JP2016053369A - 耐摩耗往復動ピストン燃焼機関 - Google Patents

耐摩耗往復動ピストン燃焼機関 Download PDF

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Abstract

【課題】少なくとも1つのシリンダを有した往復動ピストン燃焼機関、特に、大きなディーゼル機関において、往復動ピストン燃焼機関の耐摩耗性を改善すること。
【解決手段】少なくとも1つのシリンダを有した往復動ピストン燃焼機関、特に、大きなディーゼル機関に関し、往復動作のために各シリンダがその中にシリンダライナ30及びピストンを配置させた機関に関する。ピストン5は、少なくとも1つのピストンリング20をそのジャケット表面上に有する。シリンダライナ30、及び、シリンダライナ30の軸受面35上で可動なピストン5のピストンリング20の材料は、理想的には、摩耗に対する耐性に関して互いに調和され、ピストンリング20は、少なくともシリンダライナ30の軸受面35に向かって面した表面上にクロムセラミックスから作製される被覆物を有し、シリンダライナ30は、均一に分布された0.01から1.99%の硬質相の割合を含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、独立請求項1の前提部分に従った往復動ピストン燃焼機関に関する。本発明は、シリンダライナ及びピストンリングに関し、特に、互いに調和される、低速の大きなディーゼル機関のシリンダライナ及びピストンリングに関する。
大きなディーゼル機関は、船に対する駆動装置として、又は、定常の作動においても、例えば、電力を生じるための大きな発電機を運転させるために使用される場合が多くある。この点で、エンジンは、原則として連続運転でかなりの時間作動し、作動信頼性及び有用性をかなり要求する。この理由のため、長いメンテナンス間隔、燃料の限られたもち及び経済的使用、並びに、作動材料は、オペレータにとって機械の作動のためにきわめて重要である。他の要因の中でも、そのような大きい口径の低速ディーゼル機関のピストン性能は、メンテナンス間隔の長さ及びエンジンの有用性に対しての決定因子であり、並びに、潤滑油の消費のため、運転経費に対して、従って、費用効果に対しても直接の決定要因である。
往復動ピストン燃焼機関において、特に、大規模なディーゼル機関において、シリンダライナ及びピストンは、作動状態で非常に高い機械的荷重及び熱荷重を受けやすい。さらに、シリンダライナ及びピストンリング、より正確に言うと、シリンダライナの軸受面及びピストンのピストンリングは、燃焼機関の作動中に摩耗する。摩滅によって引き起こされる摩耗のサインは、複雑で費用のかかる修理に起因するダメージを生じ得る。この点で、特に、摩耗から生じる往復動ピストン燃焼機関の付随的な結果は、営利的局面に関して非常に不利である。
往復動ピストン燃焼機関の耐摩耗性を改善するために、軸受面及びピストンの潤滑に関して多大な努力がなされている。
往復動ピストン燃焼機関の耐磨耗性を改善するためのさらなるアプローチは、シリンダライナの材料特性の最適化にある。シリンダライナの材料は、燃焼過程での高い熱張力及び機械的張力に耐えるために、高い安定性を有していなければならない。材料は、さらに、少なくとも部分的に機械的ストレスのピークを減らすために、適切な変形特性及び伸長特性も有していなければならない。材料の摩耗量を低く保つために、シリンダライナは、摩滅に対して高い耐性も有していなければならない。
原則として、シリンダライナは、鋳造工程によって製造される。この点で、鋳造材料は硬質材料で濃縮されることが好ましいか、又は、鋳造工程及び冷却工程は、鋳込ベース材料におけるシリンダライナブランクの鋳造及び/又はシリンダライナブランクの冷却において、例えばそれ自体知られた炭化物を含み得る硬質相又はそれ自体知られた他の硬質相から生じたおおよそ広大な領域を形成するか又は沈殿させることができる程度まで、それ自体知られた様式で影響される。「シリンダライナブランク」という用語は、後に起る機械加工工程の後に例えばすぐに作動できるシリンダライナになる、未加工の鋳込体として理解されることになる。硬質相は、おおよそ不規則な分布で鋳鉄ベース材料に埋め込まれるため、比較的軟質の鋳込材料と硬質相との組み合わせが生じる。この点で、鋳込ベース材料は、燃焼機関の作動状態における温度荷重及び圧力荷重の莫大な変化に抵抗することができるように、とりわけシリンダライナの特定の機械的弾性及び永続する安定性を保証する。割合に硬質相は、シリンダのシリンダウォール及び/又は軸受面に、特に、ピストンリングとシリンダの軸受面との摩擦を介した過度の摩耗に関して特定の抵抗力を与える。
