JPH11511193A - 冷媒組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 (A)二酸化炭素(CO₂)、(B)ペンタフルオロオエタン(R-125)、(C)1,1,1-トリフルオロエタン(R-143a)及び(D)クロロジフルオロメタン(R-22)からなる非共沸冷媒組成物が記載されている。

Description

【発明の詳細な説明】冷媒組成物 本発明は非共沸(non-azeotropic)冷媒組成物、特に、現在においては、クロロ ジフルオロメタン(冷媒R-22)とクロロペンタフルオロエタン(冷媒R-115)との共 沸混合物である冷媒R-502によって満足されている低温冷却の用途に使用し得る 非共沸冷媒組成物に関する。 冷蔵庫、フリーザー、ヒートポンプ及び空気調整装置のごとき機械圧縮型の熱 伝達装置は周知である。かかる装置においては、適当な沸点の冷媒液体を低圧で 蒸発させ、周囲の熱伝達流体から熱を奪取する。ついで、得られた蒸気を圧縮し ついで凝縮機に通送し、ここで蒸気を凝縮させ、熱を他の熱伝達流体に放出させ る。ついで凝縮物を膨脹弁を経て蒸発機に還送し、かくして、サイクルが完了す る。蒸気を圧縮し、液体を移動させるのに必要な機械的エネルギーは電動機又は 内燃機関により提供し得る。 適当な沸点と高い蒸発潜熱とを有することの他に、冷媒についての好ましい特 性として低毒性、不燃性、非腐食性、高い安定性及び不快な臭気のないことが挙 げられる。 従来、熱伝達装置においては、トリクロロフルオロメタン(冷媒R-11)、ジクロ ロジフルオロメタン(冷媒R-12)、クロロジフルオロメタン(冷媒R-22)及びクロロ ジフルオロメタンとクロロペンタフルオロエタン(冷媒R-115)との共沸混合物の ごとき完全に又は部分的にハロゲン化されたクロロフルオロカーボン冷媒が使用 されている；上記の共沸混合物は冷媒R-502である。例えば、冷媒R-502は低温冷 却の用途に広く使用されている。 しかしながら、特に、完全ハロゲン化クロロフルオロカーボンは地球の保護オ ゾン層の破壊を生じており、その結果、その使用と生産は国際協定によって制限 されている。 本発明が関係する形式の熱伝達装置は本質的に密閉された装置系であるが、装 置の作動中あるいは保全操作中の漏洩により、冷媒の大気中への損失を生 じ得る。従って、完全ハロゲン化クロロフルオロカーボン冷媒を、低い又は零の オゾン減損能力(ozone depletion potential)を有する物質で置換することが重 要である。 オゾン減損の可能性の他に、大気中の大きな濃度のクロロフルオロカーボン冷 媒は地球の温暖化（いわゆる、温室効果）の原因になり得ることも示唆されてい る。従って、ヒドロキシル基のごとき他の大気成分と反応する能力を有すること により、比較的短い大気中での寿命を有する冷媒を使用することが望ましい。 現在使用されているクロロフルオロカーボン冷媒の幾つかについての代替物も 既に開発されている。これらの代替冷媒は選択されたハイドロフルオロアルカン 、即ち、その構造中に炭素、水素及び弗素原子だけを含有する化合物からなる。 例えば、冷媒R-12は、通常、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R-134a)で置換され ている。 適当な代替冷媒を利用し得るが、R-502のごとき現在使用されているクロロフ ルオロカーボン冷媒と置換することのできる、低い又は零のオゾン減損能力を有 する新規な冷媒が常に要求されている。更に、従来既知の代替冷媒より高い冷却 能力を有する新規な代替冷媒により、非常に実際的な利益が提供され得る。 本発明によれば、現在、冷媒R-502によって満足されている低温冷却の用途に 使用し得る、低い又は零のオゾン減損能力を有する化合物の混合物からなる非共 沸冷媒組成物が提供される。本発明の非共沸冷媒組成物は好都合に高い冷却能力 を発揮し得る。 本発明によれば、 (A)二酸化炭素(CO₂); (B)ペンタフルオロオエタン(R-125); (C)1,1,1-トリフルオロエタン(R-143a);及び (D)クロロジフルオロメタン(R-22); からなる非共沸[non-azeotropic(zeotropic)]冷媒組成物が提供される。 本発明の非共沸冷媒組成物は４種の別個の成分からなる。 第１成分(成分(A))は二酸化炭素(CO₂)であり、これは約-78.5℃で昇華して低 温冷却作用を示す。