JP3455793B2 - 歯科用補綴物の製造装置 - Google Patents

歯科用補綴物の製造装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用の補綴物を
自動設計し、さらに自動加工するのに用いられる歯科用
補綴物の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の装置は、例えばレーザ光を用い
た三次元形状の測定手段や数値制御される多軸加工手段
などを備えており、測定手段において、補綴修復を要す
る支台歯、支台歯の隣接歯および支台歯の対合歯の噛合
い面の三次元形状を測定し、こののち、多軸制御手段に
おいて、測定手段からの形状データに基づいて被加工材
料を補綴物に加工するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したよ
うな歯科用補綴物の製造装置において加工される補綴物
には、金銀パラジウム合金などが用いられている。この
種の合金は高価でありまた再生が可能であるため、加工
した際の切削屑を回収し、これを再利用するようにして
いる。このため、加工時における再生利用可能な切削屑
の量は技工上有益な情報になるのであるが、従来では、
切削屑を回収してから、別の手段を用いて切削屑の量を
計測していたため、作業に手間がかかると共に、回収す
るタイミングの目処がつけにくいという問題があり、こ
のような問題を解決することが課題であった。
【0004】
【発明の目的】本発明は、上記従来の課題に着目して成
されたもので、補綴物の製造と並行して補綴物を加工す
る際の切削屑の量を把握することができる歯科用補綴物
の製造装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる歯科用補
綴物の製造装置は、請求項1として、補綴修復を要する
支台歯、支台歯の隣接歯および支台歯の対合歯の噛合い
面の三次元形状を測定して得た形状データに基づいて補
綴物を加工する多軸加工手段を備えた歯科用補綴物の製
造装置において、多軸加工手段で補綴物を加工する際の
切削屑の量を検出する回収量検出手段を備え、回収量検
出手段が、被加工材料の形状データと補綴物の形状デー
タから切削屑の量を演算する回収量演算手段を備えてい
る構成とし、請求項2として、補綴修復を要する支台
歯、支台歯の隣接歯および支台歯の対合歯の噛合い面の
三次元形状を測定して得た形状データに基づいて補綴物
を加工する多軸加工手段を備えた歯科用補綴物の製造装
置において、多軸加工手段で補綴物を加工する際の切削
屑の量を検出する回収量検出手段を備え、回収量検出手
段が、多軸加工手段を駆動する加工プログラムから求め
た工具移動量に基づいて切削屑の量を演算する回収量演
算手段を備えている構成とし、請求項3として、回収量
検出手段が、回収量演算手段と、回収量演算手段で演算
した結果を認識可能に出力する回収量認識手段を備えて
いる構成とし、請求項4として、回収量検出手段が、切
削屑の量に基づいて切削屑の回収量を演算する手段であ
る構成としており、上記の構成を従来の課題を解決する
ための手段としている。
【0006】なお、請求項3の回収量認識手段では、回
収量演算手段により求めた切削屑の量を表示したり記録
したりして、その量を認識可能に出力する。
【0007】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わる歯科用補綴物
の製造装置では、多軸加工手段で補綴物を加工する際の
切削屑の量を検出する回収量検出手段の回収量演算手段
において、被加工材料の形状データと補綴物の形状デー
タから切削屑の量を演算することにより、補綴物の加工
と並行して切削屑の量が求められる。
【0008】本発明の請求項2に係わる歯科用補綴物の
製造装置では、多軸加工手段で補綴物を加工する際の切
削屑の量を検出する回収量検出手段の回収量演算手段に
おいて、多軸加工手段を駆動する加工プログラムから求
めた工具移動量に基づいて切削屑の量を演算することに
より、補綴物の加工と並行して切削屑の量が求められ
る。
【0009】本発明の請求項3に係わる歯科用補綴物の
