JP3458159B2 - 微胞子虫胞子の製造法 - Google Patents

微胞子虫胞子の製造法

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JP3458159B2 JP2002017966A JP2002017966A JP3458159B2 JP 3458159 B2 JP3458159 B2 JP 3458159B2 JP 2002017966 A JP2002017966 A JP 2002017966A JP 2002017966 A JP2002017966 A JP 2002017966A JP 3458159 B2 JP3458159 B2 JP 3458159B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微胞子虫胞子の製
造法に関する。得られた微胞子虫胞子は主要な細胞壁物
質がキチンであり、この微胞子虫胞子から均一微細粒径
のキチンビーズ、該キチンをN−脱アセチル化せしめた
均一微細粒径のキトサンビーズを製造することができ
る。
【0002】
【従来の技術】キトサンは、物理化学的吸着性、生体適
合性及び微生物分解性が良好であるため、医薬・医療
用、香料用、化粧品用、接着材・塗料用及び複写・記録
表示用の材料等として、幅広い産業分野で利用できる生
体高分子である。一方、粒径にばらつきの少ない多孔質
ビーズは酵素等の固定化用担体として化学分野、医療分
野、食品分野及び工業プロセス分野等幅広い各種産業分
野で利用されている。そこで、キトサンの均一粒径の多
孔質ビーズが提供できれば、多様な方面で利用・活用す
ることが期待できる。
【0003】従来、キトサンビーズは、例えば、次のよ
うな複雑な方法で調製されていた。先ず、甲殻類の外骨
格を形成する成分から無機物を除去してキトサンとし、
これを有機酸で十分に溶解させて均一なドープとする。
このドープを塩基性凝固液中に滴下又は放出して凝固さ
せることによりキトサンビーズを製造していた(Knorr,
D., M. Daly: Mechanics and diffusional changes ob
served in multi-layer chitosan/ alginate coacervat
e capsules, Process Biochemistry, 4, 48-50(198
8))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来方法では、キ
トサンビーズの粒径及び多孔状態は、脱溶媒の速さや生
成ビーズ中への凝固液の浸透、拡散速度等により大幅に
変化してしまう。このため、ビーズの粒径を揃えること
は容易ではなく、粒径が均一なキトサンビーズを製造す
るには、繁雑な調製作業と熟練とが必要であり、多量生
産することは困難であった。従って、収率、効率、経済
面で優れ且つ取扱いが容易な調製作業により、均一微細
粒径のキトサンビーズを製造する方法の開発が望まれて
いる。
【0005】本発明においては、主要な細胞壁物質がキ
チンからなる均一微細粒径の微胞子虫類の胞子が昆虫の
体内又は培養細胞内で効率良く生産され得るという特質
を利用して、微胞子虫胞子を製造するものであり、この
微胞子虫胞子を用いて前記の問題点を解消しようとする
ものである。すなわち、本発明の課題は、粒状の微胞子
虫胞子の細胞壁物質の主要成分がキチンであることを利
用し、均一微細粒径のキチンビーズ及びキトサンビーズ
を提供し、並びにこれらビーズの効率的且つ経済的な製
造法を提供することができるようにするために、微胞子
虫胞子の製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、昆虫由来
の生体高分子の新しい利用技術の開発について鋭意検討
を進めてきた。微胞子虫胞子が昆虫の体内又は培養細胞
内で効率良く生産され、且つ微胞子虫胞子が均一粒径で
球状、楕円球状を呈することに着目し、本発明を完成す
るに至った。家蚕、野蚕若しくはその他多くの昆虫又は
培養細胞に微胞子虫胞子を接種すると、主要な細胞壁物
質がキチンで、数μmの大きさの微胞子虫胞子が多量に
増殖する。本発明者らは、増殖した微胞子虫胞子を精製
・分離し、粒径が一定の微胞子虫胞子を得る方法を見出
した。
【0007】本発明の微胞子虫胞子の製造法は、家蚕幼
虫の体液の上清を細胞培養培地重量基準で5〜50重量
%、好ましくは10〜40重量%含む細胞培養培地に昆虫由
来の培養細胞を加え、これに微胞子虫胞子を接種して増
殖させた後、増殖した細胞より微胞子虫胞子を取り出
し、この増殖した微胞子虫胞子を過酸化水素水溶液で処
理して、又はこの増殖した微胞子虫胞子をアルカリ水溶
液処理後リン酸緩衝液で処理して、微胞子虫胞子の細胞
壁に径0.1〜0.3μmの孔が開いた微胞子虫胞子を
得ることを特徴とする。家蚕幼虫の体液の上清の添加量
が5重量%未満である場合も、該添加量が50重量%を超
える場合も、胞子はほとんど増殖しない。また、好まし
い範囲では胞子がさらに効率的に増殖する。また、本発
明の微胞子虫胞子の製造法は、昆虫に濃度5×10 〜5×
10 個/mlの微胞子虫胞子を経皮的に接種して増殖させ
た後、生育した昆虫体内より増殖した微胞子虫胞子を取
り出し、この増殖した微胞子虫胞子を過酸化水素水溶液
で処理して、又はこの増殖した微胞子虫胞子をアルカリ
水溶液処理後リン酸緩衝液で処理して、該微胞子虫胞子
の細胞壁に径0.1〜0.3μmの孔が開いた微胞子虫
胞子を得ることを特徴とする。 上記昆虫は家蚕幼虫であ
ることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】先ず、本発明者らは、微胞子虫胞
子を昆虫又は培養細胞に接種する時期、接種量、接種方
法及び昆虫体内等で増殖した微胞子虫胞子の精製・分離
方法等、微胞子虫胞子を効率的に生産するための最適条
件を明らかにした。昆虫又は培養細胞に微胞子虫胞子を
接種するには、従来から、例えば、昆虫の飼料に目的
とする微胞子虫胞子を添加して経口接種する方法、飼
育過程の昆虫に微胞子虫胞子を経皮的に直接接種する方
法等がある。
【0009】微胞子虫胞子の形状は多様であるが、種類
によって一定のビーズ形状を保ち、その主要な細胞壁物
質はキチン及び蛋白質の複合体である。そこで、胞子
を、増殖後の微胞子虫胞子そのもののキチンビーズと
して、また、微胞子虫胞子のキチンをN−脱アセチル
化させたキトサンビーズとして利用できる。また、微胞
子虫胞子表面のキチンをN−脱アセチル化処理すること
により、微粒子表面がキトサンからなるキトサンビーズ
を調製できる。また、細胞内物質を活性化させ、胞子の
