JP3462379B2 - 光受信装置および光送受信システム - Google Patents

光受信装置および光送受信システム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速のレベル変動
やオフセット変動がある光信号を受信する光受信装置
よびその光受信装置を用いた光送受信システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の光受信装置では、光信号のレベル
変動やオフセット変動に対して、信号レベルを一定化す
る自動利得制御や、信号レベルに閾値を追従させる自動
閾値制御により対応していた。たとえば、後者に対応す
るものとして、高速のフィードバック系を構成して判別
器の閾値を変動させる構成がある (Y.Ota et al.,"DC-1
Gb/s Burst-Mode Compatible Receiver for Optical Bu
s Application", J. ofLightwave Technol., Vol.10, N
o.2, Feb.)。しかし、この手法では、フィードバック
系の応答速度とレベル変動の許容量はトレードオフの関
係にあり、双方を同時に最良の状態にすることはできな
かった。
【0003】このように、自動利得制御や自動閾値制御
は高速かつ大きなレベル変動やオフセット変動には対応
できず、さらに信号のマーク率を一定に保つ必要があっ
た。このため、パケット交換方式などで使用されるバー
スト信号には適用できなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】光パケット交換あるい
は光クロスコネクトでは、光パケット信号(セル)ごと
に経路が異なるので、通過する光部品の数や特性の違い
によりレベル変動やオフセット変動が起こる。しかし、
この光パケット信号の高速なレベル変動やオフセット変
動に追従する自動利得制御回路や自動閾値制御回路は実
現が困難であった。したがって、従来の閾値を用いた信
号の識別再生方式を用いる場合には、レベル変動やオフ
セット変動の許容範囲を小さくしなければならず、光パ
ケット交換あるいは光クロスコネクトを実現する上で大
きな障害になっていた。
【0005】本発明は、高速にレベル変動やオフセット
変動する信号を識別再生することができる光受信装置
よびその光受信装置を用いた光送受信システムを提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の光受信装置は、
光電気変換器の前段に、セルごとにレベルが変動する入
力光の平均の光信号強度に対して利得が飽和する半導体
光増幅器を備える。また、光プリアンプと光電気変換器
との間に、光プリアンプよりも飽和出力が小さい半導体
光増幅器を備える。この半導体光増幅器では、レベルの
小さいなセルの利得がレベルの大きいセルの利得よりも
大きくなるので、セルのレベル変動が緩和される。これ
により、入力光信号にレベル変動やオフセット変動があ
る場合でも一定閾値での信号識別が可能となる。
【0007】また、光電気変換器と識別器との間にハイ
パスフィルタを備える。ハイパスフィルタを通過した信
号は電位ゼロを中心として正負両方の振幅をもつので、
識別器の閾値を自動的に最適値に保つことができる。す
なわち、入力光信号にレベル変動やオフセット変動があ
る場合でも、特別な制御を行うことなく自動的に最適値
に設定される閾値により信号識別が可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)図1は、本発
明の光受信装置の第1の実施形態を示す。
【0009】図において、エルビウム添加光ファイバ増
幅器等を用いた光プリアンプ1、半導体光増幅器2、フ
ォトダイオード3が光ファイバ4を介して順に接続さ
れ、光プリアンプ1および半導体光増幅器2で増幅され
た光信号がフォトダイオード3で電気信号に変換され
る。この電気信号は、さらに電気プリアンプ5で増幅さ
れて識別器6に入力される。
【0010】ここで、光プリアンプ1に入力される光信
号はセルごとにレベルが変動するものとする。このと
き、各セルの持続時間(セル長)は通常 100ns以下で
あり、光プリアンプ1のキャリアライフタイム(msオ
ーダー)と比べて十分に短いので、光プリアンプ1は全
入射セルの強度の平均値に対する利得で増幅を行う。し
たがって、光プリアンプ1の前後におけるセル間の強度
比は不変である。
【0011】この光プリアンプ1で平均パワーPavまで
