JP3452178B2 - エンジン用カム - Google Patents

エンジン用カム

Info

Publication number
JP3452178B2
JP3452178B2 JP27864097A JP27864097A JP3452178B2 JP 3452178 B2 JP3452178 B2 JP 3452178B2 JP 27864097 A JP27864097 A JP 27864097A JP 27864097 A JP27864097 A JP 27864097A JP 3452178 B2 JP3452178 B2 JP 3452178B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cam
wear
stainless steel
engine
chromium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27864097A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11117716A (ja
Inventor
明美 伊東
秀夫 根岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hino Motors Ltd
Original Assignee
Hino Motors Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hino Motors Ltd filed Critical Hino Motors Ltd
Priority to JP27864097A priority Critical patent/JP3452178B2/ja
Publication of JPH11117716A publication Critical patent/JPH11117716A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3452178B2 publication Critical patent/JP3452178B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Gears, Cams (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン用カムに
関するものである。 【0002】 【従来の技術】図7はディーゼルエンジンにおけるバル
ブ機構の一例を概略的に示すもので、図中1はシリンダ
ヘッド2に装備されたバルブを示し、該バルブ1はスプ
リング3により上向きに付勢されて燃焼室4とポート5
との間を閉じるようになっており、回転軸6を中心に傾
動するロッカアーム7の一端部によりクロスヘッド8を
介し押し下げられて開作動されるようになっている。 【0003】前記ロッカアーム7は、プッシュロッド9
により他端側を突き上げられて傾動するようになってお
り、前記プッシュロッド9は、その下端部にカムフォロ
ワとして備えたローラ形式のタペット10を、カムシャ
フト11の長手方向に配列されたカム12に摺接して該
カム12の回転により適切なタイミングで間欠的に突き
上げられるようになっている。 【0004】この種のバルブ機構においてカム12とタ
ペット10のローラ13の接触形態が転がりであって
も、摩耗を皆無とすることは難しく、対策として、炭素
鋼から成るカム12に高周波焼入れや浸炭焼入れを施し
てカム12の硬度を極力向上させるようにしている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単にカ
ム12の硬度を向上するだけでは、カム12の摩耗を低
減する効果が不十分であるというのが実情であり、より
効果的にカム12の摩耗を低減し得る手段の提供が望ま
れている。 【0006】そこで、本発明者らは、従来より業界内で
カム12の摩耗の主要因であると考えられてきた凝着摩
耗(カム表面の一部が瞬間的に溶けてカムフォロワ側に
付着し、そのまま随伴されてしまうことによる摩耗)、
並びにアブレシブ摩耗(オイル中の煤等の細かい粒子が
介在することによる摩耗)について検討し、これらの摩
耗が起こる要因を取り除く手段を講じ、その裏付けをと
るべく試験を行ったが、期待されたほどの効果が得られ
ず、更に他の要因を見つけるべく、解析・検討を行っ
た。 【0007】本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、カ
ム12の摩耗発生の主要因が、エンジンの燃焼生成物と
して発生する硫酸と硝酸とによる腐食にあることが明ら
かとなり、硫酸と硝酸とに対する耐食性を有する適切な
材質を選定すれば、カム12の摩耗を大幅に低減するこ
とが可能となるという知見を得るに至った。 【0008】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもの
で、エンジンの燃焼生成物として発生する硫酸と硝酸と
に対するカムの耐食性を向上して腐食摩耗の発生を抑制
し、延いてはカムの摩耗を大幅に低減し得るようにする
ことを目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、シリンダヘッ
ドに装備したバルブを適切なタイミングで開作動するエ
ンジン用カムであって、その材質がクロムを12〜18
重量%の範囲で含有したステンレス鋼であることを特徴
とするものである。 【0010】而して、このようなステンレス鋼を材質と
したエンジン用カムは、エンジンの燃焼生成物として発
生する硫酸と硝酸との両方に対し高い耐食性を示すもの
となり、腐食摩耗の発生が著しく抑制されることにな
る。 【0011】即ち、ステンレス鋼が耐食性を示すメカニ
ズムは、ステンレス鋼に含まれるクロムがステンレス表
面に安定な被膜を形成することによるが、この作用はク
ロムの含有割合により異なり、酸化性の酸である硝酸に
対しては、クロムの含有割合を12重量%以上とすれば
腐食を著しく抑制することが可能となるのに対し、酸素
の酸化作用がない非酸化性の酸である硫酸に対しては、
クロムの含有割合を18重量%以下としなければ腐食を
抑制することが困難となるので、クロムを12〜18重
量%の範囲で含有したステンレス鋼をカムの材質とすれ
ば、硫酸と硝酸との両方に対し高い耐食性を示すカムが
得られる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照しつつ説明する。 【0013】図1〜図6は本発明を実施する形態の一例
を示すもので、図1に示す本形態例のエンジン用のカム
12は、従来の炭素鋼に替えて、クロムを12〜18重