製造装置では、回収量検出手段において、回収量演算手
段により多軸加工手段で補綴物を加工する際の切削屑の
量を演算し、回収量認識手段により回収量演算手段で演
算した結果を認識可能に出力するので、補綴物の加工と
並行して切削屑の量を認識し得ることとなる。
【0010】本発明の請求項4に係わる歯科用補綴物の
製造装置では、回収量検出手段により、切削屑の量に基
づいて同切削屑の回収量が求められる。
【0011】
【0012】
【発明の効果】本発明の請求項1に係わる歯科用補綴物
の製造装置によれば、被加工材料の形状データと補綴物
の形状データから切削屑の量を演算する回収量演算手段
を備えた回収量検出手段を採用したことから、補綴物の
加工と並行して切削屑の量を把握することができるよう
になり、従来のように切削屑を一旦回収して別の計量手
段で計量する場合に比べて、計量の手間を省くことがで
き、また、常に切削屑の量を把握することが可能となる
ので、切削屑の回収のタイミングを図ることなどがきわ
めて容易になる。
【0013】本発明の請求項2に係わる歯科用補綴物の
製造装置によれば、多軸加工手段を駆動する加工プログ
ラムから求めた工具移動量に基づいて切削屑の量を演算
する回収量演算手段を備えた回収量検出手段を採用した
ことから、補綴物の加工と並行して切削屑の量を把握す
ることができるようになり、従来のように切削屑を一旦
回収して別の計量手段で計量する場合に比べて、計量の
手間を省くことができ、また、常に切削屑の量を把握す
ることが可能となるので、切削屑の回収のタイミングを
図ることなどがきわめて容易になる。
【0014】本発明の請求項3に係わる歯科用補綴物の
製造装置によれば、請求項1および2と同様の効果を得
ることができるうえに、回収量認識手段において切削屑
の量を表示したり記録したりすることにより、補綴物の
加工と並行して切削屑の量を常に把握し且つ容易に認識
することができる。
【0015】本発明の請求項4に係わる歯科用補綴物の
製造装置によれば、請求項1〜3と同様の効果を得るこ
とができるうえに、補綴物の加工と並行して切削屑の量
および切削屑の回収量を把握することができ、切削屑の
回収に係わる利便性をさらに高めることが可能となる。
【0016】
【0017】
【実施例】図1は、本発明の請求項1,3および4に係
わる歯科用補綴物の製造装置の一実施例をフローチャー
トとともに説明する図である。
【0018】歯科用補綴物の製造装置は、概略として、
例えばレーザ光を用いた三次元形状測定装置1と、補綴
物の自動設計などを行う制御装置2と、数値制御される
多軸加工手段3と、多軸加工手段3で補綴物を加工する
際の切削屑の量を検出する回収量検出手段4を備えてい
る。
【0019】三次元形状測定装置1は、ステップS1に
おいて、補綴修復を要する支台歯、隣接歯および支台歯
の対合歯を備えた歯牙模型の取付けを行ったのち、ステ
ップS2において、支台歯、隣接歯および対合歯の噛合
い面といった三次元形状を測定する。
【0020】制御装置2は、ステップS3において、三
次元形状測定装置1により測定された形状データから補
綴物の形状を自動的に設計し、ステップS4において、
製造プロセスを選択してその指示を行い、ステップS5
において、多軸加工手段4のNCプログラムを自動生成
したのち、ステップS6において、被加工材料の比重や
体積等のデータの選択指定を行う。
【0021】多軸加工手段3は、ステップS7におい
て、被加工材料の取付けを行い、ステップS8におい
て、制御装置2からのNCプログラムに基づいて被加工
材料を切削加工する。そして、多軸加工手段3により成
形された補綴物には、ステップS9において、仕上げが
施される。
【0022】回収量検出手段4は、多軸加工手段3で補
綴物を加工する際の切削屑の量を演算する回収量演算手
段5と、回収量演算手段5で演算した結果を認識可能に
出力する回収量認識手段6を備えており、この実施例で
は、回収量演算手段5が、被加工材料の形状データと補
綴物の形状データから切削屑の量を演算する。
【0023】ここで、図2は被加工材料および補綴物を
説明する図である。被加工材料10は、例えば金銀パラ
ジウム合金であって、ブロック状を成しており、直方体