細胞壁から外に出すことで、微胞子虫胞子細胞壁に微細
な孔があいた中空ビーズを調製することもできる。
【0010】前記したように、本発明で得られた微胞子
虫胞子は、昆虫又は培養細胞内で増殖されたものであ
り、キチンを主要な細胞壁物質とするこの微胞子虫胞子
から、均一微細粒径のキチンビーズを得ることができ
る。また、キトサンビーズは、該細胞壁物質のキチンを
N−脱アセチル化させたものである。これらのキチンビ
ーズ及びキトサンビーズは蛋白質の除去された非抗原性
のものであってもよい。この蛋白質の除去は通常の加水
分解処理により行われる。また、前記増殖微胞子虫胞子
は必要に応じてその細胞壁に孔を有するものであっても
よく、前記キチンビーズ及びキトサンビーズは中空であ
ってもよい。この孔は、過酸化水素処理又はアルカリ処
理により開けられ得る。なお、本発明で得られた微胞子
虫胞子からなるキチンビーズ及びキトサンビーズは、ヒ
トなどの体内に埋め込む場合、非抗原性であることが望
ましい。
【0011】本発明に従って得られた微胞子虫胞子を用
いて均一微細粒子のキチンビーズ及びキトサンビーズを
製造する方法は、昆虫に濃度5×10〜5×10個/ml、
好ましくは5×10〜5×10個/mlの微胞子虫胞子を経
口又は経皮的に接種して増殖させた後、生育した昆虫体
内より増殖した胞子を取り出し、精製して、均一微細粒
子(キチンビーズ)を得ること、次いで所望によりこの
キチンビーズのキチンをN−脱アセチル化して均一微細
粒子のキトサンビーズを得ることからなる。胞子濃度が
5×10個/ml未満であると、昆虫ヘの感染効率が低
く、また感染率にバラツキが生じるため有効ではなく、
また、胞子濃度が5×10個/mlを超えると昆虫体内で
胞子の形成が完全に起こる前に昆虫が死亡してしまうた
め経済的にも不利である。微胞子虫の接種時期は該昆虫
が2齢起蚕の時であること、胞子の採集は5齢期の昆虫か
ら行われることが好ましい。該昆虫は家蚕幼虫であるこ
とが好ましい。
【0012】本発明における微胞子虫としては、特に制
限はなく、形状が一定のビーズ形状を保ち且つ主要な細
胞壁物質がキチンであるような胞子を有する微胞子虫で
あればよい。例えば、ノゼマ ボンビシス(Nosema bomb
ycis)、ノゼマ ボンビシス(No.402)、ノゼマ ボンビ
シス(No.408)、ノゼマ ボンビシス(No.520)、ノゼマボ
ンビシス(No.611)、ノゼマ sp.(M 11)、及びノゼマ sp.
(M 14)のようなノゼマ属微胞子虫、バイリモルファ(Vai
rimorpha)(M 12)、プリストフォーラ(Plestophola)(M 2
5)、プリストフォーラ(M 27)、並びにテロファニア (Th
elophania)sp.等が用いられ得る。
【0013】本発明では、家蚕、オオモンシロチョウ、
エゾシロチョウ、オビヒトリ、ヒマサン、アメリカシロ
ヒトリ及びシンジュサン等の広範囲の昆虫が微胞子虫胞
子の宿主として利用できる。昆虫のうち、特に望ましい
のは、飼育方法、飼育技術が確立しており、遺伝的、育
種的、生理的、生態的な全ての側面から総合的に研究が
行われてきた家蚕である。家蚕幼虫を用いることにより
微胞子虫類胞子を多量に生産することが可能である。家
蚕を対象にして、微胞子虫胞子を調製するには、家蚕l
頭あたり、5×10〜5×10個/mlの接種量の微胞子虫
胞子を2齢起蚕に経口又は経皮的に接種し、5齢期に多量
に増殖した微胞子虫胞子を精製・分離することが望まし
い。微胞子虫胞子を1齢起蚕の家蚕に経口接種すると、
微胞子虫胞子形成前に病死するためである。ノゼマ ボ
ンビシスの原虫を家蚕に投与する場合には、2齢起蚕にl
頭当たり好ましくは5×10〜3×10個の胞子を食下す
るように接種し、幼虫が死亡し始める接種12日目頃の幼
虫個体より胞子を採取すると微胞子虫胞子が最も効率的
に入手できる。
【0014】本発明では、前記したように、昆虫体内又
は培養細胞内で目的とする微胞子虫胞子を多量に入手で
き、家蚕等の昆虫そのものでも可能であるし、哺乳動物
及び広く脊椎動物、無脊椎動物由来の培養細胞を用いて
も同様に入手できる。接種後の昆虫は15〜32℃で通常の
方法で飼育することが可能であり、好ましくは飼育温度
は25〜28℃である。一方、接種後の培養細胞は20〜30℃
で、好ましくは25〜28℃で培養するとよい。本発明に用
いられる培養細胞としては、次のようなものが例示でき
る。家蚕由来の培養細胞としては、Bombyx mori S.P.C.
Bm36、Bombyx mori Bm N-4、Bombyx mori SES-BoMo-15
Aが、柞蚕由来のものとしては、Antheraea pernyiNIS E
S-AnPe-428が、シンジュ蚕由来のものとしては、Philos
amia cynthia pernyi NIS ES-SaCy-12が例示できる。ま
た、クワゴマダラヒトリ由来のものとしては、Spilosom
a imparilis FRI-SpIm-1229、ヨトウガ由来の培養細胞
としては、Mamestra brassicae SES一MaBr-4が例示でき
る。
【0015】上記の培養細胞のうち、Antheraea pernyi
NIS ES-AnPe-428は家蚕幼虫の体液の上清を5〜50%含
んだグレース(Grace)の培養液を用いると、培養温度2
0〜30℃、好ましくは25〜28℃で培養細胞内で効率的に
微胞子虫胞子が増殖できる。Antheraea pernyi NIS ES-
AnPe-428以外の培養細胞は、通常一般的に用いられる培
養液で培養すればよい(横田ら、九州蚕糸、34(199
5))。培養細胞を用いて培養する際、培養培地に一定濃
度の家蚕体液の上清を入れることで微胞子虫胞子は培養
細胞内で容易に増殖し、多量の胞子を形成する。微胞子
虫胞子を経済的、効率的に生産するための家蚕体液の上
清の添加量は、培養液に対し好ましくは10〜40重量%で
ある。培養条件は、上清を添加しない場合と同一でよ
い。体液の調製は、5齢家蚕幼虫の脚をハサミで切断
し、氷で冷却したガラス製の試験管に体液を集める方法
が簡便かつ有効である。こうして集めた体液をウォータ
ーバスで60℃で15分間加熱し、体液中に含まれる蛋白質
を沈殿させ、デカンテーション法で除去し、こうして得
られる体液の上清を用いると良い。
【0016】昆虫由来の培養細胞を用いれば、昆虫の飼
育、採取等、昆虫の入手に制約を受けることなく、タン
ク培養により微胞子虫胞子を簡易にかつ効率的に生産さ
せることができる。野蚕由来の培養細胞であるアンテラ
エア ユーカリプティ(Antheraea eucalypti)細胞に微
胞子虫胞子を投与する場合には、家蚕幼虫体液の上清を