量%の範囲で含有したステンレス鋼を材質として製作さ
れており、図示しないプッシュロッドの下端部に備えら
れたタペット(図7参照)のローラ13が摺接する部位
を摺接部x、ローラ13が摺接しない部位を非摺接部y
として示している。 【0014】而して、このようなステンレス鋼を材質と
したカム12は、エンジンの燃焼生成物として発生する
硫酸と硝酸との両方に対し高い耐食性を示すものとな
り、腐食摩耗の発生が著しく抑制されることになる。 【0015】即ち、ステンレス鋼が耐食性を示すメカニ
ズムは、ステンレス鋼に含まれるクロムがステンレス表
面に安定な被膜を形成することによるが、この作用はク
ロムの含有割合により異なり、図2に示す如く、酸化性
の酸である硝酸によるステンレス鋼の腐食摩耗量は、ク
ロムの含有割合が12重量%以上となっている範囲で著
しく抑制され、クロムの含有割合が12重量%より少な
い範囲になると急激に増加する傾向となるのに対し、酸
素の酸化作用がない非酸化性の酸である硫酸によるステ
ンレス鋼の腐食摩耗量は、クロムの含有割合が18重量
%以下となっている範囲で著しく抑制され、クロムの含
有割合が18重量%より多い範囲になると急激に増加す
る傾向となるので、クロムを12〜18重量%の範囲で
含有したステンレス鋼をカム12の材質とすれば、硫酸
と硝酸との両方に対し高い耐食性を示すカム12が得ら
れる。 【0016】事実、クロムを12〜18重量%の範囲で
含有したステンレス鋼を材質としたカム12を定格負荷
で一定時間運転した後、その摺接部xを500倍に拡大
して観察したところ、図3に示す如く、カム12を研削
仕上げした際の砥石による加工目(縦すじ)が残った摩
耗の少ない状態が観察された。 【0017】尚、図4は同じカム12の非摺接部yを5
00倍に拡大して比較例としたものであり、この非摺接
部yは新品時の表面状態を保っているので、この図4と
図3とを比較すれば、摺接部xにおける摩耗が少ないこ
とが明らかであり、実測においても、摺接部xにおける
摩耗量は、約1.5μm程度と軽微なものであった。 【0018】これに対し、従来の炭素鋼を材質としたカ
ム12を定格負荷で一定時間運転した後、その摺接部x
を500倍に拡大して観察した場合には、図5に示す如
く、カム12を研削仕上げした際の砥石による加工目
(縦すじ)が大幅に消失してしまった顕著な摩耗状態が
観察され、図6に示す同じカム12の非摺接部yを50
0倍に拡大したものと比較しても、摺接部xにおける摩
耗が激しいことが確認され、その実測においても、摺接
部xにおける摩耗量は、約3.5μmと非常に多いもの
であった。 【0019】以上に述べたように、本形態例によれば、
エンジンの燃焼生成物として発生する硫酸と硝酸とに対
するカム12の耐食性を大幅に向上することができるの
で、腐食摩耗の発生を著しく抑制することができ、延い
てはカム12の摩耗を従来より大幅に低減することがで
きる。 【0020】尚、本発明のエンジン用カムは、上述の形
態例にのみ限定されるものではなく、図示する例ではシ
リンダサイドにカムシャフトを配置してプッシュロッド
を介しロッカアームを傾動するようにしたOHV形式の
場合で示したが、シリンダヘッド上にカムシャフトを配
置してロッカアームを直接傾動するようにしたOHC形
式の場合にも同様に適用し得ること、カムフォロワ(タ
ペット)の形式は図示するローラ形式に限定されないこ
と、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
種々変更を加え得ることは勿論である。 【0021】 【発明の効果】上記した本発明のエンジン用カムによれ
ば、エンジンの燃焼生成物として発生する硫酸と硝酸と
に対するカムの耐食性を大幅に向上することができるの
で、腐食摩耗の発生を著しく抑制することができ、延い
てはカムの摩耗を従来より大幅に低減することができる
という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明を実施する形態の一例を示す斜視図であ
る。 【図2】ステンレス鋼のクロムの含有割合と腐食摩耗量
との関係を示すグラフである。 【図3】本形態例のステンレス鋼を材質としたカムの摺
接部の拡大写真である。 【図4】本形態例のステンレス鋼を材質としたカムの非
摺接部の拡大写真である。 【図5】従来における炭素鋼を材質としたカムの摺接部
の拡大写真である。 【図6】従来における炭素鋼を材質としたカムの非摺接
部の拡大写真である。 【図7】ディーゼルエンジンにおけるバルブ機構の一例
を示す概略構成図である。 【符号の説明】 1 バルブ 2 シリンダヘッド 12 カム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−238350(JP,A) 特開 平5−209252(JP,A) 特開 平8−41607(JP,A) 社団法人日本機械学会,「機械工学便 覧改訂第6版[分冊5]」,日本,社団 法人日本機械学会,1977年11月20日,2 刷,p.5−35〜5−38 社団法人日本機械学会,「機械工学便 覧応用編B4材料学・工業材料」,日 本,丸善株式会社,1996年 9月25日, 初版6刷,p.B4−91〜B4−93 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 1/04 F16H 53/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 シリンダヘッドに装備したバルブを適切
    なタイミングで開作動するエンジン用カムであって、そ
    の材質がクロムを12〜18重量%の範囲で含有したス
    テンレス鋼であることを特徴とするエンジン用カム。
JP27864097A 1997-10-13 1997-10-13 エンジン用カム Expired - Fee Related JP3452178B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27864097A JP3452178B2 (ja) 1997-10-13 1997-10-13 エンジン用カム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27864097A JP3452178B2 (ja) 1997-10-13 1997-10-13 エンジン用カム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11117716A JPH11117716A (ja) 1999-04-27
JP3452178B2 true JP3452178B2 (ja) 2003-09-29

