JP3431657B2 - インラインスクリュー式可塑化射出装置 - Google Patents
インラインスクリュー式可塑化射出装置Info
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Description
し、特に長繊維強化材を含むペレット状熱可塑性樹脂
(「長軸ペレット」とも称す)の可塑化射出に適したイ
ンラインスクリュー式可塑化射出装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ガラス繊維(GF)などの長繊維強化材
を含む熱可塑性樹脂の成形品は、長繊維強化材による補
強効果により強度、剛性、耐衝撃性等の性質で極めて優
れている。このため近年かかる長繊維強化材を含む熱可
塑性樹脂を可塑化し、射出して成形する技術が注目され
ている。このような長繊維強化材を含む熱可塑性樹脂
は、例えば図2に示すような従来のインラインスクリュ
ー式可塑化射出装置で射出して成形される。この従来の
インラインスクリュー式可塑化射出装置10は主要部と
して、加熱シリンダ12と、この加熱シリンダ12の内
部で回転自在かつ往復動自在なスクリュー14と、ノズ
ル18と、前方に設けられたノズル18とは反対側に設
けられたスクリュー回転および加圧機構16(図では加
圧機構のみを示す)とから成る。スクリュー14のヘッ
ド部には、ヘッド部溶融樹脂通路を構成する複数の切欠
36(図では一個所のみ示す)を有する円錐状のスクリ
ューヘッド20が設けられており、その後方(ノズル1
8とは反対側)にウェアプレート22が設けられ、スク
リューヘッド20とウェアプレート22との間のスクリ
ューの小径シャフト24のまわりに、スクリューヘッド
20とウェアプレート22との間を往復動自在に環状の
チェックリング26が遊嵌されている。加熱シリンダ1
2の上部には、長繊維強化材を含む熱可塑性樹脂から成
る長軸ペレット28を装入するためのペレット供給口3
0が設けられている。 【0003】供給口30から装入された長軸ペレット2
8は、スクリュー14の外周に設けられたフライト32
によるかみ込み作用によりスクリューヘッド20側へ供
給される。この間加熱シリンダ12により加熱されて溶
融可塑化され、加熱シリンダ12と、ウェアプレート2
2と、チェックリング26と、スクリューヘッド20に
より画定される溶融樹脂通路34および切欠36を通っ
てシリンダ先端のチャンバ15に溶融状態で供給され
る。こうしてチャンバーに一定量の溶融可塑性樹脂の供
給が完了すると、加圧機構16がスクリュー14を前方
に加圧する。このときチェックリング26はウェアプレ
ート22と加熱シリンダ12との間の溶融樹脂通路34
を塞ぐので、溶融可塑化樹脂は逆方向すなわち供給口3
0側へは戻らない。供給された長軸ペレット28は、こ
うして溶融可塑化され、後述の成形法に従い、先端のノ
ズル18から成形用ダイ(図示せず)に射出されて所望
の形状に成形される。 【0004】 【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、長繊
維強化材を含む熱可塑性樹脂は、可塑化射出装置へ投入
した後の溶融可塑化の際に繊維強化材が折損し、長繊維
強化材による優れた特性が発揮されないという問題点が
あった。 【0005】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
かかる課題を解決するため、長繊維強化材を含むペレッ
ト状の熱可塑性樹脂を可塑化し射出して成形する技術に
ついて鋭意研究を行った結果、可塑化射出装置内の溶融
樹脂の通路に改善を施すことにより、長繊維強化材の折
損を著しく低減出来るとの知見を得て本発明を完成させ
るに至った。 【0006】すなわち本発明によれば、中空加熱シリン
ダと、スクリューヘッドの後方に設けられた小径シャフ
トと、小径シャフトの後方に設けられた弁座として機能
するウェアプレートと、小径シャフトのまわりに遊嵌さ
れ小径シャフトと加熱シリンダとの間の空間にてスクリ
ューヘッドとウェアプレートとの間を往復動自在な環状
のチェックリングとから構成された溶融樹脂通路が画定
され、ペレットと実質的に同一長さを有しペレットの長
手方向に配列した繊維強化材を含むペレット状の熱可塑
性樹脂を可塑化して射出するためのインラインスクリュ
ー式可塑化射出装置において、前記ウェアプレートから
スクリューヘッドに至る前記溶融樹脂通路は、鋭角に曲
がっていないこと、前記溶融樹脂通路の流れ方向に対し
垂直な方向の幅のスクリュー径に対する比率が8〜20
%の範囲であること、前記ウェアプレートと加熱シリン
ダの間隙のスクリュー径に対する比率が4〜10%の範
