JP3459877B2 - 培 地 - Google Patents

培 地

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、請求項1の上位概念部分に記載
の構成を有する、唾液中のあるいはプラーク中のストレ
プトコクス・ミュータンスの検出のための培地(培養
基)に関し、同様に請求項20の上位概念部分に記載の
構成を有する分析セットにも関する。
【0002】予防歯科の分野では、唾液あるいは歯のプ
ラークにおいてストレプトコクス・ミュータンスの存在
を検査すること及びそれらの定量的な濃度を決定するこ
とが知られている。そのような定性的な及び定量的な検
出を実行するために、所定の量の唾液あるいは歯からか
き取られた量のプラークが培地に塗布される。その際、
このケースでは、周知のミティス・サリバリウス・アガ
ール(mitis salivarius agar)がしばしば使用される。
【0003】診断の確立のために、特に虫歯発生の危険
を評価するために、唾液中及び(あるいは)プラーク中
の乳酸桿菌(lactobacillus)の濃度を測定することが必
要である。この場合にも、培地が使用される。唾液、プ
ラークそれぞれのサンプルは、ストレプトコクス・ミュ
ータンスの検出に関して上述されてもいるように、ロゴ
サ・アガール(rogosa agar)を基礎とするこの培地に塗
布される。その結果、培養された培地が、相応の時間の
培養の後に定量的な及び定性的な基準で視覚的に評価さ
れ得る。このために使用される、普通のロゴサ・アガー
ルを基礎とする培地は、下記の組成をもつ: アガール・アガール(寒天) 19g トリプトン 10g 酵母エキス 5g グルコース 20g 燐酸水素カリウム 6g クエン酸水素アンモニウム 2g 硫酸マンガン(II)一水和物 0.1g 硫酸鉄(II)七水和物 0.03g トゥイーン80 1g
【0004】使用準備のできたロゴサ培地(rogosa cult
ure medium)の製造のために、上に示された成分が1リ
ットルの水に加えられる。欠点のない診断の確立のため
に、特に、虫歯発生の危険を回避するための具体的なス
テップを定義するために、さらに、唾液の緩衝能力を測
ることが必要である。今日利用できる分析セットでは、
この緩衝能力は、指示薬(インジケーター)に浸された
テスト・ストリップに唾液をふりかけることによって測
られる。そのとき、テスト・ストリップの必要な色変化
は、約二分の露光時間ののちに視覚的に決定される。し
かしながら、この場合、このために使用されるテスト・
ストリップは、pH値として定義される緩衝能力のあら
い測定しか許さない。その結果、緩衝能力の測定は確実
なものではなく、対応するユーザーの技量に依存する。
【0005】本発明は、ストレプトコクス・ミュータン
スの濃度についてのより信頼できる表出を可能にする、
上述の種類の培地を提供するという課題をもつ。
【0006】前記課題は、請求項1の特徴とする構成を
有する培地によって達成される。唾液中及び(あるい
は)プラーク中のストレプトコクス・ミュータンスの検
出の本発明に係る培地は、本発明に係る培地が一つのア
ガールに加えて少なくとも一つの糖類を含有することを
規定する。その際、当該アガール対当該少なくとも一つ
の糖類の質量比は、1:3.89と1:12との間で変
わる。言い換えれば、上述の本発明に係る培地は、本発
明に係る培地が上記の質量比で少なくとも一つの糖類を
含むという点で、周知の培地と異なる。
【0007】本発明に係る培地がストレプトコクス・ミ
ュータンスに関して高い選択性を示すことが驚くほど顕
著であった。ストレプトコクス・ミュータンスについて
のこの高い選択性は、商取引される普通の培地と対照的
に本発明に係る培地が付加的に糖類を含むという事実に
帰する。普通の培地と比較して、本発明に係る培地のこ
の改良された選択性が、本発明に係る培地がストレプト
コクス・ミュータンスのかなり高い細菌収量を示すこと
(これは、55人の子供の135の唾液分離物によって
裏付けられた)に現れている。この追加の糖添加は、本
発明に係る培地からの使用準備のできた培地の用意を妨
げない。その際、簡単且つ迅速な用意のために、本発明
に係る乾燥した培地が単に必要な量の水中に受け入れら
れるだけである。
【0008】本発明に係る培地は特に簡単な方法でも製
造され得る。なぜなら、このために、適当なアガールを
必要な量の糖と混合することだけしか必要ないからであ
る。その際、当該アガールと当該糖との混合は、使用準
備のできた培地の製造の間(当該アガール及び当該糖が
水を吸収する間を意味する)だけでなく、乾燥したアガ
ールを少なくとも一つの糖類と混合することによっても
実行され得る。
【0009】本発明に係る培地の第一の実施形態は、そ
の際アガール対少なくとも一つの糖類の質量比が1:
3.89と1:4.25との間にあることを規定する。
この場合、本発明に係る培地のこの好ましい実施形態が
特に簡単且つ迅速な方法で水を吸収することが特筆され
る。その結果、使用準備のできた培地が対応して簡単且
つ迅速に製造され得る。
【0010】ストレプトコクス・ミュータンスの検出の
ための非常に高い選択性を示す本発明に係る培地の別の
実施形態は、この際、アガール対少なくとも一つの糖類
の質量比が1:5.1と1:10との間で変わることを
規定する。本発明に係る培地のこの実施形態は非常に高
い糖濃度を持っているが、人の唾液あるいはプラークか
ら抽出されたストレプトコクス・ミュータンスがそのよ
うな方法で糖類と混合された培地で完全に且つ選択的に
成長することが意外にも示された。
【0011】アガール(agar)という用語は、本明細書で
は、以下で特別なアガールが言及されないかぎりは、こ
の用語が特に紅藻(red seaweed)から抽出されて乾燥さ
せられた粘質物(mucilage)だけでなく高分子のガラクト
シド(highly molecular galactosides)、特にガラクト
ース・サルフェイト・エステル(galaktose-sulphate es
ters)の塩をも意味するものとして使われている。
【0012】本発明に係る培地に含有されている糖類に
関しては、この糖類が単糖(monosaccharide)及び(ある
いは)単糖誘導体であってよいことに特に言及してお
く。しかしながら、本発明に係る培地が糖類として二糖
(disaccharide)、特に蔗糖(スクロース、sucrose)及
び(あるいは)蔗糖誘導体を含むことが好ましい。
【0013】対応する応用分野に依存して、本発明に係
る培地は、最も簡単なケースでは、言及された質量比で
普通のアガールと上述の糖類とだけからなる。そのとき
そのような実施形態が熟練した特別のスタッフによって
例えば対応する病院にて使用されるならば、本発明に係
る培地が相応の量の水を吸収することが必要なだけであ
る。その結果、そのとき相応の皿、例えばペトリ皿がこ
の使用準備のできたゲル様の培地で満たされ得る。唾
液、プラークそれぞれでの培養の後に及び続いての培養
の後に、唾液中あるいはプラーク中で培養されたストレ
プトコクス・ミュータンスと付加的に且つ結果的に培養
されたストレプトコクス・ミュータンス、特にストレプ
トコクス・パラサンギス(streptococcus parasanguis)
及びストレプトコクス・サリバリウス(streptococcus s
alivarius)とを確実に且つ再現可能に識別するために、
微生物学の検査においてふつうである希釈シリーズ(dil
ution series)を実行することが勧められる。その際、
唾液、プラークそれぞれが、生理食塩水によって、前述
のストレプトコクス(連鎖球菌)の及び乳酸桿菌、放線
菌類(actinomycetes)、ブドウ球菌(staphylococcus)あ
るいはグラム陰性菌(gram-negative bacteria)の成長の
明白な且つ効果的な抑制を引き起こすそのオリジナルの
濃度の10分の一から1000分の一に希釈される。こ
れは再び、ストレプトコクス・ミュータンスの特に信頼
できる且つ再現可能な検出と視覚的な定量化を導く。
【0014】結果の反証を示すことなしに上述の希釈シ
リーズについて放棄され得るストレプトコクス・ミュー
タンスの特に簡単な且つ信頼できる検出は、これによっ
て、アガール及び少なくとも一つの糖類に加えて少なく
とも一つのペプチド抗生物質コンプレックス(peptide a
ntibiotic complex)を含む本発明に係る培地が使用され
ていることを規定する。その際、このペプチド抗生物質
コンプレックスの濃度は、アガール及び添加された糖類
のトータル重量に相対的に0.001重量%と0.00
05重量%との間で変わる。
【0015】本発明に係る培地の上述の実施形態は、特
にペプチド抗生物質コンプレックスとして商取引されて
いるバシトラシンを含む。本発明に係る培地のこの実施
形態から使用準備のできた培地を製造するために、少な
くとも一つの糖類とバシトラシンとを含有するアガール
が必要な量の水を吸収することだけが必要である。その
ときそのような使用準備のできた本発明に係る培地が混
ざったフローラ(flora)の成長、特にストレプトコクス
・サリバリウス及び(あるいは)ストレプトコクス・パ
ラサンギスの成長を、統計的に重要な方法でストレプト
コクス・ミュータンスの収量を減ずることなしに効果的
に抑制することが特に顕著であった。従って、ストレプ
トコクス・ミュータンスに加えて別のストレプトコクス
・タイプも含むそのような唾液サンプルあるいはプラー
クサンプルに関して、本発明に係る培地のこの実施形態
が簡単に且つ効果的にストレプトコクス・ミュータンス
と別のストレプトコクスあるいは上述の別の微生物とを
識別することを可能にする。
【0016】特に本発明に係る培地に使用されるとりわ
け適したアガールは、すでにはじめに述べたミティス・
サリバリウス・アガールである。
【0017】ここで、商取引されておりAugsburgのDIFC
O社によって売られているような代表的なミティス・サ
リバリウス・アガールは下記の組成をもつ: バクト・トリプトース 8g〜12g 特に10g プロテオース・ペプトン no.3 3g〜7g 特に5g プロテオース・ペプトン 3g〜7g 特に5g バクト・デキストロース 0.5g〜1.5g 特に1g バクト・スクロース 30g〜60g 特に50g 燐酸水素カリウム 3g〜5g 特に4g 色素、特にトリパン・ブルー 0.05g〜0.09g 特に0.075g 色素、特にバクト・クリスタル・バイオレット 0.0006g〜0.0001g 特に0.008g バクト・アガール 13g〜17g 特に15g 使用準備のできた培地を製造するために、上述の成分が
1リットルの水に入れてかき混ぜられる。
【0018】特に本発明に係る培地の使用を容易にする
ために、本発明に係る培地の別の実施形態は、当該培地
が不活性サポート(ディップスライド;固体キャリア)
の一方のサイドに施与されることを規定する。唾液中の
ストレプトコクス・ミュータンスの検出のために、不活
性サポート、特にプラスチック・サポートに施与された
無菌にパックされた培地を無菌パック(sterile packin
g)からはずし、検査されるべき唾液サンプルあるいはプ
ラークサンプルをこの培地に付加することだけが必要で
ある。その結果、相応のストレプトコクス・ミュータン
ス濃度が相応の無菌培養の後に検出され得る。
【0019】すでに繰り返し述べたように、使用準備の
できた培地は、本発明に係る培地から容易に且つ迅速に
製造され得る。そのような使用準備のできた培地は、好
ましくはゲル様のコンシステンシーをもつ。その際、ゲ
ル様のコンシステンシーを生じるために、水が培地に加
えられ得る。ゲル様のコンシステンシーを生み出すため
に、少なくとも一つの糖類と必要ならばペプチド抗生物
質コンプレックス、好ましくはバシトラシンとを含有す
る、アガール、好ましくはミティス・サリバリウス・ア
ガールを含む乾燥した本発明に係る培地が、単に水中に
おかれる。そのとき、所望のゲル様のコンシステンシー
は、加えられる水の量を変えることによって調節され得
る。
【0020】使用準備のできた培地のそのようなゲル様
の構成は、好ましくは、70gと150gとの間のアガ
ール、ペプチド抗生物質ミティス・サリバリウス・アガ
ール、42gと1.8000gとの間の少なくとも一つ
の糖類を含み、ゲル様のコンシステンシーを作るために
必要とされる量の水、好ましくは888gと100gと
の間の水を含む。ゲル様の且つ使用準備のできた培地に
加えて、上述のペプチド抗生物質コンプレックス、好ま
しくはバシトラシンが付加されるべきであるならば、そ
のとき、このペプチド抗生物質コンプレックスの量、好
ましくはバシトラシンの量は、それぞれ前記の少なくと
も一つの糖類及びアガール、特にミティス・サリバリウ
ス・アガールのトータル量に相対的に、1.4mgと12
mgとの間で変化する。
【0021】培地が不活性サポートに施与されている本
発明に係る培地の前述の及び以下に記載の実施形態に関
して培養されたストレプトコクス・ミュータンスの測定
精度を助成するために、本発明に係る培地の別の構成
は、この場合に不活性サポートが暗い色、好ましくは染
黒(dyed black)で染められること、あるいは相応の暗い
プラスチック材料からなることを規定する。
【0022】同時にストレプトコクス・ミュータンスの
及び乳酸桿菌あるいは酵母菌の検出に適している本発明
に係る培地の別の実施形態は、アガール、特にミティス
・サリバリウス・アガールに加えて少なくとも一つの糖
類及び必要な場合にはペプチド抗生物質コンプレックス
を含む本発明に係る培地が不活性サポート、好ましくは
プラスチック・サポートの一方のサイドに施与され、一
方で不活性サポートの別のサイドに唾液中及び(あるい
は)プラーク中の乳酸桿菌の検出のための別の培地ある
いは唾液中及び(あるいは)プラーク中の酵母菌の検出
のための別の培地が置かれていることを規定する。これ
によって本発明に係る培地のそのような実施形態は、虫
歯予防のために必要とされる唾液中の及び(あるいは)
プラーク中のストレプトコクス・ミュータンス及び乳酸
桿菌の濃度、あるいはストレプトコクス・ミュータンス
及び酵母菌の濃度が唯一つのテストで同時に測定され得
ることを許す。その結果、本発明に係る培地のそのよう
な構成は、特に歯科医の診療における迅速且つ確実な診
断のためにも使用され得る。
【0023】乳酸桿菌がストレプトコクス・ミュータン
スと同時に測定され得る本発明に係る培地の上述の構成
では、別の培地としてロゴサ・アガールを基礎とする培
地が選択される。そのとき、そのような培地は、はじめ
に述べたような化学的な構造をもつ。
【0024】本発明に係る培地の上述の実施形態の特に
有利な形態では、当該別の培地が普通のロゴサ・アガー
ルに加えてあるいは酵母菌の検出のための培地に加えて
少なくとも一つの糖類を含む。この少なくとも一つの糖
類は、好ましくは、グルコース、蔗糖(スクロース)、
及び(あるいは)それぞれグルコース誘導体、蔗糖誘導
体である。特に当該別の培地がロゴサ・アガールを含有
する、あるいは酵母菌の検出のための培地及び少なくと
も一つの糖類を1:0.2と1:6との間の質量比で含
有するならば、そのような部分変更された別の培地は、
それぞれ乳酸桿菌、酵母菌の高い選択性及び収量を示
す。その結果、この実施形態は、唾液中の及び(あるい
は)プラーク中のそれぞれ乳酸桿菌、酵母菌の正確な且
つ再現可能な、定性的及び定量的な測定を許す。
【0025】前述の実施形態において不活性サポートの
一方のサイドがストレプトコクス・ミュータンスの検出
のための培地を施与されており、不活性サポートの別の
サイドが唾液中の及び(あるいは)プラーク中の酵母菌
の検出のための培地を施与されているならば、本発明に
係る培地のこの実施形態は、特に四歳以下の子供たちの
ために、好ましくはしかしながら三歳より下の年齢のた
めに、ストレプトコクス・ミュータンスに加えて、これ
らの子供たちの唾液中のあるいはプラーク中の酵母菌の
結果として生じる存在の特に容易な且つ同時の測定を許
す。特にひどく虫歯になっている、とりわけ哺乳瓶症候
群(the nursing bottle syndrome)にかかっている子供
たちの場合には、酵母菌が重要なインジケータ細菌(ind
icator germs)であることが示された。これによって、
下記の組成をもつ酵母菌の検出のための培地が使用され
ることが好ましい: クロモペプトン(chromopeptone) 8g〜12g グルコース(glucose) 15g〜25g クロラムフェニコール(chloramphenicol) 0.3g〜0.7g 色素混合物(色素原ミックス(chromogen mix)) 1.5g〜2.5g アガール(agar) 10g〜20g
【0026】商品名“BL CHROMagar Candida”(製造
者:Becton Dickinson GmbH, Heidelberg)で売られる
アガールが酵母菌の検出のために特に適している。酵母
菌の検出のための使用準備のできた培地を製造するため
に、上に示された成分が1リットルの純水(脱イオン
水)中におかれる。その結果、ゲル様の培地が生み出さ
れ、望まれるならば、述べられた濃度範囲のそれ以上の
量の糖類がそれに加えられ得る。
【0027】一方のサイドに本発明に係る培地を施与さ
れ、別のサイドに前記別の培地を施与された不活性サポ
ートの使用を容易にするために、本発明に係る培地の別
の構成は、前記別の培地がゲル様のコンシステンシーを
もつことを規定する。その際、当該ゲルは70gと25
0gとの間の前記別の培地及び930gと750gとの
間の水を含有する。
【0028】それぞれの歯科医の診療において使用され
得る本発明に係る培地の上述の実施形態の特に適当な且
つ有利な構成は、一方のサイドに少なくとも一つの糖類
とペプチド抗生物質コンプレックス、特にバシトラシン
とを含有しているアガール、好ましくはミティス・サリ
バリウス・アガールを基礎とするゲル様の培地を施与さ
れており、別のサイドに上述のロゴサ・アガールを基礎
とするゲル様の別の培地あるいは酵母菌の検出のための
培地を施与されている不活性サポートがガスを通さない
ようにロック可能な保管容器内に配されるべきことを規
定する。当該ガスを通さないようにロック可能な保管容
器は、無菌の保管のために及びこの実施形態の本発明に
係る培地の移送のために利用できて、また同時に、それ
ぞれ相応の唾液サンプル、プラークサンプルを両方の培
地に付加したのちに、そのように処理された培地が保管
容器内で培養され得ることを保証する。その際、CO2
放出タブレット、好ましくはそれぞれ炭酸アルカリ(alk
ali carbonate)タブレット、炭酸水素アルカリ(alkali
hydrogencarbonate)タブレットが、特に培養中に、当該
保管容器内に配されるとよい。このCO2放出タブレッ
トは、培養時間の間、相応のCO雰囲気がガスを通さ
ないようにロック可能な保管容器内で調節されるという
事実をもたらす。それによって、一方では、ストレプト
コクス・ミュータンス及びそれぞれ乳酸桿菌、酵母菌の
ための本発明に係る培地の選択性が増大し、他方では、
望ましくない副次的な反応(side reactions)が排除され
る。そのような実施形態は、歯科医の診療におけるスト
レプトコクス・ミュータンスとそれぞれ乳酸桿菌、酵母
菌との同時の検出のために完全に適している。そのと
き、本発明に係る培地のこの構成は、これらの微生物に
関して再現可能な且つ定量化された測定を許す。
【0029】本発明は、さらに、診断の簡単な確立のた
めの、特に虫歯発生の危険を見積もるための分析セット
に関する。この課題は、本発明により、請求項20の特
徴とする構成をもつ分析セットによって実現される。
【0030】本発明に係る分析セットは、不活性サポー
トの一方のサイドに配されているストレプトコクス・ミ
ュータンスの検出のための上述の種類の培地を含む。そ
れに反して、不活性サポートの別の側は、乳酸桿菌の検
出のための上述のロゴサ・アガールを基礎とする別の培
地で、あるいは酵母菌の検出の培地で覆われている。
【0031】本発明に係る分析セットの一つの構成で
は、好ましくは、当該分析セットが、酸で、好ましくは
0.005n塩酸(hydrochloric acid)を詰められた少
なくとも一つのカーピュールと少なくとも一つのカニュ
ーレとを備えているとよい。
【0032】本発明に係る分析セットは一連の利点を示
す。まず第一に、前述の本発明に係る分析セットが唾液
中の及び(あるいは)プラーク中のストレプトコクス・
ミュータンスとそれぞれ乳酸桿菌、酵母菌の正確な定性
的な及び定量的な測定だけでなく同時の測定も許すこと
が特に言及される。それに加えて、本発明に係る分析セ
ットの上述の構成は、唾液の緩衝能力の測定を可能にし
得る。これは、酸を、好ましくは0.005n塩酸を詰
められたカーピュール中に所定の量の唾液を吸収するこ
とによって達成される。その結果、唾液を当該酸と混合
した後、この液体混合物のpH値が容易に測定され得
る。その際、pH値は、サンプルの緩衝能力の定量的な
表示である。
【0033】酸を詰められたカーピュール内に唾液を吸
収するために、本発明に係る分析セットのカーピュール
は、普通の医療用注射器に適合させられている。当該分
析セットに含まれるカニューレは、当該注射器に取り付
けられる。それにより、注射器により注射器ピストンを
所定のマークまであるいは所定のストッパーまで引き戻
すことによって、カーピュールが、それぞれ所定量の唾
液サンプル、プラーク懸濁液で満たされる。サンプルを
酸と混ぜた後に、色変化を分析することによって見積も
りが実現され得る。ストレプトコクス・ミュータンス、
乳酸桿菌、あるいは酵母菌の濃度の測定及び結局、緩衝
能力の測定の後に、本発明に係る分析セットは容易に廃
棄され得る。
【0034】前述の本発明に係る分析セットの別の構成
は、当該分析セットが少なくとも一つのCO2放出タブ
レットを含むことを規定する。CO2放出タブレット
は、本質的に、ストレプトコクス・ミュータンスの検出
のための培地と、それぞれ乳酸桿菌の検出のための、酵
母菌の検出のための別の培地とを培養した後に、それら
二つの培地で覆われた不活性サポートがガスを通さない
ロック可能な保管容器に保管され、その際、CO2放出
タブレットが、培養のあいだ、このガスを通さない保管
容器内に配置されることをもたらす。このCO2放出タ
ブレットは、ガスを通さない保管容器が、培養中、相応
のCO雰囲気にセットされ、その結果一方ではストレ
プトコクス・ミュータンス及び乳酸桿菌の検出について
の選択性が相応に増大すること、他方では望ましくない
副次的な反応がCO雰囲気の故に排除されることをも
たらす。
【0035】本発明に係る分析セットの別の構成では、
当該分析セットは、少なくとも一つのパラフィン片及び
(あるいは)pH値インジケータを備える。このパラフ
ィン片は、それぞれ唾液、プラークがストレプトコクス
・ミュータンスとそれぞれ乳酸桿菌、酵母菌との存在に
関して検査されるべき相応の患者がこのパラフィン片を
相応の検査の実施前の所定の時間の間噛み、それによっ
て唾液分泌を活発にすることを満たすために用いられ
る。一方、pH値インジケータは、あとで述べるよう
に、唾液のpH値の測定のために用いられる。
【0036】本発明に係る分析セットの前述の実施形態
における唾液の緩衝能力の測定をさらに簡単にするため
に、本発明に係る分析セットの別の構成は、その際カー
ピュールが、特に所定の量及び濃度でカーピュールに含
有されている酸に加えて、インジケータ、特に液体イン
ジケータも含んでいることを規定する。これによって、
カーピュールへのそれぞれ唾液サンプル、プラーク懸濁
液の充填の後の色変化の解明によって唾液サンプルの緩
衝能力を直接定めることが可能にされる。それによっ
て、緩衝能力の測定の確実性及び再現性がさらに改善さ
れる。
【0037】例えば液体インジケータのようなpH値イ
ンジケータ、固体インジケータ、及び(あるいは)イン
ジケータ・ストリップをもつ分析セットを与えてもよ
い。その結果、緩衝された唾液(buffered saliva)がそ
の後のそのpH値の決定のためにカーピュールから取り
出され得る。
【0038】上述のインジケータは、好ましくは、液体
ユニバーサル・インジケータである。この液体ユニバー
サル・インジケータは、pH4とpH10との間のpH
値表示範囲をもつ。それぞれ唾液の、またプラーク懸濁
液の緩衝能力の視覚的な定義を容易にするために、分析
セットがカラー・スケールを含んでいることが特に有利
である。その結果、対応するサンプルの緩衝能力は、唾
液で満たされ且つユニバーサル・インジケータも前述の
酸も含んでいるカーピュールの獲得された色産出物(col
or yield)とカラー・スケールとの視覚的な比較によっ
て特に容易に且つ迅速に決定され得る。
【0039】本発明に係る分析セットの別の有利な構成
は、当該分析セットが、不活性サポートに配置され得る
少なくとも一つのマスクを含んでいることを規定する。
その結果、このマスクによって、不活性サポートの一方
のサイドに配置され且つ部分変更されたアガール、特に
ミティス・サリバリウス・アガールを基礎とする培地及
び(あるいは)不活性サポートの別のサイドに配置され
且つロゴサ・アガールを基礎とする別の培地、または酵
母菌の検出のための別の培地が個々の区画に分割され得
る。従って、本発明に係る分析セットのこの実施形態
は、一方の培地あるいは両方の培地を随意に個々の区画
に分割することを可能にする。その結果、各口腔領域あ
るいは特に歯の領域が、ストレプトコクス・ミュータン
スと乳酸桿菌あるいは酵母菌とについて一つのテストで
明確に検査され得る。このためには、それぞれ口腔領
