JP2000002333A - ピストンリング - Google Patents

ピストンリング

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JP2000002333A
JP2000002333A JP18818298A JP18818298A JP2000002333A JP 2000002333 A JP2000002333 A JP 2000002333A JP 18818298 A JP18818298 A JP 18818298A JP 18818298 A JP18818298 A JP 18818298A JP 2000002333 A JP2000002333 A JP 2000002333A
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JP
Japan
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piston ring
zrn
film
coating
hard coating
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JP18818298A
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English (en)
Inventor
Shoji Tanaka
昭二 田中
Naoki Ito
直樹 伊藤
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TPR Co Ltd
Original Assignee
Teikoku Piston Ring Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンリングの耐摩耗性を向上させる。 【解決手段】 ピストンリング1の全表面にガス窒化層
2を形成し、外周面のガス窒化層2上にZrNからなる
硬質皮膜3を1〜80μmの厚さで被覆する。硬質皮膜
3はピストンリング1の軸方向破断面の結晶が母材側か
ら皮膜表面側に向かって成長している柱状組織を呈し、
ZrNの結晶は被覆面に平行に(200)面の優先方位
を持ち、硬度はビッカース硬度でHV1200〜200
0の範囲にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関のピストン
に装着されるピストンリングに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンの高出力化や排気ガス規
制対応に伴って、ピストンリングの使用環境が益々過酷
になっており、特に耐摩耗性の向上が課題となってい
る。その対策として、窒化クロム(CrN)皮膜(特開
平7−286262号)や、窒化モリブデンと窒化クロ
ムの混合皮膜(特開平8−178069号)などの硬質
皮膜をピストンリングの外周面に被覆することが提案さ
れている。また、ジルコニウム系については、母材側か
ら表面に向かって窒素を増大させ、硬度勾配を与える窒
化ジルコニウム被覆が提案されている(特公昭53−1
9325号)。また、準化学量論的窒化ジルコニウム被
覆が提案されている(特許第2646313号)。この
提案では、被覆中の窒素の原子百分率が約41〜48原
子%で、被覆硬度が2200〜2600kg力/mm2
と規定されており、配向は(311)あるいは(11
1)が好ましいと記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記皮
膜では、過酷なエンジン条件においては、耐摩耗性が未
だ不充分である。
【0004】本発明は、ピストンリングの耐摩耗性を向
上させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の構成は、ZrN
からなる硬質皮膜が外周摺動面に被覆されているピスト
ンリングであって、前記ZrNの結晶が被覆面に平行に
(200)面の優先方位を持ち、前記皮膜の硬度がビッ
カース硬さでHV1200〜2000の範囲にあること
を特徴とする。
【0006】なお、本発明のZrN皮膜は、本発明の効
果を損なわない範囲であれば、PVD過程で不可避的に
形成されるマイクロパーティクルによるZr相が混入し
た皮膜も含むものとする。
【0007】ZrNの結晶は被覆面に平行に(200)
面の優先方位を持つのが耐摩耗性の点から好ましい。
