JP3427677B2 - 耐湿性の改善された赤外励起発光体 - Google Patents
耐湿性の改善された赤外励起発光体Info
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- JP3427677B2 JP3427677B2 JP14619997A JP14619997A JP3427677B2 JP 3427677 B2 JP3427677 B2 JP 3427677B2 JP 14619997 A JP14619997 A JP 14619997A JP 14619997 A JP14619997 A JP 14619997A JP 3427677 B2 JP3427677 B2 JP 3427677B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外励起によって
可視光を発光する、表面に硫酸塩層を有する発光体、お
よびスルホン化処理による赤外励起発光体の耐湿性改善
方法に関する。
可視光を発光する、表面に硫酸塩層を有する発光体、お
よびスルホン化処理による赤外励起発光体の耐湿性改善
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、光通信の光源として半導体レーザ
が実用化されているが、光通信で用いる半導体レーザー
は石英ファイバでの光損失が少ない波長1.33μm、
1.55μmを発振するように構成されている。またデ
ジタルオーディオやレーザプリンタなどでも波長780
nm程度の半導体レーザが広く利用されている。他方、
波長780nm以上の赤外光は目に見えないため、レー
ザ光を可視光領域で利用できるように短波長のレーザ発
振素子の開発が進められている。ところが現在実用化さ
れている半導体レーザの波長は650nm程度の赤色レ
ーザ光であり、これより波長の短い緑色や青色のレーザ
光を発振する発光素子は実用化されていない。
が実用化されているが、光通信で用いる半導体レーザー
は石英ファイバでの光損失が少ない波長1.33μm、
1.55μmを発振するように構成されている。またデ
ジタルオーディオやレーザプリンタなどでも波長780
nm程度の半導体レーザが広く利用されている。他方、
波長780nm以上の赤外光は目に見えないため、レー
ザ光を可視光領域で利用できるように短波長のレーザ発
振素子の開発が進められている。ところが現在実用化さ
れている半導体レーザの波長は650nm程度の赤色レ
ーザ光であり、これより波長の短い緑色や青色のレーザ
光を発振する発光素子は実用化されていない。
【0003】そこで、アップコンバージョン現象を利用
し赤外半導体レーザ光を青・緑色に変換するアップコン
バージョンレーザの開発が期待されている。アップコン
バージョンとは励起波長よりも波長の短い光を放出する
現象を云い、希土類イオンの中にこの発光特性を有する
ものがある。これは希土類イオンが2つ以上のフォトン
によって励起され、励起光よりも大きなエネルギーを有
する発光を生じるものである。
し赤外半導体レーザ光を青・緑色に変換するアップコン
バージョンレーザの開発が期待されている。アップコン
バージョンとは励起波長よりも波長の短い光を放出する
現象を云い、希土類イオンの中にこの発光特性を有する
ものがある。これは希土類イオンが2つ以上のフォトン
によって励起され、励起光よりも大きなエネルギーを有
する発光を生じるものである。
【0004】この種の発光素子として、YLiF4:E
rなどのフッ化物単結晶体あるいはZBLANガラスに
代表される重金属フッ化物ガラスなどの材料を用いたも
の(Wilfried Lenth他、Optics & Photonics News, 3,
[3], pp.3-15(1992))、希土類塩化物材料(特開平7-97
572)などが報告されており、その中でも特に希土類塩
化物材料は光変換効率が優れ発光強度が極めて高いた
め、利用価値は高く注目を集めている。
rなどのフッ化物単結晶体あるいはZBLANガラスに
代表される重金属フッ化物ガラスなどの材料を用いたも
の(Wilfried Lenth他、Optics & Photonics News, 3,
[3], pp.3-15(1992))、希土類塩化物材料(特開平7-97
572)などが報告されており、その中でも特に希土類塩
化物材料は光変換効率が優れ発光強度が極めて高いた
め、利用価値は高く注目を集めている。
【0005】しかし、塩化物、特に希土類塩化物蛍光体
は潮解性(吸湿性)が高く、表面処理を施さずに大気中
