JP3431637B2 - Smad7およびその使用 - Google Patents

Smad7およびその使用

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、TGF−βスーパーファミリーレセプターと
相互作用し、およびそれらのレセプターによるシグナル
伝達のネガティブな調節体である、核酸およびコードさ
れたタンパク質に関する。本発明はまた、核酸またはポ
リペプチドを結合する薬剤に関する。本発明はさらに、
疾病の治療および/または診断においてこのような核酸
およびポリペプチドを使用する方法に関する。
発明の背景 哺乳動物胚発生および成体組織ホメオスタシスの間
に、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)は、
細胞間伝達において中心的な役割を果たす(Roberts
ら、1993)。この多面的な因子の細胞性の効果は、2つ
の異なって関連するタイプIおよびタイプIIセリン/ス
レオニンキナーゼレセプター、それぞれ、TβR−Iお
よびTβR−IIの、リガンド誘導性のヘテロオリゴマー
形成によって行使される(LinおよびLodish、1993;Dery
nck、1994;MassagueおよびWeis−Garcia、1996;ten Dij
keら、1996)。2つのレセプターは、両方ともにシグナ
ル伝達のために必要とされ、逐次作用する;TβR−I
は、構成的に活性なTβR−IIキナーゼについての基質
である(Wranaら、1994;Weiserら、1995)。TGF−β
は、構造学的に関連するタンパクの大きなファミリーの
一部であり、このファミリーは、類似の様式においてシ
グナル伝達するアクチビンおよび骨形態形成性タンパク
(BMP)を含み、それぞれ、タイプIおよびタイプIIセ
リン/スレオニンキナーゼレセプターの異なる複合体を
用いる(LinおよびLodish、1993;Derynck、1994;Massag
ueおよびWeis−Garcia、1996;ten Dijkeら、1996)。
ショウジョウバエ(Drosophila)および線虫(Caenor
habditis elegans)のTGF−β様シグナル伝達経路の遺
伝子研究により、それぞれ、mothers against dpp(Ma
d)(Sekelskyら、1995)およびsma(Savageら、1996)
遺伝子の同定に至った。これらの関連の遺伝子の産物
は、これらの生物体においてセリン/スレオニンキナー
ゼレセプターを介して作用するTGF−β様リガンドの下
流で本質的な機能を果たす(Wiersdorfら、1996;Newfel
dら、1996;Hoodlessら、1996)。Madおよびsmaの脊椎動
物相同体は、Smad(Derynckら、1996)またはMADR遺伝
子(WranaおよびAttisano、1996)と呼ばれた。Smad2お
よびSmad4/DPC4における遺伝子変化は、特定の腫瘍サブ
セットで見出され、従って、Smadは、腫瘍抑制遺伝子と
して作用し得る(Hahnら、1996;Rigginsら、1996;Epper
tら、1996)。Smadタンパクは、高い類似性の2つの領
域(MH1およびMH2ドメインと呼ばれる)を共有し、可変
性のプロリン−リッチ配列で連結される(Massague、19
96;DerynckおよびZhang、1996)。Smad2のC末端部分
は、異種DNA結合ドメインに融合した場合、転写活性を
有することが見出された(Liuら、1996;Meerssemanら、
1997)。インタクトなSmad2タンパクは、DNA結合ドメイ
ンに融合される場合、潜在性であるが、転写活性がリガ
ンドでの刺激後に現れた(Liuら、1996)。
異なるSmadは、アフリカツメガエル(Xenopus)にお
ける機能的なアッセイを使用して、異なる応答を特定す
る。Smad1は、腹側中胚葉を誘導する(BMP様応答)が、
Smad2は、背側中胚葉を誘導する(アクチビン/TGF−β
様応答)(Graffら、1996;BakerおよびHarland、1996;T
homsen、1996)。リガンド刺激の際、Smadは、セリンお
よびスレオニン残基でリン酸化され;BMPはSmad1リン酸
化を刺激するが、TGF−βは、Smad2およびSmad3リン酸
化を誘導する(Hoodlessら、1996;Liuら、1996;Eppert
ら、1996;Lechleiderら、1996;Yinglingら、1996;Zhang
ら、1996;Macas−Silvaら、1996;Nakaoら、1996)。
従って、あるSmadは、経路特異的である。経路特異的な
Smadとしては、Smad1、Smad2、Smad3およびSmad5が挙げ
られる。
Smad4は、TGF−β、アクチビンおよびBMPシグナル伝
達の共通の成分である(Lagnaら、1996;Zhangら、1997;
de Winterら、1997)。従って、Smad4リン酸化はさら
に、トランスフェクトされた細胞のアクチビン刺激後に
のみ報告された(Lagnaら、1996)。TGF−βまたはアク
チビンでの刺激後、Smad4は、Smad2またはSmad3と相互
作用し、そしてBMP抗原投与の際、Smad4およびSmad1の
ヘテロマーの複合体が、観察された(Lagnaら、199
6)。リガンド刺激の際、Smad複合体は、細胞質から核
に移動する(Hoodlessら、1996;Liuら、1996;Bakerおよ
びHarland、1996;Macas−Silvaら、1996)、ここで
は、DNA結合タンパクを組合わせて、それらは遺伝子転
写を調節し得る(Chenら、1996)。
発明の概要 本発明は、単離されたSmad7核酸分子、それらの分子
のユニークフラグメント、これらを含む発現ベクター、
およびこれらの分子でトランスフェクトされた宿主細胞
を提供する。本発明はまた、Smad7核酸によってコード
される単離されたポリペプチド、およびこのようなポリ
ペプチドを結合する薬剤(抗体を含む)を提供する。こ
れらは、Smad7核酸もしくはポリペプチドの発現、また
はその欠損によって特徴付けられる症状の診断または治
療において、使用され得る。本発明はまた、このような
症状の診断または治療において有用な薬理学的薬剤を同
定するための方法を提供する。本明細書中で、本発明者
らは、Smad7の同定を示し、これは、経路特異的Smad(S
mad1、Smad2、およびSmad3を含む)を妨害するため、TG
F−βスーパーファミリーシグナル経路の阻害剤であ
る。
本発明の1つの曲面によれば、単離された核酸分子が
提供される。分子は、配列番号:3(SEQ ID NO:3)また
は5の核酸配列からなる分子に、ストリンジェントな条
件下でハイブリダイズする。単離された核酸分子は、TG
F−βスーパーファミリーシグナル伝達を阻害するポリ
ペプチドをコードする。本発明はさらに、遺伝子コード
の縮重に起因してコドン配列において、上述の単離され
た核酸分子とは異なる核酸分子を包含する。本発明はま
た、上述の核酸の相補鎖を包含する。
いくつかの態様において、単離された核酸分子は、配
列番号:7または8の核酸配列からなる分子を含む。好ま
しくは、単離された核酸分子は、配列番号:7もしくは8
の核酸配列からなるか、または配列番号3もしくは5の
核酸配列から本質的になる。
本発明の別の局面によれば、単離された核酸分子が、
提供される。単離された拡散分子は、12と1944との間の
ヌクレオチド長の、配列番号:3のユニークフラグメン
ト、およびその相補鎖、または12と1875との間のヌクレ
オチド長の配列番号:5のユニークフラグメント、および
その相補鎖からなる分子を含むが、但し、この単離され
た核酸分子は、配列番号:1および配列番号:2のみからな
る配列を排除する。好ましくは、単離された核酸分子
は、受託番号AA061644(配列番号:1)、AA022262(配列
番号:2)、AA347307、AA348247、321995、W78627、W408
69、AA033426、AA397050、AA016891、およびC85115から
なる群より選択されるヌクレオチド配列のみからなる分
子を排除する。1つの態様では、単離された核酸分子
は、配列番号:3、配列番号:5、またはこのような核酸分
子の相補鎖の12と32との間の連続したヌクレオチドから
なる。好ましい態様では、ユニークフラグメントは、配
列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:8、また
はその相補鎖のヌクレオチド配列の少なくとも14、15、
16、17、18、20または22の連続したヌクレオチドであ
る。
本発明の別の局面によると、本発明は、上記の核酸分
子を含む、発現ベクター、およびこのような発現ベクタ
ーでトランスフォームまたはトランスフェクトされた宿
主細胞に関する。
本発明のなお別の局面によると、トランスジェニック
非ヒト動物が提供される。動物は、いくつかの態様で
は、上述の発現ベクターを含む。いくつかの好適な態様
では、トランスジェニック非ヒト動物は、条件的なSmad
7発現ベクター(例えば、組織特異的な様式、発生段階
特異的な様式、または誘導性の様式において、Smad7の
発現を増加する発現ベクター)を含む。他の態様では、
トランスジェニック非ヒト動物は、Smad7核酸分子の発
現を減少されている。いくつかの態様において、トラン
スジェニック非ヒト動物は、相同組換えによって破壊さ
れているSmad7遺伝子を含む。破壊は、ホモ接合体的ま
たはヘテロ接合体的であり得る。他の実施態様では、ト
ランスジェニック非ヒト動物は、条件的なSmad7遺伝子
破壊(例えば、組織特異的な、発生段階特異的な、また
は誘導性の、リコンビナーゼの発現によって仲介される
破壊)を含む。なお別の実施態様では、トランスジェニ
ック非ヒト動物は、Smad7発現のトランスアクティング
ネガティブレギュレーター(例えば、アンチセンスSmad
7核酸分子、ドミナントネガティブなSmad7タンパクをコ
ードする核酸分子、Smad7指向性リボザイムなど)を含
む。
本発明の別の局面によると、単離されたポリペプチド
が提供される。単離されたポリペプチドは、請求項1、
2、または8のいずれかに記載の単離された核酸分子に
よってコードされ、そしてこのポリペプチドは、TGF−
βスーパーファミリーシグナル伝達活性を阻害する。
別の実施態様では、単離されたポリペプチドは、上述
の活性を保持する上述のフラグメントまたは変異体から
なる。好適な態様では、フラグメントは、Smad7のC末
端フラグメント、好ましくは、配列番号:4もしくは6の
アミノ酸204〜426、またはSmad7のN末端フラグメン
ト、好ましくは、配列番号:4もしくは6のアミノ酸2〜
261である。
本発明の別の局面によれば、Smad7タンパクまたはそ
のフラグメントを選択的に結合する単離されたポリペプ
チドが提供されるが、但し、単離されたポリペプチド
は、TGF−βスーパーファミリータイプIレセプター
(例えば、TGF−β、アクチビン、またはBMPレセプタ
ー)ではない。ある態様における単離されたポリペプチ
ドは、請求項1、2、または8のいずれかに記載の単離
された核酸分子によってコードされるポリペプチドに結
合する。好適な態様では、単離された結合ポリペプチド
は、抗体または抗体のフラグメント(例えば、Fab、F
(ab)、Fd、および本発明のSmad7ポリペプチド(例
えば、配列番号:4または6)によって規定されるエピト
ープに選択的に結合するCDR3領域を含む抗体フラグメン
ト)を含む。他の好適な態様では、ポリペプチドは、配
列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、および配列番
号:14からなる群より選択されるポリペプチドによって
規定されるエピトープを選択的に結合する、抗体または
そのフラグメントである。なお別の好適な態様では、単
離されたポリペプチドは、モノクローナル抗体、ヒト化
抗体、またはキメラ抗体である。
別の局面において、本発明は、ポリペプチドの単離さ
れた複合体を提供する。単離された複合体としては、活
性化TGF−βスーパーファミリータイプIレセプター、
および請求項1において請求されるようなポリペプチド
に結合するTGF−βスーパーファミリータイプIとTGF−
βスーパーファミリーIタイプIレセプター(例えば、
TGF−β、アクチビン、Vg1、またはBMPレセプター)と
の複合体からなる群より選択される、TGF−βスーパー
ファミリーレセプターが挙げられる。好ましくは単離さ
れた複合体としては、配列番号:4または配列番号:6のア
ミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。他の好適な態
様では、レセプターは、TβR I、BMPR−I A、BMPR−I
B、ActR−I A、TβR IとTβR IIとの複合体、BMPR−I
AとBMPR−IIとの複合体、BMPR−I BとBMPR−IIとの複
合体、ActR−I AとBMPR−IIとの複合体およびActR−I A
とActR−IIとの複合体からなる群より選択される。
本発明のさらに別の局面によると、哺乳動物細胞での
TGF−βスーパーファミリーシグナル伝達を減少させる
ための方法が提供される。この方法は、哺乳動物細胞に
おいてこのようなシグナル伝達を減少させるのに有効な
TGF−βスーパーファミリーシグナル伝達の阻害剤の量
と、哺乳動物細胞とを接触させる工程を包含する。好ま
しくは、TGF−βスーパーファミリーシグナル伝達は、T
GF−βスーパーファミリーリガンド、詳細には、TGF−
β1、アクチビン、Vg1、BMP−4および/またはBMP−
7によって仲介される。上述で開示される阻害剤と、哺
乳動物細胞とを接触することによって、経路特異的Smad
(例えば、Smad1、Smad2、Smad3、および/またはSmad
5)のリン酸化を減少するための、他の方法が提供され
る。上述の方法のいくつかの態様では、阻害剤は、単離
されたSmad7ポリペプチドまたはそのフラグメント(例
えば、配列番号:3もしくは5にストリンジェントな条件
下でハイブリダイズする核酸、配列番号:4もしくは6の
ポリペプチドをコードする核酸、またはその縮H鎖もし
くは相補鎖によってコードされるポリペプチド)であ
る。ある態様では、核酸は、配列番号:4もしくは配列番
号:6のアミノ酸204〜426、または配列番号:4もしくは配
列番号:6のアミノ酸2〜261をコードする。なお他の態
様では、阻害剤は、単離されたSmad8ポリペプチドまた
はそのフラグメントである。
本発明のなお別の局面によれば、細胞の増殖および/
または分化を調節するための方法が提供される。方法
は、細胞の増殖および/または分化を調節するのに有効
な、上記のような、単離されたSmad7ポリペプチドまた
はこのようなポリペプチドをコードし、発現する核酸の
量と、細胞とを接触する工程を包含する。
さらなる局面において本発明は、哺乳動物細胞におけ
るTGF−βスーパーファミリーシグナル伝達を増加させ
るための方法を提供する。哺乳動物細胞は、TGF−βス
ーパーファミリーシグナル伝達を増加するのに有効な量
で、本発明の単離された核酸分子またはその発現産物に
選択的に結合する薬剤と接触される。好ましくは、TGF
−βスーパーファミリーシグナル伝達は、TGF−β1、
アクチビン、Vg1、BMP−4、およびBMP−7からなる群
より選択されるTGF−βスーパーファミリーリガンドに
よって仲介される。好ましい薬剤は、アンチセンス核酸
(修飾された核酸を含む)およびポリペプチド(配列番
号:4のアミノ酸を含むポリペプチド、配列番号:6のアミ
ノ酸を含むポリペプチド、配列番号:13のアミノ酸を含
むポリペプチド、配列番号:14のアミノ酸を含むポリペ
プチド、Smad7のN末端フラグメントまたはSmad7のC末
端フラグメント、および配列番号:4または6のポリペプ
チドのドミナントネガティブな変異体に結合する抗体を
含む)である。
なお別の局面において、本発明は、Smad7ポリペプチ
ドおよび医薬的に許容される担体を含む組成物を提供す
る。
さらなる局面において本発明は、対象においてSmad7
のTGF−βスーパーファミリー阻害活性を減少するため
の方法を含む。本発明の単離された核酸分子またはその
発現産物に選択的に結合する薬剤は、対象におけるSmad
7のTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクシ
ョン阻害活性を減少させるのに有効な量で、このような
治療の必要がある対象に投与される。好ましくは、TGF
−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション
は、TGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP−4およびBMP−
7からなる群より選択されるTGF−βスーパーファミリ
ーリガンドによって仲介される。好ましい薬剤は、アン
チセンス核酸(修飾された核酸を含む)、およびポリペ
プチド(配列番号:4のアミノ酸を含むポリペプチド、配
列番号:6のアミノ酸を含むポリペプチド、配列番号:13
のアミノ酸を含むポリペプチド、配列番号:14のアミノ
酸を含むポリペプチド、Smad7のN末端フラグメントま
たはSmad7のC末端フラグメント、および配列番号:4ま
たは6のポリペプチドのドミナントネガティブな変異体
に結合する抗体を含む)である。
別の局面において、本発明は、細胞におけるTGF−β
スーパーファミリーリガンドの誘導を診断するための方
法を提供する。この方法は、(a)細胞におけるSmad7
RNAまたはポリペプチドの量を測定する工程、および工
程(a)の結果とコントロールとを比較する工程を包含
する。
本発明のなお別の局面によれば、細胞における機能的
なTGF−βスーパーファミリーレセプターの存在を決定
するための方法が提供される。この方法は、細胞におけ
るSmad7の量を増加させるのに有効なTGF−βスーパーフ
ァミリーリガンドの量と、細胞とを接触する工程、細胞
におけるSmad7 RNAまたはポリペプチドの量を測定する
工程、および測定の結果とコントロールとを比較する工
程を包含し、ここで、細胞におけるSmad7 RNAまたはポ
リペプチドの増加された量は、機能的なTGF−βスーパ
ーファミリーレセプターの存在を示す。好ましくは、TG
F−βスーパーファミリーレセプターは、TGFβスーパー
ファミリータイプIレセプター、TGF−βスーパーファ
ミリータイプIIレセプター、およびTGF−βスーパーフ
ァミリータイプIレセプターとTGF−βスーパーファミ
リータイプIIレセプターとの複合体からなる群より選択
される。
本発明の別の局面によれば、Smad7のTGF−βスーパー
ファミリーシグナルトランスダクション阻害活性と関連
する疾病の診断または治療において有用な薬理学的薬剤
についてのリード化合物を同定するための方法が提供さ
れる。方法の1つのセットは、Smad7ポリペプチド、TGF
−βスーパーファミリーレセプター複合体または活性化
TGF−βスーパーファミリータイプIレセプター、およ
び候補薬理学的薬剤の混合物を形成する工程を包含す
る。混合物は、候補薬理学的薬剤の不存在下で、Smad7
ポリペプチドにより、TGF−βスーパーファミリーレセ
プター複合体または活性化TGF−βスーパーファミリー
タイプIレセプターが特異的に結合できる基準量を起こ
す条件下で、インキュベートされる。次いで、Smad7ポ
リペプチドによる、TGF−βスーパーファミリーレセプ
ター複合体または活性化タイプIレセプターの特異的な
結合の基準量が検出される。候補薬理学的薬剤の存在下
における上述の活性の増加の検出は、候補薬理学的薬剤
が、Smad7のTGF−βスーパーファミリーシグナルトラン
スダクション阻害活性を増加する薬理学的薬剤について
リード化合物であることを示す。候補薬理学的薬剤の存
在下における上述の活性の減少の検出は、候補薬理学的
薬剤がSmad7のTGF−βスーパーファミリーシグナルトラ
ンスダクション阻害活性を減少する薬理学的薬剤につい
てリード化合物であることを示す。方法の別のセット
は、上述のような混合物を形成する工程、さらなる経路
特異的Smadポリペプチドを添加する工程、ならびに経路
特異的SmadポリペプチドのTGF−βスーパーファミリー
誘導性のリン酸化の基準量および試験量を検出する工程
を包含する。候補薬理学的薬剤の存在下でのリン酸化の
増加の検出は、候補薬理学的薬剤が、Smad7のTGF−βス
ーパーファミリーシグナル伝達阻害活性を減少する薬理
学的薬剤についてのリード化合物であることを示す。候
補薬理学的薬剤の存在下でのリン酸化の減少の検出は、
候補薬理学的薬剤が、Smad7のTGF−βスーパーファミリ
ーシグナル伝達阻害活性を増加する薬理学的薬剤につい
てのリード化合物であることを示す。好ましいSmad7ポ
リペプチドは、請求項4に記載のポリペプチドを含む。
上述の組成物および方法において、TGF−βスーパー
ファミリーの好ましいメンバーは、TGF−β1、アクチ
ビン、Vg1、BMP−4、およびBMP−7であり、そして好
ましい経路特異的Smadポリペプチドは、Smad1、Smad2、
Smad3およびSmad5である。
本発明のなお別の局面によれば、細胞におけるSmad6
もしくはSmad7核酸の発現、またはその発現産物を減少
させるための方法が提供される。この方法は、細胞にお
いてSmad6もしくはSmad7核酸の発現、またはその発現産
物を減少するのに有効な、Smad4に選択的に結合する薬
剤の量と、細胞とを接触する工程を包含する。いくつか
の態様では、薬剤は、アンチセンスSmad4分子またはSma
d4に選択的に結合する抗体である。
別の局面において、本発明は、細胞におけるSmad6ま
たはSmad7発現を増加させるための方法を提供する。こ
の方法は、細胞においてSmad6またはSmad7発現を増加さ
せるのに有効な量で、アクチビン、表皮増殖因子、およ
びフォルボールエステルからなる群より選択される薬剤
と、細胞とを接触させる工程を包含する。
発明の別の局面によれば、Smad6遺伝子またはSmad7遺
伝子の上昇された発現によって特徴付けられる肺ガンを
有する対象を治療するための方法が提供される。この方
法は、Smad6またはSmad7遺伝子の発現を減少させるため
に有効な、Smad6またはSmad7遺伝子の発現産物に結合す
るアンチセンス核酸の量を、対象に投与する工程を包含
する。他の態様では、この方法は、配列番号:4のアミノ
酸配列を含むポリペプチド、配列番号:6のアミノ酸配列
を含むポリペプチド、Smad7のN末端フラグメントまた
はSmad7のC末端フラグメント、配列番号:10のアミノ酸
配列を含むポリペプチド、配列番号:11のアミノ酸配列
を含むポリペプチド、配列番号:12のアミノ酸配列を含
むポリペプチド、配列番号:13のアミノ酸配列を含むポ
リペプチド、配列番号:14のアミノ酸配列を含むポリペ
プチドからなる群より選択されるポリペプチドを結合す
る抗体またはそのフラグメントのようなポリペプチドを
投与する工程を包含する。なお別の態様では、薬剤は、
Smad6またはSmad7のドミナントネガティブな変異体であ
る。
本発明のなお別の局面によれば、発生する哺乳動物胚
における眼の欠陥を低減するための方法が提供される。
この方法は、Smad7核酸分子またはその発現産物の発現
もしくは活性を減少する薬剤と、胚の細胞とを接触する
工程を包含する。ある態様では、薬剤は、Smad7核酸分
子またはその発現産物を選択的に結合する。好適な態様
では、薬剤は、アンチセンス核酸分子またはポリペプチ
ドであり、好ましくはポリペプチドは、配列番号:4のア
ミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号:6のアミノ酸
配列を含むポリペプチド、配列番号:13のアミノ酸配列
を含むポリペプチド、配列番号:14のアミノ酸配列を含
むポリペプチド、Smad7のN末端フラグメントおよびSma
d7のC末端フラグメントからなる群より選択されるポリ
ペプチドを結合する抗体またはそのフラグメントであ
る。薬剤はまた、Smad7のドミナントネガティブな変異
体であり得る。
本発明の別の局面によれば、単離されたポリペプチド
が提供される。ポリペプチドは、第2のポリペプチドま
たはそのフラグメントに連結される第1のポリペプチド
またはそのフラグメントを含み、ここでは、第2のポリ
ペプチドまたはそのフラグメントは、Smad7のMH2ドメイ
ンを含む。ポリペプチドは、細胞の核に局在化し、そし
てTGF−βスーパーファミリーレセプターを有する細胞
におけるTGF−βスーパーファミリーレセプター仲介性
のシグナルトランスダクションの際に、細胞の核から細
胞質に輸送される。
本発明の別の局面によれば、Smad7 MH2ドメインまた
はその核局在フラグメントを含む融合タンパクが提供さ
れる。本発明の別の局面において、Smad7 MH2ドメイン
またはその転写活性化フラグメントを含む融合タンパク
が提供される。
本発明のさらに別の局面によれば、Smad7調節性の遺
伝子転写の転写を調節するための方法が提供される。こ
の方法は、Smad7調節性の遺伝子転写を調節するのに有
効な量において、TGF−βスーパーファミリーレセプタ
ー仲介性のシグナルトランスダクションを調節する薬剤
と、哺乳動物細胞とを接触する工程を包含する。いくつ
かの態様では、薬剤は、TGF−βスーパーファミリーリ
ガンドまたはTGF−βスーパーファミリーレセプター仲
介性のシグナルトランスダクションの阻害剤である。
本発明の別の局面において、単離された核酸分子が提
供される、核酸分子は、配列番号:15のヌクレオチド配
列、その対立遺伝子変異体、またはTGF−β調節を付与
