JP3424893B2 - Noxガス検知素子 - Google Patents

Noxガス検知素子

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JP3424893B2 JP13248397A JP13248397A JP3424893B2 JP 3424893 B2 JP3424893 B2 JP 3424893B2 JP 13248397 A JP13248397 A JP 13248397A JP 13248397 A JP13248397 A JP 13248397A JP 3424893 B2 JP3424893 B2 JP 3424893B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ガス中のNOX
スを検知する検知器において、この機器で用いられるN
Xガス検知素子に関する。 【0002】 【従来の技術】昭和40年代後半に環境問題がクローズ
アップされて以来、環境保全が世界的に叫ばれている。
大気環境に関しては、自動車や工場から排気される排ガ
ス中に含まれるNOXガスが自然環境や人体に様々な悪
影響を与えるとして特に問題視されている。従来より、
こうした排ガス等のガス中に含まれるNOXガスの濃度
の測定方法としては、赤外線吸収法、化学発光法および
電気分解法がよく知られている。しかし、これらの方法
では、その検知精度を高くするためには一般に高価で大
型の装置が必要となる。 【0003】そこで最近になって、酸化物半導体、固体
電解質、有機半導体、圧電体などよりなるNOXガス検
知素子を用いたガス検知器が検討されている。こうした
NOXガス検知素子は、例えば素子にNOXが吸着したと
きに生じる電気抵抗の変動を検知してガス中のNOX
濃度を測定するもので、安価で小型の測定装置とするこ
とができる。 【0004】このようなNOXガス検知素子に用いられ
る材料としては、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ
(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン
(WO3)などの酸化物半導体が提案されている(特開
平3−13854号公報、特公平2−28823号公
報、米国特許第4358950号、文献(71th,C
ATSJ Meeting Abstracts,N
o.1B4,vol.35,No.2,1993))。
しかし、これら酸化物半導体を用いた素子においては次
のような問題がある。 【0005】まず、TiO2はもともと高い電気抵抗値
をもつ物質であるためガス検知素子の作製、特に素子周
辺の回路の作製に手間がいる。またNOXによる電気抵
抗値の変動が小さいためNOXに対する感度が小さい。
また、SnO2またはZnOを用いたものでは多種類の
ガスに感応するため、NOXのみの濃度を正確に測定す
ることが困難である。さらにWO3を用いたものでは水
蒸気の影響を大きく受けるため、湿り気のあるガスにお
いてはNOXガスの濃度の測定には不向きである。 【0006】一方、錫酸亜鉛系(Zn−Sn−O)の一
種で、スピネル型結晶構造をもつもの(Zn2SnO4
やペロブスカイト型結晶構造をもつもの(ZnSn
3)を用いた素子は、エタノールガスやNOXガスに高
感度であることが報告されている(S.Kunitsu
gu,S.Matsushima et al.,Ch
emical Sonsors,vol.10,Sup
plement A,5−8(1994)、N.Hir
atsuka,H.Kobayashi etal.,
J.Ceram.Soc.Japan,104[1
1],1048−1051(1996))。しかし、Z
2SnO4は、TiO2と同様に高い電気抵抗値をも
ち、またNOX吸着による電気抵抗値の変動が小さい。
それゆえ、高い感度でNOXを検知することが困難であ
る。 【0007】本発明者らは、以上のような問題に基づ
き、Zn2SnO4にSbを微量添加してなるNOXガス
検知素子を報告している(特開平8−105855号公
報)。この材料は、純粋なZn2SnO4よりも電気抵抗
