JP3451130B2 - トルクセンサ - Google Patents

トルクセンサ

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JP3451130B2
JP3451130B2 JP12571794A JP12571794A JP3451130B2 JP 3451130 B2 JP3451130 B2 JP 3451130B2 JP 12571794 A JP12571794 A JP 12571794A JP 12571794 A JP12571794 A JP 12571794A JP 3451130 B2 JP3451130 B2 JP 3451130B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば産業ロボットの
減速機等として用いられる波動減速機機構等において伝
達されるトルクを検出するトルクセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年産業ロボットは多用されているが、
このロボットの制御において、関節部等のトルクを計測
しこれを制御に利用することは、ロボットの制御性能を
向上させる上で非常に有用である。また、計測トルクを
用いて故障診断を行うようにすれば、安全性を向上させ
ることができる。このようなロボットに用いられる波動
減速機機構といった減速機等において生じる非線形摩擦
はサーボ系の高速化、高精度化を阻害する要因の一つで
あり、この摩擦を検出トルクを用いて補償し、サーボ系
の作動速度、精度を向上させることも考えられている。
【0003】このように伝達トルクを計測することはロ
ボットの制御等において非常に重要なことであり、従来
から、種々の検出装置が用いられている。一例を挙げれ
ば、歪ゲージを用いたトルク検出装置があり、この装置
の場合には、例えば、波動減速機機構のフレクスプライ
ンの弾性変形を、歪ゲージを用いて検出してトルク検出
が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、歪ゲー
ジは衝撃等に弱いため、移動ロボット等のような関節部
に衝撃がかかり易いものに用いるのが難しいという問題
がある。また、減速機構とは別体に構成されたトルクセ
ンサを組み込んで用いることもあるが、このようなトル
クセンサを用いるときには、新たに弾性要素を導入した
り、ロボットの関節部の機構を変更しなければならな
い。ここで、弾性要素の追加は機構全体の剛性を低下さ
せてロボットの性能を低下させるおそれがあるという問
題があり、関節部の機構の変更は全体重量増加を招き、
移動ロボット等の場合には駆動に必要なエネルギーが増
加するという問題がある。
【0005】本発明はこのような問題に鑑みたもので、
新たに弾性要素を追加したり、機構の変更を必要とせ
ず、且つ歪ゲージを用いることなくトルク測定を行うこ
とができるような構成のトルクセンサを提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】このような目
的達成のため、第1の本発明においては、トルク伝達可
能でこのトルクを受けて弾性変形する弾性体の表面に設
けられ、このトルクを検出するトルクセンサが、弾性体
の表面に周方向に延びて接着され弾性体の弾性変形に応
じてその磁気歪特性が変化する第1磁性体層と、この第
1磁性体層上に重ねて配設され磁気歪特性の変化を検出
する平板状コイルと、この平板状コイルを覆って配設さ
れた第2磁性体層とから構成される。そして、平板状コ
イルが、第1および第2磁性体層を通る磁界を発生させ
る平板状励磁コイルと、この励磁コイルに重なって配設
され発生した磁界により相互誘導される誘導起電力を検
出する平板状検出コイルとからなり、平板状励磁コイル
を通電励磁させる通電励磁手段と、この通電励磁により
検出コイル層に発生する相互誘導起電力を検出する誘導
起電力検出手段とからなる処理回路を有する。
【0007】このような構成のトルクセンサは、減速機
構等のトルク伝達部材の側面もしくは外周面に周方向に
延びて第1磁性体層を接着して取り付けられる。しか
も、このトルクセンサは、2つの磁性体層と、これらに