するその機能的なフラグメントを含む。配列番号:15に
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレ
オチド配列を含む核酸分子がまた、提供される。本発明
のなお他の局面において、配列番号:15のユニークフラ
グメントを含む単離された核酸分子が提供される。配列
番号:15を含むか、またはこれに関連する上述の単離さ
れた核酸分子を含む発現ベクターがまた、提供される。
本発明の別の局面によれば、第1の核酸分子の転写を
調節するための方法が提供される。この方法は、配列番
号:15を含むか、またはこれに関連する上述の単離され
た核酸分子に作動可能に連結される第1の核酸分子を含
むコンストラクトを調整する工程、および発現系にコン
ストラクトを導入する工程を包含する。いくつか態様で
は、発現系は細胞である。好ましい態様では、細胞は、
TGF−βスーパーファミリーレセプターを発現し、この
方法は、第1の核酸分子の発現を増加させるために、TG
F−βスーパーファミリーリガンドと、細胞とを接触す
る工程を包含する。
本発明のなお他の好ましい局面において、TGF−β調
節性の転写活性の調節を同定するための方法が提供され
る。方法は、検出可能な発現産物をコードする核酸に作
動可能に連結される配列番号:15またはそのTGF−β調節
性のそのフラグメントを含むレポーターコンストラクト
を、発現系に供する工程、および発現系と候補分子化合
物とを接触する工程を包含する。発現系は、候補分子の
不存在下で、検出可能な発現産物が発現できる基準量を
起こす条件下でインキュベートされる。次いで、検出可
能な発現産物の発現の基準量が、検出される。候補調節
体化合物の存在下での上述の活性の増加の検出は、候補
調節体化合物が、TGF−β調節性の転写活性を増加する
化合物であることを示す。候補調節体化合物の存在下で
の上述の活性の減少の検出は、候補調節体化合物が、TG
F−β調節性の転写活性を減少する化合物であることを
示す。好ましい態様では、発現系は、細胞またはインビ
トロ転写系である。他の好ましい態様では、検出可能な
発現産物は、酵素(例えば、ルシフェラーゼ)または緑
色蛍光タンパクのようなレポータータンパクである。
薬剤の調製における上述の組成物の使用がまた、意図
される。
本発明のこれらのおよび他の局面は、本発明の詳細な
説明に関連してさらに詳細に記載される。
図面の簡単な説明 図1は、Smad7のクローニングおよび組織分布を示
す。
図2は、Smad7がTGF−βおよびアクチビン誘導性の転
写応答を阻害することを示す。
図3は、Smad7とTGF−βレセプター複合体との会合を
示す。
図4は、Smad7が、TβR活性化の際にリン酸化され
ないが、Smad7過剰発現は、TGF−β仲介性のSmad2およ
びSmad3リン酸化を阻害することを示す。
図5は、Smad7が、TGF−βの初期の応答遺伝子である
ことを示す。
図6は、Smad7と、BMPおよびアクチビンレセプター複
合体との会合を示す。
図7は、Smad7が、Smad1またはSmad5のBMP−およびア
クチビン−レセプター仲介性のリン酸化を阻害すること
を示す。
図8は、Smad7のC末端が、TGF−βレセプター複合体
と会合すること、およびSmad8、ならびにSmad7のN末端
ドメインおよびC末端ドメインがTGF−βシグナル伝達
を阻害することを示す。
図9は、Smad6およびSmad7の比較を示す。A:アミノ酸
配列の比較。B:hSmad1〜hSmad7およびhSmad9との間の両
方向のアラインメント関係。C:肺ガン腫セルラインにお
けるSmad6およびSmad7 mRNAの発現である。
図10は、TGF−βスーパーファミリーメンバーが、Sma
d6およびSmad7 mRNAレベルを誘導することを示す。
図11は、アンチセンスSmad7 mRNAが、TGF−β1転写
応答を増強することを示す。
図12は、Smad6およびSmad7 mRNA発現におけるEGFおよ
びPMAの効果を示す。
図13は、Smad7が、TGF−β仲介性のシグナル伝達応答
を、Smad8よりも効果的に阻害することを示す。
図14は、アフリカツメガエル(Xenopus)胚におけるS
mad7の過剰発現が、部分的な二次軸椎および眼の欠損の
形成を誘導することを示す。
図15は、安定なpMEP−4−駆動化トランスフェクトク
ローンにおけるSmad7およびSmad6の発現の特徴づけを示
す。
図16は、Smad7が、TGF−β1仲介性の増殖阻害を阻害
することを示す。(A〜C)3つの独立したクローンに
おけるTGF−β1誘導性増殖の阻害に対するSmad7の有効
性、(D)TGF−β1誘導性の増殖阻害に対するSmad6S
および(E)Smad6Lの有効性を示す。
図17は、Smad7が、初期の応答遺伝子のTGF−β1仲介
性の誘導を阻害することを示す。
図18は、TGF−β1レセプター活性化なしまたはあり
でのSmad7の細胞分布を示す。
図19は、TGF−β1刺激の不存在下または存在下で
の、野生型Smad7およびSmad7欠失変異体の細胞分布を示
す。
図20は、Smad7プロモーターフラグメントのTGF−β1
誘導能を示すルシフェラーゼアッセイの結果を描く。
図21は、約725bpまでのBamH I−Xho I最小プロモータ
ーフラグメント(配列番号:15)における、いくつかの
制限酵素部位および異なる転写因子およびSmadタンパク
についての推定される結合部位を示す。
配列の簡単な説明 配列番号:1は、マウスESTのヌクレオチド配列(アク
セス番号AA061644)であり、これは、N末端Smadドメイ
ンに配列類似性を有する。
配列番号:2は、マウスESTのヌクレオチド配列(アク
セス番号AA022262)であり、これは、C末端Smadドメイ
ンに配列類似性を有する。
配列番号:3は、マウスSmad7 cDNAのヌクレオチド配列
である。
配列番号:4は、マウスSmad7タンパクのアミノ酸配列
である。
配列番号:5は、ヒトSmad7 cDNAのヌクレオチド配列で
ある。
配列番号:6は、ヒトSmad7タンパクのアミノ酸配列で
ある。
配列番号:7は、マウスSmad7 cDNAのコード領域のヌク
レオチド配列である。
配列番号:8は、ヒトSmad7 cDNAのコード領域のヌクレ
オチド配列である。
配列番号:9は、ヒトSmad6 cDNAのヌクレオチド配列で
ある。
配列番号:10は、抗体が惹起され得る、Smad7の好まし
いペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:11は、抗体が惹起され得る、Smad7の好まし
いペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:12は、抗体が惹起され得る、Smad7の好まし
いペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:13は、抗体が惹起され得る、Smad7の好まし
いペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:14は、抗体が惹起され得る、Smad7の好まし
いペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号:15は、725ヌクレオチドのBamH I−Xho I Sm
ad7最小プロモーターフラグメントである。
発明の詳細な説明 1つの局面において、本発明は、Smad7 TβT−Iレ
セプターと相互作用するタンパクをコードするcDNAのク
ローニングに関する。マウス遺伝子の配列は、配列番
号:3として示され、そしてこの遺伝子のタンパク産物の
予測されるアミノ酸配列が、配列番号:4として示され
る。ヒト遺伝子の配列は、配列番号:5として示され、お
よびこの遺伝子のタンパク産物の予測されるアミノ酸配
列が、配列番号:6として示される。核酸およびタンパク
データベースに対する比較による配列の分析は、Smad7
が、他のSmadタンパクに関連するC末端ドメイン(MH2
ドメイン)を有することを決定した。Smad7C末端ドメイ
ンは、Smad6に最も関連する(48%同一性)。
従って、本発明は、1つの局面において、Smad7ポリ
ペプチド、これらのポリペプチドをコードする遺伝子、
これらの機能的な修飾体および変異体、これらの有用な
フラグメント、ならびにそれらに関する治療薬を含む。
これらの遺伝子の発現は、TGF−βスーパーファミリー
の発現およびシグナルトランスダクションに影響し、そ
してTGF−βスーパーファミリーの発現およびシグナル
トランスダクションによって影響される。TGF−βスー
パーファミリーメンバーは、当業者に周知であり、TGF
−β、アクチビン、骨形態形成性タンパク(BMP)、Vg
1、ミュラー管阻害物質(MIS)および増殖/分化因子
(GDF)を含む。
本発明のSmad7核酸の相同体および対立遺伝子は、従
来からの技術によって同定され得る。従って、本発明の
1つの局面は、Smad7ポリペプチドをコードし、および
ストリンジェントな条件下で、配列番号:3または5のコ
ード領域からなる核酸分子にハイブリダイズするそれら
の核酸配列である。本明細書中で使用される、用語「ス
トリンジェントな条件」とは、当該分野でよく知られる
パラメーターをいう。核酸ハイブリダイゼーションパラ
メーターは、このような方法を編集する参考文献(例え
ば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、J.Sambr
ookら編、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Pre
ss、Cold Spring Harbor、New York、1989、またはCurr
ent Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら
編、John Wiley & Sons,Inc.、New York)において見
出される。より具体的には、本明細書中で使用されるス
トリンジェントな条件は、例えば、ハイブリダイゼーシ
ョン緩衝液(3.5×SSC、0.02%Ficoll、0.02%ポリビニ
ルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン、2.5mM NaH2
PO4(pH7)、0.5%SDS、2mM EDTA)中の、65℃でのハイ
ブリダイゼーションをいう。SSCは、0.15M塩化ナトリウ
ム/0.15Mクエン酸ナトリウム、pH7であり;SDSは、ドデ
シル硫酸ナトリウムであり、およびEDTAは、エチレンジ
アミン四酢酸である。ハイブリダイゼーション後、その
表面にDNAが移されたメンブレンは、2×SSCで、室温で
洗浄し、次いで、0.1×SSC/0.1×SDSで、65℃までの温
度にて洗浄される。
使用され得る他の条件、薬剤などが存在し、これは、
同程度のストリンジェンシーを生じる。当業者はこのよ
うな条件に精通するので、このような条件は本明細書中
に示さない。しかし、当業者は、本発明のSmad7核酸の
相同体および対立遺伝子がはっきり同定できる方法で、
条件を操作し得ることが理解されよう。当業者はまた、
このような分子の発現について、細胞およびライブラリ
ーをスクリーニングするための方法論に精通しており、
これらの分子は機械的に単離され、続いて適切な核酸分
子が単離され、そして配列決定される。
一般に、相同体および対立遺伝子は、配列番号:3また
は5、および配列番号:4または6に、それぞれ、少なく
とも40%のヌクレオチド同一性および/または少なくと
も50%のアミノ酸同一性を有し、いくつかの例では、少
なくとも50%のヌクレオチド同一性および/または少な
くとも65%のアミノ酸同一性を有し、なお他の例では、
少なくとも60%のヌクレオチド同一性および/または少
なくとも75%のアミノ酸同一性を有する。上述の核酸の
Watson−Crick相補鎖はまた、本発明によって包含され
る。
Smad7タンパクについてのスクリーニングにおいて、
サザンブロットが、放射性プローブとともに上述の条件
を使用して行われ得る。DNAが最終的に転写されたメン
ブレンを洗浄した後、メンブレンは、放射活性なシグナ
ルを検出するためにX線フィルムに対して置かれる。
本発明はまた、ネイティブな材料に存在するコドンに
対する代替のコドンを含む、縮重核酸を包含する。例え
ば、セリン残基は、コドンTCA、AGT、TCC、TCG、TCT、
およびAGCによってコードされる。6つのコドンのそれ
ぞれは、セリン残基をコードすることについては均等で
ある。従って、セリンをコードするヌクレオチド3塩基
のいずれもが、伸長するSmad7ポリペプチドにセリン残
基を組込むために、インビトロまたはインビボで、タン
パク合成装置に用いられ得る。同様に、他のアミノ酸残
基をコードするヌクレオチド配列3塩基としては:CCA、
CCC、CCG、およびCCT(プロリンコドン);CGA、CGC、CG
G、CGT、AGA、およびAGG(アルギニンコドン);ACA、AC
C、ACG、およびACT(スレオニンコドン);AACおよびAAT
(アスパラギンコドン);ならびにATA、ATC、およびAT
T(イソロイシンコドン)が挙げられるが、これらに制
限されない。他のアミノ酸残基は、複数のヌクレオチド
配列によって同様にコードされ得る。従って、本発明
は、遺伝子コードの縮重に起因して、コドン配列におい
て生物学的に単離される核酸とは異なる縮重核酸を包含
する。
本発明はまた、配列番号:3もしくは5、または配列番
号:3もしくは5の相補鎖の単離されたユニークフラグメ
ントを提供する。ユニークフラグメントは、より大きな
核酸についての「サイン」であるフラグメントである。
例えば、フラグメントは、その正確な配列が、上述で規
定されるSmad7核酸の外側の分子では見出されないこと
を保証するのに十分な長さである。ユニークフラグメン
トは、規定によって、配列番号:1および2によって記載
される配列のようなEST配列のみからなる配列を排除す
る。ユニーク配列は、このような核酸を同定するため
に、サザンブロットアッセイにおいてプローブとして使
用され得るか、またはPCRを用いるアッセイのような増
幅アッセイにおいて使用され得る。当業者に公知である
ように、200ヌクレオチド以上の大きなプローブは、サ
ザンブロットのようないくつかの使用において好まし
く、一方、より小さなプローブは、PCRのような使用に
ついて好ましい。ユニークフラグメントはまた、実施例
において実証されるように、抗体を生成する、もしくは
ポリペプチドのフラグメントの結合を決定するための、
またはイムノアッセイ成分を作製するための、融合タン
パクを生成するために使用され得る。同様に、ユニーク
フラグメントは、Smad7ポリペプチドの非融合フラグメ
ント(例えば、イムノアッセイにおいて、例えば、抗体
の作製において有用な本明細書中に開示されるN末端お
よびC末端フラグメント、ならびに、例えば、治療的用
途において、TGF−β、アクチビン、BMPレセプター、お
よび/またはSmad7ポリペプチドに結合する他のポリペ
プチドの競合的な結合パートナー)を生成するために用
いられ得る。ユニークフラグメントは、特に以下により
詳細に記載されるような治療的目的のために、Smad7核
酸およびポリペプチドの発現を阻害するためのアンチセ
ンス分子として、さらに使用され得る。
当業者によって認識されるように、ユニークフラグメ
ントのサイズは、遺伝子コードにおけるその保存性に依
存する。従って、配列番号:3および/または配列番号:
5、ならびにその相補鎖のいくつかの領域は、ユニーク
であるためにより長いセグメントを必要とし、一方、他
は短いセグメント、典型的には、12と32との間のヌクレ
オチド(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31およ
び32塩基長)のみを必要とする。実質的に、18又はそれ
以上のヌクレオチド長である配列番号:7もしくは配列番
号:8、またはその相補鎖の任意のセグメントは、ユニー
クである。当業者は、典型的に、非Smad7核酸から目的
の配列を選択的に区別する、ユニークフラグメントの能
力に基づいて、このような配列を選択するための方法に
十分に精通する。公知のデータベースにおける配列に対
する、フラグメントの配列の比較は、典型的には、必要
とされる全てであるが、インビボでの確証的なハイブリ
ダイゼーションおよび配列決定分析が行われ得る。
ユニークフラグメントは、機能的なフラグメントであ
り得る。本発明の核酸分子の機能的なフラグメントは、
より大きな核酸分子のいくつかの機能的な特性(例え
ば、機能的なポリペプチドをコードする特性、タンパク
に結合する特性、作動可能に連結される核酸の転写を調
節する特性など)を保持するフラグメントである。当業
者は容易に、機械的な実験のみを使用して、フラグメン
トが、核酸分子の機能的なフラグメントであるか否かを
決定するために、本明細書中で記載されるアッセイおよ
び当業者に周知のアッセイを使用して、容易に決定され
得る。
上記のように、本発明は、Smad7の量を減少させるこ
とによって、TGF−β、アクチビンおよび/またはBMPシ
グナル伝達を増加させるための、Smad7ポリペプチドを
コードする核酸分子に選択的に結合するアンチセンスオ
リゴヌクレオチドを含む。これは、実質的に所望の医学
的状態(ここでは、例えば、TGF−βシグナル伝達を増
加するために、Smad7の減少が所望される)において所
望される。
本明細書中で使用される、「アンチセンスオリゴヌク
レオチド」または「アンチセンス」とは、特定の遺伝子
を含むDNAに、またはその遺伝子のmRNA転写産物に、生
理学的な条件下でハイブリダイズし、それによって、そ
の遺伝子の転写および/またはそのmRNAの翻訳を阻害す
る、オリゴリボヌクレオチド、オリゴデオキシボヌクレ
オチド、修飾されたオリゴリボヌクレオチド、または修
飾されたオリゴデオキシボヌクレオチドであるオリゴヌ
クレオチドを示す。アンチセンス分子は、標的遺伝子ま
たは転写産物とのハイブリダイゼーションの際に、標的
遺伝子の転写または翻訳を妨げるように設計される。当
業者は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの正確な長
さ、およびその標的とのその相補性の程度が、選択され
る特異的な標的(標的の配列、およびその配列を含む特
定の塩基を含む)に依存することを認識する。アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドは、生理学的な条件下で標的と
選択的に結合するように(すなわち、生理学的な条件下
で標的細胞における任意の他の配列に対してよりも、標
的配列に対して、実質的にハイブリダイズするよう
に)、構築および配置されることが好ましい。配列番
号:3、5、もしくは9に基づいて、または対立遺伝子も
しくは相同なゲノムおよび/もしくはcDNAの配列に基づ
いて、当業者は、本発明に従う使用のために、適切な任
意の多くのアンチセンス分子を、容易に選択および合成
し得る。阻害について十分に選択的であり、および強力
であるために、このようなアンチセンスオリゴヌクレオ
チドは、標的に対して相補的である少なくとも10個の、
およびより好ましくは、少なくとも15個の保存的な塩基
を含むべきであるが、ある場合において、7塩基長程の
修飾されたオリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴ
ヌクレオチドとして成功裡に使用されている(Wagner
ら、Nature Biotechnol.14:840−844、1996)。最も好
ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、20〜30
塩基の相補的な配列を含む。遺伝子またはmRNA転写産物
の任意の領域に対してアンチセンスであるオリゴヌクレ
オチドが選択され得るが、好ましい態様では、アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドは、翻訳開始部位、転写開始部
位、またはプロモーター部位のようなN末端または5'上
流部位に対応する。さらに、3'非翻訳領域が標的化され
得る。mRNAスプライシング部位に対する標的化がまた、
当該分野において使用されてきたが、選択的なmRNAスプ
ライシングが生じる場合あまり好ましくないかもしれな
い。さらにアンチセンスは、好ましくはmRNA二次構造が
予測されない部位に対して(例えば、Sainioら、Cell M
ol.Nurobiol.14(5):439−457、1994)およびタンパ
クが結合することが予測されない部位に対して標的化さ
れる。最後に、配列番号:3、5、および9は、cDNA配列
を開示するが、当業者は、配列番号:3、5、または9の
cDNAに対応するゲノムDNAを容易に引き出し得る。従っ
て、本発明はまた、配列番号:3、5、および9に対する
ゲノムDNAに相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオ
チドを提供する。同様に、対立遺伝子または相同なcDNA
およびゲノムDNAに対するアンチセンスは、過度の実験
を伴わないで入手可能である。
実施態様の1つのセットにおいて、本発明のアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドは、「天然の」デオキシリボヌ
クレオチド、リボヌクレオチド、またはその任意の組合
せから構成され得る。すなわち、一方のネイティブなヌ
クレオチドの5'末端および他方のネイティブなヌクレオ
チドの3'末端は、天然の系におけるように、リン酸ジエ
ステルヌクレオチド間結合を介して、共有結合的に連結
され得る。これらのオリゴヌクレオチドは、手動で、ま
たは自動化合成器によって行われ得る当該分野で認識さ
れる方法によって作製され得る。これらはまた、ベクタ
ーによって組換え的に生成され得る。
しかし、好ましい態様では、本発明のアンチセンスオ
リゴヌクレオチドはまた、「修飾された」オリゴヌクレ
オチドを含み得る。すなわち、オリゴヌクレオチドは、
それらの標的にハイブリダイズすることを妨げないが、
それらの安定性もしくは標的化を増強するか、またはそ
うでなければそれらの治療的有効性を増強する、多くの
方法において修飾され得る。
本明細書中で使用される、用語「修飾されたオリゴヌ
クレオチド」とは、(1)そのヌクレオチドの少なくと
も2つが、合成ヌクレオシド間の結合(すなわち、一方
のヌクレオチドの5'末端と、他方のヌクレオチドの3'末
端との間のリン酸ジエステル結合以外の結合)を介して
共有結合的に連結され、および/または(2)核酸と通
常会合しない化学基が、オリゴヌクレオチドに共有結合
的に結合されているオリゴヌクレオチドを示す。好まし
い合成ヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート、ア
ルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、リン酸エ
ステル、アルキルホスホノチオエート、ホスホラミデー
ト、カルバメート、カルボネート、リン酸三エステル、
アセタミデート、カルボキシメチルエステル、およびペ
プチドである。
用語「修飾されたオリゴヌクレオチド」とは、共有結
合的に修飾された塩基および/または糖を有するオリゴ
ヌクレオチドをも包含する。例えば、修飾されたオリゴ
ヌクレオチドは、3'位でヒドロキシル基以外の、および
5'位でリン酸基以外の、低分子量の有機基に共有結合的
に結合される糖骨格を有するオリゴヌクレオチドを含
む。従って、修飾されたオリゴヌクレオチドは、2'−0
−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、修飾され
たオリゴヌクレオチドは、リボースの代わりにアラビノ
ースのような糖を含み得る。従って、本発明は、Smad7
ポリペプチドをコードする核酸に相補的であり、生理学
的な条件下で、これとハイブリダイズ可能である修飾さ
れたアンチセンス分子を、医薬的に許容される担体とと
もに含む医薬製剤を意図する。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物の一
部として投与され得る。このような医薬組成物は、当該
分野において公知である任意の標準的な生理学的におよ
び/または薬理学的に許容される担体と組合わせて、ア
ンチセンスオリゴヌクレオチドを含み得る。組成物は、
滅菌されるべきであり、および治療学的に有効な量のア
ンチセンスオリゴヌクレオチドを、患者への投与に適切
な重量または容量の単位において含むべきである。用語
「医薬的に許容される」とは、活性成分の生物学的活性
の有効性を妨げない非毒性の材料を意味する。用語「生
理学的に許容される」とは、細胞、細胞培養物、組織ま
たは生物体のような生物学的な系と適合性である非毒性
の物質をいう。担体の特徴は、投与の経路に依存する。
生理学的におよび医薬的に許容される担体としては、希
釈剤、腑形剤、塩、緩衝液、安定化剤、可溶化剤および
当該分野において周知である他の材料を含む。
本明細書中で使用される、「ベクター」とは、異なる
遺伝子環境間の輸送のために、または宿主細胞における
発現のために、所望の配列が、制限および連結によって
挿入され得る任意の多くの核酸であり得る。ベクター
は、典型的には、DNAから構成されるが、RNAベクターが
また利用可能である。ベクターとしては、プラスミド、
ファージミド、およびウイルスゲノムが挙げられるが、
これらに制限されない。クローニングベクターは、宿主
細胞において複製可能であるベクターであり、ならびに
ベクターが検出可能な様式において切断され、所望のDN
A配列が、新規な組み換えベクターが宿主において複製
