JP3451404B2 - セラミック基板 - Google Patents

セラミック基板

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JP3451404B2 JP34765593A JP34765593A JP3451404B2 JP 3451404 B2 JP3451404 B2 JP 3451404B2 JP 34765593 A JP34765593 A JP 34765593A JP 34765593 A JP34765593 A JP 34765593A JP 3451404 B2 JP3451404 B2 JP 3451404B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、セラミック基板の表面
に薄膜コンデンサを形成するための下部電極を有するセ
ラミック基板に関し、特に、コンデンサの絶縁不良、短
絡不良等を防止するための下部電極構造を有するセラミ
ック基板に関する。 【0002】 【従来の技術】近年の集積回路技術の発達により、高速
動作のため動作周波数の上昇は著しい。それに伴い集積
回路の誤動作防止のため、バイパスコンデンサをセラミ
ック基板に装着、あるいは形成することが行われてい
る。このコンデンサには比較的大きい静電容量を要求す
るにも拘わらず、セラミック基板自身は小型化の要求も
されていることや、コンデンサの特性の上からも、集積
回路に近いセラミック基板上にコンデンサを形成するこ
とが考えられている。 【0003】この場合、限られた面積中で静電容量を大
きくするためには、誘電体層の厚みを薄くすることが必
要となり、スパッタリングやCVD、ゾル・ゲル法等の
薄膜形成技術により誘電体層を形成することが行われ
る。しかし、数μm以下という非常に薄い誘電体層を形
成する場合には、基板や下部電極の表面状態が重要にな
ってくる。というのも、基板の表面が荒れている場合に
は、下部電極や誘電体層を均一に積層・形成することが
出来ないため、上部電極と下部電極が接触して短絡した
り、低い電圧で絶縁破壊を起こしたりして、コンデンサ
の特性に影響する場合があるからである。この基板の表
面の荒れは、研磨等によりある程度低減できるが、十分
に平滑に研磨をするには工数がかかり高価となる上、セ
ラミック基板を使用する場合、セラミック基板中に含ま
れる空孔(ポア)により表面に凹部が出来ることは避け
られず、また研磨キズ等による凹凸が問題となる場合も
ある。 【0004】従って、薄膜コンデンサを形成する場合に
は、基板として研磨されたSiウェハー(特公昭63−
49385号公報参照)や、セラミック基板上にグレー
ズを施して基板表面を平坦化したものを使用していた
が、Siウェハーでは、集積回路パッケージ等への組み
込みが困難であり、またグレーズ処理されたセラミック
基板は高価である。そのほかグレーズしないセラミック
基板上に薄膜コンデンサを形成するものとして特公昭6
0−55975号公報や実開平5−13066号公報な
どもあるが、前者は工程が複雑であり価格が上昇するこ
とや耐熱性に乏しいこと、後者は下部電極を蒸着により
形成しているため、前記問題点は基本的に解決できない
問題があった。また、使用するセラミック基板の製造方
法等を厳密にコントロールして、ポアを含まない、ある
いはポアの数や大きさを極端に減少し、研磨に際しても
十分注意して研磨キズのないセラミック基板を用いれ
ば、凹凸の少ないセラミック基板表面が得られ、上記問
題を低減することが出来るが、このようなセラミック基
板の製造は困難で、結果として高価となるうえ、セラミ
