JP3454858B2 - β−サイクロデキストリンポリマーによるカフェインの特異的分離法 - Google Patents

β−サイクロデキストリンポリマーによるカフェインの特異的分離法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】茶、紅茶、コーヒーやコーラ飲料
は疲れを癒したり、精神的安定を求めたりして日常的に
愛用されている嗜好品である。加えて、緑茶に含まれる
ポリフェノール化合物には抗う蝕作用、大腸ガン予防作
用や腎不全改善効果を持つことが知られている。しか
し、上記植物に含まれているカフェインにより夜間眠ら
れなかったり、胃腸障害を起こしたり、時には動悸、悪
心や嘔吐を引き起こすことさえある。このカフェインを
効率的に分離除去出来ればそれらの障害や好ましくない
影響を避けることが出来るばかりでなく、例えば、上述
した茶ポリフェノールの持つ有用な特性を一層効果的に
活用することが出来る。更に、カフェインとその他の成
分を高純度にかつ容易に分離回収出来れば産業的にも大
きな価値を持つと考えられる。 【0002】 【従来の技術】カフェインを選択的に除去する技術は主
としてコーヒー豆からカフェインを抽出する方法から発
展している(米国特許2802739)。通常はコーヒ
ー豆から水蒸気抽出法(米国特許4521438)や溶
媒抽出法(米国特許2817588,EP015838
1A)により抽出除去されるが、近年では、新しく開発
された超臨界炭酸ガス抽出法もカフェインの分離抽出に
応用されている(食品と開発,27(11),31−3
7(1992))。しかしながら、いずれもそのプロセ
スでメチレンクロライドやクロロホルムなどの人体に有
害なハロゲン化合物が使用されており、それらハロゲン
化合物の製品への混入の可能性が常に付きまとってい
る。更に、超臨界装置の導入には巨大な投資が必要でカ
フェインの分離抽出にこの方法を適用するには経済的に
無理があると考えられる。他に、樹脂や吸着材を用いた
脱カフェイン法も考えられるが繰り返しの使用が出来な
かったり、他の成分の回収も難しい場合が多い。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】近年、健康への関心が
高まり、公的な機関はもとより食品関連の企業では食品
や飲料からカフェイン濃度を低下させるかまたは除こう
とする傾向が見られる。しかし、従来採用されて来た抽
出法においては、カフェインを除去する際に他の有用成
分が同時に分離される場合が多く、効率面で改良の余地
があることと使用される人体に有害なハロゲン化合物混
入の可能性が完全には否定できないという安全性の面で
問題点が残されている。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めには、簡便でかつ安全なカフェインの分離抽出法の開
発が有効であることは言うまでもない。本発明者らは誠
意研究を重ねた結果、β−サイクロデキストリンポリマ
ー(以下、β−CDポリマーと略称する)の使用がカフ
ェインを含有する種々の嗜好食品からカフェインを特異
的に分離させることを見い出した。また、保持された他
の成分は容易に回収することができ、しかも、β−CD
ポリマーをカラムに充填したシステムは長期に渡る繰り
返し使用に耐えることを実証した。このようにして本発
明を完成するに至った。なお、本発明におけるβ−CD
ポリマーは特に限定するものではないが、エピクロロヒ
ドリン法(Helv.Chim.Acta, 48,1225(196
5))によって調製したものが好ましい。 【0005】以下、本発明を詳細に述べる。各種サイク
ロデキストリンおよびそれらポリマーはその構造上各種
物質を包接したり分離精製する特性を持っているが、次
のような予備試験によりβ−CDポリマーのみにカフェ
イン分離能が認められることを明らかにした。カフェイ
ンを含有する標品として、コーヒー豆と紅茶、緑茶の葉
をそれぞれ熱水中で煮沸後、濾紙で固形分と不溶成分を
除いた濾過液を母液として調製した。標品としては上記
品目以外にコーラやグァラナの実の抽出物や飲料その他
のカフェイン含有製品なども対象とすることができる。
分離剤としてα、βおよびγの3種類のサイクロデキス
トリンと分枝サイクロデキストリン等のサイクロデキス
トリン誘導体及びそれらのポリマーについて試験した。
母液に対して各分離剤を0.2〜1倍量取り、ビーカー
中で数分間良く振盪後、水溶性のものは0〜5℃の低温
下で結晶化させた上澄液を、ポリマーのものは濾紙で濾
過した濾過液を高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)に供しカフェインの包接、分離効果を確認した。 【0006】その結果、β−CDポリマー以外はいずれ
も特異的な吸着効果が認められなかった。しかし、β−
CDポリマーはカフェイン以外の成分の大部分を特異的
に吸着し、カフェインのみを濾過液中に分離するという
非常に興味深い特徴が認められた。図1〜図3は3種類
の標品をβ−CDポリマーで処理する前と処理した後の
クロマトグラムを比較したものであるが、いずれも処理
後濾液中には高純度にカフェインが分離されていること
が明らかである。β−CDポリマーを充填したカラムを
用い、母液の処理量、吸着成分の回収率につき検討を行
った。β−CDポリマーは種々の粒径のものが調整可能
であり、100〜500μmの範囲のものを使うことが
できるが、小径で比較的均質な材料を用いた方が効率が
良い。カラム中を通過する母液の流速はSV=0.5〜
5の範囲で使用できるがポリマーの粒径によってはSV
=5以上の高速でも実用に耐え得る。しかし、効率面か
ら見ると、100〜200μm径のポリマーを使用する
ときはSV=0.5〜3、200〜300μm径のとき
はSV=1〜4、それ以上の大径の材料を使用する場合
はSV=3以上の流速で母液を流すのが好ましい。 【0007】カラムに1度に流すことのできる母液総量
はポリマーの粒径と母液成分の濃度によって異なり、1
%前後の濃度であれば100〜200μmのポリマーを
使用した場合、カラム容量の10〜13倍量、200〜
300μmの場合8〜11倍量、更に粒径の大きなポリ
マーを充填した場合は10倍量が限界である。母液を通
液後、吸着されたカフェイン以外の成分を回収するには
種々の溶媒が使用可能であるが、安全性を考慮するとエ
タノール,イソプロピルアルコール等の低級アルコー
ル,酢酸エチル,アセトン,ヘキサン等があげられる。
特に、エタノールは残留の有無を心配する必要がないの
でより好ましい。エタノール濃度は高いほど効率が良い
ということではなく、20〜50%の範囲が扱い易さの
点でも好ましい。この濃度範囲のエタノールをSV=2
〜5の流速で残存成分を溶出すると、カラム容量のおよ
そ10〜15倍量でほぼ全成分を回収することができ
る。以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する
が、本発明はこれにより限定されるものではない。 【0008】 【実施例】エピクロロヒドリンを用いてポリマー化した
β−CDポリマーを蒸留水中に拡散し、注意深くガラス
カラムに充填した。ポリマーの粒径は、比較的小さな粒
径のもの(100〜200μm)を用い、なるべく均一
にすることに留意した。カラムは20ml容量のものを
使用した。カフェイン含有標品として緑茶の熱水抽出物
であるサンフェノン(太陽化学株式会社製)の0.8%
水溶液を調製し、濾紙で濾過したものを母液として使用
した。母液をポンプで加圧し、SV=3の流速でカラム
を通過させ、溶出液は一定時間毎にサンプリングし、H
PLCにより成分を検出した。図4に経時的にサンプリ
ングした母液及び溶出液のクロマトグラムを示した。こ
のカラムシステムはカラム容量の12〜13倍量の母液
を処理可能で高純度のカフェインを分離濾過できた。そ
れ以降は分離能が低下し、他の成分が混じって溶出し始
めた。吸着保持された他成分を回収するためカラム容量
の13〜15倍量の30%エタノール溶液を同じ流速で
流したところ、カフェイン以外の残存成分が溶出され
た。図5は溶出液をサンプリングしてHPLCで分析し
たクロマトグラムを示したものである。カラムを蒸留水
で十分に洗った後、再度サンフェノン0.8%水溶液を
流すと同様な結果が得られた。このカラムシステムは少
なくとも10回以上の同一操作の繰り返しに耐え、カフ
ェイン分離能も残存成分の回収率もほぼ同レベルに維持
された。表1に各回毎に得られたカフェイン量と脱カフ
ェインされたサンフェノンの回収率を示す。 【0009】 【表1】 【0010】表1より明らかなように脱カフェインサン
フェノンの回収率は1回目は低いが2回目以降は安定し
ていることから、通液初期にはサンフェノン各成分がβ
−CDポリマーに比較的強く吸着されて、エタノール溶
液では容易に溶出されないためと考えられる。また、サ
ンフェノン画分の回収率がカフェイン画分のそれに比べ
てやや低いのは、0.8%水溶液を濾紙で濾過する際、
不溶性沈澱が5〜6%(乾物重量比)生じるせいで、実
質的には85%以上となると考えられる。 【0011】 【発明の効果】本発明により、カフェインを含有する種
々の食品又は素材から健康に悪影響を与えるような有機
溶媒を使用することなくカフェインのみを分離抽出でき
る。更に、残存成分もエタノール等で容易に回収でき、
経済効果が大である。
【図面の簡単な説明】 【図1】緑茶抽出液とカラム溶出液のクロマトグラムの
図である。 【図2】紅茶抽出液とカラム溶出液のクロマトグラムの
図である。 【図3】コーヒー豆抽出液とカラム溶出液のクロマトグ
ラムの図である。 【図4】0.8%サンフェノン水溶液、カラム容量の5
倍量溶出後の溶出液及び10倍量溶出後の溶出液のクロ
マトグラムの図である。 【図5】30%エタノール溶液での溶出液のクロマトグ
ラムの図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金 武祚 三重県四日市市赤堀新町9番5号太陽化 学株式会社内 (72)発明者 藤木 優 三重県四日市市赤堀新町9番5号太陽化 学株式会社内 (56)参考文献 Applied Microbiol ogy and Biotechnol ogy(1988),Vol.28,No. 6,p.546−552 Journal or Agricu ltural and Food Ch emistry(1986),Vol.34, No.5,p.837−840 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23F 3/00 A23F 5/00 JICSTファイル(JOIS) 食品関連文献情報(食ネット) WPI(DIALOG) FOODLINE(DIALOG) Foods Adlibra(DIAL OG) Food Sci.&Tech.Abs (DIALOG)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 コーヒー、紅茶及び緑茶より選ばれるカ
    フェインを含有する溶液とβ−サイクロデキストリンポ
    リマーを接触させる工程、βサイクロデキストリンポリ
    マーに吸着したカフェイン以外の成分を溶出する工程と
    を含むことを特徴とするカフェインの特異的分離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Applied Microbiology and Biotechnology(1988),Vol.28,No.6,p.546−552
Journal or Agricultural and Food Chemistry(1986),Vol.34,No.5,p.837−840

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