に放置すると直ちに吸湿して劣化するため、これを保護
するための表面処理を施す必要がある。
は潮解性(吸湿性)が高く、表面処理を施さずに大気中
に放置すると直ちに吸湿して劣化するため、これを保護
するための表面処理を施す必要がある。
【0006】一般に、耐湿性を向上させるための表面処
理方法としては、フッ化物ガラスに代表される無機フッ
化物では、イオン注入やイオンめっき、PVDやCVD
により酸化物や耐湿性のより高いフッ化物層で表面被覆
する手法が取られている。
理方法としては、フッ化物ガラスに代表される無機フッ
化物では、イオン注入やイオンめっき、PVDやCVD
により酸化物や耐湿性のより高いフッ化物層で表面被覆
する手法が取られている。
【0007】これに対し、無機塩化物や無機臭化物、無
機ヨウ化物などのフッ化物に比べて格段に深刻な潮解性
をもつ材料では、蒸着などで耐湿性の高い酸化物や硫化
物、フッ化物等の無機物で表面コートしたり、高分子溶
液に含浸後乾燥して表面被覆する手法が取られている。
機ヨウ化物などのフッ化物に比べて格段に深刻な潮解性
をもつ材料では、蒸着などで耐湿性の高い酸化物や硫化
物、フッ化物等の無機物で表面コートしたり、高分子溶
液に含浸後乾燥して表面被覆する手法が取られている。
【0008】しかし、これらの手法は全て母体材料を他
の材料で表面コートする方法であり、被覆のむらが出来
やすく耐湿性改善効果が不十分であることや、汎用性に
乏しいなどの問題がある。
の材料で表面コートする方法であり、被覆のむらが出来
やすく耐湿性改善効果が不十分であることや、汎用性に
乏しいなどの問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、潮解
性の大きな赤外励起発光体の表面層のみを直接スルホン
化することにより、耐湿性の大幅に向上した赤外励起発
光体および耐湿性改善を目的とした表面処理方法を提供
することにある。
性の大きな赤外励起発光体の表面層のみを直接スルホン
化することにより、耐湿性の大幅に向上した赤外励起発
光体および耐湿性改善を目的とした表面処理方法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、赤外励起発光体をガス状スルホン化剤で
表面処理することにより耐湿性が大幅に改善されること
を見出し、本発明の耐湿性を改善された赤外励起発光体
および耐湿性改善を目的とした表面処理方法を完成する
に至った。ここに、本発明は以下の通りである。
を重ねた結果、赤外励起発光体をガス状スルホン化剤で
表面処理することにより耐湿性が大幅に改善されること
を見出し、本発明の耐湿性を改善された赤外励起発光体
および耐湿性改善を目的とした表面処理方法を完成する
に至った。ここに、本発明は以下の通りである。
【0011】(1)表面の硫酸塩層がガス状スルホン化
剤と母体の赤外励起発光体との反応によって得られたこ
とを特徴とする赤外励起発光体。 (2)ガス状スルホン化剤が三酸化硫黄ガスであること
を特徴とする上記(1)に記載の赤外励起発光体。 (3)ガス状スルホン化剤が二酸化硫黄ガスであること
を特徴とする上記(1)に記載の赤外励起発光体。 (4)表面の硫酸塩層が1μmから100μmであるこ
とを特徴とする上記(1)ないし3のいずれかに記載の
赤外励起発光体。 (5)赤外励起発光体が一般式、 R1 xR2 (1-x)BazCl3+2z (R1は希土類元素、0.01<x≦1、R2はR1以外
の希土類元素、1<z<4)で表されることを特徴とす
る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の赤外励起
発光体。 (6)上記(5)に記載の一般式において、R1がE
r、Tm、Ho、Nd、PrまたはDyから選択される
1種または2種以上の希土類元素であることを特徴とす
る上記(5)に記載の赤外励起発光体。 (7)上記(5)に記載の一般式において、R2がY
b、Gd、Y、Lu、Ce、LaまたはEuから選択さ
れる1種または2種以上の希土類元素であることを特徴
とする上記(6)または(7)に記載の赤外励起発光
体。 (8)赤外励起発光体をガス状スルホン化剤で表面処理
することを特徴とする上記(1)ないし(7)のいずれ
かに記載の赤外励起発光体の製造方法。 (9)圧力1〜760Torrのガス状スルホン化剤で
表面処理することを特徴とする上記(8)に記載の赤外
励起発光体の製造方法。 (10)ガス状スルホン化剤が三酸化硫黄ガスであるこ
とを特徴とする上記(8)または(9)に記載の赤外励