の被加工部10aと、被加工部10aの一端部に連続す
る円盤状のフランジ部10bと、多軸加工手段3への取
付け部分となるホルダ部10cを有している。この被加
工材料10は、多軸加工手段3で被加工部10aを切削
することにより、支台歯に対応した空洞部11aを有す
る補綴物11に成形される。また、成形後の補綴物11
は、フランジ部10b側の未加工部10dと柄10eに
よって結合されている。なお、柄10eの断面積および
長さは、材料力学的に加工支持剛性を確保するために予
め設定し得る既知の値である。
【0024】回収量検出手段4は、ステップS10にお
いて、制御装置2のステップS3で自動設計した補綴物
の形状データから補綴物の体積Vを演算し、その値を回
収量演算手段5に入力する。また、回収量演算手段5に
は、制御装置2のステップS6から被加工材料の形状デ
ータとして、比重ρや被加工材料のブロック体積V0が
入力される。
【0025】さらに、ステップS11の回収において
は、図示しない加工液循環系に設けたフィルタで切削屑
を回収した後に、回収によるキャンセル情報を例えばキ
ャンセルスイッチから得るようにしており、フィルタの
特性により決定した定数Kや、キャンセル信号により零
値を与える係数Cを回収量演算手段5にフィードバック
するようにしている。
【0026】回収量演算手段5では、図2に示す補綴物
11と柄10eを合計した体積をVとし、被加工材料1
0の被加工部10aにおける端面の横寸法および縦寸法
をD1およびD2とし、被加工材料10のホルダ部10
cの端面から被加工部10aの先端までの長さをLと
し、ホルダ部10cの端面から未加工部10dの先端ま
での長さをxとして、除去体積Vrを次の式により求め
る。
【0027】Vr=D1×D2×(L−x)+V また、当該歯科用補綴物の製造装置では、回収量検出手
段4の回収量演算手段5において、上記の除去体積V
r、先のフィルタの定数K、係数C、被加工材料の比重
ρおよび前回までの回収可能量R0から、回収量(グラ
ム表示)Rを次の式により求める。
【0028】R=C×(R0+K×ρ×Vr) そして、回収量検出手段4では、上記のようにして演算
した回収量Rを回収量認識手段6に入力する。回収量認
識手段6では、その回収量Rを表示するとともに記録し
ており、回収量Rを認識可能にしている。
【0029】このように、歯科用補綴物の製造装置で
は、ステップS1〜S9における補綴物の加工と並行し
て、回収量検出手段4によって加工の際の切削屑の量
(除去体積Vr)を検出し、さらに、切削屑の量に基づ
いて切削屑の回収量Rが常に把握できるようにしてお
り、切削屑を一旦回収して別の手段により計量するよう
な手間を一切不要にしている。
【0030】図3は、本発明の請求項2〜4に係わる歯
科用補綴物の製造装置の一実施例を説明する図である。
なお、図3では、先の実施例と同一の構成部位には同一
の符号を付しており、図1に示す三次元形状測定装置1
を省略している。
【0031】制御装置2では、ステップS21における
補綴物形状データに基づいて、次のステップS5で多軸
加工手段4のNCプログラムを自動生成している。
【0032】また、回収量検出手段4は、多軸加工手段
3で補綴物を加工する際の切削屑の量を演算する回収量
演算手段5と、回収量演算手段5で演算した結果を認識
可能に出力する回収量認識手段6を備えており、この実
施例では、回収量演算手段5が、多軸加工手段3を駆動
する加工プログラムから求めた工具移動量に基づいて切
削屑の量を演算する。
【0033】つまり、回収量検出手段4は、ステップS
22において、制御装置2のステップS21で自動生成
されたNCプログラムから、多軸加工手段3における工
具移動量Pを求めたのち、回収量演算手段5において、
工具移動量Pの関数で除去体積Vrを換算するようにし
ている。そして、回収量検出手段4では、回収フィルタ
の比例定数K´、キャンセル信号により零値を与える係
数C、被加工材料の比重ρおよび前回までの回収可能量
R0から、回収量(グラム表示)Rを次の式により求め
る。
【0034】R=C×(R0+K´×ρ×f(P)) f(P)=a×P+b ただし、
a,bは定数。
