JP3445977B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP3445977B2 JP2001192699A JP2001192699A JP3445977B2 JP 3445977 B2 JP3445977 B2 JP 3445977B2 JP 2001192699 A JP2001192699 A JP 2001192699A JP 2001192699 A JP2001192699 A JP 2001192699A JP 3445977 B2 JP3445977 B2 JP 3445977B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3端子構成の発光
ダイオード素子又は半導体レーザ素子等の半導体発光素
子及びその駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】発光ダイオード素子は、リモートコント
ロール装置や光ファイバ通信における安価で且つ高信頼
性を有する発光素子として広く用いられている。
【0003】しかしながら、従来の発光ダイオード素子
は高速通信、すなわち高速変調を行なうには応答速度が
遅く、その上、変調周波数の上限が低いという問題があ
る。
【0004】発光ダイオード素子を始めとする半導体発
光素子の動作速度を制限する要因の一つに、活性層に注
入されたキャリアが再結合する際の再結合速度による制
約がある。発光素子が有する活性領域に注入されたキャ
リアは、電流の注入が停止されてもすぐには消失せず、
再結合速度により決まる時定数により徐々に減少してい
く。
【0005】キャリアが活性領域に残留している間は発
光状態が持続するため、これが発光素子の変調時におけ
る高速応答を妨げる原因となる。特に、発光ダイオード
素子は自然放出光を利用しており、その発光量は活性領
域のキャリア量にほぼ比例するため、残留キャリアによ
る応答速度に対する影響が大きい。例えば、III-V族の
ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)系の化合物
半導体からなる発光ダイオード素子は、通常、キャリア
の再結合速度の時定数が数ナノ秒(ns)であるため、
変調周波数が1GHzを超えるような高速変調を行なう
ことは困難である。
【0006】キャリア再結合速度による変調速度の制約
を解消する従来技術として、トランジスタ素子と同様の
3端子構成を用いる発光素子が特開昭60−16739
0号公報に開示されている。
【0007】図17は前記公報に開示された3端子発光
素子の断面構成を示している。
【0008】図17に示すように、前記公報の半導体発
光素子は、バイポーラトランジスタと同様に、p型の半
導体基板901上に順次形成された、p型のコレクタ層
902、n型のベース層903及びp型のエミッタ層9
05を備えている。
【0009】ベース層903とエミッタ層905との間
には、活性層904が設けられており、活性層904の
周囲はn型の埋込み層907により埋め込まれている。
【0010】エミッタ層905の上にはp型コンタクト
層906を介してエミッタ電極909が形成され、埋込
み層907の上にはn型コンタクト層908を介してベ
ース電極910がエミッタ電極909を囲むように形成
されている。半導体基板901のコレクタ層902と反
対側の面上にはコレクタ電極911が形成されている。
【0011】以下、前記従来の半導体発光素子の動作を
説明する。
【0012】図18は従来の半導体発光素子における発
光時の電子のエネルギー帯のバンド構造を示している。
縦軸は電子のエネルギーを表わし、EC は伝導帯の下端
のエネルギー、EV は価電子帯の上端のエネルギー、E
F は電子又はホールの擬フェルミレベルのエネルギーの
概要をそれぞれ表わしている。また、エネルギー準位に
付した符号は図17に示した半導体層とそれぞれ対応し
ている。
【0013】ここでは、発光時の駆動電圧の一例とし
て、ベース層904とエミッタ層905との間に順方向
(順バイアス)電圧を印加し、ベース層904とコレク
タ層902とを等電位の0Vとしている。
【0014】ベース層903とエミッタ層905との間
に順バイアス電圧が印加されているため、活性層904
には、ベース層903から注入される電子とエミッタ層
905から注入されるホールとが蓄積されて、これら電
子とホールとが再結合して発光する。p型のコレクタ層
902とn型のベース層903との間はpn接合による
空乏層が生成されるが、ベース層903の少なくとも一
部は空乏化されないため、空乏化されない部分から活性
層904に電子が供給される。また、ベース層903は
ホールを活性層に閉じ込める障壁として機能する。
【0015】次に、消光時には、ベース層903とコレ
クタ層902との間に逆方向(逆バイアス)電圧を印加
する。その結果、図19のバンド図に示すように、ベー
ス層904がほぼ全域にわたって空乏化され、活性層9
04に閉じ込められていたホールはコレクタ層902に
引き抜かれる。このとき、十分に高い効率で活性層90
4のホールを引き抜くことができれば、活性層904に
おけるホール濃度は低下し、発光再結合の結合量が減少
して発光が抑制される。また、このホールの引き抜き動
作はキャリアの発光再結合速度に依存しないので、発光
を速やかに停止でき、その結果、高速変調が可能とな
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、前記
従来の3端子構成の半導体発光素子に対して種々の検討
を重ねた結果、消光動作時に低電圧駆動を行なうと、ホ
ールの一部が活性層904に残留してしまい、消光時に
も発光が残ってしまうという問題を見出している。すな
わち、発光時と消光時との発光量の比からなる消光比の
値を大きく取ることが困難であるという問題である。
【0017】図20は従来の半導体発光素子の消光時に
おける活性層904及びその近傍の価電子帯の上端のバ
ンド構造を拡大して表わしている。図20に示すよう
に、消光時には、活性層904とベース層903との間
には両者間のヘテロ接合に起因する価電子帯オフセット
によって界面障壁(スパイク)920が発生する。コレ
クタ層902に印加する逆バイアス電圧の電位差を増大
してもこの界面障壁920の高さ(エネルギーの大き
さ)は変わらず、ホールがコレクタ層902に引き抜か
れる際の障壁となる。ホールの一部は逆バイアス電圧に
より界面障壁920を越えてコレクタ方向に移動する
が、この界面障壁920の高さよりも低いエネルギーの
ホールは活性層904とベース層903との界面に残留
してしまう。より高い逆バイアス電圧を印加すれば、低
エネルギーのホールもその一部はトンネル電流によって
コレクタ層902に輸送されるが、逆バイアス電圧の絶
対値を大きくすると素子自体の発熱量も増大し、また消
費電力が増大する。
【0018】このとき、エミッタ層905から活性層9
04にホールが供給されるため、活性層904とベース
層903との界面でホール濃度が高くなると、活性層9
04全体でのホールの蓄積量が増加する。このため、従
来の半導体発光素子においては、低い逆バイアス電圧で
活性層904におけるホールの量を十分に減少させるこ
とは困難であり、消光時にも活性層904において相当
量の発光が生じてしまう。
【0019】このように、前記従来の3端子構成の半導
体発光素子は、低電圧駆動時に消光比を大きくすること
は困難である。
【0020】本発明は、前記従来の問題を解決し、低電
圧で高速動作と実用的な消光比とを得られるようにする
ことを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明に係る半導体発光素子は、それぞれが第1導
電型の第1の半導体層及び第2の半導体層と、第1の半
導体層及び第2の半導体層の間に設けられた第2導電型
の第3の半導体層と、第2の半導体層と第3の半導体層
との間に設けられ、第2の半導体層及び第3の半導体層
から注入される電荷により発光する活性層と、活性層と
第3の半導体層との間に設けられ、活性層との界面では
活性層の組成とほぼ同一で且つ第3の半導体層との界面
では第3の半導体層の組成とほぼ同一となるように、そ
の組成が変化する傾斜組成層とを備え、第3の半導体層
に電荷を注入するベース電極は、傾斜組成層及び活性層
を介在させて第3の半導体層と接続されており、活性層
の禁制帯幅は第3の半導体層の禁制帯幅よりも小さい
本発明の半導体発光素子において、活性層及び傾斜組成
層におけるベース電極と第2の半導体層との間の領域が
除去されていることが好ましい。 本発明の半導体発光素
子において、第2の半導体層の不純物濃度は、少なくと
も第1の半導体層と対向する側の領域が第1の半導体層