値が低く、かつNOX吸着による電気抵抗値の変動が大
きい。それゆえ、この素子はNOXに対する感度が高
く、ガス中のNOX濃度を正確に測定することができ
る。さらに高温耐久性にも優れるため、高温の排ガス中
のNOXの濃度を測定することができる。 【0008】ところで、自動車の交通量の多い場所やフ
ァンヒータ等の暖房器具が使用されている密閉室内など
でも、自動車やボイラなどの排ガスに比べれば濃度はそ
れほど大きくはないがNOXがその雰囲気中に含まれて
いる。このような人が通常生活している環境下では、N
Xがそれほど高くなくても人体に対する影響は大き
く、NOXの濃度を正確に測定できる素子が望まれてい
る。前記のZn2SnO4にSbを微量添加したもので
は、自動車やボイラの排ガスなどNOXが比較的高い濃
度にあるガスについては優れた測定能を有するものの、
低濃度のNOXの感度については高いと言い難く、こう
した要望に十分に応えることができずにいた。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、低濃度のNOXを感度良く検
知できるNOXガス検知素子を提供することを目的とす
る。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、スズ、亜
鉛、アンチモンおよび酸素を主成分とする酸化物におい
て、それぞれの元素の含有量に着目してNOXガス検知
素子の鋭意研究を重ねた。その結果、原子数比で亜鉛/
スズが0.5〜4.2であり、かつアンチモン/(スズ
+亜鉛+アンチモン)が0.2〜0.7であるものを用
いた素子において、低濃度のNOXを感度良く測定でき
ることを見いだし、本発明に至った。 【0011】すなわち、本発明のNOXガス検知素子
は、スズ、亜鉛、アンチモンおよび酸素を主成分とする
酸化物であり、原子数比で亜鉛/スズが0.5〜4.2
でありかつアンチモン/(スズ+亜鉛+アンチモン)が
0.2〜0.7であることを特徴とする。なお、ここで
いう原子数とは、NOXガス検知素子に含まれる個々の
原子の数のことである。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明のNOXガス検知素子で
は、スズ、亜鉛、アンチモンおよび酸素を主成分とする
酸化物であり、原子数比で亜鉛/スズが0.5〜4.2
でありかつアンチモン/(スズ+亜鉛+アンチモン)が
0.2〜0.7である薄膜(以下、NO Xガス検知薄膜
と称する)を基板上に形成して素子を作製することがで
きる。 【0013】基板の材料としては特に限定されるもので
はないが、高温、多湿な雰囲気下において、検知用材料
と反応しないとともに経時変化を起こすことのないもの
を用いることが好ましく、アルミナ、ステアタイト、ス
ピネル(MgAl24)、ジルコニア等を挙げることが
できる。中でもアルミナは、安価で機械的強度に優れ、
また表面粗さの小さい基板が市販されており好ましい材
料である。 【0014】また、NOXガス検知薄膜の形成方法とし
ては、亜鉛、スズ、アンチモンおよび酸素の局部的な不
均一性の生じない方法であれば特に限定されるものでは
なく、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーテ
ィング法などの物理蒸着法や化学蒸着法などで形成する
ことができる。中でも反応性スパッタリング法では亜
鉛、スズ、アンチモンおよび酸素が極めて均一に分散し
た形態の膜状の材料を作製することができる。この方法
では、あらかじめアルミナ等からなる基板を用意し、そ
の表面にPt電極を設け、その上にNOXガス検知薄膜
を成膜して素子を作製する。この方法では成膜後に80
0〜1000℃の温度で所定時間の熱処理を行うことが
好ましい。この熱処理により薄膜を結晶化して安定化さ
せるとともに基板への密着性を強固なものとすることが
できる。 【0015】あるいは、上記の素子の作製方法の他に、
ペーストによるスクリーン印刷法などの方法を用いるこ
とができる。この方法では、スズ、亜鉛、アンチモンを
それぞれ含む化合物を溶媒中で分子レベルで反応させ、
溶液またはペースト状にして基板上に塗布し、空気中で
