JP3435618B2 - 無段自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段自動変速機の変速制御装置

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JP3435618B2
JP3435618B2 JP1544296A JP1544296A JP3435618B2 JP 3435618 B2 JP3435618 B2 JP 3435618B2 JP 1544296 A JP1544296 A JP 1544296A JP 1544296 A JP1544296 A JP 1544296A JP 3435618 B2 JP3435618 B2 JP 3435618B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無段変速機を備えた自動
変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの出力を無段階に変速する無段
変速機を介して車両等の駆動軸に伝動させるようにした
無段自動変速機が知られている。
【0003】この種の自動変速機に適用される無段変速
機としては、例えばVベルトとの接触プーリ幅が油圧に
より可変制御される駆動側と従動側の一対の可変プーリ
を備え、各プーリのプーリ幅を相反的に制御することに
より変速比を変化させるようにしたものがある。その変
速比は、例えば車速、エンジン回転速度、負荷等の運転
条件に応じて予め定めた所定のパターンにしたがって変
化するように、前記運転条件を検出しながら各プーリへ
の変速制御弁の開度を加減することにより制御される。
また、この変速制御系は、車両の加速性能や燃費さらに
は快適性の向上等を目的として、想定される運転条件に
応じた適切な変速応答特性が発揮されるように設計され
ている。
【0004】しかしながら、従来の無段自動変速機で
は、制御系が目標値として適切な変速指令値を出力した
としても、無段変速機が必ずしも設計通りの変速応答を
示さず所期の制御効果が得られないという問題が生じ
る。
【0005】この問題を解決するものとして本出願人
は、無段変速機の動特性を予め求めておき、実変速比等
の信号に基づき設計者が希望する応答を実現するための
定数を決定し制御する動特性補償器と、無段変速機の動
特性変化や外乱の影響を除去する外乱補償器を設けるこ
とにより、製造上のバラツキや経年変化等にロバストで
常に所望の変速比が得られるようにしたものを提案して
いる(特願平7−86991号参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、油圧力によ
りプーリを変位させて変速比を制御する無段変速機にお
いては、油圧を作用させる方向への変速時には変速制御
弁の開口量が大きいうえに圧力差があるので作動油流量
が多く、したがって初期変速動作は速やかである。これ
に対して、目標とする変速比の近傍では変速制御弁の開
口量が小さく油圧もほぼ調圧値に達しているため作動油
流量が少なく、したがって目標変速比への変速動作が極
めて遅くなる傾向がある。
【0007】しかしながら、従来の自動変速機または変
速制御においてはこのような特性までは考慮していない
ので、例えばダウン側変速における制御弁開度に応じた
無段変速機の動特性変化が外乱補償器で修正できる応答
範囲を超え、あるいは安定性を損なうほど動特性の時定
数が大きくなり、この結果として運転状態から決定され
る目標変速比の変化量によっては実変速比の応答がふら
ついてしまったり、段が生じてしまったりする(図11
参照)。このことは、車両の前後Gやエンジン回転の変
動を引き起こし、運転者に違和感を与えることになる。
【0008】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたものであり、変速制御弁の開口量及び開口方向に応
じて制御対象の時定数を求めることにより変速比応答を
改善することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、図12に示し
たように、変速比が油圧に基づいて無段階に可変制御さ
れる無段変速機と、前記油圧を可変制御する変速制御弁
と、車両の運転状態と無段変速機の実変速比を検出する
検出手段と、検出された運転状態から目標変速比を演算
する目標変速比演算手段と、該目標変速比と実変速比と
から変速比指令値としての変速制御弁の移動指令値を決
定して出力する変速制御手段とを設ける。
【0010】また、前記変速制御弁は、 前記変速比がア
ップ側に変速されるよう前記油圧を増加する開口方向と
前記変速比がダウン側に変速されるよう前記油圧を減少
する開口方向とを切替可能で、かつ前記駆動プーリの変
位がフィードバックされて前記実変速比が前記目標変速
比に近づくほど開口量が小さくなる構成を有し、 前記
速制御手段は、実変速比と変速制御弁の移動位置もしく
は移動指令値とから変速制御弁の開口方向及び開口量を
推定する制御弁開口量演算部と、実変速比と、変速制御
弁の開口方向及び開口量から変速比毎に変化する無段変
速機の動特性に関わる定数を演算する動特性演算部と、
該動特性定数を用いて所定の動特性を得るための変速比
制御定数を算出する変速比制御定数演算部と、目標変速
比と実変速比と変速比制御定数とから動特性補償出力を
演算する動特性補償出力演算部と、該動特性補償出力か
ら変速制御弁の移動指令値を演算する制御弁移動指令値
演算部とを備え、前記動特性演算部は、ダウン変速時の
前記動特性定数を、前記開口量が小さいほど大きくする
ように構成されている。
【0011】本発明において、上記変速制御手段は、外
乱補償出力演算部のローパスフィルタのカットオフ周波
数を演算する外乱補償器定数決定部と、該外乱補償器定
数決定部からの出力に基づきカットオフ周波数が設定さ
れるローパスフィルタに変速比指令値を入力し、第1の
外乱補償出力を演算する第1の外乱補償出力演算部と、
第1の外乱補償出力演算部のローパスフィルタと同様の
特性を有するローパスフィルタに、無段変速機の動特性
を用いたローパスフィルタの逆系をかけ合わせたフィル
タを構成し、変速比指令値を入力として第2の外乱補償
出力を演算する第2の外乱補償出力演算部と、第2の外
乱補償出力演算部から第1の外乱補償出力演算部の出力
を差し引いて外乱補償出力を演算する外乱補償出力演算
部と、動特性補償出力演算部の出力から外乱補償出力を
差し引いて変速比指令値を演算する変速比指令値演算部
とで構成することができる。
【0012】また、本発明の変速比制御定数演算部は、
動特性演算部からの動特性定数の変化を抑制するフィル
タ演算を行う動特性定数フィルタを有し、該フィルタの
出力を変速比制御定数として動特性補償出力演算部に供
給するように構成することができる。
【0013】また、本発明の変速制御手段は、変速比指
令値と実変速比が比例関係となるように変速制御弁に付
与する変速比指令値を変換する変速比指令値変換部を有
し、かつ該変速比指令値変換部は、次の関係式(a)〜(c)
から得られる駆動側プーリ間隔の移動量Dsと変速比ipと
の関係に基づき、変速制御弁への変速指令値と変速比ip
との比例関係が成立するように、当該変速比指令値の変
換量を決定するものとすることができる。
【0014】 ri={Ds/2tan(β)}+rio … (a) ro=[2ri-πDc+{(2ri-πDc)2-4(ri 2+Dcri+Dc(2Dc-LB))}1/2]/2 … (b) ip=ro/ri … (c) ただし、ri :駆動側プーリのベルト接触部の半径 rio:駆動側プーリの最小半径 ro :従動側プーリのベルト接触部の半径 Dc :駆動側プーリと従動側プーリとの軸間距離 LB :ベルトの周長 β :プーリのシーブ角 である。
【0015】
【作用】基本的には、無段変速機の変速比毎に定まる動
特性に応じて制御定数が設定され、この制御定数を用い
て変速比指令値が演算されることから、任意の変速比か
らの変速時に予め目標とした通りの変速応答で無段自動
変速機の変速比が制御される。特に、変速制御弁の開口
量及び開口方向に応じて無段変速機の時定数が適切に設
定されることから、作動油小流量域においても応答特性
が改善され、常に良好な変速比応答が発揮される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につき説
明する。
【0017】図1に本発明が適用可能な無段自動変速機
の縦断面構造を示す。これを説明すると、エンジン出力
軸10には流体式伝動装置としてのトルクコンバータ1
2が連結されている。流体式伝動装置としては、トルク
