JP3429483B2 - 一酸化窒素トラップ剤 - Google Patents

一酸化窒素トラップ剤

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JP3429483B2 JP2000281021A JP2000281021A JP3429483B2 JP 3429483 B2 JP3429483 B2 JP 3429483B2 JP 2000281021 A JP2000281021 A JP 2000281021A JP 2000281021 A JP2000281021 A JP 2000281021A JP 3429483 B2 JP3429483 B2 JP 3429483B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、一酸化窒
素トラップ剤に関するものである。さらに詳しくは、こ
の出願の発明は、生理条件下においても一酸化窒素を可
逆的に結合脱離できる一酸化窒素トラップ剤、一酸化窒
素検出剤、および一酸化窒素吸収剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術とその課題】地球上の対流圏における窒素
酸化物(NOx; 一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(N
2))の年間放出量は約5,000万トンに及ぶ。最大の発
生源は地球の中緯度地帯における化石燃料の燃焼による
もので、続いて熱帯地域での植物燃料の燃焼、農業廃棄
物の燃焼、森林やサバンナの火災といったバイオマスの
燃焼となっている。
【0003】放出されるNOxのほとんどがNOであ
り、大気中から放出されにくいNOは、オゾンやラジカ
ルにより酸化されてNO2となり、最終的には植物によ
り吸収され、大気中から除去される。しかし、化学的に
安定であるNO2は成層圏にまで拡散し、そこでオゾン
や紫外線による分解を受けN2Oとなり、オゾン層の分
解を促進してしまう。
【0004】NOxの濃度は一般に都市域で20〜500 ppb
と高く、田園地域で1〜10 ppbと低い。上記のような背
景からNOxの放出量を制御するために、NOxの濃度を
精度高く測定する方法やNOxを効率よく吸収する吸収
剤の開発に注目が集まっている(例えばNO-化学と生
物、化学総説30、学会出版センター(1996)等)。
【0005】また、生体内においては、NOが血圧調
節、神経伝達、免疫反応などの生理作用に関与している
ことが明らかになっており、循環器系、中枢神経系、免
疫系などの幅広い領域でその役割が研究されている。し
かし、NOがどのような機序で生理作用を発現している
のかについては、これまで必ずしも明らかにされていな
かったのが実情である。
【0006】そこで、生理条件下、または生体内でNO
を感度良く検出する方法やNOを特異的に検出定量する
方法が確立されれば、基礎医学、臨床医学などの広い範
囲において重要な知見が得られると期待される。
【0007】NOは生理条件下では極微量しか生成され
ないため、一般にその直接測定法は難しい。これまでの
知られているNOの測定法には、NOの酸化物を測定す
る間接法と、NOを直接測定する直接法がある(NO-
化学と生物、化学総説30、学会出版センター(1996)
等)。間接法にはオゾン化学発光法、グリース反応法、
蛍光法、ルミノール化学発光法などがある。また、直接
法には電極法、電子スピン共鳴スペクトル法(ヘモグロ
ビン法、鉄-ジチオカルバメート法、ジエン法、PTIO
法)などがある。中でも、ヘモグロビン法はデオキシヘ
モグロビンをNOトラップ試薬として検出する比較的簡
便な方法として用いられている。
【0008】ヘモグロビン法は、ヘモグロビンの活性中
心であるヘム鉄の第6配位座にNOが結合して6配位型
のニトロシルヘム錯体が形成される際に現れる、電子ス
ピン共鳴スペクトルの特徴的な3本線の超微細構造シグ
ナルによりNO濃度を定量する方法である。このため、
ヘモグロビン法では、NO濃度の検出限界がヘモグロビ
ンのNO親和性に対応して、10 nMと比較的高いという
利点がある。
【0009】仮に、ヘモグロビンの代替物としてよりN
O親和性の高い合成ヘム錯体を利用することができれ
ば、その検出限界、精度、安定性をさらに向上させるこ
とが可能となるばかりでなく、取り扱い易さ、生産性も
一層向上させることができると考えられる。
【0010】NOを結合できる金属錯体としては、鉄、
コバルト、白金の低分子錯体などが知られており、NO
との接触により瞬時にニトロシル錯体を形成する。特
に、生体内ヘム蛋白質とNOの相互作用への関心から、
ポルフィリン鉄(II)錯体とNOの反応が詳細に解明され
ている(例えば、M. Hoshino et al., J. Phys. Chem.,
93, 5478 (1989); B. M. Hoffman et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 75,21 (1978))。
【0011】一般にNOは一酸化窒素(CO)や酸素
(O2)とは異なり、強いトランス効果を持っているた
め、NOがポルフィリン鉄(II)錯体に配位すると、トラ
ンス位に結合している軸塩基が脱離し易くなる。ヘム蛋
白質中においても、例えば可溶性グアニル酸シクラーゼ
のように、NOの結合によって起こるヒスチジン配位子
の脱離が、酵素活性を発現する契機となるものも存在す
る。実際に、プロトポルフィリン鉄(II)IX(2-メチルイ
ミダゾール)錯体の水溶液にNOを通気すると、イミダ
ゾールが脱離して5配位型ニトロシルプロトポルフィリ
ン鉄(II)錯体が得られることが報告されている(E. J.
