JP3460487B2 - 無水イサト酸類の製造方法 - Google Patents

無水イサト酸類の製造方法

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JP3460487B2
JP3460487B2 JP34612996A JP34612996A JP3460487B2 JP 3460487 B2 JP3460487 B2 JP 3460487B2 JP 34612996 A JP34612996 A JP 34612996A JP 34612996 A JP34612996 A JP 34612996A JP 3460487 B2 JP3460487 B2 JP 3460487B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無水イサト酸類の
製造法に関し、詳しくは、対応するアントラニル酸又は
その塩とホスゲンを用いることによる無水イサト酸類の
製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】無水イ
サト酸類は、消炎剤、糖尿病合併症の治療剤等の中間体
として有用であり (例えば、特開昭 62-97476 号公報)
、その製造方法としては、例えば、水溶媒下に、対応
するアンスラニル酸又はその塩とホスゲンを用いること
により製造することも知られている(J.Org.Chem., 26
613(1961))。 しかしながら、溶媒として水を用いる上
記方法では、反応混合物がホイップクリーム状になるた
め、反応器の容積効率が著しく低く、更には目的物の収
率も満足し得るものではないという工業上の問題点があ
った。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる問
題点を解決すべく、無水イサト酸類の製造方法について
鋭意検討を重ねた結果、溶媒として、水の代わりに、水
と水に混和し且つ反応に不活性である有機溶媒を用いる
ことにより、反応混合物のホイップクリーム化が抑制し
得、反応器の容積効率が著しく向上するのみならず、収
率も向上し得ることを見出すとともに、更に種々の検討
を加えて、本発明を完成した。
【0004】すなわち本発明は、ホスゲンと式(I) (式中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲ
ン原子、ニトロ基、ハロゲン原子が置換していることも
ある低級アルキル基、ハロゲン原子が置換していること
もあるアラルキル基、ハロゲン原子が置換していること
もあるアルコキシ基、ハロゲン原子が置換していること
もあるアルコキシカルボニル基、アシロキシ基又はXN
45(Xは単なる結合、低級アルキレン基又はカルボ
ニル基を表す。Xが単なる結合又は低級アルキレン基で
ある場合は、R4、R5はそれぞれ独立に低級アルキル基
又はN、R4、R5が一緒になって他のヘテロ原子を含ん
でいることもある5員複素環若しくは6員複素環を表
す。Xがカルボニル基である場合はR4、R5はそれぞれ
独立に水素原子、低級アルキル基又はN、R4、R5が一
緒になって他のヘテロ原子を含んでいることもある5員
複素環若しくは6員複素環を表す。5員複素環若しくは
6員複素環が他のヘテロ原子を含む場合には、該ヘテロ
原子は置換基を有していてもよい。)を表す。R3は、
水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロゲン原子が置
換していることもある低級アルキル基、ハロゲン原子が
置換していることもあるアラルキル基、ハロゲン原子が
置換していることもあるアルコキシ基又はハロゲン原子
が置換していることもあるアルコキシカルボニル基を表
す。)で示されるアントラニル酸類又はその塩を用い
て、式(II) (式中、R1、R2、R3はそれぞれ前記と同じ意味を表
す。)で示される無水イサト酸類を製造するにあたり、
溶媒として、水と水に混和し且つ反応に不活性である有
機溶媒との混合溶媒を用い、pHを6〜7に調整しなが
ら反応させることを特徴とする無水イサト酸類の製造方
法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下本発明について、詳細に説明
する。本発明の原料であるアントラニル酸類(I)にお
ける置換基R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、ハロ
ゲン原子、ニトロ基、ハロゲン原子が置換していること
もある低級アルキル基、ハロゲン原子が置換しているこ
ともあるアラルキル基、ハロゲン原子が置換しているこ
ともあるアルコキシ基、ハロゲン原子が置換しているこ
