JP3428085B2 - 光磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
光磁気記録媒体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録媒体および
その製造方法に関する。さらに、詳しくは高生産性の光
磁気記録媒体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】光記録媒体の中で、書き込み消去のでき
る書き換え可能型として従来知られているものには相変
化型、フォトクロミック型、光磁気型等がある。これら
の書き換え可能型の中でも、光磁気型が書き込み速度や
繰返し耐性に優れているという点で、現在普及しつつあ
る。この光磁気型の記録媒体に用いられる光磁気記録膜
(MO膜)の材料としては、作成が比較的容易で保磁力
が大きいという観点から希土類−遷移金属合金膜(RE
TM膜)が多用されている。 【0003】このRETM膜は耐蝕性に劣り、カ−回転
角が小さいという問題があったため、その問題解決のた
めに従来は誘電体層を設けて耐蝕性を向上させるととも
に、光干渉によりカ−回転角を増加させ反射率を調整す
るという方法が用いられてきた。 【0004】MO膜としては、RETM膜の他にPt/
Co等の人工格子膜も提案されている。この人工格子膜
を用いた光磁気記録媒体においても誘電体層を設けてカ
−回転角を増加させ反射率を調整するという方法が用い
られる。 【0005】この誘電体層の材料には、透明で化学的安
定性の高い窒化ケイ素がよく用いられる。窒化ケイ素を
用いた光磁気記録媒体の構成の一例として、窒化ケイ素
の屈折率を2.0から2.2程度とし、基板/窒化ケイ
素(80〜120nm程度)/RETM(20〜30n
m程度)/窒化ケイ素(15〜35nm程度)/金属反
射膜(30〜100nm程度)という構成をあげること
ができる。各層は通常成膜する層に応じたチャンバ−を
複数備えたマルチチャンバ−のスパッタリング装置によ
り成膜される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】この際、窒化ケイ素よ
りなる誘電体層は、通常ケイ素タ−ゲットを用いアルゴ
ンガスと窒素ガスとの混合ガス中、高周波反応性スパッ
タリングにより形成される。混合ガスを用いるために、
DCスパッタリングのように成膜速度が大きく、応力の
小さい膜を成膜することが困難であった。また、複数種
の膜をマルチチャンバ−のスパッタリング装置で成膜す
る場合、RETM膜は窒素が混入すると特性が劣化する
ことから、チャンバ−間を仕切って窒素ガスの他のチャ
ンバ−への混入を防止しなければならないという問題が
あった。また、この仕切りのためにディスク搬送に時間
がかかり、生産性が低下するという問題もあった。 【0007】さらに、RETM膜および金属反射膜の成
膜速度に比べて窒化ケイ素膜の成膜速度が小さいため、
窒化ケイ素膜の成膜が大量生産のスル−プットの律速と
なっていた。そのため、窒化ケイ素膜を複数のチャンバ
−で成膜することにより各チャンバ−での成膜時間を揃
えてスル−プットを大きくするという方法が行われてい
た。 【0008】 【課題を解決するための手段】上述のような現状に鑑
み、本発明者ら鋭意検討を重ねた結果、光磁気記録媒体
の誘電体層を抵抗率0.05Ωcm以下のSiCターゲ
ットから構成し、かつ、光磁気記録媒体を構成する各層
をアルゴンガスのみによるスパッタリングで成膜するこ
とにより、生産性が向上しまた、マルチチャンバ−のス
パッタリング装置を用いる場合に、チャンバ−間の仕切
りが不要となることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。 【0009】即ち、本発明は、基板上に少なくとも光磁
気記録層と誘電体層とをスパッタリングにより形成して
なる光磁気記録媒体の製造方法において、誘電体層が抵
抗率0.05Ωcm以下のSiCターゲットから構成さ
れ、かつ、光磁気記録媒体を構成する各層がアルゴンガ
スのみによるDCスパッタリングで形成されることを特
徴とする光磁気記録媒体の製造方法に関する。 【0010】以下、本発明を詳細に説明する。 【0011】本発明の光磁気記録媒体の各層の構成につ