ック基板の特性もポアの有るものとは異なるものとな
り、設計上の不都合もある。 【0005】本発明はかかる問題点を解決するためにな
されたものであって、グレーズを施さないセラミック基
板上に、薄膜コンデンサを形成する場合に適した下部電
極を有するセラミック基板の製造方法を提供すること、
さらには、高い歩留りを持つコンデンサを得るために必
要な下部電極の厚みを有するセラミック基板の製造方法
を得ることを目的とする。 【0006】しかしてその解決手段は、セラミック基板
上にメッキ処理により薄膜コンデンサ用下部電極を形成
する工程を有するセラミック基板の製造方法であって、
前記メッキ処理により形成された薄膜コンデンサ用下部
電極の厚みY(μm)が、前記セラミック基板の薄膜コン
デンサ形成面に存在する空孔の最大ポア径X(μm)と、
Y≧1.1√Xの関係を有していることを特徴とするセ
ラミック基板の製造方法である。このメッキ処理により
形成された薄膜コンデンサ用下部電極の厚みY(μm)
が、前記セラミック基板の表面に存在する空孔の最大ポ
ア径X(μm)と、Y≧1.1√Xの関係を有している場
合には、薄膜コンデンサの歩留まりが十分高くなり特に
好ましい。 【0007】 【作用】本発明によるセラミック基板では、メッキ処理
の平坦化特性(レベリング特性)により、セラミック基
板表面の荒れ(凹凸)をメッキ層が覆って下部電極表面
がセラミック基板表面よりも平坦になる作用を有する。
この場合において、下部電極の厚み(メッキ厚み)Y
(μm)が、セラミック基板表面に存在する空孔の最大ポ
ア径X(μm)とY≧1.1√Xの関係を有する場合に
は、十分に厚いメッキ層で下部電極を構成することによ
り、ポアによって生じる段差をある程度平坦化する作用
を有し、これにより誘電体層や上部電極を概略均一に積
層・形成できる作用を有する。 【0008】 【実施例】 −実施例1− 本発明の第1の実施例を図1から図5を参照しつつ詳細
に説明する。図1のようなセラミック基板1の表面1a
上に、スパッタリングによりTi−Cu薄膜からなる下
部電極下地層2(0.2-0.5μm)を形成する(図2参
照)。この基板には、基板表面に開口しているポアPや
研磨等の工程において生じたキズSが存在している。そ
の後、図3のように電解メッキ処理によりCuメッキ層
(7μm)及びNiメッキ層(3μm)からなる下部電
極3を形成する。ここで、メッキ層3は、ポアPやキズ
S等を覆って、平坦化するようにして成長する。すなわ
ち、メッキ処理による膜成長の場合は、ポアPやキズS
等による凸凹の内、凹部では比較的厚く成長し、一方凸
部では比較的薄く成長するため、結果としてセラミック
基板表面の凹凸がそのまま下部電極表面の凹凸に表れる
ことはなく、比較的滑らかな表面を有することとなる。
従って、セラミック基板表面1aに比較して下部電極表
面3aは平坦にされる。 【0009】かかる下部電極3を持ったセラミック基板
1の上に、誘電体層4としてTa2O5を反応性スパッタ
リングにより所望の位置に厚み0.5〜1μm程度とし
て形成する(図4参照)。更に、図5のようにMo−C
u薄膜からなる上部電極下地層5(0.3-0.5μm)をス
パッタリングにより形成し、フォトリソグラフィ技術に
より所望のパターンを形成した後、Cuメッキ層(5μ
m)及びNiメッキ層(3μm)を形成して上部電極6
および引き出し電極7として、セラミック基板(サンプ
ル番号1、2)を完成した。これにより、セラミック基
板上に薄膜コンデンサCが完成し、引き出し電極7を経
由して下部電極3と上部電極6との間で、電荷が蓄積で
きる。 【0010】この場合、下部電極としてメッキ層3を使