ともあるアルコキシカルボニル基、アシロキシ基又はX
NR45(Xは単なる結合、低級アルキレン基又はカル
ボニル基を表す。Xが単なる結合又は低級アルキレン基
である場合は、R4、R5はそれぞれ独立に低級アルキル
基又はN、R4、R5が一緒になって他のヘテロ原子を含
んでいることもある5員複素環若しくは6員複素環を表
す。Xがカルボニル基である場合はR4、R5はそれぞれ
独立に水素原子、低級アルキル基又はN、R4、R5が一
緒になって他のヘテロ原子を含んでいることもある5員
複素環若しくは6員複素環を表す。5員複素環若しくは
6員複素環が他のヘテロ原子を含む場合は、該ヘテロ原
子は置換基を有していてもよい。)を表し、R3は、水
素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロゲン原子が置換
していることもある低級アルキル基、ハロゲン原子が置
換していることもあるアラルキル基、ハロゲン原子が置
換していることもあるアルコキシ基又はハロゲン原子が
置換していることもあるアルコキシカルボニル基を表
す。
【0006】ここで、ハロゲン原子としては、例えば塩
素、臭素、フッ素等が挙げられる。またハロゲン原子が
置換していることもある低級アルキル基としては、例え
ばメチル、エチル、プロピル、i-プロピル、ブチル、i-
ブチル、t-ブチル、ペンチル、i-ペンチル、ヘキシル等
の低級アルキル基、クロロメチル、ブロモメチル、クロ
ロプロピル等のモノハロ低級アルキル基、1,2-ジクロロ
エチル、1,2-ジブロモエチル、2,2-ジクロロエチル等の
ジハロ低級アルキル基、トリフルオロメチル等のトリハ
ロ低級アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子が置換
していることもあるアラルキル基としては、例えばベン
ジル、フェニルエチル、4-クロロベンジル、2,4-ジクロ
ロベンジル、2,4-ジブロモベンジル等が挙げられる。
【0007】またハロゲン原子が置換していることもあ
るアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、
プロポキシ、i-プロポキシ、ブトキシ、i-ブトキシ、t-
ブトキシ、ペンチルオキシ、i-ペンチルオキシ、ヘキシ
ルオキシ等の低級アルコキシ基、クロロメトキシ、ブロ
モメトキシ、1-、2-クロロエトキシ、1-、2-、3-クロロ
プロポキシ、ジクロロメトキシ、シブロモメトキシ、1,
2-ジクロロエトキシ、2,2-ジクロロエトキシ、トリフル
オロメトキシ等のハロゲン原子で置換された低級アルコ
キシ基などが挙げられる。またハロゲン原子が置換して
いることもあるアルコキシカルボニル基としては、例え
ば上記と同様のハロゲン原子が置換していることもある
アルコキシ基を有するカルボニル基等が挙げられる。ア
シロキシ基としては、例えばアセトキシ、プロピオニル
オキシ、ブチリルオキシ、i-ブチリルオキシ、バレリル
オキシ、i-バレリルオキシ、ピバロイルオキシ等の低級
アルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ等のア
リールカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0008】またXNR45 における低級アルキレン
基としては、例えばメチレン、ジメチレン、トリメチレ
ン、テトラメチレン等が挙げられ、NR45 における
低級アルキル基としてのR4,R5 としては、前記と同様
の低級アルキル基が挙げられ、この場合の具体例として
は、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピ
ルアミノ、ジブチルアミノ等が挙げられる。NR45
におけるN,R4,R5 が一緒になって他のヘテロ原子を
含んでいることもある5員複素環若しくは6員複素環を
表す場合の具体例としては、例えばピロリル、2H,4H-ピ
ロリル、ピロリジノ、ピラゾリル、ピペリジノ、モルホ
リノ、イミダゾリル等が挙げられる。他のヘテロ原子が
Nの場合は、Nは置換基を有することもできる。かかる
置換基としては、例えば前記と同様のハロゲン原子が置
換していることもある低級アルキル基、前記と同様のハ
ロゲン原子が置換していることもあるアラルキル基、低
級アルコキシ基が置換しているアラルキル基、低級アル
コキシ基が置換していることもあるフェニルカルボニル
基等が挙げられる。
【0009】アントラニル酸類(I)の代表的化合物と
しては、例えばアントラニル酸、3-、4-、5-、6-クロロ
アントラニル酸、3-、4-、5-、6-ブロモアントラニル
酸、3-、4-、5-、6-フルオロアントラニル酸、3,4-、3,
