JP3463332B2 - 自動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

自動車の駆動力配分制御装置

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JP3463332B2
JP3463332B2 JP34419093A JP34419093A JP3463332B2 JP 3463332 B2 JP3463332 B2 JP 3463332B2 JP 34419093 A JP34419093 A JP 34419093A JP 34419093 A JP34419093 A JP 34419093A JP 3463332 B2 JP3463332 B2 JP 3463332B2
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隆夫 今田
康成 中山
由紀 福本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車の駆動力配分制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の中には、パワ−ユニットから左
右の車輪へのトルク配分比を可変としたものが提案され
ている。特開平4−129837号公報、特開平4−3
56233号公報には、車体に作用する実際のヨ−レ−
トが目標ヨ−レ−トとなるように、左右車輪へのトルク
配分を制御するいわゆるヨ−レ−ト制御を行なうものが
提案されている。このようなヨ−レ−ト制御を行なう場
合は、自動車の操縦安定性を高める上で好ましいものと
なる。
【0003】また一方、最近の自動車では、自動変速機
を備えて、変速を所定の変速特性に基づいて自動的に行
なうものが多くなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動変速機
を備えた自動車において、前述したヨ−レ−ト制御等、
左右車輪間でのトルク配分を制御することが考えられ
る。しかしながら、この場合は、自動変速機は車輪への
伝達トルクの大きさを変更するものである関係上、自動
変速機の変速制御がトルク配分制御に悪影響を与える可
能性が考えられる。
【0005】したがって、本発明の目的は、自動変速機
の変速制御と左右車輪間でのトルク配分制御とを共に行
なう場合に、トルク配分制御がより適切に行なえるよう
にした自動車の駆動力配分制御装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明にあっては次のような構成としてある。すな
わち、特許請求の範囲における請求項1に記載のよう
に、パワ−ユニットから左右の車輪へのトルク配分比を
調整するトルク調整手段と、前記左右の車輪とパワ−ユ
ニットとの間の動力伝達経路に介在された自動変速機
と、マップとしてあらかじめ設定された所定の変速特性
に基づいて前記自動変速機の変速制御を行なう第1制御
手段と、あらかじめ設定された所定の制御則に基づいて
得られる所定のトルク配分比となるように、前記トルク
調整手段を制御する第2制御手段と、互いに異なる制御
則とされて少なくとも左右の車輪へのトルク配分を均等
にする制御を行うデフモードと左右の車輪の回転数差ま
たは配分トルク差が所定以上とならないようにする制御
するトルク配分制限モードとを含む複数の制御モードの
中から、所定の選択条件に基づいていずれか1つの制御
モードを前記第2制御手段が用いる制御則として選択す
る制御モード選択手段と、互いに異なる複数の変速特性
を各変速特性毎にマップとしてあらかじめ記憶してお
り、該複数のマップの中から、前記制御モード選択手段
により選択された制御モードに対応したマップを前記第
1制御手段が用いる前記変速特性用のマップとして選択
する変速特性選択手段と、を備えた構成としてある。
【0007】上記構成を前提とした本発明の好ましい態
様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載の通
りである。すなわち、前記自動変速機が、ロックアップ
クラッチ付きのトルクコンバータを備え、前記ロックア
ップクラッチの締結状態と締結解除状態とに応じて、左
右車輪へのトルク配分特性が変更される、ようにするこ
とができる。
【0008】
【発明の効果】請求項1に記載された発明によれば、ト
ルク配分制御と変速制御とを協調させることにより、変
速制御がトルク配分制御に悪影響を与えることを防止あ
るいは抑制することができ、トルク配分制御をより適切
に行なうことができる。また、請求項2に記載された発
明によれば、自動変速機のロックアップクラッチの締結
と締結解除とで相違する左右車輪への入力トルクの大き
さの相違を補償して、左右の車輪への適切なトルク配分
制御を行うこと、特に所定のトルク配分とすることへの
収束性を高めることができる。
【0009】
【実施例】以下本発明の実施例を添付した図面に基づい
て説明する。 全体の概要(図1) 図1において、1FLは左前輪、1FRは右前輪、1R
Lは左後輪、1RRは右後輪である。2はパワ−ユニッ
トとしてのエンジンで、該エンジン2の駆動力は、自動
変速機3、ギア4、5を介して、前駆動軸6に常時伝達
される。前駆動軸6に入力されるエンジン2からの駆動
力は、差動装置7より、左駆動軸8Lを介して左前輪1
FLに伝達され、右駆動軸8Rを介して右前輪1FRに
伝達される。上記自動変速機3は、後述のように、ロッ
クアップクラッチ付きのトルクコンバ−タと、前進4段
後進1段の多段変速歯車機構とから構成されている。
【0010】前駆動軸6に対して、後駆動軸9が、中央