用したために、セラミック基板の表面1aにポアPやキ
ズSがあっても、下部電極3の表面3aは比較的平坦と
なり、ごく薄い誘電体層4を介して上部電極6を形成し
ても、下部電極3と上部電極6とは短絡することはな
く、極端に近接して低い電圧で絶縁破壊による故障を起
こすこともない。その他、誘電体層との密着性を向上す
るために、下部電極3の表面上にモリブデン層をスパッ
タリングにより形成したセラミック基板(サンプル番号
3)も製作した。更に、本発明としては、下部電極のメ
ッキは2種以上のメッキ層とする必要はないのであるか
ら、Cuメッキ層(10μm厚)を1層のみ形成した試
料についても作成した(サンプル番号4)。尚、上記メ
ッキは、銅メッキについては硫酸銅系のメッキ液に光沢
材としてメルテックス社のカバークリームPCMを添加
して電解メッキを行い、ニッケルメッキについては通常
の電解ワット浴によった。 【0011】−比較例− 次に、比較例として、下部電極を蒸着やスパッタリング
で行った場合について図6から図8を参照しつつ説明す
る。セラミック基板1は図1に示す上記実施例と同様の
ものを使用する。これに、上記実施例と同様なTi−C
u(0.2-0.5μm)のスパッタリング薄膜からなる下部
電極下地層2を形成する。次に、上記実施例と異なり、
メッキ処理ではなくスパッタリングによりCuスパッタ
層(7μm)及びNiスパッタ層(3μm)からなる下
部電極13を形成する。かかる場合、スパッタリングに
よる薄膜はメッキによる膜とは異なりレベリング特性を
有さないため、図6のようにポアPやキズSの部分にお
いて、セラミック基板1の表面1aの凹凸が下部電極表
面13aにおいて平坦化されることはない。その後、第
1の実施例と同様に反応性スパッタリングによってTa
25からなる誘電体層14を0.3μmの厚さで形成し
(図7参照)、Mo−Cuからなる上部電極下地層15
の上に、上部電極16及び引き出し電極17を形成し、
サンプル番号5、6とした(図8参照)。 【0012】しかるに、このような方法で形成した薄膜
コンデンサは、図8に示すように、セラミック基板表面
のポアPやキズS等の部分で短絡したり、低い電圧で絶
縁破壊したりする不具合を生ずる。従って、信頼性がな
く、製造歩留りも低いので実際の使用は困難となる。こ
れは、スパッタリング等では、セラミック基板1上にC
uスパッタ層やNiスパッタ層がそのまま厚み方向に成
長するのみであるため、セラミック基板1の凹凸を平坦
化することがなく、誘電体層14を形成しても下部電極
13が上部電極16と接触したり、極端に近接したりす
るからである。 【0013】本発明の効果を確認するため、本実施例及
び比較例によってできあがった薄膜コンデンサの絶縁抵
抗を測定して両者の比較を行った。ここで、使用したセ
ラミック基板1は、アルミナ92%の材質であり、基板
の表面の凹凸は、Ra=0.2μm程度、表面に存在す
るポアPは直径X=10〜20μmで、100個/mm2
程度、研磨キズSは深さ3μm程度のものを用いた。ま
た、セラミック基板1の寸法は、50mm×50mm×2.
0mm厚とし、下部電極3又は13は、セラミック基板の
ほぼ全面の大きさである48mm×48mmの共通電極とし
た。一方、上部電極6又は16は、1.27mm×1.2
7mmの小電極を256ヶ(縦横各16ケ)形成した。こ
れにより、256ヶの小コンデンサCsを形成したこと
となる。(図9参照)上部電極を細かく分けて小コンデ
ンサCsを形成したのは、検査により合格したコンデン
サのみを相互に結線して、所望の静電容量を有するコン
