JP3444685B2 - 河川のリン除去方法 - Google Patents
河川のリン除去方法Info
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- JP3444685B2 JP3444685B2 JP02456695A JP2456695A JP3444685B2 JP 3444685 B2 JP3444685 B2 JP 3444685B2 JP 02456695 A JP02456695 A JP 02456695A JP 2456695 A JP2456695 A JP 2456695A JP 3444685 B2 JP3444685 B2 JP 3444685B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、河川水中に含まれる微
量なリン酸イオンを除去する新技術に関する。
量なリン酸イオンを除去する新技術に関する。
【0002】
【従来の技術】河川、湖沼、ダム湖、海等の水域の富栄
養化を防止するために、流入河川に含まれるリンを除去
する試みが近年始められている。例えば、富栄養化に伴
う現象の典型として、アオコや赤潮の発生などがある
が、そのような現象は、0.05ppm(mg/リット
ル)以上のリン濃度下で非常に起き易いとされている。
従来の河川に含まれるリンの除去方法は、凝集沈殿装置
を陸上に設置し、河川水をポンプアップし硫酸アルミニ
ウム等の凝集剤を添加してリンを凝集させた後、生成フ
ロックを沈殿分離する方法が知られている。しかし、こ
の方法は化学プラント的な凝集沈殿装置、ポンプ、配
管、大きなポンプ動力等が必要であり設備費、動力費が
高価であるほか、装置を設置する広いスペースが陸上に
必要であるという欠点があった。また観光地の河川から
リン除去を行おうとする場合、このような装置を設置す
ると自然の景観を損なうという欠点があった。また凝集
沈殿処理にともなって発生する難脱水性汚泥の処理処分
が必要であるという欠点もあった。
養化を防止するために、流入河川に含まれるリンを除去
する試みが近年始められている。例えば、富栄養化に伴
う現象の典型として、アオコや赤潮の発生などがある
が、そのような現象は、0.05ppm(mg/リット
ル)以上のリン濃度下で非常に起き易いとされている。
従来の河川に含まれるリンの除去方法は、凝集沈殿装置
を陸上に設置し、河川水をポンプアップし硫酸アルミニ
ウム等の凝集剤を添加してリンを凝集させた後、生成フ
ロックを沈殿分離する方法が知られている。しかし、こ
の方法は化学プラント的な凝集沈殿装置、ポンプ、配
管、大きなポンプ動力等が必要であり設備費、動力費が
高価であるほか、装置を設置する広いスペースが陸上に
必要であるという欠点があった。また観光地の河川から
リン除去を行おうとする場合、このような装置を設置す
ると自然の景観を損なうという欠点があった。また凝集
沈殿処理にともなって発生する難脱水性汚泥の処理処分
が必要であるという欠点もあった。
【0003】他の方法として、粒状の脱リン材(鹿沼
土、アロフェン等を粒径数cmの粒状に成型したもの
等)を河川中に充填し河川水をこの充填部に流通させリ
ンを除去しようとの試みも行われている。しかし豪雨時
に河川の濁質量が急増し、この濁質によって脱リン材の
充填部が速やかに閉塞してしまうとう欠点があった。ま
た脱リン材が豪雨時の河川流量増加時に流出してしまわ
ないようにするために脱リン材を粒径数cmの粒状物に
しているので表面積が小さく、したがってリン吸着速度
も小さいという欠点があった。このため、大量の脱リン
材を河川に充填しなければ効果的なリン除去が行えない
という問題があった。そのための大量の脱リン材を製作
する設備、製造コストが多額であるほか、大量の脱リン
材を現場に輸送し、河川中に充填する工事が煩雑であ
り、そのコストも多額であるという欠点もあった。さら
にリン除去能力が飽和に達した廃脱リン材の処分が困難
であり、廃脱リン材を新しい脱リン材に交換する工事も
面倒であった。
土、アロフェン等を粒径数cmの粒状に成型したもの
等)を河川中に充填し河川水をこの充填部に流通させリ
ンを除去しようとの試みも行われている。しかし豪雨時
に河川の濁質量が急増し、この濁質によって脱リン材の
充填部が速やかに閉塞してしまうとう欠点があった。ま
た脱リン材が豪雨時の河川流量増加時に流出してしまわ