挟まれたプリント配線板から構成されており、厚さの薄
い構成であるため、減速機構のトルク伝達部材(例え
ば、波動減速機機構のフレクスプライン部材)の表面に
直接接着するだけでよく、減速機構を変更したり、新た
な部品を追加することなく簡単に取り付けることが可能
である。さらに、歪ゲージに比べて耐衝撃性能が高く、
移動ロボットにのように衝撃が加わりやすい関節部にも
用いることができる。
【0008】また、第2の本発明によれば、トルク伝達
可能でこのトルクを受けて弾性変形する弾性体の表面に
設けられ、このトルクを検出するトルクセンサにおい
て、弾性体が、一端にフレクスプラインを有する薄肉円
筒状のカップリング部とこのカップリング部の他端に一
体に繋がった円盤状底壁部とから構成され、フレクスプ
ラインから入力されるトルクをカップリング部および円
盤状底壁部を介して円盤状底壁部に出力軸に伝達するよ
うに構成される。そしてこのトルクセンサは、カップリ
ング部の外周面もしくは円盤状底壁部の外表面に周方向
に延びて接着されて弾性体の弾性変形に応じてその磁気
歪特性が変化する第1磁性体層と、この第1磁性体層上
に重ねて配設され磁気歪特性の変化を検出する平板状コ
イルと、この平板状コイルを覆って配設された第2磁性
体層とから構成される。
【0009】なお、平板状コイルが、第1および第2磁
性体層を通る磁界を発生させる平板状励磁コイルと、こ
の励磁コイルに重なって配設され発生した磁界により相
互誘導される誘導起電力を検出する平板状検出コイルと
からなり、平板状励磁コイルを通電励磁させる通電励磁
手段と、この通電励磁により検出コイル層に発生する相
互誘導起電力を検出する誘導起電力検出手段とからなる
処理回路を有するように構成するのが好ましい。
【0010】平板状コイルは絶縁材料製フレキシブルシ
ートの表面に導電材料製のコイルパターン層を形成して
作るのが好ましい。また、第1磁性体層および前記第2
磁性体層としてはともにアモルファスもしくはアモルフ
ァス合金が用いられることが多い。
【0011】なお、第1磁性体層に、周方向に対しほぼ
45度の角度を有した複数のスリットを周方向に並べて
形成するのが好ましい。この場合、このような複数のス
リットを並列に2列形成し、一方の列のスリットを周方
向に対して右にほぼ45度の角度を有して形成し、他方
のスリットを左にほぼ45度の角度を有して形成し、検
出コイル層を、この一方の列に対向する第1検出コイル
層と他方の列に対向する第2検出コイル層とから構成す
るのが望ましい。
【0012】弾性体がトルクを受けて弾性変形するとき
に、この弾性体の表面における磁気歪は周方向に対して
45度の方向において最大となり、磁気透磁率変化もこ
の方向において最大となる。このため、周方向に対して
45度の角度を有した複数のスリットを周方向に並べて
形成すれば、形状的な異方性効果が加わって弾性変形時
における磁気透磁率変化が増幅されて表れるため、トル
ク検出をより正確に行うことができる。
【0013】さらに、弾性変形時にその表面には圧縮応
力および引っ張り応力が相反する方向に生じるため、上
記のように左右それぞれ45度の角度を有する2列のス
リットを形成すれば、第1検出コイル層の誘導起電力と
第2検出コイル層の誘導起電力が正負逆となり、両起電
力の差を検出することによりトルク検出をより正確に行
うことが可能である。
【0014】また、このトルクセンサを波動減速機機構
の伝達トルクを検出するために用いることができ、この
ときには、弾性体からなるフレクスプライン部材の円盤
状側面もしくは円筒状外周面に第1磁性体層が接着され
てトルクセンサが配設される。フレクスプライン部材は
駆動時に大きく弾性変形される部材であり、この大きな
弾性変形が生じる部材にトルクセンサを配設することに
より、より正確なトルク検出が可能となる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の好ましい実施
例について説明する。本発明に係るトルクセンサを備え
た波動減速機機構の一例を図1に示している。この機構
は、内歯サーキュラースプライン1aが形成されたほぼ
円筒状の支持ケース1とこの支持ケース1に結合された
フランジカバー2とに囲まれた空間内に、以下の部材を