往復動ピストン燃焼機関のシリンダライナ、特に、大きなディーゼル機関のシリンダライナは、通常、おそらく内部に硬質相を埋め込む鋳鉄又は他の鉄材料から成る。鋳鉄は、高炭素含有量(C>2.06重量%)、及び、ケイ素、マンガン、りん、又は、硫黄等のさらなる構成要素も有した鉄炭素合金である。鋳鉄を有して、灰鋳鉄と白鋳鉄は区別される。灰鋳鉄において炭素はグラファイトとして存在し、白鋳鉄において炭素はセメンタイトの形状で存在する。
セメンタイトは、組成物FeC(炭化鉄)を有した、鉄及び炭素の化合物である。炭化鉄は、白鋳鉄及び鋼鉄において準安定相として発生する。非常に遅い冷却又は非常に長いアニール時間の場合、セメンタイトは、鉄及びグラファイトに分解され得る。
セメンタイトは、結晶化による溶解物から生じる一次セメンタイトとして、オーステナイトからの沈殿から形成される二次セメンタイトとして、又は、腐食の傾向があるソフトフェライト(体心立方格子内の鉄)からの沈殿によって生じる三次セメンタイトとして存在し得る。この点で、鉄から作製された面心立方混晶が、オーステナイトと呼ばれる。準安定凝固の場合、鋳鉄は、セメンタイト及びオーステナイトから作製されるレデブライトと呼ばれる共晶混合物を含有する。第一に沈殿したセメンタイト上に蓄積する二次セメンタイトは、さらなる冷却によって第一に沈殿したセメンタイトから沈殿する。完了したオーステナイトの変態の後、二次セメンタイトレデブライトは、セメンタイトとパーライトとの微細な混合物を含む。鋳鉄溶解物の冷却によって、過度の一次セメンタイト(FeC)が、粗製の針の形状で形成される。溶解物の冷却によって、過度の二次セメンタイトは、オーステナイト若しくは後のパーライト結晶体の周りで粒界又は層状セメンタイトとして最初に沈殿する。
鋳鉄は、層状のグラファイトを有した鋳鉄として存在し得る。鋳鉄の中でグラファイトは、薄く、不規則に形成された薄板の形状を有する。層状のグラファイトを有した鋳鉄は、小さい引張り強さ及び非常に小さな弾性を有する。鋳鉄の腐食に対する耐性は、シリコン、クロム、ニッケル、又は、アルミニウムの合金によって増すことができる。鋳鉄は、アニールされた鋳鉄の球状グラファイトを有したダクタイル鋳鉄として、又は、蠕虫状グラファイトを有した鋳鉄としても存在し得る。後者において、グラファイトは、層状でも球状でも、蠕虫状(細長くて足のない虫の形状)としても存在しない。蠕虫状グラファイトの機械的特性は、鋳鉄が、層状のグラファイトを有した鋳鉄と球状のグラファイトを有した鋳鉄との間にあることである。
EP−A−0 525 540号は、例えば、層構造を有した鋳鉄から作製されたシリンダライナと比較してより大きい引っ張り強さ及びより優れた伸長特性を有した、球状グラファイトを有したパーライトの鋳鉄から作製された燃焼機関のためのシリンダライナを記載している。この点で、ホウ素、りん、及び、必要であればバナジウムの添加が、球状グラファイトを有した鋳鉄のベース合金に対して行われ、添加を介して、鋳鉄の網構造も、球状グラファイトの包有物に加えて、網形状に分布された非常に硬質なセメンタイト部分及び/又はステダイト部分を有する。
EP−A−0−872 567号は、球状グラファイトを有した鋳鉄と比較して優れた安定性及び伸び、並びに、改善された熱伝導率も有した、往復動ピストン燃焼機関のシリンダライナに対して蠕虫状グラファイトを有した鋳鉄合金を記載している。蠕虫状グラファイトを有した鋳鉄合金、すなわち、細長くて足のない虫の形状でグラファイトの包有物を有した鋳鉄合金は、空間的にはっきりと限定されたセメンタイト/ステダイトの割合の形状で硬質相をさらに有しており、セメンタイト/ステダイトの割合は網のような鋳鉄の構造を介して均等に分布され、2%から20%、特に、4%から10%の容積割合をとる。
合金の特性は、個々の構造成分の特性によって与えられる。この理由のため、粒径に加えて、構造成分の相対的含量比が合金の評価にとって重要である。
種々の手順が、金属顕微切片(metallographic microsection)の助けをかりて、構造成分の量による割合を推定するために開発されてきた。この点で、顕微切片において、質量による割合ではなく、容積による割合に比例するとして考えることができる面積比は見てわかるようになるということを考慮に入れたい。必要がある場合、体積百分率から質量百分率への変換が実行されなければならない。
単純なケースにおいて、定量分析が主観的な推測によって行われる。約900℃の徐冷後、0から0.8%のC含有量を有した全ての鉄炭素合金が、変動する量による割合で構造成分フェライト及びパーライトを含む。純鉄は100%フェライトを含み、0.8%Cを有する鋼鉄は100%パーライトを含む。その結果、0.1%C毎に、パーライトの表面の割合は、0.1/0.8×100%=12.5%増加する。実際に、徐冷された鋼鉄の炭素含有量は、この方法で金属顕微切片の助けをかりて評価することができる。
