JP3427647B2 - 音質調整回路 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーディオ信号帯
域の周波数特性を調整する音質調整回路に関する。 【0002】 【従来の技術】オーディオ信号の音質を、音源や再生音
場の状況、あるいは聴取者の聴力や好み等に応じて調整
するために、特定の周波数帯域の利得を連続的に変化さ
せるトーンコントロール回路や、周波数帯域を複数に分
割して、分割された各帯域内で利得を変化させるグラフ
ィックイコライザ回路が一般に用いられている。 【0003】図7は、上記のトーンコントロール回路に
よる音質調整の様子を模式的に示したものである。この
例では、オーディオ信号の音質を調整する帯域の中心周
波数は1kHzに固定されており、低域側ではターンオ
ーバ周波数fL1からfL2までの帯域内で、高域側ではタ
ーンオーバ周波数fH1からfH2までの帯域内で、それぞ
れ利得を連続的に変化させることができる。このよう
に、トーンコントロール回路は、予め決められた周波数
特性に従って音質調整を行うものであり、所望の周波数
帯域の利得だけを任意に増強または減衰させることはで
きない。 【0004】これに対して、グラフィックイコライザ回
路は、オーディオ信号を複数の周波数帯域に分割して、
分割された各帯域内で利得を増強または減衰させること
ができるものである。図8は、このグラフィックイコラ
イザ回路による音質調整の様子を模式的に示している。
この例では、周波数を5つの帯域に分割した場合を示し
ている。 【0005】しかし、グラフィックイコライザ回路の各
周波数帯域の中心周波数f1,f2,f3,f4,f5 は、
予め決められた値に固定されているのが通常であり、こ
れらを自由に変化させることはできない。このため、所
望の周波数の信号を増強または減衰させることができな
いことがある。 【0006】なお、図7および図8において、縦軸のレ
スポンスは、入力信号に対する出力信号の強度比(利
得)を表し、0dBより上の部分は信号が増強されてい
ることを、また0dBより下の部分は信号が減衰されて
いることを表している。 【0007】図9は、このようなグラフィックイコライ
ザ回路の一構成例を示す図である。 【0008】このグラフィックイコライザ回路は、入力
信号Vi が印加される入力端子1、非反転入力端子と反
転入力端子とを有する演算増幅器2、出力信号VO が出
力される出力端子3を備えている。演算増幅器2の反転
入力端子には、出力信号VOが負帰還抵抗RO を介して
入力される。 【0009】31Aは、通過帯域の中心周波数ω0 ,伝
達関数H(s)をもつバンドパスフィルタであり、32
A,33Aは、バンドパスフィルタ31Aの出力信号を
電圧−電流変換する1対の電圧−電流変換器である。こ
の電圧−電流変換器は、後述するように電流ミラーによ
り構成される。ここで、上記の一対をなす第1の電圧−
電流変換器32Aの変換コンダクタンスを(1−a)g
m 、第2の電圧−電流変換器32Aの変換コンダクタン
スを(1+a)gm (−1<a<1)とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに提案する本発明の音質調整回路は、増幅器と積分器
とを有して構成される状態変数型能動バンドパスフィル
タの通過中心周波数を変化させて音質調整を行う音質調
整回路において、入力信号が印加される非反転入力端子
を備える第1の演算増幅器と、上記第1の演算増幅器の
出力端子からの出力電圧を電流に変換する第1の電圧−
電流変換手段と、上記第1の電圧−電流変換手段の出力
電流を積分する第1の積分手段と、上記第1の積分手段
の出力が印加される非反転入力端子を備える第2の演算
増幅器と、上記第2の演算増幅器の出力端子からの出力
電圧を電流に変換する第2の電圧−電流変換手段と、上
記第2の電圧−電流変換手段の出力電流を積分する第2
の積分手段と、上記第1の電圧−電流変換手段及び上記
第2の電圧−電流変換手段のそれぞれの変換コンダクタ
ンスの値を上記第1の電圧−電流変換手段及び第2の電
圧−電流変換手段にそれぞれ接続された電流源の電流値
によって制御する制御手段とを備え、上記制御手段に接
続された一つの可変抵抗によって、上記第1の電圧−電
流変換手段及び上記第2の電圧−電流変換手段の各々の
変換コンダクタンスの値を互いに等しくかつ連続的に可
変することによって、上記状態変数型能動バンドパスフ
ィルタの通過中心周波数の共振鋭度を変えずに通過中心
周波数を連続的に変化させるようにしたことを特徴とす
るものである。 【0011】前述の図8に示す周波数特性は、入力信号
が、5分割された周波数帯域の各帯域を受け持つ5個の
バンドパスフィルタ31A,31B,31C,31D,
31Eにより各々利得が変化され、それらが演算増幅器
2で加算されて出力端子3から出力された出力信号Vo
の周波数特性に相当する。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】前述したように、グラ
フィックイコライザ回路を用いることにより、オーディ
オ信号を複数の周波数帯域に分割して、分割された各帯
域内で利得を任意に増強または減衰させることができ
る。しかし、分割された各帯域の中心周波数は固定され
ているため、帯域の分割数が少ない場合には所望の周波
数の信号を増強または減衰させることができないことが
ある。 【0013】もちろん、周波数の分割数を多くして、そ
の各々の帯域について利得を変化させるように構成すれ
ば、所望の周波数の信号の利得のみを任意に変化させる
ことができる。しかし、この方法では、回路規模が大き
くなりコストも上昇してしまうために、小型安価に構成
することが要求される実際の回路に適用するには好まし
くない。 【0014】本発明が解決しようとする課題は、このよ
