JP3429512B2 - ファイバ導光式レーザ装置 - Google Patents

ファイバ導光式レーザ装置

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昭男 田中
康以知 大森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザ共振器からレ
ーザ光を光ファイバで被加工物まで導くファイバ導光式
レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にこの種のファイバ導光式レーザ装
置は図3のように構成されている。すなわち図3に示す
ように、レーザ共振器1から出たレーザ光2はまず集光
レンズ3で小さな点に絞られ、そして光ファイバ4でレ
ーザ光2を目的の場所へ伝送する。なお、図中の5は光
ファイバ4の先端から照る出射レーザ光,6は被加工物
である。
【0003】ところでレーザ光を発生するレーザ共振器
1は、発生させるレーザの波長によりその構成は多少異
なる。現在ファイバ導光式レーザとして最も普及してい
るのは、固体レーザの1種であるNd:YAGレーザ
(波長1.06μm)と石英製光ファイバの組合せであり、
1kw級大出力レーザの伝送が可能となっている。しか
し、特に医療用レーザとして実用面から最も期待されて
いるのは、水に効率よく吸収する中遠赤外波長のレーザ
であるが、これらの波長に対しては前記石英ファイバで
は光を吸収してしまい透過させることが不可能である。
このため、これらの波長の高出力レーザを導光できる高
性能光ファイバの開発は遅れており、現在盛んに研究開
発されている。たとえば、波長3〜15μmのレーザ光に
対してはハライド結晶が優れているとされているが、耐
パワー性は数10w程度に留まっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ような従来のファイバ導光式レーザの構成では、ファイ
バ4の端面に汚れや吸湿等の外的損傷要因が付着して対
パワー性能の低下が生じた場合でも、所定レーザ出力が
変更することなく照射され、ファイバ耐用寿命を短くし
ている。
【0005】本発明は、このような従来の問題点を解決
するものであり、光ファイバ耐久寿命の大幅な向上が可
能なファイバ導光式レーザ装置を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のファイバ導光式レーザ装置は、レーザ共振
器と、前記レーザ共振器から出力されたレーザ光を被加
工物まで導く光ファイバと、前記レーザ光を前記光ファ
イバに集光して入射させる集光装置と、前記光ファイバ
入射部エネルギ密度を調整するエネルギ密度調整手
段とを備え、前記レーザ共振器からレーザ光を照射した
後のエネルギ密度を、前記光ファイバの焼損の閾値より
小さく且つ前記光ファイバの入射部に付着した汚れや吸
湿を蒸散可能な大きさに一定期間保つようにした。
【0007】
【作用】上記構成において、光ファイバに集光して入射
するレーザ光のエネルギ密度はエネルキ密度調整手段で
調整され、ファイバ端面に汚れや吸湿などの外的損傷要
因が付着して耐パワー性能の低下が生じ始めた場合で
も、直接瞬時に過大なエネルギ密度のレーザ光を照射す
ることがない。このとき、照射直後の平均エネルギ密度
はファイバ焼損の閾値より小さく、しかも、吸湿やわず
かな汚れは蒸散可能な値にしてあり、このため光ファイ
バへの損傷が軽減されることとなる。
【0008】
【実施例】以下に本発明のファイバ導光式レーザ装置の
一実施例を図1にもとづき説明する。なお図3に示した
従来例と同じ構成要素には同じ符号を付して詳しい説明
は省略し、図3と異なる点について説明する。図1にお
いて、1はレーザ共振器であり、特定波長のレーザを生
成する。生成レーザ(すなわち波長)の種類によって共
振器1の構造は一般に異なる。すなわち固体レーザでは
光励起を、気体レーザでは放電励起を用いることが多
い。図1ではこの電源回りの細部構造は省略してある。
【0009】7はエネルギ密度制御手段であり、光ファ
イバ4に入射するレーザのエネルギ密度を調整できるよ
うになっている。本実施例では、レーザ共振器1の出力
を制御することにより、光ファイバ4への入射エネルギ
密度を調整する。
【0010】図2は本発明のファイバ導光式レーザ装置
の他の実施例を示す概略構成図であり、前記実施例と異
なる点について説明する。この実施例において、エネル
ギ密度調整手段7は、集光装置3を光軸方向に微動可能
とする焦点ビーム径制御手段よりなっている。そして集
光装置3と光ファイバ4との相対距離を制御することに
より、光ファイバ4への入射エネルギ密度を調整する。
【0011】次に上記実施例の動作について図4、図5
を参照して説明する。図4はファイバ入射平均エネルギ
密度と焼損までの耐久寿命との関係を示す図である。光
ファイバの耐久寿命は入射平均エネルギ密度に概ね反比
例する傾向があり、図示のようにファイバ端面に汚れが
付着する場合には耐久寿命が短くなる。汚れ付着の影響
は付着初期の軽微な場合には寿命低下はわずかである
が、汚れ付着が大きくなると急速に寿命低下する。
【0012】図5は本発明におけるエネルギ密度漸増パ
ターンの説明図である。ファイバ入射平均エネルギ密度
を一定閾値以下p1 に設定してレーザ照射を短時間t1
実施後、所定レーザ出力pにまで増加させる。(このと
き、レーザおよび使用光ファイバの種類によって設定す
る絶対値は異なる)このようにすれば、前図4から明ら
かなように、汚れや吸湿などの付着が始まったばかりの
段階での損傷を大幅に低減することができる。
【0013】なお、この効果は高融点で非晶質のファイ
バよりも、融点が低く結晶性のファイバの方が顕著であ
り、寿命向上への寄与が非常に大きい。
【0014】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように本発明
はレーザ共振器と、前記レーザ共振器から出力されたレ
ーザ光を被加工物まで導く光ファイバと、前記レーザ光
を前記光ファイバに集光して入射させる集光装置と、前
記光ファイバ入射部エネルギ密度を漸増するエネルギ密
度調整手段とを備えているので、ファイバ端面に汚れや
吸湿等の外的損傷要因が付着しても、付着が始まったば
かりの段階での損傷を大幅に低減することができる。こ
のため、光ファイバ耐久寿命の大幅に向上可能なファイ
バ導光式レーザ装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のファイバ導光式レーザ装置
の構成図
【図2】本発明の他の実施例のファイバ導光式レーザ装
置の構成図
【図3】従来のファイバ導光式レーザ装置の構成図
【図4】ファイバ入射平均エネルギ密度と耐久寿命との
関係を示す特性図
【図5】エネルギ密度漸増パターン例を示す説明図
【符号の説明】
1 レーザ共振器 2 レーザ光 3 集光装置 4 光ファイバ 5 出射レーザ光 6 被加工物 7 エネルギ密度調整手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−40591(JP,A) 特開 昭61−41105(JP,A) 特開 昭63−248586(JP,A) 特開 昭59−97109(JP,A) 特開 平4−70612(JP,A) 特開 平2−20681(JP,A) 特開 昭62−151286(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/08 B23K 26/00 G02B 6/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザ共振器と、前記レーザ共振器から出
    力されたレーザ光を被加工物まで導く光ファイバと、前
    記レーザ光を前記光ファイバに集光して入射させる集光
    装置と、前記光ファイバ入射部エネルギ密度を調整
    するエネルギ密度調整手段とを備え、前記レーザ共振器
    からレーザ光を照射した後のエネルギ密度を、前記光フ
    ァイバの焼損の閾値より小さく且つ前記光ファイバの入
    射部に付着した汚れや吸湿を蒸散可能な大きさに一定期
    間保つファイバ導光式レーザ装置。
  2. 【請求項2】前記エネルギ密度調整手段にレーザ出力調
    整手段を用いた請求項1記載のファイバ導光式レーザ装
    置。
  3. 【請求項3】前記エネルギ密度調整手段に集光ビーム径
    調整手段を用いた請求項1記載のファイバ導光式レーザ
    装置。
  4. 【請求項4】光ファイバに結晶ファイバ用いた請求項
    2または3のいずれかに記載のファイバ導光式レーザ装
    置。
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