JP3438468B2 - ピストン式圧縮機 - Google Patents

ピストン式圧縮機

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JP3438468B2 JP10722396A JP10722396A JP3438468B2 JP 3438468 B2 JP3438468 B2 JP 3438468B2 JP 10722396 A JP10722396 A JP 10722396A JP 10722396 A JP10722396 A JP 10722396A JP 3438468 B2 JP3438468 B2 JP 3438468B2
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雅宣 横井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば車両空調
装置等に使用されるピストン式圧縮機に係わり、特にそ
のスラストベアリング構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のピストン式圧縮機には、ハウジ
ングの内部に駆動シャフトが支持されるとともに、その
駆動シャフトにはカムプレートが装着されている。そし
て、カムプレートの回転により、ピストンが往復動され
るように構成されている。このカムプレートと前記ハウ
ジングの一部を構成するシリンダブロックとの間には、
スラストベアリングが介装されている。
【0003】このスラストベアリングとしては、例えば
2枚の円環状の座金の間に多数のコロが介在された転が
りベアリングが採用されている。そして、圧縮機の運転
時にピストンの圧縮動作に伴ってカムプレートに作用す
るスラスト荷重が、スラストベアリングを介して前記シ
リンダブロックで支持されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、ピス
トン式圧縮機の外部駆動源をなす車両エンジンの高性能
化に伴って、圧縮機もより高回転数領域での運転に供さ
れるようになってきた。また、圧縮機における多気筒化
の傾向に伴って、カムプレートに働くピストンの圧縮反
力が増大している。一方、エンジンルーム内の圧縮機の
搭載可能なスペースは限られており、圧縮機の小型化が
求められている。このような状況下において、カムプレ
ートとシリンダブロックとの間に介装されたスラストベ
アリングにかかる荷重が増大しており、スラストベアリ
ングの潤滑がさらに重要になってきている。
【0005】この発明の目的は、潤滑を効率的に行うこ
とができ、摩耗や焼き付き等の不具合の起こりにくいス
ラストベアリング構造を備えたピストン式圧縮機を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載のピストン式圧縮機の発明では、ハ
ウジングに駆動シャフトを支持するとともに、その駆動
シャフトにカムプレートを装着し、カムプレートの回転
によりピストンが往復動されるようにしたピストン式圧
縮機において、前記カムプレートと前記ハウジングの一
部を構成するシリンダブロックとの間にスラストベアリ
ングを介装し、カムプレートに作用するスラスト荷重
を、スラストベアリングを介してハウジングで支持する
ように構成し、前記カムプレート及びシリンダブロック
にはスラストベアリングに接合する円環状の受圧座を形
成し、カムプレート及びシリンダブロックの少なくとも
一方の受圧座の端縁には、曲率半径が接合面に向かって
連続的に大きくなるように変化する曲面を形成したもの
である。
【0007】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載のピストン式圧縮機において、前記スラストベアリン
グは、少なくとも1枚の円環状の座金からなる滑り軸受
で構成したものである。
【0008】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は2に記載のピストン式圧縮機において、前記受圧座に
外形側と内径側とを連通する潤滑溝を形成したものであ
る。請求項4に記載の発明では、請求項3に記載のピス
トン式圧縮機において、前記カムプレートの受圧座に
は、前記スラスト荷重の最大作用部を避けて潤滑溝を形
成したものである。