さらなる正確さが必要とされる場合、個々の構造成分が測定されなければならない。これは、プラニメーター、すなわち、表面の割合を決定するための機械的ツールの助けをかりて行うことができる。
秤量工程において、個々の構造成分が写真プリントから切り取られ、個々の画像成分が解析スケールで秤量される。均一な紙質であると仮定して、紙の重さは、従って、関連する構造成分のように振る舞う。
例えば、リニアインターセプト法において、10から20のインターセプトする直線が描かれ、ミリメートル測定を使用して、個々の構造成分上に位置する長さが測定され、すなわち、個々の構造成分の直線の割合が推定される。個々の構造成分の容積は、ほとんど直線部分のように振る舞う。容積の割合は、全ての線を平均することによって計算することができる。
いわゆるインテグレーションスティッチ(integration stitch)も、複雑に組み立てられた構造体の正確な測定に使用することができ、この点で、実質的にクロステーブルである。そこから離れて、前記測定方法はリニアインターセプト法に一致する。
大きなディーゼル機関のシリンダライナの灰鋳鉄における硬質相の割合の決定は、列挙法によって行われることが好ましい。この点では、硬質相の割合は、シリンダライナの軸受面上、好ましくは、ピストンリングの上死点の上、すなわち、一般的にはシリンダライナの上端の60から100mm下で測定される。好都合に20mm×30mmの領域は、硬質相のインプリントの製造のために、炭化ケイ素のサンドペーパーで磨かれる。後のエッチング工程に先立ち、表面は、例えばアルコールで洗浄され、後に乾燥される。次に、表面は、硝酸及びアルコール又は水の3〜5%混合物を用いて、3から5分間エッチングされる。この方法で、硬質相の決定のために構造状態は見てわかるようにされる。
しかし、写真によるコピーのみが構造状態の評価に使用されるというわけではない。レプリカ法を使用して好ましくは製造された構造状態のインプリントが、硬質相の含量決定に使用される。レプリカ法において、検査されることになる表面の徹底的な洗浄の後、レプリカが、検査されることになる領域から作製され、この表面の領域を磨く及び表面上をエッチングする、すなわち、検査されることになる表面のコピー(同様に、ネガコピー又はミラーコピー)が作製されることが有利であり得る。この目標に対して、例えばMicroset又はStruer′s RepliSet等の二成分ポリマーが、調製された領域に適用される。いわゆる「裏紙」を有した硬質のプレートを、ポリマーの後側部に適用し、ポリマーの簡単な操作及び安定化の目的のために表面を再生することができる。あるいは、二成分ポリマーを、第一に、「裏紙」を有したプレート上に適用し、次に、シリンダインサート上の以前に調製されたスポット上に適用することができる。種々の二成分ポリマーがこの目的に対して利用可能であり、特定の二成分ポリマーの使用は、検査されることになるシリンダの表面、及び/又は、その時の環境温度に従って決定され、対応する所定の硬化時間は、観察及び厳守されなければならない。硬化されたレプリカは、次に、表面から取り除くことができ、そのレプリカは、検査されることになる構造体の非常に詳細なインプリントを含む。評価に対して、レプリカを有したプレートは、顕微鏡下で直接検査及び評価することができる。
対応する表面の調製に続いて、Triafolインプリントも作製することができ、軸受面上の表面温度は、有利に5から30℃の間にある。この点では、1枚のTriafolホイル(Triafolは、プラスチックホイルの商品名である)が、約4秒間アセトンに浸され、調製された表面に適用され、約10分間そこで乾燥される。この後、ホイルは、検査されることになる軸受面の構造体のインプリントを示す。評価のために、ホイルはスライドに適用され、コントラストを上げるために炭素蒸気で被覆される。インプリントのミクロ構造は、例えば、図2に示された画像に一致し、硬質相は、グラファイト及びパーライトから作製されるマトリックスにおける粒子として可視である。硬質相の割合の計測が、次に、一般的に例えば100のポイントを有した、すなわち、100個の交点を有して直線が90度で互いに交差した線のパターンのインテグレーションプレート(integration plate)を用いて行われる。増幅は、この点において100:1に達する。これらの条件下で、1mmの面積が、測定範囲あたりに計算される。直接互いに隣接してある16のこの種の測定範囲が、硬質相決定に対して計算され、各観察される四角な面において、それらのインテグレーションプレートのポイントが計算され、硬質相に一致する。硬質相の割合は、ポイントの総数に対する、硬質相で被覆されるポイントの数の関係を介して決定され、すなわち、硬質相の割合〔%〕=100%×硬質相のポイント/ポイントの総数である。この計算方法で、硬質相の境界にあるポイントは、ハーフポイントとして計算される。
