JP3460228B2 - アルコール製造廃液の処理法 - Google Patents

アルコール製造廃液の処理法

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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物を用いたアルコ
ール製造廃液の処理法に関する。本発明による処理物
は、植物保護、生育促進剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】アルコール製造過程において排出される
廃液は、家畜の飼料や畑地に対し有機質肥料の一部とし
て利用されているが変敗が早く、その利用は限られたも
のであり、そのほとんどが産業廃棄物として処理されて
いるのが現実である。アルコール製造廃液は、その分解
過程で強い悪臭を発し、また、その廃液が河川や地下水
を汚染し、地域によっては深刻な公害問題となってい
る。
【0003】一方、農薬や化学肥料による農地や河川及
び地下水の汚染はもとより、食物の質の劣化は大きな社
会問題となっている。低毒性の農薬や種々の生物防除法
の研究開発が進められているが、決定的なものはなく、
安全で環境や植物を汚染しない植物保護剤の開発が望ま
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前述した
従来技術に鑑み、アルコール製造廃液に有機酸及びアル
コールを加え、食品加工や医薬品製造に利用され、人体
にとっても有益な有効微生物群で処理したところ、得ら
れた処理物が病害虫に対し強い抑制作用を有することを
見出し本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、アルコール製造廃液を有
効利用するための処理法を提供することを目的とする。
本発明は、アルコール製造廃液中に少量のアルコールと
種々の有機酸(酢酸、クエン酸、乳酸、アミノ酸)が含
まれていることに着目し、それらの成分を微生物の作用
によって急速にエステル化し、植物保護剤及び生育促進
剤として利用するもので、人畜にも全く無害な画期的な
ものである。その中でも乳酸エステルの作用性は、病害
虫に対し直接的な生理障害を引き起す特性があり、その
他のエステルと二次代謝物質は植物の細胞活性を促進す
る働きがある。
【0006】農薬の大半のものは、植物の保護組織であ
るワックス層やクチクラ層を破壊する性質があり、散布
の回数が多くなると光合成能力の低下や表皮の保護機能
を低下させる欠点がある。そのため、濃度が高かった
り、散布回数が多くなると、多くの生理障害を引起し、
農薬の残留効果が低下した時点から、逆に病害虫が多発
するという大きな矛盾をかかえている。
【0007】それらの問題点の解決のためには植物に散
布された物質が病害虫に対し抑制的に作用すると同時に
表皮の保護組織を強化し、細胞活性を高める性質のもの
でなければならない。エステルは有機酸とアルコールの
反応物質で芳香を発し、食品の分野では香りやうま味等
の品質向上に利用されており、植物にも容易に吸収さ
れ、細胞活性を高める作用がある。一般にエステル化反
応は、その原料やpH、温度等によって異なるが、酸とア
ルコールを混和する程度では長期の時間が必要である。
【0008】本発明は、それらの問題を解決するため
に、アルコール製造廃液に酵母や乳酸菌を加え、密閉無
通気条件で作用させ、急速にエステル化反応を促進する
ことにも成功したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のアルコール製造
廃液の処理法は、アルコール製造廃液に有機酸及びオア
ルコールを加え、密閉無通気でpH 3.0〜 5.0の範囲内
で、抗酸性で乳酸を生産し酪酸を生産せず病原性を有さ
ずかつ拮抗価50以上の微生物で処理することを特徴とす
るものである。
【0010】本発明の対象となるアルコール製造廃液と
しては、例えば焼酎、泡盛等の蒸留酒の廃液や、糖蜜や
サトウキビ等を原料としてアルコール製造廃液(ビニヨ
ット)が挙げられる。本発明において、有機酸とは、炭
素数2〜6で、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の
カルボン酸をいい、例えば酢酸、クエン酸、乳酸、アス
コルビン酸、グルコン酸が挙げられる。アルコールと
は、炭素数1〜2の脂肪族アルコールをいい、例えばメ
タノール、エタノールが挙げられる。また、かかる有機
酸及びアルコールとして、サトウキビのしぼり汁の発酵
液等を用いることもできる。
【0011】本発明に用いる微生物は、抗酸性で乳酸を
生産し酪酸を生産せず病原性を有さずかつ拮抗価50以上
のものであれば、特に制限はない。かかる微生物として
は、例えば、放線菌に属するものとして、例えばStrept
omyces sp. (ATCC3004)、Streptoverticillium sp. (AT
CC 23654)、Nocardia sp.(ATCC 19247) 、Micromonospo
ra sp. (ATCC 12452) 、Rhodococcus sp.;光合成細菌に
属するものとして、例えばRhodopseudomonas sp.(R.sph
earoides) 、Rhodospirillum sp.(R.fulum) 、Chromati
um sp.(C.okenii)、Chlorobium sp.(C.limicola); 乳酸
菌(乳酸生成菌)に属するものとして、例えばLactobac
illus sp.(IFO 3070)、Propionibacterium sp. (P. fre
