JP3450556B2 - 固形現像処理剤 - Google Patents

固形現像処理剤

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JP3450556B2 JP31158495A JP31158495A JP3450556B2 JP 3450556 B2 JP3450556 B2 JP 3450556B2 JP 31158495 A JP31158495 A JP 31158495A JP 31158495 A JP31158495 A JP 31158495A JP 3450556 B2 JP3450556 B2 JP 3450556B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化銀写真感光
材料を処理する際に用いられる固形現像処理剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀黒白写真感光材料は、露光
後、黒白現像、定着、水洗等の工程で処理され、黒白現
像液、定着液、水洗液などの処理液が用いられる。一
方、ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、露光後、発色
現像、脱銀、水洗、安定化等の工程により処理され、発
色(カラー)現像液、漂白液、漂白定着液、定着液、水
洗液、安定化液などの処理液が用いられる。
【0003】これらの処理液は、種々の薬品を用いて調
製され、このときの薬品の大部分は固体状態のものであ
る。
【0004】また、これらの処理液は、処理に際して、
ユーザーによって調製が必要な場合もあるが、このよう
なときには、一般に未熟なユーザーを考慮して、希釈の
みの操作が必要とされる濃縮液の状態でユーザーに手渡
される。しかし、このような液体状態では液漏れなどの
輸送面での問題が多く、最近また、粉末等の固体状態の
処理剤が見直されてきている。
【0005】処理液、例えば現像液のpHを調整するの
に用いられる水酸化ナトリウム等のアルカリ剤は潮解性
のものが多く、潮解性の水酸化ナトリウム等の薬品がキ
ット内に単独で存在した場合その薬品自体が有している
水分や経時で包材を透過して入ってくる水分によって固
化が生じてしまう。
【0006】このような固化が生じると、容器内からの
薬品の取り出しが困難になる。さらには、固化によりア
ルカリ剤が現像液中に投入されないことになると、炭酸
ガスや亜硫酸ガスが発生したり、臭気が発生したり、写
真性能が劣化したりする。また、調液の際に溶解装置か
ら泡があふれでる危険性がある。
【0007】このようなことから、固化を防止する目的
で、従来は、水酸化ナトリウム等の潮解性の薬品を水分
透過性の低い包材等で防湿包装しているが、薬品自体が
元来水分を含んでいる水酸化ナトリウム等の固化を完全
に防止することはできない。
【0008】また、防湿性の包装材料を使用することに
ついては、特開平5−142707号公報にも開示され
ており、固体処理剤の酸素含有率が2wt% 以下、含水率
が3wt% 以下となるように固体処理剤を包装することが
提案されている。しかし、このような条件を満足するよ
うな包装を行っても水酸化ナトリウム等の固化を完全に
防止することができない。
【0009】一方、特開平5−134362号公報に
は、成分の異なる2種以上の粉粒体を層状に積み重ね圧
縮成形した処理錠剤が開示されており、粉粒体としては
造粒・乾燥したものが用いられている。さらに、このよ
うな処理錠剤において層間に水溶性高分子化合物をはさ
んだものも開示されている。しかし、このように錠剤化
する方法を水酸化ナトリウム等の潮解性の薬品に適用し
た場合、処理錠剤表面に水酸化ナトリウム等が曝露した
部分が存在すると、この部分から吸湿して潮解してしま
う。また、水溶性高分子化合物を層間にはさむ方法に準
じ、水溶性高分子化合物を用いて水酸化ナトリウム等の
曝露部分が生じないようにコーティングすることも考え
られるが、このような化合物は写真感光材料にとっては
不純物であり、こうした化合物を含む処理錠剤により調
製した現像液を繰り返し使用するうちにこのものの濃度
が上昇し、写真性に悪影響を及ぼしたり、これに由来す
る不溶物が感材に付着したりするトラブルが発生する。
また、粉粒体を造粒・乾燥によって得ているので工程が
複雑であり、さらに錠剤化しているため、この工程によ
り生産性が低下しやすくなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アル
カリ剤の固化を防止することにより、容器からの取り出