最大40%まで加えた市販の細胞培養液(例えば、グレー
ス(Grace)培養液、ギブコ(Gibco)社製)中の細胞に
微胞子虫胞子を直接接種することにより培養細胞中で微
胞子虫胞子を生産させることが効率的である。
【0017】昆虫又は昆虫由来の培養細胞に微胞子虫胞
子を接種することにより生産された胞子は、家蚕に対し
て強い伝染性を持っているので、家蚕への汚染防除の立
場から、取り出した胞子は、ホルマリン、アルコール又
は熱処理等により無毒化することが望ましい。無毒化さ
せた後の微胞子虫胞子は、そのまま用いれば水に不溶解
性のキチン微粒子(キチンビーズ)として利用すること
ができる。本発明で得られた増殖微胞子虫胞子の精製
は、次のようにして行われる。すなわち、体内で微胞子
虫胞子が増殖した昆虫幼虫を、例えば、0.85%塩化ナト
リウム水溶液中で磨砕した後、脱脂綿で濾過して胞子を
集め、遠心分離器で遠心操作を2回繰り返す。次に、パ
ーコール(商品名:ファーマシア社製、スェーデン)
(Percoll(Pharmacia Sweden))に重層し、3,000rpm
で30分間遠心分離を行うことによって微胞子虫胞子の精
製ができる。
【0018】キチンをキトサンヘと変換するN−脱アセ
チル化処理は、通常の方法、例えば、微胞子虫胞子のキ
チンビーズを30〜50%水酸化ナトリウム溶液中、80〜12
0℃で数時間処理することにより、細胞壁物質のキチン
をN−脱アセチル化して、キトサンビーズへと変える方
法で行われ得る。なお、N−脱アセチル化に用いる薬
剤、pH等の操作条件としては従来知られている方法が適
用できる(Brine ら、Comp. Biochem. Physiol. 69B、2
83(1983))。
【0019】本発明で得られた微胞子虫胞子からなるキ
チンビーズ、キトサンビーズの細胞壁物質は、非抗原性
のキチン、キトサン及びグルカンと抗原性の蛋白質とか
ら成る。蛋白質は酸及び/又はアルカリによる加水分解
処理によって溶出除去でき、その際ビーズの形態は変化
しない。この加水分解処理は、0.1〜3N、好ましくは0.5
〜2N、さらに好ましくは0.9〜1.3Nの水酸化ナトリウ
ム、塩化水素の水溶液を用いて、温度5〜35℃で1〜25時
間、好ましくは20〜25℃で8〜15時間、さらに好ましく
は室温で10〜12時間で行われ、これにより非抗原性ビー
ズが得られる。加水分解処理は、初めに酸性の水溶液
で、次のプロセスとしてアルカリ水溶液を用いて行って
もよいし、初めにアルカリ水溶液で、次のプロセスとし
て酸性の水溶液を用いて行ってもよい。酸処理とアルカ
リ処理とを1サイクルとし、これを繰り返し、合計5サ
イクル以上処理することが望ましい。最後に、水で洗浄
した後、殺菌・脱水を行うため95重量%以上のエタノー
ルで所定の時間洗浄処理する。かくして、微胞子虫胞子
の細胞壁物質である蛋白質を完全に除去できる。
【0020】微胞子虫胞子に抗生物質、バクテリア、生
理活性物質、医薬品及び生体細胞を固定させたり、内部
に導入するには、微胞子虫胞子の細胞壁に微細な孔を開
けておくことがより有効である。微胞子虫胞子に微細な
孔を開ける方法としては、特に制限はされないが、例え
ば、次の2つの方法が好ましい。1〜6重量%HO
胞子浮遊液とを等量宛混合する方法。25℃の0.2N KOH
で微胞子虫胞子を30分間浸漬処理した後、pH7.2のリン
酸緩衝液を少量づつ加えて浸漬溶液のpHを中性に調整す
る方法。
【0021】微胞子虫胞子をアルカリ水溶液で処理する
ことにより胞子内の細胞物質を活性化せしめると、細胞
物質が、胞子の大きさによって例えば約0.1〜0.3μm程
度の微細な孔を胞子壁に開けて胞子外に放出されるの
で、その際に生じる微胞子虫胞子壁の微細な孔を活用す
るとよい。具体的には、先ず、0.2Nの水酸化カリウム水
溶液を用いて微胞子虫胞子を15〜20℃で30分処理し、更
にその後、pH7.2のリン酸緩衝液で中和処理すると、胞
子内細胞物質が活性化して、昆虫培養細胞用培地に胞子
内細胞物質が放出される際に微細な孔ができる。増殖後
の微胞子虫胞子そのものは抗原になるが、前記したよう
に酸、アルカリで加水分解処理して細胞壁物質の蛋白質
を除去したキチンビーズ及びキトサンビーズは抗原には
ならない。
【0022】上記したように、本発明によれば、昆虫又
は培養細胞中で極めて多量に増殖する微胞子虫胞子が得
られる。この微胞子虫胞子を用いることにより、球形又
は楕円球形を呈し、数μm程度の大きさでかつ均一な微
細粒径を持つキチンビーズが得られ、また、キチンビー
ズをN−脱アセチル化してキトサンビーズが得られる。
本発明で得られた微胞子虫胞子を用いると、従来の製造
法では極めて困難とされる均一微細粒径のビーズ、特に
粒径が約1〜6μm程度で粒径にむらが無いビーズ、ま
た、中空のキトサンビーズの製造が可能である。こうし
た方法で作製された均一微細粒径のキチンビーズ及びキ
トサンビーズは、薬物デリバリーシステム用担体とし
て、さらには化粧ファンデーション素材として利用でき
る。このようなキチンビーズ及びキトサンビーズについ
ては、微胞子虫の種類によって各種の大きさのものを生
産することが可能である。また、キトサンビーズに酵素
や生体細胞を付着、固定することにより、バイオリアク
ターとして、食品工業分野において、また、その他の広
い産業分野において利用できる。
【0023】本発明で得られた微胞子虫胞子からなるキ
チンビーズ及びキトサンビーズは反応性に富む化学組成
成分を持っているので、その表面に酵素若しくは免疫抗
体を化学的、又は物理的に結合させることもできる。例
えば、免疫グロブリンなどの抗原・抗体を粒子表面及び
/又は内部に固定化することにより、免疫担体として利
用できる。また、キチンをグリコールキチン及びカルボ
キシメチルキチンへと化学反応により改質した改質キチ
ンビーズは、保湿性に優れているため、化粧品材科とし
て利用できる。また、微胞子虫胞子又はキチンビーズ
に、ビニル化合物等をグラフト加工した後、これにα−
アミラーゼ等の酵素を固定化させれば、酵素活性の安定
性を高めるだけでなく、有効表面積の広い微粒子という
特徴を活かして、さらに効率的な酵素機能を発揮させる
ことが可能である。
【0024】昆虫由来のキチンビーズ及びキトサンビー
ズの場合、加水分解処理したものの細胞壁物質は、上記
したように、キチン、キトサン及びグルカンなどからで
きており、いずれも抗原とはなりにくい成分である。そ
のため、キチンビーズ及びキトサンビーズを徐放担体と
して、ヒトを含めた動物の体内に埋め込んでも抗原抗体
反応が起こらない。微胞子虫胞子の細胞壁物質の蛋白質
を除去したものの抗原性は消失するからである。また、
キチンビーズ及びキトサンビーズは、所定の時間後、体