5-、3,6-、4,5-、5,6-ジクロロアントラニル酸、3,4-、
3,5-、3,6-、4,5-、5,6-ジブロモアントラニル酸、3,4
-、3,5-、3,6-、4,5-、5,6-ジフルオロアントラニル
酸、3-ブロモ-4- クロロアントラニル酸、3-ブロモ-5-
クロロアントラニル酸、3-ブロモ-6- クロロアントラニ
ル酸、4-ブロモ-3- クロロアントラニル酸、4-ブロモ-5
- クロロアントラニル酸、4-ブロモ-6- クロロアントラ
ニル酸、5-ブロモ-3- クロロアントラニル酸、5-ブロモ
-4- クロロアントラニル酸、5-ブロモ-6- クロロアント
ラニル酸、6-ブロモ-3- クロロアントラニル酸、6-ブロ
モ-4- クロロアントラニル酸、6-ブロモ-5- クロロアン
トラニル酸、3-クロロ-4- フルオロアントラニル酸、3-
ブロモ-4- フルオロアントラニル酸、3,4,5-、3,4,6-、
3,5,6-、4,5,6-トリクロロアントラニル酸、3,4,5-、3,
4,6-、3,5,6-、4,5,6-トリブロモアントラニル酸、3,4,
5-、3,4,6-、3,5,6-、4,5,6-トリフルオロアントラニル
酸、3-、4-、5-、6-ニトロアントラニル酸、3-、4-、5
-、6-メチルアントラニル酸、3-、4-、5-、6-エチルア
ントラニル酸、3-、4-、5-、6-プロピルアントラニル
酸、3-、4-、5-、6-i-プロピルアントラニル酸、3-、4
-、5-、6-メトキシカルボニルアントラニル酸、3-、4
-、5-、6-エトキシカルボニルアントラニル酸、3-、4
-、5-、6-プロポキシカルボニルアントラニル酸、3-、4
-、5-、6-i-プロポキシカルボニルアントラニル酸、3
-、4-、5-、6-t-ブトキシカルボニルアントラニル酸、
【0010】3-、4-、5-、6-( クロロメトキシ) アント
ラニル酸、3-、4-、5-、6-( ブロモメトキシ) アントラ
ニル酸、3-、4-、5-、6-(1- クロロエトキシ) アントラ
ニル酸、3-、4-、5-、6-(2- クロロエトキシ) アントラ
ニル酸、3-、4-、5-、6-(1- クロロプロポキシ) アント
ラニル酸、3-、4-、5-、6-(2- クロロプロポキシ) アン
トラニル酸、3-、4-、5-、6-(3- クロロプロポキシ) ア
ントラニル酸、3-、4-、5-、6-( ジクロロメトキシ) ア
ントラニル酸、3-、4-、5-、6-( ジブロモメトキシ) ア
ントラニル酸、3-、4-、5-、6-( トリフルオロメトキ
シ) アントラニル酸、3-、4-、5-、6-( クロロメトキシ
カルボニル) アントラニル酸、3-、4-、5-、6-( ブロモ
メトキシカルボニル) アントラニル酸、3-、4-、5-、6-
(1- クロロエトキシカルボニル) アントラニル酸、3-、
4-、5-、6-(2- クロロエトキシカルボニル) アントラニ
ル酸、3-、4-、5-、6-(1- クロロプロポキシカルボニ
ル) アントラニル酸、3-、4-、5-、6-( ジクロロメトキ
シカルボニル) アントラニル酸、3-、4-、5-、6-( ジブ
ロモメトキシカルボニル) アントラニル酸、3-、4-、5
-、6-(1,2- ジクロロメトキシカルボニル) アントラニ
ル酸、3-、4-、5-、6-(2,2-ジクロロメトキシカルボニ
ル) アントラニル酸、3-、4-、5-、6-( トリフルオロメ
トキシカルボニル) アントラニル酸、3-、4-、5-、6-ク
ロロメチルアントラニル酸、3-、4-、5-、6-ブロモメチ
ルアントラニル酸、3-、4-、5-、6-(1- クロロエチル)
アントラニル酸、3-、4-、5-、6-(2- クロロエチル) ア
ントラニル酸、3-、4-、5-、6-( ジクロロメチル) アン
トラニル酸、3-、4-、5-、6-(1,2- ジクロロエチル) ア
ントラニル酸、3-、4-、5-、6-(2,2- ジクロロエチル)
アントラニル酸、
【0011】3,4-ジメチルアントラニル酸、3,4-ジエチ
ルアントラニル酸、3-ベンジルアントラニル酸、3-(2-
フェニルエチル) アントラニル酸、3-(4- クロロベンジ
ル) アントラニル酸、3-(2,4- ジクロロベンジル) アン
トラニル酸、3-(2,4- ジブロモベンジル) アントラニル
酸、3-メトキシアントラニル酸、3-エトキシアントラニ
ル酸、3-プロポキシアントラニル酸、3-i-プロポキシア
ントラニル酸、4,5-ジメトキシアントラニル酸、5,6-ジ
メトキシアントラニル酸、3,5-ジエトキシアントラニル
酸、3,6-ジプロポキシアントラニル酸、3-(N,N- ジメチ
ルアミノ) アントラニル酸、3-(N,N- ジエチルアミノ)