【0035】上記のように求めた回収量Rは、回収量認
識手段6に入力され、同回収量認識手段6において表示
するとともに記録されることとなり、この実施例の歯科
用補綴物の製造装置においても、先の実施例と同様の効
果を得ることができる。
【0036】なお、上記の各実施例において、選択した
被加工材料の種類が前回の被加工材料の種類と異なる場
合、その違いを認知するのは容易であって、例えば制御
装置2から回収量検出手段4に入力される被加工材料の
データを変更すればよく、その結果を回収量検出手段4
において表示したり警報を発するようにしたりすること
も容易にできる。また、上記各実施例における歯科用補
綴物の製造装置では、異なる材料を用いて繰り返し加工
を行ったとしても、加工を行う度に材料のデータや切削
屑の量および回収量を把握することができるので、回収
総量中における特定の材料の量を把握することも可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1,3および4に係わる歯科用
補綴物の製造装置の一実施例をフローチャートとともに
説明するブロック図である。
【図2】被加工材料および補綴物を説明する側面図
(a)および被加工部の端面側からの正面図(b)であ
る。
【図3】本発明の請求項2〜4に係わる歯科用補綴物の
製造装置の一実施例をフローチャートとともに説明する
ブロック図である。
【符号の説明】
3 多軸加工手段 4 回収量検出手段 5 回収量演算手段 6 回収量認識手段 10 被加工材料 11 補綴物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上 田 文 男 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社 内 (72)発明者 松 田 敏 彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社 内 (56)参考文献 特開 平5−49651(JP,A) 実開 平6−75419(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61C 5/10 A61C 13/00 B23Q 17/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 補綴修復を要する支台歯、支台歯の隣接
    歯および支台歯の対合歯の噛合い面の三次元形状を測定
    して得た形状データに基づいて補綴物を加工する多軸加
    工手段を備えた歯科用補綴物の製造装置において、多軸
    加工手段で補綴物を加工する際の切削屑の量を検出する
    回収量検出手段を備え、回収量検出手段が、被加工材料
    の形状データと補綴物の形状データから切削屑の量を演
    算する回収量演算手段を備えていることを特徴とする歯
    科用補綴物の製造装置。
  2. 【請求項2】 補綴修復を要する支台歯、支台歯の隣接
    歯および支台歯の対合歯の噛合い面の三次元形状を測定
    して得た形状データに基づいて補綴物を加工する多軸加
    工手段を備えた歯科用補綴物の製造装置において、多軸
    加工手段で補綴物を加工する際の切削屑の量を検出する
    回収量検出手段を備え、回収量検出手段が、多軸加工手
    段を駆動する加工プログラムから求めた工具移動量に基
    づいて切削屑の量を演算する回収量演算手段を備えてい
    ることを特徴とする歯科用補綴物の製造装置。
  3. 【請求項3】 回収量検出手段が、回収量演算手段と、
    回収量演算手段で演算した結果を認識可能に出力する回
    収量認識手段を備えていることを特徴とする請求項1又
    は2に記載の歯科用補綴物の製造装置。
  4. 【請求項4】 回収量検出手段が、切削屑の量に基づい
    て切削屑の回収量を演算する手段であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用補綴物の製造
    装置。
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