JP3441875B2 - 除錆剤組成物 - Google Patents

除錆剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属に発生する錆
を常温においても効果的に除去することができる除錆剤
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から金属の脱スケールや除錆剤とし
て塩酸や硫酸が良く知られている。しかしこれらは金属
素材をも犯すという欠点を有している。また悪臭を発生
したり酸性が強く人体への危険を伴う場合がある。その
他、リン酸に増粘剤を加えたものや硫酸にアルミナを加
えたクリーム状のもの(米国特許 3275560)なども知られ
ているが効果が小さく満足すべきものではなかった。更
に、金属素材に対する腐食性を改善するため、穏和な有
機酸が使用されている。シュウ酸、クエン酸、EDTAなど
を併用した除錆剤(例えば特公昭45-37360号、特公昭62
-156281号)が提案されている。しかし効果が小さく実
質的に除錆剤としては使用できなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、素材金属を犯す塩酸、硫酸、硝酸を使用せず穏和な
有機酸や弱酸性無機酸を使い、錆取り効果の良好な除錆
剤組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上に述べた
問題点を解決するために鋭意検討を行った結果、(1)
有機酸、弱酸性無機酸、及びこれらの塩からなる群から
選ばれる少なくとも1種と(2)酸化剤と(3)標準電
極電位が-O.1V以下の金属とを必須成分とする除錆剤組
成物が、良好な錆取り効果を示すことを見い出し本発明
を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】すなわち本発明に使用する有機酸
及びその塩とは、特に限定されるものではないが、カル
ボン酸、スルホン酸、ホスホン酸を有する有機酸及びそ
の塩である。例えば、シュウ酸、クエン酸、アスパラギ
ン酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、イソニコチン
酸、酒石酸、乳酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、議酸、アラ
ニン、アルギニン、グアノシン、グリシン、システイ
ン、セリン、トリプトファン、スレオニン、ニコチン
酸、ヒスチジン、フェニルアラニン、プロリン、メチオ
ニン、リジン、ロイシン、ペニシラミン、エチレンジア
ミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、チオグリコール
酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスル
ホン酸、エタンスルホン酸、アミノメチルホスホン酸、
アミノエチルホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びそ
れらの塩などが挙げられる。好ましくはシュウ酸、クエ
ン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸及びそれらの塩であ
る。また有機酸の塩としては、アルカリ金属の塩であ
り、好ましくは、ナトリウムとカリウム塩である。
【0006】本発明で使用する弱酸性無機酸及びその塩
とは、例えばピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリ
リン酸、ペンタポリリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルト
ラメタリン酸などの重合リン酸、オルトリン酸、オルト
亜リン酸、次亜リン酸及びそれらの塩の水溶性のものが
挙げられる。それらの塩としては、アルカリ金属の塩で
あり、好ましくは、ナトリウム塩とカリウム塩である。
【0007】有機酸、弱酸性無機酸及びそれらの塩は、
単独でも、2種以上を組み合わせて使用するもことがで
きる。
【0008】酸化剤とは標準電極電位が-0.1V以下の金
属を酸化できるものであればいづれでもよいが、好まし
くは鉄(III)、コバルト(III)、銀(II)、セリウム
(IV)、金(I)、マンガン(III)のイオンを含む塩
および過酸化水素、オゾンが挙げられる。これら酸化剤
は、一種又は二種以上を併用して使用することができ
る。好ましくは、鉄(III)塩であり、特にクエン酸鉄
(III)である。
【0009】本発明で使用する標準電極電位が-0.1V以
下の金属としては、好ましくはマンガン、バナジウム、
クロム、亜鉛である。これら金属は、一種または二種以
上を併用して使用することができる。特に亜鉛が好まし
い。粒子径は、小さい方がよいが、一般に1mm以下の粉
末を使用するとよい。
【0010】本発明の除錆剤組成物は、水溶液として使
用される。水溶液中の(1)の成分である有機酸、弱酸
性無機酸、及びこれらの塩の含有量は、0.1重量%〜50重
量%、好ましくは1重量%〜20重量%であり、(2)の成分
である酸化剤の含有量は、0.0001重量%〜10重量%、好ま
しくは0.01重量%〜1重量%であり、(3)の成分である
標準電極電位画が-0.1V以下の金属の含有量は、0.1重量
%〜40重量%、好ましくは1重量%〜10重量%である。水溶
液のpHは1〜10の間であればよい。好ましくはpH2〜5で
ある。pHを調整してもよい。pHを調整する方法はいづれ
でもよいが、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、アンモニア水で行うとよい。
【0011】なお錆への浸透性を増すためにアニオン系
界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活
性剤を併用できる。
【0012】
【作用】本発明の組成物の作用については明かでない
が、組成物中の酸化剤が添加された金属を酸化しさらに
水溶液中のオキソニウムイオンによって反応が促進され
多量の電子が発生する。この電子によって水と錆が競争
反応により還元され水素の発生を伴い同時に除錆するこ
とができると推定される。
【0013】
【実施例】以下実施例を用いて説明する。 実施例1〜4及び比較例1〜4 表1に記載した本発明の組成物1〜4及び比較組成物1
〜4中に、冷間圧延鋼板(JIS G3141 SPCC-SD)を1N
塩酸に5秒浸漬後1カ月大気暴露を行い錆を発生させた
テストピースを10分間浸漬(室温、静置)し、浸漬後
の錆の除去状態を観察した。錆の除去の程度をパーセン
トで表した。結果を表1に示した。
【0014】
【表1】
【0015】なお、表1中の各成分の数値の単位は、重
量%である。又、錆の除去率の単位は%である。
【0016】表1の結果から、本発明の組成物は効果的
に錆を除去できることが明らかである。
【0017】
【発明の効果】本発明の提供する除錆剤組成物は、金属
素材への影響が少なく、悪臭の発生がなく、人体への危
険性も少なく、常温での錆取り効果が良好である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)有機酸、弱酸性無機酸、及びこれ
    らの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と(2)
    酸化剤と(3)標準電極電位が-O.1V以下の金属とを必
    須成分とする除錆剤組成物。
  2. 【請求項2】 有機酸及びその塩が、シュウ酸、クエン
    酸、エチレンジアミンテトラ酢酸及びそれら塩である請
    求項1に記載の除錆剤組成物。
  3. 【請求項3】 酸化剤が鉄(III)塩である請求項1及
    び2に記載の除錆剤組成物。
  4. 【請求項4】 鉄(III)塩が、クエン酸鉄(III)であ
    る請求項3に記載の除錆剤組成物。
  5. 【請求項5】 標準電極電位が、-0.1V以下の金属が、
    亜鉛、マンガン、バナジウム、及びクロムからなる群か
    ら選ばれる少なくとも一種である請求項2、3及び4に
    記載の除錆剤組成物。
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JP3858047B1 (ja) * 2005-12-30 2006-12-13 宏志 宮田 錆取り・防錆剤及びこれを用いた錆取り方法

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