JP2002027975A - ミュータンス連鎖球菌選択培地 - Google Patents

ミュータンス連鎖球菌選択培地

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JP2002027975A
JP2002027975A JP2000216414A JP2000216414A JP2002027975A JP 2002027975 A JP2002027975 A JP 2002027975A JP 2000216414 A JP2000216414 A JP 2000216414A JP 2000216414 A JP2000216414 A JP 2000216414A JP 2002027975 A JP2002027975 A JP 2002027975A
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streptococci
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Hirohisa Ida
博久 井田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 共雑菌の生育を抑制してミュータンス連鎖球
菌のみを精度良く検出する。 【解決手段】 バシトラシン添加ミティス・サリバリウ
ス変法培地に、グラミシジンを含んでなるミュータンス
連鎖球菌選択培地。バシトラシン添加ミティス・サリバ
リウス培地にグラミシジンを加えることによりミュータ
ンス連鎖球菌の増殖を抑制することなく、ミュータンス
連鎖球菌以外の共雑菌の増殖を減少させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、口腔内等
に存在するミュータンス連鎖球菌を選択的に生育させる
ミュータンス連鎖球菌選択培地及びこれを用いた検出方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ミュータンス連鎖球菌とは、ストレプト
コッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)及び
ストレプトコッカス・ソブリヌス(Streptococcus sobr
inus)の2菌種を意味し、ヒト口腔内に常在してう蝕を
引き起こすう蝕原因菌である。このミュータンス連鎖球
菌の菌濃度を希釈平板法により検出するための選択培地
としては、ミティス・サリバリウス培地(MS培地:Chap
man,G.H. 1946 . Am.J.Digest.Dis. 13:105-107)にバ
シトラシンを添加したバシトラシン添加ミティス・サリ
バリウス変法培地(MSB培地:Gold,O.G.,H.V.Jordan, a
nd J.van Houte 1973. Arch. Oral Biol. 18:1357-136
4)やGSTB培地(Tanzer,J.M.,A.C.Borjesson,L.Laskows
ki,A.B.Kurasz, and M.Testa 1984.J.Clin.Microbiol.2
0:653-659)、MS40S培地(Ikeda,T. and H.J.Sandham.
1972.Arch.Oral Biol.17:781-783)などが提案されてい
る。これらの培地はミュータンス連鎖球菌がバシトラシ
ン耐性であることまたは、高濃度のショ糖によっても発
育を阻害されないことを利用して、ミュータンス連鎖球
菌を選択的に検出しようとするものである。
【0003】しかしながら、これらの培地を用い、唾液
や歯垢などのヒト由来材料からミュータンス連鎖球菌を
検出しようとした場合、ヒト口腔内に常在する共雑菌
(ミュータンス連鎖球菌以外の菌をいう。以下同じ)が
多い場合には検出感度が低くミュータンス連鎖球菌の検
出には不十分である。また、ヒトにおいては、その細菌
叢の個人差が非常に大きいため、バシトラシン耐性の共
雑菌を細菌叢に持つ場合は、培地上に増殖するコロニー
の多くが共雑菌となる。このように、従来、ミュータン
ス連鎖球菌を効率よく検出する適当な培地は得られてい
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、こ
れらミュータンス連鎖球菌を精度良く検出することので
きる全く新規なミュータンス連鎖球菌選択培地を提供す
ることを目的とし、また、このミュータンス連鎖球菌選
択培地を使用してミュータンス連鎖球菌を高精度に検出
する検出方法及び検出キットを提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために本発明者が、ミュータンス連鎖球菌の検出率が高
く、かつヒト由来材料中の共雑菌が増殖しにくい培地成