しが容易であり、調液に際し、所定量のアルカリ剤を精
度よく投入することができ、かつ溶解中の臭気の発生が
なく、しかも写真品質の低下がなく、さらには生産性に
優れた固形現像処理剤を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(7)によって達成される。 (1) 平均粒径0.1〜12mmのアルカリ剤と平均粒
径0.01〜5mmの緩衝剤とを用い、前記アルカリ剤を
4〜90重量%含有するアルカリ剤と緩衝剤との混合層
を容器内に有し、前記容器の水分透過度が8g/m2・24
時間以下であり、前記容器の水分透過度が1g/m2・24
時間〜8g/m2・24時間の場合、前記混合層中のアルカ
リ剤の含有量が、水分透過度の数値Xを用いた下式 32/X重量%〜60+(20/7){(8/X)−
1}重量% の関係を満たし、前記容器の水分透過度が1g/m2・24
時間以下の場合、前記混合層中のアルカリ剤含有量が、
32〜80重量%の範囲内にある固形現像処理剤。 (2) 少なくとも2層以上で構成された上記(1)の
固形現像処理剤。 (3) 前記容器の形状がボトル状である上記(1)ま
たは(2)の固形現像処理剤。 (4) 前記混合層が前記容器内の最下層に存在する上
記(1)〜(3)のいずれかの固形現像処理剤。 (5) 前記混合層がアルカリ剤と緩衝剤とを容器内で
混合して得られたものである上記(4)の固形現像処理
剤。 (6) 前記混合層におけるアルカリ剤が水酸化アルカ
リであり、かつ、緩衝剤が炭酸塩、重炭酸塩、亜硫酸塩
および重亜硫酸塩のうちのいずれかである上記(1)〜
(5)のいずれかの固形現像処理剤。 (7) 黒白現像液用である上記(1)〜(6)のいず
れかの固形現像処理剤。
【0012】
【作用】本発明では、所定粒径のアルカリ剤と緩衝剤と
を用い、潮解性の水酸化ナトリウム等のアルカリ剤と緩
衝剤とを、アルカリ剤の含有量が4〜90重量%となる
ように混合して容器内に充填しているので、アルカリ剤
同士の隙間に緩衝剤が入り込むか、あるいは緩衝剤同士
の隙間にアルカリ剤が入り込むかして、アルカリ剤同士
が接触することを防止でき、アルカリ剤の固化を防止す
ることができる。
【0013】なお、従来の処理剤製品において、水酸化
ナトリウム等のアルカリ剤と炭酸カリウム等の緩衝剤と
を容器内に多段充填した例があり、真空包装などを行わ
ない場合、輸送中にこれらの薬品が混合することもあ
る。しかし、本発明と異なり、混合度や粒径が制御され
ていないので、偏差が発生し、部分的に固化が生じ、調
液時のトラブルの原因となっていた。
【0014】また、特開平4−33064号公報(特願
平3−128454号)には、水酸化カリウムと炭酸カ
リウムと炭酸水素カリウムと亜硫酸ナトリウムとを混合
した層を最上層に存在させた真空包装発色現像処理剤が
開示されているが、アルカリ剤の固化を防止することに
ついては全く述べられておらず、したがって本発明と異
なり、用いた化合物の粒径の組み合わせについては全く
示されていない。
【0015】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0016】本発明の固形現像処理剤は、容器内に固体
状の写真処理剤を充填したものであり、アルカリ剤と緩
衝剤は、これらの混合層として充填される。そして、混
合層はアルカリ剤を4〜90重量%、好ましくは4〜8
0重量%含有する。さらに、実用的には35〜80重量
%、特に40〜80重量%であることが好ましい。
【0017】アルカリ剤と緩衝剤とを混合層とし、アル
カリ剤の含有量を上記範囲に規制することでアルカリ剤
の固化を防止することができる。これに対し、アルカリ
剤の量が90重量%を超えるとアルカリ剤同士の接触箇
所が増し、アルカリ剤の固化を有効に防止することがで
きない。またアルカリ剤の固化を防止する観点からは、
アルカリ剤量は少ない方が望ましいが、特に写真性能を
維持するアルカリ剤全量を混合層において確保すること
を目的として各種現像処理剤組成を考慮すると、下限は
4重量%とするのがよい。そして、一般的に実用されて
いる組成における下限は40重量%程度である。
【0018】なお、混合層におけるアルカリ剤量は、容
器の水分透過度と関係づけられ、これについては後述す
る。
【0019】アルカリ剤と緩衝剤との混合は、各薬品を
所定量計量してから行えばよく、その方法には特に制限
はない。好ましくは、写真処理剤を充填する容器内に、
所定量のアルカリ剤を投入し、その後、所定量の緩衝剤
を投入し、ほぼ層状に充填したのち、振動、回転等によ
り混合すればよい。具体的には公知の方法によってよ
い。なお、アルカリ剤の投入に際しては、ホッパーや充
填装置内に除湿風[例えば20℃で40%RH(相対湿
度)以下]を送るなどして調湿することが好ましく、ア
ルカリ剤の投入が終了するまで調湿を行うことが好まし
い。また、混合は充填装置内で行ってもよく、その後容
器内に充填してもよい。ただし、いわゆるブレンダーに
よる混合は行わない方がよい。
【0020】混合の程度は、アルカリ剤同士の接触が防
止できる程度であればよく、必ずしも均一に混合してい
る必要はないが、ほぼ均一な混合とする方が好ましい。
ここにいう均一な混合とは混合層の任意箇所での2成分
の量比が混合層全体での量比と一致することをいう。
【0021】本発明に用いられる容器に特に制限はな
く、JIS K7129−1992の測定法による水分
透過度が40℃90%RHの測定条件下で8g/m2・24
時間以下であり、さらには5g/m2・24時間以下、特に
は入手しやすさ等の観点から1〜5g/m2・24時間であ
ることが好ましい。このような容器を用いることによっ
て、アルカリ剤の固化防止効果がさらに向上する。これ
に対し、水分透過度の大きい容器を用いるとアルカリ剤
の固化を防止しにくくなる。
【0022】また、容器の形状についても特に制限はな
く、ボトル状、袋状等であってよいが、容器内に2成分
を層状に充填したのち容器内で混合することが好ましい
ことからボトル状のものを用いることが好ましい。
【0023】容器の材質は、可とう性のプラスチック材
料とすることが好ましく、具体的には低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリアミド/ポリ
エチレンの複合材料等を用いることが好ましい。このよ
うな材料のものを用いるのはボトル状とするのが容易で
あり、上記の水分透過度を容易に実現できるからであ
る。
【0024】また、ボトル状の容器本体部分は蛇腹体と
することが好ましく、このような容器としては例えば特
開平6−301189号公報に液体用容器として記載さ
れているものなどが挙げられる。これにより使用後の容
器の取り扱いが廃棄を含めて容易になる。さらに、ボト
ル状の容器は、薬品を充填したのちシールおよびキャッ
プ等を用いて密閉できるような構成とすることが好まし
い。
【0025】ボトルの大きさは充填する写真処理剤量に
よるが、通常200ml〜5リットル程度の容積のものを
用いればよい。またプラスチック材料の肉厚は100〜
700μm 程度である。
【0026】このほか、水分透過度の点からは、Alと
上記プラスチック材料との積層材料等の袋等も用いるこ
とができる。また、容器の水分透過度と混合層における
アルカリ剤の含有量とは、以下の関係にある。
【0027】(1)水分透過度が1g/m2・24時間〜8
g/m2・24時間の場合、水分透過度Xg/m2・24時間の
数値Xを用いて、32/X重量%〜60+(20/7)
{(8/X)−1}重量%
【0028】(2)水分透過度が1g/m2・24時間以下
の場合、32〜80重量%
【0029】なお、水分透過度が1g/m2・24時間のと
き、上記(1)、(2)のいずれの関係を用いてもよ
く、同じ値となる。
【0030】混合層におけるアルカリ剤の含有量を、容
器の水分透過度との関係で、上記のように規制すること
によって、すなわち、水分透過度の大きい容器を用いる
とき、アルカリ剤量を少なくし、水分透過度の小さい容
器を用いるとき、アルカリ剤量を多くしてもかまわない
など、容器の水分透過度に応じた混合層構成とすること
ができ、アルカリ剤の固化防止をより効果的に行うこと
ができる。
【0031】なお、水分透過度の小さい容器を用いる場
合、アルカリ剤量を少なくしても固化防止の点では何の
問題も生じない。しかし、必要なアルカリ剤を混合層に
すべて含有させる方が好ましいので、水分透過度の小さ
い容器は、その利点を最大限に生かせるようにアルカリ
剤量の多い混合層に用いることが好ましい。
【0032】混合層を形成するのに用いられるアルカリ
剤、緩衝剤は、粒状、フレーク状、粉末状等のいずれで
あってもよく、錠剤やブリケットなどの造粒体としても
よいが、通常の市販の粒状や粉末状のものなどをそのま
ま用いることができる。
【0033】アルカリ剤は、平均粒径が0.1〜12mm
であり、さらに好ましくは0.5〜5mmである。一方、
緩衝剤の平均粒径は0.01〜5mmであり、さらに好ま
しくは0.1〜5mmである。平均粒径は、必要に応じル
ーペや光学的顕微鏡観察等を用いて求めることができ、
アルカリ剤、緩衝剤の形状が球状でないとき、投影面積
を円に換算して求めた値である。
【0034】アルカリ剤、緩衝剤の平均粒径を上記範囲
とすることによって、アルカリ剤の固化防止効果が得ら
れる。これに対し、いずれかの平均粒径が大きくなって
も小さくなってもアルカリ剤が固化してしまい本発明の
効果が得られなくなる。
【0035】混合層に用いられるアルカリ剤としては、
水酸化物が好ましく、具体的には水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリであ
ることが好ましい。なかでも、汎用されている水酸化ナ
トリウムが好ましい。
【0036】一方、緩衝剤としては、反応性が低い化合
物が好ましく、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸
塩、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の重炭酸塩、
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウ
ム等の亜硫酸塩、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウ
ム等の重亜硫酸塩などが好ましい。なかでも、炭酸カリ
ウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等が好まし
い。
【0037】アルカリ剤と緩衝剤との混合層は、混合工
程を考えるとボトル状の容器内の最下層とすることが好
ましい。そして、さらに、この混合層上に他の現像処理
剤成分の層を積層することが好ましい。また、混合層の
みで必要なアルカリ剤の全量を確保する構成とする方が
好ましく、緩衝剤を補足する必要があるときは混合層の
上層として補足することが好ましい。なお、アルカリ剤
を補足する必要のあるときは、アルカリ剤の単一層とし
ては固化してしまうので、別容器に溶液状態で収納する
か、潮解の心配がない別種のアルカリ剤を用いて混合層
の上層として充填するかすればよい。また、補足分が極
く少量(5g 程度)である場合、固化してもそれほど問
題とはならないので同一容器に充填してもよい。
【0038】このように不足分を補ったのち、保恒剤、
現像主薬等の他の成分を層状に積層することが好まし
い。なお、この場合において、アルカリ剤と接触したハ
イドロキノンのように、接触により性能が劣化するもの
同士は隣接層とならないようにすることが好ましい。
【0039】他の成分は、ブレンドにより性能劣化の懸
念がなく、また少量成分であるときなど、複数成分をブ
レンドしたのち、ブリケット等に造粒してから層状にし
てもよい。また、単一成分であってもブリケット等に造
粒してから層状にしてもよい。
【0040】本発明の固形現像処理剤の作製工程の一例
を図1および図2に示す。図1は充填工程を示す模式図
であり、図2は充填して最終製品を得るまでの工程図で
ある。
【0041】図1の充填工程について説明すると、ま
ず、容器1内に、計量機2および充填機5を用いて、所
定量のアルカリ剤11を充填する。次に、同様の所定量
の緩衝剤12を充填する。これらの成分の計量は、これ
らの成分が粉末状や粒状であるので、例えばオーガ式、
ロードセル式の計量機を用いて行うことが好ましく、計
量機は充填機を兼ねたものであってもよい。また、充填
には、例えば垂直送りスクリュー回転式の充填機を用い
ることが好ましい。このように2成分を計量したのち、
これら2成分の混合を振動機3により振動を与えて行
う。これにより2成分の混合層13が形成される。
【0042】次に混合層13上に計量機2および充填機
5を用いて保恒剤等の他の成分14を所定量充填し、振
動機3により振動を与えて、平坦な層14とする。次
に、さらに必要な他成分の混合物15を、計量機2およ
び充填機6を用いて充填する。この場合の混合物15は
ブリケット等の造粒体とする。造粒体として充填する場
合、振動方式の充填機6を用いることが好ましい。さら
に、ハイドロキノン等の現像主薬のブリケット等の造粒
体を同様に充填する。その後、振動機3を用い、混合物
層15および現像主薬層16を平坦なものとする。
【0043】このようにして充填が終了したのち、図2
の工程に従い、容器1の口にアルミホイルフィルムラミ
ネートを熱シールし、さらにキャッピングを行い、容器
1を密閉する。次に、ラベルを貼付し、防湿紙袋に袋詰
めし、ケースにパッキングし、製品とする。
【0044】本発明は、アルカリ剤と緩衝剤とを必須成
分とする黒白現像処理剤、カラー現像処理剤のいずれに
も適用できるが、なかでも黒白現像処理剤に適用するこ
とが好ましい。黒白現像処理剤にはアルカリ剤と接触す
ると性能が劣化するハイドロキノンなどが含有されるか
らである。
【0045】本発明の固形現像処理剤により調液される
黒白現像液について述べる。
【0046】黒白現像液は現像主薬を含有する。現像液
に用いる現像主薬には特別な制限はないが、ジヒドロキ
シベンゼン類や、アスコルビン酸誘導体を含むことが好
ましく、さらに現像能力の点で、ジヒドロキシベンゼン
類やアスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾ
リドン類の組み合わせまたはジヒドロキシベンゼン類や
アスコルビン酸誘導体とp−アミノフェノール類との組
み合わせが好ましい。
【0047】ジヒドロキシベンゼン現像主薬としてはハ
イドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハ
イドロキノン、メチルハイドロキノンなどがあるが、特
にハイドロキノン類が好ましい。本発明に用いるアスコ
ルビン酸誘導体現像主薬としては、アスコルビン酸およ
びイソアスコルビン酸とそれらの塩がある。
【0048】1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはそ
の誘導体の現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラ
ゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラ
ゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシ
メチル−3−ピラゾリドンなどがある。本発明に用いる
p−アミノフェノール系現像主薬としては、N−メチル
−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−
(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N
−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、な
かでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。
【0049】ジヒドロキシベンゼン系現像主薬やアスコ
ルビン酸系現像主薬は通常0.05〜0.8モル/リッ
トルの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシ
ベンゼン類等と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もし
くはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合
には前者を0.05〜0.5モル/リットル、後者を
0.06モル/リットル以下の量で用いるのが好まし
い。
【0050】現像液には保恒剤を添加することが好まし
い。この保恒剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カ
リウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫
酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒ
ド重亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩を用いることが好
ましい。この亜硫酸塩は、0.20モル/リットル以
上、特に0.3モル/リットル以上用いることが好まし
いが、あまりに多量添加すると現像液中で沈殿して液汚
染を引き起こすので、上限は1.2モル/リットルとす
るのが望ましい。
【0051】現像液は、そのpHを9〜13、特に9.
5〜12に設定することが好ましい。このため、現像液
には、pHの設定のためのアルカリ剤を添加する。この
ようなアルカリ剤としては、前記のものを用いることが
できる。アルカリ剤の含有量は0.1〜6モル/リット
ル程度とする。また緩衝剤としては、前記のものを用い
ることができる。現像液中の緩衝剤の含有量は0.1〜
3.0モル/リットル程度とする。さらに、緩衝剤とし
て特開昭62−186259号公報に記載のホウ酸、特
開昭60−93433号公報に記載の糖類(例えばサッ
カロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フ
ェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン
酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)などを添加し
てもよい。
【0052】上記以外に用いられる添加剤としては、臭
化ナトリウム、臭化カリウムのような現像抑制剤;エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ジメチルホルムアミドのような有機溶剤;
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカ
ノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像
促進剤;1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール等
のメルカプト系化合物、5−ニトロインダゾール等のイ
ンダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物をカ
ブリ防止剤または黒ポツ ( black pepper ) 防止剤とし
て含みさらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡
剤、硬水軟化剤、硬膜剤等を含んでもよい。また、現像
ムラ防止剤として特開昭62−212651号公報記載
の化合物、溶解助剤として特開昭61−267759号
記載の化合物を用いることができる。
【0053】このような現像液を用いて現像される黒白
写真感光材料としては、一般の黒白写真感光材料であっ
てよく、特にレーザー光源用写真材料や印刷用感光材料
ならびに、医療用直接撮影X−レイ感光材料、医療用間
接撮影X−レイ感光材料、CRT画像記録用感光材料、
マイクロフィルム、一般撮影感光材料などがある。
【0054】感光材料は、通常自動現像機を用いて処理
される。
【0055】現像条件としては公知のものであってよ
く、40秒以下、好ましくは6〜35秒の時間で、25
〜50℃、好ましくは30〜40℃の温度とすることが
好ましい。また、現像液の補充量は感材1m2当たり10
0〜500ml程度とすることが好ましい。
【0056】本発明の固形現像処理剤から調液される現
像液とともに用いられる定着液は公知のものを用いるこ
とができる。定着は40秒以下、好ましくは6〜35秒
の時間で、25〜50℃、好ましくは30〜40℃の温
度で行うことが好ましい。定着液の補充量は感材1m2
たり80〜600ml程度とすることが好ましい。現像、
定着の後には、水洗、安定化の処理がなされる。これら
の処理時間および温度は、40秒以下、通常10〜30
秒、0〜50℃とすればよい。また補充量は感材1m2
たり3リットル以下とし、補充量0の、いわゆるため水
水洗であってもよい。
【0057】また、本発明はカラー現像液に応じた組成
とし、カラー写真感光材料用とすることもできる。カラ
ー写真感光材料およびその処理については特開平6−3
01189号公報の記載を参照することができる。な
お、カラー現像液用のアルカリ剤および緩衝剤は黒白現
像液におけるものと同様である。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例1 現像液を調製するための現像処理剤サンプルを作製し
た。各成分の処方値は、使用液10リットル当たりの量
で以下のとおりである。
【0059】組成 ハイドロキノン 400g メタ重亜硫酸カリウム 808g 炭酸カリウム 615g NaOH 400g ブレンド成分 121.1g ブレンド成分の組成は以下のとおりである。 KBr 30g ジエチレントリアミン5酢酸 20g 5−メチルベンゾトリアゾール 1.6g 2−メルカプトベンツイミダゾール−5−スルホン酸ナトリウム 3g 4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル−3−ピラゾリドン 4.5g エリソルビン酸ナトリウム 62g
【0060】上記成分のうち、ハイドロキノンはブリケ
ッティングマシンによりブリケット(平均粒径4mm)と
したものを用いた。
【0061】また、ブレンド成分は、円筒傾斜型ブレン
ダーにて混合し、その混合物をブリケッティングマシン
によりブリケット(平均粒径4mm)としたものを用い
た。また、NaOH、炭酸カリウム、メタ重亜硫酸カリ
ウムは、市販品をそのまま用い、NaOHはビーズ状、
炭酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウムは粉末状であり、
平均粒径は順に、2mm、0.5mm、0.2mmであった。
【0062】上記の各成分を、図1の工程に従って、あ
るいはこれに準じて、水分透過度X=2.5g/m2・24
時間(JIS K7129−1992に従って測定:測
定条件40℃90%RH)の低密度ポリエチレン(LD
PE)ボトル(平均肉厚350μm 、容積2.2リット
ル)に充填した。
【0063】まず、ボトル内に、NaOHを400g 層
状に充填し、次に炭酸カリウムを615g 層状に充填
し、メタ重亜硫酸カリウム808g 、ブレンド成分12
1.1g 、ハイドロキノン400g を順次層状に充填し
た。NaOHの充填は、垂直送りスクリュー回転式の充
填機を用い、調湿(20℃40%RH)して行った。ま
た、計量はロードセル方式の計量機を用いて行った。ま
た、炭酸カリウムおよびメタ重亜硫酸カリウムは各々N
aOHと同方式の充填機により調湿なしで充填し、同様
に計量した。ブレンド成分およびハイドロキノンは、各
々振動方式の充填機を用いて充填し、同様に計量した。
【0064】各成分を充填したのち、図2の工程に従っ
て、アルミホイルフィルムをボトルの口に熱シールし、
キャップをして容器を密閉した。これをサンプルNo. 1
とする。
【0065】サンプルNo. 1において、図1に示すよう
にNaOHを400g 充填し、炭酸カリウムを100g
充填し、振動により混合層を形成したのち、残りの炭酸
カリウムを層状に充填するほかは同様にしてサンプルN
o. 2を作製した。
【0066】サンプルNo. 2において、混合層における
炭酸カリウム量を600g とするほかは同様にしてサン
プルNo. 3を作製した。
【0067】また、サンプルNo. 3において、混合層で
のNaOH量を32g とし、残りのNaOHは別容器に
5重量%溶液として収納するほかは同様にしてサンプル
No.4を作製した。
【0068】これらのサンプルNo. 1〜No. 4を各々5
0℃90%RHに調整した恒温装置中で8週間経時保存
し、固化度を評価した。固化度は経時後の各サンプルの
混合層をボトルから取り出し、圧縮試験機にて混合層が
崩壊する時の圧力(崩壊圧力)を測定することによって
評価した。崩壊圧力は東洋精機製作所製ストログラフR
にて測定した。評価基準は以下のとおりである。
【0069】 崩壊圧力 固化度 0〜150g/m2 ◎(固化が全く問題とならないレベル) 150g/m2超〜300g/m2 ○(固化が全くないか、あってもボトル内から の添加には全く支障がないレベル) 300g/m2超〜500g/m2 △(固化はあるが、手で容易に壊せる程度のも のであり、ボトル内からの添加はボトルをたた くか軽くもむ程度であるレベル) 500g/m2超〜1000g/m2 ×(固化があり、手で壊すのが困難であり、ボ トル内からの添加には支障が生じるレベル) 1000g/m2超 ××(固化が著しく、ボトル内からの添加が困 難であるレベル) 結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】表1より本発明の効果は明らかである。
【0072】次に富士写真フイルム(株)製の感光材料
NS−Aを用い、上記のようにして保存した後の現像処
理剤のサンプルNo. 1〜No. 4から各々現像液を調製
し、富士写真フイルム(株)製の定着剤SGX−F1お
よび水洗水を用いて下記の処理工程で、富士写真フイル
ム(株)製の自現機FG−680AGにより処理した。
【0073】 工程 時間 温度 補充量(感材1m2当り) 現像 30秒 35℃ 320ml 定着 30秒 35℃ 400ml 水洗 30秒 20℃ − 乾燥 40秒 50℃ −
【0074】サンプルNo. 1を用いたものはNaOHの
固化の度合が大きく、ボトルからの取り出しが困難であ
り、ほとんど取り出すことができなかったので現像液調
製時に炭酸ガス、亜硫酸ガスが発生し、臭気の問題があ
るとともに、現像液中のNaOH不足のため、所定のp
Hが得られず(サンプルNo. 2〜4では所定のpH1
0.5が得られるのに対しサンプルNo. 1では9.8し
か得られない)、現像速度が低下して現像の進行が遅く
なり十分なDmax が得られなかった。
【0075】また、サンプルNo. 2〜No. 4では、Na
OHの固化の問題がなく、ボトル内からNaOHを取り
出すのが容易であり、臭気等の問題はなかった。ただ
し、混合層におけるNaOH含有量が少ないサンプルN
o. 4では、NaOHの固化の問題はなかったが、必要
量のNaOHを1つのボトル内に収納するのは無理であ
るため操作上不利である。また、サンプルNo. 2〜No.
4では写真性能上の問題も全くなかった。
【0076】実施例2 実施例1のサンプルNo. 2において、混合層における炭
酸カリウム量を266g (NaOH含有量60重量%)
とし、さらに349g の炭酸カリウムを層状に補充する
ほかは同様にしてサンプルを作製した。ただし、充填用
の容器としては、表2に示すような水分透過度のボトル
と袋を用いた。袋への各成分の充填はボトルの場合に準
じて行った。これらのサンプルについて実施例1と同様
に固化度を評価した。結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】表2より、水分透過度の大きい容器(サン
プルNo. 22)では固化度が少々大きくなることがわか
る。容器内への充填操作や調液時の取り出し操作の点で
は、袋状のものよりボトル状のものが好ましかった。
【0079】実施例3 実施例1のサンプルNo. 1〜No. 4と各々同じ構成の固
体充填物を、各々表3に示すような水分透過度の容器に
かえて充填するほかは同様にしてサンプルを作製し、実
施例1と同様にして固化度を評価した。結果を表3に示
す。なお、容器は実施例2と同じものである。
【0080】
【表3】
【0081】表3より、NaOH含有量が100wt% と
なると、いずれの容器においてもNaOHの固化を防止
することができないことがわかる。また、水分透過度の
小さい容器ではNaOH含有量が大きい混合層において
もNaOHの固化防止効果が大きい。
【0082】実施例4 実施例1のサンプルNo. 2において、混合層におけるN
aOH含有量を実施例2と同じく60wt% とし、K2
3 として平均粒径0.5mmのものを用い、NaOHと
しては表4に示す粒径のものを用い、同様にしてサンプ
ルを得た。これらのサンプルについて実施例1と同様に
して固化度を評価した。結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】表4から明らかなように、NaOHの粒径
が本発明の範囲外になると、他の条件が好適条件であっ
ても固化防止効果が低下する。また、NaOHが好まし
い粒径範囲にあるものでは固化防止効果が向上する。
【0085】実施例5 実施例1のサンプルNo. 2において、混合層におけるN
aOH含有量を実施例2と同じく60wt% とし、NaO
Hとして平均粒径1.0mmのものを用い、K2CO3
して表5に示す粒径のものを用い、同様にしてサンプル
を得た。これらのサンプルについて実施例1と同様にし
て固化度を評価した。結果を表5に示す。
【0086】
【表5】
【0087】表5から明らかなように、K2 CO3 の粒
径が本発明の範囲外になると、他の条件が好適条件であ
っても固化防止効果が低下する。また、K2 CO3 が好
ましい粒径範囲にあるものでは固化防止効果が向上す
る。
【0088】なお、実施例4、5においてNaOHとK
2 CO3 との組合せを0.05mmと0.005mm、0.
05mmと8.0mm、15mmと0.005mm、15mmと
8.0mmにかえて、同様に固化度を調べたところ、いず
れも固化が生じており、ボトル内からの添加が困難であ
った。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、NaOH等の潮解性の
アルカリ剤の固化を防止でき、調液作業が容易になる。
アルカリ剤が所定量添加される結果、調液時の臭気発生
のトラブルもなく、写真品質の低下もない。また現像処
理剤の調製作業も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固形現像処理剤の充填工程の一例を示
す模式図である。
【図2】本発明の固形現像処理剤において充填してから
最終製品を得るまでの工程図である。
【符号の説明】
1 容器 2 計量機 3 振動機 5 充填機 11 アルカリ剤 12 緩衝剤 13 混合層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 5/26 G03C 5/30

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径0.1〜12mmのアルカリ剤と
    平均粒径0.01〜5mmの緩衝剤とを用い、 前記アルカリ剤を4〜90重量%含有するアルカリ剤と
    緩衝剤との混合層を容器内に有し、 前記容器の水分透過度が8g/m2・24時間以下であり、 前記容器の水分透過度が1g/m2・24時間〜8g/m2・2
    4時間の場合、前記混合層中のアルカリ剤の含有量が、
    水分透過度の数値Xを用いた下式 32/X重量%〜60+(20/7){(8/X)−
    1}重量% の関係を満たし、前記容器の水分透過度が1g/m2・24
    時間以下の場合、前記混合層中のアルカリ剤含有量が、 32〜80重量%の範囲内にある固形現像処理剤。
  2. 【請求項2】 少なくとも2層以上で構成された請求項
    1の固形現像処理剤。
  3. 【請求項3】 前記容器の形状がボトル状である請求項
    1または2の固形現像処理剤。
  4. 【請求項4】 前記混合層が前記容器内の最下層に存在
    する請求項1〜3のいずれかの固形現像処理剤。
  5. 【請求項5】 前記混合層がアルカリ剤と緩衝剤とを容
    器内で混合して得られたものである請求項4の固形現像
    処理剤。
  6. 【請求項6】 前記混合層におけるアルカリ剤が水酸化
    アルカリであり、かつ、緩衝剤が炭酸塩、重炭酸塩、亜
    硫酸塩および重亜硫酸塩のうちのいずれかである請求項
    1〜5のいずれかの固形現像処理剤。
  7. 【請求項7】 黒白現像液用である請求項1〜6のいず
    れかの固形現像処理剤。
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