【0009】請求項5に記載の発明では、請求項3また
は4に記載のピストン式圧縮機において、前記カムプレ
ートの受圧座には、複数の潤滑溝を不等ピッチで形成し
たものである。
【0010】請求項6に記載の発明では、請求項3〜5
のいずれかに記載のピストン式圧縮機において、前記受
圧座の円周方向において、潤滑溝により形成される端縁
に前記曲面を形成したものである。
【0011】請求項7に記載の発明では、請求項1〜6
のいずれかに記載のピストン式圧縮機において、前記受
圧座の半径方向の端縁に前記曲面を形成したものであ
る。請求項8に記載の発明では、請求項2〜7のいずれ
かに記載のピストン式圧縮機において、前記座金からな
るスラストベアリングを前記駆動シャフトに対し所定の
間隙をもって嵌挿したものである。
【0012】さて、請求項1及び7に記載のピストン式
圧縮機においては、カムプレート及びシリンダブロック
に、スラストベアリングと接合する円環状の受圧座が形
成されている。そして、カムプレート及びハウジングの
少なくとも一方の受圧座の端縁には、曲率半径が接合面
に向かって連続的に大きくなるように変化する曲面が形
成されている。このため、カムプレート及びシリンダブ
ロックの受圧座と、その受圧座に対向するスラストベア
リングの受圧面との間には、受圧座の接合面側に向かっ
て次第に縮小するように延びる楔状の油膜形成隙間が形
成される。そして、この油膜形成隙間内には、カムプレ
ートの回転に伴う楔効果によって、冷媒ガス中にミスト
状に分散された潤滑油及び周囲の内壁面等に付着した潤
滑油が引き込まれる。これにより、カムプレート及びシ
リンダブロックの両受圧座の間に動圧軸受が容易かつ確
実に構成されて、同部材間の摺動抵抗が低減される。
【0013】請求項2に記載のピストン式圧縮機におい
ては、スラストベアリングが円環状の座金からなる滑り
軸受で構成されている。このため、スラストベアリング
に転がりベアリングを採用した場合に比較し、スラスト
ベアリングの構成が簡単なものとなるとともに、転がり
打音の発生が解消される。
【0014】請求項3に記載のピストン式圧縮機におい
ては、前記受圧座に潤滑溝が設けられている。このた
め、潤滑油を含む冷媒ガス及び周囲の内壁面等に付着し
た潤滑油が、円環状の受圧座の外径側と内径側との間で
容易に移動される。そして、この潤滑溝内を移動する潤
滑油が、カムプレート及びシリンダブロックの受圧座
と、スラストベアリングの受圧面との間に引き込まれ
て、同部材間の潤滑が確保される。
【0015】請求項4及び5に記載のピストン式圧縮機
では、カムプレートの受圧座において、潤滑溝がスラス
ト荷重の最大作用部を避けて、不等ピッチで形成されて
いる。ここで、ピストンの圧縮動作に伴ってカムプレー
トに圧縮反力が作用すると、カムプレートには回転モー
メントが生じる。このため、カムプレートの受圧座にお
いて、回転モーメントの回転方向後側の部分がスラスト
ベアリングを介して対向するシリンダブロックの受圧座
に強圧される。このとき、前記回転方向後側の部分は、
スラスト荷重の最大作用部となっている。これに対し
て、前記のように、潤滑溝がスラスト荷重の最大作用部
を避けて、不等ピッチで形成されている。このため、前
記最大作用部におけるカムプレートの受圧座とスラスト
ベアリングとの接合面積が十分に確保されて、点あるい
は線接触状態となることがない。そして、カムプレート
の受圧座とスラストベアリングとの間における潤滑油膜
切れの発生が抑制されて、カムプレートに作用するスラ
スト荷重が確実に受け止められる。
【0016】請求項6に記載のピストン式圧縮機では、
カムプレート及びシリンダブロックの受圧座の円周方向
において、潤滑溝により形成される端縁に前記曲面が形
成されている。このため、前記受圧座と、その受圧座に
対向するスラストベアリングの受圧面との間に、受圧座
の接合面側に向かって次第に縮小するように延びる楔状
の油膜形成隙間が形成される。この油膜形成隙間内に
は、カムプレートの回転に伴う楔効果により潤滑溝内を
移動する潤滑油が引き込まれる。そして、カムプレート
及びシリンダブロックの両受圧座の間に、一層確実に動
圧軸受が構成される。
【0017】請求項8に記載のピストン式圧縮機におい
ては、座金によりなるスラストベアリングと駆動シャフ
トとの間に所定の間隙が形成されている。このため、潤
滑油が間隙を通してスラストベアリングの両側の受圧面