焼成分解して素子を作製する。この際、反応させたもの
を先に焼成して粉末とし、それをペースト状にして塗布
した後、酸化雰囲気下で焼成して素子を作製してもよ
い。 【0016】以上のNOXガス検知薄膜に一対の電極を
設けて素子を作動することができる。この電極としては
白金、金、ニッケル等の高い電気伝導性をもつものが好
ましい。また、この電極はNOXガス検知薄膜を成膜す
る前にあらかじめ基板に形成しておいてもよい。また、
この薄膜を所定の温度で加熱できるヒータを基板に設け
てもよい。このヒータによりNOXガス検知薄膜の検知
能を高めることができる。このヒータは白金、金、ニッ
ケル等の薄膜を基板の裏側に成膜して設けることができ
る。 【0017】 【作用・効果】本発明のNOXガス検知素子は、NOX
含まないガス中では低い電気抵抗値をもつ。例えばZn
2SnO4に比べると3〜5桁低い。また、NOXを含ま
ないガス中での電気抵抗値に対し、低濃度のNOXを含
むガス中での電気抵抗値の変動が大きい。例えば5pp
m程度の濃度のガスであればZn2SnO4に比べると3
〜5倍程度向上させることができる。 【0018】本NOXガス検知素子でこのような作用が
生じる理由は定かでないが、次のように考えることがで
きる。スズ、亜鉛、アンチモンおよび酸素を主成分とす
る材料にSbを多量に含ませることにより、主要な結晶
構造がZn2SnO4のスピネル型結晶構造からZnSb
26の構造に変わる。このときSnは何らかの形で(お
そらく結晶中では酸化物の形態で存在していると考えら
れる)その結晶の格子中に存在して結晶歪を生じさせて
いると考えられる。この結晶歪により電気伝導性が向上
し、表面のNOXガスの吸着および脱離をより活性化さ
せているものと考えられる。 【0019】以上のように、電気抵抗値が小さいためガ
ス検知素子の周辺回路の作製が容易となり、また電気抵
抗値の変動が大きいためNOXに対する感度が良好とな
る。 【0020】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (実施例1)本実施例のNOXガス検知素子は、図1の
上面図および図2の要部断面図に示すように、直方体形
状の基板1と、基板1の表面に長手方向にそれぞれ形成
された一対の電極2、2と、基板1の表面の電極2、2
の一端側に形成されるNOXガスを検知するNOXガス検
知薄膜3と、NOXガス検知薄膜3に対し基板1の裏側
に形成されたヒータ4と、からなる。 【0021】基板1はアルミナで形成され、その寸法が
16mm×3mm×0.6mmである。また、基板1の
表面粗さRaは約0.075μmとした。電極2、2は
白金より形成され、それらの一端側、すなわちNOX
知薄膜3が形成される部分には、相対向する側に櫛歯状
に突出する3本の枝部2aがそれぞれ設けられている。
この枝部2aは、電極を長くすることで測定時の電気抵
抗値を低くするように工夫したものである。これらの電
極2、2は電極間距離が0.2mmとなるようにそれぞ
れ配置され、電源および電流計にそれぞれ直列に接続さ
れている。 【0022】NOXガス検知薄膜3は、スズ、亜鉛、ア
ンチモンおよび酸素を主成分とする酸化物であり、原子
数比で亜鉛/スズが0.5〜4.2であり、かつアンチ
モン/(スズ+亜鉛+アンチモン)が0.2〜0.7で
ある薄膜である。その膜厚は1μm程度とした。ヒータ
4は白金より形成され、基板1を介してNOXガス検知
薄膜3を加熱できる。 【0023】以上の構成をもつ素子を次の一連のスパッ
タリング法を採用し、Zn/SnおよびSb/(Sn+
Zn+Sb)がそれぞれ異なる素子を各種作製した。ま
ず基板1を用意し、その表面上に白金をスパッタ蒸着し
電極2、2を形成した。また、基板1の裏面にもこの電
極2、2の裏側にあたる位置に白金をスパッタ蒸着しヒ
ータ4を形成した。 【0024】続いて、Zn、Sn、Sbの各金属ターゲ
ットを準備し、次の成膜条件で三元同時の反応性スパッ
タリングによりNOXガス検知薄膜3を形成した。スパ
ッタリング雰囲気ガスとしてはアルゴンガスと酸素ガス
との混合ガスを用いた。この混合ガスはその全圧が5m
Torrであり、酸素を20%含むものである。また、