うな状況をふまえ、簡易な方法により所望の周波数にお
ける利得を連続的に変化させることができる音質調整回
路を提供することである。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに提案する、本発明の音質調整回路は、増幅器と積分
手段とを有して構成される状態変数型能動バンドパスフ
ィルタと、上記増幅器の変換コンダクタンスを制御する
制御手段とを備えてなることを特徴とするものである。
上記の状態変数型能動バンドパスフィルタは、入力信号
が印加される非反転入力端子と、負帰還抵抗を介して出
力端子と接続された反転入力端子を備える第1の演算増
幅器と、上記第1の演算増幅器の出力端子からの出力電
圧を電流に変換する第1の電圧−電流変換手段と、上記
第1の電圧−電流変換手段の出力電流を積分する第1の
積分手段とから構成される第1の増幅器と、上記第1の
積分手段の出力が印加される非反転入力端子と、負帰還
抵抗を介して出力端子と接続された反転入力端子を備え
る第2の演算増幅器と、上記第2の演算増幅器の出力端
子からの出力電圧を電流に変換する第2の電圧−電流変
換手段と、上記第2の電圧−電流変換手段の出力電流を
積分する第2の積分手段とから構成される第2の増幅器
とを有しており、上記第1および第2の増幅器の変換コ
ンダクタンスが互いに等しく構成されている。 【0016】上記の音質調整回路によれば、上記変換コ
ンダクタンスに比例してバンドパスフィルタの中心周波
数を変化させることができるため、可変抵抗により制御
電流を変化させる等の簡易な方法により、利得を変化さ
せる周波数帯域を連続的に変化させることができる音質
調整回路を提供できる。 【0017】 【発明の実施の形態】まず、本発明の音質調整回路につ
いての説明に先立って、図9に示したN分割グラフィッ
クイコライザ回路を構成するバンドパスフィルタについ
て、図1および図2を参照しながら説明する。 【0018】図1に示すバンドパスフィルタ回路は、状
態変数型(バイクワッド型)と称する能動フィルタであ
り、加算器と積分器から構成される。この図1では、4
1が入力端子であり、演算増幅器42,43が加算器に
相当し、電圧−電流変換器44と容量C11および電圧−
電流変換器45と容量C12が各々積分器に相当する。ま
た、47,48はバッファである。 【0019】演算増幅器42と電圧−電流変換器44か
らなる部分、および演算増幅器43と電圧−電流変換器
45からなる部分は、各々、いわゆるトランスコンダク
タ増幅器を構成している。この2つのトランスコンダク
タ増幅器の変換コンダクタンスgm1およびgm2は、制御
回路101からの制御信号により変化させることができ
る。 【0020】ここで、入力端子41に加えられる入力信
号電圧をV1 ,出力端子46から出力される出力信号電
圧をV2 とし、積分器に相当する上記の2つの回路の伝
達関数が、各々Q・ω0/Sおよびω0/(S・Q)であ
るとすると、このバンドパスフィルタ回路全体の伝達関
数H(s)は、次式のように表される。 【0021】 【数1】 【0022】いま、図9のグラフィックイコライザ回路
を構成するバンドパスフィルタが、上式で与えられる伝
達関数をもつとし、また演算増幅器2の入力端子の電圧
をV1 とすると、 V1 = Vi − Ri・Ii (2) Ii = Vi(1−a)gm・H(s) (3) V0 = Vi + R0・I0 (4) が成立する。上式を整理すると、(5)〜(7)式を得
る。 【0023】 【数2】 【0024】さらに、信号の減衰特性と強調特性が対称
になるためには、Ri=R0=Rが成り立たなければなら
ないことを考慮してV0 を求めると(8)式を得る。そ
して、この(8)式から伝達関数T(s)=V0 / Vi
を求めると(9)式を得る。 【0025】 【数3】 【0026】この(9)式において、a=1とすると
(10)式となる。従って、振幅特性は、中心(中心)
共振周波数ω0=2πf0で強調されたものとなり、この
ときの利得は、(1+2Rgm)となる。 【0027】また、(9)式において、a=−1とする
と(11)式となる。このときには、振幅特性は、中心
(共振)周波数ω0 において利得が1/(1+2Rgm)
となる減衰特性を示す。 【0028】 【数4】 【0029】このように、図9に示すグラフィックイコ
ライザ回路は、バンドパスフィルタと、係数aによって
差動的にgm が変化する2つの電圧−電流変換器から構
成されている。 【0030】次に、上記のバンドパスフィルタにおい
て、電圧−電流変換器44の変換コンダクタンスg
m1と、電圧−電流変換器45の変換コンダクタンスgm2
とが互いに等しい場合について考える。 【0031】gm1=gm2=gm とすると、通過帯域の中
心(共振)周波数ω0 および共振の鋭度Qは、次式で与
えられる。 【0032】 ω0 = gm・{1/(C1・C2)}1/2 (12) Q = (C2/C1)1/2 (13) すなわち、バンドパスフィルタ回路を構成する2つの電
圧−電流変換器増幅器の変換コンダクタンスが互いに等
しいときには、共振の鋭度Qを変化させることなく、バ
ンドパスフィルタの中心周波数ω0を変えることができ
る。 【0033】図2は、図1のバンドパスフィルタ回路に
おいて、演算増幅器と電圧−電流変換器から構成される
トランスコンダクタ増幅器の1段分の回路例を示してい
る。 【0034】このトランスコンダクタ増幅器は、入力電
圧ΔVinが入力されるトランジスタQ1,Q2からなる演
算増幅器51、ダイオードD1,D2からなるダイオード
対52および1対の電流源I0/2 により構成される部
分は、図1の演算増幅器42に相当する。また、1対の
電流−電圧変換器54およびトランジスタQ3,Q4から
なる差動増幅器53により構成される部分は、図1の電
圧−電流変換器43に相当する。そして、出力電流ΔI