アントラニル酸、3-(N,N- ジプロピルアミノ) アントラ
ニル酸、3-(N,N- ジブチルアミノ) アントラニル酸、3-
(1- ピロリル) アントラニル酸、3-(1- イミダゾリル)
アントラニル酸、3-(1- ピラゾリル) アントラニル酸、
3-(2H,4H- ピロリル) アントラニル酸、3-( ピペリジ
ノ) アントラニル酸、3-( モルホリノ) アントラニル
酸、3-(4- メチルピペリジノ) アントラニル酸、3-(4-
(クロロメチル) ピペリジノ) アントラニル酸、3-(4-
ベンジルピペリジノ) アントラニル酸、3-(4-(3-メトキ
シベンジル) ピペリジノ) アントラニル酸、3-(4-(フェ
ニルカルボニルピペリジノ) アントラニル酸、5-(4-(3,
4-ジメトキシフェニルカルボニル) ピペリジノ) アント
ラニル酸、3-(1- ピロリルメチル) アントラニル酸、
【0012】3-( モルホリノメチル) アントラニル酸、
4-((4-メチルピペリジノ) メチル) アントラニル酸、5-
(4-(3-フェニルカルボニルプロピル) ピペリジノカルボ
ニル)アントラニル酸、4,6-ジメチル-5- エチルオキシ
カルボニルアントラニル酸、3-カルバモイルアントラニ
ル酸、3-(N- メチルカルバモイル) アントラニル酸、3-
(N,N- ジメチルカルバモイル) アントラニル酸、4-(4-
メチルピペリジノカルボキシ) アントラニル酸、5-(4-
ベンジルピペリジノカルボキシ) アントラニル酸、5-(4
-(3-フェニルカルボニルプロピル) ピペリジノカルボキ
シ) アントラニル酸、4,6-ジメチル-5- エチルオキシカ
ルボニルアントラニル酸、3-クロロ-5,6-ジメトキシア
ントラニル酸、4-アセトキシアントラニル酸、4-プロピ
オニルオキシアントラニル酸、4-ブチリルオキシアント
ラニル酸、4-i-ブチリルオキシアントラニル酸、4-バレ
リルオキシアントラニル酸、4-i-バレリルオキシアント
ラニル酸、4-ピバロイルオキシアントラニル酸、4-ベン
ゾイルオキシアントラニル酸等が挙げられる。
【0013】アントラニル酸類(I)は塩の形で使用す
ることもでき、アミノ基、カルボキシル基のいづれが塩
を形成していても良い。 かかる塩としては、例えば塩
酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0014】本発明は、溶媒として、水と水に混和し且
つ反応に不活性である有機溶媒との混合溶媒を用い、上
記のようなアントラニル酸類又はその塩とホスゲンを反
応させるものであるが、水に混和し且つ反応に不活性で
ある有機溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジ
オキサン等の環状エーテル類、エチレングリコールジメ
チルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル
等のグライム類が挙げられる。なかでも環状エーテル
類、とりわけテトラヒドロフランが好ましく使用され
る。混合溶媒中の有機溶媒の割合は、原料であるアント
ラニル酸の種類、生成物である無水イサト酸の種類にも
よるが、通常1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%で
ある。ここで、有機溶媒の割合は1%重量未満になる
と、反応混合物のホイップクリーム状化を抑制する効果
が低減する傾向にあり、通常は1重量%以上の混合溶媒
が用いられる。また混合溶媒の使用量は、アントラニル
酸類に対して、通常1〜20重量倍、好ましくは2〜10重
量倍である。
【0015】ホスゲンとアントラニル酸類又はその塩と
を反応させるにあたり、アントラニル酸類は上記混合溶
媒に溶解又は懸濁して使用される。反応は、反応混合物
のpHを通常、約6〜約7程度に調整しながら、ホスゲン
を反応器内に導入することにより実施される。反応温度
は、通常0〜40℃、好ましくは0〜20℃である。ここ
で、pHを調整するにあたっては、アルカリが通常使用さ
れる。かかるアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の
アルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸マグネウシム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸
塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカ
リ金属炭酸水素塩、酸化カルシウム、酸化バリウム等の