原子数比でZn/Snがほぼ2.3の値となり、かつS
b/(Sn+Zn+Sb)が0.2〜0.7の範囲内の
所定の値となるように、各金属ターゲットの投入電力を
それぞれ適宜設定し、Sb/(Sn+Zn+Sb)の値
の異なる6種類のNOXガス検知素子(試験例1〜6)
を作製した。 【0025】なお本実施例では、図3に示すようにター
ゲットの投入電力に対するそれぞれの酸化物(Sn
2、ZnOおよびSb23)の成膜速度をあらかじめ
求めておき、これら各酸化物の成膜速度に基づいて各金
属ターゲットに対する投入電力の大きさをそれぞれ決定
した。NOXガス検知薄膜3を形成した後、大気雰囲気
下で電気加熱炉を用い1000℃で1時間熱処理を施し
て素子を完成した。 (比較例1)原子数比でZn/Snがほぼ2.3の値と
なり、かつSb/(Sn+Zn+Sb)が0〜0.2の
範囲内の所定の値となるように、各金属ターゲットの投
入電力をそれぞれ適宜設定する他は、実施例1と同様に
してSb/(Sn+Zn+Sb)の値が異なる3種類の
NOXガス検知素子(試験例7〜9)を作製した。な
お、試験例9の素子ではZn/Snが3.63とやや大
きいが、Sb/(Sn+Zn+Sb)の値に依存する性
質に影響するほど大きくはない。 (評価)試験例1〜6および試験例7〜9の各素子につ
いて、NOXガス検知薄膜3の組成をX線マイクロアナ
ライザー(EPMA)を用いて測定した。それぞれのZ
n/SnおよびSb/(Sn+Zn+Sb)の値、並び
にそれらの膜厚を表1に示す。 【0026】 【表1】 【0027】また、酸素20%、窒素79%および水蒸
気1%から構成される試験ガスにおいて、NO2が含ま
れていないものとNO2が5ppm含まれているものと
をそれぞれ用意し、それぞれのガス中での各素子の電気
抵抗値を測定した。なお、ここではヒータ4で素子を4
00℃に温めて、素子の電気抵抗値を測定した。その測
定結果を表1に併せて示す。また、NO2が含まれてい
ない試験ガス中でのSb/(Sn+Zn+Sb)に対す
る電気抵抗値の変化と、NO2が5ppm含まれている
試験ガス中でのSb/(Sn+Zn+Sb)に対する電
気抵抗値の変化と、をそれぞれ図4に示す。 【0028】表1および図4より、NO2が含まれてい
ない試験ガス中では、Sb/(Sn+Zn+Sb)の値
が0.2〜0.7の範囲内にある素子は、0.2未満の
値の素子に比べると低い電気抵抗値をもつことがわか
る。特に、Sb/(Sn+Zn+Sb)が0のもの(試
験例7)と0.324のもの(試験例1)とを比較する
と、その電気抵抗値が約5桁低くなっていることがわか
る。 【0029】また、Sb/(Sn+Zn+Sb)の値が
0.2未満の素子は、NO2ガスが含まれていない試験
ガス中での電気抵抗値とNO2ガスが5ppm含まれて
いる試験ガス中での電気抵抗値を比較してもそれほど大
きく変動していない。これに対し、Sb/(Sn+Zn
+Sb)の値が0.2〜0.7の範囲内にある素子で
は、電気抵抗値が大きく変動していることがわかる。特
に、Sb/(Sn+Zn+Sb)が0のもの(試験例
7)と0.394のもの(試験例3)とを比較すると、
電気抵抗値の変動は最高で1.5桁違っていることがわ
かる。 【0030】さらに、表1および図4より、NO2ガス
に対する感度(Rg/Ra)を求めた。その結果を図5
に示す。図5より、Sb/(Sn+Zn+Sb)の値が
0.2〜0.7の範囲内にある素子は0.2未満の値の
素子に比べるとNO2ガスに対する感度が大きいことが
わかる。特に、Sb/(Sn+Zn+Sb)が0のもの
(試験例7)と0.394のもの(試験例3)とを比較
すると、NO2ガスに対する感度が約20倍違っている
ことがわかる。 (実施例2)原子数比でZn/Snが0.5〜4.2の
範囲内の所定の値となり、かつSb/(Sn+Zn+S
b)がほぼ0.34の値となるように、各金属ターゲッ
トの投入電力をそれぞれ適宜設定する他は、実施例1と
同様にしてZn/Snの値が異なる5種類のNOXガス
検知素子(試験例10〜14)を作製した。試験例10
〜14の各NOXガス検知素子の性質をそれぞれ表2に
示す。 【0031】 【表2】【0032】(比較例2)原子数比でZn/Snが0で