域、特定の歯から取られたこのサンプルを相応に分割さ
れた培地の区画に施与することだけが必要である。その
結果、培養の後に、微生物学的なコンディションがスト
レプトコクス・ミュータンス及び(あるいは)乳酸桿菌
のそれらの濃度に関してあるいはストレプトコクス・ミ
ュータンス及び(あるいは)酵母菌のそれらの濃度に関
して、容易に定められ得る。このマスクは、好ましく
は、記入部分(inscription part)を与えられる。その結
果、獲得された値をそれぞれ特別な口腔領域、歯領域へ
結び付けることが確実に実行され得る。
【0040】本発明に係る分析セットの別の実施形態で
は、この分析セットは、さらに、唾液を取るための目盛
りをつけられた容器を備えている。これによって、唾液
の検査の間に別のパラメータを測定することが可能にさ
れる。その際、このパラメータは、所定の時間の間上述
のパラフィン片を噛むことによって患者によって生み出
された唾液体積である。
【0041】本発明に係る分析セットの別の有利な構成
は、当該分析セットがさらに使い捨て注射器を備えてい
ることを規定する。この使い捨て注射器は、酸、好まし
くは0.005n塩酸とユニバーサル・インジケータと
を詰められたカーピュール中に唾液あるいはプラーク懸
濁液を注入するのに役立つ。その際、注入される唾液の
量は、その使い捨て注射器においてあるいは特に有利に
はカーピュールに設けられたマーク(そのマークまでグ
ライディング・プラグが貫通可能な膜と軸方向に逆方向
に移動させられる)によって随意に決定され得る。分析
セットのこの実施形態は、本発明に係る分析セットのそ
れぞれのユーザーがこの分析セット中に唾液の緩衝能力
の測定のために必要とされる全ての器具を見出すことを
保証する。その結果、相応の分析が、特に簡単且つ迅速
に、従って非常に経済的に実行され得る。
【0042】培地が、また前述の別の培地が不活性サポ
ートのそれぞれ一方のサイドに施与される本発明に係る
培地の前述の実施形態は、一方ではストレプトコクス・
ミュータンスの検出のために、他方では乳酸桿菌あるい
は酵母菌の検出のために特に簡単に、迅速に、且つ再現
可能に使用され得る。この検出手段では、まず第一に、
唾液サンプルあるいはプラークサンプルが患者から取ら
れ、ストレプトコクス・ミュータンスの検出のための培
地にもそれぞれ乳酸桿菌、酵母菌の検出のための別の培
地にも施与される。それによって唾液サンプルを与えら
れたそれらの培地が、それから、好ましくは、適当なイ
ンキュベータ中の結局はすでにCO雰囲気で満たされ
ているガスを通さないロック可能な容器に渡される。そ
れから、対応する保管容器が37℃±4℃の温度で好ま
しくは24時間と48時間との間の所定の培養時間、培
養される。
【0043】培養時間の終了後、不活性サポートの一方
のサイドに配された第一の培地で培養されたストレプト
コクス・ミュータンスの視覚的な評価及び定量化も不活
性サポートの別のサイドに配された別の培地で培養され
たそれぞれ乳酸桿菌、酵母菌の視覚的な評価及び定量化
も行われる。そのとき、相応の基準との視覚による比較
によって、それぞれストレプトコクス・ミュータンス及
び乳酸桿菌の濃度、またストレプトコクス・ミュータン
ス及び酵母菌の濃度が、微生物学において通例であるよ
うに、定量化され得る。
【0044】本発明に係る培地及び分析セットの有利な
構成は、従属項に示されている。次に、本発明に係る培
地及び本発明に係る分析セットを、図面に関連して一つ
の例に基づいて説明する。図1は、分析セットの実施形
態を図式的に、部分的に斜視図で示している。図2は、
図1における線A−Bによる断面図で培地を示してい
る。その際、当該培地は、図1に示す分析セットに含ま
れ、且つ不活性サポート上に配置される。図3は、図1
に示されたマスクの拡大された平面図である。図4は、
サポート上に配置されている培地の図を示している。そ
の際、この図は図2と比較され得る。培地は図3に示さ
れたマスクをもっている。図5は、カーピュール(carpu
le)の断面図である。
【0045】図1〜図5では同一の部分が一致した番号
を付されている。図1に示すように、分析セット1は、
まず第一に、相応の数のカニューレ(cannula)2をもっ
ている。その際、図1に示された実施形態は、例示的に
三つのカニューレを示している。分析セット1は、さら
に、カニューレ2の数に対応する数のカーピュール(car
pule)8をもっている。その際、図2には、唯一つのカ
ーピュール8が単に例示的に示されている。このカーピ
ュール8のより詳細な構造は、あとに図5によって説明
される。
【0046】カーピュール8とカニューレ2とに加え
て、さらに分析セットは、培地(培養基)でおおわれた
相応の数の不活性プラスチックサポート(inert plastic
support)3aをもっている。その際、培地3でおおわ
れたこれらのプラスチックサポート3aは、図2及び図
4においてより詳細に説明される。分析セットは、図1
において図式的に示されているマスク4ももっている。
マスク4は、図3に関連してより詳細に記述される。分
析セット1は、さらに、カニューレ2の数に対応する数
のパラフィンブロック5をもっており、プラスチックサ
ポート3aの数に対応する数のCO2放出タブレット(C
O2 releasing tablet)7をもっている。図1では一つの
パラフィンブロック5及び一つのCO2放出タブレット
7だけが例示的に示されている。さらに分析セット1
は、カラースケール6をもっている。
【0047】図2及び図4の断面図に最善に示されてい
るように、各々の不活性プラスチックサポート3aは、
グリップ部13をもっている。皿形状領域14は、グリ
ップ部13の両方のサイドに直接結びつけられている。
これによって皿形状領域14がリッジ様側壁部15をも
っている。フロントサイド・リッジ部15だけが図2及
び図4に示されている。
【0048】皿形状領域14は、図2及び図4において
それぞれ16、17を付されている培地3を受けるのに
役立つ。その際、培地のうちの一方16または17は前
述のミティス・サリバリウス・アガール(mitis salivar
ius agar)であり、他方の培地17または16は前述の
ロゴサ・アガール(rogosa agar)であるか、あるいは酵
母菌(yeast fungus)の検出のための培地である。不活性
プラスチックサポート3aは、ガスを通さないロック可
能な保管容器(storage vessel)18内に配置されてい
