JP3436269B2 - イムノクロマト法用測定器具 - Google Patents

イムノクロマト法用測定器具

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JP3436269B2 JP2002528830A JP2002528830A JP3436269B2 JP 3436269 B2 JP3436269 B2 JP 3436269B2 JP 2002528830 A JP2002528830 A JP 2002528830A JP 2002528830 A JP2002528830 A JP 2002528830A JP 3436269 B2 JP3436269 B2 JP 3436269B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、(1)測定対象物質と結合能を有するリポ
ソーム(以下、結合能リポソームと略記する。)が吸収性
担体上に固定されてなるイムノクロマト法用吸収性担体
及びそれを展開膜として用いた測定器具、並びに(2)
測定対象物質を含む試料と、標識された測定対象物質と
結合能を有する物質(以下、標識測定対象結合物質と略
記する。)とを接触させて、当該「測定対象物質」と当該
標識測定対象結合物質との「複合体」を形成させ、次い
でこの複合体を結合能リポソームと反応させ、生成した
複合体中の標識物質に由来する着色に基づいて「測定対
象物質」の測定を行うことを特徴とする、イムノクロマ
ト法による試料中の「測定対象物質」の測定方法、更に
は、(3)(2)の方法により(1)の測定器具を用いて
「測定対象物質」の測定をおこなう方法に関する。
技術背景 イムノクロマト法は、多孔質膜の毛細管現象を利用し
たクロマトグラフィーの手法と免疫学的手法を組み合わ
せた方法であり、迅速且つ簡便に、そして特別な装置を
用いることなく免疫測定を行える方法であり、各種抗体
の検出等に用いられている。
しかしながら、この方法では展開膜上に抗原を固定化
する際、抗原を水溶液に溶解し該水溶液を展開膜に塗布
するという作業を必要とするため、水に不溶の脂溶性抗
原を展開膜上に固定化することはなされておらず、脂溶
性抗原に対する抗体をイムノクロマト法で測定すること
もなされていなかった。そこで、脂溶性抗原を展開膜に
固定化するために、脂溶性抗原を有機溶媒に溶解させ、
該有機溶媒を展開膜に塗布する試みがなされたが、有機
溶媒による吸収性担体の物理的損傷等が起こるため、抗
体測定感度が低下したり、抗体特異性が弱まる等の問題
があった。そのため、イムノクロマト法を用いて脂溶性
抗原に対する抗体等を測定するための、脂溶性抗原の展
開膜上への有効な固定化方法の開発が望まれていた。
発明の開示 本発明は、上述した如き状況に鑑みてなされたもの
で、脂質抗原そのものを展開膜上に固定化するのではな
く、脂質抗原が固定化された結合能リポソームを、展開
膜上に固定化することからなる、脂質抗原を安定に且つ
効率よく展開膜上に固定化したイムノクロマト測定用器
具、及び該器具を用いたイムノクロマト法による測定対
象物質の測定方法を提供することにある。
本発明は、(1)結合能リポソームが展開膜上に固定
化されてなる、イムノクロマト法用吸収性担体、(2)結
合能リポソームが展開膜上に固定化されてなる、イムノ
クロマト法用測定器具、(3)測定対象物質を、展開膜
上に固定化された結合能リポソームと反応させることか
らなる、イムノクロマト法による測定対象物質の測定方
法、(4)測定対象物質を含む試料を、展開膜上に固定化
されている結合能リポソーム上に供給し、当該測定対象
物質と該リポソームとを反応させることからなる、イム
ノクロマト法による試料中の測定対象物質の測定方法、
(5)測定対象物質を含む試料と、標識測定対象結合物質
とを接触させ、当該測定対象物質と当該標識測定対象結
合物質との複合体を形成し、次いでこの複合体を結合能
リポソームと反応させ、生成した複合体中の標識物質に
由来する着色に基づいて測定対象物質の有無の判定を行
う、イムノクロマト法による試料中の測定対象物質の測
定方法、(6)標識測定対象結合物質が担持された検体標
識部、結合能リポソームが固定化された展開膜及び液体
吸収部がこの順序で且つお互いに毛細管現象による液体
の流通が可能となるように支持体上に形成されたイムノ
クロマト法用測定器具の、当該検体標識部に測定対象物
質を含む試料を滴下して測定対象物質と標識測定対象結
合物質との複合体を形成させ、当該複合体を展開膜上の
リポソーム固定部まで展開させて複合体と結合能リポソ
ームとを反応させ、当該固定部において生成した複合体
中の標識物質に由来する着色に基づいて測定対象物質の
有無の判定を行う、イムノクロマト法による試料中の測
定対象物質の測定方法、に関する。
即ち、本発明者らは、例えば抗リン脂質抗体等の抗脂
質抗体を高感度に検出し得る脂質抗原を展開膜上に固定
化したイムノクロマト法用試験具を開発すべく鋭意研究
を行った結果、脂質抗原そのものを展開膜上に固定化す
るのではなく、当該脂質抗原とその他の脂質からなるリ
ポソーム或いはリポソーム外膜上に当該抗原を組み込ま
せた(固定化した)ものを、展開膜上に固定化すること
で、脂質抗原を安定に且つ効率よく展開膜上に固定化で
きることを見出し、更には、これをイムノクロマト法用
試験具として用いることにより試料中の抗脂質抗体を高
感度に測定し得ることを見出し、本発明を完成するに至
った。
図面の簡単な説明 図1は、本発明のキット又は試験用具の一例を示す図
である。
図2は、本発明のキット又は試験用具の一例を示す図
である。
図3は、本発明のキット又は試験用具の一例を示す図
である。
図4は、本発明のキット又は試験用具の一例を示す図
である。
図5は、本発明のキット又は試験用具の一例を示す図
である。
図6は、本発明の実施例中で用いられた試験用具の例
を示す図である。
発明を実施するための最良の形態 本発明に係る測定対象物質としては、抗原抗体反応を
誘起し得る物質であればよく、例えば、血液、血清、血
漿、唾液等の生体体液、リンパ球、血球、各種細胞類、
尿、糞便等の生体由来の試料中に含まれる蛋白質、ペプ
チド、核酸、糖鎖、ホルモン、薬物、及び上記したもの
に対する抗体等が代表的なものとして挙げられる。更
に、具体的には例えばα-フェトプロテイン(AFP),CA19
-9,前立腺特異抗原(PSA)、癌胎児性抗原(CEA),癌細胞
の産生する特殊な糖鎖を有する物質等の癌マーカー、例
えば免疫グロブリンA(IgA),免疫グロブリンE(IgE),
免疫グロブリンG(IgG),β2-ミクログロブリン,アル
ブミン,フェリチン等の血清蛋白質、例えばC-ペプチ
ド,アンジオテンシンI等のペプチド、例えばアミラー
ゼ,アルカリホスファターゼ,γ-グルタミルトランス
フェラーゼ(γ-GTP)等の酵素蛋白、例えばルベラウイル
ス,ヘルペスウイルス,肝炎ウイルス,ATLウイルス,A
IDSウイルス等のウイルス、例えば溶血性レンサ球菌、
梅毒病原体等の病原体、例えばこれら病原体及びウイル
ス等のデオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)或はこれ
ら核酸を構成する1本鎖ポリヌクレオチド、例えばスギ
その他の草木の花粉や室内塵等のアレルゲン、例えばカ
イロマイクロン、超低密度リポ蛋白質(VLDL)、低比重リ
ポ蛋白質(LDL)、高密度リポ蛋白質(HDL)、超高密度リ
ポ蛋白質(VHDL)等のリポ蛋白質、例えば天然レシチ
ン、ジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC),ジ
ミリストイルフォスファチジルコリン(DMPC),ジステア
ロイルフォスファチジルコリン(DSPC),ジオレオイルフ
ォスファチジルコリン(DOPC)や、ジホスファチジルグリ
セロール(カルジオライピン)等のリン脂質、ガングリ
オシド、ジガラクトシルジグリセリド等の等脂質等の脂
質、例えばトリプシン,プラスミン,セリンプロテアー
ゼ等のプロテアーゼ、例えばインシュリン,ヒト絨毛性
ゴナドトロピン(hCG),サイロキシン(T4),トリヨード
サイロニン(T3),プロラクチン,甲状腺刺激ホルモン(T
SH)等のホルモン、例えばジゴキシン,フェニトイン,
モルヒネ,ニコチン等の薬物、並びに上記したものに対
する抗体等が挙げられるが、中でも、リポ蛋白質やリン
脂質、糖脂質等の脂質類又はこれらに対する抗体等が好
ましい。尚、これらの測定対象物質を含有する生体由来
試料は、直接或いは適当な緩衝液等で希釈又は懸濁させ
た後、本発明の測定対象物質の測定方法に付される。
本発明に係る測定対象物質と結合能を有する物質(以
下、測定対象結合物質を略記する。)としては、上記し
た測定対象物質と免疫学的に結合能を有する物質であれ
ば特に限定はされず、例えば上記したものから選ばれた
測定対象物質が抗原であれば、該抗原に対する抗体や該
抗原に対する抗体中の(Fab′)2、Fab、Fab及びこれらを
有する物質等が挙げられ、選ばれた測定対象物質が抗原
であれば、該抗体に対する抗原や該抗原の抗原決定基を
有する物質等が挙げられ、これら測定対象結合物質は、
2種以上を適宜選択して用いても良い。尚、結合能リポ
ソームに固定化される測定対象結合物質と標識測定対象
結合物質で用いられる測定対象結合物質は、測定対象物
質と免疫学的に結合能を有するものであれば、同一のも
のを用いても異なるものを用いてもよい。
本発明に係る結合能リポソームとしては、イムノクロ
マト法溶測定器具に用いることが出来る測定対象物質と
免疫学的に結合する性質を有するリポソームであれば何
れでもよく、例えば測定対象結合物質である脂質と特定
の脂質とを膜構成成分としてなるリポソームでも、特定
の脂質を膜構成成分としてなるリポソーム外膜に測定対
象結合物質を結合させたもので、測定対象結合物質を特
定の脂質に結合させたものを膜構成成分としてなるリポ
ソームでも、測定対象結合物質を特定の脂質に結合させ
たものとその他の脂質とを膜構成成分としてなるリポソ
ームでもよい。尚、測定対象結合物質を膜構成成分とし
て含むリポソームを用いる場合、その他の脂質を用いず
に測定対象結合物質それ自体をリポソーム化したものを
結合能リポソームとして用いてもよい。
ここで用いられるリポソームの主な膜構成成分として
の脂質は、リポソームを形成できるものであれば特に限
定はされないが、例えば通常のリポソーム調製に於いて
膜構成成分として用いられている天然レシチン(例え
ば、卵黄レシチン,大豆レシチン等)やジパルミトイル
フォスファチジルコリン(DPPC),ジミリストイルフォス
ファチジルコリン(DMPC),ジステアロイルフォスファチ
ジルコリン(DSPC),ジオレオイルフォスファチジルコリ
ン(DOPC),ジパルミトイルフォスファチジルエタノール
アミン(DPPE),ジミリストイルフォスファチジルエタノ
ールアミン(DMPE),卵黄フォスファチジルグリセロー
ル,ジパルミトイルフォスファチジルグリセロール(DPP
G),ジミリストイルフォスファチジン酸(DMPA),ジパル
ミトイルフォスファチジン酸(DPPA),パルミトイルオレ
オイルフォスファチジルコリン(POPC)等のリン脂質の一
種または二種以上、或はこれらとコレステロール類との
混合系、或はこれらに更にリポポリサッカライド等を組
み合わせたもの等が挙げられ、好ましくは、天然レシチ
ン、ジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC),ジ
ミリストイルフォスファチジルコリン(DMPC),ジステア
ロイルフォスファチジルコリン(DSPC),ジオレオイルフ
ォスファチジルコリン(DOPC)、コレステロール等、及び
これらを組み合わせたもの等であり、より好ましくは、
天然レシチン及びコレステロール、並びにこれらを組み
合わせたもの等である。
また、測定対象結合物質である脂質としては、抗原抗
体反応を誘起し得る脂質であればよいが、例えば、天然
レシチン、ジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPP
C),ジミリストイルフォスファチジルコリン(DMPC),ジ
ステアロイルフォスファチジルコリン(DSPC),ジオレオ
イルフォスファチジルコリン(DOPC)や、カルジオライピ
ン等が挙げられる。また、これらを測定対象結合物質と
して標識測定対象結合物質を調製する場合には、例えば
コレステロール等の脂質安定化剤を、標識測定対象結合
物質の調製時に添加することが好ましい。尚、その際の
添加量としては、反応溶液中の濃度が通常0.1〜50mg/m
l、好ましくは1〜5mg/mlである。また、このような脂質
安定化剤は測定対象結合物質の調製時に添加してもよ
く、その場合の濃度は、標識物質と反応させる際の反応
溶液中の濃度が上記の如くなるようにすればよい。
本発明に係る結合能リポソームの調製方法としては、
以下のような方法が挙げられる。
測定対象結合物質である脂質とその他の脂質からなる
リポソームの調製方法 先ず上記した通常リポソームを調製する際に用いられる
脂質から選択された特定の脂質と測定対象結合物質であ
る脂質とを混合する。次いで、得られた混合溶液を、自
体公知のリポソーム作成方法、例えばボルテックスイン
グ法,超音波法,界面活性剤除去法,逆相蒸発法(REV
法),エタノール注入法,エーテル注入法,プレ−ベジ
クル(Pre-Vesicle)法,フレンチプレスエクストルージ
ョン(French Press Extrusion)法,Ca2+融合法,ア
ニーリング(Annealing)法,凍結融解融合法,W/O/W
エマルジョン法等に従って、リポソーム化する。具体的
には、例えば以下の如くして行う。即ち、測定対象結合
物質である脂質と測定対象結合物質以外の通常リポソー
ムを調製する際に膜構成成分として用いられる脂質とを
混合し、該混合溶液中の溶媒を留去・減圧乾固した後、
ホウ酸緩衝液等を添加し、懸濁させ、これを例えば超音
波処理する事によりリポソームを調製する。
測定対象結合物質をリポソームに結合させたリポソー
ムの調製方法 自体公知の架橋法(Biochemistry,第20巻,4229〜4238
頁,1981年、J.Biol.Biochem.,第257巻,286〜288頁,1982
年等)、脂質活性化法等に準じて行えばよく、例えば上
記の通常リポソームを調製する際に用いられる脂質から
選ばれた適当な脂質を用いてと同様の方法により調製
されたリポソームと測定対象結合物質を混合させ、リポ
ソーム外膜に測定対象結合物質を共有結合的に結合させ
る方法、例えば予め測定対象結合物質を結合させた上記
から選ばれた脂質を用いてと同様の方法によりリポソ
ームを調製し、リポソーム外膜に測定対象結合物質を結
合させる方法、例えば測定対象結合物質を結合させた上
記から選ばれた脂質とさらに別の上記から選ばれた脂質
とを混合したものを用いてと同様の方法によりリポソ
ームを調製し、リポソーム外膜に測定対象結合物質を結
合させる方法等が挙げられる。
上記の方法において、中でもの測定対象結合物質で
ある脂質を特定のリン脂質のリポソーム内に組み込んだ
ものを用いる方法が、リポソームを容易に調製でき、好
ましいものとして挙げられる。
本発明に於いて用いられる吸収性担体または展開膜と
して用いられる基材は、水その他の液体等の液状物を吸
収し、毛管現象を起こしうる性質を有するものであれば
よく、例えば多孔性のシート状乃至膜状物、フォーム
(発泡体)、織布状物、不織布状物、編物状物等が挙げ
られ、これらには天然、半合成又は合成の繊維状或いは
その他の形状の素材を、抄紙、製膜、発泡成型、編製、
織製等の常法により成型することにより得られるもの等
が含まれる。これらの素材としては、例えば綿、麻、
絹、セルロース、ロックウール、獣毛、ナイロン、ニト
ロセルロース、セルロースアセテート、ガラス繊維、カ
ーボン繊維、ボロン繊維、ポリアミド、アラミド、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルアセテート、レーヨン、
ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、中でもナイロンが好
ましい。尚、これら吸収性担体又は展開膜に用いられる
基材に更にアミノ基、カルボキシル基等の官能基を導入
した、所謂活性基修飾吸収性担体も本発明の吸収性担体
または展開膜に包含される。該吸収性担体または展開膜
の形状は、特に限定されないが、矩形乃至方形や円形乃
至楕円形が一般的である。
本発明に於いて、結合能リポソームを吸収性担体又は
展開膜に担持させる方法としては、通常この分野で用い
られる方法であればよく、例えば上記した如き吸収性担
体又は展開膜に上記した如き結合能リポソームを含有す
る溶液を、例えば塗布、滴下或いは噴霧等した後、これ
を乾燥して物理的吸着により担持させる方法、目的の免
疫反応に関与しないタンパク質を結合能リポソームと結
合させた後、例えば塗布、滴下或いは噴霧等した後、こ
れを乾燥して物理的吸着により担持させる方法、吸収性
担体又は展開膜中の例えばアミノ基、カルボキシル基等
の官能基を利用して化学的に結合能リポソームを担持さ
せる方法等が挙げられる。
より具体的には、例えば物理的吸着により結合能リポ
ソームをナイロン膜上に担持させる方法としては、先ず
例えば上記の如く形成された結合能リポソーム或いはそ
れを含む適当な溶液を、例えばナイロン膜上に0.1〜10m
mの幅で塗布し、当該ナイロン膜を風乾させること等によ
り結合能リポソームを展開膜に担持させる。
尚、展開膜上の上記のようにして得られた結合能リポ
ソームが担持された部位に於いて測定対象物質を測定す
るので、この部位は、いわゆる測定部となる。また、上
記のようにして得られた結合能リポソームが担持された
展開膜には、更に数種のその他の測定対象結合物質を同
様の方法を繰り返すことにより展開膜上に担持させ、数
種の測定対象物質の測定部を設けることが出来る。その
際、数種の測定部は相互に重なりを持たないように展開
膜上に設置し、第1測定対象物質、第2測定対象物質、
第3測定対象物質等に対応させて、例えば第1測定部、
第2測定部、第3測定部等とすればよい。更にまた、上
記のように結合能リポソームを担持させる処理を施した
吸収性担体又は展開膜には、非特異的な吸着による測定
への影響を防止するために、所謂ブロッキング処理を施
しておくことが望ましい。このようなブロッキング処理
は、通常この分野で行われる方法、例えば上記した如き
展開膜に用いられる基材を例えばアルブミン、グロブリ
ン、カゼイン、ポリビニルアルコール、界面活性剤等の
ブロッキング剤(但し、測定への影響のないものを選択し
て使用する。)を含有する適当な緩衝液(例えばpHが5〜
9程度で、10〜500mMの例えばトリス緩衝液、リン酸緩
衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液
等)中に適当な時間浸漬した後に乾燥する方法等により
行えばよい。
結合能リポソームの吸収性担体への担持量は、使用す
るリポソームの種類、使用する測定対象結合物質の種
類、使用する標識物質の検出限界等により変動するが、
展開膜の結合能リポソームが担持される部分の単位面積
(cm)当たりの担持量として通常0.01μg〜10mg、
好ましくは0.1μg〜4mg、より好ましくは1〜800μg
であり、また、測定対象結合物質の量としては、展開膜
の結合能リポソームが担持される部分の単位面積(c
m)当たりの担持量として通常0.01μg〜5mg、好ま
しくは0.1μg〜2mg、より好ましくは1〜500μgであ
る。
本発明に係る検体標識部として用いられる基材は、標
識測定対象結合物質を保持出来るものであり、且つ生体
試料等の検体を滴下した後に毛細管現象による液体の流
通等により検体が展開膜へ移行し得るものであればよ
く、具体的には上記に示した吸収性担体または展開膜の
それらに準じたものであればよい。
本発明に係る標識測定対象結合物質に於いて用いられ
る標識物質としては、これを測定対象結合物質に標識し
たものが毛細現象により移動可能なものであればよく、
例えばラジオアイソトープ、例えばホースラディッシュ
ペルオキシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ等
の酵素、例えば金コロイド,鉄コロイド,銀コロイド等
の金属コロイド、例えばセレニウムコロイド等の非金属
コロイド、例えばローダミンB,ローダミンイソチオシ
アネート,カルボキシルフルオレッセン,フルオレッセ
ンイソチオシアネート(FITC)等の蛍光色素、例えばク
ーマシーブリリアントブルーR250,メチルオレンジ等の
色素、例えばポリスチレン,ポリアクリルアミド等の高
分子ポリマーを原料として調製された着色ラテックス等
が挙げられる。中でも、例えば金コロイド、セレニウム
コロイド、着色ラテックス等の視覚的に検知し得るシグ
ナルが得られる標識物質が好ましく、特に取扱い易さや
感度等の点から金コロイドが好ましい。
上記した如き標識物質は、常法により調製されたも
の、或いは市販品を用いることができる。具体的には、
例えば金コロイドの場合、例えば塩化金酸をクエン酸ナ
トリウムで還元する方法〔Nature Phys.Sci.,vol.241,2
0(1973)〕等により調製すればよい。また、金コロイド
の粒径は特に限定されないが、通常5nm〜200nm、好まし
くは10nm〜100nmである。
本発明に係る標識測定対象結合物質としては、測定対
象物質と結合能を有し且つ蛍光や色素等の標識となるも
のであればよく、例えば上記した如き測定対象結合物質
と上記した如き標識物質を結合させたもの等が挙げられ
る。
また、測定対象結合物質と標識物質を結合させる方法
としては、通常この分野で用いられる常法、例えば物理
的吸着法〔Techniques in Immunocytochemistry,volume
1,p108-133,Academic Press社、J.Histochem.Cytoche
m.,vol.25,1187-1200(1977)、Experientia vol.31,1147
(1975)等に記載の方法〕、化学的結合法〔特公平7-1075
35号公報、J.Immunol.Methods,vol.75,351(1984)、B.B.
A.,vol.640,66(1981)、B.B.R.C.,vol.89,1114(19
79)、J.Immunol.Methods,vol.22,165(1984)等に記載の
方法〕、標識物質をタンパク質を介して結合させる方法
等が挙げられ、用いる標識物質の種類に応じて選択すれ
ばよい。
尚、標識物質として金コロイドを用いる場合には、物
理的吸着による方法、金コロイドを目的の免疫反応に関
与しないタンパク質に結合させた後、そのタンパク質
と、測定対象結合物質とを結合させる方法、目的の免疫
反応に関与しないタンパク質と測定対象結合物質とを係
合させた後、そのタンパク質と標識物質とを結合させる
方法等により行うのが好ましく、例えば、金コロイドを
目的の免疫反応に関与しないタンパク質に結合させた
後、そのタンパク質と、測定対象結合物質とを結合させ
る方法としては、金コロイドと、例えばアルブミン,
カゼイン等の目的の免疫反応に関与しないタンパク質と
を、常法〔Techniques in Immunocytochemistry,volume
1,p108-133,Academic Press社、J.Histochem.Cytoche
m.,vol.25,1187-1200(1977)、Experientia vol.31,1147
(1975)等に記載の方法〕により結合させた後、例えばス
クシンイミド基等の官能基が導入された測定対象結合物
質や、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)
基等の官能基がスペーサーを介して結合した測定対象結
合物質の該官能基と、金コロイドに結合したタンパク質
のアミノ基とを反応させて結合させる方法、測定対象
結合物質に導入されたアミノ基に例えばm−マレイミド
ベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
(MBS)等の架橋剤を用いて導入したマレイミド基
と、金コロイドに結合したタンパク質のチオール基とを
反応させて結合させる方法等が挙げられる。また、目的
の免疫反応に関与しないタンパク質と測定対象結合物質
とを結合させた後、そのタンパク質と標識物質とを結合
させる方法としては、例えばアルブミン,カゼイン等
の目的の免疫反応に関与しないタンパク質と、例えばス
クシンイミド基等の官能基が導入された測定対象結合物
質や、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)
等の官能基がスペーサーを介して結合した測定対象結合
物質とを反応させて、測定対象結合物質の官能基にタン
パク質のアミノ基を結合させる方法や、測定対象結合
物質に導入されたアミノ基に例えばm−マレイミドベン
ゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MB
S)等の架橋剤を用いて導入したマレイミド基と、例え
ばアルブミン,カゼイン等の目的の免疫反応に関与しな
いタンパク質のチオール基とを反応させる方法等により
得られた結合物と、金コロイドとを、常法〔Techniques
in Immunocytochemistry,volume 1,p108-133,Academic
Press社、J.Histochem.Cytochem.,vol.25,1187-1200(19
77)、Experientia vol.31,1147(1975)等に記載の方法〕
により結合させる方法等が挙げられる。
より具体的には、例えば標識物質として金コロイド
を、測定対象結合の物質としてリン脂質抗原を用いる場
合、以下の如くして行えば本発明の標識測定対象結合物
質を得ることができる。
物理的吸着による方法 先ず、リン脂質抗原液として例えばカルジオライピン
(牛心臓由来、シグマ社製)エタノール溶液及びフォス
ファチジルコリン(卵黄由来、キューピー社製)エタノ
ール溶液を混合し調製する。
次いで、上記で調製したリン脂質抗原溶液に前処理済
み金コロイド懸濁液を添加し、混和する。尚、この際又
は上記のリン脂質抗原溶液調製時に、コレステロールを
添加することが好ましい。さらに、ブロッキング液[例
えばBSA、スクロースを含む2-N-モルホリノ-エタンスル
ホン酸(MES)等]を加え放置した後、遠心分離により
金コロイド標識リン脂質抗原を回収する。
タンパク質を介して結合させる方法 リン脂質抗原に炭素鎖を介してアミノ基を導入した合
成リン脂質抗原6mgを通常0.1〜100mg、好ましくは0.1〜
50mgのMBSと反応させ、合成リン脂質抗原中のアミノ基
にマレイミド基を導入する。尚、この際コレステロール
を添加することが好ましい。次いで、牛血清アルブミン
(BSA)5mgを、2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−
1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液
に溶解し、通常1〜1000μg、好ましくは10〜100μgの
N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プ
ロピオネート(SPDP)と反応させた後、脱塩してピリジ
ルジチオプロピオネート−BSA(PDP-BSA)を得る。
これを更に、ジチオスレイトールで還元した後、脱塩し
てチオール基導入BSAを得る。これにマレイミド基導
入合成リン脂質抗原を反応させた後、ゲル濾過等により
未反応の合成リン脂質抗原とBSAを分離し、合成リン
脂質抗原−MBS−BSA複合体を得る。次いで、金コ
ロイドと、金コロイド1mgに対して通常0.5〜100μg、好
ましくは1〜50μgの合成リン脂質抗原−MBS−BS
A複合体とを、適当な緩衝液中で5〜30分間室温で反応
させた後、例えばポリエチレングリコール等の分散剤を
添加した後、遠心分離処理等により目的の金コロイド標
識リン脂質抗原を分取する。
尚、上記反応で用いられる緩衝液は、金コロイドと、
合成リン脂質抗原との結合反応を阻害しないものであれ
ばよい。また、得られた標識測定対象結合物質は、例え
ばポリエチレングリコール等の分散剤を含有させた溶液
中に均一に分散させて保存すればよい。
標識測定対象結合物質と測定対象物質の免疫複合体の
生成方法としては、上述の如く生成された標識測定対象
結合物質を検体標識部に保持させた後、該検体標識部で
生体由来試料と反応させ標識測定対象結合物質と測定対
象物質の免疫複合体を生成させてもよいし、予め試験管
等で生体由来試料と標識測定対象結合物質とを反応させ
標識測定対象結合物質と測定対象物質の免疫複合体を生
成してもよい。
標識測定対象結合物質を検体標識部に保持させる方法
は、通常この分野で用いられる毛管現象により移動可能
なように保持させる方法であればよく、上記した如き検
体標識部を、上記した如き標識測定対象結合物質を含有
する溶液中に浸漬後、例えば風乾、送風乾燥又は凍結乾
燥等して保持させる方法、上記した如き検体標識部に、
上記した如き標識測定対象結合物質を含有する溶液を例
えば塗布、滴下或いは噴霧等した後、これを風乾、送風
乾燥又は凍結乾燥等して保持させる方法等が挙げられ
る。
尚、同時に2種類以上の測定対象物質を測定する場合
には、上記方法により測定対象結合物質を検体標識部に
保持させた後、更に同様の方法を繰り返すことにより各
種の測定対象結合物質を検体標識部に保持させたものを
用いることにより行えばよい。
また、標識測定対象結合物質の検体標識部への保持量
は、使用する抗原又は抗体の種類や検出限界時により変
動するが、測定対象結合物質が抗原の場合、吸収性担体
の標識測定対象結合物質が保持される部分の単位面積
(cm)当たりの保持量として未標識のものに換算し、
通常0.05〜200μg、好ましくは0.1〜40μgであり、測定
対象結合物質が抗体の場合は、通常は、0.02〜4μgA
b、好ましくは0.1〜0.4μgAbである。
また、標識測定対象結合物質を保持させる検体標識部
は、非特異的な吸着による測定への影響を防止するため
に、予め、所謂ブロッキング処理を施しておくことが望
ましい。このようなブロッキング処理は、先に述べた方
法に準じて行えばよい。
本発明の測定対象物質測定用試験用具は、本発明の測
定方法に使用されるものであり、上述した如き結合能リ
ポソームが担持された展開膜を有するものであり、例え