第２成分(成分(B))はペンタフルオロオエタン(R-125)であり 、これは約-48.5℃の沸点を有する。第３成分(成分(C))は1,1,1-トリフルオロエ タン(R-143a)であり、これは約-47.6℃の沸点を有する。第４成分(成分(D))はク ロロジフルオロメタン(R-22)であり、これは約-40.8℃の沸点を有する。 冷媒組成物中の種々の成分の量は広い制限範囲で変動させ得るが、典型的には 、冷媒組成物は１〜20重量％のCO₂、１〜20重量％のR-125、30〜60重量％のR-14 3a及び30〜60重量％のR-22からなるであろう。 冷媒R-502の代替物としてのその適合性の点から好ましい本発明の冷媒組成物 は、１〜15重量％のCO₂、１〜15重量％のR-125、35〜55重量％のR-143a及び35〜 55重量％のR-22からなるものである。 冷媒R-502の代替物としてのその適合性の点から特に好ましい本発明の冷媒組 成物は、２〜10の重量％CO₂、４〜10重量％のR-125、40〜50重量％のR-143a及び 40〜50重量％のR-22からなるものである。 本発明の冷媒組成物は該組成物が鉱油又はアルキルベンゼン型潤滑剤を冷却回 路の周囲に輸送しかつこれを圧縮機に還送することを可能にするのに十分な量の １種又はそれ以上のハイドロカーボン化合物と併用し得る。この方法においては 鉱油又はアルキルベンゼンを基材とする安価な潤滑剤を使用して圧縮機を潤滑化 し得る。 本発明の冷媒組成物と共に使用し得る適当なハイドロカーボンは２〜６個の炭 素原子を含有するものであり、３〜５個の炭素原子を含有するハイドロカーボン が好ましい。プロパン及びペンタンが特に好ましいハイドロカーボンであり、ペ ンタンが特に好ましい。 ハイドロカーボンを本発明の冷媒組成物と共に使用する場合には、これを冷媒 組成物の重量に基づいて１〜10重量％の量で存在させることが好ましい。 本発明の冷媒組成物はハイドロカーボンをベースとする冷媒と共に使用するた めに特に開発されたタイプの潤滑剤と併用し得る。かかる潤滑剤としてはポリオ キシアルキレングリコールベースオイルからなるものが挙げられる。 適当なポリオキシアルキレングリコールとしては、ヒドロキシル基開始ポリオキ シアルキレングリコール、例えば、メタノール、ブタノール、ペンタエリスリト ール及びグルセロールのごとき一価又は多価アルコール上で開始されるエチレン 及び/又はプロピレンオキシドオリゴマー/ポリマーが挙げられる。かかるポリオ キシアルキレングリコールはアルキル基例えばメチル基のごとき適当な末端基で 末端キャップを行い得る。ハイドロカーボンをベースとする冷媒と共に使用する ために開発されたかつ本発明の冷媒組成物と併用し得る他のタイプの潤滑剤とし ては、少なくとも１種のネオペンチルポリオールと少なくとも１種の脂肪族カル ボン酸又はそのエステル化し得る誘導体との反応から誘導されるネオペンチルポ リオールエステルベースオイルからなるものが挙げられる。エステルベースオイ ルを形成させるのに適当なネオペンチルポリオールとしてはペンタエリスリトー ル、ジ-及びトリペンタエリスリトールのごときポリペンタエリスリトール、ト リメチロールエタン及びトリメチロールプロパンのごときトリメチロールアルカ ン及びネオペンチルグリコールが挙げられる。エステルは線状及び/又は分岐鎖 アルカン酸のごとき線状及び/又は分岐鎖脂肪族カルボン酸を使用して形成し得 る。好ましい酸はC_5-8、特に、C_5-7線状アルカン酸及びC_5-10、特にC_5-9分岐鎖 アルカン酸から選ばれる。エステルを合成する際に、その粘度を増大させるため に、小割合の脂肪族ポリカルボン酸、例えば、脂肪族ジカルボン酸も使用し得る 。合成に使用されるカルボン酸の量は、通常、ポリオール中に含有されるヒドロ キシル基の全てをエステル化するのに十分な量であるが、残留ヒドロキシル官能 基も許容される。 本発明の非共沸冷媒組成物は、冷媒組成物を凝縮させついで冷却させるべき熱 伝達流体との熱交換の関係により蒸発させる方法により低温冷却装置系のごとき 熱伝達装置において所望の冷却を行うのに使用し得る。特に、本発明の冷媒組成 物は低温冷却の用途において冷媒R-502の代替物として使用し得る。 本発明を下記の実施例により例示する。実施例１ ３種の本発明の冷媒組成物の低温冷却サイクルにおける性能を標準的冷却サイ クル分析技術を使用して測定して、R-502の代替物としてのその適合性を評価し た。