クラッチ14Cを介して連結されている。この後駆動軸
9に対しては、後中間軸10が、ギア11、12を介し
て連動されている。この後中間軸10に対して、左クラ
ッチ14Lおよび左駆動軸13Lを介して左後輪1RL
が連結され、また、右クラッチ14Rおよび右駆動軸1
3Rを介して右後輪1RRが連結されている。
【0011】各クラッチ14L、14R、14Cに対す
る油圧給排経路15L、15R、15Cには、制御弁1
6L、16Rあるいは16Cが接続されている。各制御
弁16L、16R、16Cを個々独立して制御すること
により、各クラッチ14L、14R、14Cの締結力
(締結油圧)が個々独立して制御される。
【0012】後述するように、左右のクラッチ14L、
14Rの締結力を可変とすることにより、左右の後輪1
RLと1RRとに対する駆動力配分比が変更される。な
お、実施例では、中央クラッチ14Cには必ず所定以上
の締結力が与えられて、常時4輪駆動となるように設定
されている。この中央クラッチ14Cの締結力つまり前
後のトルク配分比は、ある一定のものとしてもよく、あ
るいは、車速や前輪と後輪との間での路面に対するスリ
ップ量の相違等をパラメ−タとして、可変とすることも
できる。前後のトルク配分比を常時同じにするときは、
中央クラッチ14Cに代えて、例えば遊星歯車機構等か
らなるセンタ−デフを用いることもできる。
【0013】図1中、UMおよびU1〜U4は、それぞ
れマイクロコンピュ−タを利用して構成された制御ユニ
ットで、制御ユニットUMは左右後輪1RLと1RRと
の間での駆動力配分比を制御する。また、制御ユニット
U1は、後述する変速制御(ロックアップ制御をも含
む)を行なうためのものであり、制御ユニットU2はエ
ンジン2の燃料噴射量制御や点火時期制御を行なうため
のものである。制御ユニットU3は、ブレ−キ時に車輪
がロックするのを防止するABS制御用であり、各車輪
へのブレ−キ力を個々独立して調整するブレ−キ力調整
ユニット17を制御する。この調整ユニット17は、各
車輪に対するブレ−キ力(ブレ−キ液圧)を個々独立し
て調整可能であり、ブレ−キペダルが踏込み操作された
ブレ−キ時におけるブレ−キ液圧の増圧、減圧、保持の
機能は勿論のこと、ブレ−キペダルが踏込み操作されて
いない非ブレ−キ時にあってもブレ−キ液圧を調整可能
とされている。制御ユニットU4は、図示を略すサスペ
ンションダンパの減衰力制御やアクティブサスペンショ
ンの制御用である。
【0014】制御ユニットUMには、後述する制御モ−
ドをマニュアル選択するためのマニュアルスイッチ21
からの信号の他、各種センサやスイッチからの信号が入
力される(これ等の信号を検出するセンサ類をまとめて
符号22で示してある)。センサ類22の中には、少な
くとも次の各要素を検出するものが含まれる。すなわ
ち、車体に作用するヨ−レ−ト、車速、ハンドル舵角、
車体に作用する横G(横加速度)、各車輪の回転速度
(車輪速)、自動変速機3のギア位置(前進状態か後進
状態かを識別する)、各車輪のタイヤ空気圧(荷重差や
パンク検出用)、テンパタイヤを装着しているか否かの
識別、悪路か良路かの識別、路面μ(左右の路面μを個
々独立して検出)、車両の加速と減速(例えばアクセル
開度の変化や車体の前後Gをみて判定する)、路面の車
両進行方向における傾斜角度である(傾斜角度計)。
【0015】上記センサ類22は、制御ユニットUM用
として独立して設定したものであってもよいが、他の制
御ユニットU1〜U4からの信号を利用することもでき
る。なお、悪路であるか否かは、例えば所定量以上のサ
スペンションストロ−クが所定時間内に所定回数以上発
生したとき、あるいは車体に作用する所定以上の大きさ
の上下Gが所定時間内に所定回数以上発生したときに、
悪路であると判定することができ、悪路の度合をも検出
することもできる。
【0016】前記制御モ−ド選択用のマニュアルスイッ
チは、次の4つの制御モ−ドを選択するものであり、選
択された制御モ−ドは、インストルメントパネル等、運
転者から目視し易い位置に設けられた表示装置23に表
示される。上記4つの制御モ−ドは『オ−トモ−ド』、
『ヨ−レ−トモ−ド』、『LSD(差動制限)モ−ド』
および『スタックモ−ド』である。
【0017】ヨ−レ−トモ−ドは、車体に作用する実際
のヨ−レ−トとなる実ヨ−レ−トが所定の目標ヨ−レ−
トとなるように制御するモ−ドであり、目標ヨ−レ−ト
が零以外のとき(ψt制御)と、目標ヨ−レ−トが零の
とき(ψ0 )の2種類を含む。このヨ−レ−トモ−ド
は、本発明での第2制御手段による制御態様に相当する
ものとなる。
【0018】LSDモ−ドは、左右の後輪1RLと1R
Rとの間の回転数差が所定以上大きくならないように制
御する回転数感応型の制御と、後輪への分配トルクに応
じて右の後輪1RL、1RRに対する入力トルクを制御
する(左右車輪間のトルク差が所定以上大きくならない
ように制御する)トルク感応型の制御との2種類を含
む。
【0019】スタックモ−ドは、スタックしたとき、つ
まり自動車がぬかるみ等にはまって容易に脱出できない
状態のとき、あるいはこのような状態におちいり易い状
況のときに対処するためのモ−ドである。
【0020】オ−トモ−ドは、上記2種類の『ヨ−レ−
トモ−ド』と2種類の『LSDモ−ド』との4つの制御
モ−ドに、さらに『デフモ−ド』を含めた合計5つの制
御モ−ドをも加味した制御とされる。デフモ−ドは、左
右後輪1RL、1RRに対するトルク分配比が等しくな
るように制御するものである。
【0021】各制御モ−ドの詳細 上記各制御モ−ドでの制御内容について、図2〜図7に
基づいて説明する。なお、各制御モ−ドにおいて、最終