起発光体の製造方法。 (11)ガス状スルホン化剤が二酸化硫黄ガスであるこ
とを特徴とする上記(8)または(9)に記載の赤外励
起発光体の製造方法。
剤と母体の赤外励起発光体との反応によって得られたこ
とを特徴とする赤外励起発光体。 (2)ガス状スルホン化剤が三酸化硫黄ガスであること
を特徴とする上記(1)に記載の赤外励起発光体。 (3)ガス状スルホン化剤が二酸化硫黄ガスであること
を特徴とする上記(1)に記載の赤外励起発光体。 (4)表面の硫酸塩層が1μmから100μmであるこ
とを特徴とする上記(1)ないし3のいずれかに記載の
赤外励起発光体。 (5)赤外励起発光体が一般式、 R1 xR2 (1-x)BazCl3+2z (R1は希土類元素、0.01<x≦1、R2はR1以外
の希土類元素、1<z<4)で表されることを特徴とす
る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の赤外励起
発光体。 (6)上記(5)に記載の一般式において、R1がE
r、Tm、Ho、Nd、PrまたはDyから選択される
1種または2種以上の希土類元素であることを特徴とす
る上記(5)に記載の赤外励起発光体。 (7)上記(5)に記載の一般式において、R2がY
b、Gd、Y、Lu、Ce、LaまたはEuから選択さ
れる1種または2種以上の希土類元素であることを特徴
とする上記(6)または(7)に記載の赤外励起発光
体。 (8)赤外励起発光体をガス状スルホン化剤で表面処理
することを特徴とする上記(1)ないし(7)のいずれ
かに記載の赤外励起発光体の製造方法。 (9)圧力1〜760Torrのガス状スルホン化剤で
表面処理することを特徴とする上記(8)に記載の赤外
励起発光体の製造方法。 (10)ガス状スルホン化剤が三酸化硫黄ガスであるこ
とを特徴とする上記(8)または(9)に記載の赤外励
起発光体の製造方法。 (11)ガス状スルホン化剤が二酸化硫黄ガスであるこ
とを特徴とする上記(8)または(9)に記載の赤外励
起発光体の製造方法。
【0012】以下、本発明を特定する事項をその作用と
ともに詳しく説明する。本発明に用いるガス状スルホン
化剤は、特に限定されず赤外励起発光体の表面を均一に
スルホン化できるものであればよいが、特に反応性の高
さや汎用性の観点から、三酸化硫黄ガス(SO3)、二
酸化硫黄ガス(SO2)等が好ましい。
ともに詳しく説明する。本発明に用いるガス状スルホン
化剤は、特に限定されず赤外励起発光体の表面を均一に
スルホン化できるものであればよいが、特に反応性の高
さや汎用性の観点から、三酸化硫黄ガス(SO3)、二
酸化硫黄ガス(SO2)等が好ましい。
【0013】本発明によって得られる赤外励起発光体表
面の硫酸塩層の膜厚は耐湿性向上効果と発光特性、特に
発光強度のバランスから決定され、好ましくは1〜10
0μm、より好ましくは1〜50μmに制御されるのが
良い。硫酸塩層膜厚が1μm以下だと耐湿性改善が不十
分となりやすく、発光体は潮解性が大きいため大気中で
の取扱が難しく、100μm以上では発光体の光学特
性、特に発光強度が低下しやすい。
面の硫酸塩層の膜厚は耐湿性向上効果と発光特性、特に
発光強度のバランスから決定され、好ましくは1〜10
0μm、より好ましくは1〜50μmに制御されるのが
良い。硫酸塩層膜厚が1μm以下だと耐湿性改善が不十
分となりやすく、発光体は潮解性が大きいため大気中で
の取扱が難しく、100μm以上では発光体の光学特
性、特に発光強度が低下しやすい。
【0014】また本発明の赤外励起発光体は、特に限定
されないが、好ましくは次の一般式で表される複合塩化
物である。 R1 xR2 (1-x)BazCl3+2z (R1は希土類元素、0.01<x≦1、R2はR1以外
の希土類元素、1<z<4) 上記一般式において、R1の希土類元素は発光源であ
り、代表的にはEr、Tm、Hoが挙げられ、この他に
Nd、Pr、Dyなどが含まれるが、これらの中では、
Er、Tm、Ho、Ndが好ましい。これらの希土類元
素は赤外光が照射されたときに、そのイオンのエネルギ
ー準位が基底準位から励起準位へと段階的に遷移し、こ
の遷移エネルギーによって可視光を発光する。なお、R
1は1種に限らず2種以上含有しても良い。
されないが、好ましくは次の一般式で表される複合塩化
物である。 R1 xR2 (1-x)BazCl3+2z (R1は希土類元素、0.01<x≦1、R2はR1以外
の希土類元素、1<z<4) 上記一般式において、R1の希土類元素は発光源であ
り、代表的にはEr、Tm、Hoが挙げられ、この他に
