JP3452311B2 - 雨水の浸入径路特定方法 - Google Patents
雨水の浸入径路特定方法Info
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Description
壁、床、駐車場、道路、プール等のコンクリート構造物
において、乾燥収縮、熱収縮等に起因して発生する亀
裂、あるいは、建築、土木で施されている既存防水層の
不具合によって生ずる漏水の浸入径路を探索確認するた
めの雨水の浸入径路特定方法に関するものである。
縮で亀裂が発生し、降雨時にその亀裂や、コンクリート
打継ぎ部等から雨水が浸入し、建物内部に漏水の被害を
もたらすことがある。しかし、コンクリート構造物は、
外壁の場合階高があり、屋上のスラブの場合は面積が広
いため、雨水の浸入径路を迅速に発見して特定すること
は難しく、幾度となく修繕を行なわざるを得ないのが現
状である。
法、蛍光塗料やガスを使った調査方法、あるいは、赤外
線等によって漏水診断を行なう方法等があるが、これら
の方法によって雨水の浸入径路を特定することは必ずし
も容易ではなく、人間の目で目視確認することはできな
い。
る予測であって目視確認できず、蛍光塗料を使った調査
は、暗幕を張り赤外線ランプで確認する方法であるが、
調査対象がコンクリート構造物では、威力を発揮できな
い。また、赤外線カメラによる調査は、天候、温度に左
右され、調査費用が嵩むのが欠点である。
に反応して発生する物質を含有する検査用液を家屋の屋
根から流し、これを雨漏り個所から屋根裏内部に浸入さ
せ、屋根裏側から紫外線放射装置で照射して、浸入通路
を描き出すことにより、雨漏り個所を特定する方法を開
示している。
置を用意してこれを操作しながら調査しなければなら
ず、調査を実施する特定の人間しか目視できないだけで
なく、雨水の浸入口が複数の場合の特定に難がある。
きない場合に、浸入口を予測し、着色した水を溜めたり
流し込みを行なったりすることも行なわれている。しか
し、漏水個所から着色した水が流れ出ないために特定で
きないことが多かった。
たはずの水が時間の経過とともに透明化してしまうこと
も少なくない。その原因として、着色水は、コンクリー
ト内部に入るとコンクリートに吸込まれ、あるいは、前
から内部に貯まっている腐敗水と交じり合って色が薄く
なってしまうことが考えられる。言わば、コンクリート
自体がフィルターの役目を果たしてしまうのである。
えコンクリートの内部には、常時腐敗した水が溜まって
いる。従って、ここに清水を注入しても、調査用の清水
か否かを判断することが困難である。また、多数個所の
亀裂に清水を注入して漏水個所に流出させても、流出し
た水がどの部位の亀裂から浸入してきたものかを特定す
ることが難しい。
れている雨水の浸入径路の特定方法にはそれぞれ問題が
あり、その改良が求められていた。本発明はかかる要請
に応えるためになされたもので、多数個所から浸入して
くる雨水の浸入径路を、簡単確実に特定することができ
る雨水の浸入径路特定方法を提供することを課題とす
る。
構造物の複数個所から雨水が浸入して漏水している場合
の雨水の浸入径路を特定するための方法であって、前記
複数個所に、それぞれ色の異なる着色調査液を注入する
ことを特徴とする雨水の浸入径路特定方法、を以て上記
課題を解決した。
いて、着色された結晶体として析出させるようにする。
また、前記調査液がカルシウム塩とアルコールを含むも
のとする。その場合、カルシウム塩1%乃至20%を溶
解した水溶液にアルコールを1%乃至10%添加し、更
に染料、顔料、食紅等を添加し、色分けした調査液とす
る。調査液は、例えば、青、黄色、オレンジ色、グリー
ン色、赤色及び透明色のものを作り、漏水部で各色の結
晶体の析出を目視確認できるようにする。透明の調査液
は、漏水部から流出後白色結晶体とすることができる。
カルシウム塩(例えば、酢酸カルシウム)1%乃至20
%を加え、溶解攪拌し、完全に溶解した後染料、顔料、
食紅を1%以下の範囲で添加、攪拌する方法により、各
色のものを得る。なお、その際アルコール1%乃至10
%を添加することにより、カビ発生を抑制し得る調査液
とすることができる。
依拠して説明する。図1は、漏水している建物の部分を