る。その際、保管容器18は、グリップ部13によって
ふさがれている。
【0049】確かに、内部のグリップ部(interior grip
section)13が皿形状領域14と接続される方法で、
不活性プラスチックサポート3aを形成することが可能
である。その結果、プラスチックサポート3a全体が保
管容器18内に配置され、対応してスクリューキャップ
でふさがれる。しかしながら、この実施形態は、図2及
び図4には示されていない。
【0050】皿形状領域14上に配置されており且つ変
性(部分修正)されたミティス・サリバリウス・アガー
ルを基礎とする培地が、次のごとく製造されるような培
地16である。まず第一に、例えばDIFCOから購入でき
るミティス・サリバリウス・アガールが選ばれる。その
際、この購入できるミティス・サリバリウス・アガール
は下記の成分を含有している: バクト・トリプトース(bacto tryptose) 20g プロテオース・ペプトンno.3 10g プロテオース・ペプトン(proteose peptone) 10g バクト・デキストロース(bacto dextrose) 2g バクト・スクロース(bacto sucrose) 100g 燐酸水素カリウム(potassium hydrogenphosphate) 8g トリパン・ブルー(trypan blue) 0.15g バクト・クリスタル・バイオレット(bacto crystal violet) 0.0016g バクト・アガール(bacto agar) 30g
【0051】360gの蔗糖(Merck 1.07651)と3mgの
バシトラシン(Sigmar V-0125)とが、この乾燥培地の第
一の半分(以下では培地Iと呼ばれる)に添加される。
また、600gの蔗糖(Merck 1.07651)と5mgのバシト
ラシン(Sigmar b-0125)とが乾燥培地の第二の半分(以
下では培地IIと呼ばれる)に添加される。その後、培
地I及びIIが混合される。それから、培地I及びII
が、1リットルの使用準備のできた(ready-to-apply)培
地I及びIIの形成のもとで、純水(deionized water)
に溶かされる。このあと当該水が沸騰させられる。それ
から、培地が121℃で15分間殺菌される。さまされ
た後に、ゲル状の培地が、ブラックプラスチックサポー
トである不活性プラスチックサポート3aに施与され
る。
【0052】培地Iは、そのとき、ミティス・サリバリ
ウス・アガール対添加された蔗糖の比1:3.996を
もつ。一方、培地IIは、ミティス・サリバリウス・ア
ガール対添加された蔗糖の比1:6.661をもつ。
【0053】培地17の製造のためには、普通のロゴサ
・アガールが出発材料として用いられる。その際、対応
するロゴサ・アガールは、すでに上に示された下記の組
成をもつ: アガール・アガール(agar agar) 19g トリプトン(tryptone) 10g 酵母エキス(yeast extract) 5g グルコース(glucose) 20g 燐酸水素カリウム 6g クエン酸水素アンモニウム(ammonium hydrogencitrate) 2g 硫酸マンガン(II)一水和物(manganese-II-sulphate 1-hydrate) 0.1g 硫酸鉄(II)七水和物(iron-II-sulphate 7-hydrate) 0.03g トゥイーン(tween)80 1g
【0054】このロゴサ・アガールは、1.32mlの氷
酢酸(glacial acetic acid)の添加の後に1リットルの
水に溶かされる。ロゴサ・アガールを溶かした後に、1
リットルのゲル状からペースト状までの組成(a gel-lik
e to pasty composition)がうみだされる。これが不活
性プラスチックサポート3aの皿形状領域14に施与さ
れ、そこに付着する。
【0055】図3は、マスク4の拡大された図式的な図
である。マスク4は、リッジ(ridge)の間の長方形の自
由空間25が形成される方法で形成される。四つのその
ような自由空間25が例示的に図3に示されている。
【0056】それらの下部側には、縦のリッジ24aに
横ざまに延びるリッジがくさび形状のカッター28(図
4)をもつ。その際、培地16について図4に示されて
いるように、これらのくさび形状のカッター28は、領
域26への培地の分割をもたらす。マスク4を不活性プ
ラスチックサポートに固定させるために、マスク4はリ
ッジ様側壁部15とかみ合い得る相応のクランプ部29
をもつ。
【0057】図5には、カーピュール8が図式的に示さ
れている。カーピュール8は、その先端側に貫通可能な
膜(piercable membrane)31をもっており、その底部側
にピストン32をもっている。ピストン32は、軸方向
に矢印33の方向へ及びその逆に移動させられ得る(図
5)。0.005nの塩酸とユニバーサル・インジケー
タの溶液とがカーピュール8の内部空間30内におかれ
る。その際、両方の溶液の体積は、トータル値1.27
mlをもつ。制限エレメント34が、矢印33の方向への
ピストン32の軸方向の移動がこの制限エレメント34
によって限定されるように、カーピュール8の底部側に
配置されている。その際、矢印33の方向へのピストン
32の移動のあいだに、液体の最大トータル体積1.7
mlがカーピュール8の内部空間30内に受け入れられる
ことが保証される。
【0058】ユーザーが図1〜図5に示された上述の分
析セットを利用したいならば、対応する患者は、まず第
一に、分析セット1から取られたパラフィン・ブロック
5を所定の時間の間(一般には5分間)かまなければな
らない。それによって、患者の唾液分泌が活発にされ
る。その結果、対応する測定シリンダーが吐き出された
唾液量を検出し、それから測定する。
【0059】唾液の緩衝能力(buffering capacity)の決
定のために、分析セット1のユーザーは、カーピュール
8を分析セット1からとる。その際、カーピュール8は
塩酸とユニバーサル・インジケータ(測定範囲pH4〜
pH10)との混合物を詰められている。それから、こ
のカーピュール8は、ふつうの注射器にはめ込まれる。
その際、分析セット1から取られたカニューレ2が注射
器に据え付けられる。それから、注射器にはめ込まれた
カーピュールが、カーピュール8内に配置されたピスト
ン32(図5)と連動する注射器ピストンの相応の運動
によって所定の量の唾液を吸収する。唾液の体積はカー
ピュール内容物の体積の四分の一に等しい。そのとき、
移動可能なピストン32の軸方向の移動は、制限エレメ
ント34によって限定される。その結果、いつも同じ量
の唾液がカーピュール8内に吸収されることが保証され
る。
【0060】それから、付加的に唾液を詰められたカー
ピュール8が注射器から取り外され、注射器に取り付け
られている長さ32mm、直径0.9mmの使い捨てにでき
るカニューレが取り外され廃棄される。
【0061】それから、注射器から取り外されたカーピ
ュール8(カーピュール8はガラス・カーピュールであ
る)は、すぐに、カーピュール内容物の色変化の視覚的
な評価を許す。この色変化は、分析セット1のカラー・
スケール6との視覚的な比較によって定量化される。そ
れから、これによって、対応するユーザーが唾液の緩衝
能力を定める。
【0062】それから、余分の唾液サンプルが培地16
に塗られ、別の唾液サンプルが培地17に塗られる(図
2)。その際、培地16及び17でおおわれたプラスチ
ックサポート3aは、唾液サンプルの塗布後に保管容器
18内に挿入される。その前に、CO2放出タブレット
7が分析セット1から取り外され、保管容器18内へ挿
入される。
【0063】保管容器18のガスを通さない閉鎖の後
に、保管容器18が、唾液で培養され且つ保管容器18
内に配置された培地16及び17とともに、インキュベ
ータ内に移される。それから、対応する保管容器が、例
えば温度37℃で24時間あるいは48時間、培養され
る。
【0064】培養時間の満了の後に、培地16、17そ
れぞれの視覚的な評価及び定量化が行われる。その際、
培養されたストレプトコクス・ミュータンス(streptoco
ccusmutans)も別の培地で培養された乳酸桿菌(lactobac
illus)も、それらが色に関してグランドに屈しないの
で、明らかに目に見える。そのとき、ストレプトコクス
・ミュータンス及び乳酸桿菌の濃度は、ふつう微生物学
で行われるように、標準との視覚的な比較によって検知
され得る。
【0065】それと対照的に、ユーザーが特定の口腔領
域あるいは個々の歯を存在する微生物に関して検査した
いならば、培地16について図4に示されているよう
に、分析セット1の二つあるいは三つのマスク4を培地
上に16及び(あるいは)培地17上に配する。これに
よって、例えば図4における培地16上のように対応す
る培地上に個々の領域26がうみだされる。これらの領
域26は、すぐに、局所的に取られた唾液サンプル、プ
ラーク懸濁液それぞれで培養される。そのあと、上述の
ようにさらなる処理が実行される。
【0066】この方法の処理の本質的な利点は、すべて
の局所的に取られたサンプルが同一の分析で同時に検査
され、その結果そのことに応じて方法上の誤りが排除さ
れ得るという事実である。このことが厳密さの増大に本
質的に寄与する。
【0067】付加的に異なる濃度で糖類を含有する上述
のミティス・サリバリウス・アガール(培地I及びI
I)がふつうのミティス・サリバリウス・アガールより
も明らかにまさっていることを証明するために、子供5
5人と135の唾液分離物(saliva isolates)での多数
の臨床研究が行われた。これによって、ふつうのミティ
ス・サリバリウス・アガールが、糖類を含有する培地I
及びIIと比較された。その際、糖類を含有するミティ
ス・サリバリウス・アガールは培地I及びIIについて
上述されているような組成をもつ。
【0068】この研究の範囲で、糖類を含有する培地I
及びIIについてのストレプトコクス・ミュータンスの
細菌収量(germ yield)が、ふつうのミティス・サリバリ
ウス・アガールについてのストレプトコクス・ミュータ
ンスの細菌収量より明らかに且つ著しく高いことが示さ
れた。培地Iと比較して、培地IIは、ストレプトコク
ス・ミュータンスの細菌収量がより高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】分析セットの実施形態の図式的な図であり、部
分的に斜視図で示している。
【図2】図1における線A−Bによる、培地の断面図で
ある。その際、当該培地は、図1に示す分析セットに含
まれ、且つ不活性サポート上に配置される。
【図3】図1に示されたマスクの拡大された平面図であ
る。
【図4】サポート上に配置されている培地の図である。
その際、この図は図2と比較され得る。培地は図3に示
されたマスクをもっている。
【図5】カーピュールの断面図である
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/00 - 7/08 C12Q 1/00 - 1/70 C12M 1/00 - 3/10 BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (31)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 唾液中の及び/又はプラーク中のストレ
    プトコクス・ミュータンスを検出するための培地にし
    て、当該培地がアガールに加えて少なくとも一つの糖類
    を含有するような培地において、 当該アガール対当該少なくとも一つの糖類の質量比が
    1:3.89と1:12との間で変わることを特徴とす
    る培地。
  2. 【請求項2】 当該培地が、1:3.89と1:4.2
    5との間の前記アガール対前記少なくとも一つの糖類の
    質量比を有することを特徴とする、請求項1に記載の培
    地。
  3. 【請求項3】 当該培地が1:5.1と1:10との間
    の前記アガール対前記少なくとも一つの糖類の質量比を
    もつことを特徴とする、請求項1に記載の培地。
  4. 【請求項4】 前記培地が糖類として少なくとも一つの
    二糖類を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれ
    か一項に記載の培地。
  5. 【請求項5】 前記培地が二糖類として蔗糖及び/又は
    蔗糖誘導体を含むことを特徴とする、請求項4に記載の
    培地。
  6. 【請求項6】 当該培地が0.001重量%と0.00
    05重量%との間でペプチド抗生物質コンプレックスを
    含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一
    項に記載の培地。
  7. 【請求項7】 前記ペプチド抗生物質コンプレックスが
    バシトラシンであることを特徴とする、請求項6に記載
    の培地。
  8. 【請求項8】 前記アガールがミティス・サリバリウス
    ・アガールであることを特徴とする、請求項1〜7のい
    ずれか一項に記載の培地。
  9. 【請求項9】 当該培地が不活性サポートの一方のサイ
    ドに施与されることを特徴とする、請求項1〜8のいず
    れか一項に記載の培地。
  10. 【請求項10】 当該培地がゲル様のコンシステンシー
    をもち、当該ゲル様のコンシステンシーを生み出すため
    に水が当該培地に加えられることを特徴とする、請求項
    1〜9のいずれか一項に記載の培地。
  11. 【請求項11】 当該培地が、70gと150gとの間
    で前記アガールを、272.3gと1800gとの間で
    前記少なくとも一つの糖類を、及び所望のゲル様のコン
    システンシーを生じるような量の水を含むことを特徴と
    する、請求項10に記載の培地。
  12. 【請求項12】 前記ゲル様の培地が1.4mgと12mg
    との間で前記ペプチド抗生物質コンプレックスを含むこ
    とを特徴とする、請求項11に記載の培地。
  13. 【請求項13】 前記ペプチド抗生物質コンプレックス
    がバシトラシンであることを特徴とする、請求項12に
    記載の培地。
  14. 【請求項14】 当該培地が前記不活性サポート、好ま
    しくはプラスチックサポートの一方のサイドに施与され
    ること、及び前記不活性サポートの別のサイドに唾液中
    及び/又はプラーク中の乳酸菌を検出するための別の培
    地が、あるいは唾液中及び/又はプラーク中の酵母菌を
    検出するための別の培地が与えられていることを特徴と
    する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の培地。
  15. 【請求項15】 前記別の培地が乳酸菌の検出のために
    ロゴサ・アガールを基礎とすることを特徴とする、請求
    項14に記載の培地。
  16. 【請求項16】 前記別の培地が、さらに少なくとも一
    つの糖類を含むことを特徴とする、請求項15に記載の
    培地。
  17. 【請求項17】 前記別の培地がアガール及び糖類を
    1:0.2と1:6との間の質量比で含有することを特
    徴とする、請求項16に記載の培地。
  18. 【請求項18】 前記別の培地がゲル様のコンシステン
    シーをもち、当該ゲルが、70gと250gとの間で当
    該別の培地を、及び930gと750gとの間で水を含
    有することを特徴とする、請求項14〜17のいずれか
    一項に記載の培地。
  19. 【請求項19】 一方のサイドに前記ゲル様の培地を施
    与され且つ別のサイドに前記別のゲル様の培地を施与さ
    れている不活性サポートが、ガスを通さないようにロッ
    ク可能な保管容器内に配置されることを特徴とする、請
    求項1〜18のいずれか一項に記載の培地。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19のいずれか一項に記載
    の、不活性サポートに配された培地を有する分析セット
    において、当該分析セット(1)が、一方のサイドに前
    記培地(3、16、17)で覆われ、且つ別のサイドに
    前記別の培地(17、16)で覆われた少なくとも一つ
    の不活性サポート(3a)を備えていることを特徴とす
    る分析セット。
  21. 【請求項21】 当該分析セットが、前記不活性サポー
    ト(3a)に加えて、酸を充填した少なくとも一つのカ
    ーピュール(8)と少なくとも一つのカニューレ(2)
    とを備えていることを特徴とする、請求項20に記載の
    分析セット。
  22. 【請求項22】 当該カーピュールが0.005M(n)
    塩酸を充填されたことを特徴とする、請求項21に記載
    の分析セット。
  23. 【請求項23】 当該分析セットが、COを放出する
    少なくとも一つのタブレット(7)を備えていることを
    特徴とする、請求項20〜22のいずれか一項に記載の
    分析セット。
  24. 【請求項24】 当該分析セット(1)が少なくとも一
    つのパラフィン片(5)及び/又はpH値インジケータ
    を備えていることを特徴とする、請求項20〜23のい
    ずれか一項に記載の分析セット。
  25. 【請求項25】 カーピュール(8)が、インジケータ
    を充填されたことを特徴とする、請求項21〜24のい
    ずれか一項に記載の分析セット。
  26. 【請求項26】 当該インジケータが液体インジケータ
    であることを特徴とする、請求項25に記載の分析セッ
    ト。
  27. 【請求項27】 当該インジケータが、pH4とpH1
    0との間のpH表示範囲をもつ液体ユニバーサル・イン
    ジケータであることを特徴とする、請求項26に記載の
    分析セット。
  28. 【請求項28】 当該分析セット(1)が、インジケー
    タを充填されたカーピュール(8)のpH値を測定する
    ためのカラー・スケール(6)を備えていることを特徴
    とする、請求項21〜27のいずれか一項に記載の分析
    セット。
  29. 【請求項29】 当該分析セットが、不活性サポート
    (3a)に固定され得る少なくとも一つのマスク(4)
    を備えており、それによって前記培地(16;17)及
    び/又は前記別の培地(17;16)が個別の区画(2
    6)に分割され得ることを特徴とする、請求項20〜2
    8に記載の分析セット。
  30. 【請求項30】 前記分析セット(1)が、さらに、唾
    液を取るための目盛をつけられた容器を備えていること
    を特徴とする、請求項20〜29のいずれか一項に記載
    の分析セット。
  31. 【請求項31】 前記分析セット(1)が少なくとも一
    つの使い捨ての注射器を備えていることを特徴とする、
    請求項20〜30のいずれか一項に記載の分析セット。
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