out が出力される出力端子55は、図1の端子49に相
当する。また、制御回路101は、このトランスコンダ
クタ増幅器の電流源Ic の電流を制御するための手段で
ある。この制御回路101については後述する。 【0035】図1のバンドパスフィルタ回路の後段を構
成する演算増幅器43および電圧−電流変換器45も同
様に構成される。なお、図1では、1段目のトランスコ
ンダクタ増幅器と、2段目のトランスコンダクタ増幅器
の間から、出力を取り出すようにされているが、この出
力は2段目のトランスコンダクタ増幅器の出力として取
り出すようにしても等価である。 【0036】ここで、トランジスタ対Q1,Q2に流れる
全電流をI0 とすると、入力電圧ΔVinは、次式で表さ
れる。 【0037】 ΔVin = ΔIout・(1/R)・(Ic/I0) = ΔIout・(1/gm) (14) この式から分かるように、電圧−電流変換器に接続され
る電流源Ic の電流を、制御回路101からの制御信号
により変化させることにより、このトランスコンダクタ
増幅器の変換コンダクタンスgm が変化する。そして、
このトランスコンダクタ増幅器を含んで構成されるバン
ドパスフィルタの中心周波数ω0 が、(12)式に示す
ように、変換コンダクタンスgm の変化に比例して変化
する。 【0038】図3は、図1および図2で説明したバンド
パスフィルタ回路の具体的な構成を示している。以下で
は、この構成に基づいて、本発明の音質調整回路の動作
について説明する。 【0039】入力端子41に加えられた入力信号は、差
動増幅器61により電流に変換される。その電流は、ト
ランジスタQ17,Q18のベース・コレクタ間を短絡して
構成されたダイオード対62に流れ込む。ダイオード対
62の両端の電圧は、差動増幅器63のベース間に加え
られ、さらに電流ミラー64により出力電流I11として
取り出される。なお、前述の図2の51〜54の各部
は、図3の61〜64の各部にそれぞれ相当する。 【0040】電流ミラー64により取り出された出力電
流I11は、容量C11により積分され、次段の差動増幅器
65により電流に変換される。その変換された電流は、
トランジスタQ28,Q29のベース・コレクタ間を短絡し
て構成されたダイオード対66に流れ込む。ダイオード
対66の両端の電圧は、差動増幅器67のベース間に加
えられ、電流ミラー68により出力電流I12として取り
出される。 【0041】電流ミラー68により取り出された電流I
12は、容量C12により積分され、差動増幅器61および
65に帰還される。また、ダイオード対66の両端の電
圧は、差動増幅器69および70のベース間にも加えら
れている。さらに、差動増幅器69および70のコレク
タには、電流ミラー71,72がそれぞ接続され、出力
電流I13,I14が取り出されている。 【0042】また、差動増幅器69,70の共通エミッ
タには、電流ミラー73,74が接続され、この回路の
利得を変えるための制御電流ICX,ICが端子75,
76より供給される。端子77,78は、各々正負の電
源端子である。 【0043】電圧源79は、バイアス電流を与えるため
のバイアス電圧源である。このバイアス電圧源79は、
まずR11を介して電流ミラー80にバイアス電流を供給
する。その電流は、トランジスタQ13,Q14,Q25を介
して差動増幅器61,65にバイアス電流を供給する。 【0044】また、バイアス電圧源79は、端子81に
取り出され、可変抵抗VR11を介して端子82よりトラ
ンジスタQ19に流れ込む。さらに、トランジスタQ24,
Q34を介して差動増幅器63,67にバイアス電流を供
給する。これにより、可変抵抗VR11を変化させること
によりgmが変化する。 【0045】このバンドパスフィルタ回路は、図1およ
び図2に示した方式を忠実に具現化したものであり、I
C化に適した構成である。この回路をICとして構成す
る場合には、容量C11,C12は、IC内部に配置しても
よく、外付けしてもよい。一般的には、中高域の帯域に
用いる場合には容量を内蔵とし、低域に用いる場合には
容量値が大きくなるので外付とすることが望ましい。ま
た、このような音質調整回路は、上記以外の状態変数型
バンドパスフィルタを用いて構成することも可能である
が、この方式によると、容量C11,C12の一端を接地し
て使用されるため、IC化して容量を外付する回路構成
時には好適である。 【0046】図4は、前述した状態変数型の能動フィル
タであるバンドパスフィルタを用いて構成した音質調整
回路を示す図である。ここで、H(s)は、上記バンド
パスフィルタの伝達関数を示している。 【0047】この音質調整回路は、入力端子41から入
力される入力信号Vinが、演算増幅器で増幅されて、出
力端子96から出力されるように構成されている。この
とき、演算増幅器の周波数特性は、伝達関数H(s)の
上記バンドパスフィルタ回路の周波数特性に基づいて制
御されるというものである。 【0048】入力端子41から入力される入力信号Vin
は、バンドパスフィルタ91と演算増幅器93の非反転
入力端子93aとに入力される。演算増幅器93は、負
帰還抵抗Rを介して出力端子96と接続された反転入力
端子93bをさらに備え、反転入力端子93bと接地と
の間には電圧−電流変換器94が設けられている。 【0049】電圧−電流変換器94の変換コンダクタン
スgm は、例えば、電圧−電流変換器94に接続される
電流源の電流を可変抵抗VR13で変化させることにより
変化される。この可変抵抗VR13は、図3中では、電圧
源79から供給されるバイアス電流を制御する制御手段
である可変抵抗VR11に相当する。 【0050】なお、この音質調整回路では、利得を一定
にして、中心周波数ω0 を変化させるようにしている
が、中心周波数ω0 と利得を共に可変にすることもでき
る。この場合の構成については後述する。 【0051】図5は、図4の音質調整回路の動作を示す