とに容易に移動される。そして、カムプレート及びシリ
ンダブロックの受圧座と、スラストベアリングの受圧面
との間へ、潤滑油が一層効果的に供給される。
【0018】
【発明の実施の形態】 (第1実施形態)以下に、この発明の第1実施形態を、
図1〜図9に基づいて説明する。
【0019】図1に示すように、ハウジングの一部を構
成する一対のシリンダブロック21は、対向端縁におい
て互いに接合されている。同じくハウジングの一部を構
成するフロントハウジング22は、シリンダブロック2
1の前端面にバルブプレート23を介して接合されてい
る。同じくハウジングの一部を構成するリヤハウジング
24は、シリンダブロック21の後端面にバルブプレー
ト23を介して接合されている。そして、前記シリンダ
ブロック21、フロントハウジング22及びリヤハウジ
ング24は、アルミニウムまたはアルミニウム合金によ
り形成されている。
【0020】複数の通しボルト25は、前記フロントハ
ウジング22から両シリンダブロック21及び両バルブ
プレート23を通して、リヤハウジング24のネジ孔2
6に螺合されている。そして、これらの通しボルト25
により、フロントハウジング22及びリアハウジング2
4がシリンダブロック21の両端面に締結固定されてい
る。
【0021】駆動シャフト27は、前記シリンダブロッ
ク21及びフロントハウジング22の中心に、一対のラ
ジアルベアリング28を介して回転可能に支持されてい
る。その駆動シャフト27の前端外周とフロントハウジ
ング22との間には、リップシール29が介装されてい
る。そして、この駆動シャフト27は、図示しない車両
エンジン等の外部駆動源に作動連結されて、その外部駆
動源により回転駆動される。
【0022】複数のシリンダボア30は、前記駆動シャ
フト27と平行に延びるように、各シリンダブロック2
1の両端部間に同一円周上で所定間隔おきに貫通形成さ
れている。両頭型のピストン31は、各シリンダボア3
0内に往復動可能に嵌挿支持され、それらの両端面とバ
ルブプレート23との間において、各シリンダボア30
内には圧縮室32が形成される。
【0023】クランク室33は、前記両シリンダブロッ
ク21の中間内部に区画形成されている。カムプレート
としての斜板34は、クランク室33内において駆動シ
ャフト27に嵌合固定され、その外周部が一対の半球状
のシュー35を介してピストン31の中間部に係留され
ている。そして、駆動シャフト27が回転されるとき、
この斜板34を介してピストン31が往復動される。
【0024】一対のスラストベアリング36は、前記斜
板34のボス部34aの両端と各シリンダブロック21
の内端との間に介装され、これらのスラストベアリング
36を介して、斜板34が両シリンダブロック21間に
挟着保持されている。そして、圧縮機の運転時に、斜板
34に作用するスラスト方向の荷重が、これらのスラス
トベアリング36を介してシリンダブロック21で受け
止められるようになっている。
【0025】吸入室37は、前記フロントハウジング2
2及びリヤハウジング24内の外周部に環状に区画形成
されている。吸入室37は、シリンダブロック21及び
バルブプレート23に形成された吸入通路21aを介し
てクランク室33に連通されている。クランク室33
は、図示しない吸入口を介して外部冷媒回路に接続され
る。吐出室38は、フロントハウジング22及びリヤハ
ウジング24内の内周部に環状に区画形成され、図示し
ない吐出マフラー及び吐出口を介して外部冷媒回路に接
続される。
【0026】吸入弁機構39は、前記各バルブプレート
23に形成され、ピストン31の往復動時に、この吸入
弁機構39により、両吸入室37から各シリンダボア3
0の圧縮室32内に冷媒ガスが吸入される。吐出弁機構
40は、各バルブプレート23に形成され、ピストン3
1の往復動時に、この吐出弁機構40により、各シリン
ダボア30の圧縮室32内で圧縮された冷媒ガスが両吐
出室38に吐出される。
【0027】そこで、前記斜板34のスラスト方向の軸
受構成について詳述する。図1に示すように、前記各ス
ラストベアリング36は、1枚の円環状の座金のみから
なる滑り軸受から構成され、その中心には駆動シャフト
27に嵌挿するための挿通孔36aが形成されている。
そして、スラストベアリング36を駆動シャフト27に
嵌挿したとき、挿通孔36aの内周面と駆動シャフト2