硬質相の割合は、従って、検査されることになる表面上の合金(=硬質相が埋め込まれた基礎のマトリックス)の面積の割合あたりの硬質相の面積の割合に一致する。本願の主題において、硬質相に対するパーセンテージの詳細は、何か別に留意されていない場合、常に、検査されることになる合金表面の面積単位あたりの硬質相の面積のパーセンテージ、すなわち、面積の割合に関係し、面積のパーセンテージは、特に、上記の、大きなディーゼル機関のシリンダライナの灰鋳鉄における硬質相の割合の決定に対する測定方法という意味で決定される。
硬質相の粒子は、一般に、シリンダライナの軸受面の磨耗に対する耐性を高める。現代のシリンダライナは、有利に、3%から7%の硬質相の割合を有した鋳造物であり、かなり高い硬質相の割合を有した鋳鉄合金も過去に使用されていた。
硬質相の粒子がマトリックス内で堅く固定されている限り、シリンダライナ内のピストンの異常な動きは通常ない。粒子がもはやマトリックスによって結合されていない場合、シリンダの軸受面からばらばらに落ち、従って、不必要なアブレシブ摩耗をもたらす恐れがあり、次に、非常に短時間でシリンダライナの軸受面を完全に破壊する恐れがある。
金属マトリックスは、硫酸による腐食によって破壊的に作用され得る。腐食性作用は、境界面にてより激しく生じる恐れがあり、硬質相の粒子の空間的突出をもたらし得る。これらの硬質相の粒子は、次に、その上を滑走するピストンリングによって(例えば曲げることによって)ますますストレスを受ける恐れがあり、従って、容易に粉砕され、部分的又は完全にシリンダの軸受面から切断され得る。これは、次に、不必要なアブレシブ摩耗をもたらし、次に、シリンダライナ、又は、少なくともその軸受面を非常に短時間で完全に破壊し得る。
往復動ピストン燃焼機関のためのピストンリングは、一般的に、鋳鉄又は鋼鉄を含み、これらのピストンリングには、硬質層が提供されることも多くある。ピストンリングの基部体、すなわち、硬質層を有することなく鋳鉄又は鋼鉄を通常含むピストンリングは、以下において、ピストンリングブランクと呼ばれる。灰鋳鉄、すなわち、層状のグラファイトを有した鋳鉄、球状のグラファイトを有した鋳鉄、又は、蠕虫状のグラファイトを有した鋳鉄を、例えば鋳鉄として使用することができる。
金属合金(metallic alloy)は、鋼鉄と呼ばれ、その主成分は鉄であり、その炭素含有量は0.01重量%から2.06重量%の間にある。化学的観点から、鋼鉄は、鉄及び炭化鉄から作製される合金である。
ピストンリングの外側の硬質層は、例えば、クロム、モリブデン、ニッケル−グラファイト、炭化クロム、サーメット、アルミニウム青銅、Cr−炭化物若しくはグラファイト青銅の包有物を有したMoベースの合金又はNi−Crベースの合金、窒化クロム、ニッケルアルミナイド、ニッケルクロム、炭化クロムの包有物を有するニッケルベースの合金、又は、セラミック層のものを含み得る。金属酸化物、炭化物、又は、窒化物は、例えば、セラミックスとして疑問となる。
例えば、硬質層は、ガルバーニ電気法を使用して、プラズマ溶射によって、HVOF(高速フレーム溶射)法、PVD(物理蒸着)法、若しくは、HIP(熱間等静圧圧縮成形)法によって、又は、レーザクラッドによって、鋳鉄又は鋼鉄から作製されたピストンリングに適用することができる。
例えば、硬質のクロム層又はセラミック層を、ガルバーニ電気法を使用して適用することができる。例えば、プラズマ溶射法は、モリブデン、ニッケル−グラファイト、炭化クロム、サーメット、アルミニウム青銅、又は、Cr−炭化物若しくはグラファイト青銅の包有物を有したMoベースの合金若しくはNi−Crベースの合金の層を適用するのに適している。例えば、HVOF法は、炭化物を含有するMOベースの合金、又は、炭化物を含有するNi−Crベースの合金の適用に適している。例えば、窒化クロムの層も、PVD法を使用してうまく適用することができ、例えば、HIP法は、ニッケルクロム又はニッケルアルミナイドの層に適している。レーザクラッドは、例えば、炭化クロムを含有したニッケル合金の適用に適している。
現在までに知られている現代の往復動ピストン燃焼機関において、ピストンリングが提供されたピストンは、シリンダライナにおいて、又は、高い硬質相の割合を有したそのシリンダの軸受面上で前後にそれぞれ動かされ、この硬質相の割合は、通常、3から10%に達する。