図である。この音質調整回路によれば、可変抵抗VRの
値を変化させることにより中心周波数ω0 を任意に変化
させることができる。すなわち、信号に所定の利得を与
える実線で示す周波数特性を、図中の矢印により示すよ
うに周波数軸上で移動させることができる。 【0052】このため、図9に示したグラフィックイコ
ライザ回路のように、任意の周波数の信号成分の利得を
変化させるために複数段の回路を並列に配置する必要が
ないことが分かる。なお、図5は、任意の周波数の信号
成分を一定の利得で増強させる場合の動作を例示してい
るが、任意の利得で増強も減衰させることができるよう
にも構成できる。 【0053】図6は、図4の音質調整回路において、中
心周波数ω0 と利得を共に可変にする場合の構成を示し
ている。この構成は、利得のみを可変にした図4の構成
と同様の構成であり、電圧−電流変換器の変換コンダク
タンスgm を変えることにより中心周波数ω0 を変える
ための可変抵抗VR14と、利得を変えるための可変抵抗
VR15とが設けられている点が異なっている。中心周波
数ω0 を変えるための可変抵抗VR14は、図4では可変
抵抗VR13に相当するものであり、利得を変えるための
可変抵抗VR15と独立に制御されても、また、所定の関
係を満たすように連動制御されてもよい。 【0054】利得を変えるための可変抵抗VR2 は、具
体的には、図3の端子75から入力される制御電流IC
Xおよび端子76から入力される制御電流ICを変化さ
せるための制御手段に相当し、例えば、可変抵抗等が用
いられる。 【0055】そして、この音質調整回路は、上記の2つ
の制御電流がIC>ICXであるときには信号を増強す
るように動作し、ICX>ICであるときには信号を減
衰するように動作する。 【0056】以上説明した本発明の音質調整回路は、オ
ーディオ機器等の音響機器の音質調整に用いられること
を想定しているが、もちろん他の音響回路の音質調整回
路に適用することが可能なものである。 【0057】特に、本発明の音質調整回路は、IC化に
適した回路であるため小型に構成できるという特徴を有
しており、例えば、高齢者や聴覚障害者用の音響機器に
用いて、きめ細かな周波数特性の補正を行う場合等に効
果的である。 【0058】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の音質調整
回路は、状態変数型の能動バンドパスフィルタを用い、
電流を変化させて変換コンダクタンスgm を制御するよ
うに構成したため、例えば、可変抵抗により上記バンド
パスフィルタの中心周波数ω0を任意に変化させること
ができる。また、制御電流により、利得も独立に変化さ
せることができるため、グラフィックイコライザ回路の
ように複数段の回路構成を用いることなく、任意の周波
数特性が得られる音質調整回路を構成できる。
域の周波数特性を調整する音質調整回路に関する。 【0002】 【従来の技術】オーディオ信号の音質を、音源や再生音
場の状況、あるいは聴取者の聴力や好み等に応じて調整
するために、特定の周波数帯域の利得を連続的に変化さ
せるトーンコントロール回路や、周波数帯域を複数に分
割して、分割された各帯域内で利得を変化させるグラフ
ィックイコライザ回路が一般に用いられている。 【0003】図7は、上記のトーンコントロール回路に
よる音質調整の様子を模式的に示したものである。この
例では、オーディオ信号の音質を調整する帯域の中心周
波数は1kHzに固定されており、低域側ではターンオ
ーバ周波数fL1からfL2までの帯域内で、高域側ではタ
ーンオーバ周波数fH1からfH2までの帯域内で、それぞ
れ利得を連続的に変化させることができる。このよう
に、トーンコントロール回路は、予め決められた周波数
特性に従って音質調整を行うものであり、所望の周波数
帯域の利得だけを任意に増強または減衰させることはで
きない。 【0004】これに対して、グラフィックイコライザ回
路は、オーディオ信号を複数の周波数帯域に分割して、
分割された各帯域内で利得を増強または減衰させること
ができるものである。図8は、このグラフィックイコラ
イザ回路による音質調整の様子を模式的に示している。
この例では、周波数を5つの帯域に分割した場合を示し
ている。 【0005】しかし、グラフィックイコライザ回路の各
周波数帯域の中心周波数f1,f2,f3,f4,f5 は、
予め決められた値に固定されているのが通常であり、こ
れらを自由に変化させることはできない。このため、所
望の周波数の信号を増強または減衰させることができな
いことがある。 【0006】なお、図7および図8において、縦軸のレ
スポンスは、入力信号に対する出力信号の強度比(利
得)を表し、0dBより上の部分は信号が増強されてい
ることを、また0dBより下の部分は信号が減衰されて
いることを表している。 【0007】図9は、このようなグラフィックイコライ
ザ回路の一構成例を示す図である。 【0008】このグラフィックイコライザ回路は、入力
信号Vi が印加される入力端子1、非反転入力端子と反
転入力端子とを有する演算増幅器2、出力信号VO が出
力される出力端子3を備えている。演算増幅器2の反転
入力端子には、出力信号VOが負帰還抵抗RO を介して
入力される。 【0009】31Aは、通過帯域の中心周波数ω0 ,伝
達関数H(s)をもつバンドパスフィルタであり、32
A,33Aは、バンドパスフィルタ31Aの出力信号を
電圧−電流変換する1対の電圧−電流変換器である。こ
の電圧−電流変換器は、後述するように電流ミラーによ
り構成される。ここで、上記の一対をなす第1の電圧−
電流変換器32Aの変換コンダクタンスを(1−a)g
m 、第2の電圧−電流変換器32Aの変換コンダクタン