ないようにするために脱リン材を粒径数cmの粒状物に
しているので表面積が小さく、したがってリン吸着速度
も小さいという欠点があった。このため、大量の脱リン
材を河川に充填しなければ効果的なリン除去が行えない
という問題があった。そのための大量の脱リン材を製作
する設備、製造コストが多額であるほか、大量の脱リン
材を現場に輸送し、河川中に充填する工事が煩雑であ
り、そのコストも多額であるという欠点もあった。さら
にリン除去能力が飽和に達した廃脱リン材の処分が困難
であり、廃脱リン材を新しい脱リン材に交換する工事も
面倒であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように例えば、
凝集沈殿装置、揚水ポンプ、配管等の大規模の設備を必
要とするような技術、あるいは例えば、粒状の脱リン材
によるリン除去方法などの従来技術があるがそれらには
前記したような諸欠点がある。本発明は河川水中に含ま
れるリンを除去するのに、前記従来技術が有する諸欠点
を根本的に解決して、設備が全く不要であり、予め大量
の脱リン材を製作することが不要な新技術を提供するこ
とを課題とするものである。
凝集沈殿装置、揚水ポンプ、配管等の大規模の設備を必
要とするような技術、あるいは例えば、粒状の脱リン材
によるリン除去方法などの従来技術があるがそれらには
前記したような諸欠点がある。本発明は河川水中に含ま
れるリンを除去するのに、前記従来技術が有する諸欠点
を根本的に解決して、設備が全く不要であり、予め大量
の脱リン材を製作することが不要な新技術を提供するこ
とを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、次
の(1)に示す、あるいはより具体的には次の(2)〜
(4)に示す本発明の河川のリン除去方法によって解決
される。すなわち、 (1)水酸化鉄又は水酸化アルミニウムよりなる粒径1
00μm以下のリン吸着性を有する微粒子を、河川の流
水部の水中に添加して懸濁状態で流下させ、河川の自然
の滞留部および/または人工の滞留部において沈澱させ
ることを特徴とする河川のリン除去方法。 (2)前記リン吸着性を有する微粒子が、塩化第2鉄、
硫酸第2鉄、ポリ硫酸鉄、硫酸アルミニウム、ポリ塩化
アルミニウム、アルミン酸ナトリウムより選ばれた鉄塩
又はアルミニウム塩の少なくとも1種の塩水溶液をアル
カリ又は酸で中和して生じたものであることを特徴とす
る前記(1)に記載の河川のリン除去方法。 (3)前記リン吸着性を有する微粒子が、鹿沼土、アロ
フェン、鉄粉より選ばれた少なくとも1種を粉砕して得
られるものであることを特徴とする前記(1)に記載の
河川のリン除去方法。 (4)前記リン吸着性を有する微粒子が、アルミニウム
塩又は鉄塩の水溶液を河川水に注入し、該河川水中の水
酸基と反応して生成したものであることを特徴とする前
記(1)に記載の河川のリン除去方法。
の(1)に示す、あるいはより具体的には次の(2)〜
(4)に示す本発明の河川のリン除去方法によって解決
される。すなわち、 (1)水酸化鉄又は水酸化アルミニウムよりなる粒径1
00μm以下のリン吸着性を有する微粒子を、河川の流
水部の水中に添加して懸濁状態で流下させ、河川の自然
の滞留部および/または人工の滞留部において沈澱させ
ることを特徴とする河川のリン除去方法。 (2)前記リン吸着性を有する微粒子が、塩化第2鉄、
硫酸第2鉄、ポリ硫酸鉄、硫酸アルミニウム、ポリ塩化
アルミニウム、アルミン酸ナトリウムより選ばれた鉄塩
又はアルミニウム塩の少なくとも1種の塩水溶液をアル
カリ又は酸で中和して生じたものであることを特徴とす
る前記(1)に記載の河川のリン除去方法。 (3)前記リン吸着性を有する微粒子が、鹿沼土、アロ
フェン、鉄粉より選ばれた少なくとも1種を粉砕して得
られるものであることを特徴とする前記(1)に記載の
河川のリン除去方法。 (4)前記リン吸着性を有する微粒子が、アルミニウム
塩又は鉄塩の水溶液を河川水に注入し、該河川水中の水
酸基と反応して生成したものであることを特徴とする前
記(1)に記載の河川のリン除去方法。
【0006】本発明の技術思想の骨子は、本発明者らが
行った実験結果から得られた新知見に基づいており、ま
た以下に述べるように河川自体の運搬・堆積作用を利用
して効果的にリンを除去し、従来技術の多くの欠点を完
全に解決したものである。図1を用いて本発明の原理を