いては、光磁気記録層と誘電体層とを少なくとも有して
いれば特に制限はないが、光磁気記録層の保護や光磁気
記録媒体の特性を向上させるためには、基板/誘電体層
/光磁気記録層/誘電体層/反射層という構成をとるこ
とが好ましい。また、オーバーコート層および/または
ハードコート層を設けてもよく、更にこれらの媒体を貼
合せてもよい。 【0012】本発明の基板としては、ガラスやポリカー
ボネート、ポリメチル(メタ)アクリレートなどに代表
されるアクリル樹脂およびオレフィン樹脂などの透明樹
脂を例示することができる。 【0013】本発明における誘電体層はSiCタ−ゲッ
トからDCスパッタリングにより形成することができ
る。SiとCとの割合は原子比で、47/53〜53/
47、好ましくは50/50であり、SiCタ−ゲット
の抵抗率は0.05Ωcm以下、好ましくは0.02Ω
cm以下である。抵抗率が0.05Ωcmを越えると異
常放電が起こりやすくなったり、放電が中断しやすくな
るため好ましくない。これらのターゲットにはホウ素等
の不純物を含んでいるものも使用可能である。 【0014】本発明における光磁気記録層としては、例
えば、TbFe,TbCo,TbFeCo,DyCo,
DyFeCo,GdFe,GdFeCo,TbFeN
i,GdTbFeCoなどの希土類金属と鉄族遷移金属
からなる合金を用いることが可能である。更にCr,T
i,Al,Ta,Mo,Bi,Cuなどの添加物を含ん
だり、他の不純物を含んでいてもよい。 【0015】反射層を設ける場合には、Al,Cr,A
g,Ti,Moなどの単元素、あるいは複数元素からな
る金属を用いることが可能である。 【0016】本発明においては、以上のような各層をア
ルゴンガスのみでDCスパッタリングすることにより形
成する。このような製造方法を経ることにより、生産性
が向上するのみならず、複数のチャンバ−からなるスパ
ッタリング装置においてチャンバ−間のガスの拡散を防
止する機構を持たないマルチチャンバ−スパッタリング
装置においても光磁気記録媒体を製造することが可能と
なる。もちろん、ガス拡散防止機構を有した装置におい
ても、ガス拡散防止のために通常設けられるゲ−トバル
ブを解放したままで成膜することにより本発明を実施可
能である。 【0017】また、DCスパッタリングが可能となった
ために、大きな成膜速度がえられ、かつ、得られた膜の
応力が低下するのでチルトの小さい光磁気記録媒体を製
造することができる。 【0018】 【実施例】以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0019】参考例1 スパッタリング装置としてチャンバ−間をゲ−トバルブ
で仕切ることのできるマルチチャンバ−スパッタリング
装置を用いた。チャンバ−構成は基板の入り口側から出
口側に向かい、ロ−ド室、真空保管室、第一誘電体層成
膜室、光磁気記録層成膜室、第二誘電体層成膜室、反射
層成膜室、アンロ−ド室の7室からなる。第一および第
二誘電体層成膜室にはSiC(Si:50原子%,C:
50原子%、抵抗率:1.5×10-2Ωcm)タ−ゲッ
トを設置した。RETM成膜室にはTbとFeCo(F
e:92原子%,Co:8原子%)の2つのタ−ゲットを
設置した。反射膜成膜室にはAlタ−ゲットを設置し
た。 【0020】光磁気記録媒体を製造する前に、第一誘電
体層成膜室においてガラス基板上に、DCスパッタリン
グにてSiC膜を成膜し、その成膜速度を求めた。な
お、成膜条件としてはArガスのみ、ガス圧0.5P
a,投入電力1000Wであった。また同条件でカバ−
ガラス上にSiC膜を成膜し、膜の応力を求めた。結果
を表1に示す。 【0021】参考例2 第一誘電体層成膜室において、DCスパッタリングのか
わりにRFスパッタリングを行った他は参考例1と同様
に実施し、成膜速度および膜応力を測定した。結果を表
1に示す。 【0022】参考例3 参考例1の装置の第一誘電体層成膜室において、ガラス
基板上にDCスパッタリングおよびRFスパッタリング
を行ってSiN膜の成膜を試みた。なお、成膜条件とし
てはアルゴン/窒素混合ガス、ガス圧0.5Pa,投入
電力1000Wであった。 【0023】DCスパッタリングでは、放電が不安定で
連続放電が不可能であったので、RFスパッタリングの
み成膜速度を求めた。また同条件のRFスパッタリング