7の外周面との間に所定の間隙41が形成されるように
なっている。
【0028】図1〜図4に示すように、円環状の第1受
圧座42は、前記各シリンダブロック21の内端に突出
形成され、その先端の接合面42aにおいてスラストベ
アリング36の一方側受圧面36bに接合されている。
複数の潤滑溝43は、第1受圧座42に等ピッチで形成
され、これらの潤滑溝43により、第1受圧座42の接
合面42aが円周方向へ複数に分割されている。
【0029】図3に示すように、前記第1受圧座42の
円周方向において潤滑溝43により形成される両端縁に
は、曲率半径が接合面42aに向かって連続的に大きく
なるように変化する曲面42bが形成されている。ま
た、図4に示すように、第1受圧座42の半径方向の両
端縁にも、同様に曲率半径が接合面42aに向かって連
続的に大きくなるように変化する曲面42cが形成され
ている。そして、これらの曲面42b,42cにより、
第1受圧座42とスラストベアリング36の一方側受圧
面36bとの間には、第1受圧座42の接合面42a側
に向かって次第に縮小するように延びる楔状の油膜形成
隙間44,45が形成されるようになっている。
【0030】図5〜図7に示すように、円環状の第2受
圧座46は、前記斜板34のボス部34aの両端面に突
出形成され、その先端の接合面46aにおいてスラスト
ベアリング36の他方側受圧面36cに接合されてい
る。複数の潤滑溝47は、第2受圧座46上において、
スラスト荷重の最大作用部P1及びそこから180度隔
った部分P2を避けるように不等ピッチで形成されてい
る。そして、これらの潤滑溝47により、第2受圧座4
6の接合面46aが、円周方向へ複数に分割されてい
る。
【0031】図6に示すように、前記第2受圧座46の
円周方向において、潤滑溝47により形成される両端縁
には、曲率半径が接合面46aに向かって連続的に大き
くなるように変化する曲面46bが形成されている。ま
た、図7に示すように、第2受圧座46の半径方向の両
端縁にも、同様に曲率半径が接合面46aに向かって連
続的に大きくなるように変化する曲面46cが形成され
ている。そして、これらの曲面46b,46cにより、
第2受圧座46とスラストベアリング36の他方側受圧
面36cとの間には、第2受圧座46の接合面46a側
に向かって次第に縮小するように延びる楔状の油膜形成
隙間48,49が形成されるようになっている。
【0032】ところで、前記各受圧座42,46上の曲
面42b,42c,46b,46cは、例えば断面形状
が楕円の一部をなすような曲面となるように形成されて
いる。前記楕円は、図8に示すように、横が1000倍
で縦が10倍の偏倍率にて拡大した場合に円をなし、そ
の円の半径Rが3mm以上となるように設定されてい
る。また、楕円の短軸の長さに対する長軸の長さの割合
からなる偏平率は、50〜300、好ましくは70〜2
50、さらに好ましくは80〜200となるように設定
されている。ちなみに、各曲面42b,42c,46
b,46cの楕円形状において、偏平率の値が小さな楕
円ほど円に近いものとなり、偏平率の値が大きな楕円ほ
ど偏平な楕円となる。なお、図3、図4、図6及び図7
では、各曲面42b,42c,46b,46cは、理解
を容易にするために、それらの楕円の偏平率を小さく描
いてある。実際の各受圧座42,46上の曲面42b,
42c,46b,46cをなす楕円の短軸の長さは、数
μm〜数十μm程度である。
【0033】ここで、楕円の偏平率を50未満となるよ
うに設定した場合には、各油膜形成隙間44,45,4
8,49の最大開口部の開口幅が過大となって、それら
の油膜形成隙間44,45,48,49内の油膜に発生
する油膜圧力が小さなものとなる。このため、油膜形成
隙間44,45,48,49内に連続的に潤滑油を引き
込むための楔効果が発揮されにくいものとなって、各受
圧座42,46の接合面42a,46aと、スラストベ
アリング36の受圧面36b,36cとの間の潤滑が不
足がちになるおそれがある。
【0034】一方、前記楕円の偏平率を300より大き
くなるように設定した場合には、前記油膜形成隙間4
4,45,48,49の最大開口部の開口幅が過小とな
り、潤滑油を引き込むための入口が狭いものとなる。こ
のため、潤滑油が引き込まれにくいものとなって、前記
と同様に潤滑が不足がちになるおそれがある。
【0035】これに対して、この実施形態では、前記の
