JP3449371B2 - ダイオキシン類の放出防止方法 - Google Patents
ダイオキシン類の放出防止方法Info
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Description
焼却炉や、鉄鋼製造電炉、金属回収炉等の加熱炉などか
らのダイオキシン類の放出を防止する方法に係り、特
に、准連続式又は機械バッチ式都市ごみ焼却炉のよう
に、短期間、例えば1日のうちに炉の起動(立ち上げ)
と停止(立ち下げ)とを行う炉施設において、ダイオキ
シン類の放出を確実に防止する方法に関する。
中にクロロフェノール、クロロベンゼン等の塩素化芳香
族化合物や塩素化アルキル化合物等のダイオキシン類前
駆体が発生する。これらのダイオキシン類前駆体は、飛
灰が共存するとその触媒作用でダイオキシン類(ポリ塩
化ジベンゾダイオキシン及びポリ塩化ジベンゾフラン、
コプラナーPCB)となり、煤塵や排ガス中に存在する
ようになる。
に、炉の燃焼改善、バグフィルターや触媒塔の設置等の
改造等が行われている。
場所は、一般に燃焼炉のあとのガスの処理工程であるた
め、炉の燃焼改善だけでは排ガス中のダイオキシン類を
十分に低減できない。また、装置改造は、イニシャルコ
ストが高く、設置に期間を要し、必要とするスペースも
大きい上に、導入に当たっては炉の運転を長期間停止し
なければならないなどの欠点がある。
方法として、ダイオキシン類低減薬剤を排ガスに添加す
る方法がある。ダイオキシン類低減薬剤として用いられ
る主な薬剤は、ダイオキシン吸着能を有する活性炭を主
成分とした薬剤、或いは、ダイオキシン類前駆体固定能
を有するアルカリ炭酸水素塩や炭酸塩を主成分とした薬
剤であり、場合によってはこれらの成分に消石灰等の酸
性ガス除去剤、リン酸塩やキレート剤等の重金属固定剤
が併用される。
の放出防止法として、本出願人は先に重曹(炭酸水素ナ
トリウム)等のアルカリと活性炭とを焼却炉排ガスに添
加する方法を提案した(特開2000−35473
5)。この方法では、重曹を60〜80重量%、活性炭
を20〜40重量%混合した薬剤を排ガスに対して10
0〜600mg/Nm3となるように添加するのが好ま
しいとされている。
は、定量吹き込み方式にて、即ち排ガスに対して一定の
添加割合にて添加されているが、消石灰と活性炭の混合
物を排ガスに吹き込む方法にあっては、排ガス中のHC
l濃度によって注入量を制御する場合もある。
開2000−354735に記載されるような薬剤添加
法は、比較的規模の大きな全連続式焼却炉では良好な結
果が得られているが、中小型焼却炉では十分なダイオキ
シン類の放出防止効果が得られない場合があった。特
に、短期間、例えば1日のうちで立ち上げ(起動)と立
ち下げ(停止)を行う准連続炉や機械バッチ炉に対して
は、十分に満足のいく効果が得られていない。
に、短期間のうちに起動と停止を行う焼却炉では、この
起動運転時と停止運転時にダイオキシン類及びダイオキ
シン類前駆体濃度が増加する。そして、このことが従来
のダイオキシン類低減薬剤の定量吹き込み方式では、停
止運転及び起動運転後の定常運転時のダイオキシン類発
生量を増大させる原因となる。即ち、ダイオキシン類低
減薬剤の定量吹き込み方式では、停止時及び起動時にダ
イオキシン類前駆体発生量に対してダイオキシン類低減
薬剤が不足する。そして、ダイオキシン類低減薬剤によ
り処理しきれなかったダイオキシン類前駆体は、停止時
及び起動時に煙突から排出されるばかりでなく煙道や排
ガス処理装置等に蓄積され、定常運転時にダイオキシン
類として排出されるようになり、定常運転時の排ガス中
のダイオキシン類濃度を高める結果となる。
物の添加量を排ガスのHCl濃度に応じて制御する場合
があるが、焼却炉や加熱炉においてHCl濃度とダイオ
キシン類濃度との相関は低く変動も激しいので、起動時
及び停止時のダイオキシン類発生量の増加には対応し得
ない。
物焼却炉等の焼却炉、特に、准連続炉や機械バッチ炉の
ように、短期間のうちに炉の起動(立ち上げ)と停止
(立ち下げ)とを行う炉施設において、ダイオキシン類
の放出を安定かつ確実に防止する方法を提供することを
目的とする。
類の放出防止方法は、短期間の間に起動と停止とを行う
焼却炉の排ガスに対して、粉末活性炭が50〜300m
g/Nm3で、重曹が600mg〜3000mg/Nm
3で、粉末活性炭と重曹との合計添加量の8〜20重量
%が粉末活性炭となるように添加することを特徴とす
る。本発明において、短期間とは1〜3日程度をさす。
は、排ガス中のクロロフェノール類濃度が3〜30μg
/Nm3となるような焼却炉の排ガスに対して、粉末活
性炭が50〜300mg/Nm3で、重曹が600mg
〜3000mg/Nm3で、粉末活性炭と重曹との合計
添加量の8〜20重量%が粉末活性炭となるように添加
することを特徴とする。
オキシン類の生成抑制に有効であることを確認したが、
重曹の添加量は、適用排ガス中のダイオキシン類前駆体
(例えばクロロフェノール類)の濃度に応じて制御する
ことが効果的であることを確認した。特に、1日のうち
で起動と停止を行う准連続炉(1日の運転時間は16時
間)や機械バッチ炉(1日の運転時間は8時間)では、
排ガス中のダイオキシン類前駆体濃度は、平均30μg
/Nm3程度と、全連続炉の排ガス中のダイオキシン類
前駆体濃度の平均2〜3μg/Nm3に対して10倍程
度高濃度であり、この高濃度のダイオキシン類前駆体に
応じて、重曹の添加量は少なくとも600mg/Nm3
は必要である。重曹の添加量を多くすると、HCl等の
酸性ガスを重曹以外のアルカリ剤を用いずに除去するこ
とができるが、3000mg/Nm3を超えて添加して
もこの除去効果は変わらない。従って、重曹の添加量は
600〜3000mg/Nm3とする。
排ガス中に既に存在するガス状のダイオキシン類の吸着
除去を行うが、十分な接触効率を得るためには排ガスに
対して50mg/Nm3以上の添加が必要である。一
方、活性炭はダイオキシン類生成触媒としても働くた
め、過剰添加により逆にダイオキシン類の増加を招くこ
とになる。従って、粉末活性炭は300mg/Nm3以
下での添加が好ましい。
シン類の放出防止方法では、短期間、例えば1日の間に
起動と停止とを行う、ダイオキシン類前駆体濃度の高い
焼却炉排ガス又は、クロロフェノール類濃度が3〜30
μg/Nm3というようなダイオキシン類前駆体濃度の
高い焼却炉排ガスに対して、粉末活性炭50〜300m
g/Nm3と重曹600〜3000mg/Nm3とを、
粉末活性炭と重曹との合計添加量の8〜20重量%が粉
末活性炭となるように添加する。
モノクロロフェノール、ジクロロフェノール、トリクロ
ロフェノール、テトラクロロフェノール、ペンタクロロ
フェノール、ヘキサクロロフェノール等を指す。
は、炉の排ガスにダイオキシン類低減薬剤を添加してダ
イオキシン類の放出を防止する方法において、該炉の起
動運転時及び停止運転時に、定常運転時のダイオキシン
類低減薬剤添加量の1.3〜3倍のダイオキシン類低減
薬剤を添加する方法であって、該起動運転時及び該起動
運転の直前の停止運転時のダイオキシン類低減薬剤の添
加量と、該起動運転後の定常運転時のダイオキシン類前
駆体の発生量との関係を求め、この関係に基いて起動運
転時及び停止運転時のダイオキシン類低減薬剤添加量を
決定することを特徴とする。
炉の起動運転時及び停止運転時において、定常運転時よ
りも多量のダイオキシン類低減薬剤を添加することによ
り、起動運転時及び停止運転時のダイオキシン類前駆体
発生量を低減することができ、これにより、定常運転時
のダイオキシン類発生量を目標値以下に抑えることがで
きる。
駆体の発生量は、当該定常運転時の直前の起動運転時と
その直前の停止運転時のダイオキシン類低減薬剤の添加
量に相関する。このため、請求項3の方法では、起動運
転時及び該起動運転の直前の停止運転時のダイオキシン
類低減薬剤の添加量と、該起動運転後の定常運転時のダ
イオキシン類前駆体の発生量との関係を求め、この関係
に基いて起動運転時及び停止運転時のダイオキシン類低
減薬剤の添加量を決定する。
の放出防止方法の実施の形態を詳細に説明する。
に起動と停止とを行うために、ダイオキシン類前駆体濃
度の高い焼却炉排ガス、又はクロロフェノール類濃度が
3〜30μg/Nm3というようなダイオキシン類前駆
体濃度の高い焼却炉排ガスに対して、粉末活性炭50〜
300mg/Nm3好ましくは80〜120mg/Nm
3と重曹600〜3000mg/Nm3好ましくは70
0〜800mg/Nm3とを、粉末活性炭と重曹との合
計添加量の8〜20重量%が粉末活性炭となるように添
加する。
あれば良いが、添加量が少ないと十分な効果が得られ
ず、逆に多いと煤塵負荷が増加する上に、薬剤コストの
増加を招くことから、粉末活性炭と重曹との合計で65
0〜2000mg/Nm3程度となるように添加するこ
とが好ましい。また、粉末活性炭と重曹との合計添加量
の8〜20重量%が粉末活性炭となるように添加するこ
とがダイオキシン類の生成防止効果の面で好ましい。
て添加しても良く、また、別々に添加しても良いが、予
め混合しておくことにより、活性炭の発火の危険性を低
減することができる上に、添加設備を簡素化することが
でき、好ましい。
混合割合は、粉末活性炭を8〜20重量%、重曹を92
〜80重量%となるような割合で混合することが、ダイ
オキシン類の生成防止効果の面で好ましい。
は、平均粒径が50μm以下、例えば平均粒径が10〜
30μm程度の粉末活性炭が好ましい。
性及び排ガスとの接触効率並びに取り扱い性の面から、
重曹は平均粒径5〜15μ程度であることが好ましい。
このとき、任意の粒径の活性炭と重曹を、噴霧直前にそ
れぞれ10〜30μm、5〜15μmとなるように粉砕
しても良い。
の触媒作用を抑制するために、アルカリを添着して用い
ても良い。
物、アンモニア、アンモニウム塩、アルカリ金属化合物
等の1種又は2種以上を用いることができる。このう
ち、アミン化合物としては、トリメチルアミン等のアル
キルアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールア
ミン等のアルカノールアミンなどのほか、これらのアミ
ン化合物の塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩等のアミン塩が挙げ
られる。アンモニウム塩としては、重炭酸アンモニウ
ム、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等が
挙げられる。アルカリ金属化合物としては、ケイ酸ナト
リウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属のケイ酸塩、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物、炭酸塩等が挙げられ、これらのアルカリの添着
量は、好ましくは粉末活性炭に対して30重量%以下、
特に好ましくは0.5〜10重量%程度である。
冷却工程の何れの箇所でも良いが、好ましくは、集塵機
手前の150〜400℃の温度領域の部分に添加するの
が望ましい。
シン類の合成は、温度約200〜400℃の領域で行わ
れるとされているが、実際の施設においては、集塵機内
部での合成が主であり、焼却炉から排出された高温度の
状態から冷却されて集塵機に流入するまでの間は滞留時
間が短いため、合成量は非常に少ない。従って、冷却さ
れた400℃以下の条件で粉末活性炭及び重曹を注入す
れば、重曹により大部分のダイオキシン類の合成を防止
することができる。また、同時に粉末活性炭により、既
に焼却炉で生成した少量のダイオキシン類を吸着し、こ
れを集塵機で分離することにより、効率的にダイオキシ
ン類の除去を行える。
却炉や、鉄鋼製造電炉、金属回収炉等の加熱炉のような
ダイオキシン類が発生する炉施設において、炉の起動運
転時及び停止運転時において、ダイオキシン類低減薬剤
の添加量を定常運転時のダイオキシン類低減薬剤添加量
よりも多くする。この起動運転時及び停止運転時のダイ
オキシン類低減薬剤添加量は、適用対象の炉施設の運転
状況、ダイオキシン類の発生状況によっても異なるが、
定常運転時のダイオキシン類低減薬剤添加量の1.3〜
3倍の範囲で決定する。
前駆体の発生量は、当該定常運転時の直前の起動運転時
と更にその直前の停止運転時のダイオキシン類低減薬剤
の添加量に相関することから、請求項3の方法において
は、起動運転時及び該起動運転の直前の停止運転時のダ
イオキシン類低減薬剤の添加量と、該起動運転後の定常
運転時のダイオキシン類前駆体の発生量との関係を求
め、この関係に基いて起動運転時及び停止運転時のダイ
オキシン類低減薬剤の添加量を決定する。
を行う准連続炉や機械バッチ炉では、当日の起動運転時
と前日の停止運転時のダイオキシン類低減薬剤添加量と
当日の定常運転時のダイオキシン類前駆体の発生量との
関係を求め、別途求めておいたダイオキシン類前駆体発
生量とダイオキシン類発生量との関係から、ダイオキシ
ン類発生量が目標値以下となるダイオキシン類前駆体発
生量に抑えることができるように、起動運転時と停止運
転時のダイオキシン類低減薬剤の添加量を決定すれば良
い。
シン類前駆体としては、トリクロロフェノール等のクロ
ロフェノール類やクロロベンゼン類が挙げられるが、特
にトリクロロフェノールが好ましい。これらのダイオキ
シン類前駆体は、ダイオキシン類に比べて濃度測定が容
易であり、しかもダイオキシン類濃度と相関するため、
ダイオキシン類濃度の指標として有効である。
て、炉の起動運転時は、炉施設の誘引ファン(誘引送風
機又はブロワ)の運転開始から炉内温度が設定温度に達
するまでの期間を指し、停止運転時とは、一般的には最
後の被処理物投入(例えば、ごみ焼却炉であれば、最後
のごみ投入)から誘引ファンを停止するまでの期間を指
す。ただし、これらの期間の始点及び終点はこの期間よ
りも若干前後にずれても良い。特に、起動時について
は、ダイオキシン類低減薬剤の定量注入で試運転を行
い、起動運転を行った場合に、排ガス中のダイオキシン
類前躯体濃度が十分に下がるまでの時間を予め求めてお
き、誘引ファンの運転開始からこの時間までを「起動運
転時」としてダイオキシン類低減薬剤の添加量を増やす
ようにすることが好ましい。また、停止運転時について
も同様に、ダイオキシン類低減薬剤の定量注入で試運転
を行い、排ガス中のダイオキシン類前躯体濃度が上昇し
始める時間を予め求めておき、この時間から誘引ファン
の運転停止までを「停止運転時」としてダイオキシン類
低減薬剤の添加量を増やすようにすることが好ましい。
るダイオキシン類低減薬剤は、ダイオキシン類の生成を
防止し得る薬剤、或いはダイオキシン類を吸着除去でき
る薬剤等であり、例えば、活性炭、ゼオライト、シリカ
ゲル、ケイソウ土、活性白土、酸性白土、カオリン、ベ
ントナイト、アロフェン、アパタイト等の有機又は無機
の吸着剤(特に活性炭、ゼオライトが好ましい); 上記吸着剤、例えば活性炭もしくはゼオライトと消石灰
の混合物; ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムよ
りなる群から選ばれる1種又は2種以上の炭酸塩及び/
又は炭酸水素塩; ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムよ
りなる群から選ばれる1種又は2種以上の炭酸塩及び/
又は炭酸水素塩と、有機もしくは無機吸着剤、例えば活
性炭もしくはゼオライトとの混合物; ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムよ
りなる群から選ばれる1種又は2種以上の炭酸塩及び/
又は炭酸水素塩と、有機もしくは無機吸着剤、例えば活
性炭もしくはゼオライトと、重金属固定剤との混合物; 活性炭もしくはゼオライトと消石灰及び重金属固定剤と
の混合物等を用いることができる。
所は、ダイオキシン類低減薬剤の種類に応じて当該添加
箇所の温度やダイオキシン類の生成場所等を考慮して決
定される。例えば、粉末活性炭であれば、集塵機手前に
添加するのが好ましく、アルカリ炭酸塩/炭酸水素塩で
あれば、約200〜800℃の範囲で適用可能であるた
め、ボイラから集塵機の手前で注入するのが好ましい。
は、短期間の間に起動、停止を行う准連続炉、機械バッ
チ炉等への適用に好適であるが、全連続炉において、定
期点検や修理のために運転を停止した後、運転を再開す
る場合などにも適用可能である。
方法と組み合わせて実施することが好ましく、短期間の
間に起動、停止を行う准連続炉、機械バッチ炉等におい
て、請求項1,2の粉末活性炭及び重曹添加量で定常運
転を行い、請求項3の方法に従って、起動運転時及び停
止運転時の粉末活性炭及び重曹の添加量を定常運転時よ
りも増加することが好ましい。
より具体的に説明する。
の、図1に示すようなストーカ炉1、ガス冷却室2、空
気予熱器3、電気集塵機4、誘引送風機5及び煙突6か
らなる都市ごみ焼却炉において、定常運転時に、粉末活
性炭の配合割合を1/9とした重曹(平均粒径10μ
m)/粉末活性炭(平均粒径20μm)混合薬剤を電気
集塵機4の手前のAの箇所から排ガスに対して900m
g/Nm3(即ち、粉末活性炭添加量100mg/Nm
3,重曹添加量800mg/Nm3)の割合で添加し、
煙突6のダイオキシン類濃度を測定したところ、2.5
ng−TEQ/Nm3となった。
排ガス中のクロロフェノール濃度は、9.2μg/Nm
3であった。
様にして運転を行い、同様にクロロフェノール濃度とダ
イオキシン類濃度を測定し、結果を表1に示した。
に示す量としたこと以外は同様にして運転を行い、同様
にクロロフェノール濃度とダイオキシン類濃度を測定
し、結果を表1に示した。
0mg/Nm3及び重曹800mg/Nm3を添加した
実施例1では、薬剤無添加の比較例1に比べて、ダイオ
キシン類濃度を約1/2に低減することができた。
3として合計300mg/Nm3添加した比較例2で
は、ダイオキシン類濃度は6.5ng−TEQ/Nm3
と薬剤無添加の場合よりも多くなった。また、粉末活性
炭の添加量を400mg/Nm3又は30mg/Nm3
とした比較例3,4でも十分なダイオキシン類濃度の低
減効果は得られなかった。これは、粉末活性炭の添加量
が少な過ぎると既に存在するダイオキシン類の吸着除去
を十分に行えず、逆に活性炭がダイオキシン類前躯体か
らダイオキシン類を生成する触媒として働くため多過ぎ
るとダイオキシン類の生成を助長するためと考えられ
る。
mg/Nm3、重曹の添加量を400mg/Nm3と
し、合計500mg/Nm3の一定量注入で、図2に示
すタイムスケジュールで1日の炉の起動運転、定常運転
及び停止運転を行い、このときの電気集塵機出口の排ガ
ス中のトリクロロフェノール濃度の変化及び電気集塵機
の温度の変化を図2に示した。
ス中のダイオキシン類濃度を調べ、結果を表2に示し
た。電気集塵機入口の排ガスのクロロフェノール濃度は
4850μg/Nm3であった。また、定常運転時の電
気集塵機出口の排ガス中のトリクロロフェノール濃度
(平均値)を調べ、結果を図4に示した。
入量を粉末活性炭200mg/Nm3、重曹800mg
/Nm3の合計1000mg/Nm3としたこと以外は
同様にして図3に示すタイムスケジュールで運転を行
い、電気集塵機出口の排ガスのトリクロロフェノール濃
度の変化を調べ、結果を図3に示した。
スのダイオキシン類濃度を調べ、結果を表2に示した。
また、定常運転時の電気集塵機出口の排ガス中のトリク
ロロフェノール濃度(平均値)を調べ、結果を図4に示
した。
では、起動運転時及び停止運転時に定常運転時よりもト
リクロロフェノール濃度が増加し、定常運転時のダイオ
キシン類濃度も増加するが、起動運転時及び停止運転時
の薬剤注入量を、定常運転時の薬剤注入量よりも増加さ
せることにより、起動運転時及び停止運転時の排ガス中
のトリクロロフェノール濃度を低減することができ、こ
の結果、定常運転時のダイオキシン類発生量を低減する
ことができることがわかる。
注入を行わなかったこと以外は同様にして運転を行い、
定常運転時の電気集塵機出口のトリクロロフェノール濃
度(平均値)を調べ、結果を図4に示した。
動運転時の薬剤添加量と当日の定常運転時のトリクロロ
フェノール濃度とには相関があることがわかる。
集塵機出口の排ガス中のトリクロロフェノール濃度とダ
イオキシン類発生量との関係を調べたところ、図5に示
す如く、両者に相関関係があることが認められた。
を1ng−TEQ/Nm3以下とするためには、電気集
塵機出口のトリクロロフェノールは約7μg/Nm3以
下とすれば良いことがわかる。一方で、図4より、定常
運転時500mg/Nm3の薬剤注入量としている場
合、定常運転時の電気集塵機出口のトリクロロフェノー
ル濃度を7μg/Nm3以下とするためには、停止運転
時及び起動運転時の薬剤注入量を750mg/Nm3以
上とすれば良いことがわかる。
び起動運転時の薬剤添加量を750mg/Nm3とした
こと以外は同様にして運転を行ったところ、ダイオキシ
ン発生量を1ng−TEQ/Nm3以下に抑えることが
できることが確認された。
ン類の放出防止方法によれば、廃棄物焼却炉等の焼却
炉、特に、准連続炉や機械バッチ炉のように、1日のう
ちに炉の起動(立ち上げ)と停止(立ち下げ)とを行
う、ダイオキシン類前駆体発生量の多い炉施設におい
て、ダイオキシン類の放出を安定かつ確実に防止するこ
とができる。
成を示す系統図である。
の温度と排ガス中のトリクロロフェノール濃度の経時変
化を示すグラフである。
ール濃度の経時変化と薬剤添加量を示すグラフである。
止運転時と当日の起動運転時の薬剤添加量と、定常運転
時の排ガス中のトリクロロフェノール濃度との関係を示
すグラフである。
ール濃度とダイオキシン類濃度との関係を示すグラフで
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 短期間内に起動と停止とを行う焼却炉の
排ガスに対して、粉末活性炭が50〜300mg/Nm
3で、重曹が600mg〜3000mg/Nm3で、粉
末活性炭と重曹との合計添加量の8〜20重量%が粉末
活性炭となるように添加することを特徴とするダイオキ
シン類の放出防止方法。 - 【請求項2】 排ガス中のクロロフェノール類濃度が3
〜30μg/Nm3となるような焼却炉の排ガスに対し
て、粉末活性炭が50〜300mg/Nm3で、重曹が
600mg〜3000mg/Nm3で、粉末活性炭と重
曹との合計添加量の8〜20重量%が粉末活性炭となる
ように添加することを特徴とするダイオキシン類の放出
防止方法。 - 【請求項3】 炉の排ガスにダイオキシン類低減薬剤を
添加してダイオキシン類の放出を防止する方法におい
て、 該炉の起動運転時及び停止運転時に、定常運転時のダイ
オキシン類低減薬剤添加量の1.3〜3倍のダイオキシ
ン類低減薬剤を添加する方法であって、 該起動運転時及び該起動運転の直前の停止運転時のダイ
オキシン類低減薬剤の添加量と、該起動運転後の定常運
転時のダイオキシン類前駆体の発生量との関係を求め、
この関係に基いて起動運転時及び停止運転時のダイオキ
シン類低減薬剤添加量を決定する ことを特徴とするダイ
オキシン類の放出防止方法。
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