JP3080497B2 - 低音補償特性自動制御回路 - Google Patents

低音補償特性自動制御回路

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JP3080497B2
JP3080497B2 JP33870192A JP33870192A JP3080497B2 JP 3080497 B2 JP3080497 B2 JP 3080497B2 JP 33870192 A JP33870192 A JP 33870192A JP 33870192 A JP33870192 A JP 33870192A JP 3080497 B2 JP3080497 B2 JP 3080497B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば小型のスピー
カシステム等に適用して好適な低音補償特性自動制御回
路に関する。
【0002】
【従来の技術】小形のスピーカシステムにおいては、パ
ワーアンプの出力電圧、すなわちスピーカのボイスコイ
ル端子電圧を低周波数域で増強してスピーカを駆動する
ことにより、再生帯域の低音限界を拡げる方法が多くと
られている。具体的には、パワーアンプの入力段に低域
上昇特性を持つイコライザを挿入し、スピーカの低音の
不足分を電気的な駆動パワーを増強して補償する方法で
ある。
【0003】この方法において、イコライザへの入力信
号レベルを大きくして、スピーカの出力音圧を上げてい
くと、イコライザの低音補償特性が固定されている場合
には、パワーアンプの入力信号レベルが補償する低周波
数域で過大となり、パワーアンプでクリッピング歪を生
じる。つまり、歪が許容できる出力音圧、すなわち聴取
音量がパワーアンプの定格出力パワーによって制限され
る。
【0004】そのため、パワーアンプの定格出力パワー
が小さい場合、小音量で聴くときには低音まで歪まずに
再生できても、少し音量を上げると低音で歪を発生し聴
取音量を上げられない問題が生ずる。
【0005】こうした問題を解決する手段として、従
来、イコライザの低域補償特性の補償量を入力信号レベ
ルに応じて変える方法、つまり入力信号レベルが高くな
るに従って補償量が減少するようなレベル制御を行う方
法がとられている。この方法によれば、入力信号レベル
を上げていくと、低音再生限界が狭くなる反面、歪を許
容し得る出力音圧を上げることができる。
【0006】図7は、低音補償特性自動制御回路が接続
された従来のスピーカシステムの一例を示している。同
図において、1a,1bはオーディオ信号が供給される
入力端子、2は音量調整用の可変抵抗器、3は低音補償
特性自動制御回路、4はパワーアンプ、5はスピーカで
ある。
【0007】この場合、低周波数域での補償量を決定す
る制御回路3を構成するトランジスタのインピーダンス
値がパワーアンプ4の出力レベルで制御されて変化する
ため、、図8に出力電圧周波数特性を示すようにパワー
アンプ4の出力電圧が増大するにつれて補償量が減少す
るように働く。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図7に示す制御回路3
の構成では、低域上昇特性から平坦特性までが制御の限
界であった。
【0009】この発明は、入力信号レベルの増大に伴っ
て低域上昇特性から平坦特性または低域低下特性まで自
動的に制御変化する低音補償特性自動制御回路を提供す
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、オーディオ
帯域を2分割する一次のバタワース特性を有する低域フ
ィルタと高域フィルタとを備え、入力信号の所定レベル
範囲内で出力レベルを圧縮制御するレベル圧縮特性を有
すると共に遮断周波数が圧縮量に応じて変化するように
低域フィルタを構成し、所定の遮断周波数を有すると共
に所定の減衰を持たせて出力信号を取り出すように高域
フィルタを構成し、低域フィルタおよび高域フィルタに
同一のオーディオ信号を入力すると共に、これら低域フ
ィルタおよび高域フィルタの出力信号を電気的に合成し
て出力信号とすることにより、伝達関数の振幅周波数特
性が入力信号レベルの増大に伴って低域上昇特性から平
坦特性または低域低下特性まで自動的に制御変化するも
のである。
【0011】
【作用】この発明においては、同一のオーディオ信号が
入力される低域フィルタおよび高域フィルタの出力信号
を電気的に合成して出力信号を得るものであり、低域フ
ィルタの出力電圧周波数特性との関連で高域フィルタの