内の酵素により分解されてしまうので、生体内で分解さ
れる安全素材として利用できる。
【0025】本発明で得られた微胞子虫胞子からなるキ
チンビーズ及びキトサンビーズはいずれも内部に空隙の
ある中空ビーズであることができ、細胞壁組織には微細
な孔が開いている。そこで、生体細胞、細菌、抗生物
質、生理活性物質等を陰圧環境下で微細な空隙に導入す
ることが可能となる。細菌等の微生物を該ビーズに封入
した場合、封入された微生物は外界の紫外線等の蛋白質
変性要因の影響を受けにくいので、該ビーズは天敵微生
物保護材としても利用できる。
【0026】本発明で得られた微胞子虫胞子からなるキ
チンビーズ及びキトサンビーズは、例えば、アフィニテ
ィークロマトグラフィー用担体、細胞培養用担体及び医
薬補助材として利用でき、医薬品、生理活性物質、ホル
モン及びワクチン等のマイクロカプセル化基材としても
優れた特性を発揮する。農薬若しくは肥料等を微胞子虫
胞子、キチンビーズ又はキトサンビーズに封入してカプ
セル化したものは、土壌改質材として利用できるし、ま
た、微量で有効な飼料成分や食品素材をキチンビーズ又
はキトサンビーズに封入してカプセル化したものは、家
畜飼料や養魚飼料として利用することも可能である。ま
た、細菌等を封入、固定化した微胞子虫胞子、キチンビ
ーズ及びキトサンビーズは、紫外線照射に対する細菌等
の保護作用があることから、生物防除材用の資材として
利用できる。特に、キチンビーズ及びキトサンビーズの
粒径が揃っていると、ファインケミカル分野等で特殊な
利用が可能となる。また、本発明によるキチン、キトサ
ンを成分とするマイクロカプセルを感圧複写紙として応
用する場合には、塗抹工程時の乾燥性を向上させること
ができ、また、発色印字性を大幅に改善することができ
る。
【0027】このように、キチン・キトサン微粒子は農
業、工業、医学、食品等の広い分野で有効に利用でき
る。前記したように、微胞子虫胞子、キチンビーズ又は
キトサンビーズに細菌等の微生物や生理活性物質等を封
入したものに紫外線を照射した場合、細胞壁物質のキチ
ン、キトサンが紫外線を吸収し紫外線のエネルギーを遮
断してしまうので、微胞子虫胞子、キチンビーズ及びキ
トサンビーズに封入された細菌等の微生物や生理活性物
質等の生物的及び生理的な活性を長く保つことが可能と
なる。このように、微胞子虫胞子、キチンビーズ及びキ
トサンビーズは、封入された生理活性物質、細菌等の微
生物の活性低下を防止する上で有効である。
【0028】本発明で得られた微胞子虫胞子からなる、
蛋白質の除去されたキチンビーズ及びキトサンビーズ
は、上記したように生体組織体内に入れても抗原とはな
り難く、生体に悪影響を及ぼすことがないので、生理作
用を持つ医薬品等を固定化させて、それをヒト等の体内
に埋め込んでも抗原抗体反応に基づく問題は起こらな
い。そこで、特に、抗ガン作用を持つ医薬品を封入した
キチンビーズ、キトサンビーズは特定患部の治療のため
のミサイルキャリアーとして先端的な医療分野で利用で
きる。また、加水分解処理の程度により、又は、微胞子
虫胞子の細胞物質を活性化させ、内容物を放出させて微
胞子虫胞子に微細な孔を開ける程度を加減することによ
り、担持せしめた又は封入せしめた医薬品、生理活性物
質、抗生物質等の徐放速度、徐放量さらには生分解性の
程度を簡単に制御できる。
【0029】
【実施例】次に、本発明を微胞子虫の製造例を含めて微
胞子虫の使用例及び比較例によりさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。な
お、微胞子虫には多くの種があるが、特にことわらない
限り家蚕幼虫に由来するノゼマ ボンビシスを用いた。
例中の細菌活性及び抗原性の評価は次の方法に基づいて
行った。
【0030】A.細菌活性の評価 加熱溶解後、55℃に保持した半合成脇本培地又はキング
B培地15mlと、検定菌の胞子液(濃度:109−10個/m
l)2mlとを混合し、この混合物をシャーレに流し込んで
平板状に固めた。この菌液混合平板培地上に被検試料を
10μl滴下し、2日間、20〜25℃に保った後、被検試料直
下の培地における細菌増殖阻害度を下記の判定基準によ
り4段階で評価した。 +++:強い(菌はほとんど増殖せず、培地透明度は高
く透明ガラスの感じ) ++:やや強い +:弱い(菌はわずかに増殖するため、培地透明度は透
明ガラスとすりガラスの中間程度) ±:軽微(菌の増殖は1/5程度であり、培地透明度はす
りガラス程度) −:菌は良く増殖し、培地は不透明
【0031】B.糸状菌に対する抗菌活性の評価方法 加熱溶解後、55℃に保持したPSA培地と、検定菌の胞子
液(濃度:105−6個/ml)2mlとを混合し、この混合
物をシャーレに流し込んで平板状に固め、上記細菌活性
の評価の場合と同様に処理し、観察した。 C.抗原性の評価 微胞子虫胞子の抗血清をつぎのように調製した。家蚕幼
虫で継代した胞子をパーコール(Percoll)密度勾配管法
で精製し、2,000rpm、10分間の遠心分離を行い、沈殿し
た胞子を0.85%NaCl液に浮遊させて得た胞子浮遊液(2
×10個/ml)を抗原とし、これとフロインズ コンプ
リート アジュバント(Freund's Complete adjuvant)と
等量宛混合し、得られた混合物の2.0mlを1回ウサギに筋
肉注射した。その後、胞子浮遊液1mlを1週間間隔で4回
静脈注射し、最後の注射から7日後に採血した。血清は5
6℃で30分間非動化し−20℃で保存した。
【0032】凝集反応用抗原については、精製した微胞
子虫胞子を1%ホルムアルデヒドで処理した後、蒸留水
で遠心洗浄し、この胞子を0.85%NaCl液に浮遊(4×10
個/ml)させることで調製した。上記抗血清を0.85%
NaCl液で2倍階段希釈後、胞子浮遊液とスライドグラス
上で等量宛混合し、37℃で1時間反応せしめた後、倒立
顕微鏡で観察して凝集素価を調べた。抗体(抗血清)の
希釈倍率は16、 32、 64、 128、 256、 512、 1024、 2040と
し、下記の判定基準により2段階評価した。 +:抗原抗体反応が認められる。 −:抗原抗体反応が全く認められない。
【0033】例1 家蚕幼虫に各種の微胞子虫胞子を接種し、培養して、家
蚕幼虫から分離できる各種の微胞子虫胞子の種名、胞子
の大きさ及び抗原性を調べた。微胞子虫としては、表−
1に示すように、ノゼマ ボンビシス(Nosema bombyci
s)(他の微胞子虫の特性を比較するための基準種)、ノ
ゼマ ボンビシス(No.402)、ノゼマ ボンビシス(No.40
8)、ノゼマ ボンビシス(No.520)、ノゼマ ボンビシス