的に左右後輪1RL、1RRに対するトルク調整量が個
々独立して決定されるが、以下の説明あるいは図面にお
いて用いられる『rl』は左後輪1RL用を示し、『rr』
は右後輪1RR用を示すサフィクスである。また、スタ
ックモ−ドについては、左右後輪1RL、1RRへの伝
達トルクLが、クラッチ14L、14Rの最大トルク伝
達量として設定されるが、この点については後述するフ
ロ−チャ−トの部分で説明する。
【0022】(1)ヨ−レ−トモ−ド(図2、図3) 図2は、目標ヨ−レ−トを零以外とするときに左右後輪
1RL、1RRに対するトルク調整量を算出するための
ものである。この図2において、ステップN1におい
て、車体に作用する実際のヨ−レ−トとなる実ヨ−レ−
トψと、車速Vと、ハンドル舵角θと、横G(横加速
度)と、ステップN2において決定されたスタビリティ
ファクタAとに基づいて、目標ヨ−レ−トψtが決定さ
れる。この目標ヨ−レ−トψtの決定に際しては、ステ
ップN1に示す式が用いられ(式中Lは自動車のホイ−
ルベ−ス)、スタビリティファクタAが大きいほど目標
ヨ−レ−トψtが小さくされて、操縦安定性性を高める
方向の設定とされる。このスタビリティファクタAの決
定については後述する。
【0023】ステップN3においては、実ヨ−レ−トψ
と目標ヨ−レ−トψtとの偏差△ψが決定される。ステ
ップN4においては、ステップN3で算出された偏差△
ψに対して不感帯処理がなされて、所定値以下の偏差△
ψtは零として設定される。この不感帯の設定は、低車
速では幅が広く、高車速では幅が狭くなるようにして、
高車速時での操縦安定性を十分満足させるようにするこ
とができる。そして、ステップN5において、フィ−ド
バック制御によって、偏差△ψtに基づいて、トルク調
整量△Tψtが決定される。なお、このフィ−ドバック
制御は、実施例ではPD制御(比例、微分制御)とされ
ている。ステップN5で決定されたトルク調整量△Tψ
tは、そのまま右後輪1RR用のトルク調整量△Tψt
rrとされ、またステップN6において符号反転された値
が左後輪1RL用のトルク調整量△Tψtrlとされる。
【0024】前記スタビリティファクタAは、図3に示
すようにして決定される(図3中F1〜F5はそれぞれ
制御定数)。すなわち、ステップN11において、車速
Vと基準車速V0と、制御定数F1、F2とに基づい
て、第1の値a1が決定される。また、ステップN12
において、舵角θと制御定数F3、F4とに基づいて、
第2の値a2が決定される。さらに、ステップN13〜
N16の処理によって第3の値a3が決定され、各値a
1〜a3をステップN17で加算することにより、スタ
ビリティファクタAが算出される。
【0025】上記ステップN13では、車速Vと、舵角
θと、基準スタビリティファクタA0と、ホイ−ルベ−
スLとに基づいて、理論横加速度Gltが決定される。ス
テップN14においては、理論横加速度Gltから実際の
横加速度Gを減算することにより、偏差△Gが算出され
る。ステップN15では、偏差△Gの絶対値に基づいて
制御定数F5が決定される(偏差△Gの不感帯処理で、
偏差△Gの絶対値が所定値△G0 以下では制御定数F5
が零に設定される)。ステップN16では、ヨ−レ−ト
ψと車速Vとの乗算値が零以上のときと零未満のときに
場合分けして、制御定数F5と理論横加速度Gltと実際
の横加速度Gとに基づいて第3の値a3が決定される。
【0026】(2)ヨ−レ−トモ−ド(図4) 図4は、目標ヨ−レ−トψ0を零にするときのトルク調
整量決定のための制御系統を示す。すなわち、実際のヨ
−レ−トψをステップN21で符号反転した後、ステッ
プN22で不感帯処理を行ない(図2のN4に対応で、
直進安定性を高めるためにこの不感帯処理をなくしても
よい)、ステップN23において、目標ヨ−レ−トψ0
を零とするフィ−ドバック制御によって、トルク調整量
△Tψ0が算出される。そして、この△ψ0がそのまま
右後輪1RR用のトルク調整量△Tψ0rrとされ、ステ
ップN24で符号反転した後の値が左後輪1RL用のト
ルク調整量△Tψ0rlとされる。
【0027】(3)デフモ−ド(図5) 図5は、左右後輪1RL、1RRに対するトルク分配比
を均等にするための制御系統を示し、ステップN31、
N32において後輪への分配トルクTrを半分にされた
値が、左右後輪1RL、1RRに対するトルク調整量△
Tdrr、△Tdrlとされる。
【0028】(4)回転数感応型LSDモ−ド(図6) 図6は、回転数感応型LSDモ−ドでの左右後輪1R
L、1RRに対するトルク調整量を決定するための系統
図である。この図6において、左右後輪1RL、1RR
の路面に対するスリップ量を示すスリップ値Srr、Srl
が用いられるが、スリップ値Sは、実施例では『(車速
−車輪速)/車輪速』で演算するようにしてある。この
場合、車速は、対地車速でもよく(例えば人工衛星を自
動車の位置決定に利用したナビゲ−ションシステムを利
用する等により決定される車速)、あるいは4輪のうち
もっとも低い車輪速を示す値を車速として利用したもの
であってもよい。
【0029】上記左右後輪1RL、1RRのスリップ値
SrrとSrlとの偏差△Sが、ステップN41で決定され
る。ステップN42では、ここに示すマップに基づい
て、偏差△Sに応じたトルク調整量△Twが決定され
る。このステップN42では、不感帯処理も行なわれる
が、不感帯以外の領域の△Tw設定用のゲインαは、例
えばスリップ値S(左右平均値、左右いずれか大きい
方、左右いずれか小さい方のスリップ値のいずれにする
かは、差動制限の要求程度に応じて適宜選択し得る)が