コンバータ12に代えてフルードカップリングあるいは
電磁クラッチ等が用いられる場合もある。
【0018】トルクコンバータ12はロックアップクラ
ッチ11を備えており、コンバータ室12cおよびロッ
クアップ油室12dの油圧を相反的に制御することによ
り、入力側のポンプインペラ12aと出力側のタービン
ランナ12bとを機械的に連結しまたは切り離し可能と
している。
【0019】トルクコンバータ12の出力側は回転軸1
3と連結され、回転軸13は前後進切換機構15と連結
されている。前後進切換機構15は、遊星歯車機構1
9、前進用クラッチ40、後退用ブレーキ50等から構
成されている。遊星歯車機構19の出力側は回転軸13
の外側に同軸的に嵌装されたプライマリ軸としての駆動
軸14に連結されている。駆動軸14には無段変速機1
7の駆動プーリ16が設けられている。
【0020】無段変速機17は、上記駆動プーリ16と
従動プーリ26と、駆動プーリ16の回転力を従動プー
リ26に伝達するVベルト24などからなっている。
【0021】駆動プーリ16は、駆動軸14と一体に回
転する固定円錐板18と、固定円錐板18に対向配置さ
れてV字状プーリ溝を形成すると共に駆動プーリシリン
ダ室20に作用する油圧によって駆動軸14の軸方向に
移動可能である可動円錐板22からなっている。駆動プ
ーリシリンダ室20は、この場合室20aおよび室20
bの2室からなっており、後述する従動プーリシリンダ
室32よりも大きな受圧面積を有している。
【0022】従動プーリ26は、セカンダリ軸としての
従動軸28上に設けられている。従動プーリ26は、従
動軸28と一体に回転する固定円錐板30と、固定円錐
板30に対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共
に従動プーリシリンダ室32に作用する油圧によって従
動軸28の軸方向に移動可能である可動円錐板34とか
らなっている。
【0023】従動軸28には駆動ギヤ46が固着されて
おり、この駆動ギヤ46はアイドラ軸52上のアイドラ
ギヤ48とかみ合っている。アイドラ軸52に設けられ
たピニオンギア54はファイナルギア44とかみ合って
いる。ファイナルギア44は差動装置56を介して図示
しない車輪に至るプロペラシャフトまたはドライブシャ
フトを駆動する。
【0024】上記のような無段自動変速機にエンジン出
力軸10から入力された回転力は、トルクコンバータ1
2および回転軸13を介して前後進切換機構15に伝達
され、前進用クラッチ40が締結されると共に後退用ブ
レーキ50が解放されている場合には一体回転状態とな
っている遊星歯車機構19を介して回転軸13の回転力
が同じ回転方向のまま無段変速機17の駆動軸14に伝
達され、一方前進用クラッチ40が解放されると共に後
退用ブレーキ50が締結されている場合には遊星歯車機
構19の作用により回転軸13の回転力は回転方向が逆
になった状態で駆動軸14に伝達される。
【0025】駆動軸14の回転力は駆動プーリ16、V
ベルト24、従動プーリ26、従動軸28、駆動ギア4
6、アイドラギア48、アイドラ軸52、ピニオンギア
54、およびファイナルギア44を介して差動装置56
に伝達される。前進用クラッチ40および後退用ブレー
キ50の両方が解放されている場合には動力伝達機構は
中立状態となる。
【0026】上記のような動力伝達の際に、駆動プーリ
16の可動円錐板22および従動プーリ26の可動円錐
板34を軸方向に移動させてVベルト24との接触位置
半径を変えることにより、駆動プーリ16と従動プーリ
26とのあいだの回転比つまり変速比(減速比)を変え
ることができる。例えば、駆動プーリ16のV字状プー
リ溝の幅を拡大すると共に従動プーリ26のV字状プー
リ溝の幅を縮小すれば、駆動プーリ16側のVベルト2
4の接触位置半径は小さくなり、従動プーリ26側のV
ベルト24のVベルトの接触位置半径は大きくなるの
で、大きな変速比が得られることになる。可動円錐板2
2および34を逆方向に移動させれば上記とは逆に変速
比は小さくなる。
【0027】このような駆動プーリ16と従動プーリ2
6のV字状プーリ溝の幅を変化させる制御は、次に述べ
る制御系統を介しての駆動プーリシリンダ室20(20
a,20b)または従動プーリシリンダ室32への油圧
制御により行われる。
【0028】図2に、本発明の各演算部、出力部、制御
部の機能を含めて上記した無段自動変速機の基本的な変
速比制御を行う機能を有する制御系統の概略を示す。な
お、図2において図1と対応する機構部分には同一の符
号を付して示してある。
【0029】以下、この制御系統について説明すると、
図において101はマイクロコンピュータ等からなる電
子制御部、102は各種油圧制御弁等からなる油圧制御
部を示しており、この制御系統では上記無段自動変速機
の制御手段は主としてこれら電子制御部101および油
圧制御部102によって構成されている。
【0030】電子制御部101は、制御演算処理を行う
中央演算部101A、中央演算部101Aにエンジンお
よび車両からの各種の運転状態信号を処理可能な形式に
変換して供給する入力部101B、および中央演算部1
01Aからの制御信号に基づいて油圧制御等のための各
種信号を出力する出力部101Cからなる。
【0031】入力部101Bには、エンジン100の燃
料噴射量や点火時期を電子制御するためのコントロール
モジュール103によって利用される水温信号S1、ス
ロットル開度信号S2、エンジン回転信号S3、ABS
(アンチロックブレーキシステム)制御装置104から
のABS作動信号S4、車両の制動装置作動時に発せら
れる制動信号S5、セレクタレバー105の操作位置を
示す信号としてインヒビタスイッチから発せられるシフ
トポジション信号S6、駆動プーリ16の回転速度信号
S7(タービン回転速度信号)、従動プーリ26の回転
速度信号S8(車速信号)などが入力し、これらの信号
を必要に応じて中央演算部101Aに供給する。
【0032】中央演算部101Aは、変速制御部10
6、ライン圧制御部107、ロックアップ制御部108
からなり、それぞれ上記各種信号中から必要な所定の信
号を用いて制御信号を演算し、出力部101Cを構成す
るステップモータ駆動回路109、ライン圧ソレノイド
駆動回路110、ロックアップソレノイド駆動回路11
1を駆動することにより、無段変速機17の変速比、ラ
イン圧、ロックアップクラッチ11を制御する。
【0033】詳細には、変速制御部106は、スロット
ル開度に代表されるエンジン負荷や回転速度、車速等に
応じて予め定められたパターンに従って変速が行われる
ようにステップモータ駆動回路109に制御信号を出力
する。この制御信号に基づき、ステップモータ駆動回路
109は油圧制御部102の変速制御弁112に連結し
たステップモータ113を駆動する。
【0034】ステップモータ113はステップモータ駆
動回路109からの信号に対応した変速比となるように
変速制御弁112を駆動し、駆動プーリシリンダ室20
と従動プーリシリンダ室32(図1参照)に供給するラ
イン圧を相反的に増減させる。変速制御弁112にはリ
ンク114を介して駆動プーリ16の変位つまり変速比
がフィードバックされ、ステップモータ113の位置に
応じた目標とする変速比となったところで各プーリシリ
ンダ室20,32への油圧分配が一定化して当該目標変
速比に安定するようになっている。
【0035】一方、このようにして無段変速機17の変
速比が制御されているとき、各プーリ16,26に供給
されるライン圧が過小であるとプーリ16,18とVベ
ルト24との間の摩擦力が不足してスリップが起こり、
その反対にライン圧が過大であると摩擦力が無用に大き
くなり、いずれの場合も車両の燃費や動力性能に悪影響
がおよぶ。そこで、運転状態に応じて過不足のない適切
な動力伝達が行えるように、ライン圧制御部107がラ
イン圧ソレノイド駆動回路110を介してライン圧を制
御するようにしている。
【0036】すなわち、ライン圧ソレノイド駆動回路1
10は、油圧制御部102のライン圧ソレノイド115
の位置を駆動回路110からの制御デューティ信号に応
じて制御し、これに応じてライン圧ソレノイド115
は、図示しない油圧ポンプからの油圧力を、モディファ
イア(圧力制御弁)116およびレギュレータ(定圧
弁)117を介して目標とする適切なライン圧に調整し
て変速制御弁112ないし各プーリ16,26に供給さ
せる。
【0037】また、ロックアップ制御部108は、ロッ
クアップクラッチ11を、例えば車速が所定値以上とな
ったときに接続し、車速が所定値以下となったときに解
放するように油圧制御を行う。
【0038】すなわち、ロックアップ制御部108は、
車速に応じてロックアップソレノイド駆動回路111を
介して油圧制御部102のロックアップソレノイド11
8を駆動し、これによりロックアップ制御弁119を切
換制御する。この場合、ロックアップ制御弁119は、
油圧ポンプからの油圧をロックアップクラッチ11を接
続すべくアプライ圧としてトルクコンバータ12のコン
バータ室12cに供給する系統と、同じく解放すべくリ
リース圧としてロックアップ油室12dに供給する系統
との2系等の相反的切換えを行うようになっている。つ
まり、ロックアップクラッチ11を接続するときにはコ
ンバータ室12cにアプライ圧を供給すると共にロック
アップ油室12dを開放し、ロックアップクラッチ11
を解放ときにはロックアップ油室12dにリリース圧を
供給すると共にコンバータ室12cを開放する。
【0039】以上は本発明を適用可能な無段自動変速機
の一例を示したものであり、本発明ではこのような無段
自動変速機において、変速制御弁112の開口量及び開
口方向に応じて適切な時定数を設定することにより無段
自動変速機の変速応答特性を改善するものである。
【0040】することにある。
【0041】図3はこのような制御を行うための変速制
御部106の構成例を機能ブロック図として示したもの
である。図において410は、スロットル開度信号S
2、エンジン回転信号S3など上述した各種の運転状態
信号に基づいて当該運転状態に対応する目標変速比ipT
を演算する目標変速比演算部、420は前記目標変速比
ipTと実変速比ipRとの比較に基づいて最終的な指令値と
してのステップモータ駆動信号Sθを出力する変速指令
部、430は駆動プーリ16の回転速度信号S7と従動
プーリ26の回転速度信号S8とから無段変速機の実変
速比ipRを演算する実変速比演算部、480は実変速比
pRとスロットル開度S2とに基づいてライン圧ソレノ
イド115の駆動デューティ比を算出して出力する駆動
デューティ比演算部であり、これらにより基本的な変速
制御系が構成されている。
【0042】これらのうち、変速指令部420が本発明
の変速応答の改善に関わる部分であり、これは動特性補
償器440、外乱補償器450(第1の外乱補償器45
1と第2の外乱補償器452とからなる)、変速比指令
値変換部460、ステップモータ角位置調整部470、
変速制御弁開口量演算部510、動特性演算部520、
動特性定数フィルタ530、動特性補償器定数決定部5
40、外乱補償器定数決定部550からなっている。
【0043】ここで、制御対象である無段変速機の動特
性GP(s)を示すと、次の式(1)のように一次遅れと無駄時
間とで表すことができる。ただし、変速制御弁112の
開口方向により動特性が変化するうえ、油圧を作用させ
て変速する方向に変速比を小さくするとき、つまり油圧
調圧点から微小充填する場合には極端に時定数TPが大き
くなる。この極端に大きくなる時定数の変化は、変速比
制御弁の開口量xvalと相関がある。
【0044】 GP(s) = KP(ip)・exp(-Ls)/(TP(ip,xval)s + 1) … (1) ただし、ip:変速比 xval:変速制御弁の開口量 KP(ip):無段変速機のゲイン TP(ip,xval):無段変速機の時定数 L:無駄時間 s:微分演算子 である。
【0045】変速比制御部420は、このような制御対
象たる無段変速機の特性を考慮して構成されているので
あり、以下その制御内容につき図4に示した流れ図に沿
って詳説する。
【0046】この制御では、所定の制御周期毎に変速制
御を行うために待ち時間を設定し、その経過を待ってま
ず無段変速機の入出力軸回転速度、車速等の運転条件信
号を読み込む(ステップ401〜402)。
【0047】次に、無段変速機の時定数TPを推定するた
めに、変速制御弁112の開口量xval及び開口方向Sd
算出する一方、車速、スロットル開度信号等の運転状態
信号に基づいて目標変速比ipTを演算する(ステップ4
03〜405)。制御弁開口量xval及び開口方向Sdは、
無段変速機の入出力軸回転信号から算出した過去の実変
速比ipR(t-△t)と現在の実変速比ipR、ステップモータ
駆動信号及び外乱補償器450の出力から求めることが
できる。そして、算出した開口量、開口方向に基づき、
例えば図5,図6に示したように予めパラメータ同定実