囲であること、及び前記ウェアプレートからスクリュー
ヘッドに至る前記溶融樹脂通路に突出する前記構成部品
の突出部には、流れ方向に沿ってアールが付けられてい
ることを特徴とするインラインスクリュー式可塑化射出
装置が提供される。前記アールは少なくとも0.8mm
であることが好ましい。 【0007】 【作用】本発明によれば、可塑化射出装置に装入された
長軸ペレットは、溶融可塑化されながら諸部材の角張っ
たコーナーに当接することなく、緩やかにカーブした溶
融樹脂通路を通過して、あるいはスクリュー径に対して
比較的緩やかな溶融樹脂通路を通過してチャンバに至
る。このため溶融樹脂通路通過中の繊維強化材の折損が
大幅に減少し、長繊維強化材による本来有する優れた特
性、例えば強度、剛性、耐衝撃性に優れた成形品が得ら
れる。 【0008】以下、添付図面を参照して本発明を更に詳
細に説明するが、これらは単に本発明を例示するための
もので、本発明はこれらのみに限定されるものではな
い。なお、以下において「本発明」とは、長繊維強化材
を含むペレット状の熱可塑性樹脂を可塑化し射出して成
形するインラインスクリュー式可塑化射出装置内におけ
る長繊維強化材の折損を著しく低減できる前記の態様を
指すものである。 【0009】図1を参照すると、ここには本発明に係わ
る長軸ペレット用インラインスクリュー式可塑化射出装
置の断面略図が示されている。この長軸ペレット用可塑
化射出装置10は、図示するように加熱シリンダ12
と、この加熱シリンダ12の内部で回転自在かつ往復動
自在なスクリュー14と、加熱シリンダ12とスクリュ
ー14の間で溶融可塑化された熱可塑性樹脂をダイ(図
示せず)に射出するための加熱シリンダのノズル18
と、前方に設けられたノズルと反対側に設けられたスク
リュー回転および加圧機構16(図では加圧機構のみを
示す)とから主に成る。加熱スクリューのヘッド部に
は、ヘッド部溶融樹脂通路を構成する複数の切欠36
(図では一個所のみ示す)を有する円錐状のスクリュー
ヘッド20が設けられており、その後方(ノズル18と
反対側)に弁座として機能するウェアプレート22が設
けられ、スクリューヘッド20とウェアプレート22と
の間の小径シャフト24のまわりにスクリューヘッド2
0とウェアプレート22との間を往復動自在な環状のチ
ェックリング26が遊嵌されている。加熱シリンダ12
の上部には、長軸ペレット28を装入するためのペレッ
ト供給口30が設けられている。 【0010】上記本発明の可塑化射出装置と従来の可塑
化射出装置との差異を明瞭にするため、両者を拡大して
示す図3と図4を対比させながら説明する。これらの図
から明らかなように、本発明の可塑化射出装置のウェア
プレート軸方向断面は、頂角が鈍角をした三角形状とな
っているのに対し、従来の可塑化射出装置では、ウェア
プレートの軸方向断面は台形をしている。このため本発
明の可塑化射出装置ではウェアプレート22と加熱シリ
ンダ12との間に画定された溶融樹脂通路34は、鋭角
に曲がっていないでゆるやかにカーブするのに対し、従
来の可塑化射出装置では、最後のコーナー部で直角にカ
ーブしている。 【0011】また、本発明に係わる可塑化射出装置では
チェックリング26のペレット供給側の端面は、対向す
るウェアプレート22の端面に対応して内側にテーパが
付けられている。これに対し、従来のチェックリング
は、軸方向断面が矩形であり、端面にはテーパが付けら
れていない。このようにチェックリング26の端面にテ
ーパを付けたことにより、チェックリング26の端面と
ウェアプレート22の端面との間の通路と、チェックリ
ング26とスクリューの小径シャフト24との間の各溶
融樹脂通路は、ゆるやかにカーブすることになる。 【0012】また本発明に係わる可塑化射出装置では、
上記溶融樹脂通路の流れ方向に対し垂直な方向の幅など
は、従来の可塑化射出装置よりも広くなっている。より
詳細に述べれば、図3に示す通路幅AおよびBのスクリ
ュー径に対する比率は、8〜20%であるのに対し、従
来の可塑化射出装置では3〜6%である。一方加熱シリ
ンダ12とウェアプレート22の頂部との間隙(幅)C
のスクリュー径に対する比率は本発明にかかる可塑化射
出装置では4〜10%であるのに対し、従来技術の可塑
化射出装置では2〜3.5%である。 【0013】また本発明の前記ウェアプレートからスク
リューヘッドに至る前記溶融樹脂通路に突出する前記構
成部品の突出部D,E,Fには、流れ方向に沿ってアー
ルが付けられていることが好ましい。アールとしては成
形機の大きさにもよるが、少なくとも0.8mmが好ま
しく、1〜3mmの範囲が更に好ましい。 【0014】前記本発明の可塑化射出装置においては、
ウェアプレート22の端面と鉛直軸とのなす角θは30
〜40゜の範囲であることが好ましい。 【0015】以上、本発明は長軸ペレットの溶融可塑化
の際の長繊維強化材の折損を著しく低減できるものであ
るが、最も好ましくは、これらの態様の全てを含むもの
である。 【0016】図1において、供給口30から装入された
長軸ペレット28は、スクリュー14の外周に設けられ
たフライト32によるかみ込み作用によりスクリューヘ
ッド20側へ供給される。この間長軸ペレットは加熱シ
リンダ12により加熱されて溶融可塑化し、加熱シリン
ダ12と、ウェアプレート22と、チェックリング26
と、スクリューヘッド20により画定される前記溶融樹
脂通路34および切欠36を通ってシリンダ先端のチャ
ンバ15に溶融状態で供給される。こうして一定量の溶
融樹脂の供給が完了すると、加圧機構16がスクリュー
14を前方に加圧する。この時チェックリング26はウ
ェアプレート22と加熱シリンダ12との間の溶融樹脂
通路34を塞ぐので、溶融可塑化樹脂は、逆方向すなわ
ち供給口30側へは戻らない。供給された長軸ペレット
28はこうして溶融可塑化され、先端のノズル18から
成形用ダイ(図示せず)に射出されて、所望の形状に成
形される。 【0017】本発明で用いられる長軸ペレットを構成す
る熱可塑性樹脂としてはナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン610、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン1
2などのポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ポ
リエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、
ポリスチレンやABSなどのスチレン系樹脂、ポリウレ
タン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリメタクリル酸メチル、フッ素系
樹脂および液晶性樹脂などを例示することが出来る。 【0018】また本発明で用いる長軸ペレットを構成す
る繊維強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン
酸カリウム繊維、スチール繊維、アラミド繊維などを例
示することが出来るが、折損し易いガラス繊維を用いる
場合に本発明の可塑化射出装置を適用することが特に好
ましい。 【0019】本発明で用いる長軸ペレットを製造するに
は、前述の長繊維強化材に前記樹脂を溶融状態で含浸さ
せ、適当な長さに切断したペレットが用いられる。この
ペレットには、繊維強化材がペレットと実質的に同一長
さを有しペレットの長手方向に配列して含まれている。
このようなペレットの製造法は、熱硬化性樹脂を用いた
強化プラスチックの連続成形法の一つである引き抜き成
形と原理的には同じであり、すでに公知である。この場
合、本発明の可塑化射出装置により得られる成形品中の
繊維強化材の平均繊維長は、前記ペレット切断長さ以上
にはなり得ない。従って、前記ペレットの切断長さはス
クリュへの供給などに支障の無い範囲内で、長い方が好
ましい。通常2mm以上、好ましくは10mm以上、特
に好ましくは30mm以上とする。また上限はペレット
供給口30からの供給が可能な範囲であれば特に制限は
ないが、好ましくは100mm以下である。 【0020】本発明のインラインスクリュー式可塑化射
出装置としては、射出成形法のほか射出溶融圧縮法、溶
融圧縮成形法、異形圧縮成形法、さらにはブロー成形、
発泡成形法等を例示することが出来る。 【0021】(実施例1〜2、比較例1〜2) 表ー1に示す型締力が各々150トンと800トンタイ
プのインライン射出成形機を用いて、表ー1に示す射出
成形機の条件下で実際に長ガラス繊維を含むペレット状
ポリプロピレン(PP)樹脂(α:GF含量は40重量
%で、ペレット長さおよびGF長は共に12mm、β:
GF含量は40重量%でペレット長さおよびGF長は共
に48mm)をシリンダー温度220℃、スクリュー回
転100rpm、スクリュー背圧0Kg/cm2で溶融
可塑化させ、パージ後のガラス繊維の重量平均繊維長を
測定した。 【0022】 【表1】【0023】上記表から明らかなように、型締力150
トンの射出成形機を用いて、長さ12mmのGFを含む
PPペレットを射出成形(パージ)した場合の重量平均
繊維長は、従来の射出成形機では2.5mmであった
が、本発明に係わる射出成形機を用いると、重量平均繊
維長は6mmと長くなった(実施例1、比較例1)。ま
た長さ48mmのGFを含むPPを型締力800トンの
