JP3444876B2 - 塩基性次亜塩素酸マグネシウムの製造方法 - Google Patents

塩基性次亜塩素酸マグネシウムの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は漂白剤、殺菌剤、防カビ剤、防腐剤、脱臭
剤、鮮度保持剤等に利用できる塩基性次亜塩素酸マグネ
シウムの製造方法に関するものである。
従来の技術 次亜塩素酸塩の一種である塩基性次亜塩素酸マグネシ
ウムの製造方法に関しては、例えば、工業化学雑誌,5
6,917(1953)の緒論の部分に、それまでに報告された
製造方法がまとめて記載されている。これによると、酸
化マグネシウムと塩素を反応させる方法、硫酸マグネシ
ウムと次亜塩素酸カルシウムを反応させる方法、塩化マ
グネシウム水溶液を電気分解する方法等が、記載されて
いる。
また、次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとの
水性混合液に塩化マグネシウム水溶液を加える方法につ
いても報告されている〔例えば、生産研究,8,94−96
(1956)、スイス特許第75045号(Chem.Abst.,11,3396
(1917))、米国特許第3,582,265号〕。同様に、次亜
塩素酸カルシウムや次亜塩素酸ナトリウムと塩化マグネ
シウムを反応させる方法も知られている〔Chem.Abst.,2
9,7207(1935)、特公昭57−55642号〕。
発明が解決しようとする問題点 後に詳説する本発明と同じように、次亜塩素酸根を有
する無機化合物から塩基性次亜塩素酸マグネシウムを製
造する方法には、例えば、前記従来の技術に記載したよ
うな文献が知られており、各方法には以下のような問題
点がある。
生産研究,8,94−96(1956)には、次亜塩素酸ナトリ
ウムのアルカリ性液に塩化マグネシウム水溶液を加える
方法により塩基性次亜塩素酸マグネシウムを製造できる
こと、及び原料の使用量を変えて製造した3種類の塩基
性次亜塩素酸マグネシウムの得量とそれらの有効塩素含
有率が記載されている。しかしながら、これらの得量と
有効塩素含有率、及び原料として使用した次亜塩素酸ナ
トリウム中の有効塩素の量から計算で求められる下記の
有効塩素固定率は、それぞれ5.8%、10.2%、27.1%と
低く、満足すべき製造方法とは言えない。
なお、上記した有効塩素固定率は、下記式により定義
され、出発物質(原料)から生成物への有効塩素の移行
割合を百分率で示したものである。なお、式中有効塩素
含有率(重量%)はヨウ素滴定法により求めた。
有効塩素固定率(重量%) =得られた塩基性次亜塩素酸マグネシウムの得量
(g)×得られた塩基性次亜塩素酸マグネシウムの有効
塩素含有率(重量%)÷反応に用いた次亜塩素酸根含有
水中の有効塩素量(g) スイス特許75045号明細書〔Chem.Abst.,11,3396(191
7)〕にも、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ性液に塩
化マグネシウム溶液を加える方法により塩基性次亜塩素
酸マグネシウムを製造できることが記載されているが、
上記スイス特許明細書の例2に記載されている塩基性次
亜塩素酸マグネシウムの得量とその有効塩素含有率、及
び原料として使用した次亜塩素酸ナトリウム中の有効塩
素量から計算で求められる有効塩素固定率は34.2%と低
く、これも満足すべき製造方法とは言えない。
米国特許第3,582,265号明細書には、塩化マグネシウ
ム水溶液に次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを
含んだ水溶液を加えることにより高純度の二塩基性次亜
塩素酸マグネシウムが得られると、その例1に記載され
ているが、有効塩素固定率は35.8%にとどまっている。
その上、反応に長時間を要するため工業的製造方法とし
てこれも満足すべきものではない。
Chem.Abst.,29,7207(1935)には、次亜塩素酸カルシ
ウム水溶液に塩化マグネシウム水溶液を加えて10時間後
に塩基性次亜塩素酸マグネシウムを得る方法が記載され
ているが、下記式による反応が主反応と推定されるため