スを(1+a)gm (−1<a<1)とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに提案する本発明の音質調整回路は、増幅器と積分器
とを有して構成される状態変数型能動バンドパスフィル
タの通過中心周波数を変化させて音質調整を行う音質調
整回路において、入力信号が印加される非反転入力端子
を備える第1の演算増幅器と、上記第1の演算増幅器の
出力端子からの出力電圧を電流に変換する第1の電圧−
電流変換手段と、上記第1の電圧−電流変換手段の出力
電流を積分する第1の積分手段と、上記第1の積分手段
の出力が印加される非反転入力端子を備える第2の演算
増幅器と、上記第2の演算増幅器の出力端子からの出力
電圧を電流に変換する第2の電圧−電流変換手段と、上
記第2の電圧−電流変換手段の出力電流を積分する第2
の積分手段と、上記第1の電圧−電流変換手段及び上記
第2の電圧−電流変換手段のそれぞれの変換コンダクタ
ンスの値を上記第1の電圧−電流変換手段及び第2の電
圧−電流変換手段にそれぞれ接続された電流源の電流値
によって制御する制御手段とを備え、上記制御手段に接
続された一つの可変抵抗によって、上記第1の電圧−電
流変換手段及び上記第2の電圧−電流変換手段の各々の
変換コンダクタンスの値を互いに等しくかつ連続的に可
変することによって、上記状態変数型能動バンドパスフ
ィルタの通過中心周波数の共振鋭度を変えずに通過中心
周波数を連続的に変化させるようにしたことを特徴とす
るものである。 【0011】前述の図8に示す周波数特性は、入力信号
が、5分割された周波数帯域の各帯域を受け持つ5個の
バンドパスフィルタ31A,31B,31C,31D,
31Eにより各々利得が変化され、それらが演算増幅器
2で加算されて出力端子3から出力された出力信号Vo
の周波数特性に相当する。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】前述したように、グラ
フィックイコライザ回路を用いることにより、オーディ
オ信号を複数の周波数帯域に分割して、分割された各帯
域内で利得を任意に増強または減衰させることができ
る。しかし、分割された各帯域の中心周波数は固定され
ているため、帯域の分割数が少ない場合には所望の周波
数の信号を増強または減衰させることができないことが
ある。 【0013】もちろん、周波数の分割数を多くして、そ
の各々の帯域について利得を変化させるように構成すれ
ば、所望の周波数の信号の利得のみを任意に変化させる
ことができる。しかし、この方法では、回路規模が大き
くなりコストも上昇してしまうために、小型安価に構成
することが要求される実際の回路に適用するには好まし
くない。 【0014】本発明が解決しようとする課題は、このよ
うな状況をふまえ、簡易な方法により所望の周波数にお
ける利得を連続的に変化させることができる音質調整回
路を提供することである。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに提案する、本発明の音質調整回路は、増幅器と積分
手段とを有して構成される状態変数型能動バンドパスフ
ィルタと、上記増幅器の変換コンダクタンスを制御する
制御手段とを備えてなることを特徴とするものである。
上記の状態変数型能動バンドパスフィルタは、入力信号
が印加される非反転入力端子と、負帰還抵抗を介して出
力端子と接続された反転入力端子を備える第1の演算増
幅器と、上記第1の演算増幅器の出力端子からの出力電
圧を電流に変換する第1の電圧−電流変換手段と、上記
第1の電圧−電流変換手段の出力電流を積分する第1の
積分手段とから構成される第1の増幅器と、上記第1の
積分手段の出力が印加される非反転入力端子と、負帰還
抵抗を介して出力端子と接続された反転入力端子を備え
る第2の演算増幅器と、上記第2の演算増幅器の出力端
子からの出力電圧を電流に変換する第2の電圧−電流変
換手段と、上記第2の電圧−電流変換手段の出力電流を
積分する第2の積分手段とから構成される第2の増幅器
とを有しており、上記第1および第2の増幅器の変換コ
ンダクタンスが互いに等しく構成されている。 【0016】上記の音質調整回路によれば、上記変換コ
ンダクタンスに比例してバンドパスフィルタの中心周波
数を変化させることができるため、可変抵抗により制御
電流を変化させる等の簡易な方法により、利得を変化さ
せる周波数帯域を連続的に変化させることができる音質
調整回路を提供できる。 【0017】 【発明の実施の形態】まず、本発明の音質調整回路につ
いての説明に先立って、図9に示したN分割グラフィッ
クイコライザ回路を構成するバンドパスフィルタについ
て、図1および図2を参照しながら説明する。 【0018】図1に示すバンドパスフィルタ回路は、状
態変数型(バイクワッド型)と称する能動フィルタであ
り、加算器と積分器から構成される。この図1では、4
1が入力端子であり、演算増幅器42,43が加算器に
相当し、電圧−電流変換器44と容量C11および電圧−
電流変換器45と容量C12が各々積分器に相当する。ま
た、47,48はバッファである。 【0019】演算増幅器42と電圧−電流変換器44か
らなる部分、および演算増幅器43と電圧−電流変換器
45からなる部分は、各々、いわゆるトランスコンダク
タ増幅器を構成している。この2つのトランスコンダク
タ増幅器の変換コンダクタンスgm1およびgm2は、制御
回路101からの制御信号により変化させることができ
る。 【0020】ここで、入力端子41に加えられる入力信
号電圧をV1 ,出力端子46から出力される出力信号電
圧をV2 とし、積分器に相当する上記の2つの回路の伝
達関数が、各々Q・ω0/Sおよびω0/(S・Q)であ
るとすると、このバンドパスフィルタ回路全体の伝達関
数H(s)は、次式のように表される。 【0021】 【数1】 【0022】いま、図9のグラフィックイコライザ回路
を構成するバンドパスフィルタが、上式で与えられる伝
達関数をもつとし、また演算増幅器2の入力端子の電圧
をV1 とすると、 V1 = Vi − Ri・Ii (2) Ii = Vi(1−a)gm・H(s) (3) V0 = Vi + R0・I0 (4) が成立する。上式を整理すると、(5)〜(7)式を得
る。 【0023】 【数2】 【0024】さらに、信号の減衰特性と強調特性が対称
になるためには、Ri=R0=Rが成り立たなければなら
ないことを考慮してV0 を求めると(8)式を得る。そ
して、この(8)式から伝達関数T(s)=V0 / Vi
を求めると(9)式を得る。 【0025】 【数3】 【0026】この(9)式において、a=1とすると
(10)式となる。従って、振幅特性は、中心(中心)
共振周波数ω0=2πf0で強調されたものとなり、この
ときの利得は、(1+2Rgm)となる。 【0027】また、(9)式において、a=−1とする
と(11)式となる。このときには、振幅特性は、中心
(共振)周波数ω0 において利得が1/(1+2Rgm)
となる減衰特性を示す。 【0028】 【数4】 【0029】このように、図9に示すグラフィックイコ
ライザ回路は、バンドパスフィルタと、係数aによって
差動的にgm が変化する2つの電圧−電流変換器から構
成されている。 【0030】次に、上記のバンドパスフィルタにおい
て、電圧−電流変換器44の変換コンダクタンスg
m1と、電圧−電流変換器45の変換コンダクタンスgm2
とが互いに等しい場合について考える。 【0031】gm1=gm2=gm とすると、通過帯域の中
心(共振)周波数ω0 および共振の鋭度Qは、次式で与
えられる。 【0032】 ω0 = gm・{1/(C1・C2)}1/2 (12) Q = (C2/C1)1/2 (13) すなわち、バンドパスフィルタ回路を構成する2つの電
圧−電流変換器増幅器の変換コンダクタンスが互いに等
しいときには、共振の鋭度Qを変化させることなく、バ
ンドパスフィルタの中心周波数ω0を変えることができ
る。 【0033】図2は、図1のバンドパスフィルタ回路に
おいて、演算増幅器と電圧−電流変換器から構成される
トランスコンダクタ増幅器の1段分の回路例を示してい
る。 【0034】このトランスコンダクタ増幅器は、入力電
圧ΔVinが入力されるトランジスタQ1,Q2からなる演
算増幅器51、ダイオードD1,D2からなるダイオード
対52および1対の電流源I0/2 により構成される部
分は、図1の演算増幅器42に相当する。また、1対の
電流−電圧変換器54およびトランジスタQ3,Q4から
なる差動増幅器53により構成される部分は、図1の電
圧−電流変換器43に相当する。そして、出力電流ΔI
out が出力される出力端子55は、図1の端子49に相
当する。また、制御回路101は、このトランスコンダ
クタ増幅器の電流源Ic の電流を制御するための手段で
ある。この制御回路101については後述する。 【0035】図1のバンドパスフィルタ回路の後段を構
成する演算増幅器43および電圧−電流変換器45も同
様に構成される。なお、図1では、1段目のトランスコ
ンダクタ増幅器と、2段目のトランスコンダクタ増幅器
の間から、出力を取り出すようにされているが、この出
力は2段目のトランスコンダクタ増幅器の出力として取
り出すようにしても等価である。 【0036】ここで、トランジスタ対Q1,Q2に流れる
全電流をI0 とすると、入力電圧ΔVinは、次式で表さ
れる。 【0037】 ΔVin = ΔIout・(1/R)・(Ic/I0) = ΔIout・(1/gm) (14) この式から分かるように、電圧−電流変換器に接続され
る電流源Ic の電流を、制御回路101からの制御信号
により変化させることにより、このトランスコンダクタ
増幅器の変換コンダクタンスgm が変化する。そして、
このトランスコンダクタ増幅器を含んで構成されるバン
ドパスフィルタの中心周波数ω0 が、(12)式に示す
ように、変換コンダクタンスgm の変化に比例して変化
する。 【0038】図3は、図1および図2で説明したバンド
パスフィルタ回路の具体的な構成を示している。以下で
は、この構成に基づいて、本発明の音質調整回路の動作
について説明する。 【0039】入力端子41に加えられた入力信号は、差
動増幅器61により電流に変換される。その電流は、ト
ランジスタQ17,Q18のベース・コレクタ間を短絡して
構成されたダイオード対62に流れ込む。ダイオード対
62の両端の電圧は、差動増幅器63のベース間に加え
られ、さらに電流ミラー64により出力電流I11として
取り出される。なお、前述の図2の51〜54の各部
は、図3の61〜64の各部にそれぞれ相当する。 【0040】電流ミラー64により取り出された出力電
流I11は、容量C11により積分され、次段の差動増幅器
65により電流に変換される。その変換された電流は、
トランジスタQ28,Q29のベース・コレクタ間を短絡し
て構成されたダイオード対66に流れ込む。ダイオード
対66の両端の電圧は、差動増幅器67のベース間に加
えられ、電流ミラー68により出力電流I12として取り
出される。 【0041】電流ミラー68により取り出された電流I
12は、容量C12により積分され、差動増幅器61および
65に帰還される。また、ダイオード対66の両端の電
圧は、差動増幅器69および70のベース間にも加えら
れている。さらに、差動増幅器69および70のコレク
タには、電流ミラー71,72がそれぞ接続され、出力
電流I13,I14が取り出されている。 【0042】また、差動増幅器69,70の共通エミッ
タには、電流ミラー73,74が接続され、この回路の
利得を変えるための制御電流ICX,ICが端子75,
76より供給される。端子77,78は、各々正負の電
源端子である。 【0043】電圧源79は、バイアス電流を与えるため