Rose et al., J. Am. Chem. Soc., 109, 2866 (198
3))。つまり、合成ポルフィリン金属錯体に可逆的なN
O吸脱着能を付与するためには、NOの結合に伴って起
こり得る軸塩基の脱離を阻止することが必要条件とな
る。もちろん、大過剰の軸塩基配位子を系内に共存させ
れば、配位平衡をずらし、その脱離を抑制することがで
きる。しかし、テトラフェニルポルフィリン鉄(II)(1,2
-ジメチルイミダゾール)錯体の場合、6配位型ニトロシ
ルヘム錯体を形成させるには、実に1 M以上の1,2-ジメ
チルイミダゾールの共存が必要となることが知られてお
り、(M. Shimidzu ら、Inorg. Chem. Acta., 91, 251
(1984))これを生体系で用いることは、非現実的であ
る。
【0012】一方、ヘモグロビンやミオグロビンの可逆
的なO2吸脱着を、合成ポルフィリン金属錯体を用いて
達成しようとする研究が従来から数多くなされている
(例えば、J. P. Collman, Acc. Chem. Res., 10, 265
(1979); F. Basolo et al., Acc. Chem. Res., 8, 384
(1975))。特に、イミダゾールやピリジン誘導体等の軸
配位塩基を共有結合によりポルフィリン環に導入した置
換ポルフィリン金属錯体(ポルフィリン/イミダゾール
のモル比を1/1の最小必要量に抑制したことになる)が
多く合成されており、そのほとんどが安定な酸素配位錯
体を形成するものとして報告されている(M. Momentau,
Chem. Rev., 94, 659 (1994)等)。本発明者らも、軸
塩基を分子内配位させたポルフィリン金属錯体を合成
し、その可逆的なO2の吸脱着能について報告している
(特開平6-271577号公報等)。
【0013】しかしながら、これらの軸塩基配位子を共
有結合したポルフィリン金属錯体において、NOとの配
位平衡、NO結合に伴う軸塩基の脱離の有無、NO配位
パラメーターなどを詳細に報告した例はこれまで知られ
ていないのが実情である。
【0014】さらに、これらの合成ポルフィリン金属錯
体をNOトラップ剤や、NO検出剤として用いるために
は、安定性も重要な課題となる。また、生理条件下や生
体内においてこれらのポルフィリン金属錯体を用いる場
合には、水に可溶とする必要があるという問題もあっ
た。
【0015】そこで、この出願の発明は、以上の通りの
事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を
解消し、生理条件下においても感度よく作用する一酸化
窒素トラップ剤、一酸化窒素検出剤、および一酸化窒素
吸着剤を提供することを課題としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記のとおり、この出願
の発明者らは、これまでに酸素結合脱離能を有する種々
のポルフィリン金属錯体を合成し、報告してきた。ま
た、ポルフィリン環面上に末端親水性アルキル置換基を
導入した様々な両親媒性ポルフィリンを合成し、生体適
合性の高いリン脂質二分子膜に包埋・配向させることに
より、水相系において効率よく酸素を運搬できるO2
搬体をも開発している(特開昭60-101490号広報、特開
昭58-213777号広報等)。
【0017】さらに、この出願の発明者らは、これら両
親媒性ポルフィリン金属錯体単体が、水中で自己組織化
して、ポルフィリン金属錯体集合体を形成することを明
らかにしている(E. Tsuchida et al., Langmuir, 15,
4427 (1999)など)。
【0018】そして、より生体適合性に優れたポルフィ
リン金属錯体の担体として、血漿タンパク質の50〜55%
を占め、生体内で種々の化合物の運搬を担っている血清
アルブミンによりポルフィリン金属錯体を包含したポル
フィリン金属錯体-アルブミン包含体を、水中で安定な
2運搬体として提供し、さらに、より高濃度のO2を溶
解できる系として、アルブミンの多量体にポルフィリン
金属錯体を包接させたポルフィリン金属錯体包接アルブ
ミン多量体も開発している(特開平8-301873号公報)。
【0019】本発明者らは、以上のとおりのO2結合性
ポルフィリン金属錯体や、それを活性部位として包含さ
せたポルフィリン金属錯体集合体、ポルフィリン金属錯
体包含体に関する研究成果を元に、さらなる鋭意研究を
重ね、この出願の発明を完成させた。
【0020】すなわち、この出願の発明は、上記の課題