udenreichii) 、Pediococcus sp.(P. halophilus) 、St
reptococcus sp. (S. lactis、S. faecalis); 糸状菌に
属するものとして、例えばAspergillus sp. (RIFY 577
0、RIFY 5024)、Mucor sp.(IFO 8567); 酵母に属するも
のとして、例えばSaccharomyces sp. (NRRL 1346、Y 97
7)、Candida sp. (C. utilis) が挙げられる。
【0012】光合成細菌は、排液中に発生したアンモニ
ア、硫化水素、メルカプタンや種々の炭化水素を消化さ
せ悪臭源をなくすると同時にプロリン、メチオニン等の
種々の有効なアミノ酸の生成を促進する作用を有する。
乳酸菌は、廃液の腐敗を防止する作用を有する。また、
放線菌、酵母をもちいると、有害微生物の働きをおさえ
るグラム陽性菌群の微生物相が形成されるようになる。
【0013】従って、本発明においては、前述の微生物
を2種以上組み合わせて用いることが好ましい。本発明
においては、pH 3.0〜 5.0、好ましくはpH 3.0〜4.5 の
範囲内で処理を行うが、排出から数日を経過し、廃液が
アルカリの方向へ変化し始めた場合は、乳酸による殺菌
とクエン酸や酢酸等の有機酸によりpHを 3.0〜 5.0、好
ましくは3.0〜 4.5に腐敗化を防止した後に前述の微生
物を培養する。
【0014】培養中は、密閉無通気で処理すれば、通
常、pHは 3.0〜 5.0の範囲内に保持されるが、アルカリ
方向に変化し始めた場合は前述と同様にpHの調整を行
う。また、廃液の種類によって栄養的に片よりがある場
合は果汁廃糖蜜及び/又は糖蜜や魚粉等の有機栄養を加
えることが好ましい。本発明において、処理温度は好ま
しくは25〜45℃である。処理温度が25℃未満であると効
率が低くなり、45℃を超えると変質しやすくなる。
【0015】前述のように処理することによりpHの急激
なアルカリ化が防止され、微生物相の安定化が容易とな
る。本発明の処理法によって得られた処理物(培養液)
を植物の葉面に散布すると、植物の保護組織であるワッ
クス層が厚くなり、病害を著しく軽減させるとともに、
光合成能力も30%以上に増加するのみならずダニやカイ
ガラムシ、アオムシ等に対しても直接的な殺虫効果が認
められる。
【0016】
【実施例】以下、実施例及び試験例により本発明を更に
詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定される
ものではない。
【0017】
【実施例1】アルコール製造廃液(ビニヨット)1Lに
オレンジ果汁廃糖蜜50g、糖蜜50g、30度のエタノール
50ml及び5%酢酸水溶液50mlを混和し(このときのpHは
3.0〜3.5である)、この液に放線菌に属するものとし
て、Streptomycessp. (ATCC3004)、Streptoverticilliu
m sp. (ATCC 23654)、Nocardia sp. (ATCC 19247)、Mic
romonospora sp. (ATCC 12452) ;光合成細菌に属する
ものとして、Rhodopseudomonas sp. (R.sphearoides)、
Rhodospirillum sp. (R.fulum)、Chromatiumsp. (C.oke
nii) ;糸状菌に属するものとして、Aspergillus sp.
(RIFY 5770、RIFY 5024)、Mucor sp. (IFO 8567);及び
酵母に属するものとして、Saccharomyces sp. (NRRL 13
46、Y 977)、Candida sp. (C. utilis) を加え、25〜35
℃の温度条件下でガス発生が終わるまで密閉無通気培養
を行い、pHが 3.0〜 4.0の範囲内で安定した時に培養を
完了させた。
【0018】以上のようにして得られた培養液を水で10
00倍に希釈し、キャベツに葉面散布を3回行った。結果
を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】〔試験例1〕12年生の早生温州ミカンに実
施例1で得た培養液を水で1000倍に希釈して毎月1回、
計12回散布した結果、表2に示す成果が認められた。
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、アルコール製造廃液の
有効利用が可能となる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコール製造廃液に有機酸及びアルコ
    ールを加え、密閉無通気でpH3.0〜5.0の範囲内で、スト
    レプトミセスsp.(ATCC 3004)、ストレプトバーティシ
    リウムsp.(ATCC 23654)、ノカルディアsp.(ATCC 192
    47)、ミクロモノスポラsp.(ATCC 12452)、ロドシュ
    ードモナス・スファエロイデス、ロドスピリルム・フル
    ム、クロマチウム・オケニイ、アスペルギルスsp.(IFO
    5770)、ムコルsp.(IFO 8567)、サッカロミセスsp.
    IFO 1346)、及びカンジダ・ウチリスを含む微生物群
    を用いて、処理することを特徴とするアルコール製造廃
    液の処理法。
  2. 【請求項2】 更に、果汁廃糖蜜及び/又は糖蜜を加え
    て処理を行う請求項1記載の処理法。
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