(No.611)、ノゼマ sp.(M 11)、バイリモルファ(Vairimo
rpha)(M l2)、ノゼマ sp.(M 14)、プリストフォーラ(Pl
estophola)(M 25)、プリストフォーラ(M 27)、及びテロ
ファニア(Thelophania) sp.を用いた。検討の結果を表
−1に示す。
【0034】使用した微胞子虫胞子の形は、概ね楕円形
であり、長径と短径とは、それぞれ、3〜5μm及び1〜3
μmであり、その形状と大きさは微胞子虫の種によって
一定であった。すなわち、特定種の微胞子虫を用いるこ
とにより、均一な形のキチンビーズ、キトサンビーズが
自由に調製できる。各種の微胞子虫胞子の長径は、最大
5μm程度であり、所望の用途に合った微胞子虫を対象に
用いることができる。なお、カイコの寄生部位も合わせ
て表−1に示す。 (表−1) 注) *:基準種
【0035】例2 前記表−1記載のノゼマ ボンビシス、ノゼマ sp.(M-
11)及びプリストフォーラ sp.の微胞子虫原虫を用い、
2齢起蚕の家蚕幼虫(日135号×支135号)1頭当たりに3
×10個の各微胞子虫胞子をそれぞれ経口接種し、蚕体
内で微胞子虫胞子を増殖させた後、得られた胞子を取り
出し、これをまず−30℃で凍結乾燥させ、つづいて東西
通商株式会社製の凍結乾燥機で乾燥させて乾燥粉末を得
た。胞子溶液から得られた乾燥粉末の化学成分を簡便に
定性するため、乾燥試料粉末を臭化リチウムと混ぜ合わ
せて錠剤ペレットにして、900〜1200cm−1の波数範囲
における赤外吸収スペクトルを日本分光工業社製の赤外
分光計を用いて測定した。なお、標準試料として、和光
純薬工業株式会社製の市販標準サンプルのキチンを用い
た。その結果を図1に示す。図1において、赤外吸収ス
ペクトル曲線aは市販のキチンを示し、また、曲線b、
c及びdはそれぞれ微胞子虫のノゼマ ボンビシス、ノ
ゼマ sp.及びプリストフォーラ sp.についての結果を示
す。得られた標準試料のキチンの赤外吸収スペクトルで
は985、1025、1065、l100、1145cm に吸収が現れ
た。微胞子虫原虫の種類が異なっても、標準キチン試料
の赤外吸収スペクトルの場合とほぼ同一の波数領域(10
00〜1200cm−1)に同一の吸収が認められたことから、
各種微胞子虫胞子の細胞壁を構成する主要成分がキチン
であることが確かめられた。
【0036】また、経口接種の代わりに経皮接種した場
合も、上記と同様な結果が得られる。また、家蚕幼虫の
代わりに、オオモンシロチョウ、エゾシロチョウ、オビ
ヒトリ、ヒマサン、アメリカシロヒトリ及びシンジュサ
ン等を微胞子虫胞子の宿主として用いた場合にも、上記
と同様に細胞壁を構成する主要成分がキチンである微胞
子虫胞子が得られる。
【0037】例3 例2と同じ微胞子虫原虫から得られる乾燥胞子粉末の結
晶形態を定性的に解明するため、X線回折装置(理学電
機株式会社製)を用いてX線回折写真を撮影した。得ら
れた各試料の面間距離の測定値を基準品キチンと共に表
−2に示す。微胞子虫原虫の種類が異なっても、試料の
X線回折写真には、いずれも8.53、 6.70、 4.64、 3.31Å
の面間距離に対応した回折が見られるが、これらはいず
れも幅広いハローを示した。キチン標準品のX線回折図
には、9.30、6.90、4.64、3.36、3.00、2.80Åの面間距
離に対応した回折が現れており、胞子のX線回折図と類
似していた。微胞子虫胞子の細胞壁を構成する主要物質
がキチンであることが、X線回折写真によっても確認で
きた。 (表−2)
【0038】例4 蚕糸・昆虫農業技術研究所保存の微胞子虫、ノゼマ ボ
ンビシスの胞子を供試し、2齢起蚕の家蚕幼虫(日135号
×支135号)1頭当たりに3×10個/mlのノゼマボンビ
シス胞子を経口接種した。家蚕幼虫体内では微胞子虫胞
子が極めて多量に増殖し、胞子形成が起こったため、家
蚕幼虫は5齢期にすべて微粒子病にかかって死亡した。
死亡幼虫を0.85%塩化ナトリウム水溶液中で磨砕した
後、脱脂綿で濾過し胞子を採集した。胞子の精製は、0.
85%塩化ナトリウム水溶液の胞子浮遊液2部を8部のパー
コール(商品名:ファーマシア社製、スェーデン)(Pe
rcoll(Pharmacia Sweden))に重層し、3,000rpm、25
℃、30分間遠心分離して行った。家蚕幼虫1頭から得ら
れたノゼマ ボンビシス胞子数は、全体で約1×1010
個であった。胞子の水溶液を乾燥することにより粉末状
の胞子100mgが得られた。
【0039】例5 アンテラエア ユーカリプティ培養細胞に対する微胞子
虫ノゼマ ボンビシスの胞子形成状態を次のようにして
検討した。異なる量の家蚕の血清(家蚕体液の上清)を
加えた市販の細胞培養培地(グレース(Grace)培養液、
ギブコ(Gibco)社製)に、アンテラエア ユーカリプテ
ィ培養細胞を接種した後、微胞子虫ノゼマボンビシス胞
子の一定量を加え、所定の時間培養し、1ml当たりに含
まれる胞子数を血球密度計算板を用いて顕微鏡観察によ
り測定した。5齢家蚕幼虫の脚をハサミで切断し、氷で
冷却したガラス製の試験管に体液を集め、集約した体液
をウォーターバスで60℃で15分間加熱し、体液中に含ま
れる蛋白質を除去し、かくして得られた体液の上清を用
いた。測定結果を表−3に示す。
【0040】この結果から明らかなように、培養細胞を
増殖する際に、培養液に一定濃度の家蚕体液の上清を入
れると、微胞子虫胞子は培養細胞内で容易に多量増殖し
胞子を形成した。微胞子虫胞子を経済的且つ効率的に生
産するための家蚕体液の上清の添加量は、培養液に対し
一般に約5〜50重量%の範囲、好ましくは約10〜40重量
%の範囲である。 (表−3)
【0041】例6 例5とは違った、他の昆虫由来の培養細胞を用いて、培
養細胞中での微胞子虫胞子の増殖状態を検討した。ノゼ
マ ボンビシス及びノゼマ sp.(M11)の2種類を異なる種
類の昆虫培養細胞に接種し、昆虫培養細胞中で増加する
微胞子虫胞子の数を調べた。なお、培養細胞の増殖方法
は例5と同様であり、培養液に加える体液量を細胞培養
培地重量基準で0%と20%とした場合について評価し
た。得られた結果を表−4に示す。 (表−4)
【0042】例7 前記例4で調製した微胞子虫、ノゼマ ボンビシス胞子
の細胞壁物質から次の方法でキトサン微胞子を調製し
た。まず、この微胞子虫胞子を40%水酸化ナトリウム溶
液中、80℃で4時間処理後、水を加えて洗浄した。その
結果、微胞子細胞壁の主要成分のキチンはN−脱アセチ
ル化された。各微胞子虫胞子を、光学顕微鏡観察及び走
査型電子顕微鏡観察したところ、N−脱アセチル化処理
しても微胞子虫胞子が溶解することはなく、微胞子形状
は保たれたままであることが確認された。