を解決するものとして、まず第1には、少なくとも次の
一般式(I)
【0021】
【化5】
【0022】(ただし、R1は各々同一または別異に水
素もしくは少なくとも窒素、酸素、リンのいずれかの原
子を含む置換基、R2は水素またはイミダゾールの中心
金属への配位を阻害しない置換基であり、kはアルキル
鎖長を示す1〜18の整数、lはアルキル鎖長を示す3
〜10の整数であり、Mは第4周期または第5周期の遷
移金属類から選択される遷移金属のイオンである)で表
わされるポルフィリン金属錯体、または次の一般式
(2)
【0023】
【化6】
【0024】(ただし、R3は各々同一または別異にビ
ニル基またはhが0〜17の整数である(CH3)CH
O(CH2hCH3で表わされる1−アルカンオキシエ
チル基、R4は水素またはイミダゾールの中心金属への
配位を阻害しない置換基であり、mおよびnは同一また
は別異に 3〜10 の整数、Mは第4周期または第5
周期の遷移金属類から選択される遷移金属のイオンであ
る)で表わされるポルフィリン金属錯体のいずれかを含
む一酸化窒素トラップ剤を提供する。
【0025】第2には、この出願の発明は、前記一酸化
窒素トラップ剤において、ポルフィリン金属錯体のMが
+2価または+3価のFeあるいはCoである一酸化窒
素トラップ剤を提供する。
【0026】さらに、第3には、この出願の発明は、少
なくとも次の一般式(I)
【0027】
【化7】
【0028】(ただし、R1は各々同一または別異に水
素もしくは少なくとも窒素、酸素、リンのいずれかの原
子を含む置換基、R2は水素またはイミダゾールの中心
金属への配位を阻害しない置換基であり、kはアルキル
鎖長を示す1〜18の整数、lはアルキル鎖長を示す3
〜10の整数であり、Mは第4周期または第5周期の遷
移金属類から選択される遷移金属のイオンである)で表
わされるポルフィリン金属錯体、または次の一般式
(2)
【0029】
【化8】
【0030】(ただし、R3は各々同一または別異にビ
ニル基またはhが0〜17の整数である(CH3)CH
O(CH2hCH3で表わされる1−アルカンオキシエ
チル基、R4は水素またはイミダゾールの中心金属への
配位を阻害しない置換基であり、mおよびnは同一また
は別異に 3〜10 の整数、Mは第4周期または第5
周期の遷移金属類から選択される遷移金属のイオンであ
る)で表わされるポルフィリン金属錯体のいずれかを含
有するポルフィリン金属錯体含有構造体を含む一酸化窒
素トラップ剤をも提供する。
【0031】第4には、この出願の発明は、前記第3の
発明において、ポルフィリン金属錯体のMが+2価また
は+3価のFeあるいはCoである一酸化窒素トラップ
剤を提供する。
【0032】また、この出願の発明は、第5には、前記
第3または第4の発明の一酸化窒素トラップ剤におい
て、ポルフィリン金属錯体含有構造体が、ポルフィリン
錯体が水中で自己組織化してなるポルフィリン金属錯体
集合体であること、第6には、ポルフィリン金属錯体含
有構造体が、ポルフィリン錯体が界面活性剤からなるミ
セル、リン脂質小胞体、リン脂質被覆脂肪乳剤、血清ア
ルブミン、または血清アルブミン多量体のいずれかにに
包含されてなるポルフィリン金属錯体包含体であるこ
と、第7には、ポルフィリン金属錯体含有構造体が、ポ
ルフィリン金属錯体を高分子に担持したポルフィリン金
属錯体−高分子複合体であることを特徴とする一酸化窒
素トラップ剤を提供する。
【0033】さらに、第8には、この出願の発明は、前
記のいずれかの一酸化窒素トラップ剤を有効成分として
含有する一酸化窒素検出剤を、第9には、前記のいずれ
かの一酸化窒素トラップ剤を有効成分として含有する一
酸化窒素吸着剤をも提供する。
【0034】
【発明の実施の形態】発明者らは、前記のとおり、これ
までに発明者らにより培われたO2と特異的に結合脱離
するポルフィリン金属錯体に関する知見をもとに鋭意研
究を進めた成果として、軸塩基配位子を分子内に共有結
合させたポルフィリン金属錯体において、NOが配位し
た後でもトランス位の軸塩基が脱離することがなく、可
逆的なNOの結合解離が達成される事実を見出してい
る。
【0035】すなわち、軸塩基を分子内に共有結合した
ポルフィリン金属錯体は、6配位型のニトロシルヘム錯
体を形成できるので、これを包含したポルフィリン金属
錯体は、可逆的なNO吸脱着が可能となることが明らか
になったのである。発明者は、さらに、このようなポル
フィリン金属錯体において、NO吸脱着がNO分圧差に
より可逆的に繰り返し安定に行うことができることをも
見出し、この出願の発明を完成するに至ったものであ
る。
【0036】すなわち、一般式(I)
【0037】
【化9】
【0038】(ただし、R1は各々同一または別異に水
素もしくは少なくとも窒素、酸素、リンのいずれかの原
子を含む置換基、R2は水素またはイミダゾールの中心
金属への配位を阻害しない置換基であり、kはアルキル
鎖長を示す1〜18の整数、lはアルキル鎖長を示す3
〜10の整数であり、Mは第4周期または第5周期の遷
移金属類から選択される遷移金属のイオンである)で表
わされるポルフィリン金属錯体や、次の一般式(2)
【0039】
【化10】
【0040】(ただし、R3は各々同一または別異にビ
ニル基またはhが0〜17の整数である(CH3)CH
O(CH2hCH3で表わされる1−アルカンオキシエ
チル基、R4は水素またはイミダゾールの中心金属への
配位を阻害しない置換基であり、mおよびnは同一また
は別異に 3〜10 の整数、Mは第4周期または第5
周期の遷移金属類から選択される遷移金属のイオンであ
る)で表わされるポルフィリン金属錯体が、一酸化窒素
(NO)トラップ剤の有効成分として作用することを見
出している。
【0041】前記一般式(I)および(II)のポルフィ
リン金属錯体において、中心金属Mは、周期律表の第4
及び第5周期に属する遷移金属(すなわち、クロム、マ
ンガン、鉄、コバルト、ルテニウム等)のイオンであれ
ばよく、特に制限されない。中でも、鉄及びコバルトで
あることが好ましく、とくに鉄が好ましい。さらに、こ
れら中心金属の価数が+2価、または+3価であること
が好ましい。
【0042】この出願の発明の一酸化窒素トラップ剤で
は、ポルフィリン金属錯体が前記一般式に示されるとお
り、分子内にイミダゾールを共有結合していること、と
くにポルフィリン環の2−位にアルキルキミダゾリル基
が結合していることが重要である。
【0043】この出願の発明者らの研究によれば、分子
内にそのようなイミダゾリル基を持たないポルフィリン
錯体は、外部から小過剰のイミダゾール誘導体(例え
ば、1-メチルイミダゾール)を添加しても、NOの通気
により軸配位塩基が脱離して、5配位型ニトロシル錯体
を形成してしまうので、可逆的なNO結合は実現されな
い。
【0044】この出願の発明の一酸化窒素トラップ剤で
は、そのNO親和性、結合解離速度、毒性、生分解性等
は、前記ポルフィリン金属錯体の化学構造、すなわちR
1〜R4の各置換基の構造や、アルキル鎖長(k〜n)を制
御することにより任意に調整できる。
【0045】また、この出願の発明の一酸化窒素トラッ
プ剤において、含有される一般式(I)で表されるポル
フィリン金属錯体は、5,10,15,20-テトラ(α,α,α,α
-o-(置換アミド)フェニル)ポルフィリン金属錯体であ
り、そのアルキルイミダゾリル基がポルフィリン環の2
−位に結合している。
【0046】また、この出願の発明の一酸化窒素トラッ
プ剤に含有される一般式(II)で示されるポルフィリン
金属錯体は、生体内のヘモグロビンと同様のプロトポル
フィリンIX誘導体であり、生体適合性の点では優れたも
のである。
【0047】さらに、この出願の発明の一酸化窒素トラ
ップ剤は、少なくとも上記のいずれかのポルフィリン金
属錯体を含有しているものであればよく、その製造方法
はとくに限定されない。しかし、上記のポルフィリン金
属錯体は、いずれも比較的簡単に製造できるものである
ことから、この出願の発明の一酸化窒素トラップ剤は、
工業的規模での生産にも適したものである。
【0048】例えば、一般式 (II)で表されるポルフィ
リン金属錯体のうち、R2がビニル基であるポルフィリ
ン誘導体は、公知の方法(T. G. Traylor et al., J. A
m. Chem. Soc., 101, 6716 (1979))に基づいて合成さ
れる。また、R2が1-アルカンオキシエチル基であるポ
ルフィリン誘導体も、公知の方法(特開平8-301873号公
報)により合成できる。
【0049】この出願の発明の一酸化窒素トラップ剤に
おいては、さらに、ポルフィリン金属錯体が、上記のポ
ルフィリン金属錯体を含有するポルフィリン金属錯体含
有構造体として含まれていてもよい。
【0050】このようなポルフィリン金属錯体含有構造
体としては、前記ポルフィリン金属錯体が水中で自己組
織化して形成されるポルフィリン金属錯体集合体が例示
される。このようなポルフィリン金属錯体集合体は、ポ
ルフィリン金属錯体以外にも、種々の溶媒、酸化剤、緩
衝液、色素、指示薬等を有していてもよく、その組成等
は限定されない。