示す断面図であり、屋上階に様々な故障個所がある。即
ち、パラペット天端の亀裂1、2、打継ぎ目地3、アス
ファルト防水層4に不具合があり、そのいずれが関係し
て漏水が起きているのかを特定し難い状況にある。
と浸入径路を探索して特定する方法として本発明では、
浸入口と思しき複数個所に、それぞれ色の異なる調査液
を注入する。浸入口と思しき個所が1箇所の場合は、1
色であること言うまでもない。
固定した耐水管5内に一定量貯留し、12時間から24
時間放置することにより、調査液を耐水管5の底から調
査対象個所に徐々に浸透させる方法で行なう。耐水管5
は、天端や押えコンクリートの上面に設置する場合は単
なる筒状態のものでよいが、打継ぎ目地3のように側面
から注入するような場合には、例えば、有底の半円筒状
のものとし、その開口側面側から打継ぎ目地3に注入し
得るようにする(図1の参照符号5aの耐水管参照)。
水管5に溜めた調査液の減少量を測定し、浸透状況を確
認する。また、減少量の多い耐水管5には調査液を補充
し、漏水個所からの流出を待つ。調査液を複数の違った
色に着色するためには、液体の、あるいは、水に溶ける
粉末の染料を用いればよい。
水浸入径路の例を示すもので、この場合、例えば、パラ
ペット天端亀裂6に耐水管5を設置固定し、青色の調査
液を耐水管5内に溜めて12時間以上放置し、減少量の
測定を行う。減少量の多い場合には青色調査液を補充
し、漏水個所からの流出を待つ。青色調査液は、パラペ
ット天端亀裂6から亀裂内部に浸入し、既存防水層7の
立上がり内部に浸入する。防水層7内部を経由した青色
の調査液は、天井亀裂8まで到達し、既存漏水個所9に
流出し、そこで乾燥すると共に青色結晶体となる。かく
してその漏水個所9の漏水が、耐水管5を設置した亀裂
6からの浸透によるものとの特定が可能となる。
化したり、破断したりした場合の雨水浸入径路の例を示
すものである。上記露出アスファルト防水層10で漏水
事故が発生する場合の原因として、露出アスファルト防
水層10の接合部11、露出アスファルト防水層10の
入隅部12、あるいは、ドレン13における不具合が予
想される。そこで、これらの個所に耐水管を設置し(ド
レン13については耐水管を用いることなく、直接注入
することができる。)、それぞれに異なった色、例えば
入隅部用耐水管5bに青色、接合部用耐水管5cに白
色、そして、ドレン13に黄色の調査液を注入し、それ
ぞれ静水圧で浸透させ、天井亀裂の漏水個所16から何
色の調査液が流出してくるか、目で確認する。
色の調査液のみが減少し、他の色の調査液が余り減少し
ない場合は、先ず漏水の浸入径路は入隅部12からのも
のと推測でき、このことは、漏水個所16に青色結晶体
が析出するに至り、最終的に確定される。
浸入し、断熱材14のジョイント部に抜けて既存アスフ
ァルト防水層17に到達する。既存アスファルト防水層
17面に浸透した調査液は、多方面に広がる。この調査
液は、既存アスファルト防水層17の故障個所から天井
亀裂15に流入し、そこから流出し、乾燥すると共に青
色結晶として析出する。
し、耐水管5を設置しようとする前に各着色調査液にア
ルコールを1%から50%添加しておくことがある。そ
の際、図1、図2に示す例の場合にはアルコール添加量
を少なくし、図3に示す例の場合には多くする。例えば
接合部11、入隅部12に破断、劣化があって大量に調
査液が浸透する場合、露出アスファルト防水層10の内
部には、経年による雨水及び腐敗水が蓄積されているた
め、調査液が薄められる可能性がある。このことを考慮
して、アルコール添加量を多くし、腐敗水などをアルコ
ールによって蒸発させると共に、雨水の浸入径路が広範
囲の場合途中でアルコールが蒸発してしまう危険性を防
止するのである。また、この場合カルシウム塩の溶解水
溶液濃度も高いものにする。
に経年によって腐敗水が蓄積されていて調査時に調査液
が薄められる危険性があり、その結果、漏水個所16に
析出した水が腐敗水によって薄められた調査液か否か目
視できない場合が生ずる。そのような場合は、ケイ酸カ
リウム、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸アルカリを流出水
に塗布し、結晶化するか否かを見る試験を行う。カルシ
ウム塩の水溶液とケイ酸アルカリは、接触と同時に結晶
化するため、容易に調査液であるか否かを判定できる。
レッドをエタノールで溶解し、水で希釈したものを用い
ることがある。もともとコンクリートは強アルカリ性の
ため、雨水にアルカリ成分が溶け出る。これが上記調査
液と反応すると、クレゾールレッド色が他の色に変化す
る。例えば、PH指示薬クレゾールレッド入り調査液が
接触するものがPH2以下の場合には、これがだいだい
色に変化し、PH8以上になると濃厚なピンク色とな
る。
ーを用いる場合、希釈率が高いために薄いだいだい色に
なるが、PH3以下のものに接触するとピンク色にな
り、PH8以上のものに接触すると黄色になり、PH
9.6以上のものに接触すると青色に変化する。
て、既存漏水部から流出したPH指示薬に色変化が見ら
れなかった場合、PH8以上の水溶液に接触させて色の
変化を確認することができる。
され、色の変化によって水道水に含まれる重金属類など
の検査に用いられている。建築関係では、フェノールフ
タレイン水溶液を塗布して中性化現象をみる中性化試験
等に利用されている。
が得られない場合には、次のような操作を行なう。即
ち、亀裂部などに設置した耐水管5内部の着色調査液の
減少量が最も多い個所の耐水管内部に、高圧散水用洗浄
ガンを差込み、例えば、給水量毎分5リッター以上、水
力50kg/cm2にて高圧散水を行なう。これによ
り、時間の経過と共に着色調査液が強制的に排出され、
既存漏水部から流出してくるので、特定が可能となる。
置部から雨水の浸入径路を目視する場合、温度変化で確
認することが可能である。即ち、耐水管を設置してから
12時間経過した後、耐水管設置個所を赤外線カメラで
高温度領域と低温度領域とを観察し、低温度領域となる
着色調査液の径路を確認することができる。
入径路が温度変化することを利用し、これを赤外線カメ
ラを通して目視するものである。調査液の流入径路は、
低温度となるので、その温度変化によって雨水浸入径路
部分を発見することができる。
入径路探査方法において酢酸カルシウムの水溶液を使っ
た漏水調査法が開示されているが、この方法によった場
合、様々な個所に不具合があるときには調査することが
できないという欠点がある。
法の場合、降雨時の雨水が押えコンクリート内部に蓄積
されて腐敗水として存在するため、これによって調査液
が薄められて結晶体の析出が困難となる。
を水又は蒸留水で溶解しても、夏場などには数日でカビ
が発生し、室内の天井亀裂個所から調査液とカビ菌を同
時に浸透させてしまい、室内カビ汚染を引き起こす欠点
がある。
を清水1に対し1%から20%溶解し、アルコールを1
%から10%添加することによってカビの発生を防止す
ることが考えられる。
既存天井漏水個所から流出する着色調査液に含まれる水
分の蒸発を早めることができ、以て結晶析出を促進でき
て、内装材などに付着する被害を同時に防止することが
可能となる。
複数個所から浸入してくる雨水の浸入径路を、簡単確実
に特定することができる効果がある。
種々の個所から漏水している例)である。
ットから漏水している例)である。
スファルト防水層から漏水している例)である。
Claims (4)
- 【請求項1】 コンクリート構造物の複数個所から雨水
が浸入して漏水している場合の雨水の浸入径路を特定す
るための方法であって、前記複数個所に、それぞれ色の
異なる着色調査液を注入することを特徴とする雨水の浸
入径路特定方法。 - 【請求項2】 前記着色調査液を、漏水個所において、
着色された結晶体として析出させる請求項1に記載の雨
水の浸入径路特定方法。 - 【請求項3】 前記着色調査液にアルコールを添加した
請求項1に記載の雨水の浸入径路特定方法。 - 【請求項4】 漏水個所から浸出する液体が調査液か否
かを確認するためにケイ酸アルカリを用いる請求項1乃
至3のいずれかに記載の雨水の浸入径路特定方法。
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Family Applications (1)
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