Nd、Pr、Dyなどが含まれるが、これらの中では、
Er、Tm、Ho、Ndが好ましい。これらの希土類元
素は赤外光が照射されたときに、そのイオンのエネルギ
ー準位が基底準位から励起準位へと段階的に遷移し、こ
の遷移エネルギーによって可視光を発光する。なお、R
1は1種に限らず2種以上含有しても良い。
【0015】発光源であるR1の量比は0.01<x≦
1が好ましい。x<0.01では発光源の含有量が少な
すぎ発光強度は不十分である。またこの発光源R1は単
独でも発光するので、発光補助物質R2は必ずしも含有
しなくても良い。
1が好ましい。x<0.01では発光源の含有量が少な
すぎ発光強度は不十分である。またこの発光源R1は単
独でも発光するので、発光補助物質R2は必ずしも含有
しなくても良い。
【0016】R2で示されるR1以外の希土類元素は発
光補助物質であり、代表的にはY、Gd、Yb、Lu、
La、Ce、Euなどが用いられるが、好ましいのはY
b、Gdである。これらの希土類元素を単独で含有する
ものは赤外光を照射しても発光せず、従って上記R1と
共に用いられる。R2の発光補助物質は主に発光強度を
高めるために用いられる。
光補助物質であり、代表的にはY、Gd、Yb、Lu、
La、Ce、Euなどが用いられるが、好ましいのはY
b、Gdである。これらの希土類元素を単独で含有する
ものは赤外光を照射しても発光せず、従って上記R1と
共に用いられる。R2の発光補助物質は主に発光強度を
高めるために用いられる。
【0017】上記一般式以外の赤外励起発光体として
は、塩化物ガラス系発光体等が使用できる。
は、塩化物ガラス系発光体等が使用できる。
【0018】本発明のスルホン化する際の赤外励起発光
体の形態は特に限定されず、単結晶体や多結晶体などの
バルク体であっても、粉末状であっても良い。但し、反
応性や発光体の応用の多様性を考えた場合、粉末状が好
ましい。バルク体を粉砕して粉末状にする場合には、空
気中の水分による潮解を防ぐために、乾燥したArやN
2などの不活性ガス中で粉砕をする必要がある。
体の形態は特に限定されず、単結晶体や多結晶体などの
バルク体であっても、粉末状であっても良い。但し、反
応性や発光体の応用の多様性を考えた場合、粉末状が好
ましい。バルク体を粉砕して粉末状にする場合には、空
気中の水分による潮解を防ぐために、乾燥したArやN
2などの不活性ガス中で粉砕をする必要がある。
【0019】本発明で採用される表面処理方法は、処理
後の被処理物の取扱を考えた場合、湿式法では被処理物
を乾燥した後に凝集体の解砕過程が必要となり、その際
に材料の表面に形成されたスルホン化物層が破壊される
恐れがある。一方乾式法では、以上のような表面処理後
の過程が必要でないため、乾式法が好ましい。この乾式
表面処理方法は、母体材料の表面処理を均一に行えれば
良く、バッチ方式でもスルホン化ガス・フロー方式であ
っても良い。バッチ方式では、反応系内を予め真空排気
しておき、所定の分圧のスルホン化ガスを系内に導入す
る。またガスフロー方式では、予めN2などの不活性ガ
スを系内に流してパージしておき、スルホン化ガスをフ
ローさせる。その際スルホン化ガスを乾燥したArやN
2などの不活性ガスで希釈して用いても良い。
後の被処理物の取扱を考えた場合、湿式法では被処理物
を乾燥した後に凝集体の解砕過程が必要となり、その際
に材料の表面に形成されたスルホン化物層が破壊される
恐れがある。一方乾式法では、以上のような表面処理後
の過程が必要でないため、乾式法が好ましい。この乾式
表面処理方法は、母体材料の表面処理を均一に行えれば
良く、バッチ方式でもスルホン化ガス・フロー方式であ
っても良い。バッチ方式では、反応系内を予め真空排気
しておき、所定の分圧のスルホン化ガスを系内に導入す
る。またガスフロー方式では、予めN2などの不活性ガ
スを系内に流してパージしておき、スルホン化ガスをフ
ローさせる。その際スルホン化ガスを乾燥したArやN
2などの不活性ガスで希釈して用いても良い。
【0020】反応時間や温度、スルホン化ガス圧力(分
圧)等のスルホン化処理条件は特に限定されず、表面処
理方法や赤外励起発光体の形態、特に比表面積に依存
し、所望のスルホン化物層膜厚を得られるように決定す
る。しかし、一般的にはスルホン化ガス圧力(分圧)は
好ましくは1〜760Torr、より好ましくは1〜1
00Torrで表面処理を施すのが、反応進行度すなわ
ち膜厚の制御が容易であり好ましい。
圧)等のスルホン化処理条件は特に限定されず、表面処
理方法や赤外励起発光体の形態、特に比表面積に依存
し、所望のスルホン化物層膜厚を得られるように決定す