ベアリング8a,8bにより回転自在に支持して構成さ
れる。なお、これら支持ケース1およびフランジカバー
2は通常、固定保持される。波動減速機機構は入力軸3
の回転を非常に大きな減速比(数十から百数十といった
非常に大きな減速比)で減速して出力軸13に伝達する
機構であるが、この機構そのものは従来から公知である
ので、この機構自体の説明は簡単に行う。
【0016】入力軸3はベアリング8aを介してフラン
ジカバー2により回転自在に支持されており、一端が外
方に突出し、他端に楕円盤カム5が結合されている。こ
の楕円盤カム5の外周に沿って複数の押圧ボール6aを
等間隔で配設してウェーブジェネレータ6が構成されて
いる。一方、出力軸13はベアリング8bを介して支持
ケース1により回転自在に支持されるとともに、一端が
支持ケース1の側面から外方に突出し、他端が支持ケー
ス2内に配設されたフレクスプライン部材10に結合さ
れている。
【0017】フレクスプライン部材10は、弾性材料か
ら形成された部材で、先端部に外歯フレクスプライン1
1を有するとともに、この外歯フレクスプライン11と
出力軸13とを結合する円盤状底壁12aを有した薄肉
円筒状のカップリング部12を有して構成される。外歯
フレクスプライン11の内周面に沿ってウェーブジェネ
レータ6が位置するとともに、この外歯フレクスプライ
ン11は内歯サーキュラースプライン1aと噛合する位
置にある。
【0018】ウェーブジェネレータ6において、楕円盤
カム5はその楕円形状に対応してボール6aを外周方向
に押し上げ、フレクスプライン11は楕円形に弾性変形
される。このとき、フレクスプライン11における楕円
の長軸に対応する部分が最も外周側に押し出されるよう
に変形し、フレクスプライン11は180度離れた2箇
所において内歯サーキュラースプライン1aと噛合す
る。
【0019】以上の構成の波動減速機機構において、入
力軸3が回転駆動されるとこれに結合されたウェーブジ
ェネレータ6(楕円盤カム5)が一緒に回転され、フレ
クスプライン11と内歯サーキュラースプライン1aと
の噛合位置がこの回転とともに回転移動する。ここで、
内歯サーキュラースプライン1aの歯数に対してフレク
スプライン11の歯数が1〜数枚少なく形成されてお
り、上記のように入力軸3の回転に応じて噛合位置が回
転移動すると、入力軸3が1回転したときにフレクスプ
ライン部材10はこの相違歯数分だけ回転する。すなわ
ち、入力軸3の一回転に対して出力軸13はフレクスプ
ライン11の1〜数枚の歯数分しか回転されず、非常に
大きな減速比で回転が伝達される。
【0020】この波動減速機機構におけるフレクスプラ
イン部材10の円盤状底壁12aの外側面に、このフレ
クスプライン部材10を介して伝達されるトルクを検出
するトルクセンサ20が接着されて配設されている。こ
のトルクセンサ20の上には保護カバー15が取り付け
られている。なお、フレクスプライン部材10を保護カ
バー15を外した状態で図2に示している。本例のトル
クセンサ20は、図3に示すように、中央に開口を有す
るドーナッツ型円盤状に形成され、このトルクセンサ2
0を構成する励磁コイルを励磁したり、検出コイルの誘
導起電力を検出したりする処理回路30がトルクセンサ
20に接続されている。
【0021】このトルクセンサ20をフレクスプライン
部材10に取り付けた状態を図4に示している。トルク
センサ20は、アモルファスシートもしくはアモルファ
ス合金シートから形成された第1磁性体層22を有し、
この第1磁性体層22は接着剤を含浸させたカーボンク
ロスシート21によりフレクスプライン部材10の円盤
状底壁12aの外側面にしっかりと接着されている。こ
の第1磁性体層22の上には、励磁コイルパターン23
a,23bが形成された励磁用プリント配線板23と、
検出コイルパターン24a,24bが形成された検出用
プリント配線板24とが重ねて配設され、この上に、ア
モルファスシートもしくはアモルファス合金シートから
なる第2磁性体層25a,25bが配設されている。
【0022】第1磁性体層22は、図5に示すように、
アモルファスもしくはアモルファス合金からなるシート
を中央に円状開口22cを有した円盤状に形成して作ら