アルカリ土類金属酸化物等が挙げられる。なかでも水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム、炭酸カルシウム等が好ましく使用され
る。アルカリは、2種以上混合して使用することもでき
るし、水等と混合して使用することもできる。
【0016】またホスゲンは、気体状態で導入しても良
いし、加圧下に液体状態で導入しても良い。また有機溶
媒に溶解したホスゲンを導入することもできる。ホスゲ
ンの導入口は、反応器の気相部にあっても、液相部にあ
っても良いが、後者の場合は、無水イサト酸類が析出し
て導入口を閉塞させることもあるので、この点を配慮し
て実施する必要がある。導入するホスゲンの量は、アン
トラニル酸類に対して、通常0.9 〜2モル倍程度、好ま
しくは1〜1.7 モル倍程度である。また反応混合物のpH
を約6〜約7に保ちながら所定量のホスゲンを導入した
後、さらにpHが2未満、好ましくは1以下になるまで、
ホスゲンを導入するのが好ましく、これにより目的物の
収量をより向上させることができる。
【0017】かくして、目的とする無水イサト酸類が生
成するが、反応混合物からこれを取り出すにあたって
は、先ず残存するホスゲンを除害するのが通常である。
かかる除害方法としては、例えば窒素等の不活性ガスパ
ージによる方法、溶媒とともに留去させる方法、メタノ
ール等のアルコールを加えて反応させる方法等が挙げら
れる。 除害後の反応混合物から、例えば有機溶媒を留
去した後、濾過等の分離手段を施すことにより、無水イ
サト酸類を取り出すことができる。得られた無水イサト
酸類は、必要に応じてさらに精製することもできる。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、溶媒として、水の代わ
りに、水と水に混和し且つ反応に不活性である有機溶媒
を用いることにより、反応混合物のホイップクリーム化
が抑制し得、反応器の容積効率が向上して設備生産性が
著しく向上するのみならず、目的物である無水イサト酸
の収率も向上し得る。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0020】実施例1 冷却器(-20℃) 付きの200ml フラスコに水43.5g 、テト
ラヒドロフラン43.5g、4-クロロアントラニル酸( 純度9
8%)4.38gを加え、攪拌下に10℃まで冷却した後、pHが
6〜7になるように炭酸ナトリウムを加えた。ついで、
ホスゲンを反応器内の気相部に0.2g/分の流量で導入
し、温度が20〜25℃を保つように冷却、pHが6〜7を保
つように10%炭酸ナトリウム水を加えながら反応させ
た。ホスゲンを3g導入した時点で、炭酸ナトリウム水を
加えるのを中止し、さらにpHが1になるまで、ホスゲン
の導入を続けた。なお、反応混合物の体積の最大値は18
0ml であった。
【0021】反応終了後、反応混合物を65℃まで加熱し
て、一部の溶媒とともにホスゲンを留去した後、結晶を
濾過、メタノール洗浄、乾燥することにより、7-クロロ
無水イサト酸4.4g( 純度99%) を得た。 収率88%であ
った。また容積効率( 反応混合物の最大体積 100mlあた
りの目的物の収量) は2.4g/100mlであった。
【0022】実施例2 冷却器(-20℃) 付きの2lフラスコに水510g、テトラヒド
ロフラン51g 、4-クロロアントラニル酸( 純度98%)106
g を加え、攪拌下に10℃まで冷却した後、pHが6〜7に
なるように23%水酸化ナトリウム水を加えた。ついで、
ホスゲンを反応器内の気相部に0.5g/分の流量で導入
し、温度が5〜15℃を保つように冷却、pHが6〜7を保
ように23%水酸化ナトリウム水を加えながら反応させ
た。ホスゲンを67g 導入した時点で、水酸化ナトリウム
水を加えるのを中止し、さらにホスゲンを導入してpHを
1とした。反応混合物の体積の最大値は1100mlであっ
た。実施例1に準拠して後処理することにより、7-クロ
ロ無水イサト酸116g( 純度99%) を得た。 収率97%、
容積効率10.5g/100ml であった。
【0023】実施例3 冷却器(-20℃) 付きの1lフラスコに水79g 、テトラヒド
ロフラン316g、4,5-ジメトキシアントラニル酸( 純度98
%)80.5gを加え、攪拌下に20℃まで冷却した後、pHが6
〜7になるように23%水酸化ナトリウム水を加えた。つ
いで、ホスゲンを反応器内の気相部に0.26g /分の流量
で導入し、温度が5〜15℃を保つように冷却、pHが6〜
7を保ように25%水酸化ナトリウム水を加えながら反応
させた。ホスゲンを47.5g 導入した時点で、水酸化ナト
リウム水を加えるのを中止し、さらに18塩酸11.7g を加
えてpHを1以下にした。実施例1に準拠して後処理する