【0051】また、前記ポルフィリン金属錯体が水に不
溶である場合には、これを界面活性剤からなるミセル、
リン脂質により形成される小胞体、リン脂質被覆脂肪乳
剤、あるいはアルブミン内に内包させたり、水溶性また
は両親媒性高分子に結合させたりすることによって包含
体とし、水に可溶化することができる。このとき、血漿
タンパク質であるアルブミンは、生体適合性において、
ミセル、リン脂質小胞体、あるいは脂肪乳剤等に比べて
有利であると考えられる。
【0052】この出願の発明の一酸化窒素トラップ剤に
おいて、ポルフィリン金属錯体含有構造体を、アルブミ
ンを用いたポルフィリン金属錯体包含体とする場合に
は、アルブミンは、ヒト血清アルブミン、組換えヒト血
清アルブミン、ウシ血清アルブミン等どのようなもので
あってもよく、その由来はとくに限定されないが、中で
もヒト血清アルブミンまたは組換えヒト血清アルブミン
を用いることが好ましい。特に遺伝子組換え技術の進展
により、構造・組成及び物理化学的特徴がヒト血清アル
ブミンと同一である高純度の組換えヒト血清アルブミン
が開発されており(横山, 大村, 臨床分子医学, 1, 939
(1993))、この組換えヒト血清アルブミン、あるいは
組換えヒト血清アルブミン多量体に前記のポルフィリン
金属錯体を包含させてなる包含体は、全合成系として提
供できるため、工業的規模での製造も比較的容易であ
り、好ましい。
【0053】もちろん、この出願の発明の一酸化窒素ト
ラップ剤において用いられるポルフィリン金属錯体構造
体としてのポルフィリン金属錯体包含体は、これらのも
のに限定されない。また、ポルフィリン金属錯体包含体
は、種々の溶媒、酸化剤、緩衝液、色素、指示薬等を有
していてもよく、その組成等も限定されない。
【0054】さらに、この出願の発明の一酸化窒素トラ
ップ剤では、ポルフィリン金属錯体含有構造体として、
ポルフィリン金属錯体を高分子に担持したポルフィリン
金属錯体−高分子複合体を用いてもよい。このような複
合体は、溶媒キャスト法による成膜などにより様々な成
型加工が可能であり、得られた成型体そのものを一酸化
窒素トラップ剤として用いることができ、好ましい。こ
のとき、担体として用いられる高分子の種類はとくに限
定されず、使用目的に応じて、機械的強度、耐候性、耐
薬品性、耐水性、生体適合性等を考慮し、最も適した材
料を選択することができる。このようなポルフィリン金
属錯体−高分子複合体は、ポルフィリン金属錯体と高分
子材料以外にも、種々の溶媒、酸化剤、緩衝液、顔料、
指示薬等を含有していてもよく、その組成等も限定され
ない。
【0055】以上のとおり、この出願の発明の一酸化窒
素トラップ剤は、含有するポルフィリン金属錯体が分子
内に軸塩基配位子であるイミダゾリル基を有しているた
め、その平衡定数は従来知られているヘモグロビンより
も格段に大きい。また、この出願の発明の一酸化窒素ト
ラップ剤では、含有するポルフィリン金属錯体において
NO結合に伴う軸塩基の脱離が起こらないため、6配位
型のニトロシル錯体が生成され、NOの結合解離は可逆
的となる。
【0056】つまり、この出願の発明の一酸化窒素トラ
ップ剤は、NOと接触すると速やかにNO配位錯体を形
成し、NO分圧に応じてNOを可逆的に繰り返し安定に
吸脱着することができる。さらに、これらのポルフィリ
ン金属錯体や、これらを含有するポルフィリン金属錯体
含有構造体は、いずれも、NOの結合に伴い最大吸収波
長や吸光度が変化するので、NO検出剤、NO吸着剤、
あるいはNOトラップ剤として用いることができる。
【0057】さらに、以上のとおりのこの出願の発明の
一酸化窒素トラップ剤は、一酸化窒素検出剤、あるいは
一酸化窒素吸着剤の有効成分としても効果的に作用す
る。
【0058】この出願の発明の一酸化窒素トラップ剤、
一酸化窒素検出剤、あるいは一酸化窒素吸着剤はいずれ
も、前記のポルフィリン金属錯体や、ポルフィリン金属
錯体含有構造体以外に、担体となる種々の材料や溶媒、
酸化剤、緩衝液、色素、顔料、充填材、指示薬等を有し
ていてもよく、その組成等も限定されない。
【0059】以下、実施例を示し、この発明の実施の形
態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明
は以下の例に限定されるものではなく、細部については
様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0060】
【実施例】<実施例1>E.Tsuchida et al., J. Chem.
Soc., Perkin Trans 2, 1995, 747(1995)に記載の手法
に従い2-(8-(2-メチルイミダゾール-1-イル)オクタノイ
ルオキシメチル)-5,10,15,20-テトラキス(α,α,α,α-
o-ピバルアミドフェニル)ポルフィナト鉄(III)錯体を合
成した。
【0061】このポルフィリン鉄(III)錯体(0.2μmo
l)のトルエン溶液(10 mL)に、窒素雰囲気下で亜二チ
オン酸水溶液を添加し、得られた二相溶液を激しく攪拌
してトルエン溶液を赤橙色に変化させた。(ポルフィリ
ンの中心鉄が+2価に還元した。) このトルエン溶液を無水硫酸ナトリウムを用いて脱水
し、石英製分光測定用セルに窒素雰囲気下で移し、密封
した。可視吸収スペクトルを測定したところ、λ maxが4
40、536、559 nmに見られ、分子内軸塩基が1つ配位し
た、Fe(II)高スピン5配位錯体の形成が確認された。
【0062】次に、このセルへ5 ppmのNOを通気した
ところ、吸収スペクトルのλmaxが415、(479)、542 nm
に変化し、第6配位座にNOが配位した6配位型ニトロ
シル錯体の形成が示された。
【0063】この濃厚溶液(1 mM)の電子スピン共鳴ス
ペクトルを77 Kにて測定したところ、配位イミダゾー
ル、およびNOの2個の窒素核に基づく9本線が観測さ
れ、そのg値(g1: 2.072, gII-1: 2.034, g2: 2.002, g
3: 1.976)も従来報告されている6配位型ニトロシル錯
体に近い値を示した(T. Yoshimura, Inorg. Chim. Act
a., 46, 69 (1980); T. Yoshimura, Bull. Chem. Soc.
Jpn., 64, 2819 (1991))。
【0064】また、赤外吸収スペクトルにおける配位N
Oの伸縮振動[ν(NO)]が1635 cm-1に出現したこと
からも、6配位型ニトロシルポルフィリン鉄(II)錯体の
形成が確認された(T. Yoshimura, Archives. Biochem.
Biophys., 220, 167 (1983))。
【0065】5配位ポルフィリン鉄(II)-イミダゾール
錯体にNOが配位すると、NOのトランス効果により軸
塩基が脱離し、5配位ニトロシル錯体となることが知ら
れているが、分子内にイミダゾリル基を共有結合したポ
ルフィリン鉄(II)錯体は、イミダゾールを解離すること
なく6配位型ニトロシル錯体を生成することが実証され
た。
【0066】さらに、R. W. Rombergらの方法(Biochem
istry, 18, 5387 (1979))に従い、異なるNO/CO分
圧に対応する可視吸収スペクトル変化からNO親和性
(P1/2 N O)を決定した。P1/2 NOは、1.9x10-8 Torrであ
った。また、レーザーフラッシュホトリシス法を用いて
決定したNO結合速度定数(kon NO)は、8.9x108 M-1s
-1、NO解離速度定数(koff NO)は2.3x10-4s-1であっ
た。 <実施例2>実施例1で得られたポルフィリン鉄(II)錯
体(20μM)を特開平8-301873号公報記載の手法に従っ
てヒト血清アルブミン(2.5μM)に包接した。
【0067】得られたポルフィリン−アルブミン包含体
(ポルフィリン/アルブミン:8 (mol/mol))のリン酸緩
衝水溶液(pH7.4、1/30mM)3 mLを石英製分光測定用セ
ルに移し、窒素雰囲気下で密封した。
【0068】可視吸収スペクトルを測定したところ、λ
maxが443、539、566 nmに見られ、包含されたポルフィ
リン鉄(II)錯体は、分子内軸塩基が1つ配位したFe(II)
高スピン5配位錯体を形成していることがわかった。
【0069】この分散液に1% NOを通気すると、その
可視吸収スペクトルのλmaxは425、546 nmへ移行した。
これより、分子内軸塩基とNOが配位した6配位型ニト
ロシル錯体の形成が示された。
【0070】この濃厚溶液(1 mM)の電子スピン共鳴ス
ペクトルを77 Kにて測定したところ、典型的な6配位ニ
トロシル錯体の形成を示す吸収が観測され、そのg値(g
1: 2.073, gII-1: 2.046, g3: 1.987)も従来報告され
ている6配位型ニトロシルヘモグロビンやミオグロビン
の値(T. Yonetani ら、J. Biol. Chem., 247, 2447(19
72))に近い値を示した。
【0071】5配位Fe(II)ポルフィリン-イミダゾール
錯体にNOが配位すると、NOのトランス効果により軸
塩基が脱離し、5配位ニトロシル錯体となることが知ら
れているが、分子内にイミダゾリル基を共有結合したポ
ルフィリン鉄(II)錯体は、アルブミンに包含された場合
でも、イミダゾールを解離することなく6配位型ニトロ
シルヘム錯体を生成できることが明らかとなった。
【0072】さらに、このポルフィリン−アルブミン包
含体のNO親和性(P1/2 NO)は、1.7x10-6 Torrであっ
た。つまり、この「合成ヘム蛋白質」のNO親和性は、
天然のヘモグロビン(P1/2 NO: 1.5x10-5 Torr)に比
べ、約10倍高いことが示された。
【0073】レーザーフラッシュホトリシス法を用いて
決定したNO結合速度定数(kon NO)は、1.5x107 M-1s
-1、NO解離速度定数(koff NO)は6.7x10-3 s-1であっ
た。 <実施例3>特開平6-271577号公報記載の手法に従い、
2-(11-(N-イミダゾール-1-イル)ウンタデカノイルオキ
シメチル)-5,10,15,20-テトラキス(α,α,α,α-o-(2,2
-ジメチルエイコサンアミド)フェニルポルフィナト鉄(I
I)錯体を合成した。得られた鉄(II)錯体を、T. Komatsu
et al., Macromolecules, 32, 8388(1999)に記載の方
法により合成したアルブミン二量体を用いて、実施例2
と同様の手法により、ポルフィリン鉄(II)錯体-アルブ
ミン二量体包含体の分散液を調製した。
【0074】この分散液に実施例2と同様の方法でNO
を通気することにより、6配位型NO錯体(λmax: 42
6、546 nm)を得た。 <実施例4>特開平11-255789号公報記載の手法に従い2
-(8-(2-メチルイミダゾール-1-イル)オクタノイルオキ
シメチル)-5,10,15,20-テトラキス(α,α,α,α-o-(2,2
-ジメチル-20-(2-トリメチルアンモニオエトキシフォス
フォナトキシ)イコサンアミド)フェニルポルフィナト鉄
(III)錯体を合成した。
【0075】このポルフィリン鉄(III)錯体(0.2 μmo
l)、およびジパルミトイルフォスファチジルコリン(1
0 μmol)を3 mLのメタノール溶液に溶解し、ナス型フ
ラスコに移した後、エバポレーターによりメタノールを
減圧除去しながら薄膜を形成させた。
【0076】得られた薄膜を真空乾燥機で12時間乾燥さ
せた後、リン酸緩衝水溶液(pH7.4、1/30mM)を10 mL加
え、窒素雰囲気下で超音波攪拌を行うことにより均一分
散させた。得られた黄色透明の水分散液を充分に窒素置
換した後、ポルフィリンに対して小過剰のアスコルビン
酸水溶液を加えて中心鉄を還元し、5配位Fe(II)錯体と
した。可視吸収スペクトルを測定したところ、λmax:4
41、536、564 nmが得られた。
【0077】また、この分散液の電子顕微鏡観察から、
粒径30〜40 nm の均一な二分子膜小胞体の形成が確認さ
れた。
【0078】さらに、実施例1と同様の方法で、得られ
た分散液にNOを通気したところ、6配位型ニトロシル
錯体に相当する可視吸収スペクトル(λmax: 421、542
nm)が見られた。 <実施例5>特開平8-301873に従い、8,13-ビス(1'-(オ
クタデカン)エチル)-2-(2'-オクタデカンオキシカルボ
ニル)エチル)-18-(2'-(10''(2-メチルイミダゾリル)デ
カン)アミノカルボニル)エチル-3,7,12,17-テトラメチ
ル-ポルフィナト鉄(III)錯体を合成した。
【0079】このポルフィリン鉄(III)錯体を、実施例
1と同様の手法により、8,13-ビス(1'-(オクタデカン)
エチル)-2-(2'-オクタデカンオキシカルボニル)エチル)
-18-(2'-(10''(2-メチルイミダゾリル)デカン)アミノカ
ルボニル)エチル-3,7,12,17-テトラメチル-ポルフィナ
ト鉄(II)錯体のトルエン溶液とした。
【0080】この溶液に実施例1と同様の方法でNOを
通気したところ、6配位型NO錯体に相当する可視吸収
スペクトル(λmax:420、543、582 nm)が得られた。 <実施例6>2-[8-(N−イミダゾール-1-イル)オクタノ
イルオキシメチル]-5,10,15,20-テトラキス[α,α,α,
α-o-ピバルアミドフェニル]ポルフィナトコバルト(II)
(0.2μmol)、およびポリ(オクチルメタクリレート)
(20 mg)を5 mL のクロロホルム溶液に溶解し、皿型の
テフロン基板上に流し込んだ。真空乾燥機内で徐々に真
空度を上昇させ12時間乾燥させたところ、赤色のポルフ
ィリン金属錯体−高分子複合体膜を得た。
【0081】この薄膜を石英製分光測定用セルに移し、
可視吸収スペクトル測定を行ったところ、λmaxは416、
537 nmであった。これより、イミダゾールが分子内配位
した5配位Co(II)錯体の形成が示された。
【0082】このセル内へ1%NOを通気したところ、λ
maxは427、543 nmへ移行し、6配位型ニトロシル錯体の
形成が確認された。
【0083】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
