JP3202413B2 - スケールの除去組成物 - Google Patents

スケールの除去組成物

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千幸人 塚原
彰博 坂西
秀治 牧浦
重範 福岡
秀樹 手塚
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Kyoeisha Chemical Co Ltd
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属の表面から金属の酸
化物を含むスケールを除去するための組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の一般的なスケール除去剤は塩酸、
硫酸、フッ酸、リン酸、硝酸等の無機酸と、クエン酸、
ヒドロキシ酢酸、蓚酢酸、グルコン酸、スルファミン
酸、キレート剤、ホスホン酸等の有機酸に大別すること
ができる。無機酸、有機酸とも素地の腐食を抑制するた
め、あるいは酸化物の溶解促進などのため種々の助剤を
添加することで構成されている。それらを表1に示す。
【0003】
【表1】
【0004】無機酸、有機酸の優劣は状況にもよるので
一概につけがたい。一般に言えることは無機酸のコスト
は低く、酸化鉄などの溶解力が大きいという特徴の反
面、被洗浄体の金属材種によっては水素脆性・過酸洗の
おそれがあり、水洗中和工程が難しく、強酸性のため取
扱上の危険とガス、ミストの発生で環境を汚染するなど
の問題も大きな障害となっている。
【0005】この問題点を避けるため、有機酸による洗
浄が行われている。これらの方法は常温域での酸化鉄な
どの溶解力の低いことから70℃以上に加熱昇温が必要
なこと、コストが高いことなどの欠点もある。しかし、
洗浄する構成金属の材料に緩やかな作用をもつこと、中
和工程の容易なことなどの特徴によって重要な役割を果
たすものである。なかでもホスホン酸またはこの塩が弱
酸及び中性域で酸化鉄を溶解するという特徴は極めて安
全なスケール除去剤として着目されるもので、これに関
する提案が過去いくどか出されている。例えば、特公昭
55−5400号公報にはホスホン酸に第一鉄塩を添加
することによって、従来の有機酸洗浄温度よりも低温で
大巾に洗浄時間を短縮することができること、米国特許
第4810405号明細書にはホスホン酸に還元剤、腐
食抑制剤、界面活性剤を添加すれば効果的な除錆と不働
態表面を得ることができること及び特公昭56−346
37号公報にはホスホン酸と炭酸性溶液で酸化鉄を溶解
し、次に溶液をアルカリ性として金属銅を溶解すること
などが提案されている。
【0006】これらはホスホン酸またはその塩のみによ
る洗浄では、従来の無機酸との比較は勿論、他の有機酸
に較べても、特に酸化鉄の溶解力及び鉄イオンの飽和量
が低いのでこれを何とか向上するため、あるいは洗浄中
やその後の防錆効果をあげるための工夫した提案と思わ
れる。しかし、これらだけでは未だ問題は解消するに至
っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記技術水準
に鑑み、ホスホン酸およびまたはホスホン酸塩だけで酸
化鉄を除去する洗浄を行った場合の問題点、すなわち常
温域での酸化鉄溶解速度が遅く、かつ溶解した鉄濃度が
上昇するにつれ急速にその能力が減退するなどの現象を
解決しうるスケールの除去用組成物を提供しようとする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明はホスホン酸及び
/又はホスホン酸塩とキレート剤を混合してなることを
特徴とするスケールの除去組成物である。
【0009】本発明で使用されるホスホン酸は例えば1
−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチ
レンジアミン−3−ホスホン酸、トリアミノメチルホス
ホン酸などの有機ホスホン酸類およびまたはこれらのナ
トリウム、カリウム、アンモニウムなどの水溶性塩であ
る。また、キレート剤として一般的にエチレンジアミン
テトラアセティクアシッドその他ジエチレントリアミン
ペンタアセティクアシッド、ニトリロトリアセティクア
シッドなどのナトリウム、カリウム、アンモニウムが使
用される。その混合比は実用的には1〜30%(wt)
のホスホン酸、キレート剤は限界鉄イオンをどこまで高
めるかなどによって任意に混合できるが、通常は1〜3
0%(wt)を適量とする。
【0010】本発明の組成物によって、例えば酸化鉄の
付着したボイラ蒸発管の内面を洗浄すれば、ホスホン酸
およびまたはホスホン酸塩の組成液による洗浄に比較し
て洗浄時間を大巾に短縮することが可能となる。
【0011】
【作用】ホスホン酸およびまたはホスホン酸塩の場合は
酸化鉄の溶解がすすむとともにホスホン酸およびまたは
ホスホン酸塩は鉄をとり込んで溶解能力が減退し、pH
も上昇していく。これに較べキレート剤を混合したもの
は溶解した鉄はただちにキレート剤側に強力に結合して
いくのでホスホン酸は保存され溶解力に支障を与えるこ
とがない。したがって、pHの上昇も緩慢であるとその
作用が推論される。この外、ホスホン酸とキレート剤を
混合したことからなる相乗効果もあらわれていると考え
るが定かでない。
【0012】
【実施例】ホスホン酸には1−ヒドロキシエチリデン−
1,1−ジホスホン酸(HEDP)を苛性カリでpH
5.0まで中和したものを使用した。キレート剤として
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA4Na)
を使用して処理液のpH、鉄イオン濃度、処理時間を比
較した。その組成配合を表2に示した。
【0013】
【表2】
【0014】試験片はSS−41ミルスケール板(1.
6×35×50mm)を使用し、試験液は上記溶液の濃
度10%(wt%)、温度は20℃、液量200mlで
実施し、液pHは5に調整した。その結果を図1に示
す。図1から明らかなように、ホスホン酸単独のものと
比較して本発明のホスホン酸+EDTAのものは、
(1)溶解鉄量の上昇が急角度である。(2)pHの上
昇が緩慢である。ことが顕著であることを確認した。
【0015】
【発明の効果】本発明組成物による酸化鉄の溶解力は主
としてホスホン酸側にあり、キレート剤が鉄で飽和する
までその能力は継続するので、洗浄液の寿命はキレート
剤の混合量によって自在に調節することができる。これ
によってホスホン酸類単独使用による欠点、特に洗浄時
間を大巾に短縮することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスケールの除去用組成物の効果を示す
図表。
フロントページの続き (72)発明者 塚原 千幸人 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 坂西 彰博 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 牧浦 秀治 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重 工業株式会社長崎造船所内 (72)発明者 福岡 重範 奈良県奈良市西九条町5丁目2番地の5 共栄社化学株式会社奈良研究所内 (72)発明者 手塚 秀樹 奈良県奈良市西九条町5丁目2番地の5 共栄社化学株式会社奈良研究所内 (56)参考文献 特開 平4−193971(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 1/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスホン酸及び/又はホスホン酸塩とキ
    レート剤を混合してなることを特徴とするスケールの除
    去組成物。
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