以下に説明する。図1において、ダム湖2に上流側河川
1から河川水が運ばれ下流側河川3から河川水が流出す
る。上流側河川1のA点においてリン除去材(例えば水
酸化アルミニウムの微粒子)を添加する。河川1には流
れの速い部分(瀬の部分)と緩やかな部分(淵の部分)
とがあり、流れの速い部分には攪拌作用および運搬作用
がある。また流れが緩やかな場所には沈殿作用がある。
本発明者らはこの自然現象に着目し、後記するような方
法で作成した、粒径がミクロンオーダーの微粒子状リン
除去材を微量河川水中に添加すると、該微粒子状脱リン
材が河川水中で短時間に沈殿することなく河川1の流れ
に乗って懸濁しながら流下し、その過程でリンを効果的
に吸着除去するすることを見い出した。(粒径が大きい
粒子は速やかに川底に沈殿してしまうので適さない)し
かも、リンを吸着除去した微粒子状リン除去材は河川水
中に添加すると川の流れに乗って流下する間に徐々に川
底に沈殿し分離されることが見出された。しかしダム湖
2の入口B点に達するまで微粒子状脱リン材は完全には
沈澱することなく河川水中のリンを吸着除去する。な
お、流速の小さい、従って運搬作用の小さい河川におい
ては、リン吸着材を添加したポイントの下流で曝気など
を行うなどして攪拌作用を生起させれば効果的である。
行った実験結果から得られた新知見に基づいており、ま
た以下に述べるように河川自体の運搬・堆積作用を利用
して効果的にリンを除去し、従来技術の多くの欠点を完
全に解決したものである。図1を用いて本発明の原理を
以下に説明する。図1において、ダム湖2に上流側河川
1から河川水が運ばれ下流側河川3から河川水が流出す
る。上流側河川1のA点においてリン除去材(例えば水
酸化アルミニウムの微粒子)を添加する。河川1には流
れの速い部分(瀬の部分)と緩やかな部分(淵の部分)
とがあり、流れの速い部分には攪拌作用および運搬作用
がある。また流れが緩やかな場所には沈殿作用がある。
本発明者らはこの自然現象に着目し、後記するような方
法で作成した、粒径がミクロンオーダーの微粒子状リン
除去材を微量河川水中に添加すると、該微粒子状脱リン
材が河川水中で短時間に沈殿することなく河川1の流れ
に乗って懸濁しながら流下し、その過程でリンを効果的
に吸着除去するすることを見い出した。(粒径が大きい
粒子は速やかに川底に沈殿してしまうので適さない)し
かも、リンを吸着除去した微粒子状リン除去材は河川水
中に添加すると川の流れに乗って流下する間に徐々に川
底に沈殿し分離されることが見出された。しかしダム湖
2の入口B点に達するまで微粒子状脱リン材は完全には
沈澱することなく河川水中のリンを吸着除去する。な
お、流速の小さい、従って運搬作用の小さい河川におい
ては、リン吸着材を添加したポイントの下流で曝気など
を行うなどして攪拌作用を生起させれば効果的である。
【0007】河川1が最終的にダム湖2(その他湖沼、
海でも同じ)に流入すると水流が著しく小さくなるの
で、川底に沈殿しなかった一部の微粒子はダム湖2の底
に確実に沈殿し分離される。(図1では、ダム湖2から
さらに下流側河川3に河川水が流出する。) 一方、上流側河川1の一定の区間内において所期のリン
を除去し、添加した微粒子状リン除去材は回収する目的
をもって、リン除去材を添加する上流側河川1のA点か
ら一定の距離をおいた地点に人工的な滞留部(緩速流下
部)を設け、そこで添加した微粒子状リン除去材の大部
分を沈澱させることもできる。
海でも同じ)に流入すると水流が著しく小さくなるの
で、川底に沈殿しなかった一部の微粒子はダム湖2の底
に確実に沈殿し分離される。(図1では、ダム湖2から
さらに下流側河川3に河川水が流出する。) 一方、上流側河川1の一定の区間内において所期のリン
を除去し、添加した微粒子状リン除去材は回収する目的
をもって、リン除去材を添加する上流側河川1のA点か
ら一定の距離をおいた地点に人工的な滞留部(緩速流下
部)を設け、そこで添加した微粒子状リン除去材の大部
分を沈澱させることもできる。
【0008】実験の結果、微粒子状リン除去材添加量は
極めて微量で十分であり、河川水中のリン濃度が0.1
mg/リットル程度の場合、リン除去材微粒子をその乾
燥重量として1〜2mg/リットルという微量添加する
ことで、該微粒子状リン除去材を河川の水流に乗せて5
〜20分間程度流下させることによって、河川水中のリ
ンを確実に富栄養化を示唆する濃度である0.05mg
/リットル以下のリン濃度にまで、除去できることを見
出した。さらに本発明の方法は安定して0.01mg/
リットル以下まで河川水中のリン濃度を低下させること
ができた。このリン除去材微粒子の添加量は極めて微量
であり、実際に清澄な河川水をビーカーにとり前記量の
脱リン材を添加して肉眼観察しても微粒子の存在を確認
するのが困難なほどであった。従って雨天時の河川の濁
質量(SSとして数百から数千mg/リットル程度)に
比べ無視できる量であり、川底、湖沼、海底に沈殿する
河川の自然由来の濁質量に比較しても無視できる量に過
ぎない。あるダム湖に流入する河川を対象にした試算結
果では、本発明の微粒子状リン除去材の添加に由来する
濁質量は、土砂等の自然由来の濁質量の2%以下に過ぎ
なかった。
極めて微量で十分であり、河川水中のリン濃度が0.1
mg/リットル程度の場合、リン除去材微粒子をその乾
燥重量として1〜2mg/リットルという微量添加する
ことで、該微粒子状リン除去材を河川の水流に乗せて5
〜20分間程度流下させることによって、河川水中のリ
ンを確実に富栄養化を示唆する濃度である0.05mg
/リットル以下のリン濃度にまで、除去できることを見
出した。さらに本発明の方法は安定して0.01mg/
リットル以下まで河川水中のリン濃度を低下させること
ができた。このリン除去材微粒子の添加量は極めて微量
であり、実際に清澄な河川水をビーカーにとり前記量の
脱リン材を添加して肉眼観察しても微粒子の存在を確認
するのが困難なほどであった。従って雨天時の河川の濁
質量(SSとして数百から数千mg/リットル程度)に
比べ無視できる量であり、川底、湖沼、海底に沈殿する
河川の自然由来の濁質量に比較しても無視できる量に過
ぎない。あるダム湖に流入する河川を対象にした試算結
果では、本発明の微粒子状リン除去材の添加に由来する
濁質量は、土砂等の自然由来の濁質量の2%以下に過ぎ
なかった。
【0009】本発明の微粒子状リン除去材を作成する方
法を種々検討した結果、塩化第2鉄、硫酸第2鉄、ポリ
硫酸鉄、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ア
ルミン酸ナトリウム等の水溶液をアルカリ又は酸で中和
することによって、粒径100μm以下、好ましくは数
十ミクロン以下のリン吸着能力の大きい水酸化鉄、水酸
化アルミニウムが生成し、これが本発明の微粒子状リン
除去材をして好適であることが判明した。また鹿沼土、
アロフェン、鉄粉をボールミル等の粉砕機で粒径100
μm以下に粉砕することによっても河川中で本発明に適
した微粒子状リン除去材が得られることもわかった。ま
た、硫酸アルミニウム、塩化第2鉄等のアルミニウム塩
あるいは/および鉄塩の水溶液を、河川に微量添加し河
川水の水酸基イオンと反応させて水酸化アルミニウムあ
るいは/および水酸化鉄の微粒子を生成させることによ
っても粒径数十ミクロン程度又はそれ以下のリン吸着力
の高い微粒子が得られるので、この微粒子を河川水中に
含ませて流下させるようにしても良い。
法を種々検討した結果、塩化第2鉄、硫酸第2鉄、ポリ
硫酸鉄、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ア
ルミン酸ナトリウム等の水溶液をアルカリ又は酸で中和
することによって、粒径100μm以下、好ましくは数
十ミクロン以下のリン吸着能力の大きい水酸化鉄、水酸
化アルミニウムが生成し、これが本発明の微粒子状リン
除去材をして好適であることが判明した。また鹿沼土、
アロフェン、鉄粉をボールミル等の粉砕機で粒径100
μm以下に粉砕することによっても河川中で本発明に適
した微粒子状リン除去材が得られることもわかった。ま
た、硫酸アルミニウム、塩化第2鉄等のアルミニウム塩
あるいは/および鉄塩の水溶液を、河川に微量添加し河
川水の水酸基イオンと反応させて水酸化アルミニウムあ
るいは/および水酸化鉄の微粒子を生成させることによ
っても粒径数十ミクロン程度又はそれ以下のリン吸着力
の高い微粒子が得られるので、この微粒子を河川水中に
含ませて流下させるようにしても良い。
【0010】本発明者らの実験によれば、前記微粒子を
河川水中に含ませて流下させリンを除去するのに必要な
流下時間は5〜30分間程度であり、流下時間が長いほ
どリン除去量も向上することがわかった。従ってリン除
去材の河川への添加位置は河川のリン汚染が始まる、な
るべく上流が適している。河川の自然の流れを利用し
て、この程度の時間、リン除去材微粒子を川底に沈殿さ
せずに流下させるには、リン除去材の粒径が極めて重要
であり粒径として100μm以下である必要がある。前
記の方法により製造し、好ましくは粉砕し、篩分けして
適当な粒径の微粒子を得ることができる。ストークスの
法則に示されるように微粒子の沈降速度は粒径の2乗に
比例して大きくなるので、これ以上の粒径になると、余
程流れの早い河川以外では、余程強い曝気を行うなどし
て攪拌を行わないと、添加したリン除去材粒子はリンを
十分吸着できないうちに速やかに川底に沈殿していまい
本発明の目的を満たさない。
河川水中に含ませて流下させリンを除去するのに必要な
流下時間は5〜30分間程度であり、流下時間が長いほ
どリン除去量も向上することがわかった。従ってリン除
去材の河川への添加位置は河川のリン汚染が始まる、な
るべく上流が適している。河川の自然の流れを利用し
て、この程度の時間、リン除去材微粒子を川底に沈殿さ
せずに流下させるには、リン除去材の粒径が極めて重要
であり粒径として100μm以下である必要がある。前
記の方法により製造し、好ましくは粉砕し、篩分けして
適当な粒径の微粒子を得ることができる。ストークスの
法則に示されるように微粒子の沈降速度は粒径の2乗に
比例して大きくなるので、これ以上の粒径になると、余
程流れの早い河川以外では、余程強い曝気を行うなどし
て攪拌を行わないと、添加したリン除去材粒子はリンを
十分吸着できないうちに速やかに川底に沈殿していまい
本発明の目的を満たさない。
【0011】
【実施例】以下に本発明のリン酸イオン吸着材の製造方
法及びそれを使用した水処理についての実施例を示す。
ただし、本発明の実施態様はこの説明によって限定され
るものではない。 (実施例1)自然の河川を模擬して人工水路(水深30
cm、長さ10m、幅10cm)に0.05mg/リッ
トルのリンを添加した水道水を流速30cm/minで
流しながら、後述する方法で作成した水酸化第2鉄微粒
子(平均粒径10μm、レーザ回折式粒径分布測定器に
よる測定結果を図2に示す。)を0.3〜2.1mg/
リットルの範囲で変化させて添加し水路を流下させた。
水路の末端から流出する水を採取しリンを分析した結果
を図3に示す。図3の結果から水酸化鉄微粒子を1mg
/リットルという微量を添加するだけでリンが効果的に
除去されることが認められた。添加した水酸化第2鉄微
粒子は水路の流入部からおよそ7m以後の水路の底に沈
殿していた。水酸化第2鉄微粒子の作成法は、ポリ硫酸
第二鉄の水溶液に水酸化マグネシウムを添加してpH6
に中和する方法によった。
法及びそれを使用した水処理についての実施例を示す。
ただし、本発明の実施態様はこの説明によって限定され
るものではない。 (実施例1)自然の河川を模擬して人工水路(水深30
cm、長さ10m、幅10cm)に0.05mg/リッ
トルのリンを添加した水道水を流速30cm/minで
流しながら、後述する方法で作成した水酸化第2鉄微粒
子(平均粒径10μm、レーザ回折式粒径分布測定器に
よる測定結果を図2に示す。)を0.3〜2.1mg/
リットルの範囲で変化させて添加し水路を流下させた。
水路の末端から流出する水を採取しリンを分析した結果
を図3に示す。図3の結果から水酸化鉄微粒子を1mg
/リットルという微量を添加するだけでリンが効果的に
除去されることが認められた。添加した水酸化第2鉄微
粒子は水路の流入部からおよそ7m以後の水路の底に沈
殿していた。水酸化第2鉄微粒子の作成法は、ポリ硫酸
第二鉄の水溶液に水酸化マグネシウムを添加してpH6
に中和する方法によった。
【0012】
【発明の効果】本発明のリン酸イオン吸着材は次の効果
がある。 河川に本発明のリン除去材微粒子を微量添加するとい
う極めて簡単な方法で、河川の流水部における運搬作用
と滞留部における沈殿作用を利用して、河川水中のリン
を効果的に除去でき、(実験的には、安定して0.01
mg/リットル以下とすることができた。)従来技術の
ような凝集沈殿装置、揚水ポンプ、配管、汚泥処理施設
の全て及び大量の河川水を揚水する膨大なポンプ動力コ
ストが不要になる。 従来の粒径数センチメートルもの粒状脱リン材を河川
水中に充填し、リンを除去する技術において、必要であ
った粒状脱リン材の製造、製造設備、現地への輸送、河
川への充填、廃脱リン材の交換の全てが不要になるので
著しい合理化が可能である。 汚泥処理が不要であり、定期的に実施される河川、湖
沼又は海底に堆積した自然の土砂の浚渫の際にリン除去
材粒子も同時に除去できる。
がある。 河川に本発明のリン除去材微粒子を微量添加するとい
う極めて簡単な方法で、河川の流水部における運搬作用
と滞留部における沈殿作用を利用して、河川水中のリン
を効果的に除去でき、(実験的には、安定して0.01
mg/リットル以下とすることができた。)従来技術の
ような凝集沈殿装置、揚水ポンプ、配管、汚泥処理施設
の全て及び大量の河川水を揚水する膨大なポンプ動力コ
ストが不要になる。 従来の粒径数センチメートルもの粒状脱リン材を河川
水中に充填し、リンを除去する技術において、必要であ
った粒状脱リン材の製造、製造設備、現地への輸送、河
川への充填、廃脱リン材の交換の全てが不要になるので
著しい合理化が可能である。 汚泥処理が不要であり、定期的に実施される河川、湖
沼又は海底に堆積した自然の土砂の浚渫の際にリン除去
材粒子も同時に除去できる。
【図1】本発明の原理を説明する地図
【図2】本発明の実施例1で用いた水酸化第二鉄微粒子
の粒径の分布を示す図である。
の粒径の分布を示す図である。
【図3】本発明の水酸化第二鉄微粒子の添加量と処理し
た水のリン濃度との関係を示す図である。
た水のリン濃度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 上流側河川
2 ダム湖
3 下流側河川
A リン除去材添加点
B 河川水のダム湖流入口
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 小林 滋
東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会
社荏原製作所内
(72)発明者 高田 正英
東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会
社荏原製作所内
(72)発明者 浅井 良紀
東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会
社荏原製作所内
(56)参考文献 特開 平3−68489(JP,A)
特開 昭57−113886(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C02F 1/28
C02F 1/58
C02F 1/00
Claims (4)
- 【請求項1】 水酸化鉄又は水酸化アルミニウムよりな
る粒径100μm以下のリン吸着性を有する微粒子を、
河川の流水部の水中に添加して懸濁状態で流下させ、河
川の自然の滞留部および/または人工の滞留部において
沈澱させることを特徴とする河川のリン除去方法。 - 【請求項2】 前記リン吸着性を有する微粒子が、塩化
第2鉄、硫酸第2鉄、ポリ硫酸鉄、硫酸アルミニウム、
ポリ塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムより選ば
れた鉄塩又はアルミニウム塩の少なくとも1種の塩の水
溶液をアルカリ又は酸で中和して生じたものであること
を特徴とする請求項1に記載の河川のリン除去方法。 - 【請求項3】 前記リン吸着性を有する微粒子が、鹿沼
土、アロフェン、鉄粉より選ばれた少なくとも1種を粉
砕して得られるものであることを特徴とする請求項1に
記載の河川のリン除去方法。 - 【請求項4】 前記リン吸着性を有する微粒子が、アル
ミニウム塩又は鉄塩の水溶液を河川水に注入し、該河川
水中の水酸基と反応して生成したものであることを特徴
とする請求項1に記載の河川のリン除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02456695A JP3444685B2 (ja) | 1995-01-20 | 1995-01-20 | 河川のリン除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02456695A JP3444685B2 (ja) | 1995-01-20 | 1995-01-20 | 河川のリン除去方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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