減衰率および遮断周波数を調整することで、入力信号レ
ベルが高くなる場合の振幅周波数特性を平坦特性または
低域低下特性(複数段階)に任意に設定することが可能
となる。
【0012】
【実施例】以下、図1を参照しながら、この発明の一実
施例について説明する。
【0013】同図において、11a,11bは入力オー
ディオ信号が供給される入力端子であり、12a,12
bは低音補償された出力オーディオ信号が得られる出力
端子である。入力端子11bおよび出力端子12bはそ
れぞれ接地側端子である。
【0014】13は低域フィルタ(LPF)であり、こ
の低域フィルタ13には入力端子11a,11bより入
力オーディオ信号が供給される。すなわち、入力端子1
1aは抵抗器14およびコンデンサ15の直列回路を介
して接地される。また、コンデンサ15と並列に抵抗器
16およびNPN形トランジスタ17の直列回路が接続
される。この低域フィルタ13のフィルタ特性は、減衰
域の減衰率が−6dB/octの一次のバタワース特性
である。
【0015】18は高域フィルタ(HPF)であり、こ
の高域フィルタ18には入力端子11a,11bより入
力オーディオ信号が供給される。すなわち、入力端子1
1aはコンデンサ19、抵抗器20および21の直列回
路を介して接地される。この高域フィルタ18のフィル
タ特性は、減衰域の減衰率が−6dB/octのバタワ
ース特性である。
【0016】低域フィルタ13の出力信号、すなわち抵
抗器14およびコンデンサ15の接続点に得られる信号
および高域フィルタ18の出力信号、すなわち分圧用の
抵抗器20および21の接続点に得られる信号はそれぞ
れ合成器22に供給されて合成され、出力端子12aに
出力オーディオ信号として導出される。
【0017】入力端子11aに供給される入力オーディ
オ信号は切換スイッチ23のa側の固定端子に供給さ
れ、そのb側の固定端子には低域フィルタ13の出力信
号が供給される。この切換スイッチ23の出力信号は制
御信号生成回路24に供給される。この制御信号生成回
路24では、入力オーディオ信号または低域フィルタ1
3の出力信号のレベルに応じて、低域フィルタ13のト
ランジスタ17のエミッタ−コレクタ間の抵抗値を制御
変化させる制御信号が生成される。
【0018】すなわち、切換スイッチ23の出力信号は
アンプ25で増幅されたのち、コンデンサ26,27、
ダイオード28,29よりなる倍電圧ピーク整流回路に
供給される。アンプ25の増幅度は適正な制御特性が得
られる適値に設定される。倍電圧ピーク整流回路の出力
信号は抵抗器30を介して低域フィルタ13のトランジ
スタ17のベースに上述した制御信号として供給され
る。抵抗器30はトランジスタ17のベース電圧Vbを
適値に設定するためのものである。
【0019】ここで、コンデンサ27の容量とアンプ2
5の出力抵抗およびダイオード29の順方向抵抗とで制
御開始時間が決定される。また、コンデンサ27の容量
とダイオード29の逆方向抵抗とで制御復帰時間が決定
される。
【0020】なお、切換スイッチ23がa側に接続され
るとき、制御信号生成回路24には入力オーディオ信号
が供給され、いわゆる前動形の制御動作が行なわれる。
一方、切換スイッチ23がb側に接続されるとき、制御
信号生成回路24には低域フィルタ13の出力信号が供
給され、後動形の制御動作が行なわれる。
【0021】次に、低域フィルタ13および高域フィル
タ18の特性および合成条件を詳細に説明する。 (A)低域フィルタ13の出力レベル圧縮制御特性 抵抗器14,16の抵抗値をそれぞれR1,R0、コンデ
ンサ15の容量値をC1、トランジスタ17のエミッタ
−コレクタ間の抵抗値をRtとし、また入力信号電圧を
E、出力信号電圧をVLとすると、低域フィルタ13の
等価回路は図2に示すようになる。
【0022】図2より、出力信号電圧VLは数1で表わ
される。
【0023】
【数1】
【0024】数1において、RxはR1と(R0+Rt)
の並列合成抵抗値であり、数2で表わされる。
【0025】
【数2】
【0026】数1において、E・Rx/R1は、ωC1R
x<1を満たす低い周波数での出力信号電圧であり、圧
縮特性を持っている。また、1/(1+jωC1Rx)
は、低域フィルタ特性を有し、Rxの変化に対応して遮
断周波数が変化する。ここで、遮断周波数は、周知のよ
うにフィルタの出力電圧レベルが通常帯域での平坦特性
から3dB低下する周波数である。
【0027】まず、通過帯域の低周波数域での出力信号
電圧のレベル圧縮特性について説明する。