分について鋭意検討を行った結果、バシトラシン添加ミ
ティス・サリバリウス培地にグラミシジンを加えること
によりミュータンス連鎖球菌の増殖を抑制することな
く、ミュータンス連鎖球菌以外の共雑菌の増殖を減少さ
せ得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明に係るミュータンス連鎖球菌選択培地
は、バシトラシン添加ミティス・サリバリウス変法培地
に、グラミジンを含んでなるものである。また、本発明
に係るミュータンス連鎖球菌選択培地は、コリスチン、
ナリジキシン酸及び酵母エキスを更に含んでなることが
好ましい。
【0006】この場合、抗生物質であるコリスチン、ナ
リジキシン酸を含ませることにより一層ミュータンス連
鎖球菌の選択性を高め、また発育促進成分である酵母エ
キスを加えることにより回収率が高められる。さらに、
本発明に係る検出方法は、バシトラシン添加ミティス・
サリバリウス変法培地にグラミジンを含んでなるミュー
タンス連鎖球菌選択培地を用いて、試料に含まれるミュ
ータンス連鎖球菌を選択的に培養し、試料内におけるミ
ュータンス連鎖球菌を検出するものである。さらにま
た、本発明に係る検出キットは、上述したミュータンス
連鎖球菌選択培地を備え、試料中に存在するミュータン
ス連鎖球菌を検出するものである。ここで、試料として
は、ヒト口腔内の唾液を例示することができ、また、当
該唾液を所定の濃度に希釈或いは濃縮したものを例示す
ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
ミュータンス連鎖球菌は口腔内に常在し、う蝕を発生さ
せるが、そのメカニズムは以下のように考えられている
(今井奨、寒河江登志郎:イラストでみるこれからのむ
し歯予防.砂書房,東京,1997)。
【0008】先ず、ミュータンス連鎖球菌は菌体表層タ
ンパク質を介して歯牙表面に付着する。そこにショ糖が
供給されるとミュータンス連鎖球菌の持つグルコシルト
ランスフェラーゼ酵素の働きで、ショ糖から強い粘着性
を持つ非水溶性のグルカンを合成する。このグルカンの
粘着性のためミュータンス連鎖球菌は歯牙表面に強く固
着し、さらにミュータンス連鎖球菌以外の口腔内細菌も
取り込まれ、プラーク(歯垢)を形成する。プラーク中
の細菌のうち、主としてミュータンス連鎖球菌や乳酸菌
の産生する有機酸によって歯牙表面のエナメル質を脱灰
し、う蝕が発生する。このように口腔内において、う蝕
発生の主要因となるミュータンス連鎖球菌であるが、口
腔内細菌叢においては、全細菌数に対して菌濃度が非常
に低く、また細菌叢の個人差も非常に大きいために、ヒ
ト由来材料から菌濃度を安定して測定することは困難で
ある。
【0009】本発明の選択培地は、通常希釈平板法によ
るミュータンス連鎖球菌の検出に用いられるMSB培地
に、グラミシジンを添加したもの、又は、更にコリスチ
ン、ナリジキシン酸と酵母エキスを添加したものであ
る。グラミシジンとしては、市販のものを使用すること
ができ、例えば、SIGMA社製のものを使用することがで
きる。このグラミシジンは、MSB培地1リットルに対し
て、0.1〜10mgの範囲で添加されることが好まし
い。グラミシジンの添加量が0.1mg未満である場合に
は、共雑菌を十分に排除することができず、ミュータン
ス連鎖球菌のみを選択的に培養することが困難となる虞
がある。また、グラミシジンの添加量が10mgを越える
場合には、ミュータンス連鎖球菌の発育に悪影響を及ぼ
し、高精度に検出することが困難となる虞がある。
【0010】また、グラミシジンは、MSB培地1リット
ルに対して0.5〜4mgの範囲で添加されることがより
好ましい。この範囲でグラミシジンを添加することによ
って、ミュータンス連鎖球菌の選択性をより向上させる
ことができ、優れた検出感度を達成することができる。
【0011】また、本発明の選択培地において、MSB培
地は、Gold,O.G.,H.V.Jordan, and J.van Houte 1973.
Arch. Oral Biol. 18:1357-1364に記載されているもの
を使用する。具体的に、MSB培地は以下の組成である。 トリプトース 10g プロテオーゼペプトン 10g ブドウ糖 5g ショ糖 200g リン酸水素2カリウム 4g トリパンブルー 0.075g クリスタルバイオレット 0.0008g 寒天 15g 蒸留水 1L pH 6.8〜7.2 121℃15分間滅菌後、55℃前後に冷却し、バシト
ラシン(200unit)と1mlのChapman Tellurit
e Solution(1%亜テルル酸カリウム:Difco社製)を加え
る。なお、培地中に含まれるバシトラシンの濃度は、5
0〜1000unit/Lであることが好ましく、ま
た、100〜500unit/Lであることがより好ま
しい。バシトラシンの濃度をこの範囲とすることによっ
て、共雑菌の生育を確実に抑制して、ミュータンス連鎖
球菌のみを確実に生育することができる。
【0012】また、本発明の選択培地は、上述した組成
に加えて、コリスチン、ナリジクス酸及び酵母エキスを
更に加えることが好ましい。コリスチン及びナリジクス
酸を添加することによって、共雑菌の繁殖を抑制するこ
とができるとともに、酵母エキスを添加することによっ
て、ミュータンス連鎖球菌の増殖を強化することができ
る。
【0013】ここで、コリスチンは、MSB培地1リット
ルに対して、好ましくは1〜100mgの範囲、より好ま
しくは2〜20mgの範囲で添加される。ナリジクス酸
は、MSB培地1リットルに対して、好ましくは1〜10
0mgの範囲、より好ましくは2〜20mgの範囲で添加さ
れる。酵母エキスは、MSB培地1リットルに対して、好
ましくは5〜100gの範囲、より好ましくは10〜3
0gの範囲で添加される。
【0014】コリスチン及びナリジクス酸の添加量が上
述した範囲を下回る場合、共雑菌を十分に排除すること
ができず、ミュータンス連鎖球菌のみを選択的に培養す
ることが困難となる虞がある。また、コリスチン及びナ
リジクス酸の添加量が上述した範囲を上回る場合、ミュ
ータンス連鎖球菌の発育に悪影響を及ぼし、高精度に検
出することが困難となる虞がある。酵母エキスの添加量
が上述した範囲を下回る場合、ミュータンス連鎖球菌の
発育に悪影響を及ぼし、高精度に検出することが困難と
なる虞がある。また、酵母エキスの添加量が上述した範
囲を上回る場合、共雑菌を十分に排除することができ
ず、ミュータンス連鎖球菌のみを選択的に培養すること
が困難となる虞がある。
【0015】一方、比較的に高濃度のショ糖が培地中に
存在する場合、共雑菌は増殖が困難となるがミュータン
ス連鎖球菌は増殖することができる。したがって、本発
明の選択培地には、ミュータンス連鎖球菌の選択性を向
上させるために、所定の濃度でショ糖を添加することが
好ましい。ショ糖の添加量としては、最終濃度が5〜3
0重量%とすることが好ましい。ショ糖の最終濃度が5
重量%未満である場合には、上述した選択性を向上させ
る効果を奏しない虞がある。また、ショ糖の最終濃度が
30重量%を越える場合には、ミュータンス連鎖球菌の
増殖を阻害してしまい、高精度に検出することが困難と
なる虞がある。
【0016】以上のように構成されたミュータンス連鎖
球菌選択培地は、共雑菌の育成を確実に抑制するととも
にミュータンス連鎖球菌をMSB培地と同等もしくは同等
以上の良好な回収率で検出することができる。したがっ
て、このミュータンス連鎖球菌選択培地は、ヒト口腔内
から採取した唾液等のサンプルに含まれるミュータンス
連鎖球菌の存在を検出する際に使用することができる。
【0017】また、ミュータンス連鎖球菌選択培地によ
れば、サンプル中に含まれる共雑菌の生育を抑制してい
るため、コロニー数をカウントするだけで、サンプル中
に含まれるミュータンス連鎖球菌を正確に検出すること
ができる。したがって、このミュータンス連鎖球菌選択
培地を用いた場合、得られたコロニーがミュータンス連
鎖球菌であるか否かを細菌学的に同定する実験を必要と
しないため、非常に簡便な検出方法を達成することがで
きる。
【0018】
【実施例】以下、実施例にもとづき本発明を詳細に説明
するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によっ
て限定されるものではない。 [実施例1]先ず、以下の組成の培養液(1L)を調製
した。 トリプトース 10g プロテオーゼペプトン 10g ブドウ糖 5g ショ糖 200g リン酸水素2カリウム 4g トリパンブルー 0.075g クリスタルバイオレット 0.0008g 寒天 15g 蒸留水 1L pH 6.8〜7.2 得られた培養液を121℃15分間滅菌後、55℃前後
に冷却し、200unitのバシトラシンと1mlのCh
apman Tellurite Solution(1%亜テルル酸カリウム:Dif
co社製)と2mgのグラミシジン(SIGMA)を加えた。なお、
ここで使用したバシトラシンは、SIGMA社製のlot:28H07
27で、71000unit/gの比活性を有するものであ
る。そして、十分に攪拌した後、シャーレに分注し、実
施例1のミュータンス連鎖球菌選択培地を作製した。
【0019】[実施例2]先ず、以下の組成の培養液
(1L)を調製した。 トリプトース 10g プロテオーゼペプトン 10g ブドウ糖 5g ショ糖 200g リン酸水素2カリウム 4g トリパンブルー 0.075g クリスタルバイオレット 0.0008g 寒天 15g 蒸留水 1L pH 6.8〜7.2 得られた培養液を121℃15分間滅菌後、55℃前後