Family

ID=17600102

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27864097A Expired - Fee Related JP3452178B2 (ja) 1997-10-13 1997-10-13 エンジン用カム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3452178B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05209252A (ja) * 1991-03-14 1993-08-20 Nippon Steel Corp 均一微細な炭化物組織を有する高炭素含有ステンレス鋼の製造方法
US5424028A (en) * 1993-12-23 1995-06-13 Latrobe Steel Company Case carburized stainless steel alloy for high temperature applications
JP3682556B2 (ja) * 1994-08-03 2005-08-10 株式会社ファインシンター 耐熱・耐摩耗性焼結ステンレス鋼

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
社団法人日本機械学会,「機械工学便覧応用編B4材料学・工業材料」,日本,丸善株式会社,1996年 9月25日,初版6刷,p.B4−91〜B4−93
社団法人日本機械学会,「機械工学便覧改訂第6版[分冊5]」,日本,社団法人日本機械学会,1977年11月20日,2刷,p.5−35〜5−38

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11117716A (ja) 1999-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH03247732A (ja) 摺動材料
US4073474A (en) Poppet valve
JP4213060B2 (ja) バルブシート用鉄基焼結合金材
GB2093065A (en) Sintered iron-based alloy
JPS552777A (en) Wear resistant, sintered alloy
US5096515A (en) High strength high chromium cast iron and valve rocker arm made thereof
JP3452178B2 (ja) エンジン用カム
JPS6119809B2 (ja)
JPH09242516A (ja) 内燃機関用バルブシート
JPH08233070A (ja) カムフォロワ用ローラ
CA2073887C (en) Ceramic adjusting shim
CA2584460A1 (en) Sintered alloys for cam lobes and other high wear articles
JPS60258449A (ja) バルブシ−ト用鉄系焼結合金
JPH03134208A (ja) 高クロム鋳鉄製ロッカーアーム
JPS6035983B2 (ja) 内燃機関の動弁機構部材
JP2525454B2 (ja) 極厚クロム拡散層の形成方法
JPH10204678A (ja) 摺動部材およびその製造方法
JP2787982B2 (ja) 耐摩耗性鉄基焼結合金
JPS63243237A (ja) グラフアイト質カ−ボンフアイバ−を含んだfrm耐摩耗部品
JPS6063350A (ja) 内燃機関の動弁系部材
JP2000002333A (ja) ピストンリング
JPH11229824A (ja) カムシャフト及びその製造方法
JPH03134132A (ja) 高熱膨張係数を有する鋳鉄材
JPH1151187A (ja) ピストンリング
JPS61157656A (ja) 耐摩耗性白鋳鉄

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees