JP3450882B2 - タリウム系超伝導体粉末の合成法 - Google Patents

タリウム系超伝導体粉末の合成法

Info

Publication number
JP3450882B2
JP3450882B2 JP18179293A JP18179293A JP3450882B2 JP 3450882 B2 JP3450882 B2 JP 3450882B2 JP 18179293 A JP18179293 A JP 18179293A JP 18179293 A JP18179293 A JP 18179293A JP 3450882 B2 JP3450882 B2 JP 3450882B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkali metal
oxide
mixture
metal chloride
oxides
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18179293A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06171938A (ja
Inventor
ロナルド・ヘンリー・アレンド
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
General Electric Co
Original Assignee
General Electric Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by General Electric Co filed Critical General Electric Co
Publication of JPH06171938A publication Critical patent/JPH06171938A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3450882B2 publication Critical patent/JP3450882B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、タリウム系酸化物超伝導体粉末
の製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】高温酸化物超伝導体の粉末は、公知のご
とく、粒子状酸化物または加熱に際して該酸化物を生成
する化合物から成る均質混合物を固相反応させる方法、
あるいは化合物の生成を容易にするために均質混合物中
の陽イオンを何らかの塩として共沈させてから加熱によ
って酸化物を生成させる方法によって製造することがで
きる。これらの方法はいずれも固相輸送現象によって支
配されるのであって、その場合の輸送距離は前者の方が
後者よりも遥かに大きい。かかる固相輸送現象は比較的
遅いものであるから、有限の時間内に完全な反応を達成
することは困難である。後者の方法においてはまた、大
量の水溶液を処理する必要があり、従って多量の材料を
製造する場合には大幅な費用の増加が生じるという欠点
もある。
【0003】米国特許第5096879号明細書中に
は、溶融塩溶媒を用いて液相反応を行い、次いで超伝導
体粉末を析出させることにより、式Bi2 CaSr2
2 z によって表わされるビスマス系酸化物超伝導体
の粉末を製造する方法が開示されている。本発明の目的
は、溶融塩溶媒を用いた液相反応によってタリウム系酸
化物超伝導体粉末を製造することにある。
【0004】
【発明の概要】本発明の方法は、近似式Tl1-y y
aSr2 Cu2 z (式中、Xはビスマスまたは鉛であ
り、Xがビスマスならばyは0.25であり、Xが鉛な
らばyは0.5であり、またzは約6〜7である)によ
って表わされるタリウム系超伝導化合物の粉末を製造す
るものである。本発明の方法では、上記のごとき超伝導
化合物を生成するために適した各種の酸化物と、塩化ナ
トリウムおよび塩化カリウムから成る群より選ばれかつ
互いに反応して前記超伝導化合物を生成し得る量の酸化
物を溶解するのに有効な量で使用される少なくとも1種
のアルカリ金属塩化物との混合物が調製される。この混
合物を加熱することにより、アルカリ金属塩化物が融解
され、酸化物が溶解され、かつ酸化物の反応によって超
伝導化合物の粒子が生成される。こうして生成された粒
子が冷却され、次いでアルカリ金属塩化物が水に溶解さ
れる。その後、液体を除去すれば、超伝導化合物の粉末
が得られる。
【0005】
【詳しい説明】式Tl0.5 Pb0.5 CaSr2 Cu2
z またはTl0.75Bi0.25CaSr2Cu2 z によっ
て表わされる超伝導化合物を生成するために適した酸化
物(以後は「反応体酸化物」と呼ぶ)の混合物は、超伝
導化合物を構成する元素の酸化物、かかる元素の複合酸
化物、あるいはかかる酸化物または複合酸化物の前駆物
質から調製することができる。たとえば、式Tl0.5
0.5 CaSr2 Cu2z によって表わされる超伝導
化合物は酸化タリウム、酸化鉛、酸化カルシウム、酸化
ストロンチウムおよび酸化銅の粉末を混合することによ
って製造することができる。あるいはまた、反応体酸化
物の無機前駆物質の粉末を使用することもできる。かか
る前駆物質は反応温度またはそれ以下の温度において分
解するものでなければならないが、溶融塩化物溶媒中に
溶解してから分解するものであってもよい。また、かか
る前駆物質は分解して酸化物を生成すると共に、反応塊
中にいかなる汚染物も残留させないようなものでなけれ
ばならない。
【0006】反応体酸化物の有用な前駆物質の実例とし
ては、炭酸塩、水酸化物および硝酸塩が挙げられる。か
かる前駆物質は、超伝導化合物を生成させるために必要
な量でそれぞれの酸化物を生成するのに十分な量で使用
することが必要である。なお、アルカリ土類金属酸化物
(すなわち、酸化カルシウムおよび酸化ストロンチウ
ム)の前駆物質としては炭酸塩を使用することが好まし
い。かかる炭酸塩は分解して酸化物を生成し、そしてそ
れらの酸化物が反応温度において溶融アルカリ金属塩化
物中に連続的に溶解することが好ましい。なお、溶融ア
ルカリ金属塩化物は反応体酸化物の混合物に対する溶媒
であって、反応体酸化物はかかる溶媒中において反応し
て超伝導化合物の粒子状析出物を生成する。
【0007】反応体酸化物またはそれらの前駆物質の粉
末は、反応の生起を可能にするような粒度、すなわち1
ミクロン未満から約100ミクロンまでの範囲内の粒度
を有していなければならない。かかる粉末はまた、大き
い粒度(すなわち、100ミクロンを実質的に越える粒
度)の凝集体を含まないことが好ましい。なぜなら、か
かる凝集体は混合操作後にも残留して反応体酸化物同士
の十分な接触を妨げ、それによって溶融塩化物溶媒中に
おける反応速度の低下を招くことがあるからである。本
発明において使用される溶融塩化物溶媒は、塩化ナトリ
ウムおよび塩化カリウムから成る群より選ばれた少なく
とも1種のアルカリ金属塩化物から成る。かかるアルカ
リ金属塩化物は、互いに反応して超伝導化合物を析出さ
せるために適した量の酸化物を溶解し得る溶融物を生成
するのに少なくとも十分な量で反応体酸化物と混合され
る。
【0008】アルカリ金属塩化物の適当な使用量は、反
応体酸化物およびアルカリ金属塩化物の合計量を基準と
して約10〜50重量%であり、また好ましくは約20
重量%である。アルカリ金属塩化物の使用量が約10重
量%よりも少ないと、所望の反応が十分な速度で進行せ
ず、また大きい粒度の下では所望の反応が完全には進行
しないこともある。アルカリ金属塩化物の使用量が50
重量%よりも多いと、アルカリ金属塩化物を溶解するた
めに大量の水および長い時間が必要となり、従って超伝
導化合物の顕著な損失をもたらすことがある。
【0009】反応体酸化物またはそれらの前駆物質とア
ルカリ金属塩化物とを混合することにより、反応温度へ
の加熱時に反応を生起させて超伝導化合物を析出させる
のに十分な程度に均質な反応混合物が調製される。良好
な接触および完全な反応を達成するためには、かかる反
応混合物は実質的に均質なものであることが好ましい。
実際の混合操作は、反応混合物の汚染をできるだけ少な
くしかつ得られる生成物中に望ましくない不純物をでき
るだけ導入しないような公知技術によって行うことがで
きる。炭酸カルシウムおよび炭酸ストロンチウムを使用
する場合には、室温の蒸留水中においてそれらの成分に
湿式摩砕を施し、それによって得られたスラリーを約1
00℃の空気中において乾燥することが好ましい。カル
シウムおよびストロンチウムの酸化物は吸湿性を有する
から、それらの成分に対しては乾式摩砕を施すことによ
って反応混合物を調製することが好ましい。反応混合物
の調製に際しては、ジルコニアまたは部分安定化ジルコ
ニア製の摩砕媒体を使用することが好ましい。
【0010】好適な実施の態様に従えば、カルシウム、
ストロンチウムおよび銅の複合酸化物が生成され、そし
てカルシウム、ストロンチウムおよび銅の反応体酸化物
として使用される。かかる複合酸化物は、互いに反応し
た酸化物、酸化物の固溶体、あるいはそれらの両者を含
有するものであり得る。詳しく述べれば、炭酸カルシウ
ム、炭酸ストロンチウムおよび酸化銅から成りかつ1ミ
クロン未満から約20ミクロンまでの範囲内の粒度(好
ましくは1ミクロン未満の粒度)を有する粒子状混合物
が調製される。なお、ジルコニア製の摩砕媒体を使用し
ながら室温の蒸留水中においてそれらの成分に摩砕媒体
を施し、次いで空気中において乾燥することが好まし
い。こうして得られた混合物は、炭酸塩を分解するのに
十分な約850〜約950℃の温度を使用しながら、大
気圧の空気中において加熱される。その結果、炭酸塩は
分解して対応する酸化物を生成する。かかる酸化物が相
互にかつ酸化銅と反応することにより、複合酸化物およ
び(または)酸化物の固溶体から成るカルシウム−スト
ロンチウム−銅の酸化物生成物が得られる。このカルシ
ウム−ストロンチウム−銅の酸化物生成物は室温にまで
炉内冷却されることが好ましい。
【0011】上記のごときカルシウム−ストロンチウム
−銅の酸化物生成物が、アルカリ金属塩化物、並びに超
伝導化合物を生成するために必要な他の酸化物[酸化タ
リウムおよび酸化鉛または酸化ビスマス(好ましくは三
二酸化ビスマス)]と均質に混合される。かかる反応混
合物は、それの汚染をできるだけ少なくするような公知
技術(たとえば、ジルコニア製の摩砕媒体を用いた乾式
摩砕)によって調製することができる。かかる混合物の
粒度は、1ミクロン未満から約100ミクロンまでの範
囲内にあればよい。
【0012】上記のごとき反応混合物は、それと反応し
ない材料で作成された通常のセラミックるつぼ(たとえ
ば、高密度アルミナ製のるつぼ)内に層状に配置され
る。次いで、かかる反応混合物が反応温度(すなわち、
アルカリ金属塩化物が融解する温度)にまで加熱され
る。なお、反応温度はアルカリ金属塩化物の融点よりも
少なくとも約10K(ケルビン)だけ高いことが好まし
い。なぜなら、かかる反応温度はアルカリ金属塩化物を
完全に融解すると共に、溶融アルカリ金属塩化物の流動
性を増大させて反応混合物の濡れを向上させるからであ
る。なお、反応温度が高くなるほど反応速度は早くな
る。単独の塩化ナトリウムの融点は約1073K(80
0℃)であり、また単独の塩化カリウムの融点は約10
63K(790℃)である。塩化ナトリウムと塩化カリ
ウムとの混合物は、単独の塩化ナトリウムの融点よりも
低い融点を有している。たとえば、50モル%の塩化ナ
トリウムと50モル%の塩化カリウムとから成る共融混
合物は931K(658℃)の融点を有している。反応
温度の最高値は、超伝導化合物の融点(約900℃)よ
りも低いことが必要である。なお、反応温度はアルカリ
金属塩化物の蒸発温度よりも低いことが好ましい。要す
るに、反応温度は約1073K(800℃)から約11
23K(850℃)の範囲内にあることが好ましい。
【0013】反応温度においては、アルカリ金属塩化物
が融解する。こうして生じた溶融アルカリ金属塩化物中
に反応体酸化物が溶解して反応し、その結果として超伝
導化合物が析出する。その際には、存在する全ての反応
体酸化物が反応によって消費されるまで反応温度を維持
することが好ましい。本発明の方法における反応温度は
対応する従来の固相合成法の場合よりも顕著に低くする
ことができ、また反応時間は約20時間以下に短縮する
ことができる。反応が完了した後、たとえば酸素中にお
いて室温にまで冷却することにより、反応塊が凝固させ
られる。上記の加熱工程は、空気のごとき酸化雰囲気中
においてほぼ大気圧下で実施される。なお、酸化雰囲気
は酸素から成ることが好ましい。揮発性のタリウムの損
失をできるだけ少なくするためには、反応混合物を容器
内において加熱すればよい。適当な容器は、反応混合物
と反応しない材料(たとえば、銀または金)から作製さ
れたものである。適当な容器の実例としては、蓋のある
銀製容器、および反応混合物を密封状態で包囲した銀箔
が挙げられる。
【0014】冷却後の反応塊は、凝固したアルカリ金属
塩化物中に超伝導化合物の粒子が分散して成る固体ケー
クである。超伝導化合物は、アルカリ金属塩化物中に包
埋された独立の第2相として存在している。こうして得
られた凝固塊を水で崩壊させることにより、超伝導化合
物とアルカリ金属塩化物の水溶液とが得られる。その際
には、少なくともアルカリ金属塩化物を溶解するのに十
分な量の蒸留水または脱イオン水を凝固塊と混合するこ
とが好ましい。なお、超伝導化合物の損害または溶解を
最少限に抑えるため、かかる水はほぼ室温あるいはそれ
以下の温度を有することが好ましい。
【0015】アルカリ金属塩化物の溶解度は、室温にお
いて水1リットル当り約0.3kgである。かかる溶解操
作は、溶解時間を短縮するためにたとえば電動式のプラ
スチックまたはステンレス鋼製撹拌機を用いて混合しな
がら、プラスチック容器内において実施することができ
る。アルカリ金属塩化物が溶解するのに伴い、凝固塊は
崩壊し、そして板状結晶の凝集体または凝集体と単独の
結晶との混合物から成る超伝導化合物が残留する。な
お、溶解操作は約45分以内に完了することが好まし
い。次に、超伝導化合物が回収され、洗浄され、そして
乾燥される。
【0016】超伝導化合物をアルカリ金属塩化物の水溶
液から回収するためには、超伝導化合物と水との接触時
間をできるだけ短くするような公知技術を使用すればよ
い。たとえば、超伝導化合物は真空濾過によってフィル
ター上に捕集することができる。その場合、残留するア
ルカリ金属塩化物を除去するため、濾別された超伝導化
合物がほぼ室温の蒸留水または脱イオン水で洗浄され、
そして第2の濾過操作によって分離される。次いで、超
伝導化合物をほぼ室温のアルコールまたはケトンで洗浄
することによって水が置換される。かかるアルコールま
たはケトンは、100℃未満の沸点および室温において
高い蒸気圧を有するもの(たとえば、メタノールまたは
アセトン)であることが好ましい。洗浄済みの超伝導化
合物は空気または真空中において室温下で乾燥すること
ができる。
【0017】こうして得られた超伝導化合物中の凝集体
は、(たとえば、ファンデルワールス力または粒子間の
頸部成長によって)板状結晶同士が弱く結合したものか
ら成っている。かかる超伝導化合物を公知の方法によっ
て微粉砕することにより、一様かつ微細な粒度を有する
粉末が得られる。そのためには、たとえば、超伝導化合
物に対して不活性な有機液体(たとえばヘキサン)中に
おいて摩砕を施せばよい。かかる摩砕操作は、ジルコニ
アまたは部分安定化ジルコニア製の摩砕媒体を使用しな
がら室温下で実施することができる。こうして得られた
スラリーが摩砕媒体から分離され、そしてたとえば超伝
導化合物と反応しない乾性ガス中において乾燥される。
適当な乾性ガスとしては、100ppm 以下の水を含有す
る窒素、空気またはそれらの混合物が挙げられる。かか
る乾燥操作は、大気圧または部分真空中においてほぼ室
温(すなわち、15〜45℃の温度)下で実施すること
ができる。
【0018】このようにして、超伝導性の焼結体を製造
するための公知技術によって加工し得る焼結性の超伝導
体粉末が得られる。たとえば、米国特許第503061
5号明細書中には、タリウム系の超伝導体粉末から焼結
体を製造するための方法が開示されている。この方法に
従えば、超伝導体粉末を加圧成形して所定の寸法および
形状を持った圧縮体を形成した後、かかる圧縮体が銀箔
の外被中に密封され、そして公知の方法(たとえば、酸
素雰囲気中において約820〜870℃に加熱するこ
と)によって焼結される。
【0019】タリウム系超伝導化合物の粉末を製造する
ための本発明方法を一層詳しく説明するため、以下に実
施例を示す。これらの実施例においては、粉末の超伝導
臨界転移温度は通常の交流磁化率法によって測定した。
簡単に述べれば、交流磁化率法はLC共振回路中におい
て粉末を能動素子として使用しながら共振周波数を回路
温度の関数として測定するというものである。この場
合、共振周波数がバックグラウンドよりも大きい増加を
示した時の温度が超伝導臨界転移温度である。なお、実
施例1および2においては、反応体酸化物の約0.09
モル%に相当する量のイットリア粉末を反応体酸化物と
混合してカルシアを部分的に置換した。ただし、イット
リアがカルシアの代りに反応して超伝導化合物を生成す
ることはなかった。
【0020】
【実施例1】100.09gの炭酸カルシウム、29
5.26gの炭酸ストロンチウムおよび159.08g
の酸化第二銅から成る粒子状混合物を、高密度のジルコ
ニアから成る直径3/8 インチの摩砕媒体3200gと共
に2リットルのポリエチレンジャー内に装入した。「ト
リトン(Triton)X−100」の商品名で販売されている
分散剤を数滴添加した水を使用しながら、上記の混合物
に対して約3時間にわたり湿式摩砕を施した。混合物を
摩砕媒体から分離した後、約120℃の空気中において
乾燥した。
【0021】乾燥後の粉末は1ミクロン未満の平均粒度
を有していた。高密度かつ高純度のアルミナから成りか
つアルミナ製のゆるい蓋を有するセラミックボート内に
その粉末を層状に配置した後、ほぼ大気圧の空気中にお
いて加熱した。その際には、先ず毎時100℃の速度で
750℃まで加熱し、それから毎時10℃の速度で92
5℃まで加熱し、48時間にわたって925℃に保ち、
次いで室温にまで冷却した。炭酸塩は分解して対応する
酸化物を生成すると共に、酸化物は互いに反応して式C
aSr2 Cu2 5 によって表わされるカルシウム−ス
トロンチウム−銅の酸化物生成物を生成した。
【0022】こうして得られたカルシウム−ストロンチ
ウム−銅の酸化物生成物約130.33g、酸化タリウ
ム約35.22g、酸化鉛約34.45gおよびアルカ
リ金属塩化物約50gから成る第2の混合物を調製し
た。なお、アルカリ金属塩化物は50モル%の塩化ナト
リウムおよび50モル%の塩化カリウムから成ってい
た。かかる混合物を高密度のジルコニアから成る直径3/
8 インチの摩砕媒体1600gと共に500mlのポリエ
チレンジャー内に装入し、そして室温下で45分間にわ
たり乾式摩砕を施した。摩砕後の粉末をナイロンふるい
によって摩砕媒体から分離し、そして高密度かつ高純度
のアルミナから成りかつアルミナ製のゆるい蓋を有する
ボート内に層状に配置した。
【0023】上記のごとき材料を酸素中において加熱す
ることによって反応させた。その際には、先ず毎時10
0℃の速度で約825℃まで加熱し、50時間にわたっ
て825℃に保ち、次いで室温にまで冷却した。その結
果、超伝導化合物の結晶凝集体とアルカリ金属塩化物と
が混合して成る凝固塊が得られた。凝固塊からアルカリ
金属塩化物を分離するため、アルカリ金属塩化物の溶解
度が20g/100mlであるという仮定に基づき、凝固
塊と蒸留水とを約30分間にわたり混合してアルカリ金
属塩化物を溶解した。次いで、粒子状の超伝導化合物を
フィルター上に捕集し、300mlずつの蒸留水で10回
洗浄し、それから300mlずつの無水メタノールで2回
洗浄した。その後、フィルター上に得られた超伝導化合
物を空気中において室温下で乾燥した。
【0024】こうして得られた超伝導体粉末は、約77
Kの超伝導臨界転移温度を有することが判明した。図1
に示された該粉末のX線回折パターンによれば、それは
実質的にTl0.5 Pb0.5 CaSr2 Cu2 z (式
中、zは約6〜7である)の単一相から成ることがわか
る。
【0025】
【実施例2】本実施例において使用された操作手順およ
び材料は、下記の点を除けば実施例1の場合と同じであ
った。この場合には、カルシウム−ストロンチウム−銅
の酸化物生成物約129.6gが52.55gの酸化タ
リウムおよび17.85gの三二酸化ビスマスと混合さ
れた。こうして得られた超伝導体粉末は約81Kのゼロ
抵抗転移温度を有していた。図2に示された該粉末のX
線回折パターンによれば、それは実質的にTl0.75Bi
0.25CaSr2 Cu2 z (式中、zは約6〜7であ
る)の単一相から成ることがわかる。
【0026】
【実施例3】本実施例においては、式Tl0.64Bi0.16
Pb0.2 Ca2 Sr2 Cu3 z によって表わされる超
伝導化合物を生成するような比率で反応体酸化物が混合
された。本実施例において使用された操作手順および材
料は、下記の点を除けば実施例1の場合と同じであっ
た。この場合には、200.18gの炭酸カルシウム、
295.26gの炭酸ストロンチウムおよび238.6
2gの酸化第二銅から成る粒子状混合物から、式Ca2
Sr2 Cu3 7 によって表わされるカルシウム−スト
ロンチウム−銅の酸化物生成物が生成された。かかるカ
ルシウム−ストロンチウム−銅の酸化物生成物約14
1.34gを37.17gの酸化タリウム、10.18
gの三二酸化ビスマスおよび11.31gの酸化鉛と混
合することによって超伝導体粉末が得られた。図3に示
された該粉末のX線回折パターンによれば、それは(T
lM)CaSr2 Cu2 z (式中、Mはビスマスまた
は鉛である)、Ca2 CuO3 およびCuOを含む酸化
物の混合物であることがわかる。
【0027】
【実施例4】本実施例においては、式Bi1.7 Pb0.3
Ca2 Sr2 Cu3 z によって表わされる超伝導化合
物を生成するような比率で反応体酸化物が混合された。
先ず、実施例3の場合と同様にしてカルシウム−ストロ
ンチウム−銅の酸化物生成物を得た。かかるカルシウム
−ストロンチウム−銅の酸化物生成物約43.72gを
31.03gの三二酸化ビスマス、5.25g 酸化
鉛、8.79gの塩化ナトリウムおよび11.21gの
塩化カリウムと混合した。この混合物を高密度のジルコ
ニアから成る摩砕媒体共にポリエチレンジャー内に装入
し、そして約30分間にわたり乾式摩砕を施した。摩砕
後の粉末を金箔製の浅い皿内に層状に配置し、そしてゆ
るい蓋で覆った。かかる粉末の複数の試料を空気中にお
いて750〜850℃の範囲内の様々な温度で加熱する
ことによって反応させた。加熱に際しては、毎時約10
0℃までの速度で所定の温度に昇温し、そして約50時
間までの時間にわたって該温度に保った。これらの試料
をX線回折によって検査したところ、それはPbC
2 、Bi2 CaSr2 Cu2 8 、Ca2 PbO2
Ca2 CuO3 およびCuOを含む酸化物の混合物であ
ることが判明した。
【0028】
【実施例5】本実施例においては、式YBa2 Cu3
z によって表わされる超伝導化合物を生成するような比
率で反応体酸化物が混合された。47.97gの炭酸バ
リウム、13.72gの酸化イットリウムおよび29g
の酸化第二銅から成る混合物を高密度のジルコニアから
成る摩砕媒体と共にポリエチレンジャー内に装入し、そ
してトリトンX−100分散剤を数滴添加した水中にお
いて3時間にわたり湿式摩砕を施した。こうして得られ
たスラリーを約100℃で乾燥した。乾燥後の混合物を
8.79gの塩化ナトリウムおよび11.21gの塩化
カリウムと混合した。この混合物を高密度のジルコニア
から成る摩砕媒体共にポリエチレンジャー内に装入し、
そして約30分間にわたり乾式摩砕を施した。摩砕媒体
を分離した後、得られた粉末を蓋の無いアルミナ製の浅
い皿内に層状に配置した。かかる粉末の複数の試料を空
気中において800〜950℃の範囲内の様々な温度で
加熱することによって反応させた。加熱に際しては、毎
時約100℃の速度で所定の温度に昇温し、そして48
時間までの時間にわたって該温度に保った。これらの試
料をX線回折によって検査したところ、それはBaCu
2 、CuOおよびBaCuY2 5 を含む酸化物の混
合物であることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って製造された超伝導化合物の粉末
のX線回折パターンを示すグラフである。
【図2】本発明に従って製造された超伝導化合物の粉末
のX線回折パターンを示すグラフである。
【図3】酸化物の混合物の粉末のX線回折パターンを示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−93607(JP,A) 特開 平3−170303(JP,A) 特開 平1−275435(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 1/00 WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式Tl1-y y CaSr2 Cu2
    z (式中、Xはビスマスまたは鉛であり、Xがビスマス
    ならばyは0.25であり、Xが鉛ならばyは0.5で
    あり、またzは約6〜7である)によって表わされる超
    伝導化合物の粉末の製造方法において、(a) 前記超伝導
    化合物を生成するために適した各種の酸化物と、塩化ナ
    トリウムおよび塩化カリウムから成る群より選ばれかつ
    互いに反応して前記超伝導化合物を生成し得る量の前記
    酸化物を溶解するのに有効な量で使用される少なくとも
    1種のアルカリ金属塩化物との混合物を調製し、(b) 前
    記混合物を加熱することにより、前記アルカリ金属塩化
    物を融解し、前記酸化物を溶解し、かつ前記酸化物を反
    応させて前記超伝導化合物の粒子を生成させ、(c) こう
    して生成された粒子を冷却し、次いで(d) 前記アルカリ
    金属塩化物を水に溶解してから液体を除去することによ
    り、前記超伝導化合物の粉末を得る諸工程から成り、前
    記工程(a) におけるアルカリ金属塩化物が前記混合物の
    約10〜50重量%を占めることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ金属塩化物が50モル%の
    塩化ナトリウムおよび50モル%の塩化カリウムから成
    る請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱工程が酸素中において約800
    〜850℃に加熱することから成る請求項1記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 タリウムの損失を最少限に抑えるため、
    前記混合物が容器内において加熱される請求項1記載の
    方法。
JP18179293A 1992-07-29 1993-07-23 タリウム系超伝導体粉末の合成法 Expired - Fee Related JP3450882B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US92114892A 1992-07-29 1992-07-29
US921148 1992-07-29

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06171938A JPH06171938A (ja) 1994-06-21
JP3450882B2 true JP3450882B2 (ja) 2003-09-29

Family

ID=25444993

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18179293A Expired - Fee Related JP3450882B2 (ja) 1992-07-29 1993-07-23 タリウム系超伝導体粉末の合成法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3450882B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06171938A (ja) 1994-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Rao Chemical synthesis of solid inorganic materials
US4293534A (en) Molten salt synthesis of alkaline earth titanates, zirconates and their solid solutions
US5057486A (en) Synthesis of bi-pb-ca-sr-cu-o oriented polycrystal superconductor
JP2634210B2 (ja) 粉末状チタン酸バリウムの製造方法
US4534956A (en) Molten salt synthesis of barium and/or strontium titanate powder
US4487755A (en) Preparation of large crystal sized barium and/or strontium titanate powder
US4293535A (en) Molten salt synthesis of alkaline zirconate powder
US5152973A (en) Synthesis of submicron powders under reduced oxygen pressure
US5057488A (en) Synthesis of Bi-Pb-Ca-Sr-Cu-O superconductive material
US5096879A (en) Synthesis of bi-ca-sr-cu-o superconductive material
US4201760A (en) Molten salt synthesis of lithium meta-aluminate powder
JP3450882B2 (ja) タリウム系超伝導体粉末の合成法
JP3509498B2 (ja) 板状セラミックス粒子
JPH03164427A (ja) Rbco124超伝導材料及びその製造方法
Mao et al. Coprecipitation-based micro-reactor process to synthesize soft-agglomerated ultrafine BiPbSrCaCuO powder with low carbon content
US5043319A (en) Synthesis of lanthanum-alkaline earth-copper-oxygen superconductive material
JP3509491B2 (ja) 形状異方性セラミックス粉末及びその製造方法
US5077265A (en) Co-precipitation synthesis of precursors to bismuth-containing superconductors
JPH03141115A (ja) 酸化イットリウム微粉末の製造方法
US4866030A (en) Method of producing high temperature superconductors by a molten hydroxide process
JPH02229722A (ja) 噴霧乾燥法による酸化物微粒子の合成法
JPH02137709A (ja) 酸化物超電導体粉末の製造方法
JP3444930B2 (ja) 酸化物超電導体の製造方法
Yoshizawa et al. Preparation of Precursor Powders
JPS62176915A (ja) Bi▲下2▼Ti▲下2▼O▲下7▼微粒子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030611

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees