JP3424470B2 - 運転異常検出装置及び運転警報装置 - Google Patents

運転異常検出装置及び運転警報装置

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JP3424470B2
JP3424470B2 JP32542496A JP32542496A JP3424470B2 JP 3424470 B2 JP3424470 B2 JP 3424470B2 JP 32542496 A JP32542496 A JP 32542496A JP 32542496 A JP32542496 A JP 32542496A JP 3424470 B2 JP3424470 B2 JP 3424470B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転異常検出装置
及び運転警報装置に係わり、特に、車両の脇見運転や居
眠り運転に対する警報を早期に発生するのに好適な運転
異常検出装置及び運転警報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平5−12659
1号に開示される如く、脇見運転あるいは居眠り運転が
検出された場合に、車両の乗員に対して警報を発する運
転警報装置が知られている。上記従来の運転警報装置に
おいては、車両の横加速度及び車速から算出された車両
の旋回曲率と、道路情報から得られた道路の曲率との差
異が所定値を越えた場合に、脇見運転あるいは居眠り運
転等の異常運転状態にあると判断される。即ち、上記従
来の運転警報装置においては、車両の旋回曲率に基づい
て運転者による操舵状態を推定し、旋回と道路の曲率と
の差異が所定量を越えた場合には、運転者が道路の曲率
に応じた操舵を行っておらず、従って、運転者が脇見運
転あるいは居眠り運転をしている蓋然性が高いと判断さ
れるのである。そして、かかる判断がなされた場合に乗
員に対して警報が発せられ、乗員の注意が喚起されるこ
とで、車両の安全性の向上が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、脇見運
転あるいは居眠り運転に対する警報発生のタイミングが
遅れると、運転者に、正常な走行状態へ復帰するための
操作を行う時間的余裕が与えられない。従って、車両の
安全性を十分に向上し得る運転警報装置を実現するため
には、運転者の操舵状態を早期に検出し、脇見運転や居
眠り運転の検出をできるだけ速やかに行うことが必要と
される。
【0004】一般に、車両の操舵を行う場合、先ず、運
転者がステアリングホイールに操舵トルクを付与し、か
かる操舵トルクにより操舵角が変化し、かかる操舵角の
変化により、車両の挙動に変化が生ずる。このため、運
転者が操舵を行ってから、車両の挙動に変化が表れるま
でには時間遅れが生ずる。従って、上記従来の運転警報
装置における如く、車両の旋回曲率に基づいて操舵状態
を検出したのでは、かかる検出に遅れが生ずるため、脇
見運転あるいは居眠り運転の検出を速やかに行えないこ
とになる。このように、上記従来の運転警報装置は、脇
見運転や居眠り運転の検出に遅れが生じ、その結果、警
報の発生にも遅れが生ずるという問題を有するものであ
った。
【0005】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、脇見運転あるいは居眠り運転等の異常運転を早
期に検出し、早期に警報を発し得る運転異常検出装置及
び運転警報装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、車両の操舵トルクと車速とに基づいて
推定した旋回曲率を出力する操舵トルク情報出力手段
と、走行中の道路の曲率を出力する道路曲率情報出力手
段と、前記旋回曲率と前記道路曲率との差異が所定以上
である場合に、運転状態が異常であると判断する運転異
常検出手段とを備える運転異常検出装置により達成され
る。
【0007】本発明において、操舵トルクは運転者によ
る操舵操作により発生され、操舵操作に応じて変化す
る。車両の旋回曲率は、操舵トルクに対して一次遅れ的
な応答を示す。また、一定の操舵角を保持するための操
舵トルクは車速に依存する。このため、操舵トルクと車
速とに基づいて車両の旋回曲率を推定することができ
る。従って、操舵トルクと車速とに基づいて推定される
旋回曲率と、走行中の道路の曲率との差異が所定以上の
場合には、道路の曲率に応じた操舵操作がなされていな
いことになる。かかる場合には、運転異常検出手段によ
り運転状態が異常であると判断される。ところで、上述
の如く、操舵トルクは運転者の操舵操作の初期に発生さ
れるため、操舵トルクと車速とに基づいた旋回曲率には
運転者による操舵操作が時間遅れを伴うことなく反映さ
れる。従って、本発明によれば、運転異常検出装置によ
る上記判断が早期に行われる。
【0008】また、上記の目的は請求項2に記載する如
く、車両の操舵トルクと車速とに基づいて推定した旋回
曲率を出力する操舵トルク情報出力手段と、走行中の道
路の曲率を出力する道路曲率情報出力手段と、前記旋回
曲率が前記道路曲率に比して所定量以上小さい場合に、
運転状態が異常であると判断する運転異常検出手段とを
備える運転異常検出装置により達成される。
【0009】本発明において、操舵トルクは運転者によ
る操舵操作により発生され、操舵操作に応じて変化す
る。車両の旋回曲率は、操舵トルクに対して一次遅れ的
な応答を示す。また、一定の操舵角を保持するための操
舵トルクは車速に依存する。このため、操舵トルクと車
速とに基づいて車両の旋回曲率を推定することができ
る。従って、操舵トルクと車速とに基づいて推定される
旋回曲率が、走行中の道路の曲率に比して所定量以上小
さい場合には、道路の曲率に対して十分な操舵操作がな
されていないことになる。かかる場合には、運転異常検
出手段により運転状態が異常であると判断される。とこ
ろで、上述の如く、操舵トルクは運転者の操舵操作の初
期に発生されるため、操舵トルクと車速とに基づいた旋
回曲率には運転者による操舵操作が時間遅れを伴うこと
なく反映される。従って、本発明によれば、運転異常検
出装置による上記判断が早期に行われる。
【0010】更に、上記の目的は、請求項3に記載する
如く、車両の操舵トルクと車速とに基づいて推定した旋
回曲率を出力する操舵トルク情報出力手段と、走行中の
道路の曲率を出力する道路曲率情報出力手段と、前記旋
回曲率が前記道路曲率に比して所定量以上大きい場合
に、運転状態が異常であると判断する運転異常検出手段
とを備える運転異常検出装置により達成される。
【0011】本発明において、操舵トルクは運転者によ
る操舵操作により発生され、操舵操作に応じて変化す
る。車両の旋回曲率は、操舵トルクに対して一次遅れ的
な応答を示す。また、一定の操舵角を保持するための操
舵トルクは車速に依存する。このため、操舵トルクと車
速とに基づいて車両の旋回曲率を推定することができ
る。従って、操舵トルクと車速とに基づいて推定される
旋回曲率が、走行中の道路の曲率に比して所定量以上大
きい場合には、道路の曲率に対して過大な操舵操作がな
されていることになる。かかる場合には、運転異常検出
手段により運転状態が異常であると判断される。ところ
で、上述の如く、操舵トルクは運転者の操舵操作の初期
に発生されるため、操舵トルクと車速とに基づいた旋回
曲率には運転者による操舵操作が時間遅れを伴うことな
く反映される。従って、本発明によれば、運転異常検出
装置による上記判断が早期に行われる。
【0012】更に、上記の目的は、請求項に記載する
如く、車両の操舵トルクと車速とに基づいて推定した旋
回曲率を出力する操舵トルク情報出力手段と、走行中の
道路の曲率を出力する道路曲率情報出力手段と、前記旋
回曲率と前記道路曲率との差異が所定以上である場合
に、運転状態が異常であると判断する運転異常検出手段
と、前記運転異常検出手段により運転状態が異常である
と判断された場合に警報を発する警報発生手段とを備え
る運転警報装置により達成される。
【0013】本発明において、運転異常検出手段により
運転状態が異常であると判断されると警報発生手段によ
り警報が発生される。上述の如く、運転異常検出手段に
よる運転異常の検出は早期に行なわれる。従って、警報
発生手段による警報の発生は、異常運転が発生すると速
やかに行なわれる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1に本発明の一実施例であるシ
ステムの構成図を示す。本実施例のシステムは車両に搭
載されている。図1に示す如く、本実施例のシステムは
電子制御装置(以下、ECUと称する)20を備えてい
る。ECU20は、CPU22、メモリ24、入力イン
ターフェース26、及び出力インターフェース28を備
えている。ECU20は、CPU22がメモリ24内に
格納されたプログラムを実行することにより、入力イン
ターフェース26を介して入力された外部信号に基づい
て、出力インターフェース28を介して外部に制御信号
を出力する。
【0015】ECU20の入力インターフェース26に
は、ナビゲーション装置30、トルクセンサ32、及
び、車速センサ34が接続されている。ナビゲーション
装置30はアンテナ30aを備えており、アンテナ30
aにより受信された人工衛星からの信号に基づいて車両
の現在位置を推定する。更に、ナビゲーション装置30
は、その内部に道路地図情報を記憶しており、車両の現
在位置と道路地図情報とに基づいて、車両の乗員に対し
て目的地までの経路等の情報を提供する。本実施例のシ
ステムにおいては、ナビゲーション装置30は車両の現