小さいほど小さくする(感度を低くする)こともでき
る。ステップN42で決定されたトルク調整量△Tw
は、そのまま左後輪1LR用の値△Twrlとして設定さ
れ、ステップN43で符号反転して右後輪1RR用の値
△Twrrとして設定される。
【0030】(5)トルク感応型LSDモ−ド(図7) 図7は、トルク感応型LSDモ−ドでの左右後輪1R
L、1RRに対するトルク調整量を決定するための系統
図である。この図7において、後輪への分配トルクTr
に基づいて、ステップN51に示すように、左右後輪1
RL、1RRへのトルク調整量△Ttrrと△Ttrlとが
決定される。この決定に際しては、後輪への分配トルク
Trが所定値より小さいときは△Ttが小さい一定値と
され、分配トルクTrが大きいときは、当該分配トルク
Trが大きくなるのにしたがって△Ttが徐々に大きく
される。
【0031】フロ−チャ−ト(図8〜図14) 次に、図8〜図14のフロ−チャ−トを参照しつつ、制
御ユニットUMの制御内容について説明するが、以下の
説明でPはステップを示す。先ず、図8はメインフロ−
チャ−トで、そのP1において、各種情報が入力された
後、P2において、エンジン2で発生されているトルク
が、既知のようにして理論的に演算される。なお、エン
ジン2の発生しているトルクを検出するトルクセンサを
別途設けてもよいものである。P3では、どの制御モ−
ドでの制御を行なうかの判定が行なわれ、P4では判定
された制御モ−ドでの制御量が演算され、P5において
演算された制御量が出力される。
【0032】上記P3、P4の内容が、図9のフロ−チ
ャ−トに示される。この図9において、P11において
スイッチ21の操作状態(制御モ−ド選択状態)が読込
まれた後、P12〜P15の判定処理によって選択され
ている制御モ−ドの判定が行なわれ、P16〜P19に
おいて、現在選択されている制御モ−ドに対応した制御
値が演算される。そして、P20において、後述する判
断制御がなされる。
【0033】図9におけるP16でのオ−トモ−ドでの
制御値が、図10に示すフロ−チャ−トに基づいて演算
される。この図10において、P21において、図2〜
図7で説明したように、前述した5つの制御モ−ドでの
制御値が演算される。P22においては、上記各制御モ
−ドでの重み付けを示すゲイン値k1〜k5が後述する
ようにして決定される。P23では、上記ゲイン値が後
述のように補正される。そして、P24において、各制
御モ−ドに応じた演算量と、補正後の各ゲイン値とに基
づいて、トルク調整量△T1が決定される。
【0034】P25〜P27の判定によって、ABS制
御中でかつブレ−キペダルが踏込み操作されている時で
ないこと、およびフェイル時でないことを条件として、
P28において、前回のトルク値TにP24で演算され
た調整量△T1を加算することにより、今回の伝達トル
クTが決定される。また、ABS制御中でかつブレ−キ
ペダルが踏込み操作されているとき、あるいはフェイル
時のときは、P29において、今回の伝達トルクTが0
に設定される。なお、図10に示す処理は、左右後輪用
に個々独立して行なわれる(このことは、図11〜図1
3に示す他の制御モ−ドの場合についても同じ)。
【0035】図11は、図9のP17の詳細を示す。こ
の図11は、図10と対応した制御内容(ステップ)と
されているので、図10の場合との相違点について説明
して、重複した説明は省略する。先ず、P31において
演算される各制御モ−ドでの演算対象は、ヨ−レ−トに
関連した△Tψtと、△Tψ0と、デフモ−ドに関連し
た△Tdの3つである。これに対応して、P32〜P3
4で用いられるゲイン値も、k1〜k3の3つとされ
る。そして、P34で演算される結果は、△T2とされ
る。
【0036】図12は、図9のP18の詳細を示す。こ
の図12は、図10と対応した制御内容(ステップ)と
されているので、図10の場合との相違点について説明
して、重複した説明は省略する。先ず、P41において
演算される各制御モ−ドでの演算対象は、LSDモ−ド
に関連した△Twと、△Ttと、デフモ−ドに関連した
△Tdの3つである。これに対応して、P42〜P44
で用いられるゲイン値も、k3〜k5の3つとされる。
そして、P44で演算される結果は、△T3とされる。
【0037】図9のP19の内容が、図13に示され
る。この図13において、スタック時であることから、
P51において、トルク調整量△Tsta が、クラッチ1
4L、14Rの最大伝達容量に応じた最大値Tmax に設
定される。P52においては、ここに示すマップにした
がって、車速に応じて、ゲイン値ksta が決定される。
P53においては、ゲイン値ksta とトルク調整量△T
sta とを乗算することにより、最終的なトルク調整量△
T4が算出される。そして、P54において、△T4が
そのまま伝達トルク量として設定される。
【0038】図14は、前述したP23、P33、P4
3でのゲイン値k1〜k5の補正の詳細を示す(補正さ
れる前のゲイン値k1〜k5の設定は後述する)。この
図14でのゲイン値補正は、補正係数C1〜C5を利用
して行なわれるが、C1はk1補正用であり、C2はk
2補正用であり、C3はk3補正用であり、C4はk4
補正用であり、C5はk5補正用である。
【0039】先ず、P55〜P57の判定において、前
進走行時で、4輪いずれもテンパ−タイヤが装着されて
なくて(1輪でも空気圧が極めて小さいパンク時と判定
されていないというものであってもよい)、かつ左右の
荷重差が小さいとき(左右車輪の空気圧の差が小さいと
き)は、P58において、各補正係数C1〜C5がそれ
ぞれ1に設定される。P59では、補正前のゲイン値k