増幅された光信号が半導体光増幅器2に入力する。半導
体光増幅器2のキャリアライフタイムは 100ps程度と
セルの持続時間よりも短いので、半導体光増幅器2は各
セルの強度に応じた利得で増幅を行う。
【0012】図2は、半導体光増幅器の利得−入力パワ
ー特性を示す。一般的に、光増幅器は入力パワーがある
限度Pc を越えると飽和効果により利得が低下する。こ
こで、Pc <Pavとすると、平均パワーPavよりも小さ
いセルに対する利得は、大きいセルに対する利得よりも
大きくなり、セル間の強度差が減少する。この様子を図
3に示す。
【0013】図3(1) は光プリアンプ1に入射する光信
号、図3(2) は光プリアンプ1で増幅された光信号を示
す。各セルの強度は、b>d>e>a>cである。上述
したように、光プリアンプ1の前後でセル間の強度比は
変わらず、平均パワーPavがアップしている。この光信
号をフォトダイオード3で受光し、識別する場合の最適
閾値は最小のセルcの強度で制限されてPth1 となる。
このPth1 は信号のゼロレベルに近く、符号誤りを生じ
やすい。特に、セルbのローレベルと、セルcのハイレ
ベルとの間で符号誤りが生じやすい。
【0014】本実施形態では、光プリアンプ1から出力
される光信号を半導体光増幅器2に入力する。このと
き、セルa,c,eは平均パワーPavよりも小さく、セ
ルb,dは平均パワーPavよりも大きいので、各セルに
対する利得はc>a>e>d>bとなり、セル間の強度
差が減少して光信号強度は図3(3) のようになる。この
光信号をフォトダイオード3で受光し、識別する場合の
最適閾値はPth2 となる。このPth2 は、最小のセルc
の強度がアップした分だけPth1 より高くなる。すなわ
ち、ゼロレベルに比べて十分に大きくなるので符号誤り
は生じない。
【0015】このように、フォトダイオード3の手前に
半導体光増幅器2を配置し、セルレベル変動等化器とし
て用いることにより、入力光信号にレベル変動やオフセ
ット変動がある場合でも一定閾値での信号識別が可能と
なる。なお、受信される光信号の平均パワーがPav以上
あれば、光プリアンプ1を介さずに直接、半導体光増幅
器2に入力するようにしてもよい。
【0016】(第2の実施形態)図4は、本発明の光受
信装置の第2の実施形態を示す。図において、エルビウ
ム添加光ファイバ増幅器等を用いた光プリアンプ1、フ
ォトダイオード3が光ファイバ4を介して接続され、光
プリアンプ1で増幅された光信号がフォトダイオード3
で電気信号に変換される。この電気信号は、さらに電気
プリアンプ5で増幅され、ハイパスフィルタ7を介して
識別器6に入力される。なお、ハイパスフィルタ7は、
フォトダイオード3と識別器6との間のいずれかに挿入
されていればよい。
【0017】ハイパスフィルタ7の低域遮断周波数は、
通常光信号のビットレートの1/4から1/20程度のも
のを用いる。図5(1) はフォトダイオード3に入力され
る光信号を示す。各セルの強度はb>d>e>a>cで
あり、電気プリアンプ5の出力も同様である。図5(2)
はハイパスフィルタ7を通過後の信号を示す。この信号
は電位ゼロを中心として正負両方の振幅をもつ。この結
果、識別器6における閾値Pthは常に0Vに固定してお
くだけで、入力光信号にレベル変動やオフセット変動が
ある場合でも自動的に最適値になる。
【0018】このように、フォトダイオード3と識別器
6との間にハイパスフィルタ7を挿入することにより、
入力光信号にレベル変動やオフセット変動がある場合で
も一定閾値での信号識別が可能となる。
【0019】(第3の実施形態)図6は、本発明の光受
信装置の第3の実施形態を示す。本実施形態は、第1の
実施形態と第2の実施形態を組み合わせたものである。
すなわち、フォトダイオード3の前段に配置した半導体
光増幅器2をセルレベル変動等化器として機能させ、か
つハイパスフィルタ7の効果によって自動的に最適閾値
での信号識別を可能とする構成である。
【0020】図7(1) は光プリアンプ1で増幅された光
信号、図7(2) は半導体光増幅器2で増幅された光信
号、図7(3) はハイパスフィルタ7通過後の信号を示
す。それぞれの信号を識別する場合の閾値はPth1 ,P
th2(>Pth1),Pth0(=0)である。
【0021】以上示した第1〜第3の実施形態の構成で
は、光信号の変調方式にかかわらず上述の効果を得るこ
とができるが、半導体光増幅器2のキャリアライフタイ
ム程度の時間内で光信号強度が一定に保たれる変調方式
