JP3450075B2 - 吸湿寸法安定性アラミド繊維の製造方法 - Google Patents

吸湿寸法安定性アラミド繊維の製造方法

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JP3450075B2
JP3450075B2 JP635495A JP635495A JP3450075B2 JP 3450075 B2 JP3450075 B2 JP 3450075B2 JP 635495 A JP635495 A JP 635495A JP 635495 A JP635495 A JP 635495A JP 3450075 B2 JP3450075 B2 JP 3450075B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸湿寸法安定性の改善
されたアラミド繊維に関する。本発明のアラミド繊維
は、吸湿寸法安定性を要するプリント積層板、ベルトな
どの用途に利用される。
【0002】
【従来の技術】ポリパラフェニレンテレフタルアミド
(PPTA)に代表される直線配位性のアラミドは、特
に優れた結晶性や高い融点を有し、また剛直な分子構造
に基づく高い耐熱性と高い機械的強度を有しており、近
年、特に注目されている高分子素材である。
【0003】しかしながら、アラミドは、脂肪族ポリア
ミドと同様に、その分子構造内にアミド結合を有してい
るために、吸湿率が高いうえ、吸湿による寸法変化も大
きい。アラミドの吸湿寸法安定性改善に関する提案とし
ては、ハロゲン基を導入した直線配位性芳香族環と、置
換基を持たない直線配位性芳香族環とを共重合すること
により有機溶媒に可溶なアラミドとし、該アラミドドー
プから得られたフィルムを平面的な分子配向を維持しな
がら緊張下に加熱し、一定密度以上として吸湿寸法安定
性を高めたことが開示されている(特公昭53−449
57号公報)。しかし、これはモノマーが高価なため、
コスト高となり、更に、直線配位性アラミド本来の耐熱
性、耐薬品性を損なうという欠点がある。また、同公報
の実施例4にPPTAフィルムの製造方法が開示されて
いるが、ドープの調製条件は120℃、1.5時間であ
り、そのため、PPTAの重合度低下が著しく、かつド
ープ濃度は約17重量%という高濃度であるため、該ア
ラミドドープを冷却せずに、120〜150℃に加温さ
れたガラス板上へ流延したのち、直ちに0〜3℃の水中
へ浸すと、ドープの光学異方性が残ったままで凝固さ
れ、失透したフィルムしか得られない。得られたフィル
ムを熱処理しても、一方向に裂けやすいフィルムしか得
られない。
【0004】特公昭57−17886号公報は、PPT
Aなどのポリアミドの濃硫酸などを溶媒とする光学異方
性ドープを、加熱により光学等方化したのち、凝固さ
せ、洗浄、乾燥する方法で、長尺方向、幅方向ともに優
れた機械特性を示す透明なフィルムが得られるとしてい
るが、伸度が小さく、乾燥状態では吸水寸法変化率の大
きいフィルムしか得られないという欠点をもっている。
【0005】更に、特公平6−55842号公報は、濃
硫酸などを溶媒とする光学異方性PPTAドープを流延
後、加湿により、光学等方化したのち、凝固させ、洗
浄、乾燥する方法で、長尺方向、幅方向ともに優れた機
械的特性を示す透明なフィルムが開示されている。しか
し、実施例に記載された吸湿寸法変化率は、10-5のオ
ーダーにあり比較的大きく、更なる寸法安定性が要望さ
れている。一方、アラミドに対し、添加物を添加して寸
法安定性を向上せしめる方法が提案されている。例え
ば、アラミドに対し、ポリカーボネートなどの可溶性ポ
リマーをブレンドする試みがあるが(特開平5−321
026号公報)、吸湿率や寸法安定性は向上しているも
のの、未だ十分とは言い難い。そのうえ、添加物が増え
ることにより、アラミド本来の機械的物性が低下する。
【0006】一方、ポリマーに添加剤を添加して機能付
与を図る試みも提案されている。パラ型アラミドの代表
例であるPPTAは、溶融困難且つ難溶性であるため、
一般に硫酸などの特殊な溶媒を用いて溶解したうえで湿
式成形するが、成形された後では、PPTAの高い結晶
性、高い分子鎖間力が障害となり、添加剤をポリマー中
に強固に保持せしめることは非常に困難である。そこ
で、水に膨潤した未乾燥の繊維に各種の剤を含有せしめ
て機能化を図る方法が提案されている。
【0007】例えば、パラ型アラミドの耐光性向上法と
して、紫外線吸収剤など各種の剤を含有せしめる方法
(特開昭49−75824号公報、特開昭50−123
22号公報、特開昭53−35020号公報、特公昭5
6−33487号公報、特開平1−240533号公
報)、導電性を付与する方法(USP5302415、
WO9216589、EP355518など)、着色す
る方法(EP402163など)等で、各種物質の含浸
が検討されている。しかし、これらは、全てPPTAを
ベースにしたアラミドの光学異方性の硫酸ドープから湿
式成形されたものである。この方法では、重合ドープを
そのまま製糸することはできないので、重合ドープと製
糸用ドープとの間に再沈工程を加える必要があり、工程
の数が増えるだけでなく、設備の腐食や取扱安全性の観
点からも好ましくない。
【0008】また、アルコキシシランをアラミドに含浸
させて、アラミドの寸法安定性を向上せしめる方法も提
案されている(特開平4−342736号公報)。しか
し、これは後で熱処理によりアラミド中にガラス(Si
2 のネットワーク構造体)を生成せしめ、このSiO
2 のネットワーク構造体によって吸湿性を低減せしめる
ものであり、アルコキシシランの含浸のみでは効果が現
れない。また、実施例に示された湿度線膨張係数は10
-5のオーダーであり比較的大きく、十分な吸湿寸法安定
性に達していない。
【0009】熱安定性や耐光性を改善するために、ポリ
アミドに銅塩などを含浸せしめるのは公知の技術であ
る。例えば、特公昭49−12333号公報では、銅塩
などをポリアミドに添加して熱安定性を向上せしめるこ
とが提案されている。更に、特開昭53−102954
号公報には、ポリアミドに対し、銅塩などを添加して光
安定性を改善することが提案されている。しかし、特公
昭49−12333号公報、特開昭53−102954
号公報では、銅塩などを配合して吸湿寸法安定性を向上
させるという知見は開示されていない。
【0010】
【発明の目的】本発明の目的は、従来の技術におけるか
かる問題点を解決したものであり、湿式紡糸法による高
吸湿寸法安定性、高強度、高モジュラスのアラミド繊維
の製造方法を提供することにある。
【0011】
【発明の構成】即ち、本発明は「(請求項1) アラミ
ド繊維の湿式紡糸方法において、繊維を乾燥する前に、
硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化リ
チウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウ
ム、酢酸銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、塩化
銅(I)、塩化銅(II)、くえん酸銅(II)、シアン化
銅(I)、4−シクロヘキシル酪酸銅、塩化アンモニウ
ム銅(II)、二りん酸銅(II)、ふっ化銅(II)、ギ酸
銅(II)、グルコン酸銅(II)、水酸化銅(II)、ヨウ
化銅(I)、ナフテン酸銅、硝酸銅(II)、オレイン酸
銅(II)、しゅう酸銅(II)、酸化銅(I)、酸化銅
(II)、りん酸銅(II)、フタル酸銅(II)、塩化カリ
ウム銅、ロダン化銅(I)、硫酸銅(II)、塩基性硫酸
銅(II)、硫化銅(II)、チオシアン酸銅(I)、過塩
素酸銅、酒石酸銅、イソフタル酸銅、ステアリン酸銅か
らなる群から選ばれる金属塩を含浸せしめることを特徴
とする吸湿寸法安定性アラミド繊維の製造方法。 (請求項2) 金属塩が硫酸リチウム、硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩
化銅、ヨウ化銅からなる群から選ばれる請求項2の吸湿
寸法安定性アラミド繊維の製造方法。 (請求項3) 金属塩が硫酸リチウム、硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウムからなる群から選ばれる請求項2の吸
湿寸法安定性アラミド繊維の製造方法。」である。
【0012】アラミドとは、実質的に、芳香族ジアミン
と芳香族ジカルボン酸ハライドとから得られるものであ
り、パラ型でもメタ型でも良いがパラ型がより好まし
い。
【0013】好ましい芳香族ジアミンとしては、p−フ
ェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンチジ
ン、4,4’’−ジアミノ−p−ターフェニル、2,7
−ジアミノフルオレン、2,8−ジアミノフェノキサチ
ン、1,4−、1,5−または2,6−ナフタレンジア
ミン、3,3’−、3,4’−、4,4’−ジアミノジ
フェニルエーテル、3,3’−、3,4’−、4,4’
−ジアミノジフェニルアミド、3,3’−、3,4’
−、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,
3’−、3,4’−、4,4’−ジアミノジフェニルス
ルホン、3,3’−、3,4’−、4,4’−ジアミノ
ベンゾフェノン、3,3’−、3,4’−、4,4’−
ジアミノジフェニルメタン、及び、その芳香環に1個以
上の低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン基、
ニトロ基などの非反応性官能基を含むものや、2,2−
ビス−4(4−アミノフェノキシ)フェニルプロパン、
2,2−ビス−4(3−アミノフェノキシ)フェニルプ
ロパン、2,2−ビス−4(4−アミノフェノキシ)フ
ェニルヘキサフロロプロパン、2,2−ビス−4(3−
アミノフェノキシ)フェニルヘキサフロロプロパン、ビ
ス−4(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホン、ビ
ス−4(3−アミノフェノキシ)フェニルスルホン、
1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
4,4’−ビス−(4−アミノフェノキシ)ビフェニ
ル、4,4’ビス−(3−アミノフェノキシ)ビフェニ
ル、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミ
ン、p−アミノベンジルアミン、m−アミノベンジルア
ミン、9,10−ビス−(4−アミノフェニル)アント
ラセン、9,9−ビス−(4−アミノフェニル)フルオ
レンなどが挙げられる。
【0014】芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、テ
レフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、2,6−
ナフタレンジカルボン酸クロリド、2,5−ナフタレン
ジカルボン酸クロリド、4,4’−ジフェニルジカルボ
ン酸クロリド、或いは、その芳香環に1個以上の低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基な
どの非反応性官能基を含むものなどが挙げられる。
【0015】本発明におけるアラミドは、特に、紡糸原
液となる溶媒に可溶であるものが好ましい。ドープは、
溶液重合を行った後の有機溶媒ドープでも、別途得られ
たアラミドを硫酸、クロロ硫酸、フルオロ硫酸などの酸
や、有機溶媒に溶解せしめたものでもよい。また、等方
性であっても光学異方性でもよいが、等方性の方が好ま
しい。特に、溶液重合反応で得られたドープが好まし
い。
【0016】重合溶媒、あるいは有機の再溶解用溶媒と
しては、一般に公知の非プロトン性有機極性溶媒を用い
るが、例を挙げるとN−メチル−2−ピロリドン、N−
エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチル
アセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、
N,N−ジメチルブチルアミド、N,N−ジメチルイソ
ブチルアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジ
メチルメトキシアセトアミド、N−アセチルピロリジ
ン、N−アセチルピペリジン、N−メチルピペリドン−
2、N,N’−ジメチルエチレン尿素、N,N’−ジメ
チルプロピレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチ
ルマロンアミド、N−アセチルピロリドン、N,N,
N’,N’−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド
などである。
【0017】溶液重合の前、途中、終了時、或いは別途
得られたラアミドを溶媒に溶解せしめる場合には、溶解
性を向上せしめるために溶解助剤として無機塩を適当量
添加しても差し支えない。このような無機塩としては、
例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられ
る。この他、メチル−トリ−n−ブチルアンモニウム塩
化物、メチル−トリ−n−プロピルアンモニウム塩化
物、テトラ−n−プロピルアンモニウム塩化物、テトラ
−n−ブチルアンモニウム塩化物のような四級アンモニ
ウム塩でもよい。
【0018】アラミドの重合度は特に制限されないが、
ポリマーが溶媒に溶けるならば、成形加工性を損なわな
い範囲内で重合度は大きい方が好ましい。
【0019】アラミド繊維は、通常、ドープを湿式紡糸
して得られる。このとき、ドープを凝固浴の中に直接吐
出しても良いし、或はエアギャップを設けてもよい。
【0020】凝固浴には、アラミドの貧溶媒が用いられ
るが、アラミドドープの溶媒が急速に抜け出してアラミ
ド繊維に欠陥ができないように、通常は良溶媒を添加し
て凝固速度を調節する。一般には、貧溶媒としては水、
良溶媒としてはアラミドドープ用溶媒を用いるのが好ま
しい。良溶媒/貧溶媒の比は、アラミドの溶解性や凝固
性などの程度にもよるが、15/85から40/60が
一般的に好ましい。
【0021】また、アラミド繊維は、ドープから湿式紡
糸された後、好ましくは、糸中のドープの溶媒を除去す
るため、水洗後に、乾燥前の膨潤している繊維を、金属
塩が溶解または分散している溶液または媒体に対し、浸
漬または接触せしめて、金属塩を含浸せしめる。この場
合、塩の種類により、アラミド繊維に対する含浸速度も
異なるので、塩の濃度、浸漬時間或いは接触時間も異な
るが、一般には、0.001%から1%程度の液を0.
1秒から1分程度、浸漬または接触せしめるのが好まし
い。
【0022】この塩含浸による吸湿寸法安定性向上の理
由は定かではないが、以下のように考えられる。一般
に、アラミドは吸湿により、若干欠陥を持つ結晶の結晶
化により収縮するが、金属塩を含浸せしめると、金属塩
の周囲に大きな非晶部を生じ、この部分が吸湿による結
晶化で伸張されるので、両者が相殺されて寸法安定性が
向上するものと考えられる。従って、結晶化度が非常に
高いアラミドの場合、吸湿による寸法安定性を高めるに
は、アラミド本来の機械的物性を損なわない範囲内(許
容範囲内)で、アラミドになるべく多く非晶部を導入で
きるように、塩を含浸せしめるのが望ましいといえる。
【0023】本発明で用いられる金属塩は、糸中で均一
に分散していても、不均一に分散していても構わない
が、糸の機械的物性の低下が許容範囲内に維持できるの
であれば、糸中で塊状であることが好ましい。
【0024】金属塩としては、硫酸リチウム、硫酸ナト
リウム、硫酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化カルシウムの他、銅塩が挙げら
れる。好ましい銅塩としては、酢酸銅(II)、臭化銅
(I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、
くえん酸銅(II)、シアン化銅(I)、4−シクロヘキ
シル酪酸銅、塩化アンモニウム銅(II)、二りん酸銅
(II)、ふっ化銅(II)、ギ酸銅(II)、グルコン酸銅
(II)、水酸化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ナフテン酸
銅、硝酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、しゅう酸銅
(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、りん酸銅(I
I)、フタル酸銅(II)、塩化カリウム銅、ロダン化銅
(I)、硫酸銅(II)、塩基性硫酸銅(II)、硫化銅
(II)、チオシアン酸銅(I)、過塩素酸銅、酒石酸
銅、イソフタル酸銅、ステアリン酸銅などが挙げられ
る。また、上記全ての塩は、結晶水を有していてもよ
い。好ましいのは、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫
酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化銅
(I)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(I)である。なかで
も硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムが特に
好ましい。金属塩は、単一塩であっても数種類の混合物
であってもよい。
【0025】金属塩を含浸せしめた後、初めて、アラミ
ド繊維を乾燥せしめる。この後、必要とあらば熱延伸、
緊張処理(伸張処理)、熱処理、緊張熱処理、オイリン
グ等の加工を施してもよい。
【0026】アラミドに対する金属塩の含浸量は、金属
塩の種類にもよるが、0.015重量%以上7重量%以
下であることが好ましい。更に好ましくは、0.02重
量%以上5重量%以下である。金属塩の含浸量が0.0
15重量%より少ないと充分な寸法安定性向上の効果が
得られず、金属塩の含浸量が7重量%より多いと、初期
物性が著しく低下するほか、後の熱処理などで分解反応
を生じることがある。
【0027】
【効果】本発明によって得られるアラミド繊維は、従来
よりも吸湿性が大幅に低下し、更には、吸湿による寸法
安定性が著しく改善された。
【0028】以下実施例を挙げて、本発明を詳細に説明
する。なお、実施例中の部は、重量部を表す。評価方法
は下記の方法に従った。
【0029】<ポリマー溶液の粘度>100℃の恒温槽
内で、外径3mmの鋼球(材質SUS316)を用いた
落球法で測定した。
【0030】<糸中の硫酸ナトリウムの定量>糸中のを
ナトリウム(Na)をICP(プラズマ誘導型発光分
析)で定量し、換算して求めた。
【0031】<吸湿性>かせに巻き取った糸10gを相
対湿度65%の雰囲気下に置き、一時間の重量変化が
0.1%未満となったときの水分率を平衡水分率として
求め、この値が小さいほど吸湿性に優れると判断した。
【0032】<湿度線膨張係数(αH)>糸サンプルを
水に一昼夜以上浸漬した試料を、熱機械分析装置(Th
ermalMecanicalAnalyzer:TM
A)で20℃/分で昇温しながら、200℃までの温度
と試料長との関係を調べた。この関係のチャートをC1
とする。次に、五酸化リン入りのデシケータ中に2日以
上保管した同一試料(試料長はC1の初期温度時の試料
長と同一にした。)を、TMAで20℃/分で昇温しな
がら、C1と同温度範囲について温度と試料長との関係
を調べた。この関係のチャートをC2とする。
【0033】C1−C2の差スペクトルより、水分によ
る可逆的な膨張収縮を求めた。C1−C2の差スペクト
ルチャートより、下記式で湿度線膨張係数(αH)を求
めた。
【0034】αH=[初期の試料長からの最も寸法変化
した長さ/初期試料長×100]×10-4 ここで、αHが正の場合は、1%の相対湿度の変化での
試料の伸びの割合を示し、αHが負の場合は、1%の相
対湿度の変化での試料の縮みの割合を示す。
【0035】
【比較例1】 1.アラミドドープの調製 充分に乾燥した撹拌装置付きの三つ口フラスコにN−メ
チル−2−ピロリドン(以下NMPという)112.9
部、p−フェニレンジアミン1.506部、3,4’−
ジアミノジフェニルエーテル2.789部を常温下で入
れ、窒素中で溶解した後、撹拌しながらテレフタル酸ク
ロリド5.658部を添加した。最終的に85℃で60
分間反応せしめ、透明の粘稠なポリマー溶液を得た。次
いで、22.5重量%の水酸化カルシウムを含有するN
MPスラリー9.174部を添加し、中和反応を行っ
た。得られたポリマーの対数粘度は3.39であった。
また、ドープ中のポリマー濃度は6.000重量%
(7.921部)であった。 2.製糸 上記ドープを孔径0.3mm、孔数1000ケの口金を
通してNMP30重量%水溶液の凝固浴に押し出し湿式
紡糸した。口金面と凝固浴との距離(エアーギャップ)
は8mmとした。紡出繊維を水洗した後、乾燥せしめ、
引き続いて390℃で2.5倍、520℃で4.3倍に
二段延伸して巻取り、全繊度1500デニールのフィラ
メントを得た。
【0036】
【実施例1】比較例1で得たドープを孔径0.3mm、
孔数1000ケの口金を通してNMP30重量%水溶液
の凝固浴に押し出し湿式紡糸した。口金面と凝固浴との
距離は8mmとした。紡出繊維を水洗した後、硫酸ナト
リウムを1%含有した液の中を5秒間で通過せしめた。
この後、乾燥し、引き続いて390℃、2.5倍、52
0℃、4.3倍で二段延伸して巻取り、全繊度1500
デニールのフィラメントを得た。結果を表1、表2に示
す。比較例1と比較して寸法安定性が向上した。加え
て、吸湿性も改善された。
【0037】
【実施例2〜10】金属塩種,添加量を変えて実施例1
と同様に実施した。評価結果を表1、表2に示した。な
お、含浸した金属の定量も同様に実施した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】このように金属塩を添加することにより、
吸湿性や吸湿による寸法安定性が大幅に改善される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 11/08 D01F 6/60 D01F 6/90 D06M 10/00 - 15/72

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アラミド繊維の湿式紡糸方法において、
    繊維を乾燥する前に、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、
    硫酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カ
    リウム、塩化カルシウム、酢酸銅(II)、臭化銅
    (I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、
    くえん酸銅(II)、シアン化銅(I)、4−シクロヘキ
    シル酪酸銅、塩化アンモニウム銅(II)、二りん酸銅
    (II)、ふっ化銅(II)、ギ酸銅(II)、グルコン酸銅
    (II)、水酸化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ナフテン酸
    銅、硝酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、しゅう酸銅
    (II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、りん酸銅(I
    I)、フタル酸銅(II)、塩化カリウム銅、ロダン化銅
    (I)、硫酸銅(II)、塩基性硫酸銅(II)、硫化銅
    (II)、チオシアン酸銅(I)、過塩素酸銅、酒石酸
    銅、イソフタル酸銅、ステアリン酸銅からなる群から選
    ばれる金属塩を含浸せしめることを特徴とする吸湿寸法
    安定性アラミド繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属塩が硫酸リチウム、硫酸ナトリウ
    ム、硫酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩
    化銅、ヨウ化銅からなる群から選ばれる請求項1の吸湿
    寸法安定性アラミド繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 金属塩が硫酸リチウム、硫酸ナトリウ
    ム、硫酸カリウムからなる群から選ばれる請求項2の吸
    湿寸法安定性アラミド繊維の製造方法。
JP635495A 1995-01-19 1995-01-19 吸湿寸法安定性アラミド繊維の製造方法 Expired - Fee Related JP3450075B2 (ja)

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