【0043】例8 例4と同様に処理したノゼマ ボンビシス胞子であっ
て、加水分解処理により胞子の内容物を除去して得た粉
末状キチン胞子2mgの細胞壁組織に次のようにして抗生
物質を吸着させた。加水分解処理にあたっては、室温の
1N NaOHで12時間処理した後、1N HClで再度12時間処理
した。NaOH及びHCl処理を1サイクルとして、合計5サ
イクル繰り返した後、胞子を脱水するため最後に95%エ
タノールで2時間処理した。こうして微胞子虫胞子の細
胞壁物質である蛋白質を完全に除去できた。また、抗生
物質の吸着については、リファンピシン又はテトラサイ
クリン10mgを3mlの蒸留水に溶解させたもの及び該キチ
ン胞子をチューブにいれ、水道アスピレーターで減圧、
脱気を3回繰り返し、更に抗生物質が細胞壁組織に浸透
するように超音波を10分間かけることによって行った。
次に、遠心器で2500rpm、20分間遠心分離させ、抗生物
質を含んだキチン胞子を沈殿させた。さらに、蒸留水を
10ml加えて再度遠心分離させ、上清をデカンテーション
法で除去してリファンピシン又はテトラサイクリンを包
含したキチン胞子を単離した。
【0044】ノゼマ ボンビシス胞子にリファンピシン
又はテトラサイクリンが担持されているかどうかを次の
ようにして確認した。ノゼマ ボンビシス胞子を丁寧に
3回水洗いした後、3000rpm、20分の遠心分離操作で回収
した胞子が、トマトかいよう病細菌(Clavibacter mich
iganensis pv. michiganensis)の増殖をどの程度阻害
するかを評価することにした。その結果、水洗いを繰り
返して行ったノゼマボンビシス胞子でもトマトかいよう
病細菌の増殖を完全に阻害することから、抗生物質が胞
子に担持されているものと判断した。
【0045】例9 例2に示した赤外吸収スペクトル測定用試料ディスクの
作成方法を応用して、臭化リチウムを全く用いずにノゼ
マ ボンビシス胞子のみからなる円形板ディスクを次の
ようにして調製した。例4で得られた粉末状のノゼマ
ボンビシス胞子200mgを、日本分光工学工業社製の直径1
0mmφの赤外吸収スペクトル錠剤成型器に入れ、真空ポ
ンプで20分間脱気したのち、油圧式の加圧装置を用いて
錠剤成型器に150kg/cmの圧力を加え、この状態で10
分間圧力を保持させることで、厚さが約0.3mmで強靭な
円形板ディスクを調製した。かくして、本発明により得
られる微胞子虫胞子等は塊状材料として用いることがで
きる。
【0046】例10 例4で得られた粉末状のノゼマ ボンビシス胞子200mg
を冷却器付きの50mlナス型フラスコに入れ、40重量%の
水酸化ナトリウム水溶液30mlを加えオイルバスを用いて
100℃で3.0時間処理することにより脱アセチル化度93.6
%の均一微細粒径のキトサンビーズを得た。
【0047】例11 天敵微生物の保護効果(微胞子虫胞子利用による紫外線
からの細菌保護効果):微胞子虫胞子に細菌を次のよう
にして封入した。例8の場合と同様の条件下での加水分
解処理により胞子の内容物を除去したもので、例4と同
様に処理して得た粉末状のノゼマ ボンビシス胞子2mg
を細胞培養用の遠心管に入れ、これにヒラタケ腐敗病細
菌(Pseudomonas tolaasii)又はトマトかいよう病細菌
Clavibacter michiganensis pv. michiganensis)の1
0個/ml濃度の懸濁液2.0mlを加えて、水道を利用した
アスピレーターで10分間滅圧にした後、減圧を解除して
空気を導入した。減圧と空気導入を3回繰り返した。次
に、遠心器で1000rpmで10分間遠心分離し、胞子を遠心
管底に集めた。沈殿した胞子(以下、有胞子区という)
0.2mlを取り、直径9cmのガラス製シャーレ内の寒天培地
上にL字棒で一様に広げた。胞子液が培地上で水状でな
くなるまで風乾してから、紫外線(UV)ランプより20cmの
距離に培地を置き、10秒、30秒、1分、2分、5分間照射
した。なお、UV照射実験は、クリーンベンチ内で行い、
光源にはナショナルGL-15(15W)の殺菌灯を用いた。紫外
線照射3日後シャーレの1/6面積に出現した菌数を数えて
照射による微胞子虫胞子の保護効果を評価した。得られ
た結果を表−5に示す。なお、微胞子虫胞子を全く含ま
ない系で、上記と同様に遠心管で沈殿させて得た細菌液
を対照区として用いた(以下、無胞子区という)。
【0048】(表−5)
【0049】上記表−5において、シャーレの1/6面積
中に出現した細菌集落(コロニー)数が多過ぎて測定で
きない場合は、「多」と表示し、また、コロニー数は多
いが量的に区別可能なものについては、+++〜−
(無)の4段階で表示した。紫外線照射に対する胞子に
よる細菌の保護効果は次のようにして定量化した。片対
数方眼用紙を用い、シャーレの1/6面積に出現した菌数
の対数を縦軸にとり、照射時間を分単位で横軸にとる。
このグラフからシャーレに出現する菌数が減少しておよ
そ20個になる照射時間を求めると、無胞子区では30秒、
有胞子区では5分であった。この結果から、ヒラタケ腐
敗病細菌をノゼマ ボンビシス胞子に封入することで、
紫外線が当たっても内部に封入した細菌の死滅割合は無
胞子区に比較して低く、約10倍の保護効果があることが
明らかとなった。また、トマトかいよう病細菌の場合も
保護効果があることが明らかである。封入による保護効
果が認められたことから、細菌、酵素、生理活性物質等
を封入した本発明の微胞子虫胞子は、天敵微生物用の保
護担体等として有用である。
【0050】例12 キチン胞子への抗生物質の吸着試験:キチンビーズを濃
度の濃いアルカリ溶液で次のようにしてキトサンビーズ
に改質した。キチンビーズ100mgを冷却還元器付のナス
型フラスコに入れ、30重量%のNaOH水溶液を50ml加え、
オイルバスを用いて100℃で2時間処理した。反応終了
後、十分な蒸留水で洗浄し、遠心器で3000rpmで10分間
回転させ、キトサンビーズを調製した。次いで、リファ
ンピシン10mgを水3mlに溶かして調製した抗生物質の水
溶液0.2mlに、上記キトサンビーズ0.5mgを加えた後、水
道アスピレーターで脱気を5回繰り返した区を作製し
た。例8と同じ方法によりトマトかいよう病細菌の増殖
阻害を調べたところ、リファンピシン脱気5回繰り返し
区のキトサンビーズには抗生物質が吸着されていること
が明らかになった。リファンピシンを吸着させた微胞子
虫胞子のキトサンビーズが徐放担体として有効であるか
を調べるため、トマトかいよう病細菌を用いて徐放効果
を評価した。
【0051】上記したように、0.5mgの微胞子虫胞子の
キトサンビーズの粉末を上記のリファンピシン水溶液0.