【0008】硬質皮膜の硬度はビッカース硬度でHV1
200以上、HV2000以下が耐摩耗性の点から好ま
しい。
【0009】硬質皮膜は、ピストンリングの軸方向破断
面の結晶が母材側から皮膜表面側に向かって柱状に成長
している柱状組織を呈しているのが好ましい。柱状組織
は、皮膜をピストンリングの軸方向に折った破断面の結
晶が母材側から皮膜表面側に向かって柱状に成長してお
り、結晶粒は比較的大きい。アークイオンプレーティン
グ法によると、バイアス電圧が低く、炉内圧が高いほど
柱状組織になりやすい。これに対して、粒状組織は皮膜
のピストンリング軸方向破断面に凹凸がほとんどなく平
坦になっており、結晶粒はかなり微細化されている。
【0010】硬質皮膜のZrN結晶中に酸素および炭素
のうちの少なくとも1種を固溶させるのも、靱性向上の
点から好ましい。
【0011】硬質皮膜の厚さは1μm以上、80μm以
下が好ましい。皮膜の厚さが1μm未満であると、耐久
性が不足し、80μmを越えると、耐摩耗性は充分であ
るが、密着性が低下する。
【0012】本発明の硬質皮膜は、金属Zrを蒸発源と
し、窒素ガスをプロセスガスとするPVD法例えばイオ
ンプレーティング法によって被覆することができる。酸
素および炭素のうちの少なくとも1種を固溶させるに
は、酸素源に酸素ガス、炭素源にCH4 ガス、C2 4
ガス、C2 2 ガスのうちの少なくとも1種を使用し、
酸素のみを固溶させる場合は酸素源のみ、炭素のみを固
溶させる場合は炭素源のみ、酸素および炭素を固溶させ
る場合は酸素源と炭素源の両方を使用すればよい。Zr
Nの結晶の優先方位は、一般的に、バイアス電圧、プロ
セスガス等の要因によって複雑に変化すると言われてい
る。本発明者がアークイオンプレーティング装置を使用
して試験したところ、優先方位は、バイアス電圧によっ
てコントロールするのが容易であった。また、皮膜硬度
は、炉内圧を高くすると低下し、バイアス電圧を低くす
ると低下する。皮膜破断面の結晶組織は炉内圧とバイア
ス電圧のコントロールにより調整する。炉内圧を高くす
ると柱状組織になり、低くすると粒状組織になる。ま
た、バイアス電圧を低くすると柱状組織になり、高くす
ると粒状組織になる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1
により説明する。
【0014】ピストンリング1の全表面にガス窒化層2
が20〜90μmの厚さで形成されており、外周面のガ
ス窒化層2上にZrNからなる硬質皮膜3が1〜80μ
mの範囲の厚さで被覆されている。硬質皮膜3は、ピス
トンリング1の軸方向に折った破断面の結晶が母材側か
ら皮膜表面側に向かって成長している柱状組織を呈して
おり、ZrNの結晶は被覆面に平行に(200)面の優
先方位を持ち、硬度はビッカース硬度でHV1200〜
2000の範囲にある。
【0015】なお、使用条件がゆるいときは、ガス窒化
層等の下地層はなくてもよい。
【0016】以下、上記硬質皮膜3の耐摩耗性を評価す
るために、往復動摩擦試験機を使用して行った耐摩耗性
試験について説明する。
【0017】皮膜の結晶構造および結晶の優先方位はX
線ディフラクトメータによる回折図形で決定した。酸素
固溶量および炭素固溶量の分析はX線マイクロアナライ
ザで行った。皮膜破断面の結晶組織は走査型電子顕微鏡
により観察した。
【0018】測定した皮膜の結晶構造、ZrNの結晶の
優先方位、酸素固溶量、炭素固溶量、ZrN皮膜中の窒
素の原子百分率、破断面の結晶組織、および皮膜硬度を
表1に示す。
【0019】図2(a)は、表1に示す実施例1の硬質
皮膜の破断面の走査型電子顕微鏡写真(900倍)であ
り、母材側から皮膜表面に向かって柱状に結晶が成長し
ていることが認められる。図2(b)は、表1に示す比
較例7の硬質皮膜の破断面の走査型電子顕微鏡写真(9
00倍)であり、粒状組織であることが認められる。
【0020】 (注1)欄中の→記号は、ZrN皮膜中の窒素の原子百分率および皮膜硬度が母 材側から表面側に向かって変化していることを示している。 (注2)比較例および実施例の各皮膜の厚さは約35μmである。
【0021】(1)往復動摩擦試験機 図3に往復動摩擦試験機の構成を示す。ピン状の上試験
片10は固定ブロック11により保持され、上方から油
圧シリンダ12により下向きの荷重が加えられて、下試
験片13に押接される。矩形の平盤形状の下試験片13
は可動ブロック14により保持され、クランク機構15
により往復動させられる。16はロードセルである。