下記の冷媒組成物をサイクル分析にかけた： (1)２重量％のCO₂、6.9重量％のR-125、45.1重量％のR-143a及び46重量％のR- 22からなる組成物。 (2)５重量％のCO₂、6.7重量％のR-125、43.7重量％のR-143a及び44.6重量％の R-22からなる組成物。 (3)10重量％のCO₂、6.3 重量％のR-125、41.4重量％のR-143a及び42.3重量％ のR-22からなる組成物。 サイクル分析においては下記の操作条件を使用した： 平均蒸発機温度： -40℃ 平均凝縮機温度： 40℃ 過熱(superheat)の量： 10℃ 過冷(subcooling)の量： 5℃ 断熱(isentropic)圧縮機効率： 75％ 冷却効率(cooling duty)： 1kw これらの操作条件を使用して低温冷却サイクルにおける３種の冷媒組成物の性 能を分析した結果は表１に示されている。 表１に示されている性能パラメーター、即ち、凝縮機圧力、蒸発機圧力、排出 温度、冷却能力（これは圧縮機の単位工程容積(swept volume)当りの、達成され た冷却効率を意味する）、成績係数(COP)（これは圧縮機に供給される機械的エ ネルギーに対する、達成された冷却効率(refrigeration effect)の比を意味する ）及び蒸発機及び凝縮機におけるグライド(glide)（冷媒組成物が蒸発機内で沸 騰し、凝縮機内で凝縮する温度範囲）は全て、承認されているパラメーターであ る。 比較のため、同一の操作条件下での冷媒R-502の性能も表１に示されている。 表１から、本発明の冷媒組成物は冷媒R-502より高い冷却能力を示すこと及び 冷却能力は組成物中のCO₂含有量が増大するにつれて増大することが明 らかである。表１に示す結果から、更に、低温冷却サイクルにおける本発明の冷 媒組成物の性能は、該組成物を冷媒R-502の許容される代替物にせしめるような ものであることが明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 コアー，スチユアート イギリス国 チエシヤー ダブリユエイ４ ５デイエツチ，ウオリングトン，アプル トン，フオツクスヒルズ クロウズ 31 (72)発明者 マーフイ，フレデリツク，トーマス イギリス国 チエシヤー ダブリユエイ６ ７アールワイ，フロードサム，フエアー ウエイズ 53 (72)発明者 モリソン，ジエームス，デービツド イギリス国 チエシヤー シイダブリユ８ ２キユエヌ，ノースウイツチ，カデイン グトン，サンダウン クレセント 39

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．(A)二酸化炭素(CO₂); (B)ペンタフルオロオエタン(R-125); (C)1,1,1-トリフルオロエタン(R-143a);及び (D)クロロジフルオロメタン(R-22); からなる非共沸冷媒組成物。 ２．１〜20重量％のCO₂、１〜20重量％のR-125、30〜60重量％のR-143a及び30 〜60重量％のR-22からなる、請求項１に記載の非共沸冷媒組成物。 ３．１〜15重量％のCO₂、１〜15重量％のR-125、35〜55重量％のR-143a及び35 〜55重量％のR-22からなる、請求項２に記載の非共沸冷媒組成物。 ４．２〜10重量％のCO₂、４〜10重量％のR-125、40〜50重量％のR-143a及び40 〜50重量％のR-22からなる、請求項３に記載の非共沸冷媒組成物。 ５．少なくとも１種のハイドロカーボンを更に含有する、請求項１〜４のいず れかに記載の非共沸冷媒組成物。 ６．少なくとも１種のハイドロカーボンは２〜６個の炭素原子を含有する、請 求項５に記載の非共沸冷媒組成物。 ７．少なくとも１種のハイドロカーボンはプロパン及びペンタンから選択され る、請求項６に記載の非共沸冷媒組成物。 ８．ハイドロカーボンは冷媒組成物の全重量に基づいて１〜10重量％の量で存 在させる、請求項５〜７のいずれかに記載の非共沸冷媒組成物。 ９．請求項１〜８のいずれかに記載の非共沸冷媒組成物を含有する熱伝達装置 。 10．請求項１〜８のいずれかに記載の非共沸冷媒組成物を含有する低温冷却装 置系。 11．請求項１〜８のいずれかに記載の非共沸冷媒組成物を凝縮させついで該組 成物を、冷却されるべき熱伝達流体との熱交換の関係において蒸発させることか らなる冷却方法。 12．請求項１〜８のいずれかに記載の非共沸冷媒組成物の、低温冷却の用途に おける冷媒R-502の代替物としての使用。