デンサを形成すれば、大面積の上部電極を持つコンデン
サを製作するよりも、歩留り良くコンデンサを形成する
ことが出来るからである。コンデンサの合否の判定は、
前述した図5及び図9における上部電極6と引き出し電
極7または16−17の間の絶縁抵抗を室温下で25
V、10秒にて測定し、1000MΩ以上の絶縁抵抗を
有する場合を合格として、合格率(歩留り)で表示し
た。 【0014】結果を表1に示す。 【表1】表1より、本発明にかかる薄膜コンデンサ(サンプル番
号1〜4)は、合格率が高く、良好な絶縁抵抗を保持し
ていることがわかる一方、比較例(番号5、6)では上
部電極と下部電極が短絡してコンデンサとして使用でき
ないことがわかる。従って、セラミック基板にポアやキ
ズがあっても、下部電極としてメッキ層を用いれば、メ
ッキ層がセラミック基板の表面を平坦化し、薄膜コンデ
ンサを形成できることが明らかになった。逆に、レベリ
ング特性を有さないスパッタリングによる成膜は、たと
えメッキ層と同等の厚みだけ被着しても短絡不良や絶縁
不良を回避できないことは明らかである。このことは同
様にレベリング特性を有さない蒸着等においても当ては
まることである。その上、スパッタリング等の薄膜形成
技術は、一般にメッキよりも高価な設備を必要とする上
に工数が掛かり、コスト面でもメッキ層とすることは有
利である。 【0015】ここで、表面の平滑性を向上するには、下
部電極の表面を形成する部分のメッキ処理を光沢メッキ
処理とすると良い。一般に、メッキ液への添加物の相違
により、メッキ処理は、光沢のある光沢メッキ処理と光
沢のない無光沢メッキ処理に大別される。この内光沢メ
ッキ処理は無光沢メッキ処理に比べてメッキ層表面がよ
り平滑になるようにメッキ層が成長するため、さらに薄
膜コンデンサの下部電極として適しているからである。 【0016】−実施例2− ところで、上記第1実施例においては、上述のようなポ
アやキズを有するセラミック基板を使用し、下部電極と
してメッキ層の厚みを適宜選択して形成したが、必要と
されるメッキ層の厚みとセラミック基板の表面状態と
は、何らかの関係があると予想される。特に、研磨キズ
等は、工程によりその数や程度を低減することが可能で
あり、また、第1実施例で使用した基板でも判るよう
に、研磨キズの大きさもポアの大きさに比べて小さくで
きる場合が多い。しかるに、ポアの数や大きさを低減す
ることは、基板の特性や原材料との関係において困難で
ある場合が多い。 【0017】そこで、第2実施例として、セラミック基
板の表面(コンデンサ形成面)に存在する最大ポア径と
下部電極(メッキ層)の厚みを変化して、コンデンサを
作成し、絶縁抵抗を測定して合格率を調査した。ここ
で、セラミック基板に存在するポアの大きさを変化した
サンプルを同じ材料(材質)で製作することは困難であ
るので、基板の材質を変えて、ポアの大きさを変化させ
ることとし、92%及び99.5%アルミナ、ガラスセ
ラミック、AlN(窒化アルミニウム)からなるセラミ
ック基板を使用した。これらの基板における最大ポア径
は、92%アルミナが20μm、99.5%アルミナが
5μm、ガラスセラミックが3μm、AlNが50μm
であった。 【0018】ここで、最大ポア径とは、セラミック基板
のコンデンサを形成する表面を光学顕微鏡で観察し、任
意の約1mm×1mmの領域を1つのブロックとし、このブ
ロック内で1μm以上の開口(直径)を有するポアを観
察し、そのポアの開口部の直径を測定して直径の度数分
布を調べる。その時の直径の最大値であって、どのブロ
ックでも観察されるものを最大ポア径として用いた。
尚、ポアとして考慮に入れたのは、製造工程上基板に不
