JP3444710B2 - まくら木の敷設方法 - Google Patents

まくら木の敷設方法

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JP3444710B2 JP33064595A JP33064595A JP3444710B2 JP 3444710 B2 JP3444710 B2 JP 3444710B2 JP 33064595 A JP33064595 A JP 33064595A JP 33064595 A JP33064595 A JP 33064595A JP 3444710 B2 JP3444710 B2 JP 3444710B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に分岐部やレー
ルの継ぎ目部に敷設するまくら木の敷設方法に関し、詳
しくは軌道沈下、横ずれ、振動及びまくら木の表面の摩
耗をそれぞれ防止することができるようにしたまくら木
の敷設方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】まくら木は材質により、木まくら木、P
C(Prestressed Concrete) まくら木、合成まくら木な
どに分類される。木まくら木は弾性に富み、レールの締
結が容易、取り扱いが容易、価格が低廉であるといった
ような利点がある。しかし、木まくら木は耐用年数が短
く、軌道の道床抵抗が小さいといった欠点があるだけで
なく、木材資源が枯渇している。したがって、近年では
木まくら木よりもPCまくら木の利用が増加している。
【0003】PCまくら木は内蔵する鋼線であらかじめ
コンクリートにストレスを加えておき、ストレスのある
状態で使用して、曲げに対する抵抗力を強化したもので
ある。したがって、PCまくら木は木まくら木に比べて
コストが約2倍となるが、曲げ荷重に対してヒビが入り
にくく、耐用年数が木まくら木に比べて約5倍と長い
他、弾性締結により保守が軽減できるなどの利点があ
る。ただし、分岐部やレールの継ぎ目部では列車荷重と
横圧がかり、振動が激しいため、PCまくら木を使用す
ることができない。
【0004】したがって、分岐部やレールの継ぎ目部で
は木まくら木又は合成まくら木が使用されている。合成
まくら木はガラス長繊維と硬質発泡ポリウレタンなどの
発泡樹脂とで構成される成形体、例えばシート状のもの
を何枚か積層して形成したものであり、軽くて強度があ
るだけでなく、耐久性に優れている。
【0005】いずれのまくら木であっても、路盤上に積
まれた道床内に敷設される。道床は路線の条件により、
バラスト道床、コンクリート道床、スラブ道床などが選
定される。バラスト道床は建設費が割安であること、軌
道狂いの整正が比較的容易なことから、コンクリート道
床やスラブ道床よりも多く採用されている。バラストは
列車からレールを介してまくら木に加えられる荷重を広
く分散させて路盤に伝え、車両の左右動、レールの伸縮
によるまくら木の移動を防止し、車両走行に伴う振動エ
ネルギーを吸収するものであり、砂利や砕石などが採用
される。
【0006】しかし、このバラストに採用する砂利や砕
石は、花崗岩や安山岩などのように堅くて靱性に富んだ
石であるため、バラストがまくら木を摩耗させて、まく
ら木の表面を凹ませるといった不具合があった。特に、
分岐部やレールの継ぎ目部に敷設されたまくら木は、列
車の通過により、軌道沈下や、時には横ずれが起こり、
軌道が上下するといったいわゆる「あおり」現象が発生
する。しかも、分岐部やレールの継ぎ目部に使用するま
くら木は、木まくら木や合成まくら木が多用されるか
ら、そのまくら木の表面に凹みが生じやすい。
【0007】すなわち、木まくら木は柔らかいため、バ
ラストと接触している木まくら木の表面が摩擦によって
摩耗し、凹みが発生する。他方、合成まくら木はガラス
長繊維と硬質の発泡樹脂とで構成されているため、欠け
たり削れたりといった点で、木まくら木よりもむしろ摩
耗しやすい。いずれのまくら木にしても、表面が摩耗し
て凹みが発生すると、その凹み内にバラストが入り込
み、凹みが益々拡大し、耐用年数が短くなってしまうと
いった不具合がある。
【0008】このような不具合に鑑み、本出願人は上記
の課題を解決するためのまくら木を、実願平3−796
84に開示している。このまくら木は、道床敷設面に、
まくら木本体の長軸にほぼ直交する方向の凸条を1カ所
以上形成したものである。この凸条がバラストに食い込
むことにより、まくら木が長軸方向にずれにくいように
なり、バラストと擦れ合う頻度が減少してまくら木の磨
耗が防止される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の実願平3−79
684に開示されたまくら木は、道床敷設面に形成した
凸条によって横ずれが生じないようになっている。しか
し、まくら木の道床敷設面に凸条を形成しただけでは、
軌道が上下するいわゆる「あおり」現象を防止すること
はできない。したがって、従来のまくら木では、バラス
トと接触する表面が摩擦され、表面に凹みが生じるとい
った課題は依然として解決されていなかった。
【0010】そこで本発明は、横ずれだけでなく、軌道
沈下、振動及びまくら木の表面の摩耗をそれぞれ防止す
ることができるようにしたまくら木の敷設方法を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】 上記の課題を解決するた
めの第の手段は、上面を開口した鉄筋コンクリート製
の箱体を敷設現場に敷設し、前記箱体内にまくら木本体
を収納し、前記まくら木本体とレールとを締結すること
を特徴とするまくら木の敷設方法である。
【0012】 上記の第の手段によれば、箱体とまくら
木本体とを別々に敷設現場まで搬送するため、箱体とま
くら木本体とを一体に搬送するよりも、まくら木を搬送
する作業が軽易になる。したがって、箱体とまくら木本
体とを別々に搬送する方が、まくら木を一体に搬送する
場合よりも、軽量化することが可能になり、より簡便な
輸送が可能となる。
【0013】 上記の課題を解決するための第の手段
は、上面を開口した鉄筋コンクリート製の箱体の底部に
弾性材を配置し、前記箱体を敷設現場に敷設し、前記箱
体内にまくら木本体を収納し、前記まくら木本体とレー
ルとを締結し、箱体とまくら木本体との隙間に液状の弾
性材原料を充填し、弾性材原料を硬化させることを特徴
とするまくら木の敷設方法である。
【0014】 上記の第の手段によれば、箱体とまくら
木本体とを別々に敷設現場まで搬送可能であるため、箱
体とまくら木本体とを一体に搬送するよりも、まくら木
を搬送する作業が容易になる。そして敷設現場におい
て、本まくら木はまくら木本体が箱体内に収納され、ま
くら木は大型化かつ重量化し、横ずれや振動などを起こ
しにくくなる。またまくら木本体は、鉄筋コンクリート
製の箱体内に収納されるため、まくら木本体がバラスト
などによって摩耗することがない。しかも、レールを締
結したまくら木本体に伝達された振動は、まくら木本体
と箱体との間に介在させた弾性材によって吸収される。
したがって、箱体が横ずれや振動を起こしにくくなり、
箱体がバラストによって擦られることが少なくなる。さ
らに本方法では、箱体の底部に予め弾性材を配置してお
くので、まくら木本体の底と箱体との間への弾性材の介
在が容易である。また予めまくら木本体の底に弾性材を
介在させておくことにより、一定のバネ係数を付与する
ことができ、さらにまくら木の天地方向の高さが確定す
るので、まくら木を敷設する際の水準合わせが容易であ
る。
【0015】 上記第、第の手段を改良した第の手
段は、鉄筋コンクリート製の箱体に代わって、補強材を
有するレジンコンクリート製箱体を使用した上記第1、
第2に記載のまくら木の敷設方法である。
【0016】 ここで補強材は、レジンコンクリートに一
般に使用されるものが適宜選択され、通常の鉄筋の他、
メッシュ、鉄線、鋼繊維、ガラス繊維等が使用可能であ
る。レジンコンクリートは高強度であり又、耐磨耗性が
高いため、本発明の目的に合致する。
【0017】
【発明の実施の形態】 本発明の実施の形態を図1を参照
しながら説明する。図1は、本発明に係るまくら木の敷
設方法の工程を示す断面図である。
【0018】 まず、箱体 10、まくら木本体20及び弾
性材30、製造場所から敷設現場まで別々に搬送す
る。そして敷設現場において、箱体10の底面に所定の
厚さの弾性材30を配置する。底面の弾性材30は、予
め所定の寸法に成形したゴム板やウレタン樹脂板が一般
に採用されるが、ウレタン等の液状原料を箱体10の底
面に所定量流し込み、作業現場で原料を反応させてウレ
タン等を形成しても良い。底面に弾性材30を配置した
箱体10は、概略の水準合わせをして、図2(a)に示
すようにバラスト1とともにバラスト軌道上に敷設す
る。そして、箱体10内の弾性材30の上にまくら木本
体20を設置する。
【0019】 次に図2(b)に示すように、このまくら
木本体20とレール2とを締結装置3を利用して固定す
る。そして、箱体10の周囲のバラスト1をタンパーで
締め固めすると共に、レール2の水準合わせをする。本
実施形態では、まくら木本体20の底にある弾性材30
は、予め成形されたものであり、厚さの変化は少ないの
でまくら木本体20の上面の高さは確定する。したがっ
てレール2の水準合わせは比較的容易である。そしてそ
の後、図2(c)に示すように、箱体10とまくら木本
体20との側面の隙間にウレタン液等の液体の弾性材原
料を充填してこれを反応硬化させ、弾性材30を形成す
ると、まくら木が完成する。このように、箱体10とま
くら木本体20と別々に敷設現場まで搬送することによ
り、軽量化が図られ、作業性が向上する。
【0020】 このような箱体10は鉄筋を配筋した補強
材を内部に有するコンクリート製とする。あるいは鉄筋
その他の補強材を内部に有するレジンコンクリートを使
用して箱体10を製造することもできる。箱体10内に
収納するまくら木本体20は、木製でも差し支えない
が、腐蝕や寸法変化のない合成まくら木等の樹脂製のま
くら木の方が好適である。公知の合成まくら木は、前述
の通りであるが、他にまくら木本体20の素材として、
例えば硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した発泡
体( 積水化学工業株式会社製 商品名エスロンネオラン
バー FFU等)を単層で、或いは積層して使用する事
も可能である。硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強
した発泡体は、極めて丈夫であり、且つ鋸引きやタップ
加工が可能であり、寸法切りやタイプレートの設置面を
切削加工することにより、まくら木本体20として利用
できる。箱体10とまくら木本体20との隙間に介在さ
せる弾性材は、ゴム板でも差し支えないが、重要な動バ
ネ係数を合わせ易く、また耐久性もよいウレタンエラス
トマーが好適である。動バネ係数は約0.5〜5トン/
cmが望ましい。
【0021】 このようにして敷設されたまくら木は、ま
くら木本体20が箱体10内に収納された状態にあるた
め、大型化かつ重量化される。また、まくら木本体20
は箱体10によってバラスト1から保護された状態にな
る。
【0022】
【実施例】 本実施例は、 まくら木を敷設する際の作業性
向上に重点をおいた例であり、箱体とまくら木本体との
隙間に充填材を介在させる場合において、まくら木本体
のサイズが厚さ140 ×幅230 ×長さ2700mmであるとき
は、箱体の内空間の寸法はそれぞれ145 ×235 ×2705mm
とし、箱体の厚さは50〜60mmとする。この場合はまくら
木本体と箱体との片側の隙間は2.5mm となる。この隙間
にウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の
充填材を流し込み、まくら木本体と箱体とを一体化させ
る。
【0023】
【発明の効果】 請求項1,2及び3 に記載の発明によれ
ば、本発明に係るまくら木が重量化しても、敷設現場ま
でまくら木本体と箱体とを別々に搬送することにより、
その搬送作業は軽易となる。したって、本発明に係るま
くら木を敷設することによって、作業性が低下するとい
った不具合も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るまくら木の敷設工程を示す断面図
であって、(a)は、弾性材を底面に設置した箱体を敷
設現場に敷設した段階の側面断面図であり、(b)は、
箱体内にまくら木本体を収納し、そのまくら木本体にレ
ールを締結装置によって固定した段階の側面断面図であ
り、(c)は、まくら木本体と箱体との側面の隙間に弾
性材を介在させた最終段階の側面断面図である。
【符号の説明】
2 レール 10 箱体 11 上面 20 まくら木本体 30 弾性材

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上面を開口した鉄筋コンクリート製の箱
    体を敷設現場に敷設し、前記箱体内にまくら木本体を収
    納し、前記まくら木本体とレールとを締結することを特
    徴とするまくら木の敷設方法。
  2. 【請求項2】 上面を開口した鉄筋コンクリート製の箱
    体の底部に弾性材を配置し、前記箱体を敷設現場に敷設
    し、前記箱体内にまくら木本体を収納し、前記まくら木
    本体とレールとを締結し、箱体とまくら木本体との隙間
    に液状の弾性材原料を充填し、弾性材原料を硬化させる
    ことを特徴とするまくら木の敷設方法。
  3. 【請求項3】 鉄筋コンクリート製の箱体に代わって、
    補強材を有するレジンコンクリート製箱体を使用した請
    求項1又は2に記載のまくら木の敷設方法。
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