ば、結合能リポソームが担持された展開膜からなるも
の、或いは結合能リポソームが担持された展開膜並びに
標識測定対象結合物質が毛管現象により移動可能なよう
に保持されている検体標識部からなり、且つ該展開膜と
該検体標識部が毛管現象により移動可能なように形成さ
れたもの等が挙げられる。尚、さらに数種の測定対象物
質を同時に測定する場合には、各種の測定対象結合物質
や結合能リポソームを互いに重なりを持たないように担
持させた複数の検出能を有する展開膜、並びに数種の標
識測定対象結合物質が毛管現象により移動可能なように
保持されている検体標識部を用いればよい。
本発明の測定対象物質測定用試験用具に於ける好まし
い態様としては、(a)標識測定対象結合物質が毛管現
象により移動可能なように保持された検体標識部と、
(b)結合能リポソームが担持されている展開膜と、
(c)液体吸収部とが、この順序で且つお互いに毛細管
現象による液体の流通が可能となるように、支持体上で
連結、形成されたもの等が挙げられる。尚、生体由来試
料の吸収及び検体標識部での反応を円滑に行わせるため
に、更に検体標識部の下端に検体滴下部を設け、生体由
来試料を先ずこの部分に滴下し、毛管現象を利用して、
検体標識部及び測定部に順次これを運ばせて(供給し
て)反応させるようにしてもよく、また、展開膜は単一
のものであっても、複数のものを組み合わせて一体に構
成したものであってもよい。
本発明の試験用具の好ましい態様や具体例は上で述べ
た通りであるが、その具体例を以下に示す。
本発明の試験用具の態様の一例を図1に示す。
尚、図1に於いて各数字は夫々以下のものを示す。
1:展開膜 2:結合能リポソーム担持部(測定部) また、本発明の試験用具の態様の他の一例を図2に示
す。
尚、図2に於いて各数字は夫々以下のものを示す。
1:展開膜 2:検体標識部 3:結合能リポソーム担持部分(測定部) また、本発明の試験用具の好ましい態様の一つを図3
に示す。
尚、図3に於いて各数字は夫々以下のものを示す。
1:支持体 2:検体標識部 3:展開膜 4:結合能リポソーム担持部(測定部) 5:液体吸収部 また、本発明の試験用具の好ましい態様の他の一つを
図4に示す。
尚、図4に於いて各数字は夫々以下のものを示す。
1:支持体 2:検体滴下部 3:検体標識部 4:展開膜 5:結合能リポソーム担持部(測定部) 6:液体吸収部 更に、測定対象物質が2種以上のもの、例えば、抗リ
ン脂質抗体と梅毒抗体(抗TP(Treponema Pallidum)抗
体)を測定する場合、例えば第1測定対象物質を抗リン
脂質抗体、第2測定対象物質を梅毒抗体として測定する
場合は、第1測定部にリン脂質抗原が固定化されたリポ
ソームが、第2測定部に梅毒病原体を抗原として用いた
もの(以下、梅毒抗原と略記する。)が担持されている展
開膜からなるもの、或いは標識されたリン脂質抗原(以
下標識リン脂質抗原と略記する)及び標識された梅毒抗
原(以下標識梅毒抗原と略記する)が毛管現象により移
動可能なように保持されている検体標識部、並びに第1
測定部にリン脂質抗原が固定化されたリポソームが、第
2測定部に梅毒抗原が担持されている展開膜とからな
り、且つ該検体標識部と該展開膜が毛管現象により移動
可能なように結合されているもの等が挙げられる。尚、
生体由来試料の吸収及び検体標識部での反応を円滑に行
わせるために、更に検体標識部の下端に液体滴下部を、
また展開されてくる生体由来試料を効率よく吸収し得る
ために展開膜上端に液体吸収部を設けてもよい。このよ
うなものの好ましい態様の一つを図5に示す。
尚、図5に於いて各数字は夫々以下のものを示す。
1:支持体 2:検体滴下部 3:検体標識部(標識リン脂質抗原及び標識梅毒抗
原を保持したもの) 4:展開膜 5:リン脂質抗原が固定されたリポソームの担持部
(第1測定部) 6:梅毒抗原担持部(第2測定部) 7:液体吸収部 上記した如き例えば図4で示される本発明の試験用具
を調製するには、例えば以下の如く行えばよい。
即ち、例えば適当な大きさの支持体上に、上記の如く
して作製した結合能リポソームが担持されている測定部
を有する展開膜を接着して展開膜を形成する。次いで、
上記の如くして作成した検体標識部を展開膜下端と相互
に毛管現象が生じるように接着させる。更に、検体標識
部下端と相互に毛管現象が生じるように検体滴下部を、
また展開膜上端と相互に毛管現象が生じるように液体吸
収部を、支持体上に接着させて試験用具を形成する。
また、上記した如き例えば図5で示される本発明の試
験用具を調製するには、例えば以下の如くして行えばよ
い。
即ち、先ず、例えば適当な大きさの支持体上に、上記
の如くして作製した第一測定部にリン脂質抗原が固定化
されたリポソームが、第2測定部に梅毒抗原が担持され
ている展開膜を接着し、次いで、例えば金コロイド等が
結合したリン脂質抗原及び梅毒抗原を保持させた検体標
識部を、該展開膜と相互間に毛管現象が生じるように接
着させる。更に、検体標識部下端と相互に毛管現象が生
じるように検体滴下部を、また展開膜上端と相互に毛管
現象が生じるように液体吸収部を、支持体上に接着させ
て試験用具を形成する。
本発明に係る検体滴下部は、生体由来試料の吸収及び
検体標識部での反応を円滑に行わせるためのものであ
り、検体滴下部と検体標識部とが相互に毛管現象が生じ
るように接着されてあればよく、より毛管現象を生じや
すくするために、約1〜2mm程度重なるように接着させ
ればよい。また、その材質は上記した如き展開膜や検体
標識部の材質と同じものでよい。
本発明に係る液体吸収部は、展開膜より展開されてく
る生体由来試料を効率よく吸収し得るためのものであ
り、液体吸収部と展開膜とが相互に毛管現象が生じるよ
うに接着してあればよく、検体滴下部と同様約1〜2mm
程度重なるように接着させればよい。また、その材質も
検体滴下部と同様、上記した如き展開膜や検体標識部の
材質と同じものでよい。
本発明に係る支持体としては、例えばポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リエチレンテレフタレート等の合成高分子等の材質から
なるシート状のものが挙げられる。
本発明に係るイムノクロマト法用試験具全体の大きさ
としては、検体滴下部に生体由来試料を例えば滴下等し
てから毛管現象により展開膜の末端にまで生体由来試料
が展開されるまでの時間が、通常15分以内、好ましくは
10分以内となるように設定される。
本発明の測定対象物質の測定方法は、上記した如き結
合能リポソームが担持された展開膜を用いる方法であれ
ばよく、特に限定されないが、例えば該展開膜を有する
ものを用いる方法、或いは該展開膜と、標識測定対象結
合物質を保持した検体標識部とを組み合わせたものを用
いる方法等が挙げられる。また、2種以上の測定対象物
質を測定する場合にも用いることができ、例えば第1測
定対象物質として抗リン脂質抗体を、第2測定対象物質
として梅毒抗体を用いる場合、リン脂質抗原が固定化さ
れたリポソームと梅毒抗原を担持した展開膜と、標識リ
ン脂質抗原と標識梅毒抗原を保持した検体標識部を組み
合わせたものを用いる方法等が挙げられる。
本発明のより具体的な態様の例を以下に説明する。
結合能リポソームが担持された展開膜を有するもの
を用いる場合、例えば以下の如くすればよい。
即ち、先ず、生体由来試料と、標識測定対象結合物質
とを予め反応させ、標識測定対象結合物質と、生体由来
試料中の測定対象物質との複合体を形成させる。次い
で、上記の如くして調製された試験用具を用い、展開膜
に該複合体含有溶液を例えば滴下したり、該展開膜を該
複合体含有溶液中に浸漬する等して(尚、当該試験用具
に液体滴下部が設けられている場合は、検体滴下部に複
合体含有溶液を滴下したり、検体滴下部を複合体含有溶
液中に浸漬する等して、ここから毛管現象を利用して測
定部を有する展開膜に複合体を供するようにする。)、測
定部を有する展開膜に該複合体を供する。次いで、毛管
現象により移動した複合体が、測定部の結合能リポソー
ムに捕捉されて生じる複合体(標識測定対象結合物質
と、生体由来試料中の測定対象物質と、測定対象結合物
質とのサンドイッチ型免疫複合体)中の標識された物質
に由来する発色により生体由来試料の測定対象物質を測
定する(測定対象物質の有無の判定を行う)。測定対象物
質と反応しなかった標識測定対象結合物質は、毛管現象
により更に下流に移動する。
尚、生体由来試料と標識測定対象結合物質とを予め反
応させた後に、該反応液を展開膜に供することにより測
定を行う場合の標識測定対象結合物質の使用量は、測定
対象物質又は使用する標識測定対象結合物質の種類や検
出限界等により変動するが、測定対象結合物質が抗原の
場合、反応時の濃度として未標識の測定対象結合物質量
に換算して、通常0.1μg/ml〜10mg/ml、好ましくは1μg
/ml〜5mg/ml、より好ましくは10μg/ml〜1mg/mlであ
り、測定対象結合物質が抗体の場合、通常1〜100μgAb
/ml、好ましくは1〜50μg/ml、より好ましくは1〜10
μgAb/mlである。尚、標識測定対象結合物質を含有する
溶液としては、通常この分野で用いられている、例えば
10〜500mMのトリス緩衝液,リン酸緩衝液,ベロナール
緩衝液,ホウ酸緩衝液,グッド緩衝液等の緩衝液等が挙
げられ、そのpHは、抗原抗体反応を抑制しない範囲であ
ればよく、通常5〜9である。また、このような溶液中
には、目的の抗原抗体反応を阻害しないものであれば、
例えばアルブミン,グロブリン,水溶性ゼラチン,ポリ
エチレングリコール等の安定化剤、界面活性剤、糖類等
を含有させておいてもよい。
結合能リポソームが担持された展開膜と、標識測定
対象結合物質を保持した検体標識部とを組み合わせて用
いる場合、例えば以下の如くすればよい。
即ち、先ず、上記の如くして調製された試験用具を用
い、検体標識部に生体由来試料を例えば滴下したり、検
体標識部を生体由来試料中に浸漬する等して(尚、当該
試験用具に検体滴下部が設けられている場合は、検体滴
下部に生体由来試料を滴下したり、検体滴下部を生体由
来試料中に浸漬する等して、ここから毛管現象を利用し
て検体標識部に生体由来試料を供給するようにする。)、
検体標識部に生体由来試料を供給して反応させ、標識測
定対象結合物質と、生体由来試料中の測定対象物質との
複合体を形成させる。次いで、毛管現象により移動した
該複合体が、展開膜の測定対象結合物質担持部分に捕捉
されて生じる複合体(標識測定対象結合物質と、生体由
来試料中の測定対象物質と、測定対象結合物質とのサン
ドイッチ型免疫複合体)中の標識された物質に由来する
発色により生体由来試料の測定対象物質を測定する(有
無の判定を行う)。尚、測定対象物質と反応しなかった標
識測定対象結合物質は、毛管現象により更に下流に移動
する。
また、2種以上の測定対象物質を測定する場合の方
法として、例えば第1測定対象物質として抗リン脂質抗
体、第2測定対象物質として梅毒抗体を用いる場合、例
えば以下の如くすればよい。
即ち、標識リン脂質抗原及び標識梅毒抗原が毛管現象
により移動可能なように検体標識部に保持され、且つ該
検体標識部が、リン脂質抗原が固定化されたリポソーム
及び梅毒抗原が担持された展開膜と、毛管現象により移
動可能なように結合されている器具を用い、先ず検体標
識部に生体由来試料を例えば滴下したり、検体標識部を
生体由来試料中に浸漬する等して(尚、当該試験用具に
検体滴下部が設けられている場合は、検体滴下部に生体
由来試料を滴下したり、検体滴下部を生体由来試料中に
浸漬する等して、ここから毛管現象を利用して検体標識
部に生体由来試料を供給するようにする。)、検体標識部
に生体由来試料を供給して標識リン脂質抗原及び標識梅
毒抗原を生体由来試料と反応させ、標識リン脂質抗原と
生体由来試料中の抗リン脂質抗体との反応物である複合
体1及び標識梅毒抗原と生体由来試料中の梅毒抗体との
反応物である複合体2を形成させる。次いで、毛管現象
により検体標識部から展開膜上のリン脂質抗原が固定化
されたリポソームが担持された第1測定部に移動した複
合体1が、展開膜の第1測定部に補足されて生じる標識
リン脂質抗原と生体由来試料中の抗リン脂質抗体とリン
脂質抗原が固定化されたリポソームとの複合体中の標識
された物質由来の発色を基に当該試料中の測定対象物質
の測定を行う(有無の判定を行う)。更に、毛管現象によ
り展開膜上の梅毒抗原が担持された第2測定部に移動し
た複合体2が、展開膜の第2測定部に補足されて生じる
標識梅毒抗原と生体由来試料と梅毒抗原との複合体中の
標識された物質由来の発色をもとに当該試料中の梅毒抗
体の測定を行う(有無の判定を行う)。尚、測定対象物質
と反応しなかった標識測定対象結合物質は、毛管現象に
より更に下流に移動する。
尚、上記した如き本発明の方法に於いて、測定とは、
標識物質の発色の有無から定性的に物質の有無の判定を
行うこと、並びに、標識物質の発色の程度を観察し、そ
の結果を予め作製しておいた標識物質に由来する発色の
程度と測定対象物質量との関係を表す色調表等に当ては
める等することにより、測定対象物質量を定量的に判定
すること、更に、発色の程度が特定の色調より薄ければ
陰性、濃ければ陽性として、測定対象物質の判定量を行
うことを意味する。尚、標識物質の発足の観察は、目視
で行なっても、また、例えばプレテスターRM-405、プレ
テスターRM-505(何れも和光純薬工業(株)製)等の尿
試験紙用のテスター、例えばデンシトメーター等を用い
て行っても良く、使用する標識物質の種類により適宜選
択すればよい。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるも
のではない。
実施例 実施例1 (1)リン脂質抗原の標識方法 先ず、リン脂質抗原液として5mg/mlカルジオライピン
(牛心臓由来、シグマ社製)エタノール溶液2ml、及び1
0mg/mlフォスファチジルコリン(卵黄由来、キューピー
社製)エタノール溶液0.5mlを混合したもの(重量比
2:1)を調製した。
次いで、調製したリン脂質抗原液0.25mlに前処理済み
金コロイド懸濁液[平均粒径35nm、最大吸光度20.0(以
下、Amax=20.0と表記する)の金コロイド懸濁液]
0.8mlを添加し、室温で2時間転倒混和した。さらに、
ブロッキング液[1%BSA、2%スクロースを含む50mM
2-N-モルホリノ-エタンスルホン酸(MES)]30mlを加え1
5分間放置した後、遠心分離(8000G、15分間)により金
コロイド標識リン脂質抗原を回収した。
(2)検体標識部の作製方法 先ず、ガラス繊維シートを0.5%BSA、1%スクロース
を含む25mMリン酸緩衝液で15分間マスキングし、さらに
1%ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテート)
(BASF社製,以下、Poly-PAと略記する。)、1%スクロー
スを含む25mMリン酸緩衝液で洗浄し乾燥したものを、前
処理済みガラス繊維シートとした。
次いで、金コロイド標識リン脂質抗原をAmax=1.4
となるように添加した、1%Poly-PA、12%スクロースを
含む50mM MES溶液を、前処理済みガラス繊維シートに5m
m×200mm当り500μl含浸させ、50℃にて乾燥し、検体標
識部を作製した。
(3)展開膜作製方法 先ず、5mg/mlカルジオライピン(牛心臓由来、シグマ
社製)エタノール溶液125μl、10mg/mlフォスファチジ
ルコリン(卵黄由来、日本油脂社製)エタノール溶液25
0μl及び20mg/mlコレステロール(和光純薬工業(株)
製)エタノール溶液125μlからなるリン脂質抗原溶液を
エバポレーターを用いて溶媒留去し脂質薄膜を形成させ
た。次いで、この脂質薄膜を2時間真空乾燥した後、100
mMホウ酸緩衝液500μlを加え懸濁、超音波処理したもの
をリポソーム懸濁液とした。
該リポソーム懸濁液を所定の膜上に0.25μl/cmで塗布
し50℃で5分間乾燥後、0.5%BSA、2%スクロースを含
む50mM MES緩衝液で15分間マスキングし、さらに1%Po
ly-PA、2%スクロースを含む50mM MES緩衝液にて2回
洗浄した後、50℃にて15分間乾燥し、抗リン脂質抗体検
出用展開膜とした。尚、膜としては、市販のナイロン膜
を用いた。
(4)測定用器具の組立て 両面テープをラミネートしたポリエチレンテレフタレ
ート(PET)のシート(8cm×20cm)の下端より1.2cm
の部位に抗リン脂質抗体検出用展開膜を貼り付け、次い
で該展開膜上端に1mm重なるように吸収部としてガラス
繊維シート(4cm×20cm)を貼り合わせた。さらに、抗
リン脂質抗体検出用展開膜下端に1mm重なるように検体