ことにより、6,7-ジメトキシ無水イサト酸79.6g(純度88
%) を得た。 収率83%、容積効率9g/100mlであった。
【0024】比較例1 実施例1において、フラスコを1lに代え、水とテトラヒ
ドロフランの代わりに水87g を用いる以外は実施例1に
準拠し反応を実施した。 反応混合物の体積の最大値は
350ml であった。実施例1に準拠して後処理することに
より、7-クロロ無水イサト酸4.12( 純度99%) を得た。
収率83%、容積効率1.2g/100mlであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−293745(JP,A) 特開 平6−321920(JP,A) 仏国特許出願公開2436781(FR,A 1) COPPOLA, G. M., e t al., The Chemist ry of …,J. Heteroc yclic Chem,26,pp.957 −964 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 265/00 - 265/26 CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホスゲンと式(I) (式中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲ
    ン原子、ニトロ基、ハロゲン原子が置換していることも
    ある低級アルキル基、ハロゲン原子が置換していること
    もあるアラルキル基、ハロゲン原子が置換していること
    もあるアルコキシ基、ハロゲン原子が置換していること
    もあるアルコキシカルボニル基、アシロキシ基又はXN
    45(Xは単なる結合、低級アルキレン基又はカルボ
    ニル基を表す。Xが単なる結合又は低級アルキレン基で
    ある場合は、R4、R5はそれぞれ独立に低級アルキル基
    又はN、R4、R5が一緒になって他のヘテロ原子を含ん
    でいることもある5員複素環若しくは6員複素環を表
    す。Xがカルボニル基である場合はR4、R5はそれぞれ
    独立に水素原子、低級アルキル基又はN、R4、R5が一
    緒になって他のヘテロ原子を含んでいることもある5員
    複素環若しくは6員複素環を表す。5員複素環若しくは
    6員複素環が他のヘテロ原子を含む場合には、該ヘテロ
    原子は置換基を有していてもよい。)を表す。R3は、
    水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロゲン原子が置
    換していることもある低級アルキル基、ハロゲン原子が
    置換していることもあるアラルキル基、ハロゲン原子が
    置換していることもあるアルコキシ基又はハロゲン原子
    が置換していることもあるアルコキシカルボニル基を表
    す。)で示されるアントラニル酸類又はその塩を用い
    て、式(II) (式中、R1、R2、R3はそれぞれ前記と同じ意味を表
    す。)で示される無水イサト酸類を製造するにあたり、
    溶媒として、水と水に混和し且つ反応に不活性である有
    機溶媒との混合溶媒を用い、pHを6〜7に調整しなが
    ら反応させることを特徴とする無水イサト酸類の製造方
    法。
  2. 【請求項2】アントラニル酸類(I)に対して、混合溶
    媒を1〜20重量倍使用する請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】混合溶媒中の有機溶媒の割合が、1〜99重
    量%である請求項1または請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】0〜40℃で実施する実施する請求項1〜
    3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】アントラニル酸類(I)に対して0.9〜
    2モル倍のホスゲンを使用した後、pHを2未満に調整
    する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】有機溶媒が、環状エーテル類およびグライ
    ム類から選ばれる少なくとも1種の溶媒である請求項1
    〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】環状エーテル類がテトラヒドロフランであ
    る請求項6に記載の製造方法。
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