可避的に、かつ基板にほぼ均一に形成される空孔(ポ
ア)であり、例えばシート成型時にシート中に巻き込ん
だ泡に起因するものなど、製造上の欠陥として希に存在
し、ポアの平均的な大きさの3倍以上にも達する極めて
大きい穴は除外して最大ポア径を求めた。 【0019】尚、下部電極4には第1実施例と同様な方
法により厚さを変化しつつメッキを施して、誘電体層
5、上部電極6等も、第1実施例と同様とした。また小
コンデンサの合否についても第1実施例と同様に判定し
た。結果を表2および図10に示す。 【表2】 この結果から、下部電極のメッキ厚みが僅かに変化する
ことで、小コンデンサの合格率が急激に変化する領域が
あることが判る。これは、メッキ層がポア部分(凹部)
を平坦化して、上部電極と下部電極の短絡を防止するた
めには、ある程度の厚みが必要であることを示すもので
ある。例えば、通常のセラミック基板に使用されるアル
ミナ92%程度のセラミック基板は、最大ポア径が20
μm程度であるから、メッキ厚みは約5μm以上必要で
あり、かつ5μm以上の厚みでメッキ層を形成すれば十
分高い合格率を得ることができることが判る。 【0020】ここで、小コンデンサの合格率が90%以
上あることをメッキ厚みの良否の判定基準とした場合、
下部電極に最低必要なメッキ厚み(以下必要メッキ厚み
という)Yと最大ポア径Xとの関係は、Xが3μmのと
きYは2.1μm、Xが5μmのときYは2.9μm、
Xが20μmのときYは4.9μm、Xが50μmのと
きYは7.7μmというようになり、グラフに表すと図
11のようになる。即ち、Y≧1.1√Xであれば、小
コンデンサの合格率が90%以上となることが判る。こ
の結果は、とりもなおさず90%以上の合格率を得るの
に最低限必要なメッキ厚みが、基板表面に存在する最大
ポア径に関係していることを示すものである。従って、
薄膜コンデンサを形成しようとする基板表面に存在する
ポアの大きさ(直径)を調べれば、下部電極の必要メッ
キ厚みが求められることとなり、基板の材質や製法等の
違いによりポアの大きさが異なる場合でも、極めて簡単
にコンデンサ(下部電極の厚み)の設計が可能となり、
高いコンデンサ歩留りが確保できることとなる。これに
より、メッキ厚みを実験等により経験的に決定する必要
が無くなり、セラミック基板の開発・設計に期間・コス
トを削減できる。 【0021】一方、メッキ厚みの上限は、コンデンサの
合格率(歩留り)等ではなく、メッキ工程の作業性や工
数によって決定されるものである。一般に、メッキ厚さ
が薄いほど工数は少なく、コストは低くできる。逆にメ
ッキ厚さが厚いほど、メッキ工程の工数がかかり、工程
上も不都合である上に、コストも高くなる。従って、コ
スト等に応じた厚みの上限があることとなる。ところ
で、メッキ層が薄い場合には、電気抵抗が高くなって、
コンデンサ用電極としての特性が低下する。そこで、電
気抵抗を下げるためにポアの大きさから要求されるメッ
キ厚さよりも厚いメッキ層が必要となる場合があり、こ
の場合には、所望の電気抵抗が得られる程度の厚さが下
限となる場合もある。 【0022】尚、下部電極として形成したメッキ層上に
誘電体層を積層・形成する前に、このメッキ層を研磨す
ればさらに下部電極の表面が平坦に出来るので、より薄
膜コンデンサに適する。すなわち、メッキ層はレベリン
グ特性を有しているが、メッキ液中の不純物その他の影
響で、メッキ層表面にはメッキが粒状に固まって成長す
る場合がある。従って、このように成長した部分を研磨
によって除けば、より平滑な面とすることが出来、かか
る部分から短絡等をすることが無くなる。例えば、0.