標識部を貼り、最後に検体滴下部として前処理済みガラ
ス繊維シート(1.2cm×20cm)をPETシート下端に検
体標識部と重ねて張り合わせ、各部材をラミネートした
該シートを4mm幅に切断したものを、抗リン脂質抗体測
定用器具とした。尚、得られた器具はデシケーター内に
て室温で保存した。
(5)測定 (4)で作製した測定用器具を用いて検体の測定を行
った。測定器具の検体滴下部に検体50μlを展開し、測
定ラインの有無で抗リン脂質抗体の検出を行った。尚、
検体として用いた標準血清は、陽性検体としてrapid pl
asma reagin test(以下、RPR法と略記する。)で64倍
である梅毒陽性ヒト血清(Lot.901503-184、国際バイ
オ)を−20℃で凍結保存したものを、陰性検体としてR
PR法で陰性の正常ヒト血清(Lot.AX98E0505、積水化
学工業)を−20℃で凍結保存したものを用いた。
測定は検体滴下15分後に目視で判定を行い、同時にデ
ンシトメーター(CS-9300PC、SIMAZU)を用いて測定波
長540nmにて測定した。デンシトメーターによる測定結
果を表1に示す。
参考例1 上記実施例に於ける(3)展開膜作製方法を、下記の溶
媒を用いた方法で行い、それ以外については実施例1と
同様に測定器具を組み立て、また同様の測定を行った。
その測定結果を併せて表1に示す。
(1)溶媒を用いた展開膜作製方法 先ず、5mg/mlカルジオライピン(牛心臓由来、シグマ
社製)エタノール溶液125μl、10mg/mlフォスファチジ
ルコリン(卵黄由来、日本油脂社製)エタノール溶液25
0μl及び20mg/mlコレステロール(和光純薬工業(株)
製)エタノール溶液125μlからなるリン脂質抗原溶液を
エバポレーターで溶媒留去し脂質薄膜を形成させた。こ
の脂質薄膜を2時間真空乾燥後、クロロホルム500μlを
加えて混合し、脂質溶液とした。
該混合脂質溶液を所定の膜上に0.25μl/cmで塗布し50
℃で5分間乾燥した。次いで、0.5%BSA、2%スクロー
スを含む50mM MES緩衝液にて15分間マスキングし、さら
に1%Poly-PA、2%スクロースを含む50mM MES緩衝液
にて2回洗浄した後、50℃にて15分間乾燥し、抗リン脂
質抗体検出用展開膜とした。尚、膜としては市販のナイ
ロン膜を用いた。
この結果より、リン脂質抗原を組み込んだリポソーム
を展開膜上に固定化したものを用いる本発明の方法(実
施例1)は、リン脂質抗原を溶解した溶媒を展開膜上に
固定化したものを用いた方法(参考例1)と比較して、
梅毒陽性ヒト血清中の抗リン脂質抗体の感度がS/N比
で15倍以上よいことが判明した。
実施例2 (1)TP(Trephnema Pallidum)抗原及びリン脂質抗原の
標識方法 先ず、TP抗原(1.0mg/ml)8μlを遠心管に分注し、
次いで平均粒径35nm、Amax=1.2の金コロイド懸濁液
5mlを注ぎ室温で30分間反応させた後、遠心分離(8000
G、15分間)して金コロイド標識TP抗原を回収した。
尚、TP抗原は、公知のリコンビナント抗原作成法(Infec
tion and Immunity,volume 54,p500-506,Michael V.Nor
gard)に従って作成したものを用いた。
リン脂質抗原液としてカルジオライピン(牛心臓由
来、シグマ社製)5mg/mlエタノール溶液、フォスファチ
ジルコリン(卵黄由来、キューピー社製)10mg/mlエタノ
ール溶液をそれぞれ2ml、0.5ml(重量比2:1)ずつ混合
したものを調製した。
調製したリン脂質抗原液0.25mlに前処理済み金コロイ
ド懸濁液(平均粒径35nm、Amax=20.0)0.8mlを添加
し、室温で2時間転倒混和した後、ブロッキング液(1
%BSA、2%スクロースを含む50mM MES)30mlを加え15
分間放置し、遠心分離(8000G、15分間)して金コロイ
ド標識リン脂質抗原を回収した。
(2)検体標識部の作製方法 先ず、ガラス繊維シートを0.5%BSA、1%スクロース
を分む25mMリン酸緩衝液にて15分間マスキングし、さら
に1%Poly-PA、1%スクロースを含む25Mmリン酸緩衝液
で洗浄し乾燥させ、前処理済みガラス繊維シートとし
た。
次いで、金コロイド標識TP抗原をAmax=1.3、金コ
ロイド標識リン脂質抗原をAmax=1.4となるように添
加した、1%Poly-PA、12%スクロースを含む50mM MES
を、前処理済みガラスシートに5mm×200mm当り500μl含
浸させた後、50℃で乾燥し、検体標識部を作製した。
(3)展開膜作製方法 リコンビナントTP抗原(1.0mg/ml)40μl、10%スク
ロースを含む250mMリン酸緩衝液20μlを混合したものを
TP抗原液とした。
また、カルジオライピン(牛心臓由来、シグマ社製)
5mg/mlエタノール溶液125μl、フォスファチジルコリン
(卵黄由来、日本油脂社製)10mg/mlエタノール溶液250
μl、コレステロール(和光純薬工業(株)製)20mg/ml
エタノール溶液125μlからなるリン脂質抗原溶液をエバ
ポレーターで溶媒留去し脂質薄膜を形成させた。該脂質
薄膜を2時間真空乾燥した後、100mMホウ酸緩衝液500μ
lを加え懸濁し、さらに超音波処理したものをリポソー
ム懸濁液とした。
次いで、TP抗原液とリポソーム懸濁液を夫々ナイロン
膜へ0.25μl/cmで塗布し、50℃で5分間乾燥した後、1
%BSA、2%スクロースを含む50mM MES緩衝液で15分間
マスキングした。さらに、1%Poly-PA、2%スクロー
スを含む50mM MES緩衝液にて2回洗浄した後、50℃で15
分間乾燥し、抗TP抗体・抗リン脂質抗体同時検出用展開
膜とした。
(4)測定用器具の組立て 両面テープをラミネートしたPETシート(8cm×20c
m)の下端より1.2cmの部位に抗TP抗体・抗リン脂質抗体
同時検出用展開膜を貼り付け、その展開膜上端に1mm重
なるように吸収部としてガラス繊維シート(4cm×20c
m)を貼り合わせた。次いで、展開膜下端に1mm重なるよ
うに検体標識部を貼り、最後に検体滴下部として前処理
済みガラス繊維シート(1.2cm×20cm)をPETシート
下端に検体標識部と重ねて張り合わせたシートを4mm幅
に切断したものをリン脂質抗体検出用器具とした。模式
図を図6に示す。尚、図6に於いて各数字は夫々以下の
ものを示す。
1:検体滴下部 2:測定ライン1(リン脂質抗原が固定化されたリ
ポソーム担持部) 3:測定ライン2(TP抗原担持部) 4:液体吸収部 また、得られた器具は除湿条件下にて室温に保存した。
(5)測定 (4)で作成した器具を用いて検体の測定を行った。
器具の検体滴下部に検体50μlを展開し、測定ラインの
有無で抗TP抗体・抗リン脂質抗体の測定を行った。尚、
検体として用いた標準血清は、陽性検体としてRPR法
で64倍である梅毒陽性ヒト血清(Lot.901503-184、国際
バイオ)を−20℃で冷凍保存したものを、陰性検体とし
てRPR法で陰性の正常ヒト血清(Lot.AX98E0505、積
水化学工業)を−20℃で凍結保存したものを用いた。
測定は、検体滴下の15分後に目視判定で行った。その
結果を表2に示す。
参考例2 ダイナスクリーンTPAb(ダイナボット(株)製)を用
いて、添付文書に従い検体の抗TP抗体の検出判定を行っ
た。尚、検体は実施例2の(5)で用いたものと同じも
のを使用した。その判定結果を併せて表2に示す。
参考例3 RPRテスト三光(三光純薬(株)製)を用いて、添付
文書に従い検体の抗リン脂質抗体の検出判定を行った。
尚、検体は実施例2の(5)で用いたものと同じものを
使用した。判定結果を併せて表2に示す。
表2の結果から、実施例2の試験器具を用いることに
よりTPAbと抗リン脂質抗体とを同時に検出することがで
き、さらに本発明の方法による結果が従来の方法と相関
性があることが判明した。
実施例3 リン脂質抗原の標識を以下の方法で行った以外は実施
例1と同様に実験を行い、検体の測定を行った。得られ
た結果を表3に示す。
(1)リン脂質抗原の標識方法 先ず、リン脂質抗原液として5mg/mlカルジオライピン
(牛心臓由来、シグマ社製)エタノール液1ml、10mg/ml
フォスファチジルコリン(卵黄由来、キューピー社製)
エタノール溶液5ml及び20mg/mlコレステロール(和光純