験で求めたマップを参照して、時定数TPを求める。
【0048】アップ変速時の時定数TPは、図5の変速比
−時定数マップから算出される時定数TPmapをそのまま
用いればよい。すなわち、 TP = TPmap … (2) 一方、ダウン変速時の時定数TPは、変速制御弁の推定開
口量xvalから図6のマップを参照して求めた係数C
valと、実変速比ipRから図5のマップにより求めたT
Pmapとにより次式(3)を用いて算出する。
【0049】 T = C val Pval +(1− Cval)TPmap … (3) ただし、TPval:ダウン変速側の変速制御弁の一定
開口量以下における時定数である。
【0050】TPvalは一般に一定の大きい値であり、す
なわちダウン変速側において一定開口量以下では既述し
たように変速動作は顕著に遅くなる。
【0051】また、推定した時定数TPの変化が不連続で
あったり早すぎたりすると変速比応答が乱されるので、
次式(4)のようなフィルタ処理を施す(ステップ40
6)。
【0052】 TPF=Tp/(TF1s+1) … (4) 動特性補償演算440は、式(5)に示した関係によ
設計者が希望する動特性G(s)が達成されるよう
に、式(6)〜(7)に基づき出力SipAを算出する
(ステップ407)。
【0053】 GT(s) = e-Ls / (TTs + 1) … (5) ただし、TT:設計者が希望する応答の時定数である。
【0054】動特性補償器フィードフォワード部の出力
SipAFは次式(6)により得る。
【0055】 SipAF = (TFBs + 1)ipT(t) / (TTs + 1) … (6) ただし、TFB:動特性補償器フィードバック部の目標と
する応答の時定数である。
【0056】動特性補償器出力SipAは次式(7)により得
られる。
【0057】 SipA = C1SipAF - C2ipR … (7) ただし、C1 = TPF / TFB … (8) C2 = (TPF / TFB) - 1 … (9) である。
【0058】外乱補償出力演算部450は、式(1)で記
述される無段変速機の動特性を基準モデルとし、この基
準モデルが量産バラツキ(パラメータ変動)や外乱によ
り乱されるのを除去するように設計を行う。外乱補償出
力演算部450は、動特性補償出力SipA、実変速比i
pRより、次式(10)に基づき外乱補償出力SipDを算出す
る。
【0059】 SipD(t) = (T(i)s + 1)ipR(t) / (TPFs + 1) - e−LsipA(t) / (THF(i)s + 1) … (10) Tは無段変速機の動特性(時定数、無駄時間)と制御
系の安定性の条件(例えばゲイン余裕12dB以上、位相
余裕45°以上)を満足するように算出されるローパス
フィルタカットオフ周波数である(図7、ステップ40
8)。
【0060】動特性補償出力SipA、外乱補償出力SipD
から、変速比指令値ipは次式(11)により算出される(ス
テップ409〜410)。
【0061】Sip = SipA - SipD … (11) このようにして得られた変速比指令値Sipを用いること
により、パラメータ変動や外乱の影響を受けにくい、設
計者の希望通りの変速比応答が得られる。ただし、一般
にステップモータ113の角位置と無段変速機の変速比
とは正比例関係に無いことから、この場合ステップモー
タ角位置つまりその駆動信号Sθを前記比例関係が成立
するように変速比指令値Sipに対応した値に変換して出
力するようにしている(ステップ411〜412)。
【0062】次の式(12)~(14)はこの変換のための関係
式を示しており、この場合、ステップモータ角に対応す
る駆動側プーリ間隔の移動量Dsと変速比ipとの関係に基
づき、変速制御弁への変速指令値と変速比ipとの比例関
係が成立するように当該変速比指令値の変換量を決定す
るものとしている。
【0063】 ri={Ds/2tan(β)}+ rio … (12) ro=[2ri-πDc+{(2ri-πDc)2-4(ri 2+Dcri+Dc(2Dc-LB))}1/2]/2 … (13) ip=ro/ri … (14) ただし、ri :駆動側プーリのベルト接触部の半径 rio:駆動側プーリの最小半径 ro :従動側プーリのベルト接触部の半径 Dc :駆動側プーリと従動側プーリとの軸間距離 LB :ベルトの周長 β :プーリのシーブ角 である。
【0064】なお、無段変速機の仕様諸元は既知である
から、制御の都度この変換式に基づいて変換量を演算す
るのではなく、予め演算しておいた結果を図8に例示し
たようにマップ化したものや、あるいは実測結果に基づ
いて得た変換量をマップ化したものを読み出すように構
成してもよい。
【0065】図9及び図10は、本発明による効果を確
認するために、走行中アクセルペダルを踏み込むことに
より生じるダウン変速(キックダウン変速)の場合につ
いて実験した結果を示したものである。図9は目標変速
比の変化を比較的早く行ったものであり、従来技術では
変速途中で一定値を保ち段付きが生じているのに対し
て、本発明では変速途中で段付きを生じるようなことが
なく、比較的滑らかに変速が行われている。また、図1
0は目標変速比の変化を比較的遅くしたものであり、従
来技術では変速の過渡的なところで振動しているのに対
して、本発明では滑らかに変速されることが確認され
た。
【0066】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
変速制御弁の開口量及び開口方向に応じて無段変速機の
時定数を設定するようにしたので、従来無段変速機のア
ンモデル化により生じていた変速機過渡応答での段付き
やふらつきを解消して良好な運転性が得られる。
【0067】また、本発明において、外乱補償器を設け
て変速比指令値を補正することにより、または動特性フ
ィルタを設けて動特性定数の変化を抑制することによ
り、無段変速機の動特性を的確に変速比制御に反映させ
て、より制度の高い制御結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の無段変速機の縦断面図。
【図2】同じく制御系統の概略構成図。
【図3】図2の変速制御部の構成例を示すブロック図。
【図4】変速制御部の動作内容を示す流れ図。
【図5】無段変速機のアップ変速時の時定数を変速比に
応じて付与するマップの一例を示す時定数特性線図。
【図6】無段変速機のダウン変速時の時定数を演算する
ための係数を変速制御弁の推定開口量に応じて付与する
マップの一例を示す係数特性線図。
【図7】無段変速機の動特性に関する時定数に応じて外
乱補償器のローパスフィルタカットオフ周波数を付与す
るマップの一例を示したカットオフ周波数特性線図。
【図8】変速制御弁への変速指令値と変速比との比例関
係が成立するように変換後のステップモータ位置を変速
比に応じて付与するマップの一例を示す変換特性図。
【図9】本発明の効果を示す第1の変速特性線図。
【図10】本発明の効果を示す第2の変速特性線図。
【図11】従来技術の問題点を説明するための変速特性
線図。
【図12】本発明の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
10 エンジン出力軸 12 トルクコンバータ 13 回転軸 14 駆動軸 16 駆動プーリ 24 Vベルト 26 従動プーリ 28 従動軸 101 電子制御部 101A 中央演算部 101B 入力部 101C 出力部 102 油圧制御部 105 セレクタレバー 106 変速制御部 107 ライン圧制御部 108 ロックアップ制御部 109 ステップモータ駆動回路 110 ライン圧ソレノイド駆動回路 111 ロックアップソレノイド駆動回路 112 変速制御弁 113 ステップモータ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−144161(JP,A) 特開 昭60−88264(JP,A) 特開 昭59−217047(JP,A) 特開 昭59−219554(JP,A) 特開 平1−215634(JP,A) 特開 平3−121358(JP,A) 特開 平3−189458(JP,A) 特開 平5−126239(JP,A) 特開 平8−178043(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 63/48

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動プーリと従動プーリとの間の変速比が
    油圧に基づいて無段階に可変制御される無段変速機と、 前記油圧を可変制御する変速制御弁と、 車両の運転状態と無段変速機の実変速比を検出する検出
    手段と、 検出された運転状態から目標変速比を演算する目標変速
    比演算手段と、 該目標変速比と実変速比とから変速比指令値としての変
    速制御弁の移動指令値を決定して出力する変速制御手段
    とを有し、かつ前記変速制御弁は、 前記変速比がアップ側に変速されるよう前記油圧を増加
    する開口方向と前記変速比がダウン側に変速されるよう
    前記油圧を減少する開口方向とを切替可能で、かつ前記
    駆動プーリの変位がフィードバックされて前記実変速比
    が前記目標変速比に近づくほど開口量が小さくなる構成
    を有し、 前記 変速制御手段は、 実変速比と変速制御弁の移動位置もしくは移動指令値と
    から変速制御弁の開口方向及び開口量を推定する制御弁
    開口量演算部と、 実変速比と、変速制御弁の開口方向及び開口量から変速
    比毎に変化する無段変速機の動特性に関わる定数を演算
    する動特性演算部と、 該動特性定数を用いて所定の動特性を得るための変速比
    制御定数を算出する変速比制御定数演算部と、 目標変速比と実変速比と変速比制御定数とから動特性補
    償出力を演算する動特性補償出力演算部と、 該動特性補償出力から変速制御弁の移動指令値を演算す
    る制御弁移動指令値演算部とを備え 前記動特性演算部は、ダウン変速時の前記動特性定数
    を、前記開口量が小さいほど大きくするように構成され
    ている ことを特徴とする無段自動変速機の変速制御装
    置。
  2. 【請求項2】変速制御手段は、 外乱補償出力演算部のローパスフィルタのカットオフ周
    波数を演算する外乱補償器定数決定部と、 該外乱補償器定数決定部からの出力に基づきカットオフ
    周波数が設定されるローパスフィルタに変速比指令値を
    入力し、第1の外乱補償出力を演算する第1の外乱補償
    出力演算部と、 第1の外乱補償出力演算部のローパスフィルタと同様の
    特性を有するローパスフィルタに、無段変速機の動特性
    を用いたローパスフィルタの逆系をかけ合わせたフィル
    タを構成し、変速比指令値を入力として第2の外乱補償
    出力を演算する第2の外乱補償出力演算部と、 第2の外乱補償出力演算部から第1の外乱補償出力演算
    部の出力を差し引いて外乱補償出力を演算する外乱補償
    出力演算部と、 動特性補償出力演算部の出力から外乱補償出力を差し引
    いて変速比指令値を演算する変速比指令値演算部とを備
    えることを特徴とする請求項1に記載の無段自動変速機
    の変速制御装置。
  3. 【請求項3】変速比制御定数演算部は、 動特性演算部からの動特性定数の変化を抑制するフィル
    タ演算を行う動特性定数フィルタを有し、該フィルタの
    出力を変速比制御定数として動特性補償出力演算部に供
    給するように構成されていることを特徴とする請求項1
    に記載の無段自動変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】変速制御手段は、 変速比指令値と実変速比が比例関係となるように変速制
    御弁に付与する変速比指令値を変換する変速比指令値変
    換部を有し、 かつ該変速比指令値変換部は、次の関係式(a)〜(c)から
    得られる駆動側プーリ間隔の移動量Dsと変速比ipとの関
    係に基づき、変速制御弁への変速指令値と変速比ipとの
    比例関係が成立するように、当該変速比指令値の変換量
    を決定するものとしたことを特徴とする請求項3に記載
    の無段自動変速機の制御装置。 ri={Ds/2tan(β)}+rio … (a) ro=[2ri-πDc+{(2ri-πDc)2-4(ri 2+Dcri+Dc(2Dc-LB))}1/2]/2 … (b) ip=ro/ri … (c) ただし、ri :駆動側プーリのベルト接触部の半径 rio:駆動側プーリの最小半径 ro :従動側プーリのベルト接触部の半径 Dc :駆動側プーリと従動側プーリとの軸間距離 LB :ベルトの周長 β :プーリのシーブ角 である。
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