1〜k5に補正係数C1〜C5を乗算することにより補
正後のゲイン値k1〜k5が得られる。
【0040】P55の判別で前進走行時でないと判別さ
れたときは、P60において、後退走行時であるか否か
が判別される。このP60の判別でNOのときのとき
は、車両の停車時であると判定されて、このときはP6
4において左右後輪へのトルク伝達量が0とされる(ク
ラッチ14L、14Rの解放)。
【0041】P60の判別でYESのときは、P61に
おいて、車速が10km/h以上であるか否かが判別さ
れる。このP61の判別でNOのときは、P62におい
て、デフ制御とLSD制御を行なうべく、この各制御に
対応した補正係数C3〜C5が1に設定されると共に、
ヨ−レ−ト制御モ−ドに対応した補正係数C1、C2が
それぞれ0に設定された後、P59に移行する。
【0042】P61の判別でYESのときは、後退走行
時であってもヨ−レ−ト制御を行なうべく、これに対応
した補正係数C1、C2が符号反転された−C1、−C
2とされ、他の補正係数C3〜C5が1とされて、P5
9へ移行する。このP63を経る処理は、前進走行時と
後退走行時とでは、ヨ−レ−トセンサで検出される方向
(旋回方向)が逆の関係となるため、このセンサでの検
出方向を後退方向に合わせるためのものであり、ヨ−レ
−ト制御の実質的な内容そのものは前進走行時と同じよ
うにして行なわれる。P56あるいはP57の判別でY
ESのときは、P65において、デフ制御のみを行なう
べく、補正係数C3のみが1とされ、他の補正係数C
1、C2、C4、C5はそれぞれ0とされた後、P59
へ移行する。
【0043】ゲイン値k1〜k5の決定 図10のP22、図11のP32、図12のP42で決
定されるゲイン値k1〜k5のうち、デフ制御に対応し
たゲイン値k3のみは常に1に設定される。k3以外の
ゲイン値のうち、零以外を目標値とするヨ−レ−トモ−
ドに対応したゲイン値k1は図15に示すようにして設
定され、零を目標値とするヨ−レ−トモ−ドに対応した
ゲイン値k2は図16に示すようにして設定され、回転
数感応型LSDモ−ドに対応したゲイン値k4は図17
に示すように決定され、トルク感応型LSDモ−ドに対
応したゲイン値k5は図15に示すように決定される。
【0044】零以外を目標値とするヨ−レ−トモ−ドで
のゲイン値k1は、次のような各種要素を勘案して設定
される。この各種要素としては、舵角θ、車速V、路面
μ、路面μが左右均一な均一路であるか左右異なるスプ
リット路であるか(左右一方が低μのときにスプリット
路として判定するようにしてある)、加減速(定常)、
良路であるか悪路であるか、ということが含まれる。ゲ
イン値k1の決定に際しては、上記各要素毎に独立して
マップM1〜M15を作成して、各マップから設定値m
1〜m15が設定されるが、この設定値m1〜m15
は、そのとり得る値がそれぞれという0〜1の範囲ある
いは0〜0.5の範囲で設定される。
【0045】マップM1、M2が基本設定用で、ここか
ら得られた設定値m1とm2とを乗算したものが第1演
算値km1とされる。マップM1、M3〜M5で得られ
る設定値m1とm3とm4とm5とを乗算することによ
り、第2演算値km2が演算される。マップM1、M
3、M6〜M8で得られる設定値m1とm3とm6〜m
8とを乗算することにより、第3演算値km3が演算さ
れる。マップM1、M9〜M12で得られる設定値m1
とm9〜m12とを乗算することにより、第4演算値k
m4が演算される。マップM1、M13〜M15で得ら
れる設定値m1とm13〜m15とを乗算することによ
り、第5演算値km5が演算される。そして、第1演算
値km1から、第2〜第5までの各演算値km2〜km
5を減算することにより、ゲイン値k1が決定される。
【0046】図15における各マップに示す設定の仕方
から明らかなように、ゲイン値k1は、直進時あるいは
直進とみなせる舵角が小さいときには零に設定されて
(マップM1参照)、零以外を目標値とするヨ−レ−ト
モ−ドが実質的に行なわれない設定とされる。また、旋
回時であっても、発進時はゲイン値k1が零に設定され
る(マップM2参照)。マップM3〜M5から明らかな
ように、低車速、高μでかつ均一路では、ゲイン値k1
を小さくする補正が行なわれる。マップM3、M6〜M
8から明らかなように、低車速、低μ、加減速の度合が
強いときでかつ良路では、ゲイン値k1を小さくする補
正が行なわれる。マップM9〜M12から明らかなよう
に、高車速、高μ、加減速の度合が強いときでかつ均一
路のときは、ゲイン値k1を小さくする補正が行なわれ
る。マップM13〜M15から明らかなように、低車
速、低μでかつ悪路のときは、ゲイン値k1を小さくす
る補正が行なわれる。
【0047】ゲイン値k2、k4あるいはk5の設定を
示す図16〜図18の意味するところは、上述した図1
5の説明から明らかなので、その詳しい説明は省略す
る。なお、トルク感応型LSD制御用ゲイン値k5につ
いては、図18のマップM74に示すように、車両進行
方向における傾斜角度が勘案されて、傾斜角度が所定値
以上となる傾斜路のときにゲイン値k5が増大されるよ
うに設定されている。
【0048】オ−トモ−ドが選択されている際、ゲイン
値k1〜k5を利用する代りに、図19に示すようなマ
ップを用いて、いずれの制御モ−ドで制御を実行するか
の決定を行なうようにしてもよい。この図19は、車速
と舵角とをパラメ−タとして設定してあり、ラインα
1、β1、γ1で領域を仕切ってある。そして、ハンチ
ング防止のためのヒステリス設定のために、ラインα
2、β2、γ2が設定されている。この図19におい