のバイアス電圧源である。このバイアス電圧源79は、
まずR11を介して電流ミラー80にバイアス電流を供給
する。その電流は、トランジスタQ13,Q14,Q25を介
して差動増幅器61,65にバイアス電流を供給する。 【0044】また、バイアス電圧源79は、端子81に
取り出され、可変抵抗VR11を介して端子82よりトラ
ンジスタQ19に流れ込む。さらに、トランジスタQ24,
Q34を介して差動増幅器63,67にバイアス電流を供
給する。これにより、可変抵抗VR11を変化させること
によりgmが変化する。 【0045】このバンドパスフィルタ回路は、図1およ
び図2に示した方式を忠実に具現化したものであり、I
C化に適した構成である。この回路をICとして構成す
る場合には、容量C11,C12は、IC内部に配置しても
よく、外付けしてもよい。一般的には、中高域の帯域に
用いる場合には容量を内蔵とし、低域に用いる場合には
容量値が大きくなるので外付とすることが望ましい。ま
た、このような音質調整回路は、上記以外の状態変数型
バンドパスフィルタを用いて構成することも可能である
が、この方式によると、容量C11,C12の一端を接地し
て使用されるため、IC化して容量を外付する回路構成
時には好適である。 【0046】図4は、前述した状態変数型の能動フィル
タであるバンドパスフィルタを用いて構成した音質調整
回路を示す図である。ここで、H(s)は、上記バンド
パスフィルタの伝達関数を示している。 【0047】この音質調整回路は、入力端子41から入
力される入力信号Vinが、演算増幅器で増幅されて、出
力端子96から出力されるように構成されている。この
とき、演算増幅器の周波数特性は、伝達関数H(s)の
上記バンドパスフィルタ回路の周波数特性に基づいて制
御されるというものである。 【0048】入力端子41から入力される入力信号Vin
は、バンドパスフィルタ91と演算増幅器93の非反転
入力端子93aとに入力される。演算増幅器93は、負
帰還抵抗Rを介して出力端子96と接続された反転入力
端子93bをさらに備え、反転入力端子93bと接地と
の間には電圧−電流変換器94が設けられている。 【0049】電圧−電流変換器94の変換コンダクタン
スgm は、例えば、電圧−電流変換器94に接続される
電流源の電流を可変抵抗VR13で変化させることにより
変化される。この可変抵抗VR13は、図3中では、電圧
源79から供給されるバイアス電流を制御する制御手段
である可変抵抗VR11に相当する。 【0050】なお、この音質調整回路では、利得を一定
にして、中心周波数ω0 を変化させるようにしている
が、中心周波数ω0 と利得を共に可変にすることもでき
る。この場合の構成については後述する。 【0051】図5は、図4の音質調整回路の動作を示す
図である。この音質調整回路によれば、可変抵抗VRの
値を変化させることにより中心周波数ω0 を任意に変化
させることができる。すなわち、信号に所定の利得を与
える実線で示す周波数特性を、図中の矢印により示すよ
うに周波数軸上で移動させることができる。 【0052】このため、図9に示したグラフィックイコ
ライザ回路のように、任意の周波数の信号成分の利得を
変化させるために複数段の回路を並列に配置する必要が
ないことが分かる。なお、図5は、任意の周波数の信号
成分を一定の利得で増強させる場合の動作を例示してい
るが、任意の利得で増強も減衰させることができるよう
にも構成できる。 【0053】図6は、図4の音質調整回路において、中
心周波数ω0 と利得を共に可変にする場合の構成を示し
ている。この構成は、利得のみを可変にした図4の構成
と同様の構成であり、電圧−電流変換器の変換コンダク
タンスgm を変えることにより中心周波数ω0 を変える
ための可変抵抗VR14と、利得を変えるための可変抵抗
VR15とが設けられている点が異なっている。中心周波
数ω0 を変えるための可変抵抗VR14は、図4では可変
抵抗VR13に相当するものであり、利得を変えるための
可変抵抗VR15と独立に制御されても、また、所定の関
係を満たすように連動制御されてもよい。 【0054】利得を変えるための可変抵抗VR2 は、具
体的には、図3の端子75から入力される制御電流IC
Xおよび端子76から入力される制御電流ICを変化さ
せるための制御手段に相当し、例えば、可変抵抗等が用
いられる。 【0055】そして、この音質調整回路は、上記の2つ
の制御電流がIC>ICXであるときには信号を増強す
るように動作し、ICX>ICであるときには信号を減
衰するように動作する。 【0056】以上説明した本発明の音質調整回路は、オ
ーディオ機器等の音響機器の音質調整に用いられること
を想定しているが、もちろん他の音響回路の音質調整回
路に適用することが可能なものである。 【0057】特に、本発明の音質調整回路は、IC化に
適した回路であるため小型に構成できるという特徴を有
しており、例えば、高齢者や聴覚障害者用の音響機器に
用いて、きめ細かな周波数特性の補正を行う場合等に効
果的である。 【0058】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の音質調整
回路は、状態変数型の能動バンドパスフィルタを用い、
電流を変化させて変換コンダクタンスgm を制御するよ
うに構成したため、例えば、可変抵抗により上記バンド
パスフィルタの中心周波数ω0を任意に変化させること
ができる。また、制御電流により、利得も独立に変化さ
せることができるため、グラフィックイコライザ回路の
ように複数段の回路構成を用いることなく、任意の周波
数特性が得られる音質調整回路を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】状態変数型能動バンドパスフィルタの基本構成
を示す図である。 【図2】上記のバンドパスフィルタの基本構成を示す回