するその能力を保持するように、連結され得る1又は2
以上のエンドヌクレアーゼ制限部位によって、さらに特
徴付けられる。プラスミドの場合には、所望の配列の複
製は、宿主細菌内で、プラスミドはコピー数において増
加するにつれて多数回生じ得るか、または宿主が有糸分
裂によって再生される前に、宿主当たり1回生じ得る。
ファージの場合には、複製は、溶解期の間に能動的に生
じ得るか、または溶原期の間に受動的に生じ得る。発現
ベクターは、所望のDNA配列が、調節配列に作動可能に
結合され、RNA転写産物として発現され得るように、所
望のDNA配列が制限および連結によって挿入され得るベ
クターである。ベクターはさらに、ベクターでトランス
フォームまたはトランスフェクトされたか、またはされ
ていない細胞の同定に使用するために適当である、1又
は2以上のマーカー配列を含み得る。マーカーとして
は、例えば、抗生物質または他の化合物に対する抵抗性
または感受性のいずれかを増加または減少するタンパク
をコードする遺伝子、活性が当該分野において公知の標
準的なアッセイによって検出可能である酵素(例えば、
β−ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)
をコードする遺伝子、およびトランスフォームまたはト
ランスフェクトされた細胞、宿主、コロニー、またはプ
ラークの表現型を視覚的に表現する遺伝子(例えば、緑
色蛍光タンパク)が挙げられる。好ましいベクターは、
自己複製できるもの、および作動可能に結合されるDNA
セグメントに存在する構造遺伝子産物の発現をできるも
のである 本明細書中で使用される、コード配列および調節配列
は、これらが、調節配列の影響および制御下でコード配
列の発現または転写を行うように共有結合的に連結され
る場合、「作動可能に」結合されるという。コード配列
が機能的なタンパクに翻訳されることが所望される場合
には、2つのDNA配列は、5'調節配列におけるプロモー
ターの誘導が、コード配列の転写を生じ、2つのDNA配
列間の結合の性質が、(1)フレームシフト変異を導入
しない、(2)プロモーター領域がコード配列の転写を
指示する能力を妨げない、または(3)タンパクに翻訳
される対応するRNA転写産物の能力を妨げない場合に、
作動可能に結合されるといわれる。従って、プロモータ
ー領域は、プロモーター領域が得られる転写産物が所望
のポリペプチドまたはタンパクに翻訳されるようにその
DNA配列の転写を達成し得る場合に、コード配列に作動
可能に結合し得る。
遺伝子発現のために必要とされる調節配列の正確な性
質は、種または細胞型の間で変化し得るが、一般に、必
要に応じて、それぞれ、転写および翻訳の開始と関連す
る5'非転写配列および5'非翻訳配列(例えば、TATAボッ
クス、キャップ配列、CATT配列など)を含む。特に、こ
のような5'非転写調節配列は、作動可能に結合される遺
伝子の転写制御についてのプロモーター配列を含むプロ
モーター領域を含む。調節配列はまた、所望であれば、
エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を含
み得る。本発明のベクターは、5'リーダー配列またはシ
グナル配列を必要に応じて含み得る。適切なベクターの
選択および設計は、当業者の能力および裁量の範囲内で
ある。
発現のための全ての必要なエレメントを含む発現ベク
ターは、市販されており、当業者に公知である。例え
ば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Man
ual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、
1989を参照されたい。細胞は、一般に、Smad7ポリペプ
チドまたはそのフラグメントもしくは変異体をコードす
る異種DNA(RNA)の、細胞への導入によって遺伝子操作
され得る。異種DNA(RNA)は、宿主細胞における異種DN
Aの発現を許容する転写エレメントの操作可能な条件下
に置かれる。
哺乳動物細胞におけるmRNA発現についての好ましい系
は、G418耐性(これは、安定にトランスフェクトされた
セルラインの選択を容易にする)を付与する遺伝子のよ
うな選択マーカー、およびヒトサイトメガロウイルス
(CMV)エンハンサー−プロモーター配列を含む、pRc/C
MV(Invitrogen、Carlsbad、CAから入手可能)のような
系である。さらに、霊長類またはイヌセルラインにおけ
る発現について適切であるのは、pCEP4ベクター(Invit
rogen)であり、これは、エプスタインバールウイルス
(EBV)の複製開始点を含み、多重コピー染色体外エレ
メントとしてプラスミドの維持を容易にする。別の発現
ベクターはpEF−BOSプラスミドであり、ポリペプチド伸
長因子1αのプロモーターを含み、これはインビトロで
の転写を効率的に刺激する。プラスミドは、Mishizuma
およびNagata(Nuc.Acids Res.18:5322、1990)に記載
され、トランスフェクション実験でのその使用は、例え
ば、Demoulin(Mol.Cell.Biol.16:4710−4716、1996)
によって開示される。なお別の好ましい発現ベクター
は、アデノウイルスであり、Stratford−Perricaudetに
よって記載され、これは、E1およびE3タンパクを欠損す
る(J.Clin.Invest.90:626−630、1992)。アデノ.P1A
組換え体としてのアデノウイルスの使用は、P1Aに対す
る免疫化のために、マウスでの皮膚内注射において、Wa
rnierらによって開示される(Int.J.Cancer、67:303−3
10、1996)。
本発明はまた、いわゆる発現キットを包含し、これ
は、当業者が、所望の発現ベクターを作製することを許
容する。このような発現キットは、少なくとも別々の部
分の以前に考察されたコード配列のそれぞれを含む。必
要とされる以前に記載された配列が含まれる限り、他の
成分が、所望に応じて添加され得る。
本発明はまた、細胞および動物におけるSmad7遺伝子
「ノックアウト」の構築を許容し、TGF−β、アクチビ
ン、および/またはBMPシグナルトランスダクションの
ある局面を研究するための材料を提供する。
本発明はまた、単離されたポリペプチドを提供し、こ
れは、配列番号:4および6、ならびに配列番号:4および
6のユニークフラグメント(配列番号:4および6のアミ
ノ酸2〜261を含むフラグメント、ならびに配列番号:4
および6のアミノ酸配列204〜426を含むフラグメントを
含む)のポリペプチドを含む。このようなポリペプチド
は、例えば、単独でまたは融合タンパクとして、免疫ア
ッセイの成分として、抗体を作製するために有用であ
る。
Smad7ポリペプチドのユニークフラグメントは、一般
に、核酸と関連して上述で考察されるようなユニークフ
ラグメントの特徴および特性を有する。当業者によって
認識されるように、ユニークフラグメントのサイズは、
フラグメントが、保存されるタンパクドメインの部分を
構成するか否かのような要因に依存する。従って、配列
番号:4および6のアミノ酸2〜261、並びに配列番号:4
および6のアミノ酸204〜426のいくつかの領域は、ユニ
ークであるためにより長いセグメントを必要とするが、
一方、他は、短いセグメントのみ(典型的に5と12との
間のアミノ酸(例えば、5、6、7、8、9、10、11お
よび12アミノ酸長)を必要とする。配列番号:4および6
のアミノ酸2〜261、ならびに配列番号:4および6のア
ミノ酸204〜426の、すなわち、10以上のアミノ酸長であ
る、任意のセグメントが、実質的にユニークである。
ポリペプチドのユニークフラグメントは、ポリペプチ
ドの異なる機能的な能力を保持するそれらのフラグメン
トである。ポリペプチドのユニークフラグメントにおい
て保持され得る機能的な能力としては、抗体との相互作
用、他のポリペプチド(例えばTβR−I)またはその
フラグメントとの相互作用、核酸またはタンパクの選択
的な結合、および酵素活性が挙げられる。例えば、本明
細書中で例示されるように、配列番号:4または6のアミ
ノ酸2〜261または204〜426を含むフラグメントのよう
な、N末端およびC末端Smad7フラグメントは、本発明
の方法(例えば、TGF−βシグナル伝達の阻害を含む)
において、完全長のSmad7の機能的な均等物として使用
され得る。他のSmadポリペプチドフラグメント(例え
ば、他のN末端またはC末端フラグメント)は、それら
の機能的な特性に従って選択され得る。例えば、当業者
は、Smad7フラグメントを組換え的に作製でき、そして
以下に例示される方法(例えば、TGF−βスーパーファ
ミリーレセプターへの結合、または経路特異的Smadポリ
ペプチドのリン酸化の阻害)に従ってそれらのフラグメ
ントを試験し得る。当業者は、典型的に、非ファミリー
メンバーから目的の配列を選択的に区別する、ユニーク
フラグメントの能力に基づいて、ユニークアミノ酸配列
を選択するための方法に十分に精通している。公知のデ
ータベースにおける配列に対するフラグメントの配列の
比較は、典型的には、必要とされる全てである。
本発明は、上記のSmad7ポリペプチドの変異体を包含
する。本明細書中で使用される、Smad7ポリペプチドの
「変異体」とは、Smad7ポリペプチドの1次アミノ酸配
列に対する1又は2以上の変異を含むポリペプチドであ
る。Smad7変異体を作製する修飾は、1)Smad7ポリペプ
チドの活性(例えば、TβR−Iへの結合)を減少また
は排除するために;2)Smad7ポリペプチドの特性(例え
ば、発現系におけるタンパクの安定性もしくはタンパク
−タンパク結合の安定性)を増強するために;または
3)Smad7ポリペプチドの新規な活性または特性(例え
ば、抗原性エピトープの付加または検出可能な部分の添
加)を提供するために、Smad7ポリペプチドに対してな
され得る。Smad7ポリペプチドに対する修飾は、典型的
に、Smad7ポリペプチドをコードする核酸に対してなさ
れ、欠失、点変異、短縮、アミノ酸置換、およびアミノ
酸または非アミノ酸部分の付加を含み得る。あるいは修
飾は、切断、リンカー分子の添加、検出可能な部分(例
えば、ビオチン)の付加、脂肪酸の付加などによって、
ポリペプチドに直接的になされ得る。修飾はまた、Smad
7アミノ酸配列の全てまたは部分を含む融合タンパクを
包含する。
一般に、変異体は、その生理学的活性に関連しないポ
リペプチドの特徴を変化するように特異的に修飾される
Smad7ポリペプチドを含む。例えば、システイン残基
は、非所望のジスルフィド結合を防止するために置換ま
たは欠失され得る。同様に、あるアミノ酸は、発現系に
おけるプロテアーゼによるタンパク分解を排除すること
によって、Smad7ポリペプチドの発現を増強するように
変化され得る(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在す
る酵母発現系における2塩基性アミノ酸残基)。
Smad7ポリペプチドをコードする核酸の改変は、好ま
しくは、コード配列のアミノ酸リーディングフレームを
保持し、そして好ましくは、二次構造(例えば、ヘアピ
ンまたはループ、これは、変異体ポリペプチドの発現に
有害であり得る)を形成する、ハイブリダイズしがちな
核酸の領域を作らない。
変異は、アミノ酸置換を選択することによって、また
はポリペプチドをコードする核酸において選択される部
位のランダムな変異誘発によって、なされ得る。次い
で、変異体ポリペプチドは、発現され、そしてどの変異
が、所望の特性を有する変異体ポリペプチドを提供する
かを決定するために、1又は2以上の活性について試験
される。ポリペプチドのアミノ酸配列としてサイレント
であるが、特定の宿主における翻訳について好ましいコ
ドンを提供するさらなる変異が、変異体(または非変異
体Smad7ポリペプチド)になされ得る。例えば、E.Coli
における核酸の翻訳について好ましいコドンは、当業者
に周知である。なお他の変異が、ポリペプチドの発現を
増強するために、Smad7遺伝子またはcDNAクローンの非
コード配列に対してなされ得る。Smad7ポリペプチドの
変異体の活性は、変異体Smad7ポリペプチドをコードす
る遺伝子を、細菌または哺乳動物発現ベクターにクロー
ニングし、ベクターを適切な宿主細胞に導入し、変異体
Smad7ポリペプチドを発現し、そして本明細書中に開示
されるようなSmad7ポリペプチドの機能的な能力につい
て試験することにより試験され得る。例えば、変異体Sm
ad7ポリペプチドは、実施例において開示されるよう
に、TβR−I、アクチビン、および/またはBMPレセ
プターシグナル伝達活性の阻害について、または本明細
書中にまた開示されるように、Smad1、Smad2、Smad3、
および/もしくはSmad5リン酸化の阻害について、試験
され得る。他の変異体ポリペプチドの作製は、当業者に
公知であるように、他の活性の試験に好都合であり得
る。
当業者はまた、保存的なアミノ酸置換が、上述のポリ
ペプチドの機能的に均等な変異体(すなわち、変異体
は、Smad7ポリペプチドの機能的な能力を保持する)を
提供するためにSmad7ポリペプチドにおいてなされ得
る。本明細書中で使用される、「保存的なアミノ酸置
換」とは、アミノ酸置換がなされるタンパクの相対的な
電荷およびサイズの特徴を変化させないアミノ酸の置換
をいう。変異体は、当業者に公知のポリペプチド配列を
変化するための方法(例えば、このような方法を編集す
る参考文献(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory
Manual、J.Sambrookら編、第2版、Cold Spring Harbo
r Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、
1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biolog
y、F.M.Ausubelら編、Jhon Wiley & Sons,Inc.、New Y
ork)に見出される)に従って作製され得る。Smad7ポリ
ペプチドの例示的で機能的に均等な変異体は、配列番
号:4または6の保存的なアミノ酸置換を含む。アミノ酸
の保存的な置換は、以下の群内でのアミノ酸間でなされ
る置換を含む:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;
(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、
N;および(g)E、D。
Smad7ポリペプチドの機能的に均等な変異体を生成す
るためのSmad7ポリペプチドのアミノ酸配列における保
存的なアミノ酸置換は、典型的には、Smad7ポリペプチ
ドをコードする核酸(配列番号:3および5)の変化によ
ってなされる。このような置換は、当業者に公知の多様
な方法によってなされ得る。例えば、アミノ酸置換は、
Kunkel(Kunkel、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.82:488−49
2、1985)の方法によるPCR特異的変異、部位特異的変異
誘発によって、またはSmad7ポリペプチドをコードする
遺伝子の化学合成によって、なされ得る。アミノ酸置換
が、Smad7ポリペプチドの小さなユニークフラグメント
(TβR−I結合部位ペプチド)になされる場合、置換
は、ペプチドを直接的に合成することによって、なされ
得る。Smad7ポリペプチドの機能的に均等なフラグメン
トの活性は、変化されたSmad7ポリペプチドをコードす
る遺伝子を、細菌または哺乳動物発現ベクターにクロー
ニングし、適切な宿主にベクターを導入し、変化された
Smad7ポリペプチドを発現し、および本明細書中に開示
されるようなSmad7ポリペプチドの機能的な能力につい
て試験することによって、試験され得る。化学的に合成
されるペプチドは、機能について(例えば、TβR−
I、ActR−I B、および/またはBMPR−I Bへの結合につ
いて)、直接的に試験され得る。
本明細書中に記載されるように、本発明は多くの使用
を有し、そのうちのいくつかは、本明細書中の他の箇所
に記載される。本発明は、Smad7タンパク分子(配列番
号:4および6)の単離を許容する。当業者に周知の多様
な方法論は、単離されたSmad7分子を得るために利用さ
れ得る。ポリペプチドは、クロマトグラフィー手段また
は免疫学的認識によって、ポリペプチドを天然に生成す
る細胞から精製され得る。あるいは、発現ベクターは、
ポリペプチドの生成を引き起こすために細胞に導入され
得る。別の方法において、mRNA転写産物は、コードされ
るポリペプチドの生成を引き起こすために、細胞にマイ
クロインジェクションされ得るか、または他の方法で、
導入され得る。網状赤血球溶解物系のような無細胞抽出
物におけるmRNAの翻訳はまた、ポリペプチドを生成する
ために使用され得る。当業者はまた、Smad7ポリペプチ
ドを単離するために、公知の方法に容易に従い得る。こ
れらとしては、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ
排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィ
ー、および免疫アフィニティークロマトグラフィーが挙
げられるが、これらに制限されない。
Smad7遺伝子の単離はまた、当業者が、Smad7の発現に
よって特徴付けられる異常を診断することを可能にす
る。これらの方法は、Smad7遺伝子および/またはそれ
に由来するSmad7ポリペプチドの発現を決定する工程を
包含する。前者の状況において、このような決定は、任
意の標準的な核酸決定アッセイ(以下の実施例において
例示されるようなポリメラーゼ連鎖反応、または標識化
ハイブリダイゼーションプローブでのアッセイを含む)
を介して、行われ得る。
本発明はまた、TβR−I、ActR−I B、およびBMRP
−I Bのようなタンパクを、本明細書中に開示されるよ
うにSmad7に対するこのようなタンパクの結合によっ
て、単離することを可能にする。この結合の同定はま
た、当業者が、他のタンパク(例えば、TβR−I)へ
のSmad7の結合をブロックすること、ならびにTβR−
Iレセプターへの他のSmad(例えば、Smad2またはSmad
3)の結合をブロックすることを許容する。タンパクの
結合は、結合をブロックするのに十分な量において、Sm
ad7 TβR−I結合部位を含むポリペプチドを、タンパ
クが結合する生物学的な系(例えば細胞)に導入するこ
とによって、達成され得る。Smad7におけるTβR−I
ドメイン結合部位の同定はまた、当業者が、標準的なDN
A技術を使用して、TβR−I、ActR−I B、およびBMPR
−I Bのようなタンパクに結合し得る、修飾されたタン
パクを調製することを可能にする。例えば、あるタンパ
クを、TGF−βレセプター複合体に対して標的すること
が所望される場合、タンパクとSmad7 TβR−I結合部
位との融合ポリペプチドを作製し得る。他の利用につい
ても本明細書中でさらに記載する。
本発明はさらに、細胞におけるTGF−βファミリーシ
グナルトランスダクションを減少または増加するための
方法を提供する。このような方法は、TGF−βシグナル
トランスダクションを変化するために、例えば、異常な
TGF−βシグナルトランスダクションをブロックする、
または欠乏したTGF−βシグナルトランスダクションを
増加する可能性について化合物を試験する、インビトロ
で有用である。インビボで、このような方法は、増殖を
調節するために、例えば、ガンおよび線維症を治療する
ために有用である。例えば、細胞においてドミナントネ
ガティブなSmad7ポリペプチドまたはSmad7アンチセンス
オリゴヌクレオチドを導入することによって、細胞にお
けるTGF−βシグナルトランスダクションを増加するこ
とは、TGF−βシグナルトランスダクションの推定のイ
ンヒビターの効果を試験するためのモデル系を提供する
ために使用され得る。このような方法はまた、過剰なま
たは欠乏性のTGF−βシグナルトランスダクションから
生じる状態の治療において有用である。TGF−βシグナ
ルトランスダクションは、当業者に周知の多様な方法
(例えば、実施例に記載されるレポーター系)によって
推定され得る。Smad7活性の種々の調節体は、本明細書
中に開示される方法を使用して、TGF−βシグナル伝達
に対する効果についてスクリーニングされ得る。当業者
は先ず、Smad7活性(例えば、TGF−βシグナル伝達活
性)の調節を決定し得、次いで、標的細胞または対象
に、このような調節体を適用して標的細胞または対象に
対する効果を評価し得る。例えば、ガンの治療に有用な
Smad7の調節体をスクリーニングする場合、培養中の細
胞が、Smad7の調節体と接触され、そして細胞の増殖ま
たは病巣形成の増加または減少が、標準的な手順に従っ
て決定され得る。Smad7活性調節体は、多くの細胞型に
おいて類似の方法によって、他のTGF−βシグナル伝達
の下流効果に対するそれらの効果について評価され得
る。上述の調節体はまた、アクチビンおよびBMP複合体
を介するシグナル伝達に適用される。
本発明はまた、ある態様において、配列番号:4および
/または6に由来する「ドミナントネガティブな」ポリ
ペプチドを提供する。ドミナントネガティブなポリペプ
チドは、タンパクの不活性な変異体であり、これは、細
胞機構との相互作用によって、細胞機構との相互作用か
らその活性なタンパクを置換えるか、または活性タンパ
クと競合し、それによって活性なタンパクの効果を減少
する。例えば、リガンドを結合するが、リガンドの結合
に応答してシグナルを伝達しないドミナントネガティブ
なレセプターは、リガンドの発現の生物学的な効果を減
少し得る。同様に、標的タンパクと通常相互作用する
が、標的タンパクをリン酸化しないドミナントネガティ
ブな触媒的に不活性なキナーゼは、細胞性のシグナルに
応答する標的タンパクのリン酸化を減少し得る。同様
に、遺伝子の制御領域におけるプロモーター部位に結合
するが、遺伝子転写を増加しないドミナントネガティブ
な転写因子は、転写を増加することなく、プロモーター
結合部位を占有することによって、通常の転写因子の効
果を減少し得る。
細胞におけるドミナントネガティブなポリペプチドの
発現の最終結果は、活性なタンパクの機能の減少であ
る。当業者は、タンパクのドミナントネガティブな変異
体についての能力を評価でき、標準的な変異誘発技術を
使用して、1又は2以上のドミナントネガティブな変異
体ポリペプチドを作製し得る。例えば、Smad7ポリペプ
チドの本明細書に含まれる技術を考慮して、当業者は、
部位特異的変異誘発、変異誘発の探知、部分的な遺伝子
欠失、または短縮などによってSmad7ポリペプチドの配
列を修飾し得る。例えば、米国特許第5,580,723号、お
よびSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Man
ual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、
1989を参照されたい。次いで、当業者は、選択された活
性の減少(例えば、Smad7のTGF−βシグナル伝達活性の
減少)について、および/またはこのような活性の保持
について、変異誘発ポリペプチドの集団を試験し得る。
タンパクのドミナントネガティブな変異体を作製および
試験するための他の類似の方法は、当業者に明白であ
る。
ドミナントネガティブなSmadタンパクは、TβR−
I、アクチビンレセプター、またはBMPレセプター結合
部位の部分は、それぞれ、TGF−β、アクチビン、また
はBMPレセプター複合体とのSmad7の相互作用を減少また
は排除するために変異または欠失されている変異体を含
む。他の例は、Smad2および/またはSmad3のリン酸化を
阻害する能力が減少されるSmad7変異体を含む。当業者
は、C末端ドメインにおいて(例えば、MH2ドメインに
おいて)、またはN末端ドメインにおいて(例えば、グ
リシン/グルタミン酸残基リッチ領域において)、変異
または欠失を保有するSmad7変異体を容易に作成および
試験し得る。
本発明はまた、薬剤(例えば、Smad7ポリペプチド
に、およびSmad7ポリペプチドと結合パートナー(例え
ば、TβR−I、ActR−I B、およびBMPR−I B)との複
合体に、結合するポリペプチド)を含む。このような結
合剤は、例えば、Smad7ポリペプチド、およびSmad7ポリ
ペプチドとその結合パートナーとの複合体の存在または
不在を検出するためのスクリーニングアッセイにおい
て、ならびにSmad7ポリペプチド、およびSmad7ポリペプ
チドとその結合パートナーとの複合体を単離するための
精製プロトコルにおいて、使用され得る。このような薬
剤はまた、Smad7ポリペプチドまたはその結合パートナ
ーのネイティブな活性を、例えば、このようなポリペプ
チド、またはそれらの結合パートナーもしくはその両方
に結合することよって、阻害するために使用され得る。
それゆえ、本発明は、例えば、Smad7ポリペプチドに
選択的に結合する能力を有する抗体または抗体のフラグ
メントであり得るペプチド結合剤に関する。抗体は、従
来の方法論に従って作製される、ポリクローナル抗体お
よびモノクローナル抗体を含む。
有意に、当該分野において周知であるように、抗体分
子の小部分の、パラトープのみが、そのエピトープに対
する抗体の結合に関与する(例えば、一般に、Clark、
W.R.(1986)The Experimental Foundations of Modern
immunology Wiley & Sons,Inc.、New York;Roitt,I.