れており、周方向に整列した複数のスリット22a,2
2bが2列にリング状に並んで形成されている。図示の
ように、内周側スリット22aおよび外周側スリット2
2bはそれぞれ、周方向に対して45度傾いて形成され
ており、しかも、内周側スリット22aは周方向に対し
て左側に45度傾き、外周側スリット22bは周方向に
対して右側に45度傾いて形成されている。なお、内周
側スリット22aを右側に45度傾け、外周側スリット
22bを左側に45度傾けてもよい。
【0023】励磁用プリント配線板23は、図6に示す
ように、絶縁材料性フレキシブルプリント基板23eの
表面に、内周側に位置するとともに時計回り方向に形成
された第1励磁コイルパターン23aと、外周側に位置
するとともに反時計回り方向に形成された第2励磁コイ
ルパターン23bとが形成されて作られている。図にお
いて、各コイルパターン23a,23bはそれぞれ約二
周するように形成されているが、もっと多くの巻数のコ
イルパターンをそれぞれ形成しても良い。
【0024】なお、図4においてはコイルパターン22
a,22bを模式的に断面円形に示しているが、実際は
プリント基板の上に形成された導電材料パターンであ
る。また、図6において、実線のコイルパターンはフレ
キシブルプリント基板23eの表面に形成され、破線の
コイルパターンは裏面に形成されている。なお、間に絶
縁層を介して両コイルパターンを表面もしくは裏面に多
層に形成してもよい。
【0025】第1励磁コイルパターン23aの外周端と
第2励磁コイルパターン23bの内周端が接続されると
ともに、第1励磁コイルパターン23aの内周端と第2
励磁コイルパターン23bの外周端がそれぞれ励磁用コ
ネクタ部23cに接続されており、励磁用コネクタ部2
3c以外のコイルパターンは絶縁コーティングされてい
る。励磁用コネクタ部23cは露出しており、これらコ
ネクタ部23c間に電流を流せば、第1および第2励磁
コイルパターン23a,23bを流れる電流により、図
4に矢印P,Qで示す磁界が発生する。このとき、両コ
イルパターン23a,23bの巻方向が反対なので、両
磁界P,Qも反対方向の磁界となる。
【0026】検出用プリント配線板24は、図7に示す
ように、絶縁材料性フレキシブルプリント基板24eの
表面に、内周側に位置して時計回り方向に形成された第
1検出コイルパターン24aと、外周側に位置して反時
計回り方向に形成された第2検出コイルパターン24b
とが形成されて作られている。この検出用プリント配線
板24においても、各コイルパターン24a,24bの
巻数をもっと多くしても良く、実線のコイルパターンが
フレキシブルプリント基板23eの表面に形成され、破
線のコイルパターンが裏面に形成される。なお、第1検
出コイルパターン24aは第1検出用コネクタ部24c
に繋がり、第2検出コイルパターン24bは第2検出用
コネクタ部24dに繋がる。
【0027】上記両プリント配線板23,24が第1磁
性体層22の上に重ねられた状態で、第1励磁コイルパ
ターン23aおよび第1検出パターン24aはともに内
周側スリット22aの上に重なり、第2励磁コイルパタ
ーン23bおよび第2検出パターン24bはともに外周
側スリット22bの上に重なる。
【0028】そして、内周側に位置する第2磁性体層2
5aは第1励磁コイルパターン23aおよび第1検出パ
ターン24aを覆うリング状に形成され、これらの上に
重ねて取り付けられる。同様に、外周側に位置する第2
磁性体層25bは第2励磁コイルパターン23bおよび
第2検出パターン24bを覆うリング状に形成され、こ
れらの上に重ねて取り付けられる。これら第2磁性体層
25a,25bは励磁用コネクタ部23c間に電流を流
して図4に示す磁界P,Qを発生されるとき誘磁体とし
ての役目を果たし、第1および第2励磁コイルパターン
23a,23bの周りに磁界P,Qを明瞭に発生させ
る。
【0029】第1磁性体層22はフレクスプライン部材
10の円盤状底壁12aの外側面に接着されているた
め、フレクスプライン部材10を介してトルク伝達がな
されるときにフレクスプライン部材10がこのトルクを
受けて弾性変形すると、第1磁性体層22も一緒に変形
し、この変形により第1磁性体層22の磁気歪特性が変
化して透磁率が変化する。このように透磁率が変化する
と、磁界P,Qの強度が変化するので、第1および第2
検出コイルパターン24a,24bに生じる誘導起電力
の変化を第1および第2コネクタ部24c,24dから
取り出して検出すれば、透磁率の変化を検出することが
できる。
【0030】このようにして検出した透磁率の変化はフ
レクスプライン部材10の弾性変形に比例するため、こ
の透磁率の変化に基づいてフレクスプライン部材10を
介して伝達されるトルクを演算して求めることができ
る。なお、フレクスプライン部材10はウェーブジェネ
レータ6により楕円形状に弾性変形されるため、第1磁
性体層22の磁気歪特性はこの弾性変形の影響も受ける
のであるが、楕円形状の弾性変形は全周にわたって磁気
歪特性を平均すれば、零となるため、実際には伝達トル
クのみを検出することが可能である。
【0031】このように、本発明のトルクセンサは第1
磁性体層22の透磁率の変化を検出してトルクを検出す
るものであるが、第1磁性体層22の透磁率の変化が最
大となる方向、すなわち、周方向に対して45度傾いた
方向にスリット22a,22bを形成している。図5に
示すように、フレクスプライン部材10にトルクTが作
用すると内周側のスリット22aが形成された部分には
矢印Aで示すようにスリット22aの方向に圧縮力が作
用し、外周側のスリット22bが形成された部分には矢
印Bで示すようにスリット22bの方向に引っ張り力が
作用する。このとき、スリット22a,22bにより形
状的な異方性効果を得て第1磁性体層22における透磁
率変化を増幅させることができ、トルクの検出精度がよ
り高くなる。
【0032】以上のようにして透磁率変化を検出する装
置、すなわち、図3に示した処理回路30について図8
を参照して説明する。この回路30は交流電源31を有
しており、この交流電源31からの交流電流が励磁用コ
ネクタ部23cを介して第1および第2励磁コイルパタ
ーン23a,23bに流されてこれらが励起される。こ
れにより、この電流に対応して互いに反対方向となる磁
界P,Qが図4に示すように、これらコイルパターン2
3a,23bの周りに発生する。
【0033】この磁界P,Qは、第1および第2検出コ
イルパターン24a,24bに相互誘導起電力を発生さ
せ、この相互誘導起電力が第1および第2コネクタ部2
4c,24dを介してブリッジ回路32a,32bに取
り出される。ここで、磁界P,Qの方向が逆なので、誘
導起電力は一方がプラスで他方がマイナスの値となり、
これがブリッジ回路32a,32bを介して両者の差に
該当する電圧として検出端子33から取り出される。
【0034】以上まとめると、波動減速機機構の入力軸
3の回転が減速されて出力軸13に伝達されるとき、フ
レクスプライン部材10を介してトルク伝達がなされる
ので、この伝達トルクの大きさに応じてフレクスプライ
ン部材10が弾性変形する。このため、第1磁性体層2
2の透磁率が変化し、磁界P,Qの強さが変化し、検出
端子33において検出される電圧も変化する。この電圧
変化から透磁率の変化を演算し、フレクスプライン部材
10を介して伝達されるトルクの大きさを求めることが
できる。
【0035】次に、本発明に係るトルクセンサの別の例
を図9〜図11を参照しながら説明する。このトルクセ
ンサ50は、図9(A)に示すように、フレクスプライ
ン部材10のカップリング部12における円筒状外周面
に沿って接着されており、カバー16(図10参照)に
より覆われて保護されている。このトルクセンサ50
は、図9(B)に示すように、カップリング部12の外
周面に対応する円筒状に形成され、処理回路30が接続
されている。
【0036】このトルクセンサ50をフレクスプライン
部材10に取り付けた状態を図10に示しており、アモ
ルファスシート製の第1磁性体層52は接着剤を含浸さ
せたカーボンクロスシート51によりカップリング部1
2の外周面にしっかりと接着されている。第1磁性体層
52の上には、励磁コイルパターン53a,53bが形
成された励磁用プリント配線板53と、検出コイルパタ
ーン54a,54bが形成された検出用プリント配線板
54とが重ねて配設され、さらに、この上に、アモルフ
ァスシート製の第2磁性体層55a,55bが配設され
ている。
【0037】第1磁性体層52には、図11に示すよう
に、周方向に延びて整列した複数のスリット52a,5
2bがそれぞれ周方向に対して45度傾いて2列に形成
されている。図示のようにトルクTが作用したときに発
生する圧縮力Aの方向と平行になるように左側スリット
52aは周方向に対して左に45度傾いて形成され、引
っ張り力Bの方向と平行になるように右側スリット52
bは周方向に対して右に45度傾いて形成されている。
なお、左側スリット52aを右に45度傾け、右側スリ
ット52bを左に45度傾けてもよい。
【0038】励磁用プリント配線板53は、絶縁材料性
フレキシブルプリント基板の表面に2列に並んで第1お
よび第2励磁コイルパターン53a,53bが互いに反
対方向に巻くように形成されて作られている。このた
め、第1および第2励磁コイルパターン53a,53b
に電流を流せば、図11に矢印P,Qで示す磁界が発生
する。このとき、両コイルパターン53a,53bの巻
方向が反対なので、両磁界P,Qも反対方向の磁界であ
る。検出用プリント配線板54は、絶縁材料性フレキシ
ブルプリント基板の表面に2列に並んで第1および第2
検出コイルパターン54a,54bが互いに反対方向に
巻くように形成されて作られている。
【0039】上記両プリント配線板53,54が第1磁
性体層52の上に重ねられた状態で、第1励磁コイルパ
ターン53aおよび第1検出パターン54aはともに左
側スリット52aの上に重なり、第2励磁コイルパター
ン53bおよび第2検出パターン54bはともに右側ス
リット52bの上に重なる。そして、左側に位置する第
2磁性体層55aは第1励磁コイルパターン53aおよ
び第1検出パターン54aの上に重ねて取り付けられ、
同様に、右側に位置する第2磁性体層55bは第2励磁
コイルパターン53bおよび第2検出パターン54bの
上に重ねて取り付けられる。これら第2磁性体層55
a,55bは磁界P,Qを発生されるとき誘磁体として
の役目を果たす。
【0040】このトルクセンサ50を用いても、これに
繋がる処理回路30によりフレクスプライン10にトル
クが加わったときに生じる第1磁性体層52の透磁率変
化を検出することができ、このトルクを正確に検出する
ことができる。なお、処理回路30は図8に示すもので
あり、既に説明している。
【0041】以上においては励磁コイルと検出コイルと
を重ねて配設し、励磁コイルを通電励磁することにより
検出コイルに相互誘導作用により生じる相互誘導起電力
を検出して透磁率変化の検出ひいてはトルクの検出を行
う例を説明した。しかしながら、本発明はこのような相
互誘導作用を利用するものに限られず、自己誘導作用を
利用してトルク検出を行うことも可能である。
【0042】自己誘導作用を利用するトルクセンサは、
第1磁性体層と第2磁性体層との間に1枚のみのプリン
ト配線板が配設されて構成される。なお、第1磁性体層
および第2磁性体層は上記実施例のものと同じである。
第1磁性体層62には、上述の励磁用プリント配線板2
2,52と同様に、2列に並んで且つ周方向に対して4
5度傾いた複数のスリット62a,62bが形成されて
いる。そして、プリント配線板63にはそれぞれスリッ
ト62a,62bと対向するコイルパターン63a,6
3bが形成されている。
【0043】これらコイルパターン63a,63bは、
図12に示すように、処理回路70に接続される。この
処理回路70においては、交流電源71からの交流電流
がコイルパターン63a,63bに流されてこれらが励
起される。これにより、この電流に対応して互いに反対
方向となる磁界P,Qがこれらコイルパターンの周りに
発生する。このとき、電流変化に応じて自己誘導起電力
がこれらコイルパターン63a,63bに発生する。こ
の自己誘導起電力が加算器72を介して端子73から取
り出されるようになっている。
【0044】このような状態で、フレクスプライン部材
にトルクが加わって弾性変形し、第1磁性体層62の透
磁率が変化すると、このコイルパターン63a,63b
に発生する自己誘導起電力も変化する。このため、端子
73から取り出された自己誘導起電力に基づいてフレク
スプライン部材を介して伝達されるトルクを演算して求