2mlに分散させ、この分散液を、遠心管中に入れた。次
いで、5000rpmで3分間速心分離し、微胞子虫胞子沈殿物
と上清とを分離した。沈殿物0.1mlを別の遠心管に入
れ、これに新たに1mlの蒸留水を加えて再度遠心分離
し、上清と微胞子虫胞子沈殿物とを同様の方法で分離し
た。かくして得られた沈殿物と上清部分について、一定
の時間毎に、トマトかいよう病細菌の増殖抑制に及ぼす
抗菌作用を調べた。このようにして得られた結果を表−
6に示す。 (表−6)
【0052】微胞子虫胞子を含む沈殿物は、上清に比べ
て常に高い抗菌活性を示し、8日後でも抗菌活性が認め
られたことから、抗生物質の吸着された微胞子虫胞子は
抗生物質の徐放担体として有効であると判断された。対
照として用いた上清希釈液は、経過時間0日に対応した
上清を原液として用い、経過時間2、4、6、8日ごとに1/
10に希釈したものである(経過時間2、4、6、8日に対応
して10、100、1000、10000倍に希釈された)。1000倍に
希釈すると対照上清希釈液の抗菌作用は失われている
が、同試料に対応した上清の抗菌性は依然発現してい
る。このことからも、微胞子虫胞子が抗生物質用徐放担
体として有効であることがわかる。
【0053】例13 培養細胞を用いる微胞子虫胞子の生産:昆虫培養細胞と
して、ヤママユガ科の一種アンテラエア ユーカリプテ
ィの培養細胞系、鱗翅目昆虫由来のBm36培養細胞系を用
いた。アンテラエア ユーカリプティの培養細胞系及び
Bm36培養細胞系のそれぞれを、グレース(Grace)培地
に60℃、15分間の加熱処理をした家蚕幼虫体液の上清及
びウシ胎児血清をそれぞれ5%加えた培養液を用いて、2
6℃で培養した。培養細胞への微胞子虫胞子の接種は、
次のようにして行われた。すなわち、部分精製した微胞
子虫胞子をパーコールを用いて精製し、0.2N-KOHで25
℃、30分間処理後、得られた精製胞子を培養細胞と混合
して接種した。接種10日以降にこれらの培養細胞を採取
し、超音波洗浄器で処理して破壊した培養細胞浮遊液を
パーコールに重層し、遠心分離操作することにより、微
胞子虫胞子が多量に調製された。
【0054】例14 例1で用いたものと同一の微胞子虫胞子(ノゼマ ボン
ビシス)の細胞壁物質の蛋白質を次のようにして除去す
ることにより非抗原性のキチンビーズを製造した。ま
ず、加水分解処理にあたっては、室温の1N NaOHで12時
間処理した後、1N HClで再度12時間処理した。NaOH及び
HCl処理を合計5回繰り返した後、胞子を脱水するため最
後に95%エタノールで2時間処理した。次に、2000rpmで
20分間遠心分離処理して胞子を沈殿させ、この沈殿物に
水を加えるという遠心分離操作を7回繰り返し、胞子細
胞壁物質の蛋白質を完全に除去したキチンビーズを製造
した。かくして得られたキチンビーズの抗原抗体反応を
血清反応的に調べるため、無処理の微胞子虫胞子を用い
てウサギから作った抗血清を供試し、この抗血清の希釈
液を用いて、非処理胞子(対照区試料)及び処理胞子
(加水分解処理試料)に対する血清反応がどの程度の希
釈液まで起こるかを比較した。その結果を表−7に示
す。
【0055】(表−7) 注)+:血清反応あり。 −:血清反応なし。 非処理胞子(対照区試料)では希釈倍率が1024倍になっ
ても血清反応がみられたのに対し、処理胞子(加水分解
処理試料)では16倍希釈でも反応は全く見られなかっ
た。かくして、加水分解処理によって胞子の細胞壁成分
中の抗原となる蛋白類は完全に除去され、得られたキチ
ンビーズは非抗原性であると判断された。
【0056】酸及び/又はアルカリにより微胞子虫胞子
の細胞壁物質の蛋白質が除去され、主要成分のキチン量
が相対的に増加するのは、X線回折強度測定からも確認
された。微胞子虫胞子をコロジオンで固めてX線回折測
定すると、前述の表−2に見られるように、R、R
R、Rの回折環(干渉環)があらわれるが、いずれも
散漫な回折環を示す。しかし、酸及び/又はアルカリで
細胞壁物質のうち蛋白質のみを除去すると、この処理微
胞子虫胞子のキチンが示すR〜Rの回折強度がシャー
プになり、キチン含有量が増していることが実証され
た。また、加水分解処理試料を25℃で1%のニンヒドリ
ンと20時間反応させても、呈色反応は一切起こらず、試
料中にアミノ酸が全く存在しないことが確かめられた。
【0057】例15 微細な孔を有するキチンビーズ及びキトサンビーズ:例
1で用いたのと同一の微胞子虫胞子(プリスト フォー
ラ M27)の浮遊液を0.2Nの水酸化カリウム水溶液中
に入れ、25℃で30分間放置した。1時間後に和光純薬工
業製の生化学用pH7.2リン酸緩衝液でこの試料を中和し
た。この簡単な処理で微胞子虫胞子内の細胞物質が活性
化し、細胞内容物が胞子から放出され、この際に、大き
さ約0.3μmの孔が1つあくことが走査型電子顕微鏡観察
により確認された。この細胞物質放出後の微胞子虫胞子
は、長径1.7μm×短径0.9μmのサイズで、細胞膜厚が約
0.13μmで、細胞壁内が完全に空隙の楕円球状を呈し、
細胞物質を放出した跡の孔は、楕円球体の長径方向の一
端にあった。このような孔ができるため、この微胞子虫
胞子の環境圧力を減圧、又は減圧解除することにより、
酵素、抗生物質、金属イオン、医薬品、ウイルス、生理
活性物質等を微胞子内空隙に簡易に封入することができ
るので、本発明のキチンビーズ及びキトサンビーズは、
大きさの揃った、微粒状態で、これらの薬効成分の徐放
支持体として有用である。
【0058】例16 微細な孔を有するキチンビーズ及びキトサンビーズ:例
15で用いた微胞子虫胞子の代わりにノゼマ ボンビシ
スNo.520を用いて、例15と同様に処理した。か
くして得られた細胞物質放出後の微胞子虫胞子は、長径
2.6μm×短径1.4μmのサイズで、細胞膜厚が約0.13μm
で、細胞壁内が完全に空隙の楕円球状を呈し、細胞物質
を放出した跡には、楕円球体の長径方向の一端に直径が
0.1μmの孔が1つあくことが透過型電子顕微鏡観察によ
り確認された。このような孔ができるため、例15の場
合と同様に薬効成分の徐放支持体として有効である。
【0059】例17 微胞子虫胞子の細胞壁物質より蛋白質だけを除去したも
のの安全性の試験を次のようにして行った。例1で調製
した微胞子虫胞子を酸で加水分解処理した胞子浮遊液
(4×10胞子/ml)を、1週間間隔で4回ウサギの静脈
に注射し、ウサギの成育経過を観察した。接種6ケ月