の不純物濃度よりも大きいことが好ましい。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)本発明の第1
の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0037】本発明の各実施形態においては、3端子構
成の半導体発光素子における3種類の半導体層にバイポ
ーラトランジスタと同様の呼称を用いる。すなわち、第
1導電型の第1の半導体層をコレクタ層と呼び、第1導
電型の第2の半導体層をエミッタ層と呼び、第2導電型
の第3の半導体層をベース層と呼ぶ。
【0038】図1は本発明の第1の実施形態に係る3端
子構成の半導体発光素子であって、GaAs/GaIn
P系の化合物半導体からなるpnp型の半導体発光素子
の断面構成を示している。
【0039】図1に示すように、第1の実施形態に係る
半導体発光素子は、p型ヒ化ガリウム(GaAs)から
なる基板101上に順次形成された、p型リン化ガリウ
ムインジウム(GaInP)からなるコレクタ層10
2、膜厚が約300nmのn型GaInPからなるベー
ス層103、膜厚が約50nmの傾斜組成層104、膜
厚が約100nmのGaAsからなる活性層105、及
びp型GaInPからなるエミッタ層106を有してい
る。
【0040】第1の実施形態の特徴である、ベース層1
03と活性層105との間に設けられた傾斜組成層10
4は、その組成がベース層103との界面では該ベース
層103の組成とほぼ同一であり、活性層105との界
面では該活性層105の組成とほぼ同一となるように構
成されている。なお、傾斜組成層104の膜厚は約5n
m〜約100nmであれば、界面障壁の発生を抑制する
ことができる。また、傾斜組成層104の組成は、連続
的に変化させても良く、段階的に変化させても良い。ま
た、傾斜組成層104における活性層105側の領域は
発光光が生成されるため、該領域は活性層105の一部
とみなすこともできる。
【0041】基板101のコレクタ層102と反対側の
面上にはp型コレクタ電極108が形成されている。
【0042】活性層105の上面は露出しており、露出
した領域上にはエミッタ層106の側面から間隔をおい
てn型ベース電極109が形成されている。このよう
に、第1の実施形態に係るn型ベース電極109は、ベ
ース層103の上面に直接に設けるのではなく、傾斜組
成層104及び活性層105を介在させて設けている。
このように、電子のエネルギー帯の禁制帯幅がベース層
103の禁制帯幅よりも小さい活性層105をn型ベー
ス電極109の実質的なコンタクト層として用いている
ため、n型ベース電極109のコンタクト抵抗を低減す
ることができる。
【0043】また、電子の注入効率を優先するため、活
性層105及び傾斜組成層104におけるn型ベース電
極109とエミッタ層106との間の領域が除去されず
に残されているが、この領域を除去することにより、エ
ミッタ層106から注入されるホールの閉じ込め効率を
向上することもできる。
【0044】エミッタ層106の上には、その一部に高
濃度のp型GaAsからなるp型コンタクト層107が
形成されており、該p型コンタクト層107の上にはp
型エミッタ電極110が形成されている。
【0045】第1の実施形態においては、傾斜組成層1
04及び活性層105の不純物濃度を約6×1016cm
-3とし、コレクタ層102、ベース層103及びエミッ
タ層106の不純物濃度をいずれも約1×1017cm-3
としている。
【0046】また、第1の実施形態においては、コレク
タ層102、ベース層103及びエミッタ層106に、
GaAsからなる基板101にほぼ格子整合する組成を
持つGaInPからなる混晶を用いている。これによ
り、GaInPからなるコレクタ層102、ベース層1
03及びエミッタ層106と、GaAsからなる活性層
105との間のバンドオフセットを大きく取りながら、
コレクタ層102、ベース層103及びエミッタ層10
6の各抵抗率を低く抑えることができる。
【0047】また、ベース層103と活性層105とを
互いに分離して設けているため、n型ベース電極109
から基板面に平行な方向に注入されるキャリアの注入抵
抗が小さくなるので、素子抵抗に起因する動作遅延や消
費電力の増大を抑制することができる。
【0048】以下、前記のように構成された半導体発光
素子の発光動作及び消光動作を説明する。
【0049】第1の実施形態に係る半導体発光素子は、
発光時には、ベース層103とエミッタ層106との間
に順バイアス電圧を印加し、且つベース層103とコレ
クタ層102との間の電位を0Vとすることによりキャ
リアを活性層105に閉じ込める。閉じ込められたキャ
リア、すなわち電子とホールとが活性層105において
再結合することにより発光光が生成される。
【0050】消光時は、ベース層103とコレクタ層1
02との間に逆バイアス電圧を印加する。このときの活
性層105及びその近傍の価電子帯端のバンド構造を図
2に示す。図2において、エネルギー準位に付した符号
は図1に示した半導体層とそれぞれ対応している。
【0051】図2に示すように、活性層105とベース
層103との間には、活性層105との界面で該活性層
105の組成とほぼ同一で且つベース層103との界面
で該ベース層103の組成とほぼ同一となるようにその
組成が徐々に変化する傾斜組成層104を設けているた
め、活性層105とベース層103との間の界面障壁は
図17に示した従来例に係る半導体発光素子と比べて大
幅に低下する。このため、比較的に低い逆バイアス電圧
であっても、活性層105と傾斜組成層104との界面
に達したホールは速やかにコレクタ層103に移動する
ので、活性層105のベース層103側の領域における
ホール濃度が著しく低減する。その結果、活性層105
の全体に蓄積されるホールの総量も減少するので、消光
時における半導体発光素子の残留発光量を大幅に低減す
ることができる。
【0052】また、図示はしていないが、発光時におい
ても、活性層105とベース層103との間に傾斜組成
層104を設けたことにより、活性層105とベース層
103との間の伝導帯の下端のエネルギー障壁(スパイ
ク)も低減される。これにより、発光時における活性層
105への電子の注入効率も向上する。
【0053】以上説明したように、第1の実施形態によ
ると、従来例に係る半導体発光素子の場合よりも低い逆
バイアス電圧で高い消光比を実現できる。このため、発
光動作と消光動作との高速駆動が可能となる。
【0054】また、第1の実施形態に係る半導体発光素
子は、従来の発光ダイオード素子と異なり、ベース・コ
レクタ間の空乏層が発光時においても生成されるため、
ベース層103とコレクタ層102との間の静電容量が
小さくなり、高速変調による動作に適する。
【0055】また、ベース層103をn型としているた
め、ベース層103から注入される多数キャリアが、ホ
ールと比べて移動度が高い電子となるので、基板面に平
行な方向の電荷注入における注入抵抗が低減する。逆
に、p型のエミッタ層106からn型のベース層103
に注入される少数キャリアが、電子と比べて拡散長が短
いホールとなるので、基板面に平行な方向の少数キャリ
アの拡散を抑制することができる。
【0056】(第2の実施形態)以下、第2の実施形態
について図面を参照しながら説明する。
【0057】図3は本発明の第2の実施形態に係る3端
子構成の半導体発光素子であって、InGaN/GaN
系の化合物半導体からなるnpn型の半導体発光素子の
断面構成を示している。
【0058】図3に示すように、第2の実施形態に係る
半導体発光素子は、サファイア(Al23)からなる絶
縁性基板201上に順次形成された、n型窒化ガリウム
(GaN)からなるエミッタ層202、窒化インジウム
ガリウム(InGaN)からなる活性層203、傾斜組
成層204、膜厚が約400nmのp型GaNからなる
ベース層205、及びn型GaNからなるコレクタ層2
06を有している。
【0059】第2の実施形態においても、活性層203
とベース層205との間に設けられた傾斜組成層204
は、その膜厚が約5nm〜約100nmであって、その
組成が活性層203との界面では該活性層203の組成
とほぼ同一であり、ベース層205との界面では該ベー
ス層205の組成とほぼ同一となるように構成されてい
る。また、傾斜組成層204における活性層203側の
領域は発光光が生成されるため、該領域は活性層203
の一部とみなすこともできる。
【0060】エミッタ層202の上面は露出しており、
露出した領域上には活性層203及び傾斜組成層204
等の側面から間隔をおいてn型エミッタ電極209が形
成されている。また、ベース層205の上面は露出して
おり、露出した領域上にはコレクタ層206の側面から
間隔をおいてp型ベース電極210が形成されている。
【0061】コレクタ層206の上には、その一部に高
濃度のn型GaAsからなるn型コンタクト層207が
形成されており、該n型コンタクト層207の上にはn
型コレクタ電極208が形成されている。
【0062】第2の実施形態に係る半導体発光素子にお
いて、エミッタ層202におけるp型ベース電極210
と対向する領域であって、コレクタ層206と対向しな
い領域にはイオン注入により形成された高抵抗領域20
2aが設けられている。このように、n型のエミッタ層
202におけるn型のコレクタ層206と対向しない領
域に高抵抗領域202aを設けることにより、n型のエ
ミッタ層202におけるn型のコレクタ層206と対向
しない領域から活性層203へのキャリアの注入が抑制
されるため、消光時において、コレクタ層206からの
キャリア(電子)の引き抜きが十分に行なえずに残留す
るキャリアによって生じる発光による消光比の劣化を防
ぐことができる。
【0063】また、絶縁性基板201は、発光光の波長
に対して透明であるため、該絶縁性基板201のエミッ
タ層202と反対側の面から発光光の大部分を外部に取
り出すことができる。
【0064】第2の実施形態に係る半導体発光素子は、
npn型の構成であるため、発光時にはベース層205
からホールが供給されると共に、エミッタ層202から
電子が供給される。
【0065】一方、消光時には活性層203からコレク
タ層206に電子が引き抜かれて、電子とホールとの再
結合が停止する。このとき、活性層203とベース層2
05との間には、活性層203との界面で該活性層20
3の組成とほぼ同一で且つベース層205との界面で該
ベース層205の組成とほぼ同一となるようにその組成
が徐々に変化する傾斜組成層204を設けているため、
低電圧で迅速なキャリアの引き抜きが可能となるので、
第1の実施形態と同様に、低電圧で消光比が大きい高速
変調を実現できる。
【0066】(第3の実施形態)以下、本発明の第3の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0067】図4は本発明の第3の実施形態に係る3端
子構成の半導体発光素子であって、AlGaAs系の化
合物半導体からなるpnp型の半導体発光素子の断面構
成を示している。
【0068】図4に示すように、第3の実施形態に係る
半導体発光素子は、p型GaAsからなる基板301上
に順次形成された、p型ヒ化アルミニウムガリウム(A
0. 4Ga0.6As)からなるコレクタ層302、膜厚が
約70nmの傾斜組成層303、膜厚が約300nmの
n型GaAsからなるベース層304、及びp型Al
0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層305を有してい
る。
【0069】第3の実施形態の特徴である、コレクタ層
302とベース層304との間に設けられた傾斜組成層
303は、その組成がコレクタ層302との界面では該
コレクタ層302の組成とほぼ同一であり、ベース層3
04との界面では該ベース層304の組成とほぼ同一と
なるように構成されている。なお、傾斜組成層303の
膜厚は約5nm〜約100nmであればよい。
【0070】また、n型GaAsからなるベース層30
4における電子のエネルギー帯の禁制帯幅は、p型Al
GaAsからなるコレクタ層302及びエミッタ層30
5の禁制帯幅よりも小さい。
【0071】基板301のコレクタ層302と反対側の
面上にはp型コレクタ電極307が形成されている。
【0072】ベース層304の上面は露出しており、露
出した領域上にはエミッタ層305の側面から間隔をお
いてn型ベース電極308が形成されている。
【0073】エミッタ層305の上には、その一部に高
濃度のp型GaAsからなるp型コンタクト層306が
形成されており、該p型コンタクト層306の上にはp
型エミッタ電極309が形成されている。
【0074】第3の実施形態においては、コレクタ層3
02、傾斜組成層303及びベース層304の不純物濃
度を約1×1017cm-3としている。一方、エミッタ層
305の不純物濃度は1×1018cm-3としており、コ
レクタ層302の不純物濃度と比べて10倍程度の高い
値に設定している。これにより、エミッタ層305にお
けるホールの擬フェルミレベルがコレクタ層302にお
けるホールの擬フェルミレベルと比べて価電子帯の上端
に接近するため、エミッタ層305からベース層304
へのキャリアの注入効率がコレクタ層302からベース
層304への注入効率と比べて向上する。なお、エミッ
タ層305の不純物濃度は、コレクタ層302の不純物
濃度の2倍程度に大きくすれば、エミッタ層305から
のキャリアの注入効率をコレクタ層302から注入され
る場合よりも大きくすることができる。また、エミッタ
層305の不純物濃度は、少なくともコレクタ層302
と対向する部位が2倍以上高ければ効果を奏する。
【0075】また、エミッタ層305にはp型Al0.3
Ga0.7Asを用い、コレクタ層302にはエミッタ層
305と比べてアルミニウムの組成が大きいp型Al
0.4Ga0 .6Asを用いている。これにより、コレクタ層
302の電子のエネルギー帯における電子親和力と禁制
帯幅との和は約50meV大きくなる。言い換えると、
コレクタ層302の価電子帯の上端のエネルギー値は、
エミッタ層305の価電子帯の上端のエネルギー値より
も約50meV小さくなる。なお、コレクタ層302の
価電子帯の上端のエネルギー値は、エミッタ層305よ
りも10meV程度小さければ、発光時におけるホール
のコレクタ層302への流出を抑制することができる。
また、エミッタ層305からコレクタ層302へのリー
ク電流を抑制できると共に、コレクタ層302からベー
ス層304へのキャリアの逆注入をも抑制することがで
きる。
【0076】以下、前記のように構成された半導体発光
素子の発光動作及び消光動作を説明する。
【0077】まず、発光時の動作を説明する。
【0078】図5は発光時におけるベース層304とそ
の近傍の電子のエネルギー帯のバンド構造を表わしてい
る。図5において、エネルギー準位に付した符号は図4
に示した半導体層とそれぞれ対応している。第3の実施
形態に係る半導体発光素子は第1及び第2の実施形態に
係る半導体発光素子と異なり、ベース層304とエミッ
タ層305との間に独立した活性層を設けていない。前
述したように、べース層304の禁制帯幅がコレクタ層
及びエミッタ層305と比べて小さいため、ベース層3
04とエミッタ層305との間及びベース層304とコ
レクタ層302との間に、順バイアス電圧を同時に印加
することにより、ベース層304に多数キャリアである
電子とエミッタ層305から供給されるホールとを閉じ
込めることができるため、ベース層304において電子
とホールとの再結合により発光する。すなわち、第3の
実施形態に係るベース層304は、電子の輸送及び供給
の機能と活性層としての機能とを併せもつ。
【0079】発光時のベース・コレクタ間の電圧は、ベ
ース・エミッタ間の電圧よりも約0.1V低く設定して
いる。これにより、エミッタ層305からのみホールを
供給でき、コレクタ層302からベース層304へのホ
ールの注入が抑制される。
【0080】この結果、図4において、ベース層304
におけるエミッタ層305が除去されれている領域では
発光せずに、ベース層304とエミッタ層305とが互
いに対向する領域のみで発光する。
【0081】ここで、コレクタ層302の価電子帯の上
端のエネルギー値がエミッタ層305と比べて10me
V以上小さいことにより、エミッタ層305からベース
層304に注入されたホールがコレクタ層302に流出
するリーク電流を抑制できる。また、コレクタ層302
からベース層304へのホールの注入が抑制される。
【0082】次に、消光時の動作を説明する。
【0083】図6は消光時におけるベース層304とそ
の近傍の電子のエネルギー帯のバンド構造を表わしてい
る。
【0084】消光時には、ベース層304とエミッタ層
305との間に順バイアス電圧を印加すると共に、ベー
ス層304とコレクタ層302とを等電位とする。これ
によりベース層304とコレクタ層302との間に空乏
層が拡がるため、ベース層304は傾斜組成層303と
の界面でホールを閉じ込められなくなる。その結果、ベ
ース層304に蓄積されていたホールがコレクタ層30
2に放出されるので、ベース層304のホール濃度が低
減して、素子の発光量が減少する。このホールの放出動
作はキャリアの再結合速度に依存しないので高速であ
る。
【0085】また、第3の実施形態に係る半導体発光素
子は、ベース層304とコレクタ層302との間に、ベ
ース層304との界面では該ベース層304の組成とほ
ぼ同一で且つコレクタ層302との界面では該コレクタ
層302の組成とほぼ同一となるようにその組成が徐々
に変化する傾斜組成層303を設けているため、消光時
におけるベース層304とコレクタ層302との間の界
面障壁は、傾斜組成層303を設けない素子と比べて大
幅に低下する。これにより、ベース層304と傾斜組成
層303との界面に達したホールは速やかにコレクタ層
302に移動するため、消光時の素子発光はさらに抑制
される。
【0086】このように、第3の実施形態によると、低
い逆バイアス電圧で高い消光比を実現できるため、発光
動作と消光動作との高速駆動が可能となる。
【0087】その上、消光時には、ベース・コレクタ間
の電位を等電位としており、逆バイアス電圧を印加する
必要がないため、駆動回路の構成を簡略化でき、駆動方
法も容易となる。
【0088】(第4の実施形態)以下、本発明の第4の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0089】図7は本発明の第4の実施形態に係る3端
子構成の半導体発光素子であって、AlGaAs系の化
合物半導体からなるnpn型の半導体発光素子の断面構
成を示している。
【0090】図7に示すように、第4の実施形態に係る
半導体発光素子は、n型GaAsからなる基板401上
に順次形成された、n型Al0.4Ga0.6Asからなるコ
レクタ層402、膜厚が約20nmの傾斜組成層40
3、膜厚が約300nmのp型GaAsからなるベース
層404、及びn型Al0.3Ga0.7Asからなるエミッ
タ層405を有している。
【0091】第4の実施形態の特徴である、コレクタ層
402とベース層404との間に設けられた傾斜組成層
403は、その組成がコレクタ層402との界面では該
コレクタ層402の組成とほぼ同一であり、ベース層4
04との界面では該ベース層404の組成とほぼ同一と
なるように構成されている。なお、傾斜組成層403の
膜厚は約5nm〜約100nmであればよい。
【0092】また、p型GaAsからなるベース層40
4における電子のエネルギー帯の禁制帯幅は、n型Al
GaAsからなるコレクタ層402及びエミッタ層40
5の禁制帯幅よりも小さい。
【0093】基板401のコレクタ層402と反対側の
面上にはn型コレクタ電極407が形成されている。
【0094】ベース層404の上面は露出しており、露
出した領域上にはエミッタ層405の側面から間隔をお
いてp型ベース電極408が形成されている。
【0095】エミッタ層405の上には、その一部に高
濃度のn型GaAsからなるn型コンタクト層406が
形成されており、該n型コンタクト層406の上にはn
型エミッタ電極409が形成されている。
【0096】第4の実施形態に係る半導体発光素子にお
いて、コレクタ層402におけるp型ベース電極408
と対向する領域であって、エミッタ層405と対向しな
い領域にはイオン注入により形成された高抵抗領域40
2aが設けられている。
【0097】また、傾斜組成層403及びベース層40
4の不純物濃度を約1×1017cm -3とし、コレクタ層
402の不純物濃度を約5×1017cm-3としている。
一方、エミッタ層405の不純物濃度は約1×1018
-3としており、コレクタ層402の不純物濃度と比べ
て2倍程度の高い値に設定している。これにより、エミ
ッタ層405からベース層404へのキャリアの注入効
率が向上する。
【0098】なお、エミッタ層405の不純物濃度は、
少なくともコレクタ層402と対向する部位が2倍以上
高ければ効果を奏する。
【0099】第4の実施形態においては、エミッタ層4
05にはn型Al0.3Ga0.7Asを用い、コレクタ層4
02にはエミッタ層405と比べてアルミニウムの組成
が大きいn型Al0.4Ga0.6Asを用いている。これに
より、コレクタ層402の電子のエネルギー帯における
電子親和力は約10meV小さくなる。言い換えると、
コレクタ層402の伝導帯の下端のエネルギー値は、エ
ミッタ層405の伝導帯の下端のエネルギー値と比べて
約10meV大きくなる。これにより、発光時における
電子のコレクタ層402への流出を抑制することができ
る。また、エミッタ層405からコレクタ層402への
リーク電流を抑制できると共に、コレクタ層402から
ベース層404への電子の逆注入をも抑制することがで
きる。
【0100】このように、npn型の3端子素子である
第4の実施形態の半導体発光素子は、独立した活性層の
代わりに、ベース層404の禁制帯幅をコレクタ層40
2及びエミッタ層405の禁制帯幅よりも小さく設定し
て、該ベース層404に再結合光を生成する発光機能を
持たせている。
【0101】従って、第4の実施形態に係る係る半導体
発光素子は、第3の実施形態とは逆の導電型であるた
め、発光時にはエミッタ層405からベース層404に
電子が供給され、消光時にはベース層404からコレク
タ層402に電子が引き抜かれる。このとき、第3の実
施形態と同様に、ベース層404とコレクタ層402と
の間に傾斜組成層403を設けていること、エミッタ層
405の不純物濃度をコレクタ層402よりも大きくし
ていること、及びコレクタ層402の伝導帯の下端をエ
ミッタ層405よりも低くしていることにより、高速動
作を実現することができる。
【0102】また、第3の実施形態と同様に、消光時に
ベース・コレクタ間に逆バイアス電圧を印加する必要が
ないため、駆動回路を簡略化できる。
【0103】その上、第4の実施形態においては、コレ
クタ層402におけるエミッタ層405と対向しない領
域に高抵抗領域402aを設けているため、コレクタ層
402からベース層404へ向かう逆方向のキャリアの
注入を抑制することができる。その結果、コレクタ層4
02とエミッタ層405とに対して等電位を印加したと
しても、ベース層404の周縁部において不要な発光光
が生成されることがなくなるので、半導体発光素子に対
する駆動方法が容易となり且つ発光効率も向上する。
【0104】(第5の実施形態)以下、本発明の第5の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0105】図8は本発明の第5の実施形態に係る3端
子構成の半導体発光素子であって、AlGaAs/Ga
As/GaInP系の化合物半導体からなるpnp型の
半導体発光素子の断面構成を示している。
【0106】図8に示すように、第5の実施形態に係る
半導体発光素子は、p型GaAsからなる基板501上
に順次形成された、p型GaInPからなるコレクタ層
502、真性のGaInPからなるコレクタ側無添加層
503a及び真性のGaAsからなるベース側無添加層
503bからなり総膜厚が約120nmの無添加半導体
層503、膜厚が約300nmのn型GaAsからなる
ベース層504、並びにp型Al0.3Ga0.7Asからな
り、上部がリッジ状にパターニングされたエミッタ層5
05を有している。
【0107】第5の実施形態の特徴である、コレクタ層
502とベース層504との間に設けられた無添加半導
体層503の不純物濃度は、5×1016cm-3以下であ
る。
【0108】また、n型GaAsからなるベース層50
4における電子のエネルギー帯の禁制帯幅は、p型Ga
InPからなるコレクタ層502及びp型AlGaAs
からなるエミッタ層505の禁制帯幅よりも小さい。
【0109】基板501のコレクタ層502と反対側の
面上にはp型コレクタ電極507が形成されている。
【0110】ベース層504の上面は露出しており、露
出した領域上にはエミッタ層505の側面から間隔をお
いてn型ベース電極508が形成されている。
【0111】エミッタ層505のリッジ状領域の上に
は、高濃度のp型GaAsからなるp型コンタクト層5
06が形成されており、また、エミッタ層505上で且
つリッジ状領域の側方には二酸化シリコン(SiO2
からなる電流狭窄層510がその上面がp型コンタクト
層506の上面とほぼ一致するように埋め込まれてい
る。電流狭窄層510の上にはp型コンタクト層506
と接触するようにp型エミッタ電極509が形成されて
いる。
【0112】第3の実施形態においては、ベース層50
4の不純物濃度は約1×1017cm -3とし、一方、コレ
クタ層502及びエミッタ層505の不純物濃度は1×
10 18cm-3としている。
【0113】また、エミッタ層505にはp型Al0.3
Ga0.7Asを用い、コレクタ層502にはGaAsか
らなる基板501とほぼ格子整合する組成を持つp型G
aInPを用いている。これにより、コレクタ層502
の電子のエネルギー帯における電子親和力と禁制帯幅と
の和はエミッタ層505と比べて約50meV以上大き
くなる。すなわち、コレクタ層502の価電子帯の上端