(1991)Essential Immunology、第7版、Blackwell Sc
ientific Publications、Oxfordを参照されたい)。pF
c'およびFc領域は、例えば、補体カスケードのエフェク
ターであるが、抗原結合に関与しない。pFc'領域が、酵
素学的に切断されたか、またはpFc'領域を伴わずに生成
された抗体は、F(ab')フラグメントと称され、イ
ンタクトな抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様
に、Fc領域が酵素学的に切断されたか、またはFc領域を
伴わずに生成された抗体は、Fabフラグメントと称さ
れ、インタクトな抗体分子の抗原結合部位の1つを保持
する。さらに進めて、Fabフラグメントは、共有結合さ
れる抗体L鎖と、Fdと記される抗体H鎖の部分からな
る。Fdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定基であ
り(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変化するこ
となく、10個までの異なるL鎖と会合され得る)、およ
びFdフラグメントは、単離におけるエピトープ結合能力
を保持する。
抗体の抗原結合部分内で、当該分野において周知であ
るように、相補性決定領域(CDR)(これは、抗原のエ
ピトープと直接的に相互作用する)、およびフレームワ
ーク領域(FR)(これは、パラトープの三次構造を維持
する)が存在する(一般には、Clark、1986;Roitt、199
1を参照されたい)。IgG免疫グロブリンのH鎖Fdフラグ
メントおよびL鎖の両方において、3つの相補性決定領
域(CDR1からCDR3)によってそれぞれ分けられる、4つ
のフレームワーク領域(FR1からFR4)が存在する。CDR
は、詳細にはCDR3領域は、およびより詳細には、H鎖CD
R3は、主に、抗体特異性を担う。
哺乳動物抗体の非CDR領域は、元来の抗体のエピトー
プ特異性を保持しながら、同種特異的または異種特異的
な抗体の類似の領域で置換えられ得ることが当該技術で
確立されている。これは、機能的な抗体を生成するため
に、非ヒトCDRがヒトFRおよび/またはFc/pFc'領域に共
有結合的に接合される「ヒト化」抗体の開発および使用
において、最も明らかに示される。従って、例えば、PC
T国際特許公開公報第WO 92/04381は、マウスFR領域の少
なくとも部分が、ヒト起源のFR領域によって置換えられ
ているヒト化マウスRSV抗体の生成および使用を教示す
る。このような抗体は、抗体結合能力を有するインタク
トな抗体のフラグメントを含み、通常、「キメラ」抗体
と呼ばれる。
従って、当業者に明らかであるように、本発明はま
た、F(ab')、Fab、Fv、およびFdフラグメント;Fc
および/またはFRおよび/またはCDR1および/またはCD
R2および/またはL鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非
ヒト配列によって置換えられているキメラ抗体;FRおよ
び/またはCDR1および/またはCDR2および/またはL鎖
CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒト配列によって置換
えられているキメラF(ab')フラグメント抗体;FRお
よび/またはCDR1および/またはCDR2および/またはL
鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒト配列によって置
換えられているキメラFabフラグメント抗体;ならびにF
Rおよび/またはCDR1および/またはCDR2領域が、相同
なヒトまたは非ヒト配列によって置換えられているキメ
ラFdフラグメント抗体に対して提供する。本発明はいわ
ゆる単鎖抗体をも含む。
従って、本発明は、Smad7ポリペプチド、およびSmad7
ポリペプチドと、それらの結合パートナーとの両方の複
合体に特異的に結合する、多数のサイズおよび型のポリ
ペプチドを含む。これらのポリペプチドはまた、抗体技
術以外の供給源に由来し得る。例えば、このようなポリ
ペプチド結合剤は、溶液中に、固定化形態において、ま
たはファージディスプレイライブラリーとして容易に作
成され得る変性ペプチドライブラリーによって提供され
得る。コンビナトリアルライブラリーがまた、1つ以上
のアミノ酸を含有するペプチドから合成され得る。ライ
ブラリーはさらに、ペプチドおよび非ペプチド合成部分
から合成され得る。
ファージディスプレイは、本発明に従って有用な結合
ペプチドを同定するにおいて特に有効であり得る。要す
るに、従来の手順を使用して4〜約80個のアミノ酸残基
のインサートを提示するファージライブラリー(例え
ば、m13、fd、またはλファージを使用して)を作製す
る。インサートは、例えば、完全に変性のまたは偏向さ
れるアレイを示す。次いで、Smad7ポリペプチドに結合
するインサートを保有するファージを選択し得る。この
プロセスは、Smad7ポリペプチドに結合するファージ
の、数サイクルの再選択をを介して反復され得る。反復
することにより、特定の配列を保有するファージの富化
となる。DNA配列分析が、発現されるポリペプチドの配
列を同定するために行われ得る。Smad7ポリペプチドに
結合する配列の最小線状部分が、決定され得る。最小線
状の一部または全体及びその上流または下流の1又は2
以上のさらなる変性残基を含有するインサートを含む、
偏向化ライブラリーを使用してこの手順を反復し得る。
酵母ツーハイブリッドスクリーニング法はまた、Smad7
ポリペプチドに結合するポリペプチドを同定するために
使用され得る。従って、本発明のSmad7ポリペプチド、
またはそのフラグメントは、ペプチドライブラリー(フ
ァージディスプレイライブラリーを含む)をスクリーニ
ングするために、本発明のSmad7ポリペプチドのペプチ
ド結合パートナーを同定および選択するために、使用さ
れ得る。このような分子は、記載されるように、スクリ
ーニングアッセイのために、精製プロトコルのために、
Smad7の機能化を直接的に妨げるために、および当業者
に明らかである他の目的のために、使用され得る。
Smad7ポリペプチド、またはそのフラグメントはま
た、それらのネイティブな結合パートナー(例えば、TG
F−β、アクチビン、またはBMPレセプター複合体を含
む)を単離するために使用され得る。このような結合パ
ートナーの単離は、周知の方法に従って行われ得る。例
えば、単離されたSmad7ポリペプチドは、基質(例え
ば、ポリスチレンビーズのようなクロマトグラフィー媒
体、またはフィルター)に付着され得、次いでTGF−β
レセプター複合体を含むことが予測される溶液は、基質
に適応され得る。Smad7ポリペプチドと相互作用し得るT
GF−βレセプター複合体が、溶液中に存在する場合、こ
れは、基質結合化Smad7ポリペプチドに結合する。次い
で、TGF−βレセプター複合体が、単離され得る。Smad7
についての結合パートナーである他のタンパク(例え
ば、他のSmad、アクチビンレセプター複合体、およびBM
Pレセプター複合体)は、過度の実験を伴わないで、類
似の方法によって単離され得る。
本発明は、発現ベクター、ならびにトランスフェクト
宿主細胞およびセルライン(原核生物(例えば、E.col
i)、または真核生物(例えば、CHO細胞、COS細胞、酵
母発現系、および昆虫細胞における組換えバキュロウイ
ルス発現)におけるSmad7 cDNA配列の使用に関する。特
に有用なものは、哺乳動物細胞(例えば、ヒト、マウ
ス、ハムスター、ブタ、ヤギ、霊長類など)である。こ
れらは、広範に多様な組織型であり、一次細胞およびセ
ルラインを含む。特定の例としては、ケラチノサイト、
抹消血白血病、骨髄幹細胞、胚幹細胞を含む。発現ベク
ターは、適切な配列(すなわち、前出に記載されるそれ
らの核酸)が、プロモーターに作動可能に連結されるこ
とを必要とする。
本発明はまた、トランスジェニック非ヒト動物に関す
る。本明細書で使用される、「トランスジェニック非ヒ
ト動物」とは、生殖系列細胞および/または体細胞に組
込まれる1又は2以上の外来性核酸分子を有する非ヒト
動物を含む。従って、トランスジェニック動物は、相同
組換えによるホモ接合体もしくはヘテロ接合体破壊を有
する「ノックアウト」動物、エピソームにもしくは染色
体に組込まれる発現ベクターを有する動物などを含む。
ノックアウト動物は、当該技術において周知であるよう
に、胚幹細胞を使用して相同組換えによって作製され得
る。組換えは、cre/lox系、または当業者に公知の他の
リコンビナーゼ系によって促進され得る。ある態様で
は、リコンビナーゼ系自身は、例えば、ある組織または
細胞型において、ある胚または胚後の発生段階で、条件
的に発現を増加または減少する化合物の添加によって、
誘導的に発現される。一般に、このような系において使
用される条件的発現ベクターは、所望の遺伝子発現パタ
ーン(一時的または局所的)を付与する多様なプロモー
ターを使用する。条件的なプロモーターはまた、調節さ
れたまたは条件的な様式において、Smad7の発現を増加
するために、Smad7核酸分子に作動可能に連結され得
る。Smad7活性または発現のトランスアクティングネガ
ティブレギュレーターはまた、上記のように、条件的な
プロモーターに作動可能に連結され得る。このようなト
ランスアクティングレギュレーターとしては、アンチセ
ンスSmad7核酸分子、ドミナントネガティブなSmad7分子
をコードする核酸、Smad7核酸に特異的なリボザイム分
子などが挙げられる。トランスジェニック非ヒト動物
は、Smad7の発現の増減によって特徴付けられる症状の
診断法および治療薬の、生化学的なまたは生理学的な効
果を試験する実験において有用である。他の使用は、当
業者に明らかである。
本発明はまた、遺伝子治療を意図する。エクスビボ遺
伝子治療を行うための手順は、米国特許第5,399,346号
において、およびこの特許の経緯において提出された証
拠文書において(これらの全ては、公式に利用可能な書
類である)、概説される。要するに、これは、遺伝子の
欠陥コピーを含む対象の細胞に、遺伝子の機能的なコピ
ーをインビトロで導入すること、および対象に遺伝子操
作された細胞を戻すことを含む。遺伝子の機能的なコピ
ーは、遺伝子操作された細胞における遺伝子の発現を許
容する調節エレメントの作動可能な制御下にある。多数
のトランスフェクションおよび形質導入技術、ならびに
適切な発現ベクターが、当業者に周知であり、そのいく
つかは、PCT出願WO95/00654に記載されている。アデノ
ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスのような
ベクター、および標的化リポソームを使用するインビボ
遺伝子治療がまた、本発明により意図される。
本発明はさらに、Smad7またはSmad7フラグメントの調
節可能な細胞機能のレベルで活性な、薬理学的薬剤また
は薬剤についてのリード化合物を同定する、効率的な方
法を提供する。特に、このような機能は、TGF−β、ア
クチビンおよび/またはBMPシグナルトランスダクショ
ンおよびTGF−β、アクチビンおよび/またはBMPレセプ
ター−Smad7タンパク複合体の形成を含む。一般に、ス
クリーニング法は、TGF−βレセプター−Smad7結合のよ
うな、Smad7活性を妨げる化合物についてアッセイする
工程を包含するが、Smad7活性を増強する化合物はま
た、スクリーニング法を使用してアッセイされ得る。こ
のような方法は、化合物の自動化された、高処理量のス
クリーニングに適合可能である。スクリーニング法によ
って検出される薬理学的薬剤についての標的治療指標
は、標的細胞機能が、Smad7ポリペプチドまたはそのフ
ラグメントと、1つ以上の天然のSmad7細胞内結合標的
(例えば、TGF−βレセプター)とを含有する複合体の
形成の変化による調節に供される点においてのみ制限さ
れる。標的指標は、レセプター−リガンド結合後の、TG
F−β、アクチビンおよび/またはBMPシグナルトランス
ダクションによって調節される細胞プロセスを含む。
薬理学的薬剤についての広範に多様なアッセイが提供
され、標識化インビトロタンパク−タンパク結合アッセ
イ、電気泳動移動度シフトアッセイ、イムノアッセイ、
細胞ベースのアッセイ(例えば、ツー−またはスリー−
ハイブリッドスクリーニング)、発現アッセイなどを含
む。例えば、スリー−ハイブリッドスクリーニングは、
特異的な細胞内標的へのSmad7またはSmad7フラグメント
の細胞内結合に対するトランスフェクトされた核酸分子
の効果を迅速に実験するために使用される。トランスフ
ェクトされた核酸は、例えば、コンビナトリアルペプチ
ドライブラリーまたはアンチセンス部分をコードし得
る。このようなアッセイについての従来の薬剤、例えば
GAL4融合タンパクは、当該分野において周知である。例
示的な細胞ベースのアッセイは、GAL4 DNA結合ドメイン
に融合されるSmad7をコードする核酸、およびVP16のよ
うな転写活性化ドメインに融合されるSmad7と相互作用
するTGF−βレセプタードメインをコードする核酸で、
細胞をトランスフェクトする工程を包含する。細胞はま
た、遺伝子発現調節領域(例えば、1つ以上のGAL4結合
部位)に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含
む。レポーター遺伝子転写の活性化は、GAL4 DNA結合ド
メインおよびV16転写活性化ドメインが、近位になり、
レポーター遺伝子の転写を可能にするように、Smad7お
よびTGF−βレセプター融合ポリペプチドが、結合する
場合に生じる。次いで、Smad7ポリペプチド仲介性の細
胞機能を調節する薬剤が、レポーター遺伝子の発現の変
化を介して検出される。レポーター遺伝子の発現の変化
を決定するための方法は、当該技術において公知であ
る。
この方法で使用されるSmad7フラグメントは、トラン
スフェクトされた核酸によって生成されない場合、単離
されたポリペプチドとしてアッセイ混合物に添加され
る。Smad7ポリペプチドは、好ましくは、組換え的に生
成されるが、このようなポリペプチドは、生物学的抽出
物から単離され得る。組換え的に生成されるSmad7ポリ
ペプチドは、Smad7タンパクと他のポリペプチド(例え
ば、タンパク−タンパク結合、配列特異的核酸結合を提
供もしくは増強し得る(例えば、GAL4)、アッセイ条件
下でのSmad7ポリペプチドの安定性を増強し得る、また
は検出可能な部分(例えば、以下の実施例において提供
されるような、緑色蛍光タンパクまたはFlagエピトー
プ)を提供し得るポリペプチド)との融合物を含むキメ
ラタンパクを含む。
アッセイ混合物は、Smad7と相互作用し得るTGF−βレ
セプターまたはそのフラグメントのような、天然の細胞
内Smad7結合標的から構成される。天然のSmad7結合標的
が使用され得るが、Smad7結合標的の部分(例えば、ペ
プチドもしくは核酸フラグメント)またはアナログ(す
なわち、アッセイの目的のために天然の結合標的のSmad
7結合特性を模倣する薬剤)を、この部分またはアナロ
グが、アッセイにおいて測定可能な、Smad7フラグメン
トに対する結合親和性および結合性を提供する限り、使
用することが非常に好ましい。
アッセイ混合物はまた、候補薬理学的薬剤を含む。典
型的には、複数のアッセイ混合物が、種々の濃度に対す
る異なる応答を得るために、異なる薬剤濃度を用いて、
平行してアッセイされる。典型的には、これらの濃度の
うちの1つが、ネガティブなコントロールとして(すな
わち、薬剤の0濃度で、またはアッセイ検出の限界を下
回る薬剤の濃度で)、作用する。候補薬剤は、多数の化
学クラスを含むが典型的には、これらは有機化合物であ
る。好ましくは、候補薬理学的薬剤は、小有機化合物
(すなわち、50を超えて、約2500未満の、好ましくは、
約1000未満の、およびより好ましくは、約500未満の分
子量を有する化合物)である。候補薬剤は、ポリペプチ
ドおよび/または核酸との構造学的な相互作用に必要な
官能基を含み、典型的には、少なくともアミン、カルボ
ニル、ヒドロキシル、またはカルボキシ基、好ましく
は、少なくとも2つの官能基および好ましくは少なくと
も3つの官能基を含む。候補薬剤は、環式炭素もしくは
ヘテロ環式炭素、および/または芳香族もしくは1又は
2以上の上記の官能基で置換された多芳香族構造を含み
得る。候補薬剤また、ペプチド、糖、脂肪酸、ステロー
ル、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上述の誘導
体もしくは構造学的なアナログ、またはそれらの組合わ
せなどのような生体分子であり得る。薬剤が核酸である
場合、薬剤は、典型的には、DNAまたはRNA分子である
が、本明細書中で規定されるように、修飾された核酸が
また意図される。
候補薬剤は、合成または天然の化合物のライブラリー
を含む広範に多様な供給源から得られる。例えば、多数
の手段が、広範に多様な有機化合物および生体分子のラ
ンダムなおよび指向性の合成のために利用可能であり、
ランダム化オリゴヌクレオチド、合成有機コンビナトリ
アルライブラリー、ランダムなペプチドのファージディ
スプレイライブラリーなどの発現を含む。あるいは細
菌、真菌、植物、および動物抽出物の形態における天然
の化合物のライブラリーが利用可能であるか、または容
易に作成される。さらに、天然の、および合成的に作製
されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物
理学的、および生化学的手段を介して容易に修飾され得
る。さらに、公知の薬理学的薬剤は、薬剤の構造学的ア
ナログを作製するために、指向性またはランダムな化学
修飾(例えばアシル化、アルキル化、エステル化、アミ
ド化(amidification)など)に供され得る。
多様な他の薬剤がまた、混合物中に含まれ得る。これ
らとしては、薬剤(例えば、塩、緩衝液、中性タンパク
(例えば、アルブミン)、洗浄剤など)が挙げられ、至
適なタンパク−タンパクおよび/またはタンパク−核酸
結合を促進するために使用され得る。このような薬剤は
また、薬剤成分の非特異的なまたはバックグラウンド相
互作用を減少し得る。アッセイの効力を改善し得る他の
薬剤(例えば、プロテアーゼ、インヒビター、ヌクレア
ーゼインヒビター、殺菌剤など)がまた、使用され得
る。
上述のアッセイ材料の混合物は、候補薬理学的薬剤の
存在がなければ、Smad7ポリペプチドが、細胞結合標
的、その部分、またはそのアナログを特異的に結合する
条件下で、インキュベートされる。成分の添加の順番、
インキュベーション温度、インキュベーションの時間、
およびアッセイの他のパラメーターは、容易に決定され
得る。このような実験は、アッセイのパラメーターの至
適化を含むのみで、アッセイの基本的な組成は含まな
い。典型的に、インキュベーション温度は、4℃と40℃
との間である。インキュベーション時間は、好ましく
は、迅速で、高処理量のスクリーニングを促進するため
に最小化され、典型的には、0.1から10時間の間であ
る。
インキュベーション後、Smad7ポリペプチドと、1又
は2以上の結合標的との特異的な結合の存在または不在
が、使用者に利用可能な任意の簡便な方法によって検出
される。無細胞結合型アッセイについて、分離工程がし
ばしば、未結合の成分から結合成分を分離するために使
用される。分離工程は、多様な方法によって達成され得
る。簡便には、少なくとも1つの成分が、固相基質上に
固定化され、そこから未結合の成分が容易に分離され得
る。固相基質は、広範に多様な材料から、広範に多様な
形状(例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビ
ーズ、ディップスティック、樹脂、粒子など)におい
て、作製され得る。好ましくは、基質は、最大のシグナ
ル対ノイズの比率に対して、主にバックグラウンド結合
を最小にするために、ならびに分離および費用の容易さ
について、選択される。
分離は、例えば、貯留槽からのビーズまたはディスク
チップの除去によって、マイクロタイタープレートウェ
ルのような貯留槽を、空にするか、または希釈すること
によって、ビーズ、粒子、クロマトグラフィーカラム、
またはフィルターを、洗浄溶液または溶媒でリンスする
ことによって、達成され得る。分離工程は、好ましく
は、複数のリンスおよび洗浄を含む。例えば、固体基質
がマイクロタータープレートである場合、ウェルは、洗
浄溶液で数回洗浄され得、洗浄溶液は、典型的に特異的
な結合において関わらないインキュベーション混合物の
成分(例えば、塩、緩衝液、洗浄剤、非特異的タンパク
など)を含む。固体基質が磁性ビーズである場合、ビー
ズは、洗浄溶液で1回以上洗浄され、そして磁石を使用
して単離され得る。
検出は、細胞ベースのアッセイ(例えば、ツー−また
はスリー−ハイブリッドスクリーニング)についての多
くの簡便な方法において達成され得る。標的分子と相互
作用するSmad7ポリペプチドのレポーター遺伝子点アッ
セイから生じる転写物は、典型的には検出可能な産物
(例えば、β−ガラクトシダーゼ活性、ルシフェラーゼ
活性など)を直接的または間接的にコードする。無細胞
結合アッセイについて、成分の1つは、通常、検出可能
な標識を含むか、またはこれに結合される。直接的な検
出(例えば、放射能、ルミネッセンス、光学密度、もし
くは電子密度など)、または間接的な検出(例えば、FL
AGエピトープのようなエピトープタグ、西洋ワサビペル
オキシダーゼのような酵素タグなど)を提供する標識の
ような、広範に多様な標識が使用され得る。標識は、Sm
ad7結合パートナーに結合され得るか、または結合パー
トナーの構造に組込まれ得る。
多様な方法が、標識を検出するために使用され得る
が、標識および他のアッセイ成分の性質に依存する。例
えば、標識は、固相基質に結合したままで、または続い
て固相基質から分離されて、検出され得る。標識は、光
学密度もしくは電子密度、放射性発光、非放射性エネル
ギー伝達などを介して直接的に検出され得るか、または
抗体結合体、ストレプトアビジン−ビオチン結合体など
で間接的に検出され得る。標識を検出するための方法
は、当該技術において周知である。
本発明は、Smad7特異的結合剤、このような薬剤を同
定および作製する方法、ならびに診断、治療、および医
薬的な開発におけるそれらの使用を提供する。例えば、
Smad7特異的薬理学的薬剤は、多様な診断および治療の
用途、特に疾病または疾病の予後が、Smad7に関わる経
路(例えば、Smad2またはSmad3のTGF−β誘導性のリン
酸化、TGF−βレセプター−Smad7複合体形成、アクチビ
ンまたはBMPシグナルトランスダクションなど)の不正
確な利用と関連する場合において有用である。新規なSm
ad7特異的結合剤は、Smad7特異的抗体、およびツーハイ
ブリッドスクリーニングのようなアッセイで同定される
他の天然の細胞内結合剤、および化学ライブラリーのス
クリーニングにおいて同定される非天然の細胞内結合剤
などを含む。
一般に、結合剤に結合するSmad7の特異性は、結合平
衡定数によって示される。Smad7ポリペプチドを選択的
に結合し得る標的は、好ましくは、少なくとも約10
7M-1、より好ましくは、少なくとも約108M-1、および最
も好ましくは少なくとも約109M-1の結合平衡定数を有す
る。広範に多様な細胞ベースのアッセイおよび無細胞ア
ッセイは、Smad7特異的結合を実証するために使用され
得る。細胞ベースのアッセイは、ワン、ツー、およびス
リーハイブリッドスクリーニング、Smad7仲介性の転写
が阻害されるかまたは増加されるアッセイなどを含む。
無細胞アッセイは、Smad7−タンパク結合アッセイ、イ
ムノアッセイなどを含む。Smad7ポリペプチドを結合す
る薬剤をスクリーニングするために有用な他のアッセイ
は、蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)、および電気泳動
移動度シフトアッセイ(EMSA)を含む。
種々の技術が、本発明の核酸を、細胞に導入するため
に用いられ得るが、核酸が宿主においてインビトロでま
たはインビボで導入されるのかに依存する。このような
技術は、核酸−CaPO4沈殿のトラスフェクション、DEAE
と会合される核酸のトランスフェクション、目的の核酸
を含むレトロウイルスでのトランスフェクション、リポ
ソーム仲介性のトランスフェクションなどを含む。いく
つかの使用では、特定の細胞に核酸を標的することが好
ましい。このような例において、本発明の核酸を細胞に
送達するために使用されるビヒクル(例えば、レトロウ
イルス、または他のウイルス;リポソーム)は、それに
付着される標的化分子を有し得る。例えば、標的細胞に
おける表面膜タンパクに特異的な抗体、または標的細胞
におけるレセプターについてのリガンドのような分子は
また、核酸送達ビヒクルに結合され得るか、またはベヒ
クル内に取込まれ得る。例えば、リポソームが、本発明
の核酸を送達するために用いられる場合、エンドサイト
ーシスと関連する表面膜タンパクに結合するタンパク
は、標的化のためにおよび/または取込みを促進するた
めに、リポソーム処方物中に組込まれ得る。このような
タンパクは、特定の細胞型について指向性があるカプシ
ドタンパクまたはそのフラグメント、周期的に内在化さ
れるタンパクについての抗体、細胞内局在化を標的し、
および細胞内半減期を増強するタンパクなどを含む。ポ
リマー送達系はまた、当業者によって知られるように、
核酸を細胞に送達するために成功裡に使用されてきた。
このような系は、核酸の経口送達さえも許容する。
投与時には、本発明の治療的組成物は、医薬的に許容
される薬剤で投与される。このような薬剤は、通常、医
薬的に許容される濃度の塩、緩衝化剤、保存剤、適合性
担体、補充的な免疫増強剤(例えば、アジュバントおよ
びサイトカイン)、ならびに必要に応じて、他の治療的
薬剤を含み得る。
本発明の治療薬は、注射を含む任意の慣用の経路によ
って、または経時的な徐々の注入によって、投与され得
る。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、
腔内、皮下、または経皮的であり得る。抗体が治療学的
に使用される場合、投与の好ましい経路は、肺エアロゾ
ルによってである。抗体を含有するエアロゾル送達シス
テムを製造するための技術は、当業者に周知である。一
般的には、このようなシステムは、抗体の生物学的な特
性(例えば、パラトープ結合能力)を有意に損なわない
成分を利用するべきである(例えば、SciarraおよびCut
ie、「エアロゾル」、Remington's Pharmaceutical Sci
ences、第18版、1990、1694−1712を参照されたい;引
用により取り込まれる)。当業者は、容易に、過度の実
験に頼ることなく、抗体エアロゾルを製造するための、
種々のパラメーターおよび条件を決定し得る。本発明の
アンチセンス製剤を使用する場合、ゆっくりとした静脈
内投与が好ましい。
本発明の成分は、有効な量において投与され得る。
「有効な量」とは、組成物が、単独でまたはさらなる用
量とともに、所望の応答を生成する(例えば、特異的な
レセプターへの、TGF−β、アクチビン、BMP、および/
またはVg I(Vgr−1)の結合から生じるシグナル伝達
を有利に変化する)、組成物の量である。特定の疾病
(例えばガン)を治療する場合において、所望の応答
は、疾病の進行を阻害することである。これは疾病の進
行を一時的に遅延することのみに関わるが、より好まし
くはこれは、疾病の進行を永久に停止することを含む。
これは、慣用の方法によってモニターされ得るか、また
は本明細書中に考察される本発明の診断方法によりモニ
ターされ得る。
このような量は、もちろん、治療されるものの特定の
症状、症状の重篤度、個々の患者のパラメーター(年
齢、内科的状態、サイズ、および体重を含む)、治療の
持続時間、同時治療の性質(もしあれば)、投与の特定
の経路、ならびに医師の知見および専門的知識内のそれ
に類する要因に依存する。これらの要因は、当業者に周
知であり、および日常的な条件のみで提供される。最大
用量の個々の成分またはその組み合わせ、すなわち、適
切な医学的判断に従う最も高い安全用量が使用されるこ
とが一般に好ましい。しかし、患者は、医学的な理由の
ために、心理的な理由のために、または実質的に任意の
他の理由のために、より低い用量または耐性用量を強く
主張し得ることが、当業者によって理解される。
上述の方法において使用される医薬組成物は、好まし
くは、滅菌され、および患者への投与に適切な重量また
は容量の単位において、所望の応答を引き起こすため
に、Smad7またはSmad7をコードする核酸の有効な容量を
含む。応答は、例えば、本明細書中に記載されるように
レポーター系を介してSmad7組成物によって増強または
阻害されるシグナルトランスダクションを決定すること
によって、遺伝子発現のような下流の効果を測定するこ
とによって、または腫瘍の退行もしくは疾病症状の低減
のようなSmad7組成物の生理学的効果を測定することに
よって、測定され得る。同様に、アンチセンスSmad6お
よびSmad7の効果は、アンチセンス組成物が添加される
細胞における個々の遺伝子の発現を測定することによっ
て、容易に決定され得る。他のアッセイは、当業者に公
知であり、および応答のレベルを測定するために用いら
れ得る。
対象に投与されるSmad7ポリペプチドまたは核酸の用
量は、異なるパラメーターに従って、得に使用される投
与の態様および対象の症状により、選択され得る。他の
要因は、治療の所望の期間を含む。対象における応答
が、適用された最初の用量で不十分である場合に、より
高い用量(または異なる、より局在化される送達経路に
よる効率的なより高い用量)が、患者の耐性を許容する
程度に用いられ得る。
一般に、Smad7の用量は、当該技術における任意の標
準的な手順に従って、1ngと1mgとの間、好ましくは10ng
と100μgとの間の用量において、処方および投与され
る。Smad7またはその変異体をコードする核酸分子が用
いられる場合には、1ngと0.1mgとの間の用量が、標準的
な手順に従って処方および投与される。Smad7組成物の
投与のための他のプロトコルは、当業者に公知であり、
用量、注射のスケジュール、注射の部位、投与の態様
(例えば、腫瘍内)などは、上述から変化する。例え
ば、試験する目的または獣医学の治療的な目的のため
の、ヒト以外の哺乳動物へのSmad7組成物の投与は、上
述と実質的に同じ条件下で行われ得る。
投与される場合、本発明の医薬製剤は、医薬的に許容
される量において、および医薬的に許容される組成物中
で、適用される。用語「医薬的に許容される」とは、有
効成分の生物学的活性の有効性を妨げない非毒性の材料
を意味する。このような製剤は、日常的に、塩、緩衝化
剤、保存剤、適合性の担体、および必要に応じて他の治
療的薬剤を含み得る。医薬において使用される場合、塩
は、医薬的に許容されるべきであるが、医薬的に許容可
能でない塩が、その医薬的に許容される塩を調製するた
めに簡便に使用され、本発明の範囲から除外されない。
このような薬理学的におよび医薬的に許容される塩とし
ては、以下の酸:塩酸、臭酸、硫酸、硝酸、リン酸、マ
レイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン
酸、コハク酸などから調製される塩が挙げられるが、こ
れらに制限されない。また、医薬的に許容される塩は、
アルカリ金属またはアルカリ土類の塩(例えば、ナトリ
ウム、カリウム、またはカルシウムの塩)として調製さ
れ得る。
Smad7は、所望であれば、医薬的に許容される担体と
合わせられ得る。本明細書中で使用される用語「医薬的
に許容される担体」とは、1又は2以上の適合性の固体
または液体の腑形剤、希釈剤、またはヒトへの投与に適
当であるカプセル化物質を意味する。用語「担体」と
は、活性成分が、適用を容易にするために合わされる、
天然のまたは合成の有機または無機成分を示す。医薬組
成物の成分はまた、所望の医薬的効力を実質的に損なう
相互作用がないような様式において、本発明の分子と、
および互いと、同時混合され得る。
医薬組成物は、適当な緩衝化剤を含み得、塩中の酢
酸;塩中のクエン酸;塩中のホウ酸、および塩中のリン
酸を含む。
医薬組成物はまた、必要に応じて、適当な保存剤(例
えば:塩化ベンザルコニウム;クロロブタノール;パラ
ベン、およびチメロサール)を含む。
医薬組成物は、単位投薬形態において簡便に示され、
医薬の分野において周知の任意の方法によって調製され
得る。全ての方法は、活性な薬剤と、1つ以上の補助成
分を構成する担体と会合させる工程を包含する。一般
に、組成物は、活性な化合物を、液体担体、微細に分割
された固体の担体、またはその両方と、均一におよび密
接に会合させ、次いで、必要であれば、生成物を成形す
ることによって調製される。
経口投与に適切な組成物は、カプセル、錠剤、トロー
チ剤のような分散単位として示され、それぞれは、予め
決定された量の活性な化合物を含む。他の組成物は、水
性液体または非水性液体(例えば、シロップ、エリキシ
ル、または乳濁液)中の懸濁液を含む。
非経口投与について適切な組成物は、簡便に、Smad7
ポリペプチドまたは核酸の滅菌の水性または非水性調製
物を含み、これは許容者の血液と好ましくは等張であ
る。この調製は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁
剤を使用する公知の方法に従って、処方され得る。滅菌
の注射製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の
溶液のように、非毒性の医薬的に許容される希釈剤また
は溶媒中の、滅菌の注射可能な溶液または懸濁液であり
得る。用いられ得る許容されるビヒクルおよび溶媒は、
水、Ringer溶液、および等張の塩化ナトリウム溶液であ
る。さらに、滅菌の、固定油は、溶媒または懸濁媒体と
して、従来用いられ得る。この目的のために、任意のブ
ランドの固定油が使用され、合成のモノ−またはジ−グ
リセリドを含む。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン
酸)が、注射液の調製において使用され得る。経口、皮
下、静脈内、筋肉内などの投与に適切な担体処方物は、
Remington's Pharmaceutical Sciences Mack Publishin
g Co.,Easton、PAにおいて見出され得る。
本発明の他の局面において、Smad7ポリペプチドまた
は核酸が、TGF−β、アクチビン、BMP、またはVg1応答
を調節するための薬剤の製造において使用される。薬剤
は、バイアル中におかれ、1又は2以上の上述のTGF−
βファミリーメンバーに対する対象の応答を増加するた
めに使用されるキットに、組込まれ得る。ある態様で
は、同じ応答を調節するか、またはSmad7組成物を有利
に影響する他の薬剤がまた、同じキットに含まれ得る。
キットは、Smad7組成物およびキットの任意の他の成分
をどのように投与するかについての使用説明書または他
の印刷された資料を含み得る。
実施例 方法 mSmad7およびhSmad7 cDNAの単離およびノーザンブロッ
ト分析 全mSmad7をコードするcDNAは、マウスEST cDNA(AA06
1644)をマウス胎盤ライブラリーから単離した部分cDNA
と融合することにより作製した。hSmad7のcDNAはヒト脳
cDNAライブラリーをスクリーニングすることにより単離
した。cDNAはABI310ジェネティック・アナライザーを用
いて両鎖の配列を決定した。全RNAの単離、ノーザンブ
ロット分析はストラタジーン(Stratagene)(ラホー
ラ、カリフォルニア)のQUIKHYBハイブリダイゼーショ
ン溶液を用いて、すでに記載されているとおり(Afrakh
te,M.et al.,Int.J.Cancer 68、802〜809、1996)に実
施した。
発現プラスミド TβR−I、TβR−II、BMPR−I A、BMPA−I B、Ac
tR−I、ActR−I B、Smad1、Smad2、Smad3およびSmad5
用の発現コンストラクトについてはすでに記載がある
(Nakao et al.、EMBO J.16:5353〜5362、1997)。他の
Smadまたはレセプタープラスミドはすでに記載がある
か、または標準プロトコールに従い調製した。F−Smad
7およびF−Smad8はPCR指向方法およびpcDNA−Flagへの
サブクローニングにより作製した。N−末端およびC−
末端Smad7発現ベクターは、特異プライマーおよび鋳型
としとしてのSmad7 cDNAによるPCR増幅法を用い調製し
た。F−Smad7のC−末端ドメイン(7C;アミノ酸204〜4
26)、C−尾部の欠失したF−Smad7(7CΔ;アミノ酸2
04〜207)、C−尾部の欠失したSmad7(7Δ;アミノ酸
1〜407)、Smad7のN−末端ドメイン(7N;アミノ酸1
〜203)、マウスF−Smad6“長鎖型”(F−Smad6L)
(Imamura et al.、1997)およびヒトF−Smad6“短鎖
型”(F−Smad6S)(Topper et al.、1997)に対する
発現コンストラクトは、PCR法により作製し、pcDNA3−F
lagにサブクローニングした。得られる発現プラスミド
は、N−末端にFlagエピトープを付着したN−末端およ
びC−末端Smadドメインを発現した。別に、該Smadおよ
びSmadフラグメントをタンパク誘発発現用pMEP4にサブ
クローンした。mSmad7およびhSmad3を含むSmad分子用ア
ンチセンス発現コントラクトは、完全Smadコード領域を
pcDNA3発現ベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA)に逆
方向にクローニングすることにより作製した。
細胞アッセイ 一過性トランスフェクション、代謝標識、免疫沈降、
細胞の[32P]オルトリン酸エステル標識、およびSDS−
PAGEはすでに記載されているとおり(Nakao et al.、19
97)に実施した。
リガンドのヨウ素化とアフィニティ架橋 TGF−β1のヨウ素化およびアフィニティ架橋、引き
続く免疫沈降はすでに記載されているとおり(Nakao et
al.、1997)に実施した。TGF−β1およびBMP−7はFr
olikら(J.Biol.Chem.259:10995〜11000、1984)に従
い、クロラミンT法によりヨウ素化した。架橋はすでに
記載のとおりに実施した(Nakao et al.、1997)。ある
場合には、125I−TGF−β1との培養は室温で2時間実
施し(Souchelnytskyi et al.,J.Biol.Chem.272:27678
〜27685、1997)、トランスフェクトしたセルラインを1
00μM/ml塩化亜鉛で24時間刺激し、Smad7の発現を誘発
した。Smadとアフィニティ標識レセプターの複合体をSm
adのエピトープ標識に対する抗血清で免疫沈降させた。
レセプターの発現レベルの定量するために、等量の細胞
溶解液のタイプIレセプターに対する抗血清により免疫
沈降させた、Smadの発現を等量の細胞溶解液でのウエス
タンブロッティングにより定量した。
転写応答アッセイ すでに記載されているとおりに(Nakao et al.、199
7)、DEAEデキストラン・トランスフェクション法によ
り、Mv1Lu野生型およびR変異細胞に、p3TPLuxを一過性
にトランスフェクトした。Promegaのトランスフェクタ
ム薬剤(transfectam reagent)(Madison、WI)を用
い、HaCat細胞にp21レポータープラスミド(Datto et a
l.、J.Biol.Chem.270:28623〜28628、1995)を一過性に
トランスフェクトした。それぞれの実験において、すべ
て等量のDNAをトランスフェクトした。リポフェクチン
を用い、Mv1Lu細胞にp3TPLuxおよびアンチセンス発現コ
ンストラクトをトランスフェクトした;最適培地中で一
夜培養した後、培地を血清含有培地に替えた。さらに24
時間の培養後に、細胞をTGF−β1で刺激して、ルシフ
ェラーぜ活性を測定した。ルシフェラーゼ活性はすでに
記載されているとおりに(Nakao et al.、1997)測定し
た。値はCMVプロモーター(pCMV5ベクター)の転写制御
のもとでβ−ガルレポーター遺伝子を用い、トランスフ
ェクション効率に対し標準化した。示した結果は少なく
とも3回または4回の独立した実験を表す。
COS細胞の一過性トランスフェクションをDEAE−デキ
ストラン・プロトコールにより実施した。Mv1Lu細胞をp
MEP4発現ベクター(インビトロゲン)で適切にトランス
フェクションするために、すでに記載されているように
(Souchelnytskyi et al.、1997)、リン酸カルシウム
沈降法を用いた;選択は420単位/mlのハイグロマイシン
により実施した。塩化亜鉛での誘発は、特に断りのない
限り、100μMの塩化亜鉛で20時間行った。細胞の代謝
標識、[32P]オルトリン酸エステル標識、および免疫
沈降、SDS−PAGEをすでに記載されているとおりに実施
した(Souchelnytskyi et al.、1997またはNakao et a
l.、1997)。
アフリカツメガエル胚培養および操作 アフリカツメガエルの卵を取得し、胚をマイクロイン
ジェクションし、記載されているとおり(Moon and Chr
istian,Technique 1:76〜89、1989)に培養した。動物
キャップアッセイのために、アクチビン−βまたは骨形
態形成性タンパクVg1キメラをコードするRNAを200pg(D
ale et al.,EMBO J.12:4471〜4480、1993)を単独また
はSmad7 RNA400pgとともに注射した。Smad7/Smad8実験
のために、pCS2+Smad8およびpCS2+Smad7(Nakayama e
t al.、Development 125:857〜867、1998)のインビト
ロ転写(Moon and Christian、1989)によりRNAを合成
した。後者のコンストラクトはF−Smad7のコード領域
をpCS2+(Turner and Weintraub、Genes Dev.8:1434〜
1447、1994)にサブクローニングすることにより生成さ
れた。胚段階はNieuwkoop及びFaberの(アフリカツメガ
エルのノーマルテーブル、ガーランドパブリッシング、
アムステルダム、北オランダ、1967)に従う。全胚の免
疫染色(12/101抗体はNICHDとの契約N01−HD−2−3144
のもとDevelopmental Studies Hybridoma Bankから入手
し、Tor70はR.Harlandから入手した)、全封入in situ
ハイブリダイゼーション、培養動物キャップから抽出し
たRNAのRT−PCR分析、およびEF−laに関係する短尾奇形
発現は記載どおりに実施した(Lagna et al.、Nature 3
83:832〜836、1996;Cui et al.、Dev.Biol.180:22〜3
4、1996;Moon and Christian、1989)。
セルライン COS細胞、Mv1Luミンク肺上皮細胞、およびHaCat細胞
(ヒトケラチン細胞)はアメリカン・タイプ・カルチャ
ー・コレクションから入手した。細胞は10%仔ウシ血清
(FBS)および抗生物質(1mlあたりペニシリン100単位
およびストレプトマイシン50μg)添加ダルベッコ改変
イーグル培地(ライフ・テクノロジー・インク、ゲイサ
ーズバーグ、メリーランド)中で培養した。使用した10
種のヒト肺ガン[小型細胞肺ガス(SCLC)、U−1285、
U−1690、H−69およびH−92;非SCLC、U−1752;鱗状
細胞ガン(SQC);U−1810;大型細胞ガン(LCC)、H−1
57、H−661;腺ガン(ADC)H−23およびH−125(肺腫
瘍の組織学的分類、WHOによる、ジュネーブ)]は10%F
BSと抗生物質を添加したRPMI 1640培地中で増殖させた
(Heldin et al.、Br.J.Cancer、68:708〜711、199
3)。
RNA単離およびノーザンブロット分析 細胞は種々の因子による刺激の前に、0.5%FBS中12〜
24時間維持した後、RNA抽出をした。RNA抽出に使用した
肺ガン細胞は10%FCSの存在下に増殖させた。全RNAの単
離およびノーザンブロッティングは本質的に記載されて
いるとおりに実施した(Afrakhte et al.、Int.J.Cance
r、68:802〜809、1996)。肺ガンセルラインから抽出し
たRNAはポリ(A)に富んでいた。ハイブリダイゼー
ションはStratageneのQuickHyb)バッファーを用いて実
施した。RNAの未変化量と総量(レーンあたり総RNA12μ
gまたはポリ(A)+RNA5μg)はゲルをエチジウムブ
ロマイドで染色すること、およびグリセルアルデヒド・
3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プローブでのハ
イブリダゼーションすることによりチェックした。ハイ
ブリダイゼーションに使用したcDNAプローブは1.8kb Ec
o/Xho IヒトSmad7フラグメント、ヒトSmad6の2.1kb Eco
R Iフラグメント、ヒトPA I−1の3kb EcoR Iフラグメ
ント、および1.5kbマウスJunBフラグメントであった。G
APDHハイブリダイゼーションのために、全ヒトGAPDH cD
NAプラスミドを標識した。
抗体 Smad2に対する抗体(DQQと呼称)はすでに記載されて
いる(Nakao et al.、1997)。抗−Flag抗体はKodak(N
ew Haven)から購入した。Smad6に対する特異抗血清(E
SPおよびSRQと呼称)はESPPPPYSRLSPRDEYKPLD(配列番
号:11)およびSRQFITSCPCWLEILNPR(配列番号:12)それ
ぞれについて作製した。Smad7に対し生成させた特異的
抗血清(KERおよびKAVと呼称)は合成ペプチドKERQLELL
LQAVESRGGTRTA(配列番号:13)およびKAVRGAKGHHHPHPP
(配列番号:14)それぞれについて作製した。該ペプチ
ドをグルタールアルデヒドによりキーホールリンペット
ヘモシアニン(Calbiochem−Behring)に結合させ、フ
ロイントのアジュバントと混合し、標準手法に従いウサ
ギの免疫に使用した。
増殖阻害アッセイ 24穴プレートにMv1Lu細胞を1×104細胞/ウエル量で
播種した。TGF−β1を添加する前に、Mv1Lu細胞を100
μM塩化亜鉛と指示濃度のTGF−β1で20時間同時に処
理し(または処理せず)、Smad7の発現を誘発した。ハ
ーベスト前に、細胞を0.2μCiの[3H]チミジン(6.7Ci
/mmol、アマシャム、英国)で2時間パルスした。細胞
を氷冷5%トリクロロ酢酸(TCA)にて20分以上固定
し、5%TCAにて2回、水で1回洗浄した。細胞の溶解
を0.1M NaOH400μlにて室温で、20分間実施した。DNA
に取込まれた3H−放射活性を液体シンチレーションカウ
ンターにより定量した。
細胞をLAB TEKチャンバー(Nunc、Naperville、IL)
で増殖し、TGF−β1の存在下または不存在下、0.3%FC
S含有DMEMと2時間培養した。スライドグラスをリン酸
バッファー塩溶液(PBS)にて1回洗浄し、4%パラホ
ルムアルデヒドにて10分間固定し、次いで、PBSで3回
洗浄、PBS中0.1%TritonX−100にて5分間透過性を増大
させ、再度PBSにて3回洗浄した。スライドグラスを10
%ヒツジ血清にて室温1時間ブロックし、次いで、抗−
FLAG抗体(20μg/ml)含有10%ヒツジ血清と4℃15時間
培養した。スライドグラスを次いで3回洗浄し、TRITC
−結合ヒツジ抗−マウスIgG抗体(1:40に希釈)と培養
し、再度4回洗浄した。核をDAPI(1μg/ml)にて室温
で10分間染色し、次いで3回洗浄した。蛍光を可視化す
るために、ツアイス顕微鏡またはレーザー共焦点顕微鏡
を使用した。細胞数計測のために、接眼鏡の一つに載せ
た方形格子を使用した。COS細胞実験では、200個の細胞
を5つの異なる視野に計測し、核の局在化をDAPI染色に
よりチェックした。
例1:Smad7のクローニング及び特徴付け Smadに関連する哺乳類の配列をデータベース検索によ
り、2つのマウス発現配列タグ(EST)、すなわち、AA0
22262およびAA061644の存在が明らかとなり、それぞれ
がN−およびC−末端Smadドメインに類似の配列を有し
ていた。鋳型として腎臓のcDNAを両ESTから誘導したPCR
プライマー対を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は
特有の産物を生成した。完全マウスタンパクをコードす
るcDNAはマウスEST cDNAをマウス胎盤ライブラリーから
単離したcDNAと融合することにより作製し、マウスSmad
7(mSmad7)と命名した。ヒトSmad7 cDNA(hSmad7)は
ヒト脳cDNAライブラリーから単離した。該cDNA配列がmS
mad7およびhSmad7が98%の同一性を有する426アミノ酸
残基をもつことが予測される(図1a)。
hSmad7とmSmad7間の差異はすべてN−末端ドメインに
見出される。Madホモロジー2(MH2)ドメインの境界を
矢印で示す。ヌクレオチド配列はヨーロッパ・モレキュ
ラー・バイオロジー・ラボラトリー/GenBank・データラ
イブラリーに寄託される(マウスおよびヒトSmad7受託
番号はそれぞれAF0152260およびAF015261である)。Sma
d7はSmad6(Imamura et al.、Nature、389:622〜626、1
997)にもっとも関連性があり、N−末端ドメインおよ
びC−末端MH2ドメインそれぞれと36%および56%の配
列同一性がある。Smad7N−末端ドメインはグリシン/グ
ルタミン酸残基に富む領域を含み、僅かながらSmad1な
いしSmad5に見出されるMH1ドメインとの類似性(約15
%)を示す。
Smad7のN−末端ドメインをコードする領域からのプ
ローブで種々の組織をRNAブロット分析し、約4.4kbの主
要転写物1つを見出した(図1b)。分析した組織では、
もっとも高いSmad7の発現を肺に認めた。
例2:Smad7はTGF−βスーパーファミリーシグナルトラン
スダクションを調節する Smad7がTGF−βに対し応答性を調節するか否かを検討
するために、TGF−β−誘発性ルシフェラーゼp3TPLuxレ
ポーターコンストラクト(TGF−β−誘発性PA I−1プ
ロモーター含有)をSmad7 cDNAの存在または不存在下に
Mv1Luミンク肺上皮細胞中にトランスフェクトした。Sma
d7はTGF−β誘発ルシフェラーゼ活性を用量依存的に阻
害することが判明した(図2a)。さらに、アクチビンに
対する構造的に関連するタイプIレセプター(ActR−I
B)の構成的に活性な変異体による応答が阻害されたよ
うに、構成的に活性なTβR−Iの変異体によるp3TPLu
xルシフェラーゼの誘発もまた、R−突然変異細胞にト
ランスフェクトしたとき、Smad7での共トランスフェク
ションにより阻害された(図2B)。Smad2のトランスフ
ェクションはMv1Lu細胞中TGF−β1誘発p3THLuxルシフ
ェラーゼ応答に影響しなかった(図2a)。この阻害効果
は、Smad7がフォルボール・12−ミリスチン酸・13酢酸
(PMA)/上皮増殖因子−誘発p3TPLuxルシフェラーゼ応
答を阻害しなかったように特異的であった。さらに、cA
MP−応答性要素含有レポーターコンストラクトを用いて
のホルスコリン仲介転写誘発はSmad7により影響されな
かった。これらの結果はTβR−I−およびActR−I B
−誘発p3TPLux応答双方の強力なネガティブレギュレー
ターであることを示している。
Smad7の発現がTGF−β仲介増殖阻害にどう影響するか
を検討するために、ヒトケラチン細胞(HaCat)(Imamu
ra、1997)中TFG−βにより誘発されるp21CDK阻害剤プ
ロモーター(p21Lux)含有ルシフェラーゼ転写レポータ
ーコンストラクトを用いた。Smad7はHaCat細胞中TGF−
β1仲介p21Lux応答に用量依存的に拮抗することが見出
された(図2c)。トランスフェクションによるSmad2の
発現増大はこの応答を促進するが、Smad1のトランスフ
ェクションは効果がなかった(図2c)。Smad7およびN
−末端Flag標識Smad7はTGF−βシグナル伝達に実質的に
同じ拮抗結果を与えたが、これはN−末端標識化がSmad
7の機能性に干渉しないことを示唆している。このよう
に、Smad7は細胞外マトリックス産生ならびに増殖阻害
を誘導するTGF−β誘発経路を阻害する。
Smad7がインビボでTGF−β/アクチビン様シグナルの
トランスダクションを阻害するか否かを決めるために、
アフリカツメガエル胚中でSmad7の過剰発現を原因とす
る典型的な欠陥を分析した。アフリカツメガエルの初期
胚中で内生的アクチビンシグナル伝達経路を不活性化す
ると、アクチビンレセプター(Hemmati−Brivanlou et
al.、Nature 359:606〜614、1992;Chang et al.、Devel
opment 124:827〜837、1997)またはSmad4(Lagna et a
l.、Nature 383:832〜836、1996)のドミナントネガテ
ィブ型の導入により、中胚葉が形成し得ない。Smad7を
コードするRNAを2つの細胞胚の両割球に顕微注射する
と中胚葉の形成を阻害した(図2d−g)。Smad7またはm
ycエピトープ標識(MT)をコードする合成RNA500pgを、
図示(図2d)のように2個の細胞の各割球に注射し、胚
を尾芽期まで培養した。MT RNAを注射した胚は正常に発
育した(各パネルにおいて最上の胚)が、Smad7をミス
発現するように作製された胚(各パネルの下位胚)は頭
部または尾部構造を形成し得ず(図2e)、完全なまたは
部分的な筋肉欠損(図2f)および脊索欠損(図2g)を示
した。矢印はMT−注射胚における免疫応答性筋肉(図2
f)および脊索(図2g)を示す。特に、頭部と尾部構造
が、注射した胚(n=168)の80%に存在しないか、重
度に不完全であり(図2e)、筋肉(n=60)(図2f)お
よび脊索(n=48)(図2g)などの中胚葉派生体も同様
であった。
インビボで中胚葉形成をブロックするSmad7の能力を
さらに試験するために、短尾奇形の発現について胚を分
析したが、これは原腸形成に際し予定運命の中胚葉全般
に発現される遺伝子である(Smith et al.、Cell 67:79
〜87、1991)(図2h)。MT(図2h)またはSmad7(図2
i)をコードする合成RNA50pgを赤道面に近い2細胞胚の
1割球に注射し、短尾奇形の発現を全封入in situハイ
ブリダイゼーションにより分析した。MT−注射胚は短尾
奇形発現の典型的なリングを示す(図2h)が、短尾奇形
の転写物はSmad7注射胚の一側には検出されない(図2
i、矢印)。図2iに示すように、Smad7 RNAを2細胞胚の
1割球の赤道面領域に注射すると胚の1側で短尾奇形発
現を防止した。
TGF−βファミリーの2物質、アクチビンおよびVg1は
内因性中胚葉−誘発分子の候補である(Kessler et a
l.、Science 266:596〜604、1994)。アフリカツメガエ
ル動物キャップアッセイ(Kessler、1994)は、Smad7が
これらリガンドの下流にシグナル伝達するのをブロック
することができるかを直接試験するために使用した。ア
クチビンおよびVg1の双方が外胚葉外植片(動物キャッ
プ)中短尾奇形の発現を誘発する一方、Smad7の共発現
は60%の短尾奇形の誘発を阻害したが、これはSmad7が
アクチビンおよびVg1仲介中胚葉誘発をブロックするこ
との証明である。
TGF−βファミリーの物質によるシグナル伝達におい
てSmad7がマイナスの役割を果たすメカニズムを洞察す
るために、Smad7が、Smad2およびSmad3のように(Zhang
et al.,Nature 383:168〜172、1996;Macas−Silva e
t al.,Cell 87:1215〜1224、1196;Nakao et al.、199
7)、TGF−βレセプター複合体と会合し得るか否か試験
した。N−末端にFlag標識したSmad7をTβR−II(野
生型、WT、またはキナーゼ欠損突然変異体、KD)および
TβR−I(野生型またはキナーゼ欠損突然変異体)と
組合わせトランスフェクトしたCOS細胞を125I−TGF−β
1でアフィニティ標識し、細胞溶解液をSmad7のFlagエ
ピトープに対するFlag抗血清での免疫沈降に付した。免
疫沈降物をSDS−PAGEおよびフジXバイオ−イメージャ
ーにより分析した。トランスフェクション後、レセプタ
ーおよびF−Smad7の発現をTβR−Iに対するVPN抗体
またはTβR−IIに対するDRL抗体による免疫沈降によ
り細胞溶解液の一部につき定量し、また、Flag抗体によ
る免疫沈降により[35S]メチオニン/システイン標識
トランスフェクト細胞の溶解液につき定量した。Smad7
はTGF−βレセプター複合体と非常に効率よく相互作用
することが判明した(図3)。Smad7は野生型TβR−I
Iと複合して野生型TβR−Iならびにキナーゼ不活性
TβR−Iと相互作用した。それに対し、Smad2およびS
mad3はキナーゼ欠損TβR−Iおよび野生型TβR−II
の複合体とのみ安定的に相互作用する(Macas−Silva
et al.,1996;Nakao et al.、1997)。Smad7およびキナ
ーゼ欠損TβR−IIとTβR−Iのヘテロ複合体との
間、またはTβR−IIのみとの間に相互作用は観察しな
かった(図3)。このように、TβR−IはTβR−II
キナーゼによりリン酸転移することが、Smad7とTβR
−Iの会合にとって必要である。
例3:Smad7のリン酸化 Smad2およびSmad3のリン酸化はTGF−β刺激後に誘発
されるが、Smad4は誘発されない(Eppert et al.,Cell
86:543〜552、1996;Zhang et al.、1996;Macas−Silv
a et al.、1996;Nakao et al.、1997;Lagna et al.、19
96)。Smad7がTGF−βレセプターとの会合によりリン酸
化されるのかどうかを検討した。レセプターの存在下ま
たは不存在下にCOS細胞にSmad7(または比較のためにSm
ad2)をトランスフェクトし、[32P]オルトリン酸エス
テルで標識し、TGF−β1で処理した。細胞溶解液をSma
dまたはエピトープ標識に対する抗血清での免疫沈降に
付し、Smadリン酸化レベルを定量した。タイプIレセプ
ターおよびSmadの発現は、[35S]−メチオニン/シス
テインで標識した細胞溶解液の一部につき免疫沈降によ
り分析した。(図4b)のSmad2または(図4d)のSmad3と
会合した32P−または35S−放射活性はフジXバイオ−イ
メージャーを用いて定量し、32P/35S−比を計算した
(それぞれ図4cおよびe)。3回の独立した実験の代表
的結果を示す。期待どおりに、Smad2のリン酸化はレセ
プターとの共発現により増大し、TGF−βの添加がSmad2
のリン酸化をさらに増加させた。しかし、構成的活性型
のTβR−IおよびActR−I Bをトランスフェクトした
細胞には、またはリガンドで刺激した野生型TβR−I
およびTβR−IIをトランスフェクトした細胞には、Sm
ad7のリン酸化は全く(またはほんの僅かしか)観察さ
れなかった(図4a)。このように、それがTβR−Iと
直接会合するにもかかわらず、Smad7はTβR−Iキナ
ーゼに対する直接の基質ではない。とりわけ、Smad7は
保存SS(M/V)S C−尾部配列モチーフを欠いており(図
1a)、Smad2(Macas−Silva et al.、1996)およびSm
ad1(Kretzschmar et al.,Genes Dev.11:984〜995、199
7)の場合にはそれがタイプIレセプターキナーゼによ
りリン酸化される。
例4:Smad7はSmadタンパクのリン酸化を減少させる Smad7は他のSmadの活性化に干渉することによりTGF−
βシグナル伝達でのマイナスの役割を果たしている可能
性がある。それ故、Smad7がSmad2とSmad3のリン酸化に
影響しているのかどうか、TGF−βレセプターおよびSma
dをトランスフェクトした[32P]オルトリン酸エステル
標識COS細胞を用い、検討した。COS細胞にはF−Smad7
またはSmad2(図4a)をトランスフェクトしたが、Smad2
は単独またはSmad7とともに(図4b)、また、N−末端M
yc−標識Smad3(M−Smad3)は単独またはF−Smad7と
ともに(図4d)、野生型または構成的活性(c.a.)レセ
プターの存在下または不存在下にトランスフェクトし、
その後、細胞を[32P]オルトリン酸エステルで標識し
た。C末端HA−標識タイプIレセプターを用いた。興味
深いことに、Smad7はSmad2(図4b、c)およびSmad3のT
GF−β1誘発リン酸化を用量依存的に阻害した(図4d、
e)。Smad7はSmad3の2倍のレベルで十分にTGF−β−
誘発レセプター仲介Smad3リン酸化の有意な減少を引起
こすと思われた。すでに報告されているように(Maca
s−Silva et al.、1996;Nakao et al.、1996)、Smad2
およびSmad3は、COS細胞中で過剰発現されたときにリン
酸化されることが判明した。Smad2のこのレセプター非
依存的リン酸化はC−末端尾部のSSMSモチーフでは起こ
らず(Macas−Silva et al.、1996)、恐らく非レセ
プターキナーゼを経て起こる。Smad7はこのレセプター
非依存性リン酸化をブロックしないと思われる。Smad2
およびSmad3の活性化が最適TGF−βシグナル伝達に必須
である以上(Zhang et al.、1996;Macas−Silva et a
l.、1996;Nakao et al.、1997;Lagna et al.、1996;Kre
tzschmar et al.、1997)、そのリン酸化の阻害はSmad7
の拮抗作用に対するメカニズムの説明を与える。Smad7
とTβR−Iとの会合は、Smad7がレセプター結合に際
しSmad2およびSmad3と競合する可能性を示唆する。この
概念に従い、Smad2とSmad3をSmad7と共トランスフェク
ションし、TGF−β1誘発p3TPLuxアッセイにおいてSmad
7の拮抗作用を減少させた。さらに、Smad7はTGF−βと
アクチビンのシグナル伝達を阻害するのみならず、BMP
シグナル伝達をブロックすることを決定した。ここに記
載の方法論を用い、Smad7はBMPR−Iと会合して、培養
した哺乳動物細胞中でSmad1のリン酸化を阻害すること
を同定した。さらに、Smad7 RNAをアフリカツメガエル
胚の腹側細胞に注射する場合、BMPシグナル伝達経路を
ブロックする効果を表現型模写し、不完全な二次的背側
軸の形成に至る。
例5:TGF−βによるSmad7発現の調節 シグナル伝達分子によるSmad7発現制御はTGF−β応答
を有効に調節するために用いることができる。従って、
Smad7の発現および比較のためのSmad2、Smad3およびSma
d4の発現がTGF−β1により調節されるのかどうか検討
した。TGF−β1刺激Mv1Lu細胞、SW1736ヒト脱分化甲状
腺ガン細胞およびSmad7でプローブしたHaCat細胞からの
全RNA20μg/レーンによるノーザンブロットは、Smad7 m
RNAが10ng/mlのTGF−β1刺激に応答して急速に誘発さ
れることを明らかにした(図5a,b)。泳動したRNA両
は、フィルターにグリセルアルデヒド・3−リン酸デヒ
ドロゲナーゼ(GAPDH)cDNAプローブをハイブリダイゼ
ーションさせることによりチェックした。Mv1Lu細胞に
おいて、Smad7 mRNAはTGF−β刺激の30分後に4倍に誘
発された。TGF−β1刺激によるSmad2、Smad3およびSma
d4の発現は未変化であった(図5a)。TGF−β1によるS
mad7 mRNA誘発はシクロヘキシミド(CHX)20μg/mlの存
在下に観察され、新規タンパク合成がTGF−β1仲介のS
mad7誘発を必要としないことを示していた。事実、Smad
7 mRNAはTGF−β1およびTGF−β1の30分前に添加され
たCHX20μg/mlの存在下、超誘導された(図5b)。これ
は恐らくmRNA安定性の増大またはCHXによる転写リプレ
ッサーの喪失に起因する。CHXのみで処理した場合には
基本となるSmad7 mRNAレベルがほんの僅かに増加するの
みであった。それに対し、10nM PMA(TGF−β1同様、P
A I−1の発現を促進し、Mv1Lu細胞の増殖を阻害する)
はSmad7の発現を誘発しなかった(図5c)。機能的Tβ
R−Iを欠失するMv1Lu細胞(R変異体)では、TGF−β
1はSmad7 mRNAの発現に何の泳鏡を与えなかった。これ
らのデータは統合するとSmad7はTGF−β1に対する即時
型応答遺伝子であり、Smad2、Smad3およびSmad4の活性
化複合体は直接および/またはDNA結合コファクターと
の組合わせでSmad7プロモーターに作用していることを
示す。細胞内アンタゴニストSmad7はこのようにマイナ
スのフィードバックループに作用し、TGF−βシグナル
の強度または持続時間を調節していると思われる。
例6:Smad7はBMPレセプター複合体と相互作用し、BMP仲
介シグナル伝達を阻害する Smad7がBMPレセプター複合体と会合しているかどうか
を決めるために、COS細胞に、C末端をHAエピトープ標
識したBMPレセプターBMPR−I A、BMPR−I B、またはAct
R−I(野生型またはキナーゼ欠損変異体)、およびBMP
R−II(野生型またはキナーゼ欠損変異体)をN−末端F
lag標識Smad7(F−Smad7)の存在下または不存在下に
トランスフェクトした。レセプターは125I−BMP−7で
共有結合によりアフィニティ標識し、細胞溶解液をFlag
抗体による免疫沈降に付し、F−Samd7を免疫沈降させ
た。免疫沈降物はSDS−PAGEおよびフジXバイオ−イメ
ージャーにより分析した。トランスフェクション後のレ
セプターおよびF−Smad7の発現(未開示)を、細胞溶
解液の一部につきHA−抗血清での免疫沈降、および[35
S]メチオニン/システイン標識トランスフェクト細胞
の溶解液につきFlag抗体での免疫沈降により定量した。
図6A〜Fに示すように、TGFスーパーファミリーのレセ
プターはF−Smad7と共免疫沈降した。それ故、Smad7は
BMPR−I AおよびBMPR−I Bとは会合するが、ActR−Iレ
セプターとはあまり効率的ではなかった。図6Bに示すよ
うに、Smad7およびキナーゼ欠損タイプIIレセプターと
野生型またはキナーゼ欠損タイプIレセプターとのヘテ
ロ複合体の間に相互作用は観察しなかった。このよう
に、Smad7はタイプIIレセプターによりリン酸化される
(すなわち、活性化)タイプIレセプターとのみ相互作
用する。試験したタイプIレセプターのうち、Smad7はB
MPR−I A、BMPA−I B,TβR−I、そして恐らくActR−I
Bと優先的に相互作用するが、ActR−Iとはあまり効率
的ではない。さらに、Smad7のSmad1またはSmad5のBMPR
−I BおよびActR−I仲介リン酸化への影響を試験した
(図6C〜F)。図CはSmad7がSmad1のBMPR−I BおよびA
ctR−I仲介リン酸化を阻害することを示す。COS細胞
に、タイプIレセプター(BMPR−I BまたはActR−I)
およびBMPR−IIの存在下、BMP−7の存在または不存在
下にF−Smad1を単独またはF−Smad7と一緒にトランス
フェクトし、その後、細胞を[32P]オルトリン酸エス
テルで標識し、Flag抗血清により免疫沈降させた。Smad
1およびF−Smad7の発現を細胞溶解液の一部につきFlag
による免疫ブロッティングにより定量した。図6Dは、図
6CにおいてフジXバイオ−イメージャーを用い定量さ
れ、プロットされたように、32P−放射活性がSmad1と会
合したことを示す。図6EはSmad7がSmad5のBMPR−I Bリ
ン酸化を阻害することを示す。COS細胞に、BMPR−I Bお
よびBMPR−IIの存在下、F−Smad5を単独またはF−Sma
d7と一緒にトランスフェクトした;細胞をBMP−7の存
在下または不存在下に培養し、その後、[32P]オルト
リン酸エステルで標識し、Flag抗血清による免疫沈降に
付した。図6Fは、図6EにおいてフジXバイオ−イメージ
ャーを用い定量され、プロットされたように、32P−放
射活性がSmad5と会合したことを示す。COS細胞に、Smad
7の存在下または不存在下に、BMPレセプターおよびSmad
1またはSmad5をコードするcDNAをトランスフェクトし
た。Smad1またはSmad5のリン酸化レベルは、[32P]オ
ルトリン酸エステルでの標識およびSmad抗血清による細
胞溶解液の免疫沈降により調べた。Smad7はSmad1および
Smad5のBMPR−I B仲介リン酸化を用量依存的に強く阻害
した(図6C〜F)。さらに、Smad7はSmad1のActR−I仲
介リン酸化を阻害した(図6C、D)。タイプIIレセプタ
ーキナーゼによるタイプIレセプターのリン酸化にもと
づく相互作用の特異性は相互作用の生理的重要性を強く
示唆する。リン酸化はSmad7−タイプIレセプター相互
作用に必要な立体配座の変化を誘発する可能性がある。
Smad7が経路特異SmadのBMP−仲介リン酸化を阻害する
かどうかを決めるために、COS細胞にF−Smad1またはF
−Smad5を単独またはF−Smad7と一緒に、構成的活性
(c.a.)BMPR−I Bの存在下または不存在下にトランス
フェクトするか(図7A)、あるいは単独またはF−Smad
7、タイプIレセプターおよびBMPT−IIと一緒に、BMP−
7の存在下または不存在下にトランスフェクトし(図7
C)、その後、細胞を[32P]オルトリン酸エステルで標
識した。トランスフェクトされたSmad7の量を図7Cに示
す(0.1または1.0マイクログラム)。細胞溶解液をSmad
に対する抗血清による免疫沈降に付し、リン酸化のレベ
ルを定量した。SmadおよびBMPR−I Bの発現は、[35S]
メチオニン/システインで標識したエピトープ標識に向
けられた抗血清による免疫沈降により、細胞溶解液の一
部につき分析した。図7Bにおいて、Smad1と会合した32P
−または35S−放射活性はフジXバイオ−イメージャー
を用いて定量し、32P/35S比を計算した。図7はSmad7が
BMPR−I B仲介Smad1またはSmad5リン酸化を用量依存的
に強く阻害したことを示す。分別レセプター結合と一致
して、BMPR−I B仲介Smadリン酸化は、ActR−I仲介Sma
dリン酸化よりもより効率よくSmad7により阻害された。
例7:Smad7N−末端およびC−末端ドメイン機能の分析 Smad7のC−末端ドメインがTGF−βレセプター複合体
と会合するかどうかを決めるために、COS細胞に野生型
N−末端標識マウスSmad7(F−mSmad7)またはN−末
端Flag標識マウスSmad7C−末端ドメイン(mSmad7のアミ
ノ酸204〜426)を、野生型TGF−βレセプターと組合わ
せてトランスフェクトした。レセプターは共有結合によ
125I−TGF−β1でアフィニティ標識した。免疫沈降
物をSDS−PAGEおよびフジXバイオ−イメージャーによ
り分析した。トランスフェクション後、レセプターおよ
びSmad7の発現をTβR−Iに対するNPN抗血清での免疫
沈降により細胞溶解液の一部につき定量し、また、[35
S]メチオニン/システイン標識トランスフェクト細胞
の細胞溶解液につきFlag抗体による免疫沈降により定量
した。図8Aに示すように、TGF−βレセプター複合体はS
mad7C−末端ドメインと共沈殿する。それ故、Smad7C−
末端ドメインはTGF−βレセプターと会合する。次に、T
GF−β誘発p3TPLux応答のアッセイにおいて、上記のよ
うに該C−末端ドメインを試験した。図8Bに示すよう
に、C−末端ドメインは野生型Smad7のように非効率的
であるにかかわらず、TGF−β誘発p3TPLux応答を阻害す
る。図8Bのパネル2は、Smad7Cのトランスフェクション
がTGF−β誘発p3TPLux転写応答をブロックするが、その
効率は野生型Smad7よりも劣ることを示す。
TGFβスーパーファミリーレセプター応答に対するN
−およびC−末端Smad7ドメインおよびSmad8の阻害効果
を試験した。Smad8およびSmad7欠失コンストラクトにつ
き、Smad2またはSmad3のTβR−I仲介リン酸化に対す
る影響を試験した。TβR−1とTβR−IIおよび目的
のSmadをCOS細胞にトランスフェクトした。Smadのリン
酸化は32P−オルトリン酸エステル標識アッセイにより
定量した。図8Cは、Smad8およびSmad7のN−とC−末端
(MH2)ドメインがそれぞれSmad2またはSmad3のTβR
−I仲介リン酸化を阻害したことを示す。C−末端ドメ
インの効果はN−末端ドメインよりも低い発現レベルで
達成された。Smad2のTβR−I仲介リン酸化を阻害す
るSmad7C−ドメインの能力と矛盾せず、このドメイン
は、野生型Smad7よりも効率が悪いとはいえ、TGF−β誘
発転写活性化を阻害するのに十分である(図8Bのパネル
2)。最後のアミノ酸残基19を欠失すると、3TPプロモ
ーターのTGF−β誘発転写活性化を阻害するSmad7C−末
端ドメインの能力を完全に喪失した。
図8Dは、Smad7N−およびC−末端ドメインおよびSmad
8(Smad7野生型と比較して)のTGF−βレセプター仲介p
3TPLux転写応答への阻害効果を示す。Mv1Lu細胞に、異
なる量の阻害性Smadとともに、あるいはなしに、p3TP−
Luxレポーターコンストラクトをトランスフェクトし
た。TGF−βと細胞培養し、ルシフェラーゼの発現誘発
を測定した。分別リン酸化阻害効果と矛盾せず、Smad8
およびSmad7ドメインはレポーター遺伝子のTGF−β仲介
転写応答を阻害した。
図8EはSmad7CがSmad2のTβR−I仲介リン酸化を阻
害するが、その効果は野生型Smad7よりも劣ることを示
す。阻害性Smadの存在しない場合には、TGF−β1はSma
d2リン酸化レベルを1.6倍増強刺激したが、それは1μ
gの野生型Smad7での共トランスフェクションにより完
全にブロックされた;一方、1μgのSmad7Cが存在する
場合には、1.2倍増大したTGF−β仲介Smad2リン酸化を
観察した。COS細胞にF−Smad2を単独またはF−Smad7C
もしくは野生型F−Smad7と一緒に、BMPR−I BおよびBM
PR−IIの存在下にトランスフェクトした;細胞をBMP−
7の存在下または不存在下に培養し、その後、[32P]
オルトリン酸エステルで標識し、Flag抗血清による免疫
沈降に付した。F−Smad2、F−Smad7およびF−Smad7C
の発現を、細胞溶解液の一部につきFlagでの免疫ブロッ
ティングにより定量した。
例8:Smad6は高次保存されており、Smad7に密接な関係に
ある Smad7に関連するヒトおよびマウスの配列をデータベ
ース検索すると、新しいヒトSmadに対応する発現配列標
識(EST;GenBank受託番号N95582)の存在が明らかとな
った。ヒト胎盤cDNAライブラリーのスクリーニングによ
り、我々は3.2kb cDNAクローンを得た。このクローンの
全コーディング領域はABIリズム310ジェネティック・ア
ナライザーにより配列決定し、配列分析はDNASTAPによ
り実施した。配列分析ではマウスSmad6に対し92%のア
ミノ酸類似性を有することが明らかとなり(Imamura et
al.、Nature、389:622〜626、1997)、それ故、この遺
伝子をヒトSmad6(hSmad6)と命名した(図9A)。図9A
はヒトおよびマウスSmad6とヒトSmad7とを比較した配列
を示す。同一の残基を四角で囲む。マッド(Mad)相同
性MH2ドメインの境界を矢印で示す。ヒトSmad6のGenBan
k受託番号はAF043640である。ヒトとマウス間のSmad6の
配列同一性は他のSmadで観察されるものに比較して低
い;例えば、ヒトとマウスのSmad7は98%同一である(H
ayashi et al.、1997;Nakao et al.、1997)。図9BはhS
mad1からhSmad7までのhSmad9との間の対となった直接関
係を示す。これまでに同定されたヒトSmadの中で、hSma
d6がhSmad7にもっとも密接に関係している(総配列同一
性41%)。Smad7のN−末端ドメイン同様、Smad6のN−
末端ドメインはSmad1からSmad5までのMH1ドメインに非
常に弱い類似性を示す。特に、hSmad6はそのカルボキシ
末端尾部の保存SS(M/V)Sモチーフを欠き、経路制限S
madの場合にはそれが適切なタイプIレセプターキナー
ゼによりリン酸化される。最近、HataらはhSmad6の配列
(受託番号AF035528)を報告した(Hata et al.、Genes
Dev.、12:186〜197、1998)。2つの配列を比較する
と、1個のヌクレオチドの違いが1個のアミノ酸の違い
となることが分かる(AF043640のコドン21はアスパラギ
ン酸残基であることが予測される)。
例9:肺ガンセルラインにおけるSmad6とSmad7の発現 すでに報告したように、種々のヒト組織中のSmad6 mR
NAの分布は、Smad6が種々のヒト組織中で広範に発現さ
れたことを明らかにした。約3kbのSmad6転写物1種が検
出された(Imamura、T.、et al.、1997)。興味深いこ
とに、Smad6およびSmad7の発現プロフィール(Nakao et
al.、1997)は肺での再高度発現と非常に類似してい
た。それ故、一連の10種の異なる肺ガンセルライン(4
種のSCLCおよび6種の非SCLC)につき、Smad6およびSma
d7 mRNA発現を検討した(図9C)。最高のSmad6 mRNAの
発現がSCLCセルラインH−69とH−82、また、非SCLCセ
ルラインH−661とH−23に検出され、一方、SCLCセル
ラインU−1690、H−69とH−82、また、非SCLCセルラ
インH−157とH−125は最高レベルのSmad7 mRNAを発現
した。このように、2つの遺伝子は異なる発現をし、こ
れら細胞におけるSmad6とSmad7発現の間に相関性を認め
なかった。
例10:TGF−βファミリーメンバーはMv1LuおよびHaCat細
胞中にSmad6およびSmad7 mRNAを誘導する ミンク肺上皮セルライン(Mv1Lu)およびヒトケラチ
ンセルライン(HaCat)は、TGF−β1、アクチビンおよ
びBMP−7に応答性である(Yashamita et al.J.Cell Bi
ol.130:217〜226、1995)、Smad7 mRNAはTGF−β1によ
り急速に包含される(Nakao et al.、1997)。Smad6お
よびSmad7発現のノーザンブロット分析はTGF−β1(10
ng/ml)、アクチビン(50ng/ml)およびBMP−7(500ng
/ml)で刺激したMv1LU細胞およびHaCat細胞から調製し
たRNAについて実施した。フォスファー・イメージャー
による定量は、Mv1Lu細胞において(90分間のリガンド
刺激とGAPDHでのmRNA発現レベルの正常化の後)TGF−β
1、アクチビンおよびBMP−7はSmad6 mRNAの発現を、
それぞれ6倍、2倍および3倍誘発し、Smad7 mRNAの発
現をそれぞれ5倍、2倍および3倍誘発し、そしてHaCa
t細胞において(図10Aパネル2)TGF−β1、アクチビ
ンおよびBMP−7はSmad6 mRNA発現をそれぞれ4倍、2
倍および12倍誘発し、Smad7 mRNAの発現をそれぞれ6
倍、3倍および6倍誘発することを明らかにした。両遺
伝子とも3種すべてのリガンドで急速に誘発された(図
10A)。Smad6およびSmad7はTGF−βおよびアクチビンに
より同様の速度論で誘発され、発現の主ピークは90分の
刺激後に現われた。Smad6およびSmad7 mRNA発現の第二
のピークは24時間のMv1LU細胞刺激後、特にTGF−β1の
刺激の後に観察された(図10A)。Mv1Lu細胞中でのSmad
6とSmad7に対するBMP7−誘導mRNAの発現プロフィールに
は相違があった;一方、Smad7 mRNA発現は90分でピーク
に達し、その後、低レベルまで減少したが、Smad6 mRNA
は90分の刺激後も高いままであった(図10A)。リガン
ド処理に先立ち、細胞を0.5%FCSで処理すると、阻害性
Smadの発現基礎レベルが低下し、リガンドで観察される
mRNA誘導をより明確なものとすることが判明した。リガ
ンドによる刺激後のSmad6およびSmad7 mRNAの発現は、
高細胞密度および低細胞密度の培養において同様であっ
た。
上記実施例に示したように、Smad7はTGF−βおよびア
クチビンを阻害するのみならず、BMPシグナル伝達をも
阻害する。Smad7はBMPタイプIレセプターと会合し、BM
PR−I仲介シグナル伝達を阻害する。このように、Smad
7はTGF−β1、アクチビンならびにBMP−7によるシグ
ナル伝達にマイナスのフィードバック制御を発揮する可
能性がある。
例11:Smad6はTGF−β1の直接標的遺伝子である すでに、TGF−β1によるSmad7 mRNAの誘導がシクロ
ヘキシミド(CHX)の存在下に観察されたことを述べた
が、このことは新しいタンパク合成にはこの応答が必要
とされないことを示している。Smad6 mRNAのTGF−β1
による誘発もまたCHXの添加後に見られた(図10B)。CH
X(20μg/ml)をTGF−β1の30分前に添加した。Smad6
mRNAの誘発はTGF−β1単独の場合に比べて、TGF−β1
とCHXの共存下で引き延ばされたが、これは恐らくCHX−
誘発の転写リプレッサー喪失またはSmad6 mRNA安定化増
大の結果である。これらの結果にもとづくと、Smad6お
よびSmad7の転写は、経路制限共通メディエイターであ
るSmadにより直接調節されていると思われる。それ故、
Smad4を欠くMDA−MB−468乳ガン細胞へのTGF−β1の影
響(Lagna et al.、Nature、383:832〜836、1996)につ
き検討した(図10C)。これらの細胞において、Smad6 m
RNAの発現はTGF−β1の影響を受けなかった。Smad7の
発現はTGF−β1の存在下または不存在下において検出
レベル以下であったか、またはおそらくSmad7遺伝子が
これらの細胞に存在していない可能性がある。総合する
と、これらの結果はSmad6およびSmad7がTGF−βファミ
リーメンバーの即時型応答遺伝子であることを示してい
る。
例12:アンチセンス発現コンストラクトのトランスフェ
クションはTGF−β1に対する細胞応答性を上昇させる 阻害性Smadの発現レベルがTGF−β1に対する応答性
を調節するかどうかを検討するために、TGF−β1−誘
発転写応答を、アンチセンスSmad7 cDNA発現コンストラ
クトをトランスフェクトしたMv1Lu細胞中で測定した。
血清存在下に増殖するMv1Lu細胞は比較的高い構成的Sma
d7発現能を有し(図9C)、Smad7はTGF−β1により急速
に誘発される(図10A)。アンチセンスSmad7発現コンス
トラクト(mSmad7r)のトランスフェクションはMv1Lu細
胞中でのTGF−β1仲介p3TPLux転写応答を増大させた
が、空ベクターまたはアンチセンスSmad3発現コンスト
ラクト(hSmad3r)は無効であった。TGF−β1(10ng/m
l)を細胞溶解の4時間前に添加し、ルシフェラーゼ活
性を測定した。データは平均+/−SEMとして表す。Mv1
Lu細胞を20μgのアンチセンスSmad7発現プラスミドで
トランスフェクションすると、TGF−β1応答が増大し
た;これを4時間の刺激後、レポーター含有PA I−1プ
ロモーター(p3TPlux)の活性化として測定した。Smad7
アンチセンストランスフェクト細胞中で増大したTGF−
β応答は、空発現ベクタートランスフェクト対照細胞に
比較して2〜4倍であった(図11);応答はトランスフ
ェクトアンチセンス発現コンストラクトの量に依存して
いた。アンチセンスSmad3発現コンストラクトでのトラ
ンスフェクションは阻害応答を全く示さないか、または
微弱であった(図11)。これらの結果はSmad7の発現レ
ベルがTGF−β1に対する細胞応答性を決めることを示
す。
例13:EGFおよびPMAのSmad6およびSmad7 mRNA発現への影
響 異なるシグナル伝達経路間の混線の可能性を検討する
ために、ホルスコリン(cAMPの活性化剤)、表皮増殖因
子(EFG)およびフォルボールエステル(PMA)応答の影
響を10ng/mlのTGF−β1存在下および不存在下に定量し
た。ホルスコリン単独では影響を示さなかったが、TGF
−β1誘発のSmad6およびSmad7 mRNA発現は僅かながら
上昇した。EGF(10ng/ml)はそれ自体でSmad6およびSma
d7 mRNA発現を誘発することが可能であって、Smad7 mRN
Aの誘発に対してはTGF−β1と相乗的に作用した(図12
A)。EGFはTGF−β1の60分前に加えた。PMA(10-8M)
のみでは評価し得る影響を示さなかったが、PMAをTGF−
β1と一緒に加えた場合には、Smad6およびSmad7発現の
誘発に強力な相乗的応答が観測された(図12B)。この
特定の実験において、Smad6およびSmad7 mRNAのTGF−β
1仲介誘発は非常に低かったが、X線フィルムに長時間
露出した場合には観測可能であって、これによって相乗
効果をより明確にし得た。PA I−1遺伝子の発現はPMA
(4時間でピーク)よりもTGF−β1(90分でピーク)
によって、より急速に誘発されることが分かったが、こ
れを細胞のPMAおよびTGF−β1の影響を示すコントロー
ルとして入れた。
例14:Smad7はTGF−β誘発応答阻害においてSmad8よりも
より強力である アフリカツメガエルのSmad8はC−ドメイン内におい
てマウスSmad7と96%のアミノ酸同一性を有する(Nakay
ama et al.、1998)。このドメインがレセプター結合に
対して、また、数種のTGF−β誘発応答阻害に対して十
分であるとすれば、これらのタンパクはレセプター結合
および下流シグナル伝達の阻害に関して同様に振る舞う
と予測し得るであろう。この可能性に相応して、Smad8
は活性化したTβR−I、BMPR−I A、BMPR−I Bおよび
ActR−Iと相互作用した。さらに、Smad9はSmad1および
Smad5のBMPR I仲介リン酸化を用量依存的に阻害し、マ
ウスSmad7とは識別し得なかった。図13AはSmad8がSmad2
のTβR−I仲介リン酸化を阻害するが、効率はSmad7
に劣ることを示す。細胞にF−Smad2を単独またはF−S
mad7またはF−Smad8と一緒に、TβR−IおよびTβ
R−IIの存在下、トランスフェクトした;細胞は次いで
TGF−βの存在下または不存在下に培養した。F−Smad2
リン酸化のレベルは[32P]オルトリン酸エステル標識
および細胞溶解液のFlag抗血清による免疫沈降により定
量した。F−Smadの発現は細胞溶解液の一部につき、Fl
ag抗血清によるウエスターンブロッティングにより分析
した。図13BはMv1Lu細胞中Smad7のトランスフェクショ
ンがTGF−β誘発P3TPLux応答を阻害し、その効率がSmad
8に勝ることを示す。このように、Smad7がSmad2のTβ
R−I仲介リン酸化を効率的に阻害した一方で、Smad8
ではその効果が劣っていた(図13A)。興味深いこと
に、これはp3TPLuxレポーター遺伝子のTGF−β誘発転写
活性化阻害において、Smad8に対するSmad7のより顕著な
影響と相関した(図13B)。重要なことは、Smad7はアフ
リカツメガエル中胚葉誘発アッセイでのアクチビンシグ
ナル伝達阻害においてSmad8よりもより有効なことであ
る(Nakayama et al.、1998)。
例15:Smad7およびSmad8による部分的二次軸椎形成 Smad7がインビボでのBMPシグナルトランスダクション
を阻害するか否かを決めるために、アフリカツメガエル
胚においてSmad7の過剰発現を原因とするパターニング
欠陥を分析した。図14Aは対照オタマジャクシの顕微鏡
写真を示し、図14Bは腹側細胞におけるSmad7のミス発現
により造られた同胞オタマジャクシを示す。部分的二次
背側軸椎(矢印)の誘発に注意。図14Cおよび図14D(対
照)は一次軸椎(矢印)および二次軸椎(矢先端)にお
いて免疫反応性筋を示すSmad7−RNA注射同胞を描いたも
のである。図14Eは背側細胞にSmad8が過剰発現して形成
された胚の目の欠陥および二分脊椎を示す。図14Aは背
側細胞にSmad7が過剰発現して形成された胚の目の融合
を示す。アフリカツメガエル胚の腹側に、ドミナントネ
ガティブBMPレセプターまたはリガンドなどの既知BMPア
ンタゴニストが過剰発現すると、部分的二次軸椎形成を
誘発する(Graffの総説、Cell 89:171〜174、1997)。S
mad7をコードするRNA200または400pgを4細胞胚の腹側
中線付近に注射すると、それぞれ90%(n=100)また
は96%(n=79)の胚に二次背側軸椎を形成した(図14
B)。二次軸椎の形成は、Smad7の単離C−ドメインをコ
ードするRNA200pgを注射した胚の94%(n=98)に観察
された。Smad7またはSmad7のC−ドメインにより誘発し
た軸椎は免疫応答性筋肉を含んでいた(図14D)が、脊
索を欠いていた。同じ一連の実験において、アフリカツ
メガエルSmad8をコードするRNA200または400pgを腹側中
線付近に注射すると、注射した胚のそれぞれ87%(n=
92)または91%(n=101)に二次軸椎の形成を誘発し
た。2つの遺伝子産物により誘発された軸椎間の1つの
顕著な違いはSmad8により誘発された二次軸椎は症例の1
0%(200pg)または41%(400pg)に単眼または融合眼
を含んでおり、一方、眼の形成はSmad7のミス発現によ
り稀にしか(胚の3%)見られなかったこと、また、RN
Aの高用量(400pg)を注射したときのみである。
例16:背側細胞でのSmad7の異所性発現はSmad8の過剰発
現を原因とするパターニング欠陥のサブセットを誘発す
る アフリカツメガエル胚の背側細胞内におけるSmad8の
異所性発現はBMPシグナル伝達の閉塞に帰し得ない一連
の表現型欠陥を生じる。これらは神経ひだ融合(二分脊
椎)不全ならびに一連の眼の欠陥を含む(Nakayama et
al.、1998)。背側細胞内におけるSmad7およびSmad8の
ミス発現を原因とするパターニング欠陥を直接比較する
ために、両タンパクをコードするRNA200pgを4細胞胚の
腹側中線付近に注射した。Smad8注射胚の20%が二分脊
椎を発達させ、40%が眼の色素沈着増加を示した(n=
50)が、Smad7注射胚の97%が完全に正常に成長した
(n=89)。Smad8またはSmad7のいずれかをコードする
RNAを高用量(400ng)注射した場合には、Smad8注射胚
の40%が二分脊椎を発達させ(図14E、n=124)だが、
Smad7 RNA注射胚では7%のみ(n=140)、また、対照
RNA(mycエピトープ標識をコード、n=70)を注射した
胚では3%がこの欠陥を表現した。それに対し、Smad7
注射胚の43%が多様な眼の欠陥、僅かなものから中程度
の眼の色素増大、眼の融合を発生させた(図14F)。Sma
d8注射同胞の47%が同等の眼の欠陥を発生させた(Naka
yama et al.、1998)。二分脊椎、眼の誘導または眼の
欠陥を表現するSmad8注射胚割合は、これらの実験にお
いて、以前に報告された(Nakayama et al.、1998)も
のより幾分低かったが、これは恐らく2つの実験に使用
した胚間の本質的な差によるものである。これらの結果
は総合すると、Smad7およびSmad8はインビボで共通のシ
グナル伝達経路により相互に作用し合うことができる。
ただし、Smad8は未同定ながら付加的な経路を標的とす
ることもあり得ることを示唆する。それ故、アフリカツ
メガエル胚においてのSmad8の過剰発現は、Smad7の発現
によっては観察されないパターニング欠陥を生じ、Smad
7とSmad8が別個のシグナル伝達経路を優先的に標的とす
る可能性を示唆する。これらの差異が種特異性によると
いう可能性、例えば、哺乳類Smad7は、アフリカツメガ
エルSmad8よりもより効率的に翻訳される、あるいは哺
乳類細胞のレセプターとより効率的に相互作用するとい
う可能性を排除することはできないが、結果はこの解釈
を支持しない。特に、Smad7は哺乳類とアフリカツメガ
エル系双方において、Smad8とよりもより強力なTGF−β
/アクチビンシグナル伝達のアンタゴニストである。
例17:Smad7はTGF−β1誘発増殖阻害を阻害するが、Sma
d6は阻害しない 阻害性SmadがTGF−β1仲介増殖阻害に影響するか否
かを検討するために、マウスFlag標識Smad6(F−Smad
6)およびF−Smad7を安定的にMv1Lu細胞にトランスフ
ェクトした;Smad6およびSmad7を、pMEP4発現ベクターに
より、ヒト誘発性メタロチオネインII Aプロモーターの
転写制御下に置いた。Smad6の報告された両方の形状を
試験した;マウスSmad6長鎖型(Smad6L;Imamura et a
l.、Nature 398:622〜626、1997)ならびにヒトSmad6短
鎖型(Smad6S;Topper et al.、PNAS 94:9314〜9319、19
97)。図15は塩化亜鉛の存在下または不存在下の安定な
トランスフェクトMv1LuセルラインにおけるSmad発現レ
ベルの特性を示す;野生型F−Smad7(pMEP4−smad7;3
つの独立クローン、7−3、7−5S、および7−10)、
Smad7のN−末端ドメイン(pMEP−7N、クローン7N−
5)、C−尾部に欠失を有するSmad7(pMEP4−7NCΔ、
クローン7NCΔ−7)、Smad7のC−末端ドメイン(pMEP
4−7CΔ、クローン7CΔ−7)、およびSmad6の‘短鎖’
変異体(pMEP4−Smad6S,クローンS6−2)とSmad6の
‘長鎖’変異体(pMEP4−Smad6L、クローンL6−3)の
発現結果を示す。細胞を代謝により標識し、細胞溶解物
をFlag抗体による免疫沈降に付した。免疫沈降物をSDS
−PAGEにより分析した。Smad6S、Smad6LおよびSmad7の
発現を分析した際、阻害性Smadが誘導剤塩化亜鉛の不存
在下にすでに発現されているのを我々は観測した。これ
はメタロチオネイン・プロモーター漏出の結果である。
各トランスフェクト体細胞を塩化亜鉛で予め処理すると
Smad6およびSmad7の発現を増大させた(図15)。次いで
我々はSmad7およびSmad7(および空pMEP4)トランスフ
ェクト体のTGF−β1−誘発増殖阻害に対する応答を、
塩化亜鉛の存在下または不存在下に試験した。複数の個
別のSmad7−発現クローンを分析した。我々はSmad7がMv
1LuにおいてTGF−β1−誘発増殖阻害効果を防止するこ
とを見出した(図16A〜C)。すべてのSmad7クローンに
おいて、TGF−β1−誘発増殖阻害がブロックされた
が、その程度はSmad7のそれらの異なる発現レベルと相
関した。pMEP4−トランスフェクトMv1Lu細胞は、塩化亜
鉛の存在または不存在下、非トランスフェクトMv1Lu細
胞同様のTGF−β1に対する用量応答曲線を示した。異
所性発現Smad6LまたはSmad6SはTGF−β1−誘発増殖阻
害に影響しなかった(図16D、E)。図16は塩化亜鉛の
存在下または不存在下、TGF−β1のpMEP4トランスフェ
クト細胞への影響を示す。対照に対し比較した相対増殖
をTGF−β1の濃度に対してプロットする。TGF−β1の
異なるロットを実験A〜C対D、Eに用いたが、これは
これらの実験においてpMEP4トランスフェクト細胞のED5
0の間に何故差が存在するのかを説明する。提示したデ
ータはすべて平均+/−SEDである。このように、Smad7
はTGF−β1−誘発増殖阻害に拮抗し、Smad6より有効で
あると思われる。
例18:Smad7はTGF−β1−誘発転写応答を阻害する 次いで我々は異所性Smad7の発現が内因性初期応答遺
伝子Smad7、PA I−IおよびJunBのTGF−β1−誘発発現
に及ぼす影響を検討した(図17)。式17では、異所的に
発現されたSmad7がJUNB(A)、Smad7(B)およびPA I
−1mRNA(E)発現のTGF−β1−仲介誘発を阻害するこ
とを示す。pMEP4−Smad7をTGF−β1に接触させ、塩化
亜鉛で予め処理して、または処理せずに安定的にpMEP4
−Smad7をトランスフェクトしたMv1Lu細胞からのRNAに
ついてノーザンブロット分析した。JunB、Smad7およびP
A I−1の内因性mRNAを矢印で示す。Smad7ブロットの星
印はトランスフェクトF−Smad7mRNAを示す。泳動した
総RNAの量と未変化量をエチジウムブロマイド染色によ
りチェックした(CおよびF)。JunB(A)およびSmad
7プローブ(B)について、同じブロットを用いたが、P
A I−11プローブ(E)のブロットとは異なっていた。
2時間のTGF−β1刺激に先立ち、細胞を20時間塩化亜
鉛で処理した後、異所的に誘発されたSmad7は、TGF−β
処理後の内因性遺伝子と同様のSmad7mRNA異所性発現レ
ベルでTGF−β1−誘発即時型遺伝子を阻害することを
見出した(図17B)。興味深いことに、塩化亜鉛で6時
間処理したことにより、Smad7発現クローンにおいて初
期応答遺伝子のTGF−β1刺激による有意な影響は観察
されなかったが、20時間の事前処理に対し、異所性Smad
7mRNAレベルは明らかに6時間後に高かった。おそら
く、Smad7mRNAの差異は塩化亜鉛処理によるSmad7タンパ
クレベルと正確には相関しないか、あるいはゆっくりし
た反応速度で起こる特定の翻訳後修飾がMv1Lu細胞中で
のSmad7とレセプターの相互作用にとって必要なのかも
知れない。
例19:トランスフェクトCOS細胞および非トランスフェク
トMv1Lu細胞中のTGF−β1−誘発Smad7の核移動 トランスフェクトCOS細胞中でのF−Smad6、F−Smad
7およびF−Smad2の細胞下局在化を、構成的活性TβR
−I(T204D)の存在または不存在下に、Flag抗体を用
いる免疫蛍光法により分析した(図18A)。図18におい
て、パネルAはトランスフェクトCOS細胞中、構成的活
性TβR−I(T204D)突然変異体の存在または不存在
下での、F−Smad6、F−Smad7およびF−Smad2の細胞
分布を示す。Flag抗体を用いる免疫蛍光法によると、Sm
adは細胞内に局在していた。パネルBはTβR−I(T2
04D)の存在または不存在下にF−Smadを染色する核対
細胞質細胞の定量を示す。パネルCはTGF−β1の存在
または不存在下での、非トランスフェクトMv1Lu細胞に
おけるSmad7およびSmad6の細胞分布を示す。Smad6(ES
P)またはSmad7(KER)に対する特異抗血清を用いる
と、Smadは細胞内に局在していた。Smad6は細胞の細胞
質に主に局在しており、細胞局在化はTβR−I(T204
D)、構成的活性TβR−1とSmad6の共トランスフェク
ションとは異なっていた。Smad7は細胞核に局在してい
たが、総処理細胞の大部分はTβR−I(T204D)との
共トランスフェクションにより核から細胞質に輸送され
ていた;これは初期の報告と一致する(Eppert et al.1
996;Nakao et al.、1997)。TβR−I(T204D)の存
在または不存在下に異なるSmadを染色する核対細胞質の
定量を図18Bに提示する。核の局在化をDAPI染色により
チェックした。Smad7対Smad2とSmad6の細胞分布におい
て観測された差異は、Smad7が核からTβR−I仲介に