ように曲面42b,42c,46b,46cにおける楕
円の偏平率が50〜300となるように設定されてい
る。このため、シリンダブロック21及び斜板34上の
受圧座42,46の間に動圧軸受を構成するにあたっ
て、前記油膜形成隙間44,45,48,49の最大開
口部の開口幅が適正なものとなる。従って、油膜形成隙
間44,45,48,49内の油膜に発生する油膜圧力
が適当なものとなって楔効果が効果的に発揮されるとと
もに、油膜形成隙間内44,45,48,49に潤滑油
が引き込まれやすいものとなっている。
【0036】次に、前記のように構成されたピストン式
圧縮機の動作を説明する。さて、このピストン式圧縮機
において、図示しない車両エンジン等の外部駆動源によ
り駆動シャフト27が回転されると、斜板34を介して
各ピストン31がシリンダボア30内で往復動される。
それにより、図示しない外部冷媒回路から同じく図示し
ない吸入口を介してクランク室33に冷媒ガスが供給さ
れる。クランク室33内の冷媒ガスは、吸入通路21a
を経て両吸入室37に導入される。前記ピストン31の
上死点位置から下死点位置への復動動作に伴って、両吸
入室37内の冷媒ガスが、吸入弁機構39を介して、各
シリンダボア30の圧縮室32内に吸入される。そし
て、冷媒ガスは、前記ピストン31の下死点位置から上
死点位置への往動動作に伴って、圧縮室32内で所定の
圧力に達するまで圧縮される。圧縮された冷媒ガスは、
各シリンダボア30の圧縮室32内から吐出弁機構40
を介して両吐出室38に吐出される。両吐出室38内の
圧縮冷媒ガスは、図示しない吐出マフラー及び吐出口を
介して外部冷媒回路に供給される。
【0037】この圧縮機の運転時には、ピストン31に
圧縮反力が作用して、斜板34に対しスラスト方向の荷
重が付与される。そして、このスラスト方向の荷重は、
斜板34のボス部34a上の第2受圧座46からスラス
トベアリング36に伝達され、そのスラストベアリング
36を介して、各シリンダブロック21の第1受圧座4
2で受け止められる。
【0038】このとき、第1受圧座42及び第2受圧座
46には、それらの円周方向及び半径方向の両端縁に、
曲率半径が接合面42a,46aに向かって連続的に大
きくなるような曲面42b,42c,46b,46cが
形成されている。このため、図3、図4、図6及び図7
に示すように、各受圧座42,46とスラストベアリン
グ36の受圧面36b,36cとの間には、受圧座4
2,46の接合面42a,46a側に向かって次第に縮
小するように延びる楔状の油膜形成隙間44,45,4
8,49が形成される。これらの油膜形成隙間44,4
5,48,49内には、斜板34の回転に伴う楔効果に
よって、冷媒ガス中にミスト状に分散された潤滑油及び
周囲の内壁面等に付着した潤滑油が引き込まれる。そし
て、各受圧座42,46の間に動圧軸受が、容易かつ確
実に構成される。これにより、斜板34及びシリンダブ
ロック21の各受圧座42、46と、スラストベアリン
グ36との間の摺動抵抗が低減される。
【0039】また、スラストベアリング36が、斜板3
4に作用するスラスト荷重によって、両受圧座42,4
6間において、図9に示すように若干の撓みを生じた状
態で相対摺動されることがある。ところが、各受圧座4
2,46が曲面42b,42c,46b,46cにおい
てスラストベアリング36の受圧面36b,36cに接
合している。このため、前記のようにスラストベアリン
グ36に若干の撓みを生じても、その両受圧面36b、
36cと各受圧座42,46の接合面42a,46aと
の間に形成された潤滑油膜が断ち切られることはない。
【0040】ちなみに、図10に示すように、各受圧座
42,46の円周方向及び半径方向の両端縁に前記曲面
が形成されていない場合には、各受圧座42,46の両
端縁の角部がスラストベアリング36の受圧面36b,
36cに接合する。このため、スラストベアリング36
の受圧面36b,36cと各受圧座42,46の接合面
42a,46a間に形成された潤滑油膜が断ち切られる
おそれがある。
【0041】このように、前記油膜形成隙間44,4
5,48,49内には、潤滑油が十分かつ確実に引き込
まれる。これにより、各受圧座42,46の間に動圧軸
受が構成され、それらの間の摺動抵抗が低減されて、シ
リンダブロック21に対する斜板34の相対回転が安定