先行技術による3から7%の硬質相の割合に対して、その硬質相の粒径は、結晶化の状態次第であるが、約10μmから1mmに達する。きめの荒い硬質相の粒子による加速された工具摩擦によって、切削作業をもはや実際に保証せず、圧力下で機械加工されることになる材料を可塑的に変形する工具が得られ、その結果として、特に表面上に位置する硬質相の粒子も破壊される恐れがあり、従って後に、破壊された、ばらばらに存在する、非常に硬質で多孔質な粒子によって、高程度のシリンダライナの軸受面の摩耗をもたらし得る。
本発明の目的は、先行技術と比較した場合に、改善された運転特性及び磨耗特性に対する耐性を有した往復動ピストン燃焼機関を提供することである。
本発明によると、この目的は、請求項1の特徴を有した往復動ピストン燃焼機関によって満たされる。従属項は、特に有利な本発明の実施形態に関する。
受け入れ可能な制限内での最小限の潤滑油の消費でシリンダライナ及びピストンリングの摩耗を抑えておくために、互いに滑走するこれらのピストンリング及びシリンダの軸受面の摩擦学に影響を与える要因全てが最適化されなければならない。潤滑油の消費、軸受面上及びピストンのジャケット表面上への潤滑油の適用のタイプ及び様式、並びに、潤滑油の供給速度に加えて、これらの要因は、燃料の化学組成、シリンダの軸受面の表面構造、及び、種々の成分の材料にも関する。
摩耗に対する耐性に関して、改善された往復動ピストン燃焼機関のさらなる開発の範囲内で、シリンダライナの軸受面のみではなく、反対に向けられた部分、すなわち、シリンダライナ自体の軸受面のみではなく、シリンダライナの軸受面上で動かされるピストンリングが往復動ピストン燃焼機関のシリンダライナの磨耗に対する耐性に不可欠であることが示されてきた。
本発明による往復動ピストン燃焼機関は、少なくとも1つのシリンダを有している。各シリンダは、往復運動のために、シリンダライナ及びその中に配置されるピストンを含み、ピストンは、そのジャケット表面にて少なくとも1つのピストンリングを有する。ピストンは、本質的に、環状シリンダの形状を有しているため、ピストンのジャケット表面は、基底表面と上面との間に位置し、シリンダライナの軸受面に対して向けられたシリンダの外面を表している。シリンダライナ、及び、このシリンダライナの軸受面上前後に可動であるピストンのピストンリングの材料は、磨耗に対する耐性に関して、それぞれ理論的には互いに調和され、ピストンリングは、少なくともシリンダライナの軸受面に向かう表面上にクロムセラミックから作製された被覆物を有し、シリンダライナは、0.01から1.99%の硬質相の割合を有した鋳鉄合金を含む。
ピストンリングの基部体、すなわち、ピストンリングブランクは、一般的に、鋼鉄又は鋳鉄を含み、層状グラファイトを有した鋳鉄、又は、蠕虫状グラファイトを有した鋳鉄が好ましい。
ピストンリングの全表面が、好ましくはクロムセラミックスの硬質層を有している。
クロムセラミックスの層において、セラミック粒子は、クロムから作製されたマトリックスにそれぞれ埋め込まれる。クロムセラミックスの層は、セラミック粒子が埋め込まれたガルバーニ電気で堆積されたクロム層であることが好ましい。これに関して、微粒子のセラミック粒子が好ましく、さらに、可能な限り均一にクロム層において分布される。ここで、セラミック粒子は、酸化物セラミックス、炭化物、窒化物、ダイヤモンド、又は、これらの混合物に関し得る。
本発明による往復動ピストン燃焼機関に使用されるクロムセラミックスの材料は、酸化クロムアルミニウム(Cr−Al)、窒化クロムケイ素(Cr−Si)、酸窒化クロムケイ素、酸化ケイ素、及び、クロムダイヤモンドの群から選択されることが好ましい。この点で、酸化アルミニウムのセラミックスは、α−Al(コランダム)に基づいている。窒化ケイ素は、α−Si、β−Si、又は、γ−Siの変態(結晶構造)に使用することができる。ダイヤモンドは、立方晶システムにおける炭素の変態である。
本発明による往復動ピストン燃焼機関に使用されるシリンダライナは、0.01から1.99%の硬質相の割合を有した鋳鉄を含み、その硬質相は、パーライトのマトリックスに埋め込まれることが好ましい。
使用される鋳鉄は、構造成分としてステダイトと呼ばれるリン共晶を有したパーライトの基礎材料を有することが好ましい。ステダイトは、鋳鉄における高いリン含有量の結果である。鋳鉄は、特に摩耗特性の改善のためリンとの合金にされる。
パーライトのマトリックスは、整列された層状の共晶組織成分を有することが好ましい。これに関して、パーライトのマトリックスは、フェライト及びセメンタイト(炭化鉄)の位相混合に関する。フェライト及びセメンタイトの位相混合は、0.02〜6.67重量%の炭素含有量での鉄炭素合金の共晶変態により生じる。層状のパーライト構造は、一方で、局所的な炭素減少によって、もう一方で、隣接する領域上での炭素の濃縮によって、共晶パーライトの形成の間に生じる。フェライトから作製される構造体、すなわち、α−Feは、0.02重量%未満の炭素含有量にて生じる。