【0028】一般に、シリコントランジスタのエミッタ
−コレクタ間の抵抗値Rtは、ベース電圧Vbがおよそ
0.6V以下では殆ど無限大に近い値となる。しかし、
Vbが0.6V以上になるとRtは急激に減少し、Vb
が1.5〜2V以上ではRtは数100Ω程度の低い値
を保つようになる。シリコントランジスタはこうした性
質を有するので、従来簡易なレベル制御用の制御素子と
しても用いられてきている。
【0029】ベース電圧Vbは、上述したように制御信
号生成回路24で生成され、低域フィルタ13の入力信
号または出力信号のレベル、すなわち大きさに対応した
直流電圧である。ここで、Vbは、入力信号が正弦波の
場合には、信号レベルに対応した一定値の直流電圧であ
るが、一般のオーディオ信号の場合には時間的に大きさ
が変化する直流電圧である。
【0030】入力信号を制御信号に用いる前動形(切換
スイッチ23をa側に接続)の場合には、Vbは入力信
号レベルに比例するが、制御された出力信号を制御信号
に用いる後動形(切換スイッチ23をb側に接続)の場
合には、Vbは入力信号レベルとは比例関係にない。し
かし、両者いづれの場合であっても、Vbは入力信号レ
ベルに依存している。
【0031】以下、入力信号が正弦波の場合について、
E・Rx/R1のレベル圧縮特性を説明する。
【0032】Vbが制御開始電圧(約0.6V)になる
入力信号電圧をE1とすると、この状態ではRtが殆ど
無限大に近い値となっているので、Rx=R1となる。
【0033】したがって、入力信号電圧がE1のときに
は、低周波数域での出力信号電圧VL1′は、数3で表わ
される。
【0034】
【数3】
【0035】次に、入力信号レベルが高くなって、Vb
が1.5〜2V位になると、RtはR0に比べて無視で
きる程度の小さな値になる。したがって、数2において
RtをR0に対して省略すると、数4で表わされる。
【0036】
【数4】
【0037】そこで、この状態での入力信号電圧をE2
とすると、低周波数域での出力信号電圧VL2′は、数5
で表わされる。
【0038】
【数5】
【0039】数5から明らかなように、VL2′は、E2
なる電圧が、1/(1+R1/R0)に圧縮される。
【0040】一般に、レベル圧縮においては、入力信号
電圧をE、圧縮された出力信号電圧をV0、入力信号の
制御開始電圧をE1とし、レベル圧縮比をnとすると、
数6で定義される。
【0041】
【数6】
【0042】数6の両辺の対数をとることでnは数7で
表わされ、レベル圧縮比は、n:1と表示される。
【0043】
【数7】
【0044】したがって、入力信号電圧がE2のときの
レベル圧縮比n2は、数3、数5および数7より、数8
で表わされる。
【0045】
【数8】
【0046】入力信号電圧がE1からE2の範囲に亘って
レベル圧縮比が一定値(n2)となるのが理想的であ
る。しかし、一定の圧縮比が得られるかどうかは、トラ
ンジスタ17のエミッタ−コレクタ間の抵抗値Rtのベ
ース電圧Vbによる制御特性に依存する。
【0047】図3は、入力信号レベルが制御開始レベル
から12dB高いレベルまでの範囲で、4:1の一定値
のレベル圧縮比をもつ場合のレベル圧縮特性の一例であ
る。 (B)低域フィルタ13の出力電圧周波数特性 低域フィルタ13の低周波数域、すなわち通過帯域での
出力レベル圧縮特性については、上述した通りである。
【0048】そこで、低域フィルタ13の全周波数域で
の出力電圧周波数特性が入力信号電圧Eによってどのよ
うに変化するかを説明する。
【0049】まず、入力信号電圧Eが制御開始電圧であ
るE1においては、Rx=R1であるから、出力信号電圧
VL1は、数1より、数9で表わされる。
【0050】
【数9】
【0051】数9より明らかなように、VL1は、ωC1
R1<<1を満たす低周波数域ではE1なる一定値の出力電
圧特性となり、ωC1R1=1の周波数で、|VL1|は、
E1/√2、すなわち3dB低下し、それより高い周波
数では周波数に比例して低下する一次のバタワース特性
となる。ωC1R1=1となる周波数、すなわち遮断周波
数fL1は、数10で表わされる。
【0052】
【数10】
【0053】次に、入力信号電圧EがE2になるとRx
は数4で表されるので、入力信号電圧EがE2のときの
出力信号電圧VL2は、数11で表わされる。
【0054】
【数11】
【0055】数11から明らかなように、VL2はE2が
1/(1+R1/R0)に圧縮されたものとなる。また、
遮断周波数fL2は数12で表わされ、fL1の(1+R1
/R0)倍高い周波数となる。