て、小舵角域では目標値を零とするヨ−レ−トモ−ドで
の制御が選択される。中舵角域では、車速が小さいとき
はデフモ−ドでの制御が選択され、車速が大きくなると
零以外を目標値とするヨ−レ−トモ−ドでの制御が選択
される。高舵角域では、車速が小さいときは配分比固定
制御が選択され(旋回外輪側の駆動トルクを旋回内輪側
の駆動トルクよりも大きくしたトルク配分に固定)、車
速が大きいときは零以外を目標値とするヨ−レ−トモ−
ドでの制御が選択される。
【0049】低車速域では、舵角に応じて、デフモ−ド
での制御と配分比固定制御とが切換えらえるが、車速が
大きくなるほどデフモ−ドでの制御が選択されるよう
に、デフモ−ド領域が拡大されている。また、中舵角域
では、前述のようにデフモ−ドでの制御と零以外を目標
値とするヨ−レ−トモ−ドでの制御の切換えが行なわれ
るが、車速が大きくなるほどデフモ−ドでの制御が選択
されるように、デフモ−ド領域が拡大されている。
【0050】判断制御(図20〜図24) 図20〜図24は、図9のP20の詳細を示すものであ
り、以下の説明でQはステップを示す。なお、この判断
制御は、左右後輪1RL、1RRへの伝達トルクの設定
が、実際に実現できないときを想定して設定されている
ものであり、クラッチ14L、14Rの締結力制御のみ
では実現不可能なときに、所定の制限を与える他、ブレ
−キ力を利用してあるいはエンジンの出力補正を利用し
て、左右後輪1RL、1RRに対する伝達トルクをより
最適化するためになされる。
【0051】先ず、判断制御のメインフロ−チャ−トと
なる図20において、Q1において、図10〜図13に
示すようにして得られた演算トルクT(左演算トルクT
rl、右演算トルクTrr)が読込まれる。Q2において
は、演算トルクTに基づいて、クラッチ14L、14R
の締結力が設定される。Q3においては、ブレ−キ力の
設定が行なわれ、Q5においてはエンジン2の出力補正
がなされる。
【0052】図20のQ2の詳細が図21に示される。
先ず、Q11において、後輪への分配トルクTrが零以
上であるか否か、つまりエンジン2により車輪を駆動し
ている駆動走行状態であるか否かが判別される。このQ
11の判別でYESのときは、Q12〜Q14におい
て、左クラッチ14Lの締結力Tcrlが設定される。つ
まり、左後輪1RL用の演算トルクTrlが零未満のとき
は、実現不可能な演算トルクなので、締結力Tcrlが零
に設定され(Q13)、そうでないときは締結力Tcrl
が演算トルクTrl(に対応した値)として設定される
(Q14)。Q15〜Q17の処理によって、上述した
左後輪1RLと同様にして、右後輪1RR用の締結力T
crrが設定される。
【0053】Q11の判別でNOのときのとき、つまり
エンジンブレ−キが作用する状態のときは、Q18にお
いて、左後輪1RL用の演算トルクTrlが零未満である
か否かが判別される。このQ18の判別でYESのとき
は、Q19において、演算トルクTrlの符号を反転させ
た値が、左クラッチ14Lの締結力Tcrlとして設定さ
れる。Q18の判別でNOのときのときは、左クラッチ
14Lの締結力Tcrlが零に設定される。Q21〜Q2
3では、上述した左クラッチ14Lの場合と同様にし
て、右クラッチ14Rの締結力が設定される。
【0054】図20のQ3の詳細が、図22に示され
る。先ずQ31において、後輪への分配トルクTrが零
以上である駆動走行時であるか否かが判別される。この
Q31の判別でYESのときは、先ずQ32において、
左演算トルクTrlが零未満であるか否かが判別される。
Q32の判別でYESのときは、クラッチ14Lがマイ
ナスのトルクを伝達することができないので、このとき
は、Q33において、左演算トルクTrlの符号を反転さ
せた値が、左後輪1RL用ブレ−キのブレ−キ力TB rl
として設定される。Q32の判別でNOのときは、ブレ
−キを利用したトルク調整は不用なときなので、Q34
において左後用ブレ−キ力TBrlが零に設定される。Q
35〜Q37では、上述した左後輪1RL用ブレ−キの
場合と同様にして、右後輪1RR用ブレ−キ力TBrrが
設定される。
【0055】Q31の判別でNOのとき、つまりエンジ
ンブレ−キ作用時には、Q38において、左演算トルク
Trlが後輪分配トルクTr未満であるか否かが判別され
る。このQ38の判別でYESのときは、右演算トルク
Trrが後輪分配トルクTr未満であるか否かが判別され
る。このQ39の判別でYESのとき、および前記Q3
8の判別でNOのときは、それぞれブレ−キ調整は不用
なときであるとして、Q40あるいはQ42において左
ブレ−キ力TBrl が零に設定される。Q39の判別でN
Oのときは、後輪分配トルクTrから左演算トルクTrl
を差し引いた値が、左後輪1RL用ブレ−キTBrl とし
て設定される。Q43〜Q47では、上述した左後輪1
RL用ブレ−キの場合と同様にして、右後輪1RR用ブ
レ−キ力TB rrが設定される。なお、ブレ−キ信号は、
制御ユニットU3に出力されて、この制御ユニットU3
により、上述したブレ−キ力となるように対応する車輪
用ブレ−キが制御される。
【0056】図20におけるQ4の詳細が、図23に示
される。先ず、Q51〜Q54の処理によって、クラッ
チ締結力Tcrl あるいはTcrr が、クラッチ14L、1
4Rの最大トルク伝達量Tcmaxの範囲となるように設定
される。また、Q55において、左右のクラッチ14
L、14Rの各締結力の合計値が後輪分配トルクTr以
下であるときは、クラッチ14L、14Rの伝達可能ト
ルク以上にエンジン2が余剰トルクを発生しているとき
であるとして、Q56に示す式にしたがって演算される