でカバ−ガラス上にSiN膜を成膜し、膜の応力を求め
た。結果を表1に示す。 【0024】 【表1】 【0025】実施例1 参考例1で用いたスパッタリング装置により、1.6μ
mピッチの案内溝をもつ直径86mmのポリカーボネー
ト基板を用いて、DCスパッタリングにより光磁気記録
媒体を形成した。媒体の構成は、基板/SiC誘電体層
(80nm)/TbFeCo光磁気記録層(23nm)
/SiC誘電体層(30nm)/Al反射層(50n
m)で、光磁気記録層の組成はTb20(Fe92Co8)
80とした。全ての層においてスパッタリングガスはAr
ガスとし、ガス圧は0.5Paとし、誘電体層形成時の
投入電力は、1000Wとした。 【0026】成膜は第一誘電体層成膜室、光磁気記録層
成膜室、第二誘電体層成膜室、反射層成膜室の全てにガ
スを投入し所定電力で放電を継続した状態で、チャンバ
−間のゲ−トバルブを全て開放した状態で、第一誘電体
層成膜室から反射層成膜室に基板を移動して各層を順次
成膜した。すなわち第一誘電体層を形成している時も他
の成膜室も放電している状態で行った。第一誘電体以外
の成膜も同様である。但し、一つの層のスパッタリング
が終了し、基板を次の成膜室へ搬送している間は各スパ
ッタリング室にガスは導入し続けたが放電は停止した。 【0027】得られた光磁気記録媒体の記録再生特性と
チルトを測定した。記録再生特性は波長780nm,N
A=0.53の光学系の評価機でマ−ク長0.75μm
となる条件でキャリア−対ノイズ比(CNR)を求め
た。チルトは波長780nm,NA=0.53の光学系
の評価機で周方向に5度、半径方向に4mm間隔でサン
プリングして求めた。結果を表2に示す。 【0028】比較例1 DCスパッタリングのかわりにRFスパッタリングを行
った他は実施例1と同様に実施し、得られた光磁気記録
媒体の記録再生特性とチルトを測定した。結果を表2に
示す。 【0029】比較例2 参考例1で用いたスパッタリング装置により、1.6μ
mピッチの案内溝をもつ直径86mmのポリカーボネー
ト基板を用いて、RFスパッタリングにより光磁気記録
媒体を形成した。媒体の構成は、基板/SiN誘電体層
(100nm)/TbFeCo光磁気記録層(23n
m)/SiN誘電体層(30nm)/Al反射層(50
nm)で、光磁気記録層の組成はTb20(Fe92C
o8)80とした。なお、成膜は全てのゲ−トバルブを閉
じて行い、スパッタリングするチャンバ−のみガスを導
入して放電を行い、その他のスパッタリング室にはガス
導入、放電は行わなかった。SiN誘電体層は、第一お
よび第二誘電体層成膜室において、Ar/窒素混合ガス
で、SiN誘電体層以外の層はアルゴンガスのみでスパ
ッタリングを行った。なお、ガス圧は0.5Pa、投入
電力1000Wであった。 【0030】得られた光磁気記録媒体の特性とチルトと
を実施例2と同じ方法で測定した結果を表2に示す。 【0031】比較例3 比較例2において、全てのゲ−トバルブを開放してスパ
ッタリングを行った。ゲ−トバルブを開放している間、
全てのスパッタリング室にガスを導入して放電を継続し
た状態で各層を形成した。なお、各層のスパッタリング
が終了し、基板を搬送している間だけは、各スパッタリ
ング室にガスは導入し続けたが放電は停止した。 【0032】得られた光磁気記録媒体の特性とチルトと
を実施例2と同じ方法で測定した結果を表2に示す。 【0033】 【表2】 【0034】 【発明の効果】本発明によれば、大きい成膜速度が得ら
れ、チルトの小さい光磁気記録媒体が得られる。更に、
マルチチャンバ−のスパッタリング装置で生産する場合
にはチャンバ−間のガス拡散を防止する機構が不要であ
るため、生産のスル−プットを向上させることができ
る。 【0035】
その製造方法に関する。さらに、詳しくは高生産性の光
磁気記録媒体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】光記録媒体の中で、書き込み消去のでき
る書き換え可能型として従来知られているものには相変
化型、フォトクロミック型、光磁気型等がある。これら
の書き換え可能型の中でも、光磁気型が書き込み速度や
繰返し耐性に優れているという点で、現在普及しつつあ
る。この光磁気型の記録媒体に用いられる光磁気記録膜