後、注射をしない対照区のウサギと比べて、注射をした
処理区のウサギについては体重変化の異常も、外見上の
異常も全く確認されなかった。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、家蚕幼虫体液の上清を
5〜50重量%含む細胞培養培地に昆虫由来の培養細胞を
加え、これに微胞子虫胞子を接種することにより、微胞
子虫胞子を効率的且つ経済的に製造することができる。
得られた粒状の微胞子虫胞子の細胞壁物質の主要成分が
キチンであるので、この微胞子虫胞子から均一微細粒径
のキチンビーズ及びキトサンビーズを効率的且つ経済的
に提供することができる。上記均一微細粒径のキチンビ
ーズ及びキトサンビーズは、薬物デリバリーシステム用
担体として、さらには化粧ファンデーション素材として
利用できる。キトサンビーズに酵素や生体細胞等を付
着、固定することにより、バイオリアクターとして、食
品工業分野、その他の広い産業分野において利用でき
る。
【0061】また、これらのビーズの表面及び/又は内
部に酵素若しくは免疫抗体等を結合させることにより、
免疫担体としても利用できる。また、キチンをグリコー
ルキチン、カルボキシメチルキチンへと改質した改質キ
チンビーズは、保湿性に優れているため、化粧品材料と
して利用できる。また、微胞子虫胞子又はキチンビーズ
に、ビニル化合物等をグラフト加工した後、これに酵素
を固定化させれば、酵素活性の安定性を高めるだけでな
く、有効表面積の広い微粒子という特徴を活かして、さ
らに効率的な酵素機能を発揮させることが可能である。
【0062】上記キチンビーズ、キトサンビーズの蛋白
質除去処理を行ったものは、ヒトを含めた動物の体内に
埋め込んでも、抗原抗体反応は起こらないので、徐放用
担体として利用できる。また、キチンビーズ、キトサン
ビーズは、所定の時間経過後、体内の酵素により分解さ
れるので、生体内で分解される安全素材として利用でき
る。キチンビーズ、キトサンビーズは、生体組織体内に
入れても抗原とはなり難いため、これに生理作用を持つ
医薬品を固定化させて、それを体内に埋め込んで使用す
ることが可能であり、特に、抗ガン作用の医薬品を封入
したキチンビーズ、キトサンビーズは、ミサイルキャリ
アーとして先端的な医療分野で利用できる。
【0063】また、本発明で得られた微胞子虫胞子から
なるキチンビーズ、キトサンビーズは、内部に空隙のあ
る中空ビーズとすることもできる。細胞壁組織には微細
な孔が開いているので、生体細胞、細菌、抗生物質、生
理活性物質等を微細な孔を通して空隙に封入することが
できる。封入された物質は、外界のタンパク質変性要因
(紫外線等)の影響を受けにくいので、その生物的な活
性を長く保つことが可能となる。かくして、かかるビー
ズは、例えば、天敵微生物保護材の新しい素材としても
利用できる。
【0064】本発明で得られた微胞子虫胞子は、医薬
品、生理活性物質、ホルモン、ワクチン等のマイクロカ
プセル基材としても優れており、農薬、肥料等を微胞子
虫胞子に封入してカプセル化したものは土壌改質材とし
て利用できる。また、飼料成分を封入してカプセル化し
たものは、家畜飼料や養魚飼料として利用することがで
きる。本発明では、加水分解処理の程度、又は、微胞子
虫胞子の細胞壁に微細な孔をあける程度を加減すること
で、医薬品、生理活性物質、抗生物質等の徐放速度、徐
放量、生分解性の程度を簡単に制御できる。さらには、
キチンビーズ、キトサンビーズは生体内の酵素により次
第に分解が進むので、生分解性素材としても利用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 例2で得られた乾燥粉末(キチンビーズ)と
標準サンプルのキチンとを比較して示す赤外線吸収スペ
クトルである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−37490(JP,A) 特開 平2−84173(JP,A) 特開 平2−255083(JP,A) 特開 昭50−19981(JP,A) 特開 平7−25905(JP,A) 特開 昭50−116632(JP,A) 特開 平4−132701(JP,A) 蚕糸・昆虫農業技術研究所研究報告 (1993),第7号,p47−63 日蚕雑(1986),Vol.55,No. 1,p.28−32 日本応用動物昆虫学会誌(1997年5月 25日),Vol.41,No.2,p.89 −94 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/10 C08B 37/08 A61K 9/50 A61K 47/36 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG) JSTPlus(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 家蚕幼虫体液の上清を5〜50重量%含む
    細胞培養培地に昆虫由来の培養細胞を加え、これに微胞
    子虫胞子を接種して増殖させた後、増殖した細胞より微
    胞子虫胞子を取り出し、この増殖した微胞子虫胞子を過
    酸化水素水溶液で処理して、又はこの増殖した微胞子虫
    胞子をアルカリ水溶液処理後リン酸緩衝液で処理して、
    該微胞子虫胞子の細胞壁に径0.1〜0.3μmの孔が
    開いた微胞子虫胞子を得ることを特徴とする微胞子虫胞
    子の製造法。
  2. 【請求項2】 昆虫に濃度5×10 〜5×10 個/mlの微
    胞子虫胞子を経皮的に接種して増殖させた後、生育した
    昆虫体内より増殖した微胞子虫胞子を取り出し、この増
    殖した微胞子虫胞子を過酸化水素水溶液で処理して、又
    はこの増殖した微胞子虫胞子をアルカリ水溶液処理後リ
    ン酸緩衝液で処理して、該微胞子虫胞子の細胞壁に径
    0.1〜0.3μmの孔が開いた微胞子虫胞子を得るこ
    とを特徴とする微胞子虫胞子の製造法。
  3. 【請求項3】 前記昆虫が家蚕幼虫であることを特徴と
    する請求項2記載の微胞子虫胞子の製造法。
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蚕糸・昆虫農業技術研究所研究報告(1993),第7号,p47−63

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