あり、かつSb/(Sn+Zn+Sb)がほぼ0.2の
値となるように、各金属ターゲットの投入電力をそれぞ
れ適宜設定する他は、実施例1と同様にしてNOXガス
検知素子(試験例15)を作製した。試験例15のNO
Xガス検知素子の性質を表2に併せて示す。また、試験
例2のものについても表2に併せて示した。 【0033】また、試験例10〜15について、NO2
が含まれていない試験ガス中でのZn/Snに対する電
気抵抗値の変化を図6に示す。図6よりZn/Snの値
が0.5〜4.2の範囲内にある素子は、Zn/Snの
値が0の素子に比べるとやや大きいものの先に述べた比
較例7および8に比べれば小さいことがわかる。特にZ
n/Snの値が0.5〜3.5の範囲内においては電気
抵抗値が極めて低いことがわかる。 【0034】さらに、試験例10〜15について、NO
2ガスに対する感度(Rg/Ra)を求めた。その結果
を図7に示す。図7より、Zn/Snの値が0.5〜
4.2の範囲内にある素子は、Zn/Snの値が0の素
子に比べるとNOXガスに対する電気抵抗値の変動が大
きく、良好な感度が得られることがわかった。特に、Z
n/Snが0のもの(試験例15)と1.7のもの(試
験例12)とを比較すると、NO2ガスに対する感度が
約10倍違っていることがわかる。 【0035】従って、感度の点からZn/Snは0.5
〜4.2の範囲内にあることが適当であり、特に0.5
〜3.5の範囲内においては電気抵抗値が極めて低く感
度も極めて優れることがわかる。 (実施例3)実施例1と同様にしてアルミナからなる基
板上にNOX検知薄膜3を形成し、原子数比でZn/S
nが2.3でほぼ一定であり、Sb/(Sn+Zn+S
b)が0.2〜0.7の範囲内にあってそれぞれ組成の
異なる3種類のNOX検知薄膜をもつ試料(試験例16
〜18)を作製した。これら試験例16〜18のNO X
検知薄膜3では、Sb/(Sn+Zn+Sb)の値がそ
れぞれ0.22、0.362および0.456であっ
た。 (比較例3)原子数比でSb/(Sn+Zn+Sb)が
0.2未満にある他は実施例3と同様にしてそれぞれ組
成の異なる3種類のNOX検知薄膜をもつ試料(試験例
19〜21)を作製した。これら試験例19〜21のN
X検知薄膜では、Sb/(Sn+Zn+Sb)の値が
それぞれ0、0.05および0.124であった。 (評価)これら試験例16〜21について、表3に示す
測定条件でX線回折によりそれらのNOX検知薄膜の結
晶構造を同定した。その測定結果を図8に示す。なお、
図8には、ICPDSによる回折ピークの同定図を付し
た。 【0036】 【表3】 【0037】図8よりSb/(Sn+Zn+Sb)の値
が増加するにつれ、Zn2SnO4のスピネル構造が減少
し、代わってZnSb26の結晶構造が増加することが
わかる。また、SnO2やZnOなどの酸化物はほとん
ど確認できなかった。 (比較例4)Zn金属ターゲットおよびSb金属ターゲ
ットには電力を投入し、Sn金属のターゲットには電力
を投入しないでスパッタリングを行いNOX検知薄膜を
形成する他は、実施例1と同様にしてNOXガス検知素
子(試験例22)を作製した。ここではZn金属ターゲ
ットには90Wの電力を投入し、Sb金属ターゲットに
は150Wの電力を投入した。形成されたNOX検知薄
膜は、そのX線回折図を図9に示すように結晶性の高い
ZnSb26(原子数比でZn/Sbが0.5)を主成
分として有するものであった。 【0038】この素子について実施例1と同様に、酸素
20%、窒素79%および水蒸気1%から構成されNO
Xが含まれていない試験ガスとNOXが5ppm含まれて
いる試験ガスとの各ガスでの電気抵抗値の測定を行っ
た。その結果を表4に示す。なお、Sb/(Sn+Zn
+Sb)の値は先述の実施例および比較例から概算して
得たものである。 【0039】 【表4】 【0040】表4より、本比較例で得られた素子、すな
わちZnSb26を主成分としSnが全く含まれない素
子は、NOXが含まれていない試験ガスでは電気抵抗値
が低いもののNOXに対する感度が非常に低いことがわ
かる。 (炭化水素および一酸化炭素の感度について)試験例2