のエネルギー値は、エミッタ層505の価電子帯の上端
のエネルギー値よりも約50meV以上小さくなる。な
お、コレクタ層502の価電子帯の上端のエネルギー値
は、エミッタ層505よりも10meV程度小さけれ
ば、発光時におけるホールのコレクタ層502への流出
を抑制することができる。
【0114】このように、エミッタ層505にAlGa
Asを用い、コレクタ層502にGaInPを用い、ベ
ース層504にGaAsを用いることにより、各半導体
層のヘテロ接合面によるバンドオフセットを大きくしな
がら、コレクタ層502の抵抗率を低く抑えることがで
きる。
【0115】なお、第5の実施形態に係る半導体発光素
子は、その上面がp型エミッタ電極509により覆われ
且つ電流狭窄層510を有する構成を採るため、ベース
層504で生成される発光光は基板501の表裏方向で
はなく、発光素子のへき開端面から放出される。
【0116】第5の実施形態の特徴として、コレクタ層
502とベース層504との間に、不純物濃度が5×1
16cm-3以下である無添加半導体層503を設けてい
るため、エミッタ層505とコレクタ層502との不純
物濃度をほぼ同一の値に設定しても、エミッタ層505
からコレクタ層502へのリーク電流を抑制することが
できる。その上、コレクタ層502からベース層504
への逆方向のホール注入をも抑制することができる。
【0117】さらに、無添加半導体層503により、発
光時のベース・コレクタ間の静電容量が低下するため、
高速駆動が容易になる。
【0118】また、消光時には、図9(a)のバンド構
造に示すように、無添加半導体層503により、ベース
・コレクタ間の界面障壁(スパイク)における電位勾配
が急峻となるため、該界面障壁にホールが蓄積されにく
くなり、消光比の値を大きくすることができる。図9
(b)は比較用であって、ベース層504とコレクタ層
502との間に無添加半導体層503を設けない場合の
消光時のバンド構造を示している。図9(b)に示すよ
うに、ベース層504とコレクタ層502との間に無添
加半導体層503を設けない場合には、ベース層504
とコレクタ層502との界面にバンドオフセットによる
界面障壁が発生する。
【0119】第5の実施形態は、第3の実施形態と同様
に、消光時にベース・コレクタ間に逆バイアス電圧を印
加する必要がないため、駆動回路を簡略化することがで
きる。
【0120】なお、第5の実施形態においては、無添加
半導体層503をコレクタ側無添加層503aとベース
側無添加層503bとにより構成して、コレクタ層50
2及びベース層504の両界面にそれぞれ無添加層を設
けているが、このうちの一方のみを無添加層とすること
もできる。
【0121】また、ベース層504又はコレクタ層50
2の各不純物分布を制御することにより、ベース層50
4及びコレクタ層502の界面における不純物濃度を抑
制することは容易である。
【0122】なお、無添加半導体層503を構成するコ
レクタ側無添加層503aとベース側無添加層503b
との間に無添加の傾斜組成層を設けてもよい。このよう
にすると、消光時の界面障壁を低減することができる。
また、この場合に、コレクタ側無添加層503a及びベ
ース側無添加層503bに代えて、無添加半導体層50
3を傾斜組成層のみとしてもよい。
【0123】また、第5の実施形態においては、ベース
層504にGaAsを用いているが、アルミニウムを添
加したAlxGa1-xAs(但し、xは0<x≦0.3と
する。)を用いて、ベース層504の禁制帯幅を拡大す
ると、発光光の短波長化を図ることができる。
【0124】また、エミッタ層502にAlGaAsを
用いているが、コレクタ層502と同様にGaInPを
用いると、ベース層504におけるキャリアの閉じ込め
効果を向上することができる。逆に、コレクタ層502
にAlGaAsを用いることにより、ベース層504と
コレクタ層502との間に無添加半導体層503又は傾
斜組成層を形成する際の製造プロセスを容易にすること
ができる。
【0125】(第6の実施形態)以下、本発明の第6の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0126】図10は本発明の第6の実施形態に係る3
端子構成の半導体発光素子であって、GaAs/AlG
aAs系の化合物半導体からなるpnp型の半導体発光
素子の断面構成を示している。
【0127】図10に示すように、第6の実施形態に係
る半導体発光素子は、p型GaAsからなる基板601
上に順次形成された、p型Al0.3Ga0.7Asからなる
コレクタ層602、n型の低濃度ベース層603、膜厚
が約300nmのn型GaAsからなるベース層60
4、及びp型Al0.3Ga0.7Asからなるエミッタ層6
05を有している。
【0128】n型GaAsからなるベース層604にお
ける電子のエネルギー帯の禁制帯幅は、p型AlGaA
sからなるコレクタ層602及びエミッタ層605の禁
制帯幅よりも小さい。
【0129】第6の実施形態の特徴である、コレクタ層
602とベース層604との間に設けられた低濃度ベー
ス層603は、コレクタ層602側から順次形成され
た、膜厚が約35nmのn型Al0.3Ga0.7Asからな
るコレクタ側低濃度層603a、膜厚が約25nmの傾
斜組成層603b、及び膜厚が約10nmのn型GaA
sからなるベース側低濃度層603cとにより構成され
ている。ここで、コレクタ側低濃度層603a、傾斜組
成層603b及びベース側低濃度層603cの不純物濃
度はいずれも1×1017cm-3に設定されている。
【0130】また、傾斜組成層603bは、その組成が
ベース側低濃度層603cとの界面では該ベース側低濃
度層603cの組成とほぼ同一であり、コレクタ側低濃
度層603aとの界面では該コレクタ側低濃度層603
aの組成とほぼ同一となるように構成されている。
【0131】基板601のコレクタ層602と反対側の
面上にはp型コレクタ電極607が形成されている。
【0132】ベース層604の上面は露出しており、露
出した領域上にはエミッタ層605の側面から間隔をお
いてn型ベース電極608が形成されている。
【0133】エミッタ層605の上には、その一部に高
濃度のp型GaAsからなるp型コンタクト層606が
形成されており、該p型コンタクト層606の上にはp
型エミッタ電極609が形成されている。
【0134】第6の実施形態においては、ベース層60
4の不純物濃度を約1×1018cm -3とし、コレクタ層
605の不純物濃度を約1×1017cm-3としている。
一方、エミッタ層605の不純物濃度は1×1018cm
-3としており、コレクタ層602の不純物濃度と比べて
10倍程度の高い値に設定している。これにより、エミ
ッタ層605からベース層604へのキャリアの注入効
率がコレクタ層602からベース層604への注入効率
と比べて向上する。なお、エミッタ層605の不純物濃
度は、コレクタ層602の不純物濃度の2倍程度に大き
くすればエミッタ層605からの注入効率の向上に有効
である。また、エミッタ層605の不純物濃度は、少な
くともコレクタ層602と対向する部位が2倍以上高け
れば効果を奏する。
【0135】また、コレクタ側低濃度層603aの電子
のエネルギー帯における電子親和力と禁制帯幅との和は
ベース層604と比べて約20meV以上大きいことが
好ましい。すなわち、コレクタ側低濃度層603aの価
電子帯の上端のエネルギー値は、ベース層604の価電
子帯の上端のエネルギー値よりも約20meV以上小さ
いことが好ましい。このようにすると、発光時におい
て、コレクタ・ベース間に順バイアス電圧を印加して
も、コレクタ層602からベース層604に移動するキ
ャリアに対する障壁が発生する。
【0136】また、半導体発光素子の導電型をそれぞれ
反転させる場合であって、コレクタ側低濃度層603a
の導電型をn型とする場合には、伝導帯の下端のエネル
ギー値がベース層604よりも約20meV以上大きい
ことが好ましい。
【0137】以下、前記のように構成された半導体発光
素子の発光動作及び消光動作を説明する。
【0138】まず、発光時の動作を説明する。
【0139】図11は発光時におけるベース層604と
その近傍の電子のエネルギー帯のバンド構造を表わして
いる。図11において、エネルギー準位に付した符号は
図10に示した半導体層とそれぞれ対応している。
【0140】発光時には、ベース層604とエミッタ層
605とに、及びベース層604とコレクタ層602と
にそれぞれ同電位の順バイアス電圧を印加する。
【0141】図11に示すように、第6の実施形態にお
いては、エミッタ層605とコレクタ層602のそれぞ
れの価電子帯の上端のエネルギー値は同等であるが、n
型のベース層604とp型のコレクタ層602との間に
n型の低濃度ベース層603を設けていることにより、
該低濃度ベース層603とコレクタ層602とのpn接
合により、ベース層604とコレクタ層602との間に
ホールに対するエネルギー障壁600が発生する。この
エネルギー障壁600により、エミッタ層605の電位
とコレクタ層602の電位とを全く同一の値としてもコ
レクタ層602からベース層604への逆方向のホール
注入を防ぐことができる。その結果、図10に示すベー
ス層604におけるn型ベース電極608の下側部分及
びベース層604の露出部分での発光光の生成を抑制す
ることができる。
【0142】その上、エミッタ層605とコレクタ層6
02との電位を同一の値に設定できるため、素子の駆動
方法が容易となり、且つエミッタ層605からコレクタ
層602へのリーク電流も生じない。
【0143】また、コレクタ層602からベース層60
4への逆方向のキャリアの注入を防ぐことができるた
め、第4の実施形態のようにコレクタ層402に高抵抗
領域402aを設ける必要がなく、素子の製造プロセス
が簡単化する。
【0144】また、低濃度ベース層603により生じる
エネルギー障壁600により、発光時においてエミッタ
層605とコレクタ層602と電位が多少異なっていて
も、エミッタ層605とコレクタ層602との間のリー
ク電流が抑制される。
【0145】さらに、発光時には、低濃度ベース層60
3とコレクタ層602との界面に空乏層が生じるため、
ベース層604とコレクタ層602との間の静電容量が
低下するので、低濃度ベース層603を設けない素子と
比べて高速駆動時の応答が改善される。
【0146】以下、第6の実施形態に係る半導体発光素
子の消光動作を説明する。
【0147】図12は消光時における電子のエネルギー
帯のバンド構造を表わしている。図12において、エネ
ルギー準位に付した符号は図10に示した半導体層とそ
れぞれ対応している。
【0148】消光時には、エミッタ層605をベース層
604に対して順バイアス電圧を印加すると共に、コレ
クタ層602とベース層604とを等電位とする。これ
により、コレクタ層602がベース層604に対して、
順バイアス電圧の印加時と比べて空乏層の幅が拡大する
ため、低濃度ベース層603及びコレクタ層602によ
るホールの閉じ込めができなくなる。その結果、ベース
層604のホールがコレクタ層602に引き出されてエ
ミッタ・コレクタ間に多くの電流が流れる一方、ベース
層604のホール濃度が低下してベース層604からの
発光量は抑制される。
【0149】第6の実施形態においては、コレクタ側低
濃度層603aとベース側低濃度層603cとの間に傾
斜組成層603bを設けているため、コレクタ側低濃度
層603aとベース側低濃度層603cとの間の界面障
壁が緩和されるので、特に、消光時のキャリアに対する
引き抜き効果が向上する。その結果、第6の実施形態に
係る半導体発光素子は高速な発光動作及び消光動作を行
なうことができる。
【0150】また、第6の実施形態においては、消光時
にベース・コレクタ間に逆バイアス電圧を印加する必要
がなく、さらには、コレクタ層602からベース層60
4へのホールの逆注入が抑制されるため、素子の製造の
みならず駆動方法も容易となる。
【0151】以下、第6の実施形態の一変形例として、
コレクタ側低濃度層603aとベース側低濃度層603
cの間の傾斜組成層603bを省略した構成を説明す
る。このようにすると、その成長時に組成を徐々に変化
させる必要がある傾斜組成層603bを形成しなくても
済むため、素子の製造プロセスを簡略化することができ
る。
【0152】図13及び図14は本変形例に係る半導体
発光素子におけるバンド構造であって、図13は発光時
を表わし、図14は消光時を表わしている。
【0153】図14に示すように、消光時はベース層6
04とコレクタ層602との間に、エネルギーバンドの
不連続に起因する界面障壁(スパイク)が発生するが、
コレクタ側低濃度層603aを設けていることにより、
スパイクの位置が高電界の空乏層の中央部に位置するた
め、スパイクの影響が抑制される。その結果、ベース層
604に蓄積されていたホールをコレクタ層602に確
実に引き抜くことができ、消光時の素子の発光を抑える
ことができる。
【0154】なお、第6の実施形態及びその変形例にお
いて、低濃度ベース層603の不純物濃度は、ベース層
604の不純物濃度の2分の1以下であることが好まし
い。
【0155】さらには、低濃度ベース層603の不純物
濃度が1×1016cm-3〜5×10 17cm-3であり、そ
の膜厚が30nm〜400nmであることが好ましい。
これにより、エミッタ層605とコレクタ層602とを
等電位とすると、低濃度ベース層603がキャリアに対
するエネルギー障壁として機能し、また、ベース層60
4とコレクタ層602とを等電位とすると、該エネルギ
ー障壁を除去できるため、第6の実施形態に係る半導体
発光素子の駆動を容易に且つ確実に行なえるようぬな
る。
【0156】また、低濃度ベース層603における、コ
レクタ側低濃度層603a、傾斜組成層603b及びベ
ース側低濃度層603cの不純物濃度の制御は、例えば
コレクタ側低濃度層603aを例に採ると、まず、コレ
クタ層602と同等のp型不純物イオンをドープしなが
ら成膜しておき、その後、コレクタ側低濃度層603a
の形成部分に対してn型不純物イオンをドープすること
により、コレクタ側低濃度層603aのn型不純物濃度
を低濃度としてもよい。
【0157】なお、第1〜第6の各実施形態において
は、半導体発光素子の一例として、自然放出光を利用す
る発光ダイオード素子を挙げたが、本発明は誘導放出光
を利用する端面出射型又は面発光型の半導体レーザ素子
等にも応用することもできる。
【0158】また、半導体発光素子を構成する半導体材
料には、III-V族化合物半導体、例えば、GaAs、A
lAs、InAs、GaP、AlP、InP、GaN、
AlN又はInN等を用いることができる。また、II−
VI族化合物半導体、例えば、ZnSe、CdSe、Mg
Se、ZnS、CdS、ZnTe、CdTe、ZnO、
CdO又はMgO等を用いることができる。さらには、
AlGaAs、GaInP、AlGaInP、InGa
AsP、AlGaN、InGaN、ZnCdSe又はM
gZnO等の化合物半導体の混晶材料を用いてもよい。
【0159】また、半導体発光素子の基板材料には、上
記の化合物半導体のうち導電性を持つ半導体基板を用い
ることにより、基板の素子形成面と反対側の面に電極を
形成できるため、素子の製造プロセスを簡単化すること
ができる。
【0160】一方、基板材料に、上記の化合物半導体の
うちの半絶縁性基板、又はサファイア若しくは酸化シリ
コン等からなる絶縁性基板を用いることにより、発光素
子の静電容量が低減するため高周波特性が向上する。そ
の上、複数の素子を形成する際に素子同士が絶縁される
ので、素子の集積化が容易となる。
【0161】(第7の実施形態)以下、本発明の第7の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0162】図15は本発明の第7の実施形態に係る半
導体発光素子の駆動装置の機能ブロックの構成を示して
いる。
【0163】図15に示すように、第7の実施形態に係
る半導体発光素子の駆動装置は、pnp型であって、エ
ミッタ、ベース及びコレクタの3端子構成の半導体発光
素子701と、第1の電源電圧VCC1 を受け、半導体発
光素子701のエミッタに所定の駆動電流IE を供給す
る定電流制御手段としての定電流生成回路702と、制
御信号と第2の電源電圧VCC2 とを受け、半導体発光素
子701のコレクタの電位を制御することにより半導体
発光素子701の発光状態を制御する発光状態制御手段
としての発光制御回路703とを有している。
【0164】ここで、半導体発光素子701のベース
は、所定電位印加手段である第1の接地端子704と接
続されている。
【0165】定電流生成回路702は、駆動電流IE
半導体発光素子701のエミッタにエミッタ・ベース間
が順バイアスとなるように供給する。
【0166】発光制御回路703は、外部から入力され
る制御信号に応じて半導体発光素子701のコレクタを
高電位状態又は高抵抗状態と低電位の状態との間で変化
させる。
【0167】半導体発光素子701は、例えば、第1の
実施形態に係る半導体発光素子のように、コレクタ・ベ
ース間の順方向を正電位とすると、コレクタ電位がベー
ス電位よりも高い電位、すなわち順バイアス状態又は等
電位とされた場合に発光状態となる。逆に、十分に低い
電位、すなわち逆バイアス状態とされた場合に消光状態
となる。
【0168】以下、第7の実施形態に係る半導体発光素
子の駆動装置の発光時及び消光時のの駆動方法の具体例
を説明する。
【0169】まず、発光動作を説明する。
【0170】外部からの制御信号により発光制御回路7
03を操作し、半導体発光素子701のコレクタからみ
て発光制御回路703を高抵抗状態とすることにより、
半導体発光素子701は、コレクタの電位がベースとエ
ミッタとの中間の電位となって発光状態となる。また、
他の方法として、半導体発光素子701は、例えばコレ
クタを第2の接地端子705と接地すると、コレクタ・
ベース間が等電位となって発光状態となる。
【0171】次に、消光動作を説明する。
【0172】外部からの制御信号により発光制御回路7
03を操作して、半導体発光素子701のコレクタに第
2の電源電圧VCC2 を印加すると、コレクタ・ベース間
が逆バイアス状態となる。この逆バイアス状態により、
第2の電源電圧VCC2 が十分に大きければ、エミッタか
ら注入される電荷の大部分がコレクタに引き抜かれるた
め、活性層のキャリア密度が低下する。さらに、活性層
におけるキャリアの閉じ込め効果が低下して、コレクタ
にキャリアが引き抜かれ始めると、エミッタからの注入
電流が増加しようとするが、第7の実施形態において
は、定電流生成回路702によってエミッタに供給され
る電流量が一定となるよう制御されている。
【0173】従って、エミッタ・ベース間の順バイアス
電圧は低下し、エミッタと活性領域との界面におけるエ
ミッタ側の擬フェルミ準位が低下する。これにより、活
性領域とベースとの界面だけでなく、該活性領域とエミ
ッタとの界面においてもキャリア密度が低下するため、
活性領域のキャリア密度は大幅に低下し、半導体発光素
子701の発光状態はさらに抑制される。
【0174】このように、第7の実施形態によると、3
端子構成の半導体発光素子701の消光比を容易に且つ
確実に高めることができる。
【0175】なお、第7の実施形態に係る発光制御回路
703の一例として、例えばnpn型のバイポーラトラ
ンジスタを用いてもよい。該バイポーラトランジスタの
コレクタ端子を半導体発光素子701のコレクタと接続
し、エミッタ端子を第2の電源電圧VCC2 と接続し、ベ
ース端子に制御信号が入力されるように接続することに
より容易に実現することができる。
【0176】また、発光制御回路703に、pnp型の
バイポーラトランジスタを用いることもできる。この場
合は、バイポーラトランジスタのエミッタ端子を半導体
発光素子701のコレクタと接続し、コレクタ端子を第
2の電源電圧VCC2 と接続し、ベース端子に制御信号が
入力されるようにする。
【0177】発光制御回路703の回路構成は、これら
npn型又はpnp型のバイポーラトランジスタに限ら
れない。すなわち、多段のトランジスタ構成でも良く、
電界効果型トランジスタ(FET)又は高電子移動度ト
ランジスタ(HEMT)等を用いることにより、駆動動
作の安定化及び高速化を図ることも可能である。従っ
て、発光制御回路703の機能を実現できれば、回路構
成は限定されない。
【0178】(第8の実施形態)以下、本発明の第8の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0179】図16は本発明の第8の実施形態に係る半
導体発光素子の駆動装置の機能ブロックの構成を示して
いる。
【0180】図16に示すように、第8の実施形態に係
る半導体発光素子の駆動装置は、pnp型であって、エ
ミッタ、ベース及びコレクタの3端子構成の半導体発光
素子801と、第1の電源電圧VCC1 を受け、半導体発
光素子801のエミッタに所定の駆動電流IE を供給す
る定電流制御手段としての定電流生成回路802と、制
御信号を受け、半導体発光素子801のエミッタ又はコ
レクタの電位を制御することにより半導体発光素子80
1の発光状態を制御する発光状態制御手段としての発光
制御回路803とを有している。
【0181】ここで、半導体発光素子801のベース
は、所定電位印加手段である第1の接地端子804と接
続されている。
【0182】定電流生成回路802は、駆動電流IE
半導体発光素子801のエミッタにエミッタ・ベース間
が順バイアスとなるように供給する。
【0183】発光制御回路803は、外部から入力され
る制御信号に応じて半導体発光素子801のコレクタを
高電位状態又は高抵抗状態と低電位の状態との間で変化
させる。
【0184】半導体発光素子801は、例えば、第3の
実施形態に係る半導体発光素子のように、コレクタ・ベ
ース間の順方向を正電位とすると、コレクタ電位がベー
ス電位よりも高い電位、すなわち順バイアス状態とされ
た場合に発光状態となる。逆に、ほぼ等電位とされた場
合に消光状態となる。
【0185】以下、第8の実施形態に係る半導体発光素
子の駆動装置の発光時及び消光時のの駆動方法の具体例
を説明する。
【0186】まず、発光動作を説明する。
【0187】外部からの制御信号により発光制御回路8
03を操作し、半導体発光素子801のコレクタからみ
て発光制御回路803を高抵抗状態とすることにより、
該半導体発光素子801は、コレクタの電位がエミッタ
とほぼ等電位となり、且つベースに対して順バイアス状
態となるため発光する。なお、この場合、発光制御回路
803は半導体発光素子801のエミッタと接続されて
いる必要はない。また、他の方法として、半導体発光素
子801は、コレクタをエミッタと直接に接続すると、
コレクタ・ベース間が順バイアス状態となるため発光す
る。
【0188】次に、消光動作を説明する。
【0189】外部からの制御信号により発光制御回路8
03を操作して、半導体発光素子801のコレクタを第
2の接地端子805と接続して接地電位を印加すると、
コレクタ・ベース間でキャリアの閉じ込めができなくな
る。その結果、エミッタから注入される電荷の大部分が
コレクタに引き抜かれるため、ベースのキャリア密度が
低下する。このとき、第7の実施形態と同様に、定電流
生成回路802によってエミッタに供給される電流量が
一定となるよう制御されているため、エミッタ・ベース
間の順バイアス電圧が低下し、ベースのキャリア密度は
大幅に低下し、素子の発光はさらに抑制される。
【0190】このように、第8の実施形態によると、3
端子構成の半導体発光素子801の消光比を容易に且つ
確実に高めることができる。
【0191】なお、第8の実施形態に係る発光制御回路
803の一例として、例えばnpn型のバイポーラトラ
ンジスタを用いてもよい。該バイポーラトランジスタの
コレクタ端子を半導体発光素子801のコレクタと接続
し、エミッタ端子を第2の接地端子805と接続し、ベ
ース端子に制御信号が入力されるように接続することに
より容易に実現することができる。この場合の制御信号
として、例えば発光時には0V(接地電位)の制御電圧
を用い、消光時には0.8V以上の正の制御電圧を用い
る。これにより、発光時はバイポーラトランジスタのコ
レクタ端子の状態が高抵抗状態となり、消光時は接地状
態に近い低電位状態(低抵抗状態)となって、本実施形
態に係る発光動作及び消光動作の制御が可能となる。
【0192】また、発光制御回路803に、pnp型の
バイポーラトランジスタを用いることもできる。すなわ
ち、バイポーラトランジスタのエミッタ端子を半導体発
光素子801のコレクタと接続し、コレクタ端子を第2
の接地端子805と接続し、ベース端子に制御信号が入
力されるようにする。この場合の制御信号として、例え
ば発光時には、半導体発光素子801の発光時のエミッ
タ電位よりも高い制御電圧を用い、消光時には0V(接
地電位)の制御電圧を用いる。これにより、発光時に
は、バイポーラトランジスタのエミッタ端子が高抵抗状
態となり、消光時は接地電位に近い0.7V程度の低電
位状態(低抵抗状態)となるため、本実施形態に係る発
光動作及び消光動作の制御が可能となる。
【0193】発光制御回路803の回路構成は、これら
npn型又はpnp型のバイポーラトランジスタに限ら
れない。すなわち、多段のトランジスタ構成でも良く、
電界効果型トランジスタ(FET)又は高電子移動度ト
ランジスタ(HEMT)等を用いることにより、駆動動
作の安定化及び高速化を図ることも可能である。従っ
て、発光制御回路803の機能を実現できれば、回路構
成は限定されない。
【0194】なお、第7及び第8の実施形態において
は、pnp型の3端子半導体発光素子を正の電源により
駆動する例を挙げたが、npn型の3端子半導体発光素
子の駆動に適用したり、また電源の正負を逆転させて実
質的に等価な回路構成とすることも容易に行なえる。
【0195】また、第7及び第8の実施形態において
は、3端子構成の半導体発光素子のベースを第1の接地
端子と直接に接地しているが、第1の接地端子との間に
抵抗器又はダイオード素子等を挿入して、ベース電位を
接地電位から上昇させることにより、発光動作及び消光
動作の制御性を改善することも可能である。
【0196】また、第7及び第8の実施形態において、
外部から入力される制御信号に対し、抵抗器及び静電容
量により構成される微分回路等を設けることにより、発
光動作の開始時の立上がり及び停止時(消光時)の立下
がりの特性を改善することも可能である。
【0197】
【発明の効果】本発明に係る第1の半導体発光素子によ
ると、消光時にキャリアが第1の半導体層に引き抜かれ
易くなる。その結果、低い逆バイアス電圧であっても、
活性層のホールの残存量を十分に低下させることができ
るので、低電圧駆動で消光比を大きくすることができ
る。
【0198】本発明に係る第2又は第5の半導体発光素
子によると、消光時にキャリアが第1の半導体層に引き
抜かれ易くなる。その結果、低い逆バイアス電圧であっ
ても、第3の半導体層のキャリアの残存量を十分に低下
させることができるので、低電圧駆動で消光比を大きく
することができる。
【0199】本発明に係る第3又は第4の半導体発光素
子によると、発光時において第3の半導体層にキャリア
が蓄積され易くなる。その結果、低い逆バイアス電圧で
あっても、発光時に第3の半導体層のキャリアの蓄積量
を十分に大きくすることができるので、低電圧駆動で消
光比を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る3端子構成のp
np型の半導体発光素子を示す構成断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子
における消光時の活性層及びその近傍の価電子帯端の電
子のエネルギー帯を示すバンド図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る3端子構成のn
pn型の半導体発光素子を示す構成断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る3端子構成のp
np型の半導体発光素子を示す構成断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子
の発光時における電子のエネルギー帯のバンド図であ
る。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子
の消光時における電子のエネルギー帯のバンド図であ
る。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る3端子構成のn
pn型の半導体発光素子を示す構成断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る3端子構成のp
np型の半導体発光素子を示す構成断面図である。
【図9】(a)は本発明の第5の実施形態に係る半導体
発光素子の消光時における電子のエネルギー帯のバンド
図である。(b)は比較用であって、無添加半導体層を
設けない半導体発光素子の消光時における電子のエネル
ギー帯のバンド図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る3端子構成の
pnp型の半導体発光素子を示す構成断面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係る半導体発光素
子の発光時における電子のエネルギー帯のバンド図であ
る。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る半導体発光素
子の消光時における電子のエネルギー帯のバンド図であ
る。
【図13】本発明の第6の実施形態の一変形例に係る半
導体発光素子の発光時における電子のエネルギー帯のバ
ンド図である。
【図14】本発明の第6の実施形態の一変形例に係る半
導体発光素子の消光時における電子のエネルギー帯のバ
ンド図である。
【図15】本発明の第7の実施形態に係る半導体発光素
子の駆動装置を示す機能ブロック図である。
【図16】本発明の第8の実施形態に係る半導体発光素
子の駆動装置を示す機能ブロック図である。
【図17】従来の3端子構成の半導体発光素子を示す構
成断面図である。
【図18】従来の半導体発光素子の発光時における電子
のエネルギー帯のバンド図である。
【図19】従来の半導体発光素子の発光時における電子
のエネルギー帯のバンド図である。
【図20】従来の半導体発光素子における消光時の活性
層及びその近傍の価電子帯端の電子のエネルギー帯を示
すバンド図である。
【符号の説明】
101 基板 102 コレクタ層 103 ベース層 104 傾斜組成層 105 活性層 106 エミッタ層 107 p型コンタクト層 108 p型コレクタ電極 109 n型ベース電極 110 p型エミッタ電極 201 絶縁性基板 202 エミッタ層 202a 高抵抗領域 203 活性層 204 傾斜組成層 205 ベース層 206 コレクタ層 207 n型コンタクト層 208 n型コレクタ電極 209 n型エミッタ電極 210 p型ベース電極 301 基板 302 コレクタ層 303 傾斜組成層 304 ベース層 305 エミッタ層 306 p型コンタクト層 307 p型コレクタ電極 308 n型ベース電極 309 p型エミッタ電極 401 基板 402 コレクタ層 402a 高抵抗領域 403 傾斜組成層 404 ベース層 405 エミッタ層 406 n型コンタクト層 407 n型コレクタ電極 408 p型ベース電極 409 n型エミッタ電極 501 基板 502 コレクタ層 503 無添加半導体層 503a コレクタ側無添加層 503b ベース側無添加層 504 ベース層 505 エミッタ層 506 p型コンタクト層 507 p型コレクタ電極 508 n型ベース電極 509 p型エミッタ電極 510 電流狭窄層 600 エネルギー障壁 601 基板 602 コレクタ層 603 低濃度ベース層 603a コレクタ側低濃度層 603b 傾斜組成層 603c ベース側低濃度層 604 ベース層 605 エミッタ層 606 p型コンタクト層 607 p型コレクタ電極 608 n型ベース電極 609 p型エミッタ電極 701 半導体発光素子 702 定電流生成回路(定電流制御手段) 703 発光制御回路(発光状態制御手段) 704 第1の接地端子(所定電位印加手段) 705 第2の接地端子 801 半導体発光素子 802 定電流生成回路(定電流制御手段) 803 発光制御回路(発光状態制御手段) 804 第1の接地端子(所定電位印加手段) 805 第2の接地端子
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−167390(JP,A) 特開 昭61−59793(JP,A) 特開 平4−75347(JP,A) 特開 平2−280338(JP,A) 特開 平3−8340(JP,A) 特開 昭61−53768(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 33/00 H01S 5/00 - 5/50

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれが第1導電型の第1の半導体層
    及び第2の半導体層と、 前記第1の半導体層及び第2の半導体層の間に設けられ
    た第2導電型の第3の半導体層と、 前記第2の半導体層と前記第3の半導体層との間に設け
    られ、前記第2の半導体層及び第3の半導体層から注入
    される電荷により発光する活性層と、 前記活性層と前記第3の半導体層との間に設けられ、前
    記活性層との界面では前記活性層の組成とほぼ同一で且
    つ前記第3の半導体層との界面では前記第3の半導体層
    の組成とほぼ同一となるように、その組成が変化する傾
    斜組成層とを備え、 前記第3の半導体層に電荷を注入するベース電極は、前
    記傾斜組成層及び活性層を介在させて前記第3の半導体
    層と接続されており、 前記活性層の禁制帯幅は前記第3の半導体層の禁制帯幅
    よりも小さい ことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記活性層及び傾斜組成層における前記
    ベース電極と前記第2の半導体層との間の領域が除去さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光
    素子。
  3. 【請求項3】 前記第2の半導体層の不純物濃度は、少
    なくとも前記第1の半導体層と対向する側の領域が前記
    第1の半導体層の不純物濃度よりも大きいことを特徴と
    する請求項1に記載の半導体発光素子。
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