8〜1.6μm大きさのアルミナ砥粒を用いて、研磨
(ポリシング)する事が挙げられる。この砥粒として
は、フジミINC製MEDIPOLがある。 更に、メ
ッキ層を必要以上に厚く成長させ、その後、所望の厚み
になるように研磨すれば、セラミック基板の表面の凹凸
に関係なく、平坦でかつ平滑な下部電極表面とすること
もでき、コンデンサの合格率を向上できる。 【0023】上記で説明した本発明は、上記実施例に何
等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない
範囲で各種の変形が出来る。すなわち、セラミック基板
としては、アルミナ、AlN、ガラスセラミックを例と
して挙げたが、ムライト、コージェライト、窒化珪素
等、その上に薄膜コンデンサを形成するセラミック基板
であれば材質を限定するものではない。また、下部電極
としてスパッタリングにより下地層を形成し、その上に
メッキ処理により下部電極を形成した例を示したが、下
地層は、スパッタリングによるものに限らず、その他の
薄膜形成技術である蒸着等で形成しても良い。また、セ
ラミック基板を活性化処理をした後に、無電解メッキ液
によりセラミック基板上に直接メッキ層を形成する無電
解メッキ処理によって、下部電極を形成しても同様な効
果を得られることは明らかである。この場合には、下地
層としてコストのかかるスパッタリング等の工程を省略
することが出来、より低コストで下部電極を形成でき
る。 【0024】下部電極や下地層の材質についても、セラ
ミック基板や誘電体層の材質等により適宜選定すればよ
く、上記実施例に限定されない。尚、上記実施例の多く
で、Cuメッキ層とNiメッキ層の2層としたのは、下
部電極としての抵抗を下げるためCuメッキ層を用い、
コンデンサの耐熱性を向上するためにNiメッキ層を用
いたためであり、本発明において2層とする必要がない
ことは明らかである。一方、メッキ層を1層又は2層に
限定する必要はなく、3層以上で構成しても良い。また
この場合、下部電極の表面側には光沢メッキ処理を施す
方が良い。表面が無光沢メッキ処理よりも平滑に出来る
からである。さらに、本発明において下部電極上に形成
される誘電体層や上部電極の材質は、実施例に限定され
る必要がない。誘電体層においては、薄膜の誘電体材料
であればいずれも本発明を実施することにより、コンデ
ンサの信頼性を向上できるからであり、例えばPZT、
SrTiO3などペロブスカイト型セラミック系誘電体
材料を使用する場合でも適用できる。また、本発明にい
うセラミック基板には、実施例に示したような内部配線
を持たない基板の他、内部に回路配線を有するものであ
っても良いことは明らかである。 【0025】 【効果】上記で説明したように、本発明によりセラミッ
ク基板上に下部電極をメッキ処理によって形成すれば、
その上に誘電体層や上部電極を形成して薄膜コンデンサ
を構成した場合に、歩留りの高い、信頼性のあるコンデ
ンサとすることが出来る。更に、セラミック基板に存在
するポアの大きさから、最低限必要な下部電極のメッキ
厚さを算出することにより、極めて容易に、高い歩留ま
りを有するコンデンサを得られるセラミック基板が提供
できる。従って、かかる下部電極を有するセラミック基
板上には、薄膜コンデンサを安価に形成することが出来
る効果を有する。
【図面の簡単な説明】 【図1】セラミック基板の表面状態を示す断面図であ
る。 【図2】図1のセラミック基板に下地層を形成した状態
を示す断面図である。 【図3】図2のセラミック基板にメッキ処理により下部
電極を形成した状態を示す断面図である。 【図4】図3のセラミック基板に誘電体層を形成した状
態を示す断面図である。 【図5】図4のセラミック基板に上部電極等を形成した
状態を示す断面図である。 【図6】図2のセラミック基板にスパッタリングにより
下部電極を形成した状態を示す断面図である。 【図7】図6のセラミック基板に誘電体層を形成した状
態を示す断面図である。 【図8】図7のセラミック基板に上部電極等を形成した
状態を示す断面図である。 【図9】薄膜コンデンサを形成したセラミック基板の斜
視図である。 【図10】第2実施例における下部電極のメッキ厚みと
小コンデンサの合格率との関係を示すグラフである。 【図11】第2実施例における下部電極の総メッキ厚み
と合格率の関係をセラミック基板の材質(最大ポア径)
を変えた場合について示すグラフである。 【符号の説明】 1、 セラミック基板、 3、13 下部電極 4、14 誘電体層 6、16 上部電極 7、17 引き出し電極 P、 ポア(空孔) S、 キズ

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】セラミック基板上にメッキ処理により薄膜
    コンデンサ用下部電極を形成する工程を有するセラミッ
    ク基板の製造方法であって、 前記メッキ処理により形成された薄膜コンデンサ用下部
    電極の厚みY(μm)が、前記セラミック基板の薄膜コン
    デンサ形成面に存在する空孔の最大ポア径X(μm)と、
    Y≧1.1√Xの関係を有していることを特徴とするセ
    ラミック基板の製造方法
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