(MO膜)の材料としては、作成が比較的容易で保磁力
が大きいという観点から希土類−遷移金属合金膜(RE
TM膜)が多用されている。 【0003】このRETM膜は耐蝕性に劣り、カ−回転
角が小さいという問題があったため、その問題解決のた
めに従来は誘電体層を設けて耐蝕性を向上させるととも
に、光干渉によりカ−回転角を増加させ反射率を調整す
るという方法が用いられてきた。 【0004】MO膜としては、RETM膜の他にPt/
Co等の人工格子膜も提案されている。この人工格子膜
を用いた光磁気記録媒体においても誘電体層を設けてカ
−回転角を増加させ反射率を調整するという方法が用い
られる。 【0005】この誘電体層の材料には、透明で化学的安
定性の高い窒化ケイ素がよく用いられる。窒化ケイ素を
用いた光磁気記録媒体の構成の一例として、窒化ケイ素
の屈折率を2.0から2.2程度とし、基板/窒化ケイ
素(80〜120nm程度)/RETM(20〜30n
m程度)/窒化ケイ素(15〜35nm程度)/金属反
射膜(30〜100nm程度)という構成をあげること
ができる。各層は通常成膜する層に応じたチャンバ−を
複数備えたマルチチャンバ−のスパッタリング装置によ
り成膜される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】この際、窒化ケイ素よ
りなる誘電体層は、通常ケイ素タ−ゲットを用いアルゴ
ンガスと窒素ガスとの混合ガス中、高周波反応性スパッ
タリングにより形成される。混合ガスを用いるために、
DCスパッタリングのように成膜速度が大きく、応力の
小さい膜を成膜することが困難であった。また、複数種
の膜をマルチチャンバ−のスパッタリング装置で成膜す
る場合、RETM膜は窒素が混入すると特性が劣化する
ことから、チャンバ−間を仕切って窒素ガスの他のチャ
ンバ−への混入を防止しなければならないという問題が
あった。また、この仕切りのためにディスク搬送に時間
がかかり、生産性が低下するという問題もあった。 【0007】さらに、RETM膜および金属反射膜の成
膜速度に比べて窒化ケイ素膜の成膜速度が小さいため、
窒化ケイ素膜の成膜が大量生産のスル−プットの律速と
なっていた。そのため、窒化ケイ素膜を複数のチャンバ
−で成膜することにより各チャンバ−での成膜時間を揃
えてスル−プットを大きくするという方法が行われてい
た。 【0008】 【課題を解決するための手段】上述のような現状に鑑
み、本発明者ら鋭意検討を重ねた結果、光磁気記録媒体
の誘電体層を抵抗率0.05Ωcm以下のSiCターゲ
ットから構成し、かつ、光磁気記録媒体を構成する各層
をアルゴンガスのみによるスパッタリングで成膜するこ
とにより、生産性が向上しまた、マルチチャンバ−のス
パッタリング装置を用いる場合に、チャンバ−間の仕切
りが不要となることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。 【0009】即ち、本発明は、基板上に少なくとも光磁
気記録層と誘電体層とをスパッタリングにより形成して
なる光磁気記録媒体の製造方法において、誘電体層が抵
抗率0.05Ωcm以下のSiCターゲットから構成さ
れ、かつ、光磁気記録媒体を構成する各層がアルゴンガ
スのみによるDCスパッタリングで形成されることを特
徴とする光磁気記録媒体の製造方法に関する。 【0010】以下、本発明を詳細に説明する。 【0011】本発明の光磁気記録媒体の各層の構成につ
いては、光磁気記録層と誘電体層とを少なくとも有して
いれば特に制限はないが、光磁気記録層の保護や光磁気
記録媒体の特性を向上させるためには、基板/誘電体層
/光磁気記録層/誘電体層/反射層という構成をとるこ
とが好ましい。また、オーバーコート層および/または
ハードコート層を設けてもよく、更にこれらの媒体を貼
合せてもよい。 【0012】本発明の基板としては、ガラスやポリカー
ボネート、ポリメチル(メタ)アクリレートなどに代表
されるアクリル樹脂およびオレフィン樹脂などの透明樹
脂を例示することができる。 【0013】本発明における誘電体層はSiCタ−ゲッ
トからDCスパッタリングにより形成することができ
る。SiとCとの割合は原子比で、47/53〜53/
47、好ましくは50/50であり、SiCタ−ゲット
の抵抗率は0.05Ωcm以下、好ましくは0.02Ω
cm以下である。抵抗率が0.05Ωcmを越えると異
常放電が起こりやすくなったり、放電が中断しやすくな
るため好ましくない。これらのターゲットにはホウ素等
の不純物を含んでいるものも使用可能である。 【0014】本発明における光磁気記録層としては、例
えば、TbFe,TbCo,TbFeCo,DyCo,
DyFeCo,GdFe,GdFeCo,TbFeN
i,GdTbFeCoなどの希土類金属と鉄族遷移金属
からなる合金を用いることが可能である。更にCr,T
i,Al,Ta,Mo,Bi,Cuなどの添加物を含ん
だり、他の不純物を含んでいてもよい。 【0015】反射層を設ける場合には、Al,Cr,A
g,Ti,Moなどの単元素、あるいは複数元素からな
る金属を用いることが可能である。 【0016】本発明においては、以上のような各層をア
ルゴンガスのみでDCスパッタリングすることにより形
成する。このような製造方法を経ることにより、生産性
が向上するのみならず、複数のチャンバ−からなるスパ
ッタリング装置においてチャンバ−間のガスの拡散を防
止する機構を持たないマルチチャンバ−スパッタリング
装置においても光磁気記録媒体を製造することが可能と
なる。もちろん、ガス拡散防止機構を有した装置におい
ても、ガス拡散防止のために通常設けられるゲ−トバル
ブを解放したままで成膜することにより本発明を実施可
能である。 【0017】また、DCスパッタリングが可能となった
ために、大きな成膜速度がえられ、かつ、得られた膜の
応力が低下するのでチルトの小さい光磁気記録媒体を製
造することができる。 【0018】 【実施例】以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0019】参考例1 スパッタリング装置としてチャンバ−間をゲ−トバルブ
で仕切ることのできるマルチチャンバ−スパッタリング
装置を用いた。チャンバ−構成は基板の入り口側から出
口側に向かい、ロ−ド室、真空保管室、第一誘電体層成
膜室、光磁気記録層成膜室、第二誘電体層成膜室、反射
層成膜室、アンロ−ド室の7室からなる。第一および第
二誘電体層成膜室にはSiC(Si:50原子%,C:
50原子%、抵抗率:1.5×10-2Ωcm)タ−ゲッ
トを設置した。RETM成膜室にはTbとFeCo(F
e:92原子%,Co:8原子%)の2つのタ−ゲットを
設置した。反射膜成膜室にはAlタ−ゲットを設置し
た。 【0020】光磁気記録媒体を製造する前に、第一誘電
体層成膜室においてガラス基板上に、DCスパッタリン
グにてSiC膜を成膜し、その成膜速度を求めた。な
お、成膜条件としてはArガスのみ、ガス圧0.5P
a,投入電力1000Wであった。また同条件でカバ−
ガラス上にSiC膜を成膜し、膜の応力を求めた。結果
を表1に示す。 【0021】参考例2 第一誘電体層成膜室において、DCスパッタリングのか
わりにRFスパッタリングを行った他は参考例1と同様
に実施し、成膜速度および膜応力を測定した。結果を表
1に示す。 【0022】参考例3 参考例1の装置の第一誘電体層成膜室において、ガラス
基板上にDCスパッタリングおよびRFスパッタリング
を行ってSiN膜の成膜を試みた。なお、成膜条件とし
てはアルゴン/窒素混合ガス、ガス圧0.5Pa,投入
電力1000Wであった。 【0023】DCスパッタリングでは、放電が不安定で
連続放電が不可能であったので、RFスパッタリングの
み成膜速度を求めた。また同条件のRFスパッタリング
でカバ−ガラス上にSiN膜を成膜し、膜の応力を求め
た。結果を表1に示す。 【0024】 【表1】 【0025】実施例1 参考例1で用いたスパッタリング装置により、1.6μ
mピッチの案内溝をもつ直径86mmのポリカーボネー
ト基板を用いて、DCスパッタリングにより光磁気記録
媒体を形成した。媒体の構成は、基板/SiC誘電体層
(80nm)/TbFeCo光磁気記録層(23nm)
/SiC誘電体層(30nm)/Al反射層(50n
m)で、光磁気記録層の組成はTb20(Fe92Co8)
80とした。全ての層においてスパッタリングガスはAr
ガスとし、ガス圧は0.5Paとし、誘電体層形成時の
投入電力は、1000Wとした。 【0026】成膜は第一誘電体層成膜室、光磁気記録層
成膜室、第二誘電体層成膜室、反射層成膜室の全てにガ
スを投入し所定電力で放電を継続した状態で、チャンバ
−間のゲ−トバルブを全て開放した状態で、第一誘電体
層成膜室から反射層成膜室に基板を移動して各層を順次
成膜した。すなわち第一誘電体層を形成している時も他
の成膜室も放電している状態で行った。第一誘電体以外
の成膜も同様である。但し、一つの層のスパッタリング
が終了し、基板を次の成膜室へ搬送している間は各スパ
ッタリング室にガスは導入し続けたが放電は停止した。 【0027】得られた光磁気記録媒体の記録再生特性と
チルトを測定した。記録再生特性は波長780nm,N
A=0.53の光学系の評価機でマ−ク長0.75μm
となる条件でキャリア−対ノイズ比(CNR)を求め
た。チルトは波長780nm,NA=0.53の光学系
の評価機で周方向に5度、半径方向に4mm間隔でサン
プリングして求めた。結果を表2に示す。 【0028】比較例1 DCスパッタリングのかわりにRFスパッタリングを行
った他は実施例1と同様に実施し、得られた光磁気記録
媒体の記録再生特性とチルトを測定した。結果を表2に
示す。 【0029】比較例2 参考例1で用いたスパッタリング装置により、1.6μ
mピッチの案内溝をもつ直径86mmのポリカーボネー
ト基板を用いて、RFスパッタリングにより光磁気記録
媒体を形成した。媒体の構成は、基板/SiN誘電体層
(100nm)/TbFeCo光磁気記録層(23n
m)/SiN誘電体層(30nm)/Al反射層(50
nm)で、光磁気記録層の組成はTb20(Fe92C
o8)80とした。なお、成膜は全てのゲ−トバルブを閉
じて行い、スパッタリングするチャンバ−のみガスを導
入して放電を行い、その他のスパッタリング室にはガス
導入、放電は行わなかった。SiN誘電体層は、第一お
よび第二誘電体層成膜室において、Ar/窒素混合ガス
で、SiN誘電体層以外の層はアルゴンガスのみでスパ
ッタリングを行った。なお、ガス圧は0.5Pa、投入
電力1000Wであった。 【0030】得られた光磁気記録媒体の特性とチルトと
を実施例2と同じ方法で測定した結果を表2に示す。 【0031】比較例3 比較例2において、全てのゲ−トバルブを開放してスパ
ッタリングを行った。ゲ−トバルブを開放している間、
全てのスパッタリング室にガスを導入して放電を継続し
た状態で各層を形成した。なお、各層のスパッタリング
が終了し、基板を搬送している間だけは、各スパッタリ
ング室にガスは導入し続けたが放電は停止した。 【0032】得られた光磁気記録媒体の特性とチルトと
を実施例2と同じ方法で測定した結果を表2に示す。 【0033】 【表2】 【0034】 【発明の効果】本発明によれば、大きい成膜速度が得ら
れ、チルトの小さい光磁気記録媒体が得られる。更に、
マルチチャンバ−のスパッタリング装置で生産する場合
にはチャンバ−間のガス拡散を防止する機構が不要であ
るため、生産のスル−プットを向上させることができ
る。 【0035】
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭61−45441(JP,A)
特開 平5−101463(JP,A)
特開 昭62−289945(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G11B 11/105
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板上に少なくとも光磁気記録層と誘電
体層とをスパッタリングにより形成してなる光磁気記録
媒体の製造方法において、前記誘電体層がSiCからな
り、該SiCからなる誘電体層が抵抗率0.05Ωcm
以下のSiCターゲットを用いて形成され、かつ、光磁
気記録媒体を構成する各層がアルゴンガスのみによるD
Cスパッタリングで形成されることを特徴とする光磁気
記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23311093A JP3428085B2 (ja) | 1993-09-20 | 1993-09-20 | 光磁気記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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