【0056】
【数12】
【0057】以上は、入力信号電圧EがE1とE2の場合
であるが、レベル圧縮比が、E1からE2の範囲でn:1
の一定値をとる場合には、数1のE・Rx/R1をVL′
とおくと、数6より数13となって、数14の関係があ
る。
【0058】
【数13】
【0059】
【数14】
【0060】数14を変形すると、数15となる。ただ
し、EはE1からE2の範囲である。
【0061】
【数15】
【0062】数16は、Rxが数16の関係に従って変
化すれば、入力信号電圧EがE1からE2の範囲内でn:
1のレベル圧縮比が得られることを示している。
【0063】従って、出力信号電圧VLをE1で基準化し
たVL/E1は、数1、数14、数15より、数16で表
わされる。ただし、EはE1からE2の範囲である。
【0064】
【数16】
【0065】数16で表される出力電圧周波数特性につ
いて、レベル圧縮特性を図3に示した特性とし、fL1を
120Hzとした場合の一例を示すと、図4に実線で示
す特性になる。この特性は、入力信号電圧Eの制御開始
電圧(E1)からのレベル増加量が、0dB、+4d
B、+8dB、+12dBの場合について示したもので
ある。 (C)高域フィルタ18の出力電圧周波数特性 コンデンサ19の容量値をC4、抵抗器20,21の抵
抗値をそれぞれR3,R4とすると、図1の高域フィルタ
18の出力電圧VHは、数17で表わされる。
【0066】
【数17】
【0067】数17において、E/(1+R3/R4)
は、高周波数域、すなわち通過帯域での出力信号電圧を
与える。また、{}内は、一次のバタワース特性の高域
フィルタ特性を示し、遮断周波数fHは、数18で表わ
される。
【0068】
【数18】
【0069】したがって、数17、数18より、VH/
E1は数19で表わされる。
【0070】
【数19】
【0071】(D)低域フィルタ13および高域フィル
タ18の出力信号の合成条件 低域フィルタ13および高域フィルタ18の両出力信号
を合成する条件についは、低域フィルタ13のレベル制
御範囲の上限を与える上述した入力信号電圧E2におい
て、全帯域に亘り平坦特性となるように合成するか、あ
るいは低域低下特性となるように合成するかである。こ
のE2における合成出力電圧周波数特性は、高域フィル
タ18の出力信号電圧にどれぐらいの減衰を与え、かつ
遮断周波数をいくらに設定するかで決まる。
【0072】n:1のレベル圧縮比をもつE1からE2の
範囲内の所定の入力信号電圧Exにおいて、合成出力電
圧周波数特性を平坦特性に合成するために、まず低域フ
ィルタ13および高域フィルタ18の通過帯域での両出
力信号電圧を等しくする条件から、高域フィルタ18の
出力信号電圧の減衰率[1/(1+R3/R4)]とEx
/E1の関係が、数16、数19より数20となり、数
21で与えられる。
【0073】
【数20】
【0074】
【数21】
【0075】次に、低域フィルタ13および高域フィル
タ18の遮断周波数を等しくする条件から、高域フィル
タの遮断周波数fHが、数16、数19より、数22で
与えられる。
【0076】
【数22】
【0077】ここで、合成出力電圧周波数特性の具体例
について以下に述べる。
【0078】まず、レベル制御範囲の上限を与える入力
信号電圧E2において、合成出力電圧周波数特性が全帯
域で平坦特性となる具体例を示すと次のようになる。
【0079】低域フィルタ13の出力電圧特性を、図4
に実線で示す特性とすると、E2/E1=4であり、ま
た、n=4であるから数21においてEx=E2とおく
と、数23となり、高域フィルタ18の出力信号レベル
の所定減衰量は約−9dBとなる。
【0080】
【数23】
【0081】次に、高域フィルタ18の遮断周波数fH
については、低域フィルタ13の遮断周波数fL1が12
0Hzであるから、数22より、 fH=120×40.75=339.4≒339Hz となる。
【0082】図4に破線で示した特性は、上述した条件
での高域フィルタ18の出力電圧周波数特性である。
【0083】したがって、合成出力電圧周波数特性は、
図5に示すようになる。図5より明らかなように、合成
出力電圧周波数特性は、入力信号電圧Eが制御開始電圧
E1までは、図に示すような低域上昇特性をもつ低域補
償特性を維持し、E1を越えると補償量が減少し、制御
範囲の上限電圧E2において全帯域平坦特性となり、E2
よりも高い入力信号電圧Eでは、そのまま平坦特性を維
持するように自動制御される。
【0084】次に、E2において、低域低下特性となる