めることができる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
波動減速機機構のフレクスプライン部材のような弾性体
の表面に周方向に延びて接着され、この弾性体の弾性変
形に応じてその磁気歪特性が変化する第1磁性体層と、
この第1磁性体層上に重ねて配設され、磁気歪特性の変
化を検出する平板状コイルと、この平板状コイルを覆っ
て配設された第2磁性体層とからトルクセンサが構成さ
れており、このような構成のトルクセンサは、減速機構
等のトルク伝達部材の側面もしくは外周面に簡単に接着
して取り付けることができる。
【0046】しかも、2つの磁性体層と、これらに挟ま
れたプリント配線板から構成されており、厚さの薄い構
成であるため、減速機構のトルク伝達部材(例えば、波
動減速機機構のフレクスプライン部材)の表面に直接接
着するだけでよく、減速機構を変更したり、新たな部品
を追加することなく簡単に取り付けることが可能であ
る。さらに、歪ゲージに比べて耐衝撃性能が高く、移動
ロボットにのように衝撃が加わりやすい関節部にも用い
ることができる。
【0047】なお、第1磁性体層に、周方向に対しほぼ
45度の角度を有した複数のスリットを周方向に並べて
形成するのが好ましい。さらにこの場合、このような複
数のスリットを並列に2列形成し、一方の列のスリット
を周方向に対して右にほぼ45度の角度を有して形成
し、他方のスリットを左にほぼ45度の角度を有して形
成し、検出コイル層を、この一方の列に対向する第1検
出コイル層と他方の列に対向する第2検出コイル層とか
ら構成するのが望ましい。
【0048】このようにすれば、弾性体がトルクを受け
て弾性変形するときに、この弾性体の表面における磁気
歪が最大となり、磁性体層の磁気透磁率変化も最大とな
る方向に複数のスリットが形成されることになり、スリ
ットによる形状的な異方性効果が加わって弾性変形時に
おける磁気透磁率変化が増幅されて表れるため、トルク
検出をより正確に行うことができる。
【0049】さらに、弾性変形時にその表面には圧縮応
力および引っ張り応力が相反する方向に生じるため、上
記のように左右それぞれ45度の角度を有する2列のス
リットを形成すれば、第1検出コイル層の誘導起電力と
第2検出コイル層の誘導起電力が正負逆となり、両起電
力の差を検出することによりトルク検出をより正確に行
うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトルクセンサが用いられる波動減
速機機構を示す断面斜視図である。
【図2】この機構を構成するフレクスプライン部材およ
びこれに取り付けられたトルクセンサを示す斜視図であ
る。
【図3】トルクセンサおよび処理回路を示す斜視図であ
る。
【図4】フレクスプライン部材に取り付けられたトルク
センサを示す断面図である。
【図5】トルクセンサを構成する第1磁性体層の平面図
である。
【図6】トルクセンサを構成する励磁用プリント配線板
の平面図である。
【図7】トルクセンサを構成する検出用プリント配線板
の平面図である。
【図8】処理回路を示す電気回路図である。
【図9】本発明の異なる例に係るフレクスプライン部材
およびこれに取り付けられたトルクセンサを示す斜視図
(A)およびトルクセンサおよび処理回路を示す斜視図
(B)である。
【図10】このフレクスプライン部材に取り付けられた
トルクセンサを示す断面図である。
【図11】トルクセンサを構成する第1磁性体層の平面
図である。
【図12】処理回路の異なる例を示す電気回路図であ
る。
【符号の説明】
1 支持ケース 6 ウェーブジェネレータ 10 フレクスプライン部材 21,51 カーボンクロスシート 22,52 第1磁性体層 23,53 励磁用プリント配線板 24,54 検出用プリント配線板 30,50 処理回路

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トルク伝達可能でこのトルクを受けて弾
    性変形する弾性体の表面に設けられ、前記トルクを検出
    するトルクセンサであって、 前記弾性体の表面に周方向に延びて接着され前記弾性体
    の弾性変形に応じてその磁気歪特性が変化する第1磁性