よって、可逆的な一酸化窒素吸脱着を繰り返し安定に行
うことができるポルフィリン金属錯体を有効成分とした
一酸化窒素トラップ剤、一酸化窒素検出剤、および一酸
化窒素吸着剤が提供される。これらのトラップ剤、検出
剤、および吸着剤を用いることにより、生理条件下にお
いても感度よく一酸化窒素を吸脱着させることができ、
効率よい一酸化炭素の除去や検出が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/00 - 20/34

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも次の一般式(I) 【化1】 (ただし、R1は各々同一または別異に水素もしくは少
    なくとも窒素、酸素、リンのいずれかの原子を含む置換
    基、R2は水素またはイミダゾールの中心金属への配位
    を阻害しない置換基であり、kはアルキル鎖長を示す1
    〜18の整数、lはアルキル鎖長を示す3〜10の整数
    であり、Mは第4周期または第5周期の遷移金属類から
    選択される遷移金属のイオンである)で表わされるポル
    フィリン金属錯体、または次の一般式(2) 【化2】 (ただし、R3は各々同一または別異にビニル基または
    hが0〜17の整数である(CH3)CHO(CH2h
    CH3で表わされる1−アルカンオキシエチル基、R4
    水素またはイミダゾールの中心金属への配位を阻害しな
    い置換基であり、mおよびnは同一または別異に 3〜
    10 の整数、Mは第4周期または第5周期の遷移金属
    類から選択される遷移金属のイオンである)で表わされ
    るポルフィリン金属錯体のいずれかを含むことを特徴と
    する一酸化窒素トラップ剤。
  2. 【請求項2】 ポルフィリン金属錯体におけるMが+2
    価または+3価のFeあるいはCoである請求項1の一
    酸化窒素トラップ剤。
  3. 【請求項3】 少なくとも次の一般式(I) 【化3】 (ただし、R1は各々同一または別異に水素もしくは少
    なくとも窒素、酸素、リンのいずれかの原子を含む置換
    基、R2は水素またはイミダゾールの中心金属への配位
    を阻害しない置換基であり、kはアルキル鎖長を示す1
    〜18の整数、lはアルキル鎖長を示す3〜10の整数
    であり、Mは第4周期または第5周期の遷移金属類から
    選択される遷移金属のイオンである)で表わされるポル
    フィリン金属錯体、または次の一般式(2) 【化4】 (ただし、R3は各々同一または別異にビニル基または
    hが0〜17の整数である(CH3)CHO(CH2h
    CH3で表わされる1−アルカンオキシエチル基、R4
    水素またはイミダゾールの中心金属への配位を阻害しな
    い置換基であり、mおよびnは同一または別異に 3〜
    10 の整数、Mは第4周期または第5周期の遷移金属
    類から選択される遷移金属のイオンである)で表わされ
    るポルフィリン金属錯体のいずれかを含有するポルフィ
    リン金属錯体含有構造体を含むことを特徴とする一酸化
    窒素トラップ剤。
  4. 【請求項4】 ポルフィリン金属錯体におけるMが+2
    価または+3価のFeあるいはCoである請求項3の一
    酸化窒素トラップ剤。
  5. 【請求項5】 ポルフィリン金属錯体含有構造体が、ポ
    ルフィリン錯体が水中で自己組織化してなるポルフィリ
    ン金属錯体集合体である請求項3または4のいずれかの
    一酸化窒素トラップ剤。
  6. 【請求項6】 ポルフィリン金属錯体含有構造体が、ポ
    ルフィリン錯体が界面活性剤からなるミセル、リン脂質
    小胞体、リン脂質被覆脂肪乳剤、血清アルブミン、また
    は血清アルブミン多量体のいずれかに包含されてなるポ
    ルフィリン金属錯体包含体である請求項3または4の一
    酸化窒素トラップ剤。
  7. 【請求項7】 ポルフィリン金属錯体含有構造体が、ポ
    ルフィリン金属錯体を高分子に担持したポルフィリン金
    属錯体−高分子複合体である請求項3または4の一酸化
    窒素トラップ剤。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかの一酸化窒
    素トラップ剤を有効成分として含有する一酸化窒素検出
    剤。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし7のいずれかの一酸化窒
    素トラップ剤を有効成分として含有する一酸化窒素吸着
    剤。
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