より輸送されることの機能的重要性を示唆する。しか
し、COS細胞における過剰発現およびエピトープ標識の
使用がSmad7の細胞分布に影響する可能性がある。それ
故、非トランスフェクトMv1Lu細胞における阻害性Smad
の細胞分布を、Smad6とSmad7を特異的に認識する抗血清
を用い試験した。トランスフェクトCOS細胞での結果と
一致して、TGF−β1(またはBMP−7)の存在または不
存在下にSmad6の細胞質染色を観察した。幾つかの実験
において、TGF−β1−誘発核転位が細胞の数個に観察
された(図18C)。リガンドが存在しない場合、核の染
色がSmad7に観察された。しかし、TGF−β1刺激によ
り、Smad7の細胞質蓄積が誘発された(図18C)。Smad6
とSmad7のそれぞれ異なるエピトープに対して作製した
2つの異なる抗血清(Smad6の場合、Smad6Lは認識する
が、Smad6Sは認識しない)は同じ結果を与えた。
例20:TGF−β1の存在または不存在下でのSmad7欠失変
異体の特徴的局在 F−Smad6とF−Smad7を安定的に発現するMv1Lu細胞
中のF−Smad6とF−Smad7の細胞局在を、Flag抗体およ
び免疫蛍光法を用い、TGF−β1の存在または不存在下
に分析した。図19に、TGF−β1の存在または不存在下
でのSmad7変異体の細胞下局在を示す。細胞を塩化亜鉛
で予め処理した。Flag抗体を用いると、Smadは細胞に局
在していた。トランスフェクトCOS細胞と非トランスフ
ェクトMv1Lu細胞を使用した実験に比較して、同一の結
果を得た;F−Smad6LとSmad6Sのための細胞質染色、対す
るF−Smad7のためのTGF−β1−誘発核移動(図19)。
核局在化およびTGF−β1−誘発核移動にとって重要なS
mad7の領域についてさらに知見を得るために、異なるSm
ad7欠失変異体の細胞分布を分析した。F−Smad7のC−
末端ドメイン(7C;アミノ酸204〜426)のpMEP4発現コン
ストラクト、C−尾部欠失F−Smad7C(7CΔ;アミノ酸
204〜407)、C−尾部欠失Smad7(7Δ;アミノ酸1〜4
07)、およびSmad7のN−末端ドメイン(7N;アミノ酸1
〜203)を安定的にMv1Lu細胞にトランスフェクトし、塩
化亜鉛処理にもとづくSmad7発現につきセルラインを特
徴付けした(図15)。細胞はすべてある程度の漏出発現
を示したが、すべてのセルラインにおいて亜鉛処理がSm
adタンパクの発現を含んでいた。TGF−β1の存在また
は不存在下での7C突然変異体(塩化亜鉛処理後)の細胞
分布は野生型Smad7に類似していたが、その核移動効率
は野生型Smad7よりも遥かに劣っていた。未処理MH2ドメ
インは、7CΔおよび7Δ突然変異体がTGF−β1の不存
在下細胞質において優先的であるので、核局在化にとっ
て重要であると思われた。Smad7NはTGF−β1の存在ま
たは不存在下、細胞質に見出された;それは点局在して
おり、特定の細胞構造との会合を示唆していた(図1
9)。Smad7欠失コンストラクトは、Smad7野生型で観察
されたように、いずれもTGF−β1−誘発増殖阻害に干
渉し得なかった。
例21:マウスSmad7プロモーターの特徴付け マウスSmad7プロモーターは市販品として入手し得る1
29/Svマウス株のゲノムDNAライブラリー(ストラタジー
ン、ラホーラ、カリフォルニア)から、〜800bpのSmad7
cDNAフラグメント(ヌクレオチド883〜1614、配列番号:
3)をプローブとして用い、単離した。
単離した推定Smad7プロモーターはSmad7マウスゲノム
DNA5'−末端からの〜4,465bp Xho I−Xho Iフラグメン
トから構成されていた。単一のBamH I部位を5'−Xho I
部位による制限地図作製により〜3,840bpと同定した。
〜4,465bp Xho I−Xho I DNAのプロモーターの性質を決
定するために、このDNAフラグメントの3つの異なる領
域(すなわち、〜4,465bp Xho I−Xho I、〜725bp BamH
I−Xho I,および〜3,840bp Xho I−BamH I)を、市販
入手可能なpGL3基本発現ベクター(Promega,Madison、W
I)のプロモーター欠損ルシフェラーゼレポーター遺伝
子の5'位置に挿入し、HepG2細胞にトランスフェクトし
た。トランスフェクションに続き、細胞DMEM(0.3%FB
S)中で、一夜飢餓状態とし、後、10ng/mlのTGF−β1
またはビヒクル(ネガティブコントロール)により16時
間刺激した。細胞を溶解し、ルシフェラーゼ分析に付し
た。図21に示したこれらの結果は、〜4465bp Xho I−Xh
o Iおよび〜725bp BamH I−Xho Iフラグメントはともに
非相同ルシフェラーゼ転写単位にTGF−β1誘発性を付
与するが、〜3840bp Xho I−BamH Iフラグメントは付与
しないことを示す。
725bpのBamH I−Xho I Smad7プロモーター・フラグメ
ントをさらに特徴付けした。その配列を配列表の配列番
号:15として示す。転写開始部位はRNAasePretectionア
ッセイにより位置づけ、配列番号:15の〜ヌクレオチド4
99と位置を定めた。この開始部位はまた、かかる部位を
検索するためのコンピューター・ソフトウエア・プログ
ラムにより決定した予測される開始部位に一致すること
が分かった(Wingender、E.et al.、Biotechnology、19
94、35:273〜280;Prestidge、D.et al.、J.Mol.Biol.、
1995、249:923〜932)。図22はBamH I−Xho Iプロモー
ター・フラグメントにおける異なる転写因子およびSmad
タンパクの幾つかの制限酵素部位と推定結合部位を示
す。非Smad転写因子の推定結合部位は、当該技術に周知
のTFSEARCHコンピューター・プログラムおよびTRANSFAC
MATRIX TABLEデータベースにより同定した。推定Smad
結合領域は文献の配列情報を使用して評価した。
本明細書に開示された全ての引用文献は、引用により
その全体を取り込まれる。
配列表の後に請求の範囲が続く。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07K 14/47 C07K 19/00 16/18 C12Q 1/68 A 19/00 G01N 33/15 Z C12N 5/10 33/50 Z C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/15 5/00 B 33/50 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 60/075,940 (32)優先日 平成10年2月25日(1998.2.25) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/077,033 (32)優先日 平成10年3月6日(1998.3.6) (33)優先権主張国 米国(US) (72)発明者 テン ディーク,ピーター スウェーデン王国 S―751 24 ウッ プサラ、ピー.オー.ボックス 595 (56)参考文献 特開 平10−295381(JP,A) Nature Genet.,1996 年,Vol.13,No.3,p.347− 349 Nature,1996年,Vol.383, No.12,p.168−172 Cell,1996年,Vol.85,N o.7,p.947−950 Proc.Acad.Sci.US A,1996年,Vol.93,p.12992− 12997 Nature,1997年,Vol.389, p.549−551 Nature,1996年,Vol.383, p.832−836 Nature,1996年,Vol.381, p.620−623 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq SwissProt/PIR/GeneS eq BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】核酸分子が配列番号:7及びEMBL受託番号AA
    347307からなる配列を除くことを条件として、 (a)配列番号:5に記載の核酸配列からなる分子にスト
    リンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつTGF−
    βスーパーファミリーシグナルを阻害するポリペプチド
    をコードする、核酸分子、 (b)遺伝コードの縮重により、コドン配列において
    (a)の核酸分子とは異なる核酸分子、並びに (c)(a)及び(b)の相補鎖、 からなる群から選択される、単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】配列番号:5又は配列番号:8を含む、請求項
    1に記載の単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】配列番号:3のヌクレオチド883〜1614から
    なる配列番号:3のユニークフラグメント、又はその相補
    鎖から選択される、単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】ポリペプチドがTGF−βスーパーファミリ
    ーシグナル阻害活性を有する、請求項1又は2に記載の
    単離された核酸分子によりコードされる単離されたポリ
    ペプチド。
  5. 【請求項5】配列番号:6のアミノ酸配列を含む分子から
    なる、請求項4に記載の単離されたポリペプチド。
  6. 【請求項6】TGF−βスーパーファミリーシグナル伝達
    を阻害する、機能的なフラグメント又は変異体からな
    る、請求項4に記載の単離されたポリペプチド。
  7. 【請求項7】配列番号:4若しくは6のアミノ酸2−261
    又は配列番号:4若しくは6のアミノ酸204−426からな
    る、単離されたポリペプチド。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のポリペプチドをコードす
    る、単離された核酸分子。
  9. 【請求項9】プロモーターに作動的に連結されている、
    請求項1、2、3又は8に記載の単離された核酸分子を
    含む、発現ベクター。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の発現ベクターで、トラ
    ンスフォーム又はトランスフェクトした宿主細胞。
  11. 【請求項11】請求項1、2、3又は8に記載の単離さ
    れた核酸分子によりコードされるポリペプチドに選択的
    に結合する単離された抗体又はそのフラグメントであっ
    て、配列番号:6の配列からなるポリペプチドにより規定
    されるエピトープに対して結合してもよく、配列番号:1
    1、配列番号:12、配列番号:13、及び配列番号:14からな
    る群から選択されるポリペプチドにより規定されるエピ
    トープを選択的に結合してもよく、Fabフラグメント、
    F(ab)フラグメント及びSmad7ポリペプチドについ
    て選択的なCDR3領域を含むフラグメントからなる群から
    選択される抗体フラグメントであってもよく、又は、モ
    ノクローナル抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体であって
    もよい、前記抗体又はそのフラグメント。
  12. 【請求項12】ポリペプチドの単離された複合体であっ
    て、 活性化TGFβスーパーファミリータイプIレセプター及
    びTGFβスーパーファミリータイプIレセプターとTGFβ
    スーパーファミリータイプIIレセプターとの複合体から
    なる群から選択されるレセプターと、それに結合した請
    求項4に記載のポリペプチドとを含み、レセプターが、
    TβR I、BMPR−I A、BMPR−I B、ActR−I A、TβR I
    とTβR IIとの複合体、BMPR−I AとBMPR−IIとの複合
    体、BMPR−I BとBMPR−IIとの複合体、ActR−I AとBMPR
    −IIとの複合体及びActR−I AとActR−IIとの複合体か
    らなる群から選択されてもよく、請求項4に記載のポリ
    ペプチドが配列番号:6のアミノ酸配列からなってもよ
    い、前記複合体。
  13. 【請求項13】ほ乳類細胞中のTGF−βスーパーファミ
    リーシグナルトランスダクションを減少させるための方
    法であって、 ほ乳類細胞を、細胞内のSmad7又はそのフラグメントの
    量を増加させる薬剤と、ほ乳類細胞中のTGF−βスーパ
    ーファミリーシグナルトランスダクションを減少させる
    ために効果的な該薬剤の量にて接触させる工程であっ
    て、ここで、TGF−βスーパーファミリーシグナルトラ
    ンスダクションがTGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP−
    4及びBMP−7からなる群から選択されるTGFβスーパー
    ファミリーリガンドにより仲介されるシグナルトランス
    ダクションであってもよく、また薬剤が、配列番号:4の
    アミノ酸配列をコードする核酸、配列番号:6のアミノ酸
    配列をコードする核酸、配列番号:4のアミノ酸204−426
    をコードする核酸、配列番号:6のアミノ酸204−426をコ
    ードする核酸、配列番号:4のアミノ酸2−261をコード
    する核酸、配列番号:6のアミノ酸2−261をコードする
    核酸からなる群から選択される前記工程を含む、前記方
    法。
  14. 【請求項14】その増殖が、TGF−βスーパーファミリ
    ーシグナルトランスダクションにより変動する、細胞の
    増殖を調節するための方法であって、 細胞を、細胞の増殖を調節するために効果的な量の、請
    求項1に記載の単離された核酸又は単離されたSmadポリ
    ペプチド発現産物と接触させる工程を含む、前記方法。
  15. 【請求項15】細胞中でのTGF−βスーパーファミリー
    シグナルトランスダクションを増加させる方法であっ
    て、 細胞を、細胞中のTGF−βスーパーファミリーシグナル
    トランスダクションを増加させるために効果的な量の、
    請求項1に記載の単離された核酸分子又はその単離され
    たSmadポリペプチド発現産物に選択的に結合する薬剤と
    接触させる工程であって、TGF−βスーパーファミリー
    シグナルトランスダクションが、TGF−β1、アクチビ
    ン、Vg1、BMP−4及びBMP−7からなる群から選択され
    るTGFβスーパーファミリーリガンドにより仲介されて
    もよく、また薬剤が、完全Smad7コード領域のアンチセ
    ンス核酸である上記工程を含む、前記方法。
  16. 【請求項16】完全Smad7コード領域のアンチセンス核
    酸又は、 (1)配列番号:4のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    配列番号:6のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番
    号13のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号:14
    のアミノ酸配列を含むポリペプチド、Smad7のN−末端
    フラグメント及びSmad7のC−末端フラグメントからな
    る群から選択されるポリペプチドを結合する抗体、及び (2)Smad7のドミナントネガティブ変異体からなる群
    から選択されるポリペプチドの、対象中のSmad7 TGF−
    βスーパーファミリー阻害活性を減少させるための薬剤
    の製造への使用。
  17. 【請求項17】細胞中の機能的TGFβスーパーファミリ
    ーレセプターの存在を同定するための方法であって、TG
    Fβスーパーファミリーレセプターが、TGF−βスーパー
    ファミリータイプIレセプター、TGF−βスーパーファ
    ミリータイプIIレセプター、及びTGF−βスーパーファ
    ミリータイプIレセプターとTGF−βスーパーファミリ
    ータイプIIレセプターとの複合体からなる群から選択さ
    れてもよく、 (a)細胞中のSmad7の量を増加させるために効果的な
    量のTGFβスーパーファミリーリガンドと、細胞を接触
    させる工程、 (b)細胞中のSmad7RNA又はポリペプチドの量を測定す
    る工程、及び (c)TGFβスーパーファミリーリガンドの不存在下に
    おける対照と(b)の結果を比較する工程であって、細
    胞中のSmad7RNA又はポリペプチドの増加した量が、機能
    的なTGFβスーパーファミリーレセプターの存在を示す
    上記工程を含む、前記方法。
  18. 【請求項18】Smad7TGF−βスーパーファミリー阻害活
    性に関連する疾病の診断又は治療に有用な薬理学的薬剤
    のためのリード化合物(lead compound)を同定するた
    めの方法であって、TGF−βスーパーファミリーのメン
    バーが、TGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP−4及びBMP
    −7からなる群から選択されてもよく、 請求項4に記載のSmad7ポリペプチド、TGF−βスーパー
    ファミリーレセプター複合体又は活性化TGFβスーパー
    ファミリータイプIレセプター、及び候補薬理学的薬剤
    (candidate pharmacological agent)を含む混合物を
    形成する工程であって、Smad7ポリペプチドが、配列番
    号:4のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号:6の
    アミノ酸配列を含むポリペプチド、Smad7のN−末端フ
    ラグメント及びSmad7のC−末端フラグメントからなる
    群から選択されてもよい上記工程、 候補薬理学薬剤の不存在下において、Smad7ポリペプチ
    ドによるTGF−βスーパーファミリーレセプター複合体
    又は活性化TGFβスーパーファミリータイプIレセプタ
    ーの特異的な結合の基準量を起こす条件下で混合物をイ
    ンキュベートする工程、 Smad7ポリペプチドによるTGF−βスーパーファミリーレ
    セプター複合体又は活性化TGFβスーパーファミリータ
    イプIレセプターの特異的な結合の試験量を同定する工
    程であって、特異的結合の基準量に対する特異的結合の
    試験量の減少が、候補薬理学的薬剤はSmad7TGF−βスー
    パーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を
    阻害する、薬理学的薬剤のためのリード化合物であるこ
    とを示し、特異的結合の基準量に対する特異的結合の試
    験量の増加が、候補薬理学的薬剤はSmad7 TGF−βスー
    パーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を
    増強する、薬理学的薬剤のためのリード化合物であるこ
    とを示す上記工程を含む、前記方法。
  19. 【請求項19】Smad7 TGF−βスーパーファミリーシグ
    ナルトランスダクション阻害活性に関連する疾病の診断
    又は治療に有用な薬理学的薬剤のためのリード化合物を
    同定するための方法であって、TGF−βスーパーファミ
    リーのメンバーが、TGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP
    −4及びBMP−7からなる群から選択されてもよく、 請求項4に記載のSmad7ポリペプチド、TGF−βスーパー
    ファミリーレセプター複合体又は活性化TGFβスーパー
    ファミリータイプIレセプター、経路特異的Smadポリペ
    プチド及び候補薬理学的薬剤を含む混合物を形成する工
    程であって、経路特異的Smadポリペプチドが、Smad1、S
    mad2、Smad3及びSmad5からなる群から選択されてもよ
    く、Smad7ポリペプチドが、配列番号:4のアミノ酸配列
    を含むポリペプチド、配列番号:6のアミノ酸配列を含む
    ポリペプチド、Smad7のN−末端フラグメント及びSmad7
    のC−末端フラグメントからなる群から選択されてもよ
    い上記工程、 候補薬理学的薬剤の不存在下において、TGF−βスーパ
    ーファミリーに誘導される経路特異的Smadポリペプチド
    のリン酸化の基準量を起こす条件下で混合物をインキュ
    ベートする工程、 TGF−βスーパーファミリーに誘導される経路特異的Sma
    dポリペプチドのリン酸化の試験量を同定する工程であ
    って、経路特異的Smadポリペプチドのリン酸化の基準量
    に対する経路特異的Smadポリペプチドのリン酸化の試験
    量の減少が、候補薬理学的薬剤はSmad7のTGF−βスーパ
    ーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を増
    強する、薬理学的薬剤のためのリード化合物であること
    を示し、経路特異的Smadポリペプチドのリン酸化の第一
    の量に対する経路特異的Smadポリペプチドのリン酸化の
    試験量の増加は、候補薬理学的薬剤はSmad7のTGF−βス
    ーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性
    を阻害する、薬理学的薬剤のためのリード化合物である
    ことを示す前記工程を含む、前記方法。
  20. 【請求項20】Smad7のMH2ドメイン又はその核局在化フ
    ラグメントからなる第一のポリペプチド及び第二のポリ
    ペプチドを含む、融合タンパク。
  21. 【請求項21】Smad7制御遺伝子転写の転写を調節する
    ための方法であって、 ほ乳類細胞を、Smad7制御遺伝子転写を調節するために
    効果的な量の、TGFβスーパーファミリーレセプター仲
    介シグナルトランスダクションを調節する薬剤と接触さ
    せることを含み、薬剤がTGFβスーパーファミリーリガ
    ンドである、前記方法。
  22. 【請求項22】配列番号:15のヌクレオチド配列、その
    対立遺伝子的変異体、又はSmad7マウスゲノムDNA5'−末
    端からの〜4,465bpXho I−Xho Iフラグメントを含む、
    単離された核酸分子。
  23. 【請求項23】請求項22に記載の単離された核酸分子を
    含む、発現ベクター。
  24. 【請求項24】第一の核酸分子の転写を調節するための
    方法であって、 請求項22に記載の単離された核酸分子に作動的に結合さ
    れている第一の核酸分子を含むコンストラクトを作製す
    る工程、及び TGFβスーパーファミリーレセプターを含む発現系にコ
    ンストラクトを導入する工程であって、発現系が細胞で
    あってもよい上記工程を含み、細胞がTGFβレセプター
    を発現し、第一の核酸分子の発現を増加させるために、
    細胞をTGFβと接触させる工程をさらに含んでもよい、
    前記方法。
  25. 【請求項25】TGFβの転写活性を制御する調節体を同
    定するための方法であって、 検出可能な発現産物をコードする核酸に作動的に結合さ
    れている配列番号:15又はそのTGFβ制御フラグメントを
    含むリポーターコンストラクトを発現系に供給する工
    程、 候補調節体化合物と発現系を接触させる工程であって、
    発現系が細胞及びインビトロ無細胞転写系からなる群か
    ら選択されてもよい上記工程、 発現系を、候補調節体の不存在下で、検出可能な発現産
    物の発現の基準量を起こす条件下でインキュベートする
    工程であって、検出可能な発現産物がレポータータンパ
    クであってもよい上記工程、及び 検出可能な発現産物の発現の試験量を検出する工程であ
    って、候補調節体化合物の存在下における検出可能な発
    現産物の発現の増加の検出は、候補調節体化合部がTGF
    β制御転写活性を増加する化合物であることを示し、候
    補調節体化合物の存在下における検出可能な発現産物の
    発現の減少の検出は、候補調節体化合物がTGFβ制御転
    写活性を減少させる化合物であることを示す上記工程を
    含む、前記方法。
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