る。しかし、一般的にはスルホン化ガス圧力(分圧)は
好ましくは1〜760Torr、より好ましくは1〜1
00Torrで表面処理を施すのが、反応進行度すなわ
ち膜厚の制御が容易であり好ましい。
【0021】スルホン化ガスで処理された、赤外励起発
光体表面の硫酸塩層の膜厚は、処理後に断面研磨を行
い、断面の硫黄元素の分布により評価した。
光体表面の硫酸塩層の膜厚は、処理後に断面研磨を行
い、断面の硫黄元素の分布により評価した。
【0022】また発光強度は、処理直後の発光体に50
mWの半導体レーザ(波長650〜980nm)を照射
し、目視にて発光が十分確認可能なものを○、処理前か
ら発光強度の低下が判るものを△、発光の確認が極めて
困難または確認不可能なものを×として定性的に評価し
た。
mWの半導体レーザ(波長650〜980nm)を照射
し、目視にて発光が十分確認可能なものを○、処理前か
ら発光強度の低下が判るものを△、発光の確認が極めて
困難または確認不可能なものを×として定性的に評価し
た。
【0023】赤外励起発光体の耐湿性は以下のようにし
て評価した。すなわち水分を約200ppm含有したエ
タノール50ml中にスルホン化処理後の発光体0.5
gを含浸し、上記で用いたのと同様の半導体レーザを用
いて発光させ、発光が目視で確認できなくなるまでの時
間で評価した。尚、この方法は厳密には耐水性の評価方
法であるが、30℃/70%の高温高湿条件下で得られ
た結果との対応が得られたため、上記方法を耐湿性評価
方法として採用した。
て評価した。すなわち水分を約200ppm含有したエ
タノール50ml中にスルホン化処理後の発光体0.5
gを含浸し、上記で用いたのと同様の半導体レーザを用
いて発光させ、発光が目視で確認できなくなるまでの時
間で評価した。尚、この方法は厳密には耐水性の評価方
法であるが、30℃/70%の高温高湿条件下で得られ
た結果との対応が得られたため、上記方法を耐湿性評価
方法として採用した。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明の範囲はその要旨を越えない限り、実施
例に限定されるものではない。
するが、本発明の範囲はその要旨を越えない限り、実施
例に限定されるものではない。
【0025】実施例1〜18 、比較例1〜8(バッチ
方式)について説明する。反応系内に表1に示す赤外励
起発光体1.0gを投入し系内を真空に保った後、表1
に示すスルホン化処理条件でスルホン化赤外励起発光体
を得た。得られた発光体の表面の硫酸塩層の膜厚、処理
直後の発光強度、及び発光体の耐湿性を上記のように評
価した結果を処理条件と併せて示す。
方式)について説明する。反応系内に表1に示す赤外励
起発光体1.0gを投入し系内を真空に保った後、表1
に示すスルホン化処理条件でスルホン化赤外励起発光体
を得た。得られた発光体の表面の硫酸塩層の膜厚、処理
直後の発光強度、及び発光体の耐湿性を上記のように評
価した結果を処理条件と併せて示す。
【0026】
【表1】
【0027】実施例19〜33 、比較例9〜13(ス
ルホン化ガス・フロー方式)について説明する。反応系
内に表2に示す赤外励起発光体1.0gを投入し系内を
N2ガスで30分かけて完全にパージした後、表2に示
すスルホン化処理条件でスルホン化赤外励起発光体を得
た。尚、実施例24では、粉砕媒体であるZrO2ビー
ズを用いて粉砕を行いながらスルホン化処理を行った。
得られた発光体表面の硫酸塩層の膜厚、処理直後の発光
強度、及び発光体の耐湿性を上記のように評価した結果
を処理条件と併せて示す。
ルホン化ガス・フロー方式)について説明する。反応系
内に表2に示す赤外励起発光体1.0gを投入し系内を
N2ガスで30分かけて完全にパージした後、表2に示
すスルホン化処理条件でスルホン化赤外励起発光体を得
た。尚、実施例24では、粉砕媒体であるZrO2ビー
ズを用いて粉砕を行いながらスルホン化処理を行った。
得られた発光体表面の硫酸塩層の膜厚、処理直後の発光
強度、及び発光体の耐湿性を上記のように評価した結果
を処理条件と併せて示す。
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】表1及び表2から判るように、本発明に
よれば、SO3やSO2等のようなスルホン化ガスで耐湿
性の極めて低い複合塩化物である赤外励起発光体を表面
処理することにより、処理前では15分程度であった耐
湿性が1週間以上と大きく改善されることが判る。
よれば、SO3やSO2等のようなスルホン化ガスで耐湿