有効塩素固定率は理論値で40%に過ぎない。
特公昭57−55642号公報の実施例4には、次亜塩素酸
ナトリウムの5水和物と無水塩化マグネシウムとから二
塩基性次亜塩素酸マグネシウムの製造方法が記載されて
おり、有効塩素固定率は45%である。なお、下記式によ
る反応が主反応と推定されるため有効塩素固定率は理論
値で50%である。
4NaClO+3MgCl2+2H2O →Mg(ClO)・2Mg(OH)+4NaCl+2Cl2 このように従来の製造方法では、原料として用いた次
亜塩素酸根中の有効塩素を塩基性次亜塩素酸マグネシウ
ムの有効塩素に移行する割合、すなわち有効塩素固定率
が低かったり、反応に長時間を要した。
問題点を解決するための手段 本発明者等は、塩基性次亜塩素酸マグネシウムの製造
方法について、鋭意研究を重ねた結果、短時間の反応
で、有効塩素固定率の高い方法を見いだし、本発明を完
成するに到った。
すなわち本発明は、 (1) 次亜塩素酸根を有する無機化合物とマグネシウ
ム塩との水性混合液にアルカリ金属水酸化物を加えるこ
とにより生成する塩基性次亜塩素酸マグネシウムの製造
方法、 (2) 次亜塩素酸根1モル当りマグネシウム塩1.4〜
2.3モル及びアルカリ金属酸化物2.0〜3.5モルを使用す
る上記塩基性次亜塩素酸マグネシウムの製造方法、であ
る。
以下に本発明にかかる塩基性次亜塩素酸マグネシウム
の製造方法を詳細に説明する。
本発明で使用する原料は次亜塩素酸根を有する無機化
合物、マグネシウム塩及びアルカリ金属水酸化物であ
る。
次亜塩素酸根を有する無機化合物として、次亜塩素酸
または次亜塩素酸塩あるいはこれらの混合物や複塩を使
用する。このうち次亜塩素酸塩としては、例えば、次亜
塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カ
ルシウムなどがあり、その1種類または2種類以上ある
いは各々の水和物や複塩を1種類または2種類以上組み
合わせて使用できる。また、アルカリ金属水酸化物水溶
液や水酸化カルシウム水溶液に塩素を加えて調製するこ
ともできる。
マグネシウム塩としては、例えば、塩化マグネシウ
ム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムなどがあり、
その1種類または2種類以上あるいは各々の水和物や複
塩を1種類または2種類以上組み合わせて使用できる。
また、水酸化マグネシウムと塩酸、硫酸及び/または硝
酸を反応せて調製したものを使用することも可能であ
る。また、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナト
リウムや水酸化カリウムを1種類または2種類組み合わ
せて使用できる。
上記した原料の使用割合については、マグネシウム塩
を次亜塩素酸根1モル当り1.4モル〜2.3モル、好ましく
は1.7モル〜2.2モル、またアルカリ金属水酸化物を次亜
塩素酸根1モル当り2.0モル〜3.5モル、好ましくは2.2
モル〜3.3モルになるように使用する。
反応に使用する水の量は、次亜塩素酸根を基準にして
その1g当り7g〜200g、好ましくは15g〜150gを使用す
る。このうち、次亜塩素酸根を有する無機化合物とマグ
ネシウム塩との水性混合液において、次亜塩素酸根1g当
り7g〜75gの水を使用するのが望ましい。また、アルカ
リ金属水酸化物は固体のまま加えることも水溶液として
上記水性混合液に加えることも可能である。水溶液とし
て加える時は、次亜塩素酸根1g当り75gまで、好ましく
は60gまで、より好ましくは30gまでの水を使用するのが
望ましい。
次に、塩基性次亜塩素酸マグネシウムを製造する反応
条件や操作方法を説明する。
次亜塩素酸根を有する無機化合物の水性液にまずマグ
ネシウム塩を固形物または水溶液として添加する。ある
いは、マグネシウム塩の水溶液に上記無機化合物を固形
物または水性液として添加してもよい。添加操作は上記
した水性液あるいは水溶液を撹拌しながら行なってもよ
く、得られる水性混合液を45℃以下、好ましくは0℃〜
35℃で撹拌する。この時の水性混合液は、次亜塩素酸根
を有する無機化合物及びマグネシウム塩の種類にもよる
が、通常pHが6.0〜9.0を示し、上記原料の使用量や濃度
を調整することによって好ましくは6.5〜8.5、より好ま
しくは7.0〜8.0にpHを調整するのが望ましい。次いで、
水性混合液を撹拌しながら、pHが11を越えないようにア
ルカリ金属水酸化物を好ましくは水溶液の状態で加え
る。添加後のpHは、アルカリ金属水酸化物の使用量にも
より変化するが、8.5〜10.5の範囲を示す量のアルカリ
金属水酸化物を徐々に加えるのが好ましい。アルカリ金
属水酸化物の添加後も撹拌を継続するのが好ましく、反
応混合物から白色の塩基性次亜塩素酸マグネシウムが十
分に析出したところで、この析出物を濾取し、得られる
粗生成物を水で洗浄し、乾燥する。
上記のようにして製造される塩基性次亜塩素酸マグネ
シウムはそのままで、前記『生産研究』に記載の漂白
剤、殺菌剤、防カビ剤、防腐剤、脱臭剤、鮮度保持剤等
の用途のほか、例えば、石膏、セメント、紙、塗料、熱
可塑性高分子に添加することも可能であり、広範な目的
に使用可能である。
以下に、実施例1〜12および比較例1〜5を示しなが
ら、本発明を具体的に説明する。
各実施例の理解を容易にするために、使用した原料の
種類、次亜塩素酸根を有する無機化合物の濃度、次亜塩
素酸根に対するマグネシウム塩及びアルカリ金属水酸化
物のモル比等を下記の表1に示す。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の調製 水酸化ナトリウム48.15重量%の含有の水酸化ナトリ
ウム水溶液328.9kgを25℃で撹拌下に水106.6kgで希釈し
ながら、気体の塩素138.12kgを吸収させた。次いで、析
出物を濾別し、得られた濾液481.3kgを水518.7kgで希釈
し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液1000kgを得た。
この水溶液は次亜塩素酸ナトリウムを13.92重量%、
水酸化ナトリウムを0.25重量%含有しており、比重が1.
145であった。
上記次亜塩素酸ナトリウム水溶液を実施例1で使用し
た。同様に上記方法に準じた実施操作により、実施例2
〜10と12及び比較例1と2で使用する次亜塩素酸ナトリ
ウム水溶液を調製した。
実施例1 前記した次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mを1の
ビーカーに入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。この水
溶液へ水溶液1に塩化マグネシウム6水和物500gを含
む塩化マグネシウム水溶液173mを10秒間で加え、5分
間撹拌した。(この時のpH7.96) 次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム325gを含む水酸化ナトリウム水溶液78mを120分
間で加えたところ、添加後のpHは9.75を示した。得られ
る白色のスラリーをさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム30.8gを得た。このものの有効塩素含有
率は43.16%であり、したがって、有効塩素固定率は87.
6%であった。
実施例2 次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム
13.82重量%含有、比重1.142)78mを1のビーカー
に入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。この水溶液へ水
溶液1に塩化マグネシウム6水和物500gを含む塩化マ
グネシウム水溶液118mを10秒間で加えて5分間撹拌し
た。
次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム324gを含む水酸化ナトリウム水溶液54mを90分
間で加えたところ、添加後のpHは10.0を示した。得られ
る白色のスラリーをさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム21.6gを得た。このものの有効塩素含有
量は44.42%であり、したがって、有効塩素固定率は81.
8%であった。
実施例3 次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム
13.96重量%含有、比重1.138)100mを1のビーカー
に入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。この水溶液へ水
溶液1に塩化マグネシウム6水和物500gを含む塩化マ
グネシウム水溶液173mを10秒間で加えて5分間撹拌し
た。
次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム325gを含む水酸化ナトリウム水溶液81mを90分
間で加えたところ、添加後のpHは10.03を示した。得ら
れる白色のスラリーをさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム31.95gを得た。このものの有効塩素含有
量は40.8%であり、したがって、有効塩素固定率は86.1
%であった。
実施例4 次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム
14.69重量%含有、比重1.147)100mを1のビーカー
に入れ、恒温槽で18℃の水溶液とした。この水溶液へ水
溶液1に塩化マグネシウム6水和物705gを含む塩化マ
グネシウム水溶液114mを10秒間で加えて5分間撹拌し
た。
次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム325gを含む水酸化ナトリウム水溶液70mを90分
間で加えたところ、添加後のpHは10.02を示した。得ら
れる白色のスラリーをさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム28.6gを得た。このものの有効塩素含有
量は45.28%であり、したがって、有効塩素固定率は79.
2%であった。
実施例5 次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム
13.80重量%含有、比重1.142)100mを1のビーカー
に入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。
この水溶液へ塩化マグネシウム6水和物85.88gを1分
間で加えて4分間撹拌した。(この時のpH7.00) 次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム326gを含む水酸化ナトリウム水溶液78mを75分
間で加えたところ、添加後のpHは9.72を示した。得られ
る白色のスラリーをさらに80分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム30.0gを得た。このものの有効塩素含有
量は41.31%であり、したがって、有効塩素固定率は82.
6%であった。
実施例6 次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム
13.80重量%含有、比重1.142)100mを1のビーカー
に入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。この水溶液へ水
溶液1に塩化マグネシウム6水和物600gを含む塩化マ
グネシウム水溶液107mを10秒間で加えて5分間撹拌し
た。(この時のpH7.77) 次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム326gを含む水酸化ナトリウム水溶液52mを90分
間で加えたところ、添加後のpHは8.86を示した。得られ
る白色のスラリーをさらに60分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム22.4gを得た。このものの有効塩素含有
量は46.55%であり、したがって、有効塩素固定率は69.
5%であった。
実施例7 次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム
32.41重量%含有、比重1.351)50mを1のビーカー
に入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。この水溶液へ水
溶液1に塩化マグネシウム6水和物700gを含む塩化マ
グネシウム水溶液170mを10秒間で加えて2分間撹拌し
た。(この時のpH6.35) 次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム327gを含む水酸化ナトリウム水溶液113mを90分
間で加えたところ、添加後のpHは9.90を示した。得られ
る白色のスラリーをさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム42.3gを得た。このものの有効塩素含有
量は33.54%であり、したがって、有効塩素固定率は68.
0%であった。
実施例8 次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム
32.95重量%含有、比重1.361)50mを1のビーカー
に入れ、恒温槽で23℃の水溶液とした。この水溶液へ水
溶液1に塩化マグネシウム6水和物600gを含む塩化マ
グネシウム水溶液178mを10秒間で加えて5分間撹拌し
た。(この時のpH6.90) 次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム100gを含む水酸化ナトリウム水溶液312mを90分
間で加えたところ、添加後のpHは10.0を示した。得られ
る白色のスラリーをさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム37.6gを得た。このものの有効塩素含有
量は44.78%であり、したがって、有効塩素固定率は78.
8%であった。
実施例9 次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム
13.80重量%含有、比重1.142)100mを1のビーカー
に入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。この水溶液へ水
溶液1に硝酸マグネシウム6水和物600gを含む硝酸マ
グネシウム水溶液180mを10秒間で加えて5分間撹拌し
た。(この時のpH7.92) 次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム326gを含む水酸化ナトリウム水溶液77.5mを90
分間で加えたところ、添加後のpHは10.00を示した。得
られる白色のスラリーをさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム30.5gを得た。このものの有効塩素含有
量は42.74%であり、したがって、有効塩素固定率は86.
8%であった。
実施例10 次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム
13.80重量%含有、比重1.140)100mを1のビーカー
に入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。この水溶液へ水
溶液1に硫酸マグネシウム7水和物300gを含む硫酸マ
グネシウム水溶液346mを10秒間で加えて5分間撹拌し
た。(この時のpH9.07) 次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム100gを含む水酸化ナトリウム水溶液220mを90分
間で加えたところ、添加後のpHは10.01を示した。得ら
れる白色のスラリーをさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム26.8gを得た。このものの有効塩素含有
量は39.52%であり、したがって、有効塩素固定率は70.
7%であった。
実施例11 1のビーカーに水88mを入れて22℃の恒温槽に浸
し、攪拌しながら有効塩素含有率66重量%の次亜塩素酸
カルシウム20gを加えた。この水溶液へ水溶液1に塩
化マグネシウム6水和物600gを含む塩化マグネシウム水
溶液95mを10秒間で加えて5分間撹拌した。(この時
のpH7.31) 次いで、この混合水溶液に、水溶液1に水酸化ナト
リウム327gを含む水酸化ナトリウム水溶液50mを90分
間で加えたところ、添加後のpHは10.06を示した。得ら
れる白色のスラリーをさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム21.5gを得た。このものの有効塩素含有
量は41.14%であり、したがって、有効塩素固定率は67
%であった。
実施例12 0.80mo/の次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mを
1のビーカーに入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。
この水溶液へ水溶液1に塩化マグネシウム6水和物20
0gを含む塩化マグネシウム水溶液163mを5秒間で加え
て5分間撹拌した。(この時のpH8.81)次いで、この混
合水溶液に1mo/の水酸化ナトリウム水溶液240m
を90分で加え、さらに40分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム10.85gを得た。このものの有効塩素含有
率は38.71%であり、したがって、有効塩素固定率は74.
0%であった。
前記した生産研究,8,94−96(1956)に記載の製造方
法に比べて、本発明にかかる製造方法の方が優れている
ことを以下の比較例1,2と上記実施例12とにより証明す
る。
なお、比較例1,2及び実施例12で使用した各水溶液は
『生産研究』の第5表中段と同じ濃度のものを用い、比
較例1はこの第5表に記載されている中段の仕込量に拠
った。その理由は以下による。
沈澱物の主成分を三塩基性次亜塩素酸マグネシウムと
し、有効塩素含有率で純度補正をして、上記「第5表」
の上段、中段、下段各々の収率を水酸化ナトリウムの仕
込量を基準にして求めると111%、82%、472%になって
いる。したがって、化学量論的に追試可能な中段を選ん
だ。
ちなみに、『生産研究』の第5表を表2として下記に
抜粋して示す。
比較例1 0.80mo/の次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mを
1のビーカーに入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。
この水溶液へ1mo/の水酸化ナトリウム水溶液30m
を5秒間で加えて5分間撹拌した。(この時のpH13.0
2)次いで、この次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ性液
に、水溶液1に塩化マグネシウム6水和物200gを含む
塩化マグネシウム水溶液100mを120分間で加えたとこ
ろ、添加後のpHは8.60を示し、得られる白色のスラリー
をさらに30分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム1.37gを得た。このものの有効塩素含有
率は38.11%であり、したがって、有効塩素固定率は9.2
%であった。
比較例1では次亜塩素酸ナトリウム1モル当りの水酸
化ナトリウムと塩化マグネシウム各々の使用モル数が0.
375モルと1.23モルであり、三塩基性次亜塩素酸マグネ
シウムを生成させるのに各々必要な当量3モルと2モル
に比べてはるかに少ない。これが原因で有効塩基固定率
が悪いとも考えられる。
そこで、比較例1で用いた各々の水溶液を三塩基性次
亜塩素酸マグネシウムを生成させるのに必要な当量とな
るように用いた比較例2を実施した。
比較例2 0.80mo/の次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mを
1のビーカーに入れ、恒温槽で22℃の水溶液とした。
この水溶液へ1mo/の水酸化ナトリウム水溶液240m
を5秒間で加えて5分間撹拌した。(この時のpH13.2
3)次いで、この次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ性液
に、水溶液1に塩化マグネシウム6水和物200gを含む
塩化マグネシウム水溶液163mを90分間で加えたとこ
ろ、添加後のpHは9.48を示し、白色のスラリーをさらに
40分間撹拌した。
その後、白色の析出物を吸引濾取し、得られた粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム8.1gを得た。このものの有効塩素含有率
は14.85%であり、したがって、有効塩素固定率は21.2
%であった。
さらに、前記したスイス特許75045号明細書〔Chem.Ab
st.,11,3396(1917)〕に記載の製造方法に比べても本
発明にかかる製造方法が優れていることを証明するた
め、比較例3〜5を示す。
次の比較例3はスイス特許75045号明細書の例2の仕
込量で反応を行なった。
比較例3 水酸化ナトリウム52.8g(1.32モル)を水に溶かし1
とし、塩素26.8g(0.378モル)を加えて、次亜塩素酸
ナトリウムのアルカリ性液を調製した。この次亜塩素酸
ナトリウムのアルカリ性液を撹拌し、そこへ塩化マグネ
シウム47g(0.494モル)を水にとかし200mにしたもの
を90分間で加えた。この時のpHは12.81を示し、さらに3
0分間撹拌した。
次いで、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム28gを得た。このものの有効塩素含有率
は3.30%であり、したがって、有効塩素固定率は3.4%
であった。
このように、上記比較例3の有効塩素固定率が極めて
低かったので、次の比較例4は塩化マグネシウム添加後
の反応混合物の撹拌時間を16時間にした。
比較例4 次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ性液に塩化マグネシ
ウム水溶液を加えた前記比較例3の反応混合物を、さら
に16時間撹拌した。
次いで、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム29.06gを得た。このものの有効塩素含有
率は4.24%であり、したがって、有効塩素固定率は4.6
%であった。
このように、反応混合物を長時間撹拌しても有効塩素
固定率に改善はみられなかった。
次の比較例5は、次亜塩素酸ナトリウム1モル当りの
塩化マグネシウム量をスイス特許75045号明細書の例2
に記載の1.31モルから、三塩基性次亜塩素酸ナトリウム
を生成させるのに必要な2モルに仕込量を増やした。
比較例5 水酸化ナトリウム水溶液52.8gを水に溶かし1にし
たものを2のビーカーに入れ、氷水で冷却し撹拌下、
塩素26.8gを加えて、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ
性液を調製した。この次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ
性液を22℃の恒温槽に浸し撹拌下、塩化マグネシウム7
1.73g(0.753モル)を水にとかし200mにしたものを90
分間で加えた。この時のpHは9.67を示し、さらに40分間
撹拌した。
次いで、白色の析出物を吸引濾取して得られる粗生成
物を水で洗浄し、吸引濾取後、乾燥して塩基性次亜塩素
酸マグネシウム45.8gを得た。このものの有効塩素含率
量は23.14%であり、したがって、有効塩素固定率は39.
5%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 11/06 A01N 59/08 A23L 3/358 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次亜塩素酸根を有する無機化合物とマグネ
    シウム塩との水性混合液にアルカリ金属水酸化物を加え
    ることを特徴とする塩基性次亜塩素酸マグネシウムの製
    造方法。
  2. 【請求項2】前記次亜塩素酸根1モル当りマグネシウム
    塩1.4〜2.3モル及びアルカリ金属水酸化物2.0〜3.5モル
    を使用する請求項(1)記載の塩基性次亜塩素酸マグネ
    シウムの製造方法。
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