所定の減算値△Te分だけ、エンジン出力(エンジント
ルク)が低下される。このエンジン2の出力低下分を示
す△Teは、制御ユニットU2に出力されて、この制御
ユニットU2により、例えばスロットル弁を絞る制御が
行なわれて当該△Teの実現が図られる。
【0057】図20におけるQ5の詳細が、図24に示
される。先ず、Q61において、後輪分配トルクTrが
零以上であるか否かが判別される。このQ61の判別で
YESのときは、Q62において、左演算トルクTrlが
後輪分配トルクTrよりも大きいか否かが判別される。
Q62の判別でYESのときは、Q63において、右演
算トルクTrrが後輪分配トルクTrよりも大きいか否か
が判別される。このQ64の判別でYESのときは、エ
ンジン2の発生トルクを低下させる必要がないときであ
るとして、Q64においてエンジン出力の低下分△Te
が零に設定される。また、Q63の判別でNOのとき
は、Q65において、エンジントルク低下分△Teが、
左右の演算トルクの差分に応じた値として設定される。
【0058】Q62の判別でNOのときは、Q66にお
いて、右演算トルクTrrが後輪分配トルクTrよりも大
きいか否かが判別される。このQ66の判別でYESの
ときは、Q67において、エンジントルク低下分△Te
が、左右の演算トルクの差分に応じた値として設定され
る。Q66の判別でNOのとき、あるいはQ61の判別
でNOのときは、それぞれQ68において、△Teが零
に設定される。
【0059】自動変速機との協調制御(図25〜図2
8) 図25〜図28は、自動変速機3との協調制御を行なう
場合の例を示す。ここで、自動変速機3を制御する制御
ユニットU1は、図27、図28に示すような変速特性
(ロックアップ特性)を記憶している。図27に示す変
速特性はいわゆるエコノミモ−ドに相当し、図28に示
す変速特性は、エコノミモ−ドよりもより低速段側の変
速段が選択されるように設定されたいわゆるパワ−モ−
ドに相当する。各変速特性は、車速とエンジン負荷を示
すスロットル弁開度とをパラメ−タとして設定されてい
る。そして、図27、図28中L/Uとして示すのが、
ロックアップ特性線である。
【0060】以上のような前提において、図25は、左
右後輪1RL、1RRへのトルク配分制御状態(クラッ
チ14L、14Rの制御状態)に応じて変速制御状態を
変更するためのフロ−チャ−トである。この図25にお
いてR(ステップ−以下同じ)11において、制御ユニ
ットUMに関するデ−タ入力された後、R12におい
て、現在ヨ−レ−ト制御中であるか否かが判別される。
R12の判別でYESのときは、R13において、現在
の変速段に固定されたままとされる(変速禁止)。上記
R12の判定においては、例えば、ヨ−レ−トモ−ド選
択していることを前提として、図2に示す制御量△Tψ
t が0以外の値として存在する場合に、ヨ−レ−ト制御
中であると判定することができる。
【0061】R12の判別でNOのときは、R14にお
いて、前回ヨ−レ−ト制御されていたか否かが判別され
る。R14の判別でYESのときは、現在使用されてい
る変速特性に照合して得られる変速段となるように、1
段づつ変速が行なわれる。これにより、例えば2段飛び
で一挙に変速が行なわれてしまうような大きなトルク変
動が防止される。
【0062】R14の判別でNOのときは、R16〜R
21の処理によって、現在行なわれている制御モ−ドに
応じた変速特性が選択される。すなわち、デフモ−ドの
ときはエコノミモ−ドが選択される。LSDモ−ドのと
きは、路面へ伝達するトルクとして大きなものが要求さ
れるような運転領域であるので、パワ−モ−ドが選択さ
れる。スタックモ−ドのときは、パワ−モ−ドを選択し
つつ、得られる変速段よりも1段高速段の変速段が選択
される。すなわち、スタックモ−ドのときは、パワ−モ
−ドの変速特性に照合して得られる変速段が例えば1速
であれば2速とされる(車輪から路面への伝達トルクを
大きなものとすると、スタック状態から脱出しにくいた
め)。なお、スタックモ−ドではエコノミモ−ドを選択
して、これから得られる変速段よりも1段高速側の変速
段を選択することも考えられるが、実施例では、1段上
の高速段を選択したときに、エコノミモ−ドではギア比
が高速側となりすぎることを勘案して、選択する変速特
性をパワ−モ−ドにしている。
【0063】R20の判別でNOのとき、例えばオ−ト
モ−ドでの制御中は、通常の変速制御がなされる。この
ときに選択される変速特性は、エコノミモ−ドとされる
が、運転者によりマニュアル選択された変速特性とする
こともできる。
【0064】図26は、自動変速機3の制御状態に応じ
て左右後輪1RL、1RRへのトルク配分の制御を変更
する場合の例を示す。先ず、R31において、変速制御
に関するデ−タ入力された後、R32において、現在ロ
ックアップクラッチが締結されたロックアップ状態であ
るか否かが判別される。R32の判別でYESのとき
は、図8のP2において推定されたエンジントルクT
が、0.8Tというように小さい値として設定される。
これにより、後輪への分配トルクTrの大きさが変るの
で、同じ運転状態であっても、左右後輪1RL、1RR
へのトルク配分の特性が変更されることになる。
【0065】R32の判別でNOのときは、R34にお
いて、現在変速中であるか否かが判別される。R34の
判別でYESのときは、左右後輪1RL、1RRに対す
るトルク変動要素となる各制御値、すなわちクラッチ1
4L、14Rの締結力やブレ−キ力は、変速前の状態に
固定保持される。
【0066】R34の判別でNOのときは、R36にお
いて、図8〜図24に示すような通常のトルク配分制御