硬質相は、セメンタイト、ステダイト、又は、指定された成分両方を含むことが好ましい。セメンタイトは、組成物FeC(炭化鉄)の鉄と炭素との化合物である。
シリンダライナの砂型鋳造又は永久鋳造において通常の凝固速度の場合、硬質相は、化学組成及び乱されていない異質のグラファイトの形成に応じて、ステダイトを含む、及び/又は、ステダイトとレデブライトセメンタイト(炭化鉄)の混合物から構成され、少量のみの遊離フェライト及びグラファイト、特に、層状のグラファイトを有したほぼ完全にパーライトのマトリックスに埋め込まれる。レデブライトセメンタイトに対するステダイトの比は、摩耗抑制特性の改善のために故意に添加された要素及びその量次第であり、特に、リン、ホウ素、及び、バナジウムが、摩耗抑制要素として使用される。しかし、溶解物も不可避の汚染物質を有する恐れがあり、レデブライトセメンタイトに対するステダイトの比に影響を及ぼし得る。さらに、レデブライトセメンタイトに対するステダイトの比は、鋳鉄の凝固の間の核形成状態次第でもある。
ステダイトと呼ばれる三元のリン共晶は、41重量%のリン酸鉄(FeP)、30重量%のステアタイトのセメンタイト(steatic cementite)(FeC)、及び、29重量%のオーステナイト(鉄合金のγ混合結晶)を含み、共晶変態の間に分解されてパーライト(ストライプの構造形状の鉄材料)になる。パーライトは、フェライト及びパーライトのセメンタイトを含む。
形成されるステダイト粒子の数、サイズ、及び、分布は、溶解物から沈殿するリン及び要素の量、並びに、共晶結晶の数及び分布に直接依存する。10μmから1mmの伸長部を有した比較的小さいステダイト粒子が形成されることが好ましいか、又は、同様に、一般的に10μmから350μmの伸長部を有したさらなるステダイト粒子が生じるか、又は、指定されたステダイト粒子両方の混合物が生じる。ステダイト粒子の形状は、球状から樹枝状に及ぶ。摩耗特性及び材料の機械加工性を考慮して、均一に分布された球状の小さいステダイト粒子が好ましい。
ステダイトの硬度は、溶解物からリン共晶に沈殿する要素、及び、その濃度次第である。ステダイトの平均硬度は、700から800HVに達する(DIN EN ISO 6507−1:2005から−4:2005によるビッカース硬度)。
セメンタイトの硬度は、ステダイトの硬度のように、鉄混合結晶に存在する炭化物安定化要素の量に依存する。ステダイト及びレデブライトのセメンタイトを含んだ硬質相の平均硬度は、約800から1200HVに達し、明らかにステダイトのみの硬度よりも高い。このように、しかし、ステダイト及びレデブライトのセメンタイトを含んだ硬質相は、純ステダイトと比較して高い脆性も表示し、ステダイト及びレデブライトのセメンタイトを含む硬質相を有した鋳込材料の機械加工性はより悪く、従って、機械工具の摩耗も増える。硬質相は、レデブライトのセメンタイトのみも含むことができ、すなわち、ステダイトが同時に存在することなくあり得る。
層状のパーライトのマトリックスの硬度は、250から400HVに達することが好ましい。この点で、硬度は、鉄混合結晶に存在するさらなる要素、及び、オーステナイト変態の間の冷却速度次第である。
往復動ピストン燃焼機関に使用されるシリンダライナは少ない割合のみの硬質相を含有するため、シリンダライナの必要とされる伸長特性は、非常に硬く本質的にもろい硬質相の粒子を使用する場合でさえも保証される。
シリンダライナに含有される硬質相の粒子の硬度は、1000HVより多く達することが好ましい。
シリンダライナの硬質相は、FeC及びFeP、並びに、分離された炭化物安定化要素も含むことが好ましい。故意に鋳造合金にされたか、又は、使用される鋳造合金に微量元素として存在する分離された炭化物安定化要素は、特に、Cr、V、Mn、Mo、W、Zr、及び、Teに関する。
鋳造合金の冷却において形成される硬質相の粒子の量、サイズ、及び、分布は、結晶化に影響を与えるパラメータ次第である。シリンダライナに存在する硬質相の量を0.01から1.99%の範囲まで減らすことによって、小さくきめの細かい、さらに、先行技術と比較した場合に構造体においてより均一に分布される硬質相の粒子が形成される。本発明による往復動ピストン燃焼機関に位置する硬質相の粒子のサイズは、優れた材料の機械加工及びわずかな工具摩耗のみを保証する10μmから350μmに達することが好ましい。
鉄合金の溶解物の冷却の間に結晶化された硬質相の薄い厚さによって引き起こされる、シリンダライナの製造において通常生じるミクロ収縮、例えば、ステダイト(リン共晶を有したパーライトの基礎材料)によって引き起こされるミクロ収縮の数は、硬質相の割合が0.01から1.99%という範囲までに減らされるため、先行技術から知られるシリンダライナと比較した場合に、本発明による往復動ピストン燃焼機関に使用されるシリンダライナにおいてかなり減らされる。