したものとなる。
【0042】また、図1に示すように、ピストン31の
圧縮動作に伴って、斜板34に圧縮反力Fが作用する
と、斜板34には回転モーメントMが生じる。このた
め、斜板34のボス部34aの第2受圧座46におい
て、回転モーメントMの方向後側の部分がスラストベア
リング36を介して対向するシリンダブロック21の第
1受圧座42に強圧される。このとき、前記回転方向後
ろ側の部分は、スラスト荷重の最大作用部P1となる。
ここで、斜板34の潤滑溝がスラスト荷重の最大作用部
P1を避けて、不等ピッチで形成されている。このた
め、前記最大作用部P1における斜板34の第2受圧座
46とスラストベアリング36との接合面積が十分に確
保されて、点あるいは線接触状態となることがない。そ
して、斜板34の第2受圧座46の接合面46aと、ス
ラストベアリング36の受圧面36cとの間における潤
滑油膜切れの発生が抑制される。
【0043】前記の実施形態によって期待できる効果に
ついて、以下に記載する。 (a) この実施形態のピストン式圧縮機では、各受圧
座42,46の円周方向及び半径方向の両端縁に、接合
面42a、46aに向かって曲率半径が連続的に大きく
なるように変化する曲面42b,42c,46b,46
cが形成されている。このため、各受圧座42,46と
スラストベアリング36の受圧面36b,36cとの間
には、受圧座42,46の接合面42a,46a側に向
かって次第に縮小するように延びる楔状の油膜形成隙間
44,45,48,49が形成される。そして、各受圧
座42,46の間に動圧軸受が、容易かつ確実に構成さ
れる。従って、スラストベアリング36に摩耗や焼付等
の不具合が発生するのを抑制することができる。
【0044】(b) この実施形態のピストン式圧縮機
においては、スラストベアリング36が1枚の円環状の
座金のみからなる滑り軸受で構成されている。このた
め、スラストベアリングに転がりベアリングを採用した
場合に比較し、構成が簡単なものとなって、部品点数を
削減して製作コストの低減を図ることができる。また、
転がり打音の発生を解消できて、運転時の騒音を低減す
ることができる。
【0045】(c) この実施形態のピストン式圧縮機
においては、シリンダブロック21及び斜板34上の受
圧座42,46に複数の潤滑溝43,47が形成され、
各受圧座42,46上の接合面42a,46aが円周方
向へ複数に分割されている。このため、斜板34の回転
に伴い、潤滑油が潤滑溝43,47を通して、円環状の
受圧座42,46の外側と内側との間で容易に移動され
る。そして、この潤滑油が前記受圧座42,46上の曲
面42b,42c,46b,46cの構成により、油膜
形成隙間44,45,48,49内へ効果的に引き込ま
れる。従って、この潤滑溝43,47の構成と、曲面4
2b,42c,46b,46cの構成との相乗効果によ
り、スラストベアリング36部分の潤滑効果を高めるこ
とができる。
【0046】(d) この実施形態のピストン式圧縮機
では、斜板34の第2受圧座46上において、スラスト
荷重の最大作用部P1を避けるようにして、複数の潤滑
溝47が不等ピッチで形成されている。このため、第2
受圧座46の前記最大作用部P1においては、スラスト
ベアリング36の受圧面36cに対する第2受圧座46
の接合面46aの接合面積を大きく確保することができ
る。従って、接合面46aと受圧面36cとの間におけ
る潤滑油膜切れの発生が抑制されて、斜板34に作用す
るスラスト荷重が確実に受け止められる。
【0047】(e) この実施形態のピストン式圧縮機
においては、1枚の座金よりなるスラストベアリング3
6が、駆動シャフト27に対し所定の間隙41をもって
嵌挿されている。このため、潤滑油が間隙41を通し
て、スラストベアリング36の一方側受圧面36bと他
方側受圧面36cとに容易に移動される。そして、この
潤滑油が前記受圧座42,46上の曲面42b,42
c,46b,46cの構成により、油膜形成隙間44,
45,48,49内へ効果的に引き込まれる。従って、
この間隙41の構成と、曲面42b,42c,46b,
46cの構成との相乗効果により、スラストベアリング
36部分の潤滑効果を高めることができる。
【0048】(第2実施形態)次に、この発明の第2実
施形態について、前記第1実施形態と異なる部分を中心
に説明する。
【0049】この第2実施形態においては、図11に示