薬工業(株)製)エタノール溶液2.5mlとエタノール1.5
mlを混合したもの(重量比1:10:10)を調製した。
次いで、調製したリン脂質抗原液0.5mlに前処理済み
金コロイド懸濁液[平均粒径[35nm、最大吸光度20.0
(以下、Amax=20.0と表記する)の金コロイド懸濁
液]1mlを添加し、室温で2時間転倒混和した。さら
に、ブロッキング液[1%BSA、2%スクロースを含む5
0mM 2-N-モルホリノ-エタンスルホン酸(MES)]30mlを
加え15分間放置した後、遠心分離(8000G、15分間)に
より金コロイド標識リン脂質抗原を回収した。
参考例4 リン脂質抗原の標識を上記実施例3に記載の方法で行
った以外は、参考例1と同様に測定を行った。その測定
結果を実施例3と併せて表3に示す。
この結果より、リン脂質抗原を組み込んだリポソーム
を展開膜上に固定化したものを用いる本発明の方法(実
施例3)は、リン脂質抗原を溶解した溶媒を展開膜上に
固定化したものを用いた方法(参考例3)と比較して、
梅毒陽性ヒト血清中の抗リン脂質抗体の感度がS/N比
で20倍以上よいことが判明した。また、実施例3で得ら
れたS/N比を実施例1で得られたそれと比較すると、
実施例3の結果の方が良好な値を示し、リン脂質抗原調
製時にコレステロールを添加することにより感度が向上
することが分かった。
実施例4 TP抗原及びリン脂質抗原の標識を以下の(1)の方法
で行った以外は実施例2と同様に実験を行い、検体の測
定を行った。尚、得られた結果を表4に示す。
(1)TP(Treponema Pallidum)抗原及びリン脂質抗原の
標識方法 先ず、TP抗原(1.0mg/ml)8μlを遠心管に分注し、
次いで平均粒径35nm、Amax=1.2の金コロイド懸濁液
5mlを注ぎ室温で30分間反応させた後、遠心分離(8000
G、15分間)して金コロイド標識TP抗原を回収した。
尚、TP抗原は、公知のリコンビナント抗原作成法(Infec
tion and Immunity,volume 54,p500-506,Michael V.Nor
gard)に従って作成したものを用いた。
リン脂質抗原液としての5mg/mlカルジオライピン(牛
心臓由来、シグマ社製)エタノール液1ml及び10mg/mlフ
ォスファチジルコリン(卵黄由来、キューピー社製)エ
タノール溶液5ml、並びに20mg/mlコレステロール(和光
純薬工業(株)製)エタノール溶液2.5ml及びエタノー
ル1.5mlを混合したもの(重量比1:10:10)を調製した。
調製したリン脂質抗原液0.5mlに前処理済み金コロイ
ド懸濁液(平均粒径35nm、Amax=20.0)1mlを添
加し、室温で2時間転倒混和した後、ブロッキング液
(1%BSA、2%スクロースを含む50mM MES)30mlを加
え15分間放置し、遠心分離(8000G、15分間)して金コ
ロイド標識リン脂質抗原を回収した。
表4の結果から、実施例4の試験器具を用いることに
よりTPAbと抗リン脂質抗体とを同時に検出することがで
き、さらに本発明の方法による結果が従来の方法と相関
性があることが判明した。
産業上の利用の可能性 本発明のイムノクロマト法用試験具を用いることで、
脂溶性抗原に対する抗体をイムノクロマト法により迅速
且つ簡便に、そして特別な装置を用いることなく測定を
行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−269070(JP,A) 特開 平6−174712(JP,A) 特開 平11−264822(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/543 521 G01N 33/544

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】「測定対象物質と結合能を有するリポソー
    ム」がナイロン製の吸収性担体に固定化されてなる、イ
    ムノクロマト法用吸収性担体。
  2. 【請求項2】「測定対象物質と結合能を有するリポソー
    ム」がナイロン製の展開膜上に固定化されてなる、イム
    ノクロマト法用測定器具。
  3. 【請求項3】「測定対象物質と結合能を有するリポソー
    ム」が固定化されてなる展開膜と、標識された「測定対
    象物質と結合能を有する物質」を保持してなる検体標識
    部とを有するイムノクロマト法用測定器具。
  4. 【請求項4】更に、支持体及び液体吸収部を有する請求
    項3に記載の測定器具。
  5. 【請求項5】検体標識部、「測定対象物質と結合能を有
    するリポソーム」が固定化された展開膜、液体吸収部が
    この順序で且つお互いに毛細管現象による液体の流通が
    可能となるように、支持体上に形成されてなる、請求項
    4に記載の測定器具。
  6. 【請求項6】「測定対象物質と結合能を有するリポソー
    ム」が該展開膜中に存在する官能基によって展開膜上に
    固定化されてなる請求項5に記載の測定器具。
  7. 【請求項7】「測定対象物質と結合能を有するリポソー
    ム」が、「測定対象物質と結合能を有する物質」が固定
    化されているリポソームである、請求項6に記載の測定
    器具。
  8. 【請求項8】「測定対象物質と結合能を有する物質」
    が、リン脂質抗原である請求項7に記載の測定器具。
  9. 【請求項9】「測定対象物質」を含む試料を、展開膜上
    に固定化されている「測定対象物質と結合能を有するリ
    ポソーム」上に供給し、当該「測定対象物質」と該リポ
    ソームとを反応させ、「測定対象物質」と「測定対象物
    質と結合能を有するリポソーム」との複合体を形成さ
    せ、当該複合体を測定することを特徴とする、イムノク
    ロマト法による試料中「測定対象物質」の測定方法。
  10. 【請求項10】「測定対象物質」を含む試料と、標識さ
    れた「測定対象物質と結合能を有する物質」とを接触さ
    せ、当該「測定対象物質」と当該標識された「測定対象
    物質と結合能を有する物質」との「複合体」を形成し、
    次いでこの複合体を、展開膜状に固定化された「測定対
    象物質と結合能を有するリポソーム」と反応させ、生成
    した複合体中の標識物質に由来する着色に基づいて「測
    定対象物質」の測定を行うことを特徴とする、イムノク
    ロマト法による試料中の「測定対象物質」の測定方法。
  11. 【請求項11】「測定対象物質と結合能を有するリポソ
    ーム」が、「測定対象物質と結合能を有する物質」が固
    定化されているリポソームである、請求項10に記載の
    測定方法。
  12. 【請求項12】リポソームが展開膜上に当該展開膜中に
    存在する官能基の作用によって固定化されている請求項
    11に記載の測定方法。
  13. 【請求項13】「測定対象物質」と「測定対象物質と結
    合能を有する物質」の何れか一方が抗原で他方が抗体で
    ある請求項12に記載の測定方法。
  14. 【請求項14】「測定対象物質」が、抗リン脂質抗体で
    ある請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】標識された「測定対象物質と結合能を有
    する物質」が担持された検体標識部、「測定対象物質と
    結合能を有するリポソーム」が固定化された展開膜及び
    液体吸収部がこの順序で且つお互いに毛細管現象による
    液体の流通が可能となるように支持体上に形成されたイ
    ムノクロマト法用測定器具の、当該検体標識部に試料を
    供給して「測定対象物質」と標識された「測定対象物質
    と結合能を有する物質」との「複合体」を形成させ、当
    該「複合体」を展開膜上のリポソーム固定部まで展開さ
    せて当該「複合体」と「測定対象物質と結合能を有する
    リポソーム」とを反応させ、当該固定部において生成し
    た複合体中の標識物質に由来する着色に基づいて「測定
    対象物質」の測定を行うことを特徴とする、イムノクロ
    マト法による試料中の「測定対象物質」の測定方法。
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