を用いることにより、その効果を増大させることができ
る。すなわち、キャリアライフタイム程度の時間内で光
信号強度が一定に保たれた場合は、半導体光増幅器2は
ビットごとの強度変化には追従できずにセル内の強度の
平均値を感じて利得が決定される。したがって、パター
ン効果によるペナルティが一切生じない理想的な増幅が
可能となる。
【0022】半導体光増幅器2のキャリアライフタイム
程度の時間内で光信号強度を一定に保つ方法としては、
強度変調に対してスクランブルをかける等の方式により
マーク率を一定値にする方法、またはマーク率が一定値
になるような符号化方式(例えばマンチェスタ符号な
ど)を用いる等の方法がある。このマーク率の一定値と
しては1/2が最適値である。また、変調方式として、
位相変調や周波数変調を用いた場合には、セル内の光信
号強度は完全に一定値となるので、マーク率によらず
大限の効果を得ることができる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光受信装
および光送受信システムは、光電気変換器の前段に半
導体光増幅器を備えるか、さらに光電気変換器と識別器
との間にハイパスフィルタを備えることにより、入力光
信号のレベル変動やオフセット変動の影響を回避するこ
とができる。したがって、光信号レベルやオフセットレ
ベルがセルごとに高速変動する場合でも、特別な制御回
路を用いることなく信号の識別再生が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光受信装置の第1の実施形態を示す
図。
【図2】半導体光増幅器の利得−入力パワー特性を示す
図。
【図3】第1の実施形態の動作を説明する図。
【図4】本発明の光受信装置の第2の実施形態を示す
図。
【図5】第2の実施形態の動作を説明する図。
【図6】本発明の光受信装置の第3の実施形態を示す
図。
【図7】第3の実施形態の動作を説明する図。
【符号の説明】
1 光プリアンプ、 2 半導体光増幅器 3 光電気変換器 4 光ファイバ 5 電気プリアンプ 6 識別器 7 ハイパスフィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−181019(JP,A) 特開 平6−85372(JP,A) 特開 平7−7477(JP,A) 実開 昭61−113441(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 10/00 - 10/28 H04J 14/00 - 14/08 G02B 6/00 H01S 3/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルごとにレベル変動やオフセット変動
    がある光信号を入力して電気信号に変換する光電気変換
    器と、前記電気信号を識別する識別器とを備えた光受信
    装置において、 前記光電気変換器の前段に、セルごとにレベルが変動す
    る入力光の平均の光信号強度に対して利得が飽和する半
    導体光増幅器を備えたことを特徴とする光受信装置。
  2. 【請求項2】 セルごとにレベル変動やオフセット変動
    がある光信号を入力して電気信号に変換する光電気変換
    器と、前記電気信号を識別する識別器とを備えた光受信
    装置において、 前記光電気変換器の前段に、セルごとにレベルが変動す
    る入力光の平均の光信号強度に対して利得が飽和する半
    導体光増幅器を備え、 前記光電気変換器と前記識別器との間にハイパスフィル
    タを備えたことを特徴とする光受信装置。
  3. 【請求項3】 半導体光増幅器の前段に、半導体光増幅
    器の利得が飽和する強度まで、セルごとにレベルが変動
    する入力光の平均の光信号強度を増幅する光プリアンプ
    を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載の光受信装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光受信
    装置を備えた光送受信システムにおいて、 前記光受信装置の半導体光増幅器のキャリアライフタイ
    ム程度の時間内で光信号強度が一定に保たれる変調方式
    により生成された光信号を送信する構成であることを特
    徴とする光送受信システム。
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