【0022】(2)試験片 上試験片10:17Crマルテンサイト系ステンレス鋼
からなる直径φ8mm×長さ25mmの丸棒の一端にR
18mmの球面加工を施し、その球面上に表1に示す硬
質皮膜を施したもの。 下試験片13:長さ70mm×幅17mm×高さ14m
mの平板で材質は鋳鉄材(FC250)
【0023】(3)試験条件 ならし:50N×100cpm×5min 本試験:300N×600cpm×60min 潤滑油:軽油相当粘度油
【0024】(4)試験結果 試験結果を表2に示す。表2の試験結果における摩耗比
は、比較例1の摩耗量を1としたときの比である。表2
から明らかなように、ZrN以外の硬質皮膜(比較例1
〜3)は耐摩耗性および相手材攻撃性の点で劣る。特許
第2646313号の準化学量論的ZrN皮膜(比較例
4,5)は、比較例1〜3と比べて、耐摩耗性が若干良
好である。特公昭53−19325号のZrN皮膜(比
較例6)も同様である。優先方位が(111)面のZr
N皮膜(比較例8)も同様である。皮膜硬度が本発明の
範囲外であるが、優先方位を(200)面としたZrN
皮膜(比較例7,9)は、耐摩耗性および相手材攻撃性
が改善されている。これらに対して、実施例1〜4の硬
質皮膜は比較例の硬質皮膜よりも耐摩耗性および相手材
攻撃性が優れている。
【0025】
【0026】次に、エンジン実験を行った結果を説明す
る。
【0027】前記試験で使用した比較例1,7の皮膜
と、実施例1〜4の皮膜を、トップリングの外周摺動面
に被覆した。このトップリングをボア径φ91mmの直
列4気筒4サイクルディーゼルエンジンに組み込み、全
負荷の条件で300時間の耐久試験を行った。試験終了
後、トップリングの外周摺動面の摩耗量を測定した。
【0028】その結果を表3に示す。表3の試験結果に
おける摩耗比は、比較例1の摩耗量を1としたときの比
である。表3から明らかなように、実施例の硬質皮膜は
いずれも、比較例の硬質皮膜よりも耐摩耗性が優れてい
る。
【0029】
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明のZrNから
なる硬質皮膜を被覆したピストンリングは、耐摩耗性に
優れるので、優れた耐久性を具備することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のピストンリングの一部分
を示す縦断面図である。
【図2】(a)は実施例1の皮膜の破断面の走査型電子
顕微鏡写真、(b)は比較例7の皮膜の破断面の走査型
電子顕微鏡写真である。
【図3】往復動摩擦試験機の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ピストンリング 2 ガス窒化層 3 ZrNからなる硬質皮膜 10 上試験片 11 固定ブロック 12 油圧シリンダ 13 下試験片 14 可動ブロック 15 クランク機構 16 ロードセル
フロントページの続き Fターム(参考) 3J044 AA02 BB14 BB20 BB36 BC07 DA16 4K029 BA58 BB08 BD04 CA04 EA01 FA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ZrNからなる硬質皮膜が外周摺動面に
    被覆されているピストンリングであって、前記ZrNの
    結晶が被覆面に平行に(200)面の優先方位を持ち、
    前記皮膜の硬度がビッカース硬さでHV1200〜20
    00の範囲にあることを特徴とするピストンリング。
  2. 【請求項2】 前記硬質皮膜は、ピストンリングの軸方
    向破断面の結晶が母材側から皮膜表面側に向かって柱状
    に成長している柱状組織を呈していることを特徴とする
    請求項1記載のピストンリング。
  3. 【請求項3】 前記硬質皮膜中の窒素の原子百分率が5
    0〜60原子%であることを特徴とする請求項1または
    2記載のピストンリング。
  4. 【請求項4】 前記ZrNの結晶中に酸素および炭素の
    うちの少なくとも1種が固溶されていることを特徴とす
    る請求項1または2記載のピストンリング。
  5. 【請求項5】 前記硬質皮膜の厚さが1〜80μmの範
    囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載のピストンリング。
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