JP3459204B2 - 体脂肪分布測定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、人体インピーダン
スを測定する高周波電流の周波数を変化させて周波数別
に体脂肪率を算出して体脂肪の分布状況を表示する体脂
肪分布測定装置に関する。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】体脂肪は生体にとって
重要な役割を担っているが、体脂肪が過剰に蓄積した状
態すなわち肥満は、多くの成人病（生活習慣病）と深い
関わりがある。肥満になると身体が太るため、全身に血
液を送るのに高血圧となりやすい。また、脂肪は糖質と
脂質によって合成されるが、血中に糖質が多すぎると高
脂血症につながり、これらが複合的に関与して動脈硬化
を生じる。動脈硬化は、心臓では狭心症や心筋梗塞の冠
動脈疾患に、脳の血管では脳内出血、脳塞栓、脳血栓な
どのいわゆる脳卒中につながる。そして、肝臓での脂肪
の過剰は脂肪肝となり、胆汁の主成分であるコレステロ
ールが多いと胆石になりやすい。また、肉類とアルコー
ルの過剰摂取は肥満に結び付くと同時に痛風を引き起こ
す。このように、肥満は多くの成人病との関連が深く、
肥満を予防することが健康にとって大切である。

【０００３】体脂肪が多いことを肥満というが、成人病
との関連が深いのは下半身型肥満あるいは洋なし型肥満
と呼ばれる皮下脂肪型肥満よりも、上半身型肥満あるい
はりんご型肥満と呼ばれる内臓脂肪型肥満である。この
ように肥満は、単に身体全体の体脂肪率や脂肪の量をみ
るだけでなく、脂肪の蓄積部位すなわち体脂肪分布を把
握し、これによって皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満を
判別して適切な食事や運動などによる対応策を講じるこ
とが大切である。ところが、従来の体脂肪計は人体イン
ピーダンスに基づいて身体全体の体脂肪率を計算して表
示するだけで、体脂肪分布を把握できるものはなかっ
た。

【０００４】そこで本発明は、体脂肪分布を把握すると
共に、体型分類が成人病と深いかかわりのある内臓脂肪
型肥満かどうかを容易に判別できる体脂肪計を提供する
ことを目的になされたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明は以下のように構成した。

【０００６】すなわち、請求項１の発明は、人体に微弱
な高周波電流を流してその抵抗値を読み取って人体イン
ピーダンスを測定する人体インピーダンス測定手段と、
性別、年齢、身長および体重の個人データを入力するデ
ータ入力手段と、前記高周波電流の周波数を変化させて
周波数別に人体インピーダンスを測定する周波数別人体
インピーダンス測定手段と、前記周波数別人体インピー
ダンスと個人データから周波数別に体脂肪率を算出する
周波数別体脂肪率算出手段と、前記周波数別体脂肪率算
出手段の算出結果に基づいて周波数別に体脂肪率を表示
する周波数別体脂肪率表示手段と、を備えてなる体脂肪
分布測定装置である。請求項２の発明は、人体に微弱な
高周波電流を流してその抵抗値を読み取って人体インピ
ーダンスを測定する人体インピーダンス測定手段と、性
別、年齢、身長および体重の個人データを入力するデー
タ入力手段と、前記高周波電流の周波数を変化させて周
波数別に人体インピーダンスを測定する周波数別人体イ
ンピーダンス測定手段と、前記周波数別人体インピーダ
ンスと個人データから周波数別に体脂肪率を算出する周
波数別体脂肪率算出手段と、前記周波数別体脂肪率に基
づいて体型分類を判別する体型分類判別手段と、を備え
てなる体脂肪分布測定装置である。請求項３の発明は、
前記体型分類を皮下脂肪型肥満とする請求項２記載の体
脂肪分布測定装置である。請求項４の発明は、前記体型
分類を内臓脂肪型肥満とする請求項２記載の体脂肪分布
測定装置である。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。

【０００８】図１と図２に、本発明を実施した体脂肪分
布測定装置の正面図と背面図を示す。体脂肪分布測定装
置は、コントロールボックス１の左右両端の表面と裏面
に、互いに電気的に絶縁する給電側電極Ｅ１、Ｅ１と検
出側電極Ｅ２、Ｅ２をそれぞれ配置して４端子電極を構
成する。コントロールボックス１の正面にはＬＣＤの表
示部Ｄを設け、その下方に体脂肪の測定開始キーＫ１と
数字のアップキーＫ２とダウンキーＫ３および選択キー
Ｋ４をそれぞれ配置して操作パネルＰを構成する。アッ
プキーＫ１は、キーを押す毎に数字を１ずつ上昇させて
数字を入力する。ダウンキーＫ２は、キーを押す毎に数
字を１ずつ下降させて数字を入力する。選択キーＫ３
は、性別、年齢、身長、体重など入力データの種類を選
択する。

【０００９】性別、年齢、身長、体重のデータを入力す
るときは、それぞれのデフォルト値が表示され、データ
入力はそれらの値を修正して行う。

【００１０】体重に占める体脂肪量の割合を体脂肪率と
いい、体重は運動生理学的には体脂肪量と除脂肪体重に
二分される。除脂肪組織は筋肉や骨で構成され、その多
くは水分で、その他に固形成分と無機質からなる。体脂
肪率を求めるには、脂肪組織と除脂肪組織の密度が異な
ることを利用して身体全体の密度から脂肪組織の割合を
求める。

【００１１】身体全体の密度を求める測定方法の一つに
インピーダンス法がある。これは、人体インピーダンス
測定装置を用いて身体に微弱な高周波電流が流れるとき
の抵抗値を読み取るもので、除脂肪組織の大部分は電解
質を含む体水分なので、電流の通りやすさから除脂肪体
重を推計する。

【００１２】測定はいわゆる４端子法によるもので、そ
れぞれ独立した４個の電極を測定すべき人体の皮膚表面
に所定の間隔を保って導電接触させる。２個の電極に
は、所定の正弦波交流電圧を印加し、残りの２個の電極
から検出電圧を取り出して人体インピーダンスを計算す
る。これにより、体脂肪を除いた除脂肪体重は身長の二
乗を人体インピーダンスで割った量に比例することから
除脂肪体重を求める。

【００１３】図３に、人体インピーダンス測定回路のブ
ロック図を示す。人体インピーダンス測定回路２は、Ｃ
ＰＵ４の制御信号によって可変容量素子の容量を変化さ
せて発振器２１が生成する正弦波交流電圧の周波数を切
換えながら駆動回路２２、トランスＴ１、切換スイッチ
２３Ａを介して給電側電極Ｅ１、Ｅ１に電流を供給す
る。

【００１４】コントロールボックス１を手に持って左右
の給電側電極Ｅ１、Ｅ２を親指と人差し指の間に挟む
と、検出側電極Ｅ２、Ｅ２に周波数の異なる交流電圧が
順番に発生する。検出側電極Ｅ２、Ｅ２に発生した交流
電圧を切換スイッチ２３Ａ、トランスＴ２、帯域フィル
タ２４、整流回路２５、増幅器２６を介して直流電圧に
変換し、波形整形、レベル調整、オフセット調整した
後、Ａ／Ｄ変換器２７、Ｉ／Ｏインタフェース６を介し
てＣＰＵ４に入力する。

【００１５】人体インピーダンス測定回路２を構成する
要素の経時変化や温度特性による測定誤差を修正するた
め、人体インピーダンスを測定する前に、検出側回路の
出力特性をあらかじめ校正する。すなわち、２つの変量
である人体インピーダンスＺと検出側回路が検出する交
流電圧Ｖの関係を回帰直線Ｚ＝ｋ・Ｖ＋Ｃ０ にあては
める。そして、抵抗値が既知の２つの抵抗Ｒ１とＲ２の
両端に、人体インピーダンスＺを測定するときと同じ所
定の交流電圧を印加し、抵抗Ｒ１とＲ２の両端に発生す
る交流電圧Ｖを検出して回帰直線の比例定数ｋと固定定
数Ｃ０ を求める。

【００１６】このため、ＣＰＵ４から制御信号を出力し
てＩ／Ｏインタフェース６、切換ユニット２８、および
切換制御回路２９Ａを介して切換スイッチ２３Ａを切換
え、トランスＴ１の二次側とトランスＴ２の一次側との
間に２つの抵抗Ｒ１とＲ２を接続する。次に、ＣＰＵ４
から制御信号を出力してＩ／Ｏインタフェース６、切換
ユニット２８、および切換制御回路２９Ｂを介して切換
スイッチ２３Ｂを切換え、測定対象を抵抗Ｒ１あるいは
抵抗Ｒ２に切換える。

【００１７】本発明の体脂肪分布測定装置は以上のよう
な構成で、給電側電極Ｅ１、Ｅ１に供給する正弦波交流
電圧の周波数を変化させて検出側電極Ｅ２、Ｅ２に発生
する交流電圧を検出し、周波数別に人体インピーダンス
を測定する。そして、この人体インピーダンスと先に入
力した性別、年齢、身長および体重の個人データから周
波数別に体脂肪率を算出する。さらに、周波数の低い電
流は人体の深層部を流れ、周波数の高い電流は人体の表
層部を流れることから周波数の低い順に算出した体脂肪
率を並べて身体の深層部から表層部に至る体脂肪分布グ
ラフを作成する。図４に示す体脂肪分布グラフは、周波
数の高い帯域で体脂肪率が上昇する皮下脂肪型肥満の例
を示し、図５に示すグラフは、周波数の低い帯域で体脂
肪率が上昇する内臓脂肪型肥満の例を示す。また、これ
らの体脂肪分布グラフに基づいて皮下脂肪型肥満か内臓
脂肪型肥満かを判別し、判別結果を体型分類として表示
する。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の体脂肪分
布測定装置は、高周波電流の周波数を変化させて人体イ
ンピーダンスを測定し、周波数別に体脂肪率を算出して
表示する。従って、本発明によれば、身体全体の体脂肪
率だけでなく、身体の深層部から表層部に至る体脂肪の
分布状況が見れるので、脂肪の付き方に応じて適切な脂
肪燃焼のためのウエイトコントロール指針を得ることが
できる。

【００１９】また、本発明の体脂肪分布測定装置は、周
波数別体脂肪率に基づいて体型分類を判別する。従っ
て、本発明によれば、成人病との関連が深い内臓脂肪型
肥満かどうかの判別もできるので、体脂肪計としての有
用性が格段に向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施した体脂肪分布測定装置の正面図
である。

【図２】図１の背面図である。

【図３】本発明を実施した人体インピーダンス測定回路
のブロック図である。

【図４】皮下脂肪型肥満の体脂肪分布グラフの例であ
る。

【図５】内臓脂肪型肥満の体脂肪分布グラフの例であ
る。

【符号の説明】

１ コントロールボックス ２ 人体インピーダンス測定回路 ２１ 発振器 ２２ 駆動回路 ２３ 切換スイッチ ２４ 帯域フィルタ ２５ 整流回路 ２６ 増幅器 ２７ Ａ／Ｄ変換器 ２８ 切換ユニット２８ ２９ 切換制御回路 ４ ＣＰＵ ５ メモリ ６ Ｉ／Ｏインタフェース Ｄ 表示部 Ｅ 電極 Ｋ キー Ｐ 操作パネル Ｒ１、Ｒ２ ダミー抵抗 Ｔ１〜Ｔ４ トランス

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−70093（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−79938（ＪＰ，Ａ) 特表 平６−506854（ＪＰ，Ａ) 登録実用新案3024627（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61B 5/05

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 人体に微弱な高周波電流を流してその抵
   抗値を読み取って人体インピーダンスを測定する人体イ
   ンピーダンス測定手段と、 性別、年齢、身長および体重の個人データを入力するデ
   ータ入力手段と、 前記高周波電流の周波数を変化させて周波数別に人体イ
   ンピーダンスを測定する周波数別人体インピーダンス測
   定手段と、 前記周波数別人体インピーダンスと個人データから周波
   数別に体脂肪率を算出する周波数別体脂肪率算出手段
   と、 前記周波数別体脂肪率算出手段の算出結果に基づいて周
   波数別に体脂肪率を表示する周波数別体脂肪率表示手段
   と、を備えてなる体脂肪分布測定装置。
2. 【請求項２】 人体に微弱な高周波電流を流してその抵
   抗値を読み取って人体インピーダンスを測定する人体イ
   ンピーダンス測定手段と、 性別、年齢、身長および体重の個人データを入力するデ
   ータ入力手段と、 前記高周波電流の周波数を変化させて周波数別に人体イ
   ンピーダンスを測定する周波数別人体インピーダンス測
   定手段と、 前記周波数別人体インピーダンスと個人データから周波
   数別に体脂肪率を算出する周波数別体脂肪率算出手段
   と、 前記周波数別体脂肪率に基づいて体型分類を判別する体
   型分類判別手段と、を備えてなる体脂肪分布測定装置。
3. 【請求項３】 前記体型分類を皮下脂肪型肥満とする請
   求項２記載の体脂肪分布測定装置。
4. 【請求項４】 前記体型分類を内臓脂肪型肥満とする請
   求項２記載の体脂肪分布測定装置。