具体例を示すと次のようになる。
【0085】E2において低域低下特性とするには、E2
において高域フィルタ18の通過帯域での出力信号電圧
が、低域フィルタ13の通過帯域での出力信号電圧より
も所要の値だけ高くなるように、高域フィルタ18の出
力信号レベルの減衰量を決めればよい。
【0086】一例として、E2において、高域フィルタ
18の通過帯域での出力信号レベルを、低域フィルタ1
3の通過帯域での出力信号レベルよりも2dB高くなる
ように設定すると、高域フィルタ18の出力信号レベル
の所要減衰量は、約−9dBよりも2dB少ない約−7
dBとすればよい。
【0087】この場合、合成出力電圧周波数特性は、入
力信号レベルの増大に伴って低域上昇特性から平坦特性
を経て低域低下特性となるように変化するのが望まし
い。この平坦特性となる入力信号電圧はE2よりも小さ
な電圧となるので、高域フィルタ18の遮断周波数fH
は合成出力電圧周波数特性がE2で平坦特性となる場合
とは異なった周波数にする必要がある。
【0088】このfHについては、高域フィルタ18の
出力信号レベルの所要減衰量が−7.03dBの条件
で、低域フィルタ13および高域フィルタ18の通過帯
域での出力電圧が同一となるEx/E1を数21より求
め、次いで数22よりfHを求めればよい。
【0089】そこで、図4に実線で示す低域フィルタ1
3の特性を例にとると、−7.03dBの真数は0.4
45であるから、数21より数24が得られ、Ex/E
1は数25となる。
【0090】
【数24】
【0091】
【数25】
【0092】そのため、fHは、数22より、 fH=120×2.940.75=269.4≒270(H
z) と求まる。
【0093】図6は、上記の条件での合成出力電圧周波
数特性を、入力信号電圧EがE1〜E2の範囲で示したも
のである。
【0094】
【発明の効果】この発明によれば、同一のオーディオ信
号が入力される低域フィルタおよび高域フィルタの出力
信号を電気的に合成して出力信号を得るものであり、低
域フィルタの出力電圧周波数特性との関連で高域フィル
タの減衰率および遮断周波数を調整することで、入力信
号レベルが高くなる場合の振幅周波数特性を平坦特性ま
たは低域低下特性(複数段階)に任意に設定でき、小型
のスピーカシステムに適用して好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る低音補償特性自動制御回路の一
実施例を示す構成図である。
【図2】低域フィルタの等価回路を示す図である。
【図3】低域フィルタのレベル圧縮特性の一例を示す図
である。
【図4】低域フィルタおよび高域フィルタの出力電圧周
波数特性(E1で基準化)を示す図である。
【図5】低域フィルタと高域フィルタの合成出力電圧周
波数特性(E1で基準化)を示す図である。
【図6】低域フィルタと高域フィルタの合成出力電圧周
波数特性(E1で基準化)を示す図である。
【図7】従来のスピーカシステムの構成例を示す図であ
る。
【図8】従来の低音補償特性自動制御回路の出力電圧周
波数特性を示す図である。
【符号の説明】
11a,11b 入力端子 12a,12b 出力端子 13 低域フィルタ 18 高域フィルタ 22 合成器 24 制御信号生成回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 3/00 310 H04R 3/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーディオ帯域を2分割する一次のバタ
    ワース特性を有する低域フィルタと高域フィルタとを備
    え、 入力信号の所定レベル範囲内で出力レベルを圧縮制御す
    るレベル圧縮特性を有すると共に遮断周波数が圧縮量に
    応じて変化するように上記低域フィルタを構成し、 所定の遮断周波数を有すると共に所定の減衰を持たせて
    出力信号を取り出すように上記高域フィルタを構成し、 上記低域フィルタおよび高域フィルタに同一のオーディ
    オ信号を入力すると共に、これら低域フィルタおよび高
    域フィルタの出力信号を電気的に合成して出力信号とす
    ることにより、 伝達関数の振幅周波数特性が入力信号レベルの増大に伴
    って低域上昇特性から平坦特性または低域低下特性まで
    自動的に制御変化することを特徴とする低音補償特性自
    動制御回路。
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