    体層と、この第1磁性体層上に重ねて配設され前記磁気
    歪特性の変化を検出する平板状コイルと、この平板状コ
    イルを覆って配設された第2磁性体層とから構成され、 前記平板状コイルが、前記第1および第2磁性体層を通
    る磁界を発生させる平板状励磁コイルと、この励磁コイ
    ルに重なって配設され前記磁界により相互誘導される誘
    導起電力を検出する平板状検出コイルとからなり、 前記平板状励磁コイルを通電励磁させる通電励磁手段
    と、この通電励磁により前記検出コイル層に発生する相
    互誘導起電力を検出する誘導起電力検出手段とからなる
    処理回路を有することを特徴とするトルクセンサ。
  2. 【請求項2】 トルク伝達可能でこのトルクを受けて弾
    性変形する弾性体の表面に設けられ、前記トルクを検出
    するトルクセンサであって、 前記弾性体が、一端にフレクスプラインを有する薄肉円
    筒状のカップリング部とこのカップリング部の他端に一
    体に繋がった円盤状底壁部とから構成され、前記フレク
    スプラインから入力されるトルクを前記カップリング部
    および前記円盤状底壁部を介して前記円盤状底壁部に出
    力軸に伝達するように構成され、 前記カップリング部の外周面もしくは前記円盤状底壁部
    の外表面に周方向に延びて接着されて前記弾性体の弾性
    変形に応じてその磁気歪特性が変化する第1磁性体層
    と、この第1磁性体層上に重ねて配設され前記磁気歪特
    性の変化を検出する平板状コイルと、この平板状コイル
    を覆って配設された第2磁性体層とから構成されること
    を特徴とするトルクセンサ。
  3. 【請求項3】 前記平板状コイルが、前記第1および第
    2磁性体層を通る磁界を発生させる平板状励磁コイル
    と、この励磁コイルに重なって配設され前記磁界により
    相互誘導される誘導起電力を検出する平板状検出コイル
    とからなり、 前記平板状励磁コイルを通電励磁させる通電励磁手段
    と、この通電励磁により前記検出コイル層に発生する相
    互誘導起電力を検出する誘導起電力検出手段とからなる
    処理回路を有することを特徴とする請求項2に記載のト
    ルクセンサ。
  4. 【請求項4】 前記平板状コイルが、絶縁材料製フレキ
    シブルシートの表面に導電材料製のコイルパターン層が
    形成されてなるプリント配線板から形成されていること
    を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のトルク
    センサ。
  5. 【請求項5】 前記第1磁性体層および前記第2磁性体
    層がともにアモルファスもしくはアモルファス合金を用
    いて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載のトルクセンサ。
  6. 【請求項6】 前記第1磁性体層に、周方向に対しほぼ
    45度の角度を有した複数のスリットが周方向に並んで
    形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載のトルクセンサ。
  7. 【請求項7】 前記複数のスリットが並列に2列形成さ
    れており、一方の列のスリットが周方向に対して右にほ
    ぼ45度の角度を有し、他方のスリットが左にほぼ45
    度の角度を有しており、 少なくとも前記平板状コイルは、前記一方の列に対向す
    る第1平板状コイルと前記他方の列に対向する第2平板
    状コイルとからなることを特徴とする請求項6に記載の
    トルクセンサ。
  8. 【請求項8】 前記弾性体が、波動減速機機構のフレク
    スプライン部材であり、このフレクスプライン部材の円
    盤状側面もしくは円筒状外周面に、前記第1磁性体層が
    接着されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
    記載のトルクセンサ。
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