JP3441207B2 - 多軸格子パターンの作製方法 - Google Patents

多軸格子パターンの作製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、二軸以上の方向に繰
り返して格子パターンをもつ精密部品の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】二軸方向に格子パターンをもつ光学部品
を作製する際には、感光性樹脂をコートした基板に対し
て、二軸方向の格子パターンをもつフォトマスクを用い
るのが一般的である。この場合、同一の凹凸部段差を有
する正弦波状の格子パターンを得るためには、フォトマ
スクと感光性樹脂組成物膜との間の距離を制御するか、
または光源とフォトマスクとの間に光拡散板を挿入する
ことにより、光強度分布を制御した上で紫外線露光を行
い、現像処理することにより未反応のドーパントを除去
する必要がある。この方法により形成された光学部品の
断面形状は凸部では概ね正弦波状であるが、凹部では段
差が小さくほぼ平坦になり、二軸方向で、凹部および凸
部がともに正弦波状を有する格子パターンをもつ光学部
品を作製することは困難である。したがって、凹部での
段差が大きく、断面形状が正弦波状の光学部品を得るた
めには、一軸方向の格子パターンをもつフォトマスクを
用いて格子パターンの方向を変えて2回露光し、現像す
ることにより作製することとなる。しかしながら、この
方法では広範囲にわたって露光量と段差とが直線関係に
ある感光特性をもつ感光性樹脂が容易に得られないた
め、二軸方向各々で段差が異なり、二軸方向のいずれに
も正弦波状を有する格子パターンをもつ光学部品を得る
ことは困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の点
に鑑みてなされたもので、二軸以上の方向に繰り返して
正弦波状等の格子パターンをもつ光学部品を効率的に製
造するための方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の多軸格子パターンの作製方法は、二軸以上の方向
に繰り返す多軸格子パターンを作製する方法であって、
基板上に形成された第1の感光性樹脂組成物膜を一軸の
格子パターンをもつフォトマスクを用いて露光した後に
現像する工程、該工程により得られた格子パターン上
に、該感光性樹脂組成物またはその溶媒により溶解また
は変質されない材料からなる中間層を設ける工程、該中
間層上に第2の感光性樹脂組成物膜を積層する工程、中
間層上に形成された第2の感光性樹脂組成物膜を一軸の
格子パターンをもつフォトマスクを用いて露光した後に
現像する工程からなることを特徴とする。
【0005】本発明により3軸以上の格子パターンを作
製する場合には、中間層が積層されるべき感光性樹脂組
成物膜を構成する材料またはその溶媒により溶解または
変質されない材料からなる中間層を再度設け、当該中間
層上に新たに感光性樹脂組成物膜を積層する工程を繰り
返せばよい。
【0006】また、本発明によっては、任意の断面形状
の格子パターンを作製することができるが、特に正弦波
状の格子パターンを得る場合には、フォトマスクと感光
性樹脂組成物膜との間の距離を制御するか、または光源
とフォトマスクとの間に光拡散板を挿入することによ
り、光強度分布を制御すればよい。なお、中間層を構成
する材料としては、第1の感光性樹脂組成物膜の現像・
露光後に残存する未反応のドーパントの昇華を妨げるも
のではないことが好ましく、また、中間層を構成する材
料が紫外線吸収剤を含み、紫外線吸収性を有することが
第2の感光性樹脂組成物膜の露光に用いる紫外線によっ
て、第1の感光性樹脂組成物膜が影響を受けることが防
止される点で好ましい。
【0007】本発明によって回折格子等の光学部品のパ
ターンが作製されるほか、当該パターンを用いて射出成
形用等のスタンパを作製することができる。
【0008】
【作用】一般に、1層目に感光性樹脂組成物膜をコート
した後、一軸の格子パターンをもつフォトマスクを用い
て、フォトマスクとレジストとの間の距離を制御する
か、または光源とフォトマスクとの間に光拡散板を挿入
することにより、光強度分布を制御することによって正
弦波状の格子パターンを製造するための露光を行い、つ
いで、2層目の感光性樹脂組成物膜をコートし、再度一
軸の格子パターンをもつフォトマスクを用いて、光強度
分布を制御して露光し、1層および2層の感光性樹脂組
成物膜を同時に現像処理を行うことによって多軸格子パ
ターンを形成することができる。しかしながら、この方
法によると、2層目の感光性樹脂組成物膜をコートする
際、1層目の感光性樹脂組成物膜が溶解または変質し、
均一な格子パターンや均一な膜厚を得ることができな
い。また、1層目の露光後現像処理を行い、1層目の格
子パターンをあらかじめ作製し耐薬品性を付与した後、
2層目の感光性樹脂組成物膜をコートし、再度一軸の格
子パターンをもつフォトマスクを用いて、光強度分布を
制御することによって2層目に正弦波状の格子パターン
を露光し、現像処理を行うことによって、二軸方向に繰
り返す多軸格子パターンを形成することもできる。しか
しながら、この方法では格子ピッチによっては、2層目
の感光性樹脂組成物膜をコートする際、既に形成されて
いる1層目の格子パターンの凹凸部に均一な膜厚でコー
トできないため、1層目の格子パターンの段差および形
状が変化し、例えば光学部品としての性能に影響を与え
ることがある。
【0009】しかし、本発明によれば、第1の感光性樹
脂組成物膜と第2の感光性樹脂組成物膜との間に、上記
の中間層を設けるため、2層目の格子パターンを設ける
際に1層目の格子パターンの形状等に影響を及ぼすこと
がなく、所望の多軸格子パターンを得ることができる。
【0010】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 実施例 メチルメタクリレートおよびクロチルメタクリレートの
等モル共重合体と、該共重合体のクロチルメタクリレー
ト成分と等モルのベンゾフェノンとを加えて調製した感
光性樹脂(特開昭60−237126号公報参照)を約
3μmの膜厚になるようにガラス基板上にスピンコート
した。一軸方向に10μmの格子ピッチパターンをもつ
フォトマスクを用いて、マスクアライナーによりフォト
マスクと感光性樹脂組成物膜の上面との間隔を0μmに
設定し400秒間露光した。ついで、上記感光性樹脂組
成物により溶解または変質されることのない10%PV
A(ポリビニルアルコール)水溶液を約1μmの膜厚に
なるようにスピンコートし、さらにその上に一層目で用
いた感光性樹脂を約3μmの膜厚になるようにスピンコ
ートした。上記のフォトマスクを1層目のパターンの方
向と90度の角度になる方向に傾けて設置し、マスクア
ライナーによりフォトマスクと感光性樹脂組成物膜の上
面との間隔を0μmに設定して200秒間露光した。そ
の後、未反応のドーパント(ベンゾフェノン)を100
℃で減圧乾燥して除去することにより、正弦波状の格子
断面をもつ光学部品が作製された。この方法で作製した
パターンの断面形状を触針式表面粗さ計(タリステッ
プ)で測定した結果を図1に示す。また、触針式表面粗
さ計(タリステップ)の測定方向を図2に示す。図1よ
り二軸方向に繰り返して正弦波状の格子パターンが得ら
れていることがわかる。
【0011】比較例 実施例で用いたものと同じ感光性樹脂を約3μmの膜厚
になるようにガラス基板上にスピンコートし、二軸方向
に10μmの格子ピッチパターンをもつフォトマスクを
用いて、マスクアライナーによりフォトマスクと感光性
樹脂組成物膜の上面との間隔を0μmに設定し400秒
間露光した。ついで、未反応のドーパントを100℃で
減圧乾燥により除去することによりパターンを作製し
た。この方法で作製したパターンの断面形状を図3に示
す。このパターンの断面形状は凸部では概ね正弦波状の
格子断面形状であるが、凹部ではほぼ平坦となり、二軸
方向に繰り返して正弦波状の格子パターンをもつパター
ンは得られていない。また、同じ感光性樹脂組成物を用
いて一軸の格子パターンをもつフォトマスクを用いて格
子パターンの方向を変えて二度露光した後に現像処理を
行うことにより作製したパターンの断面形状を図4に示
す。このパターンの断面形状は、凹部では概ね正弦波状
の格子断面形状であるが、凸部では段差が小さくなって
おり、二軸方向に格子パターンをもつフォトマスクを用
いて、作製したパターンと凹部と凸部とが入れ替わった
断面形状を示している。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、二軸以上の方向に繰り
返して正弦波状等の任意の断面形状を有する格子パター
ンが効率的に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られたパターンの断面形状を表
す図である。
【図2】断面形状の測定方向を示す図である。
【図3】比較例により得られたパターンの断面形状を表
す図である。
【図4】他の比較例により得られたパターンの断面形状
を表す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−250373(JP,A) 特開 平5−257261(JP,A) 特開 平2−165023(JP,A) 特開 平1−246509(JP,A) 特開 平1−250905(JP,A) 特開 昭61−292637(JP,A) 特開 平6−326018(JP,A) 特開 昭62−23744(JP,A) 特開 昭62−198855(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸以上の方向に繰り返す多軸格子パタ
    ーンを作製する方法であって、基板上に形成された第1
    の感光性樹脂組成物膜を一軸の格子パターンをもつフォ
    トマスクを用いて露光した後に現像する工程、該工程に
    より得られた格子パターン上に、該感光性樹脂組成物ま
    たはその溶媒により溶解または変質されない材料からな
    る中間層を設ける工程、該中間層上に第2の感光性樹脂
    組成物膜を積層する工程、中間層上に形成された第2の
    感光性樹脂組成物膜を一軸の格子パターンをもつフォト
    マスクを用いて露光した後に現像する工程からなること
    を特徴とする多軸格子パターンの作製方法。
  2. 【請求項2】 中間層を構成する材料が、第1の感光性
    樹脂組成物の現像・露光後に残存する未反応のドーパン
    トの昇華を妨げるものではないことを特徴とする請求項
    1記載の多軸格子パターンの作製方法。
  3. 【請求項3】 中間層を構成する材料が、紫外線吸収性
    を有することを特徴とする請求項1または2記載の多軸
    格子パターンの作製方法。
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