路図である。 【図3】本発明の音質調整回路の構成を示す図である。 【図4】本発明の音質調整回路の具体的な構成例を示す
回路図である。 【図5】上記音質調整回路の動作を説明するための図で
ある。 【図6】本発明の音質調整回路の動作を説明するための
図である。 【図7】トーンコントロール回路による音質調整を説明
するための図である。 【図8】グラフィックイコライザ回路による音質調整を
説明するための図である。 【図9】グラフィックイコライザ回路の一構成例を示す
図である。 【符号の説明】 41 入力端子、 51,53 差動増幅器、 52
ダイオード対、 54電圧−電流変換器、 101 制
御回路、 Ic 電流源
を示す図である。 【図2】上記のバンドパスフィルタの基本構成を示す回
路図である。 【図3】本発明の音質調整回路の構成を示す図である。 【図4】本発明の音質調整回路の具体的な構成例を示す
回路図である。 【図5】上記音質調整回路の動作を説明するための図で
ある。 【図6】本発明の音質調整回路の動作を説明するための
図である。 【図7】トーンコントロール回路による音質調整を説明
するための図である。 【図8】グラフィックイコライザ回路による音質調整を
説明するための図である。 【図9】グラフィックイコライザ回路の一構成例を示す
図である。 【符号の説明】 41 入力端子、 51,53 差動増幅器、 52
ダイオード対、 54電圧−電流変換器、 101 制
御回路、 Ic 電流源
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平5−267964(JP,A)
特開 平5−268497(JP,A)
特開 平8−228126(JP,A)
特開 平5−63505(JP,A)
特開 平3−145309(JP,A)
特開 平1−136406(JP,A)
特開 昭63−276312(JP,A)
特開 昭63−63211(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H03G 5/00 - 5/28
H03F 3/45
H03H 11/12
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 増幅器と積分器とを有して構成される状
態変数型能動バンドパスフィルタの通過中心周波数を変
化させて音質調整を行う音質調整回路において、 入力信号が印加される非反転入力端子を備える第1の演
算増幅器と、 上記第1の演算増幅器の出力端子からの出力電圧を電流
に変換する第1の電圧−電流変換手段と、 上記第1の電圧−電流変換手段の出力電流を積分する第
1の積分手段と、 上記第1の積分手段の出力が印加される非反転入力端子
を備える第2の演算増幅器と、 上記第2の演算増幅器の出力端子からの出力電圧を電流
に変換する第2の電圧−電流変換手段と、 上記第2の電圧−電流変換手段の出力電流を積分する第
2の積分手段と、 上記第1の電圧−電流変換手段及び上記第2の電圧−電
流変換手段のそれぞれの変換コンダクタンスの値を上記
第1の電圧−電流変換手段及び第2の電圧−電流変換手
段にそれぞれ接続された電流源の電流値によって制御す
る制御手段とを備え、 上記制御手段に接続された一つの可変抵抗によって、上
記第1の電圧−電流変換手段及び上記第2の電圧−電流
変換手段の各々の変換コンダクタンスの値を互いに等し
くかつ連続的に可変することによって、上記状態変数型
能動バンドパスフィルタの通過中心周波数の共振鋭度を
変えずに通過中心周波数を連続的に変化させるようにし
た ことを特徴とする音質調整回路。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31672396A JP3427647B2 (ja) | 1996-11-27 | 1996-11-27 | 音質調整回路 |
US08/934,572 US6141425A (en) | 1996-09-30 | 1997-09-19 | Sound quality adjustment circuit |
IDP973294A ID18556A (id) | 1996-09-30 | 1997-09-25 | Sirkuit penyetel mutu suara |
CN97121112.4A CN1118929C (zh) | 1996-09-30 | 1997-09-30 | 音质调节电路 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31672396A JP3427647B2 (ja) | 1996-11-27 | 1996-11-27 | 音質調整回路 |
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JPH10163777A JPH10163777A (ja) | 1998-06-19 |
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---|---|---|---|
JP31672396A Expired - Fee Related JP3427647B2 (ja) | 1996-09-30 | 1996-11-27 | 音質調整回路 |
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JP (1) | JP3427647B2 (ja) |
-
1996
- 1996-11-27 JP JP31672396A patent/JP3427647B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH10163777A (ja) | 1998-06-19 |
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