が行なわれる。
【0067】以上実施例について説明したが、本発明は
これに限らず、例えば次のような場合をも含むものであ
る。 (1)左右車輪間でのトルク調整は、左右前輪の間でのみ
行なうようにしてもよく、あるいは左右前輪間と左右後
輪間との両方で行なうようにしてもよい。 (2)自動車は、2輪駆動車であってもよく、この場合、
前輪駆動車、あるいは後輪駆動車のいずれであってもよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を四輪駆動車に適用した場合の一実施例
を示す全体系統図。
【図2】零以外の目標値とされたヨ−レ−トモ−ドでの
制御系統を示す図。
【図3】図2に示すスタビリティファクタを決定するた
めの制御系統図。
【図4】目標値を零するときのヨ−レ−トモ−ドでの制
御系統を示す図。
【図5】左右車輪への分配トルクを均等にするデフモ−
ドでの制御系統を示す図。
【図6】回転数感応型のLSDモ−ドの制御系統を示す
図。
【図7】トルク感応型とされたLSDモ−ドでの制御系
統を示す図。
【図8】トルク制御の一例を示すメインフロ−チャ−
ト。
【図9】図8におけるモ−ド判定および制御トルク値演
算の詳細を示すフロ−チャ−ト。
【図10】図9に示すオ−トモ−ドでの制御トルク値を
得るためのフロ−チャ−ト。
【図11】図9に示すヨ−レ−トモ−ドでの制御トルク
値を得るためのフロ−チャ−ト。
【図12】図9に示すLSDモ−ドでの制御トルク値を
得るためのフロ−チャ−ト。
【図13】図9に示すスタックモ−ドでの制御トルク値
を得るためのフロ−チャ−ト。
【図14】図10〜図12に示すゲイン値補正を行なう
ためのフロ−チャ−ト。
【図15】図10等に示すゲイン値k1を決定するため
の制御系統図。
【図16】図10等に示すゲイン値k2を決定するため
の制御系統図。
【図17】図10等に示すゲイン値k4を決定するため
の制御系統図。
【図18】図10等に示すゲイン値k5を決定するため
の制御系統図。
【図19】オ−トモ−ドで選択すべき制御モ−ドの設定
領域を示すもので、図10の代りに用いられる図。
【図20】図9に示される判断制御の詳細を示すフロ−
チャ−ト。
【図21】図20に示されるクラッチ力設定の詳細を示
すフロ−チャ−ト。
【図22】図20に示されるブレ−キ力設定の詳細を示
すフロ−チャ−ト。
【図23】図20に示されるトルク容量制限の詳細を示
すフロ−チャ−ト。
【図24】図20に示されるエンジン出力補正の詳細を
示すフロ−チャ−ト。
【図25】自動変速機との協調制御例を示すフロ−チャ
−ト。
【図26】自動変速機との協調制御例を示すフロ−チャ
−ト。
【図27】エコノミモ−ドの変速特性例を示す図。
【図28】パワ−モ−ドの変速特性例を示す図。
【符号の説明】
1RL:左後輪 1RR:右後輪 2:エンジン(パワ−ユニット) 3:自動変速機 14L:左クラッチ(トルク調整手段) 14R:右クラッチ(トルク調整手段 14C:中央クラッチ 16L:クラッチ締結力制御弁 16R:クラッチ締結力制御弁 21:制御モ−ド選択用スイッチ 23:センサ類 UM:制御ユニット(トルク制御用) U1:制御ユニット(変速制御用)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大石 憲一 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−180325(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 41/00 F02D 29/00 F16H 61/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パワ−ユニットから左右の車輪へのトルク
    配分比を調整するトルク調整手段と、 前記左右の車輪とパワ−ユニットとの間の動力伝達経路
    に介在された自動変速機と、 マップとしてあらかじめ設定された所定の変速特性に基
    づいて前記自動変速機の変速制御を行なう第1制御手段
    と、 あらかじめ設定された所定の制御則に基づいて得られる
    所定のトルク配分比となるように、前記トルク調整手段
    を制御する第2制御手段と、 互いに異なる制御則とされて少なくとも左右の車輪への
    トルク配分を均等にする制御を行うデフモードと左右の
    車輪の回転数差または配分トルク差が所定以上とならな
    いようにする制御するトルク配分制限モードとを含む複
    数の制御モードの中から、所定の選択条件に基づいてい
    ずれか1つの制御モードを前記第2制御手段が用いる制
    御則として選択する制御モード選択手段と、 互いに異なる複数の変速特性を各変速特性毎にマップと
    してあらかじめ記憶しており、該複数のマップの中か
    ら、前記制御モード選択手段により選択された制御モー
    ドに対応したマップを前記第1制御手段が用いる前記変
    速特性用のマップとして選択する変速特性選択手段と、
    を備えていることを特徴とする自動車の駆動力配分制御
    装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記自動変速機が、 ロックアップクラッチ付きのトルク
    コンバータを備え、 前記ロックアップクラッチの締結状態と締結解除状態と
    に応じて、左右車輪へのトルク配分特性が変更される、
    ことを特徴とする自動車の駆動力配分制御装置。
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