に冷却し、200unitのバシトラシンと1mlのCh
apman Tellurite Solution(1%亜テルル酸カリウム:Dif
co社製)と2mgのグラミシジン(SIGMA)と10mgのコリス
チン(和光純薬工業)と10mgのナリジキシン酸(和光純
薬工業)と20gの酵母エキス(ディフコ社)とを加え
た。十分に攪拌した後、シャーレに分注し、実施例2の
ミュータンス連鎖球菌選択培地を作製した。
【0020】[比較例1]比較例1では、グラミシジン
を添加しない以外は実施例1と同様にして培地を作製し
た。すなわち、比較例1の培地はMSB培地である。
【0021】[実験例1]実験例1では、実施例1、実
施例2及び比較例1を用いて、以下のようにして口腔内
のミュータンス連鎖球菌を測定した。先ず、被験者にパ
ラフィンを3分間噛ませ、その間に分泌した唾液全量を
採取しよく撹拌後、シードスワブ(栄研化学)を10秒
間浸し唾液を採取(試料No.1〜試料No.4)した。シード
スワブの綿棒部分を滅菌したハサミで切り落とし、3ml
リン酸緩衝生理食塩水(ph7.2)を入れた試験管中で15分
間撹拌した。そこから50μlをそれぞれの寒天培地にス
パイラルシステムを用いて塗布した。35℃48時間嫌気培
養した後、プレート上のコロニーを実態顕微鏡下でミュ
ータンス連鎖球菌様コロニーとそれ以外のコロニーを形
態的に分け計測した。ミュータンス連鎖球菌様の形態を
もつコロニーについては、5%ショ糖を加えたブレインハ
ートインフュージョン液体培地に接種、24時間傾斜培養
しガラス管壁付着性グルカンを生成すること及びマンニ
トール発酵能を有することを確認し、ミュータンス連鎖
球菌と同定した。その結果を表1に示した。なお、表1
において、「陽性率」とは、検出された全コロニーに含
まれるミュータンス連鎖球菌のコロニーの割合である。
「回収率」とは、比較例1のMSB培地で検出されたミュ
ータンス連鎖球菌のコロニー数(100%)を基準として、
実施例1及び実施例2で検出されたミュータンス連鎖球
菌のコロニー数の割合である。
【0022】
【表1】
【0023】この表1からわかるように、実施例1及び
実施例2のミュータンス連鎖球菌選択培地では、比較例
1のMSB培地と比較して、非常に優れた陽性率を示して
いる。このことは、実施例1及び実施例2のミュータン
ス連鎖球菌選択培地は、共雑菌の生育を確実に抑制で
き、且つ、検出対象であるミュータンス連鎖球菌のみを
確実に生育させることができることを示している。すな
わち、実施例1及び実施例2のミュータンス連鎖球菌選
択培地は、MSB培地と比較してミュータンス連鎖球菌の
選択性が非常に優れたものである。また、実施例1と実
施例2とを比較すると、実施例2の方が陽性率及び回収
率がより優れていることがわかる。したがって、実施例
2の如く、コリスチン、ナリジキシン酸及び酵母エキス
を更に添加することによって、更に優れた選択性を達成
できることがわかる。
【0024】このように、実施例1及び実施例2のミュ
ータンス連鎖球菌選択培地を用いれば、共雑菌の生育が
確実に抑制されているため、コロニー数の測定のみで、
口腔内に存在するミュータンス連鎖球菌の数を検出する
ことができる。したがって、実施例1及び実施例2のミ
ュータンス連鎖球菌選択培地を用いた場合、生育したコ
ロニーに含まれる微生物を同定するといった手間を経る
必要がないため、ミュータンス連鎖球菌の検出を非常に
容易に行うことができる。
【0025】[実験例2]実験例2では、実施例1、実
施例2及び比較例1を用いて、以下のようにして口腔内
のミュータンス連鎖球菌を測定した。先ず、被験者にパ
ラフィンを3分間噛ませ、その間に分泌した唾液全量を
採取(試料No.5及び試料No.6)し、よく撹拌後、リン酸
緩衝生理食塩水で5倍及び50倍に希釈した。その50μ
lをそれぞれの寒天培地にスパイラルシステムを用いて
塗布した。35℃48時間嫌気培養した後、プレート上のコ
ロニーを実態顕微鏡下でミュータンス連鎖球菌様コロニ
ーとそれ以外のコロニーを形態的に分け計測した。ミュ
ータンス連鎖球菌様の形態をもつコロニーについては、
5%ショ糖を加えたブレインハートインフュージョン液体
培地に接種、24時間傾斜培養しガラス管壁付着性グルカ
ンを生成することとマンニトール発酵能を有することを
確認し、ミュータンス連鎖球菌と同定した。その結果を
表2に示した。
【0026】
【表2】
【0027】表2にからわかるように、実施例2のミュ
ータンス連鎖球菌選択培地では、比較例1のMSB培地と
比較して、非常に優れた陽性率を示している。このこと
は、実験例1と異なる手法で唾液を採取しても、実施例
2のミュータンス連鎖球菌選択培地は、共雑菌の生育を
確実に抑制でき、且つ、検出対象であるミュータンス連