射出成形機を用いて射出成形した場合、従来の射出成形
機では重量平均繊維長が4.5mmであった(比較例
2)ものが、本発明に係わる射出成形機では17mmに
改善された(実施例2)。 【0024】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明で提
供される可塑化射出装置を用いることにより、長繊維強
化材を含む熱可塑性樹脂を可塑化し射出して成形する際
の繊維強化材の折損程度を大幅に減少させることがで
き、長繊維強化材による本来有する優れた特性、例えば
強度、剛性、耐衝撃性に優れた成形品が得られる。
化射出装置の断面略図。 【図2】 従来のインラインスクリュー式可塑化射出装
置の断面略図。 【図3】 図1の可塑化射出装置の部分拡大図。 【図4】 図2の可塑化射出装置の部分拡大図。 【符号の説明】 12 加熱シリンダ 14 スクリュー 15 チャンバ 18 ノズル 20 スクリューヘッド 22 ウェアプレート 24 小径シャフト 26 チェックリング 34 溶融樹脂通路 36 切欠
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 中空加熱シリンダと、スクリューヘッド
の後方に設けられた小径シャフトと、小径シャフトの後
方に設けられた弁座として機能するウェアプレートと、
小径シャフトのまわりに遊嵌され小径シャフトと加熱シ
リンダとの間の空間にてスクリューヘッドとウェアプレ
ートとの間を往復動自在な環状のチェックリングとから
構成された溶融樹脂通路が画定され、ペレットと実質的
に同一長さを有しペレットの長手方向に配列した繊維強
化材を含むペレット状の熱可塑性樹脂を可塑化して射出
するためのインラインスクリュー式可塑化射出装置にお
いて、前記ウェアプレートからスクリューヘッドに至る
前記溶融樹脂通路は、鋭角に曲がっていないこと、前記
溶融樹脂通路の流れ方向に対し垂直な方向の幅のスクリ
ュー径に対する比率が8〜20%の範囲であること、前
記ウェアプレートと加熱シリンダの間隙のスクリュー径
に対する比率が4〜10%の範囲であること、及び前記
ウェアプレートからスクリューヘッドに至る前記溶融樹
脂通路に突出する前記構成部品の突出部には、流れ方向
に沿ってアールが付けられており、前記アールは少なく
とも0.8mmであることを特徴とするインラインスク
リュー式可塑化射出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06263893A JP3431657B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | インラインスクリュー式可塑化射出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06263893A JP3431657B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | インラインスクリュー式可塑化射出装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06246802A JPH06246802A (ja) | 1994-09-06 |
JP3431657B2 true JP3431657B2 (ja) | 2003-07-28 |
Family
ID=13206074
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06263893A Expired - Lifetime JP3431657B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | インラインスクリュー式可塑化射出装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3431657B2 (ja) |
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JP5350554B1 (ja) | 2013-05-17 | 2013-11-27 | センチュリーイノヴェーション株式会社 | 成形機における射出装置 |
JP6436454B2 (ja) * | 2014-09-22 | 2018-12-12 | 株式会社名機製作所 | 溶融材料供給装置 |
-
1993
- 1993-02-26 JP JP06263893A patent/JP3431657B2/ja not_active Expired - Lifetime
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