポリ
    エーテル系油から選ばれた少なくとも1種類からなる冷
    凍機油組成物を有し、前記冷媒を低圧より高圧に圧縮す
    る圧縮機構と、前記高圧に圧縮された冷媒を冷却する凝
    縮機構と、前記凝縮された冷媒を膨脹させる膨脹機構
    と、前記膨脹した冷媒を蒸発させ低圧の冷媒とする蒸発
    機構とからなる密閉された冷凍サイクルを有するHFC
    冷媒用冷凍装置において、 前記冷凍サイクル内のCl濃度が、冷凍サイクル内の冷
    凍機油および冷媒全体量に対する重量割合で50ppm
    以下であることを特徴とするHFC冷媒用冷凍装置。
  2. 【請求項2】 冷媒としてハイドロフルオロカーボン系
    の冷媒を、冷凍機油組成物として前記ハイドロフルオロ
    カーボンと相溶性を有するポリエステル系油またはポリ
    エーテル系油から選ばれた少なくとも1種類からなる冷
    凍機油組成物を有し、前記冷媒を低圧より高圧に圧縮す
    る圧縮機構と、前記高圧に圧縮された冷媒を冷却する凝
    縮機構と、前記凝縮された冷媒を膨脹させる膨脹機構
    と、前記膨脹した冷媒を蒸発させ低圧の冷媒とする蒸発
    機構とからなる密閉された冷凍サイクルを有するHFC
    冷媒用冷凍装置において、 前記冷凍サイクル内のSおよび/またはPの濃度が、冷
    凍サイクル内の冷凍機油および冷媒全体量に対する重量
    割合で100ppm以下であることを特徴とするHFC
    冷媒用冷凍装置。
  3. 【請求項3】 冷媒としてハイドロフルオロカーボン系
    の冷媒を、冷凍機油組成物として前記ハイドロフルオロ
    カーボンと相溶性を有するポリエステル系油またはポリ
    エーテル系油から選ばれた少なくとも1種類からなる冷
    凍機油組成物を有し、前記冷媒を低圧より高圧に圧縮す
    る圧縮機構と、前記高圧に圧縮された冷媒を冷却する凝
    縮機構と、前記凝縮された冷媒を膨脹させる膨脹機構
    と、前記膨脹した冷媒を蒸発させ低圧の冷媒とする蒸発
    機構とからなる密閉された冷凍サイクルを有するHFC
    冷媒用冷凍装置において、 前記冷凍サイクル内のO濃度が、冷凍サイクル内の冷
    凍機油および冷媒全体 量に対する重量割合で100pp
    m以下であることを特徴とするHFC冷媒用冷凍装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3記載のHFC冷媒
    用冷凍装置において、 前記冷凍機油組成物内のHO濃度が、冷凍機油全体量
    に対する重量割合で100ppm以下であることを特徴
    とするHFC冷媒用冷凍装置。
JP30029092A 1992-10-13 1992-10-13 Hfc冷媒用冷凍装置 Expired - Fee Related JP3464007B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30029092A JP3464007B2 (ja) 1992-10-13 1992-10-13 Hfc冷媒用冷凍装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30029092A JP3464007B2 (ja) 1992-10-13 1992-10-13 Hfc冷媒用冷凍装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06129722A JPH06129722A (ja) 1994-05-13
JP3464007B2 true JP3464007B2 (ja) 2003-11-05

Family

ID=17883011

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30029092A Expired - Fee Related JP3464007B2 (ja) 1992-10-13 1992-10-13 Hfc冷媒用冷凍装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3464007B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3789898B2 (ja) * 2003-03-17 2006-06-28 東芝キヤリア株式会社 冷媒、冷媒圧縮機および冷凍装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06129722A (ja) 1994-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2020044721A1 (ja) 冷凍サイクル装置
CN103642461B (zh) 氟代烯烃制冷剂组合物
US6189322B1 (en) Refrigerant-circulating system, and refrigerant compressor and refrigeration cycle employing the refrigerant compressor
JP2514090B2 (ja) 冷凍冷蔵装置用潤滑油組成物
JP2011226729A (ja) 冷凍装置
JPH11511193A (ja) 冷媒組成物
JP2595346B2 (ja) カーエアコン用冷凍機油組成物
WO2010010917A1 (ja) 冷凍回路
JPH0823030B2 (ja) カーエアコン用冷凍機油組成物
JP3464007B2 (ja) Hfc冷媒用冷凍装置
EP3043124A1 (en) Compressor and refrigeration cycle device
JPH0819430B2 (ja) 冷凍冷蔵装置用冷凍機油組成物
WO1998038264A1 (fr) Refrigerateur et milieu hydraulique
JP2003073681A (ja) 冷蔵庫用作動媒体組成物又は該組成物を用いた冷蔵庫
JPH0797587A (ja) Hfc用冷凍機油組成物
JPH0885798A (ja) 冷凍機油組成物
JP3658571B2 (ja) 冷凍装置
JP2962676B2 (ja) 冷凍装置
JPH0797585A (ja) 冷凍装置
JP6821075B1 (ja) 冷凍サイクル装置
JPH0617078A (ja) 冷凍機油組成物および冷凍装置
JP2785185B2 (ja) カーエアコン用冷凍機油組成物
JP2962677B2 (ja) 冷凍装置
JP2004060952A (ja) 冷凍装置
JP4209601B2 (ja) 冷凍装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030812

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070822

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080822

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080822

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080822

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090822

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090822

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100822

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110822

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110822

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120822

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees