JP3444508B2 - 新規ビフィズス菌株及びそれを使用する発酵乳の製造方法 - Google Patents

新規ビフィズス菌株及びそれを使用する発酵乳の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規ビフィズス菌株及
びその利用に関する。より詳しく言うと、本発明は、菌
体外に多量の多糖を生成する新規ビフィズス菌株、前記
菌株を培養して多糖を生産する方法、その培養物を使用
して保水安定な食品を製造する方法、その培養物を有効
成分とする保水安定剤及び前記菌株を使用して発酵乳を
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビフィズス菌は、ヒト腸内の菌叢で優勢
菌のひとつであり、ヒトの健康維持に大きな関わりを持
っている。近年の健康志向の高まりとともにビフィズス
菌を含有する食品が数多く市販されるようになった。し
かし、ビフィズス菌は酸の生成が穏やかであり、牛乳や
還元脱脂粉乳に接種した場合に形成されるカードは、他
の乳酸菌を接種した場合に生成されるカードに比べて柔
らかである。そのためビフィズス菌の培養物は、他の乳
酸菌の培養物に比べて粘度が低く、果汁、調味料及びそ
の他の食品の材料と混合して用いる場合には、粘性及び
安定性において問題を生じる場合があった。また、乳原
料に種菌を接種して発酵乳や乳食品を製造する場合にお
いても、ビフィズス菌による発酵では、粘性に乏しい物
性のものしか得られず、他の乳酸菌による発酵補助や増
粘剤の添加が不可欠であった。
【0003】また、食品に利用可能な安全性の高い細菌
から多量の粘性多糖を得て、それを食品、医薬品、化粧
品及びその他の工業原料として用いる場合があるが、そ
の場合に用いられる細菌は、一般的にはバチルス属、ス
トレプトコッカス属、ラクトバチルス属等の細菌であ
る。例えば、特開昭63−301782号公報には、ラ
クトバチルス属に属する乳酸菌の生産する粘性多糖を食
品の製造に使用する発明が開示されている。しかし、ビ
フィズス菌として分類される乳酸菌が粘性の高い多糖を
生産するという報告は未だない。通常、ビフィズス菌
は、菌体外に多糖をほとんど生産せず、微量に生産した
場合でも、培養液の性質を大きく変化させるようなこと
はない。さらに、ビフィズス菌の培養液から多量に多糖
を回収することは不可能である。ビフィズス菌が生産し
た多糖の回収は、一般的には、菌体を回収してその細胞
壁から物理的または化学的手段により多糖を遊離させる
方法により行われているが(例えば、特開昭61−25
7930号公報)、極めて収量が低く、効率が悪い。即
ち、ビフィドバクテリウム属に属する細菌は、種々の健
康食品に利用されているにも関わらず、多量の多糖を得
ることが極めて困難であったために、多糖の生産菌とし
てはほとんど用いられていないのが現状である。
【0004】尚、瀧口らは、ビフィズス菌の特定の株を
発酵乳の生産において混合スターターとして用いた場合
には、発酵乳の離水を防止し得ることを見出し、さら
に、それらが離水性の低い発酵乳の生産方法において使
用可能であることを確認しており、本出願人は、その発
見に基づく発明について先に特許出願を行っている(特
願平4−9466号)。しかし、ビフィズス菌の培養産
物を離水防止剤又は保水防止剤として用いる試みは、こ
れまでのところ行われていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、菌
体外に多量の多糖を生産する新規ビフィズス菌株を提供
することを目的とする。また、本発明は、ビフィズス菌
を使用して製造される発酵乳に見られる粘性及び安定性
の問題を解決し得るような新規ビフィズス菌株を提供す
ることを目的とする。また、本発明は、前記新規ビフィ
ズス菌の培養物を有効成分とする食品の保水安定剤を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために研究を重ねた結果、ビフィズス菌とし
ては極めて特異的に構成糖がグルコースのみからなる
量の菌体外多糖を生産する新規ビフィズス菌株を見出
し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、ビフィドバ
クテリウム・ロンガムに属し、菌体外に構成糖がグルコ
ースのみからなる多量の多糖を生産することを特徴とす
るビフィズス菌株からなる。このビフィズス菌株は、ビ
フィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacteriumlongu
m)SBT10013菌株であり、工業技術院生命工業
技術研究所受託番号FERM P−14101として寄
託されている。本発明は、また、前記ビフィズス菌株を
培養することにより多糖を生産する方法からなる。
【0007】本発明は、また、前記ビフィズス菌株を液
体培地で培養して得られる培養物を使用することからな
る保水安定な食品の製造方法からなる。本発明におい
て、「食品」とは、いずれの種類の食品であってもよい
が、離水防止及び保水安定性の向上という本発明の効果
を発揮させるためには、含水性の食品であることが望ま
しい。また、本発明において、培養物とは、ビフィズ
ス菌株を含む培養物、培養物からビフィズス菌株を除
いたもの及び培養物から回収された多糖のいずれであ
ってもよい。本発明は、また、前記ビフィズス菌株を液
体培地で培養して得られる培養物を有効成分とする保水
安定剤からなる。ここで「保水安定剤」とは、離水防止
剤を包含する意味である。また、ここでの「培養物」
も、上記〜のいずれであってもよい。本発明は、ま
た、前記ビフィズス菌株をスターターとして使用して、
組織安定性が高く組織が滑らかな発酵乳を製造する方法
からなる。本発明において「発酵乳」とは、乳又は乳を
含有する乳等の食品を乳酸菌又は酵母で発酵させた食品
を言い、ヨーグルト、乳酸菌飲料等を例示することがで
きる。
【0008】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明者らは、ヒト乳児の糞便中から分離されたビフィズ
ス菌から本発明の菌株を単離した。即ち、ヒト乳児の糞
便から分離された多数のビフィズス菌を、平板プレート
上で、37℃において2日間嫌気培養して、コロニーを
形成させ、コロニーの表面性状と、コロニーを白金耳に
より鉤菌する際の曳糸性を観察し、約1,000のコロニ
ーをスクリーニングした結果、本発明の菌株を分離し
た。
【0009】本発明の菌株の菌学的性質は下記の通りで
ある。 1.形態 馬繊血を5%添加したBL寒天培地(栄研製)に塗沫し
て37℃において48時間嫌気培養した場合 細胞の形及び大きさ 0.5×3〜5μmの桿状また
は分岐状 細胞の多形性 認められる Y字状、V字状、彎曲状、スパーテル状、棍棒状 運動性 なし 胞子 形成せず
【0010】2.生育状態 前記1と同じ条件で培養した場合のコロニーの性状 形状 円形 大きさ 2〜3mm 隆起 半球状 色調 褐色
【0011】3.生理学的性質 (1)グラム染色性 + (2)硝酸塩の還元 − (3)MRテスト − (4)インドールの生成 − (5)硫化水素の生成 − (6)澱粉の加水分解 − (7)色素の生成 − (8)ウレアーゼ − (9)オキシダーゼ − (10)カタラーゼ − (11)生育の範囲 温度24〜45℃ pH6.0
〜7.0 (12)酸素に対する態度 偏性嫌気性 (13)ガスの生成 − (19)乳酸生成 + (20)酢酸生成 +
【0012】(21)糖資化性及び窒素資化性 アピ50CH及びアピCHL(ビオメリュー製)によ
り、糖資化性を試験した結果、L-アラビノース、リボー
ス、D-キシロース、ガラクトース、D-グルコース、D-フ
ラクトース、D-マンノース、マルトース、ラクトース、
メリビオース、サッカロース、メレチトース、D-ラフィ
ノース及びD-チュラノースに対しては、資化性を示し
た。また、グリセロール、エリスリトール、D-アラビノ
ース、L-キシロース、アドニトール、β-メチルキシロ
シド、L-ソルボース、ラムノース、ダルシトール、イノ
シトール、マンニトール、ソルビトール、α-メチル-D-
マンオシド、α-メチル-D-グルコシド、N-アセチルグ
ルコサミン、アミグダリン、アルブチン、エスキュリ
ン、サリシン、セロビオース、トレハロース、イヌリ
ン、アミドン、グリコーゲン、キシリトール、β-ゲン
チオビオース、D-リキソース、D-タガトース、D-フコー
ス、L-フコース、D-アラビトール、L-アラビトール、グ
ルコネート、2-ケトグルコネート、5-ケトグルコネー
トに対しては、非資化性を示した。
【0013】これらの菌学的性質は、Bergey's mannual
of Determinative Bacteriology(第8版、1974)の分
類によるビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobact
erium longum)の性状と一致した。また、ビフィドバク
テリウム属に分類される各菌種の基準株と、本発明のS
BT10013株との染色体DNAのホモロジーを調べ
たところ、ビフィドバクテリウム・ロンガムの基準株
(JCM1217)の染色体DNAと最も高い相同性を
示した。従って、本発明のSBT10013株は、ビフ
ィドバクテリウム・ロンガムに属すると分類された。
尚、従来の分類上、ビフィドバクテリウム・ロンガムと
同定された菌とは、粘性多糖を生産する点が異なってい
た。
【0014】以下、本発明の菌株を培養して多糖を生産
する方法について説明する。本発明のSBT10013
株は、脱脂乳、牛乳、GAM培地(栄研製)等の液体培
地中で培養すると、菌体の生育と共に菌体外多糖を生産
し、培養液が粘性を帯びてくる。培養は嫌気培養が望ま
しいが、振盪、攪拌等の通気操作を行わなければ静置培
養でもよい。培地は、ビフィズス菌が生育可能な培地で
あれば、いずれの培地を用いてもよいが、多糖を多く生
成させたい場合は、培地中にグルコースを添加すると、
より高い生産量が得られる。培養物から菌体を除去する
場合には、10,000×gで約10分間の遠心分離操作を行
い、多糖を含む培養液を上清として分離することができ
る。さらに、多糖成分を精製したい場合には、培養液中
に等量から2倍量のエタノールを添加して多糖を沈殿さ
せ、ガラス棒等で容易に回収することができる。沈殿物
を再び水中に溶解して、エタノールによる沈殿回収を繰
り返すと、多糖はさらに精製される。
【0015】本発明のSBT10013株は、高い多糖
生成能を有するため、培地中のエタノール沈殿物の大部
分は生成された多糖であり、上記の操作により簡単に精
製することができる。しかも多糖は高分子物質としてガ
ラス棒等で巻取って回収することにより、低分子物質と
分離できることから、この沈殿操作を数回繰り返すこと
により純度の高い多糖成分を容易に多量に取得すること
が可能である。精製した多糖を硫酸加水分解し、薄層ク
ロマトグラフィーでその構成糖の種類を調べたところ、
グルコースのみで構成されることが明らかとなった。従
って、この多糖を保水安定剤として食品に混合したり、
又はそのまま食用に用いても何等問題はない。
【0016】以下、本発明の菌株を食品又は発酵乳の製
造において用いる場合について説明する。本発明のSB
T10013株はビフィズス菌であり、食品に利用する
場合においてもそのまま接種できる菌株である。従っ
て、本発明の菌株を食品の製造において使用する場合
は、本発明の菌株を含んだままの培養物を、粘性物質と
して食品の離水防止及び保水安定のために使用すること
ができる。また、培養物から本発明の菌株を除去したも
のを使用しても、培養物から多糖のみを回収して使用し
てもよい。
【0017】また、本発明の株を発酵乳の原料中で生育
させて、発酵乳の組織を改良し、粘性及び安定性を向上
させることができる。ここで発酵乳とは、上記定義の通
りである。例えば、ヨーグルトや乳酸菌飲料等の発酵乳
の製造の際に、本発明の株をスターターとして使用する
ことにより、発酵乳中に粘質多糖が生産され、それによ
り発酵乳の保水安定性が増加して、製品の分離や沈殿等
を防止することができ、組織が滑らかな発酵乳が得られ
る。従って、本発明によれば、安定剤としての寒天、ゼ
ラチン、ペクチン等を用いなくても安定性に優れた発酵
乳が得られる。尚、本発明の菌株は、他の乳酸菌との混
合物として、発酵乳の原料中で生育させることもでき
る。また、本発明の発酵乳の製造は、本発明の菌株を用
いること以外は、公知のいずれの種類の原料を用いても
よく、公知のいずれの方法によっても行うことができ
る。
【0018】また、牛乳や脱脂乳中で本発明の株を培養
し、粘性が増加した培養液を、直接そのまま、その食品
の保水安定剤として用いることもできるが、この培養液
から粘質多糖をアルコール沈殿法等の慣用方法により回
収し、その他の食品に添加して、保水安定剤として使用
することができる。この場合の食品は、発酵乳以外のい
ずれの種類のものであってもよい。食品の例としては、
果汁、調味料、ゼリー、プリン等のデザート、清涼飲料
水又はクリーム等が挙げられる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を試験例及び実施例によりさら
に詳しく説明する。 実施例1 (液体培地における培養)GAM培地(栄研製)に、本
発明のビフィドバクテリウム・ロンガムSBT1001
3株を3%接種して、37℃において16時間培養し、
液体培養物を得た。
【0020】試験例1 (培養物の粘性及び曳糸性)流動曲線測定装置(RFS
2;ジオメトリー(Geometry)社製)を使用して、下記
表1に示す測定条件で、実施例1で得られた液体培養物
の流動曲線を求めた。また、対照として、多糖を生成し
ないビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2933R
株を、本願菌株と同様に培養して流動曲線を求めた。結
果を図1に示す。図1中(a)は、本発明のSBT10
013株の流動曲線を、(b)は、対照のSBT293
3R株の流動曲線を示す。
【0021】
【表1】 流動曲線測定条件 −−−−−−−− 測定装置 Geometory-Couette Couette Fixture 32mm bob 34mm couette RFS2 bath ver2 測定温度 20℃ 測定法 チキソトロピーループ 剪断速度5.0S-1まで2分間で上昇、 10秒間保持の後2分間剪断速度0S-1まで下降 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0022】図1から明らかであるように、本発明のS
BT10013株は、対照株と比較して十〜数十倍も高
い粘性を示した。また、対照株の培養液は、剪断速度に
関係なく一定の粘度を示すニュートン流体のパターンを
示したのに対し、本発明のSBT10013株の培養液
は、その粘度が剪断速度及び継続時間の増加により減少
するチキソトロピー流体のパターンを示し、両者は流体
としての性質が大きく異なることが確認された。さら
に、両株の培養液の曳糸性についても調べた。本発明の
SBT10013株及び対照株の各培養液中に、5mm角
の木製の棒を浸し、秒速80cmの速度で垂直に引き上げ
て、その曳糸長さを測定した。その結果、対照株の培養
液には、全く曳糸は認められなかったが、本発明のSB
T10013株の培養液では、最高145cmで平均10
5cmの曳糸が確認された。
【0023】試験例2 (菌株が生産する多糖量)実施例1において得られた本
発明のSBT10013株の液体培養物に、2倍量のエ
タノールを添加し、生じた沈殿をガラス棒で回収し、蒸
留水に溶解する操作を3回繰り返して多糖を回収し、凍
結乾燥を行って、その重量を測定した。また、前記培養
液から菌体を分離し、凍結乾燥を行って、菌体重量を測
定した。結果を下記表2に示す。
【0024】
【表2】 SBT10013株をGAM培地で培養して得られた多糖量 (2試料の測定結果) 培養液重量 菌体乾燥重量 多糖乾燥重量 菌体重量当り 培養液当り 多糖量 多糖量 (g) (mg) (mg) (g/g) (mg/100g) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (1) 98.6 79.5 423.3 5.32 429.3 (2) 102.0 58.4 456.9 7.82 447.9 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (平均) 100.3 69.0 440.1 6.57 438.6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0025】表2に示されるように、本発明の菌株の培
養液からは、平均で100g当り438.6mg(乾燥重量)、菌
体1g当り平均で6.57g(乾燥重量)もの多量の多
糖が得られた。次いで、この多糖を蒸留水中に溶解した
ところ、上記の培養液とほぼ同様の物性を有する水溶液
を得ることができた。また、この水溶液中に不溶性澱粉
を懸濁したところ、72時間後においても沈殿すること
なく、安定な分散状態を保持することができた。
【0026】実施例2 (脱脂乳における培養)脱脂粉乳を濃度12%となるよ
うに蒸留水で溶解した還元脱脂乳に、酵母エキス(アサ
ヒビール製)を0.5%添加して、115℃において1
5分間滅菌した後、本発明のSBT10013株を3%
接種して、37℃において16時間培養し、培養物を得
た。
【0027】試験例3 (培養物の粘性及びテクスチャー)クリープメーター
((株)山電製;レオナーRE-3305、プランジャーNo.3)
を用いて、実施例2において得られた培養物のテクスチ
ャー曲線を求めた。尚、対照として、SBT2933R
を同様に培養して、同様の条件でテクスチャー曲線を求
めた。結果を図2に示す。図2中、(a)は、本発明の
菌株の培養物のテクスチャー曲線を、(b)は、対照株
の培養物のテクスチャー曲線を示す。次いで、このテク
スチャー曲線の解析を行い、培養物の硬さ、凝集性、付
着性、脆さ及びガム性を調べた。解析は、図3に示すよ
うに、図2に示されるテクスチャー曲線中の高さH及び
h1並びに面積A1、A2及びA3を用い、下記式によ
り行った。
【0028】硬さ=H/100×感度電圧(mV) 凝集性=A2/A1 付着性=A3/100×感度電圧(mV) もろさ=h1/100×感度電圧(mV) ガム性=硬さ×凝集性 結果を下記表3に示す。
【0029】
【表3】 脱脂乳培養物のテクスチャー曲線解析結果 項目 SBT10013 SBT2933R (本発明株) (対照株) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 硬さ 11.1 20.0 凝集性 0.60 0.38 付着性 41.38 4.97 脆さ 0.0 10.9 ガム性 6.66 7.60 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0030】表3に示されるように、対照株の培養物に
対して、本発明のSBT10013株の培養物は、凝集
性、付着性において高い値を示し、特に付着性は顕著に
高い値を示した。また、硬さ、脆さ、ガム性は、対照株
の培養物に対して、低い値を示した。特に、脆さは測定
不能であった。これらの結果から、本発明のSBT10
013株の脱脂乳培養物は、対照株の脱脂乳培養物に比
べて、極めて高い粘性と滑らかさを有することが明らか
となった。さらに、官能評価試験により、本発明の株と
対照株のそれぞれの脱脂乳培養物のを比較を行ったとこ
ろ、本発明の株の培養物は、対照株の培養物に比べて、
組織が非常に滑らかであることが示された。
【0031】試験例4 (培養物の離水性)試験例3において用いた本発明の株
の脱脂乳培養物及びその対照株の脱脂乳培養物各30ml
を遠沈管中に分取し、2,000×gで10分間の遠心
分離操作を行った。その結果、対照株の脱脂乳培養物
は、完全に離水して、液層(15ml)と固層に分離した
が、本発明の株SBT10013の脱脂乳培養物は、ほ
とんど離水することなく、保水安定性が極めて高いこと
が確認された。
【0032】実施例3 (発酵乳の製造例)脱脂乳を濃度12%となるように蒸
留水で還元した後に、95℃で20分間殺菌した後、乳
酸菌としてストレプトコッカス・サーモフィラスの種菌
を1.5%及び本発明のビフィドバクテリウム・ロンガ
ムSBT10013株または対照のビフィドバクテリウ
ムロンガムSBT2933R株の種菌を5%同時に接種
して、37℃で5時間発酵を行った。発酵終了後に、官
能評価試験により発酵乳の組織の比較を行った。その結
果、本発明の株を用いて製造した発酵乳は、対照株を用
いて製造した発酵乳に比べて離水が極めて少なく、非常
に滑らかであった。また、試験例2の方法によりテクス
チャー曲線を求め、解析を行ったところ、本発明の株で
製造した発酵乳は、対照株で製造した発酵乳よりも凝集
性及び付着性が高く、硬さ及び脆さは低い値を示した。
【0033】尚、本発明の株で製造した発酵乳の粘性
は、0.3%程度のグルコースを添加することにより、
さらに高めることが可能であった。また、接種時のスト
レプトコッカス・サーモフィラスに対する本発明の株の
比率を高めることにより、発酵乳の粘性を高めることが
可能であり、比率を低くすることにより、粘性を低くす
ることが可能であった。さらに、本発明の株は、上記S
BT2933R株との混合ビフィズス菌として用いるこ
とも可能である。その場合は、混合ビフィズス菌中の本
発明の株の比率を高めることにより、発酵乳の粘性を高
め、逆に、本発明の株の比率を低くすることにより発酵
乳の粘性を低くすることが可能であった。また、このよ
うに本発明の株と上記SBT2933R株との比率を変
えることにより、接種時のストレプトコッカス・サーモ
フィラスとビフィズス菌の比率を変えることなく、発酵
乳の粘性を変化させることが可能であった。
【0034】実施例4 (培養物を食品の製造に使用する例及び保水安定剤を食
品に付与する例)下記の配合組成のフルーツ入りヨーグ
ルトを製造した。
【0035】牛乳、脱脂粉乳、水のミックスを殺菌後、
スターターを添加し、38℃で4時間発酵後、ストロベ
リープレパレーションを添加、混合してフルーツ入りヨ
ーグルトを製造した。このヨーグルトに、約2重量%に
なるように実施例3で得た培養物を添加し、混合し、次
いで、100mlずつ容器に充填し、1週間冷蔵庫で保存
し、フルーツ入りヨーグルトを得た。また、対照とし
て、実施例3で得た培養物を添加混合せずに製造したフ
ルーツ入りヨーグルトを得た。両者の保水安定性を調べ
た。その結果、本発明の培養物を添加したヨーグルト
は、ホエー分離もなく安定であったが、添加しなかった
ヨーグルトでは、上層部にホエー分離を来し、食品とし
ての品質が著しく低下していた。本実施例の結果より、
本発明の菌株の培養物が保水安定剤として使用可能であ
ることが確認できた。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の新規ビフ
ィズス菌は、液体培養において、粘性の高い多糖を大量
に生産する。この多糖は、食品の離水を防止し得るの
で、食品の保水安定剤として利用することができる。ま
た、本発明の新規ビフィズス菌を使用して発酵乳を製造
すると、組織安定性が高く組織が滑らかな発酵乳を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の菌株(a)及び対照株(b)をGAM
培地で培養した後の培養液の流動曲線を示す。
【図2】本発明の菌株(a)及び対照株(b)を脱脂乳
培地で培養して得られた培養液のテクスチャーをクリー
プメーターで測定して得られたテクスチャー曲線を示
す。
【図3】図2のテクスチャー曲線の解析を行うために必
要な式において使用する値を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:01) C12R 1:01 (56)参考文献 特開 昭58−203913(JP,A) 特開 平5−317072(JP,A) 特開 平5−268943(JP,A) 特開 平4−252176(JP,A) 特開 昭63−209542(JP,A) 特開 昭60−164432(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/20 A23C 9/12 BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifi
    dobacterium longum)に属し、菌体外に構成糖がグルコ
    ースのみからなる多量の多糖を生産することを特徴とす
    るビフィズス菌株。
  2. 【請求項2】 ビフィズス菌株が、ビフィドバクテリウ
    ム・ロンガム(Bifidobacterium longum)SBT100
    13(工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号F
    RM P−14101)であることを特徴とする請求項
    1に記載のビフィズス菌株。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のビフィズス菌
    株を培養して多糖を生産する方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載のビフィズス菌
    株を液体培地で培養して得られる培養物を使用すること
    を特徴とする保水安定な食品の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のビフィズス菌
    株を液体培地で培養して得られる培養物を有効成分とす
    る保水安定剤。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載のビフィズス菌
    株をスターターとして使用して、組織安定性が高く組織
    が滑らかな発酵乳を製造する方法。
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