鎖球菌のみを確実に生育させることができることを示し
ている。
【0028】このように、実施例2のミュータンス連鎖
球菌選択培地を用いれば、共雑菌の生育が確実に抑制さ
れているため、コロニー数の測定のみで、口腔内に存在
するミュータンス連鎖球菌の数を検出することができ
る。したがって、実施例2のミュータンス連鎖球菌選択
培地を用いた場合、生育したコロニーに含まれる微生物
を同定するといった手間を経る必要がないため、ミュー
タンス連鎖球菌の検出を非常に容易に行うことができ
る。
【0029】[実験例3]実験例3では、実施例2のミ
ュータンス連鎖球菌選択培地におけるショ糖濃度の影響
を検証した。実施例2のミュータンス連鎖球菌選択培地
を調製する際に、ショ糖を終濃度50,100、20
0、400g/Lとなるように4種類の培地を調製し
た。そして、これら4種類の培地を用いて、実験例2と
同様にしてミュータンス連鎖球菌を同定した。その結果
を表3に示した。
【0030】
【表3】
【0031】この表3からわかるように、ショ糖の濃度
が30%を越える場合には、共雑菌のみならずミュータ
ンス連鎖球菌の生育にも悪影響を及ぼしている。また、
ショ糖の濃度が5%程度では、共雑菌の生育を十分に抑
制できていない。この結果から、培地中に含まれるショ
糖の濃度は、ミュータンス連鎖球菌の選択性を向上させ
る観点から、5〜30%程度であることが好ましいこと
がわかった。
【0032】[実験例4]実験例4では、実施例2のミ
ュータンス連鎖球菌選択培地におけるバシトラシン濃度
の影響を検証した。実施例2のミュータンス連鎖球菌選
択培地を調製する際に、バシトラシン(SIGMA)を10、
100、300及び3000unit/Lとなるように
4種類の培地を調製した。そして、これら4種類の培地
を用いて、実験例2と同様にして採取した(試料No.7)
唾液中のミュータンス連鎖球菌を検出した。その結果を
表4に示した。
【0033】
【表4】
【0034】この表4からわかるように、バシトラシン
の濃度が10unit/L程度では、共雑菌の生育を抑
制することが困難となる。また、バシトラシンの濃度が
3000unit/L程度では、ミュータンス連鎖球菌
の生育にも悪影響を及ぼす可能性がある。この結果か
ら、培地中に含まれるバシトラシンの濃度は、ミュータ
ンス連鎖球菌の選択性を向上させる観点から、50〜1
000unit/Lであることが好ましいことがわかっ
た。
【0035】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
るミュータンス連鎖球菌選択培地は、従来簡便な検出が
困難であったミュータンス連鎖球菌を、共雑菌の育成を
確実に抑制した状態で効果的に定量することが可能とな
る。また、本発明に係る検出方法によれば、共雑菌の育
成を確実に抑制したミュータンス連鎖球菌選択培地を用
いることによって、サンプル等に含まれるミュータンス
連鎖球菌の存在を検出することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バシトラシン添加ミティス・サリバリウ
    ス変法培地に、グラミジンを含んでなるミュータンス連
    鎖球菌選択培地。
  2. 【請求項2】 コリスチン、ナリジキシン酸及び酵母エ
    キスを更に含んでなる請求項1記載のミュータンス連鎖
    球菌選択培地。
  3. 【請求項3】 上記グラミシジンの含有量が上記バシト
    ラシン添加ミティス・サリバリウス変法培地1リットル
    に対して0.1〜10mgの範囲であることを特徴とする
    請求項1又は請求項2記載のミュータンス連鎖球菌選択
    培地。
  4. 【請求項4】 5〜30重量%の範囲でショ糖を含むこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか一項記載
    のミュータンス連鎖球菌選択培地。
  5. 【請求項5】 バシトラシン添加ミティス・サリバリウ
    ス変法培地にグラミジンを含んでなるミュータンス連鎖
    球菌選択培地を用いて、試料に含まれるミュータンス連
    鎖球菌を選択的に培養し、試料内におけるミュータンス
    連鎖球菌を検出する検出方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項4いずれか一項記載
    のミュータンス連鎖球菌選択培地を備え、試料中に存在
    するミュータンス連鎖球菌を検出する検出キット。
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Cited By (2)

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