好ましい実施形態において、往復動するピストンは、0.05%から1.90%の硬質相の割合を有したシリンダライナを有する。0.05%から1.70%、特に、0.05%から1.50%の硬質相の割合がさらに好ましい。
低量の硬質相であり、さらに、先行技術と比較した場合に、空間的により優れて分布され且つよりきめが細かく、より優れた硬質相サイズの分布さらに有する、すなわち、硬質相の粒子がはるかに均一の粒径を有する硬質相は、切削機械加工性(cutting machinability)を改善し、その結果として、例えば、切削工具はよりダメージを受けることはなく、より摩耗を受け難い。より優れた機械加工性も、例えば、切削速度等のより速い機械加工速度、及び、より長い工具の使用期間を促進する。
先行技術と比較した場合のシリンダライナの構造体における減少した硬質相の割合のため、機関の作動の間に軸受面から放出された硬質の粒子の数も減少し、第2の摩滅を引き起こし得る。
シリンダライナに使用される鋳鉄は、シリンダライナ内のピストンの運転の調子に影響を与えないMnS、TiN、又は、窒化炭素等の成分をさらに含有し得る。
シリンダライナにおける硬質相の割合は、均一に分布されることが好ましい。
さらなる好ましい実施形態において、硬質相の割合は、シリンダライナの長さにわたり、すなわち、軸方向においてそれぞれ調整され、従って、摩耗及び/又はピストンの運転の調子をさらに最適化することができる。この実施形態において、シリンダライナ、特に、シリンダライナの軸受面は、軸方向において硬質相の勾配を有し、硬質相の割合は、各箇所において0.01から1.99%の間にある。この点で、勾配は線形であり得るか、又は、異なる関数の形も有することができる。ピストンの上方及び/又は下方の死点の領域における硬質相の割合は、特に、シリンダライナの軸方向に中心の部分と比較してより大きな割合の硬質相を有することができる。
非常に小さい硬質相の割合を含有するシリンダライナとのクロムセラミックスで被覆されたピストンリングの組み合わせは、遅い摩耗の速度を生じる。さらに、鋳造合金におけるより少なく小さい硬質相の粒子は、遅いアブレシブ摩耗の速度を生じる。さらに、シリンダライナの製造性及び機械加工性は、少量のみの硬質相材料の添加を介してより簡単にされ、切削機械加工に対する材料特性は、同じ鋳込材料の特性に本質的に一致するが、いかなる種類の硬質相の粒子もない、すなわち、低い硬質相の割合を有するシリンダライナの機械的な加工性は、いかなる種類の硬質相もないシリンダライナに本質的に一致する。その結果、低い硬質相の割合を有するシリンダライナの運転時間は、いかなる種類の硬質相もないシリンダライナと比較して延長されず、機械工具の寿命は、低い硬質相の割合によって著しく短くされることはない。「低い硬質相の割合」という用語は、本明細書によって、1.99%未満の硬質相の割合であると常に理解される。本発明による往復動ピストン燃焼機関のシリンダ、すなわち、材料の組成に関して互いに調和されるシリンダライナ及びピストンリングは、それ自体知られた鋳造方法を使用して鋳鉄合金から製造することができる。シリンダは、従って、容易且つ経済的に製造することができる。
本発明は、以下において図面によって詳細に説明される。
大きなディーゼル機関のシリンダの概略的な斜視図である。 1.8%の硬質相を含有するシリンダライナの軸受面の高分解能での画像である。 0.2%の硬質相を含有するシリンダライナの軸受面の高分解能での画像である。 2.0%の硬質相を含有するシリンダライナの軸受面の高分解能での画像である。 3.0%の硬質相を含有するシリンダライナの軸受面の高分解能での画像である。
図1では、低速で2行程サイクルの大きなディーゼル機関のシリンダの部分が概略的に示されている。シリンダは、掃除空気穴40を有したシリンダライナ30を含んでいる。シリンダライナ30の内面は、軸受面35を形成する。図1はさらに、燃焼チャンバに向けられたピストン表面15、及び、シリンダの形をしたピストンジャケット表面10を有したピストン5を示している。4つのピストンリング20が、ピストンジャケット表面10にて配置されている。燃焼機関の運転の間、ピストン5は、シリンダライナ30内で上下に動き、ピストンリング20は、シリンダライナ30の軸受面35上を滑走し、ピストンリング20及び軸受面30は、従って、特定の量の摩耗に曝される。
図2は、1.8%の硬質相を含有する往復動ピストン燃焼機関のシリンダライナの軸受面における高分解能での顕微切片を示している。測定バーの長さは1mmに達する。画像内の粒子の構造は、樹枝状の硬質相を示している。