性の極めて低い複合塩化物である赤外励起発光体を表面
処理することにより、処理前では15分程度であった耐
湿性が1週間以上と大きく改善されることが判る。
【0030】これに対応し、表1及び表2に示した比較
例では、あるものは表面のスルホン化が不十分で耐湿性
改善の効果が不十分であり、またあるものはスルホン化
しすぎて発光強度が極端に低下し、視認性が悪く実用性
に乏しかった。
例では、あるものは表面のスルホン化が不十分で耐湿性
改善の効果が不十分であり、またあるものはスルホン化
しすぎて発光強度が極端に低下し、視認性が悪く実用性
に乏しかった。
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平7−97572(JP,A)
特開 昭53−75185(JP,A)
特開 昭61−62586(JP,A)
特開 平7−157757(JP,A)
特開 平6−264054(JP,A)
特開 平1−304178(JP,A)
特開 昭53−90199(JP,A)
特開 平2−160619(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C09K 11/00 - 11/89
C01F 1/00 - 17/00
Claims (11)
- 【請求項1】 表面の硫酸塩層がガス状スルホン化剤
と母体の赤外励起発光体との反応によって得られたこと
を特徴とする赤外励起発光体。 - 【請求項2】 ガス状スルホン化剤が三酸化硫黄ガス
であることを特徴とする請求項1に記載の赤外励起発光
体。 - 【請求項3】 ガス状スルホン化剤が二酸化硫黄ガス
であることを特徴とする請求項1に記載の赤外励起発光
体。 - 【請求項4】 表面の硫酸塩層が1μmから100μ
mであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
に記載の赤外励起発光体。 - 【請求項5】 赤外励起発光体が一般式、 R1 xR2 (1-x)BazCl3+2z (R1は希土類元素、0.01<x≦1、R2はR1以外
の希土類元素、1<z<4)で表されることを特徴とす
る請求項1ないし4のいずれかに記載の赤外励起発光
体。 - 【請求項6】 請求項5に記載の一般式において、R
1がEr、Tm、Ho、Nd、PrまたはDyから選択
される1種または2種以上の希土類元素であることを特
徴とする請求項5に記載の赤外励起発光体。 - 【請求項7】 請求項5に記載の一般式において、R
2がYb、Gd、Y、Lu、Ce、LaまたはEuから
選択される1種または2種以上の希土類元素であること
を特徴とする請求項6または7に記載の赤外励起発光
体。 - 【請求項8】 赤外励起発光体をガス状スルホン化剤
で表面処理することを特徴とする請求項1乃至7のいず
れかに記載の赤外励起発光体の製造方法。 - 【請求項9】 圧力1〜760Torrのガス状スル
ホン化剤で表面処理することを特徴とする請求項8に記
載の赤外励起発光体の製造方法。 - 【請求項10】 ガス状スルホン化剤が三酸化硫黄ガス
であることを特徴とする請求項8または9に記載の赤外
励起発光体の製造方法。 - 【請求項11】 ガス状スルホン化剤が二酸化硫黄ガス
であることを特徴とする請求項8または9に記載の赤外
励起発光体の製造方法。
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---|---|---|---|
JP14619997A JP3427677B2 (ja) | 1997-06-04 | 1997-06-04 | 耐湿性の改善された赤外励起発光体 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14619997A JP3427677B2 (ja) | 1997-06-04 | 1997-06-04 | 耐湿性の改善された赤外励起発光体 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10330745A JPH10330745A (ja) | 1998-12-15 |
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- 1997-06-04 JP JP14619997A patent/JP3427677B2/ja not_active Expired - Fee Related
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