〜14について、炭化水素あるいは一酸化炭素が含まれ
ていないガス(大気)中での電気抵抗値(Ra)、NO
Xの他に炭化水素が50ppm含まれているガス中での
電気抵抗値(Rg1)およびNOXの他に一酸化炭素が
50ppm含まれているガスでの電気抵抗値(Rg2)
をそれぞれ測定し、感度(Rg1/RaおよびRg2/
Ra)を求めた。なお、ここでは炭化水素としてイソブ
タン(i−C410)を用いた。Rg1/RaのSb/
(Sn+Zn+Sb)との関係およびZn/Snとの関
係をそれぞれ図10および図12に示す。また、Rg2
/RaのSb/(Sn+Zn+Sb)との関係およびZ
n/Snとの関係をそれぞれ図11および図13に示
す。 【0041】これらの図より、いずれの試験例において
も、炭化水素および一酸化炭素に対する感度はほぼ同じ
で十分に小さいことがわかる。
【図面の簡単な説明】 【図1】この図は、実施例1のNOXガス検知素子を模
式的に示す上面図である。 【図2】この図は、図1におけるA−A部分の断面図で
ある。 【図3】この図は、実施例1において、スズ、亜鉛およ
びアンチモンの各金属ターゲットの投入電力に対するそ
れぞれの酸化物の成膜速度を表すグラフである。 【図4】この図は、実施例1および比較例1において、
Sb/(Sn+Zn+Sb)の値に対する電気抵抗値お
よびNOXガスによる電気抵抗値の変動の大きさを表す
グラフである。 【図5】この図は、実施例1および比較例1において、
Sb/(Sn+Zn+Sb)の値に対するNOXガスの
感度の変化を表すグラフである。 【図6】この図は、実施例2および比較例2において、
Zn/Snに対する初期の電気抵抗値の変化を表すグラ
フである。 【図7】この図は、実施例2および比較例2において、
Zn/Snに対する感度の変化を表すグラフである。 【図8】この図は、実施例3および比較例3において、
NOX検知薄膜のSb/(Sn+Zn+Sb)の値に対
する結晶構造の変化を示すX線回折図である。 【図9】この図は、比較例4のNOXガス検知素子にお
いて、NOX検知薄膜の結晶構造を示すX線回折図であ
る。 【図10】この図は、実施例1および比較例1におい
て、Sb/(Sn+Zn+Sb)の値に対するHCの感
度の変化を表すグラフである。 【図11】この図は、実施例1および比較例1におい
て、Sb/(Sn+Zn+Sb)の値に対するCOの感
度の変化を表すグラフである。 【図12】この図は、実施例2および比較例2におい
て、Zn/Snの値に対するHCの感度の変化を表すグ
ラフである。 【図13】この図は、実施例2および比較例2におい
て、Zn/Snの値に対するCOの感度の変化を表すグ
ラフである。 【符号の説明】 1:基板 2:電極 3:NOX検知薄膜 4:ヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増岡 優美 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平6−160324(JP,A) 特開 平3−13854(JP,A) 特開 平2−126146(JP,A) 特開 昭60−4849(JP,A) 特開 平8−105855(JP,A) 特開 平7−218460(JP,A) 特開 昭59−50352(JP,A) 特開 平3−216541(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/12 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】スズ、亜鉛、アンチモンおよび酸素を主成
    分とする酸化物であり、原子数比で亜鉛/スズが0.5
    〜4.2でありかつアンチモン/(スズ+亜鉛+アンチ
    モン)が0.2〜0.7であることを特徴とするNOX
    ガス検知素子。
JP13248397A 1997-05-22 1997-05-22 Noxガス検知素子 Expired - Fee Related JP3424893B2 (ja)

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