図3は、0.2%の硬質相を含有する本発明による往復動ピストン燃焼機関のシリンダライナの軸受面における高分解能での顕微切片を示している。図2と比較して、かなり少ない硬質相が存在しており、図3では、硬質相は、より球状の形を有している。
図4は、2.0%の硬質相を含有する往復動ピストン燃焼機関のシリンダライナの軸受面における高分解能での顕微切片を示している。測定バーの長さは1mmに達する。粒子の構造は、樹枝状の硬質相を示している。
図5は、3.0%の硬質相を含有する往復動ピストン燃焼機関のシリンダライナの軸受面における高分解能での顕微切片を示している。測定バーの長さは1mmに達する。粒子の構造は、同様に、樹枝状の硬質相を示しており、図4と比較して、かなり厚い硬質相を容易に認識することができる。
5 ピストン
10 ピストンジャケット表面
15 ピストン表面
20 ピストンリング
30 シリンダライナ
35 軸受面
40 掃除空気穴

Claims (13)

  1. 少なくとも1つのシリンダを有した往復動ピストン燃焼機関であって、各シリンダは、往復運動のために、シリンダライナ及びその中に配置されるピストンを有し、該ピストンは、そのジャケット表面にて少なくとも1つのピストンリングを有し、
    前記シリンダライナ、及び、該シリンダライナの軸受面上で可動の前記ピストンのピストンリングの材料は、磨耗に対する耐性に関して、理想的には互いに調和され、前記ピストンリングは、少なくとも前記シリンダライナの軸受面に向かう表面上にクロムセラミックから作製される被覆物を有し、前記シリンダライナは、0.01から1.99%の硬質相の割合を有することを特徴とする、往復動ピストン燃焼機関。
  2. 前記シリンダライナが、硬質相が埋め込まれた鋳鉄から作製されることを特徴とする、請求項1に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  3. 前記硬質相が、炭化物、セメンタイト、及び、ステダイトの群から選択されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  4. 前記硬質相が、主成分としてFeP及び/又はFeCを有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  5. 前記硬質相の粒子が、パーライトのマトリックスに埋め込まれることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  6. 前記シリンダライナは、0.05から1.90%、特に、0.05から1.70%の硬質相の割合を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  7. 前記硬質相の粒子が、10μmから1mm、特に、10μmから350μmの平均広がりを有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  8. 前記硬質相の粒子が、球状又は樹枝状を有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  9. 前記シリンダライナ内に含有される前記硬質相の粒子の平均硬度が、1000HVより多く達することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  10. 各ピストンリングが、層状のグラファイトを有した鋳鉄、又は、蠕虫状のグラファイトを有した鋳鉄から作製され、さらに、クロムセラミックスの外被を有する環状の基部体を含むことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  11. 前記ピストンリングのクロムセラミックスの層は、セラミック粒子が埋め込まれたクロム層であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  12. 前記セラミック粒子が、酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)、及び、ダイヤモンドの群、又は、これらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項11に記載の往復動ピストン燃焼機関。
  13. 大きなディーゼル機関であることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の往復動ピストン燃焼機関。
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