すように、シリンダブロック21上の第1受圧座42
と、斜板34のボス部34a上の第2受圧座46との間
に、ニードルベアリングよりなるスラストベアリング5
1が介装されている。このスラストベアリング51は、
円環状の座金よりなるインナレース52及びアウタレー
ス53と、それらの間に介在されたニードルコロ54と
から構成されている。
【0050】また、この第2実施形態においても、図2
〜図7に示す前記第1実施形態と同様に、各受圧座4
2,46の円周方向及び半径方向の両端縁に、曲率半径
が接合面42a,46aに向かって連続的に大きくなる
ような曲面42b,42c,46b,46cが形成され
ている。そして、これらの曲面42b,42c,46
b,46cにより、各受圧座42,46と、スラストベ
アリング51の両レース52,53との間に、楔状の油
膜形成隙間44,45,48,49が形成されるように
なっている。
【0051】従って、この第2実施形態においても、前
述した第1実施形態とほぼ同様に、スラストベアリング
51の潤滑効果を高めることができる。なお、この発明
は以下のように変更して具体化することもできる。
【0052】(1) 前記第1実施形態において、円環
状の座金よりなるスラストベアリング36を、第1実施
形態に記載以外の枚数、例えば2枚以上介装すること。 (2) 前記第1実施形態において、斜板34のボス部
34aの第2受圧座46上において、スラスト荷重の最
大作用部P1から180度隔った部分P2に潤滑溝47
を設けること。
【0053】(3) 前記各実施形態において、受圧座
42,46上の曲面42b,42c,46b,46cの
断面形状が、前記実施形態に記載以外の形状、例えば放
物線、インボリュート曲線、サイクロイド曲線、渦巻き
線等の一部といった曲率半径が連続的に変化する曲線を
なすようにすること。
【0054】(4) 前記各実施形態において、シリン
ダブロック21上の第1受圧座42と、斜板34上の第
2受圧座46とのいずれか一方の端縁に、曲面42b,
42c,46b,46cを形成すること。
【0055】(5) この発明を、ウェーブカムプレー
トタイプの両頭ピストン式圧縮機において具体化するこ
と。これらのように構成しても、前記第1実施形態に記
載の作用効果とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば
以下の優れた効果を奏する。請求項1及び7に記載の発
明によれば、カムプレート及びシリンダブロック上の受
圧座の曲面構成により、スラストベアリングに対し潤滑
を効率的に行うことができて、そのスラストベアリング
部分に摩耗や焼き付き等の不具合が生じるのを抑制する
ことができる。
【0057】請求項2に記載の発明によれば、スラスト
ベアリングを円環状の座金のみからなる滑り軸受で構成
したことにより、部品点数を削減して製作コストの低減
を図ることができる。また、転がり打音の発生を解消で
きて、運転時の騒音を低減することができる。
【0058】請求項3に記載の発明によれば、受圧座の
潤滑溝構成と曲面構成との相乗効果により、スラストベ
アリングに対する潤滑効果を高めることができる。請求
項4及び5に記載の発明によれば、カムプレートの受圧
座において、潤滑溝を形成することにより、スラスト荷
重の最大作用部の接合面の接合面積が減少して、スラス
ト荷重の支持効果が低減するおそれを防止することがで
きる。
【0059】請求項6に記載の発明によれば、受圧座の
円周方向の両端縁に曲面を形成することにより、受圧座
の潤滑溝内を移動する潤滑油を効果的にスラストベアリ
ングに供給できて、潤滑効果を高めることができる。
【0060】請求項8に記載の発明によれば、円環状の
座金よりなるスラストベアリングの内周と駆動シャフト
との間の間隙構成が、前記受圧座の曲面構成と相乗効果
を発揮して、スラストベアリングに対する潤滑効果を高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のピストン式圧縮機を示す断面
図。
【図2】 シリンダブロックの受圧座を拡大して示す側
面図。
【図3】 図2の3−3線における部分拡大断面図。
【図4】 図2の4−4線における部分拡大断面図。
【図5】 斜板を拡大して示す側面図。
【図6】 図5の6−6線における部分拡大断面図。
【図7】 図5の7−7線における部分拡大断面図。
【図8】 受圧座の端縁の曲面における曲率半径を説明
する説明図。
【図9】 シリンダブロックの受圧座に対するスラスト
ベアリングの接合状態を示す部分断面図。
【図10】 通常のシリンダブロックの受圧座に対する
スラストベアリングの接合状態を示す部分断面図。
【図11】 第2実施形態のピストン式圧縮機を示す部
分断面図。
【符号の説明】
21…ハウジングの一部を構成するシリンダブロック、
22…ハウジングの一部を構成するフロントハウジン
グ、24…ハウジングの一部を構成するリヤハウジン
グ、27…駆動シャフト、31…ピストン、34…カム
プレートとしての斜板、36、51…スラストベアリン
グ、36b…一方側受圧面、36c…他方側受圧面、4
1…間隙、42…第1受圧座、42a…接合面、42
b,42c…曲面、43…潤滑溝、46…第2受圧座、
46a…接合面、46b,46c…曲面、47…潤滑
溝、P1…スラスト荷重の最大作用部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 脇田 朋広 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社 豊田自動織機製作所 内 (56)参考文献 特開 昭56−88975(JP,A) 実開 昭53−92710(JP,U) 実開 昭57−31581(JP,U) 実開 昭60−157989(JP,U) 実開 昭64−3118(JP,U) 実開 平4−31322(JP,U) 実開 昭60−154620(JP,U) 実開 昭62−119532(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04B 27/08 F04B 39/00 103 F04B 39/02 F16C 17/04

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングに駆動シャフトを支持すると
    ともに、その駆動シャフトにカムプレートを装着し、カ
    ムプレートの回転によりピストンが往復動されるように
    したピストン式圧縮機において、 前記カムプレートと前記ハウジングの一部を構成するシ
    リンダブロックとの間にスラストベアリングを介装し、
    カムプレートに作用するスラスト荷重を、スラストベア
    リングを介してハウジングで支持するように構成し、前
    記カムプレート及びシリンダブロックにはスラストベア
    リングに接合する円環状の受圧座を形成し、カムプレー
    ト及びシリンダブロックの少なくとも一方の受圧座の端
    縁には、曲率半径が接合面に向かって連続的に大きくな
    るように変化する曲面を形成したピストン式圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記スラストベアリングは、少なくとも
    1枚の円環状の座金からなる滑り軸受で構成した請求項
    1に記載のピストン式圧縮機。
  3. 【請求項3】 前記受圧座に外径側と内径側とを連通す
    る潤滑溝を形成した請求項1または2に記載のピストン
    式圧縮機。
  4. 【請求項4】 前記カムプレートの受圧座には、前記ス
    ラスト荷重の最大作用部を避けて潤滑溝を形成した請求
    項3記載のピストン式圧縮機。
  5. 【請求項5】 前記カムプレートの受圧座には、複数の
    潤滑溝を不等ピッチで形成した請求項3または4に記載
    のピストン式圧縮機。
  6. 【請求項6】 前記受圧座の円周方向において、潤滑溝
    により形成される端縁に前記曲面を形成した請求項3〜
    5のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
  7. 【請求項7】 前記受圧座の半径方向の端縁に前記曲面
    を形成した請求項1〜6のいずれかに記載のピストン式
    圧縮機。
  8. 【請求項8】 前記座金からなるスラストベアリングを
    前記駆動シャフトに対し所定の間隙をもって嵌挿した請
    求項2〜7のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
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