在位置に対応する道路の曲率γをECU20に向けて出
力する。
【0016】トルクセンサ32はステアリングシャフト
36に装着されている。トルクセン32は、運転者によ
りステアリングホイール38に付与された操舵トルクT
を検出し、操舵トルクTに応じた信号をECU20に向
けて出力する。また、車速センサ34は車速Vに応じた
信号をECU20に向けて出力する。
【0017】ECU20の出力インターフェース28に
は、電気式パワーステアリング用モータ40がドライバ
42を介して接続されている。電気式パワーステアリン
グ用モータ40はステアリングギア44に連結されてい
る。ECU20はトルクセンサ32により検出された操
舵トルクTに所定のゲインを乗じ、かかる乗算値に応じ
た駆動信号を、ドライバ42を介して電気式パワーステ
アリング用モータ40に付与する。電気式パワーステア
リング用モータ40はかかる駆動信号に応じたトルクで
ステアリングギヤ44を駆動し、これにより、操舵トル
クTが増倍されてステアリングギヤ44に付与される。
即ち、本実施例のシステムにおいては、電気式パワース
テアリング装置が実現されている。
【0018】また、ECU20の出力インターフェース
28には、警報発生装置46が接続されている。警報発
生装置46は、ECU20から付与される駆動信号によ
り、音響信号等の警報を発生する。本実施例のシステム
は、ECU20が、ナビゲーション装置30の出力する
道路の曲率γと、トルクセンサ26の出力する操舵トル
クTとに基づいて、脇見運転あるいは居眠り運転等の異
常運転を検出し得る点に特徴を有している。ECU20
は、かかる異常運転状態が検出された場合、警報発生装
置46に対して駆動信号を発することにより乗員に対す
る警報を発生させる。
【0019】図2に、車両が道路のカーブに沿った正常
な走行を行う場合の車両の走行軌跡を実線で示す。ま
た、図2には、脇見運転あるいは居眠り運転等の異常運
転時に、操舵角が道路の曲率に対して過小となることに
より車両が道路から逸脱する場合、及び、操舵角が道路
の曲率に対して過大となることにより車両が道路から逸
脱した場合の車両の軌跡を、それぞれ破線A及び破線B
で示している。
【0020】図2の破線A及びB上に○印で示す如く、
車両が道路から逸脱するまでに余裕がある時点で、脇見
運転あるいは居眠り運転が検出されて警報が発せられた
ならば、警報により運転者の注意が喚起され、運転者に
より正常運転状態へ復帰するための操作が行われること
により、車両の道路からの逸脱を未然に防止することが
できる。これに対して、図2の破線A及びB上に×印で
示す如く、車両が道路から逸脱する直前に警報が発生さ
れたのでは、運転者が正常運転状態へ復帰するための操
作を行うだけの時間的余裕がないため、車両の道路から
の逸脱を防止することができない。従って、脇見運転あ
るいは居眠り運転に対する有効な警報を発生させるため
には、脇見運転あるいは居眠り運転状態の検出をできる
だけ早期に行うことが必要とされる。
【0021】一般に、車両の旋回が行われる場合、先
ず、運転者がステアリングホイールを操作して操舵トル
クTが発生し、次いで、操舵トルクにより操舵角θが変
化し、その後、車両の挙動、即ち、車両の旋回曲率φが
変化する。即ち、車両の操舵が行われた場合、操舵トル
クT、操舵角θ、旋回曲率φの順で変化が生じ、操舵状
態の変化は、操舵トルクTに最も早く表れることにな
る。
【0022】図3には、図2に実線で示す如く道路のカ
ーブに沿った正常な走行が行われた場合の操舵トルク
T、操舵角θ、及び車両の旋回曲率φの時間変化を、道
路の曲率γの時間変化と共に示す。なお、図3におい
て、時刻〜は、図2に示す位置〜の通過時刻に
対応している。図3に示す如く、各信号は、道路の曲率
γの変化に応じて、操舵トルクT、操舵角θ、旋回角度
φの順で時間遅れが生じた状態で変化している。従っ
て、上述の如く、脇見運転あるいは居眠り運転の検出を
早期に行うためには、かかる検出を操舵トルクTに基づ
いて行うのが最も好ましいことになる。
【0023】図4には、図2に破線A及びBで示す如く
脇見運転や居眠り運転により道路から逸脱した場合の操
舵トルクTの時間変化を道路の曲率γと共に示す。な
お、図4には、Tの時間微分T’及びγの時間微分γ’
を併せて破線で示している。図4に示す如く、図2の破
線Aの如き異常走行が行われる場合には、時刻〜に
おけるγ及びγ’の変化に対してT及びT’には僅かな
変化しか生じていない。従って、道路の曲率γ及びその
時間微分値γ’と、操舵トルクT及びその微分値T’と
を比較し、T及びT’が、γ及びγ’に対して過小な場
合には、操舵量が不足して図2のAで示す如き異常走行
状態にあると判断することができる。
【0024】一方、図2の破線Bの如き異常走行が行わ
れる場合には、時刻〜における曲率γ及びγ’の変
化に対して操舵トルクT及びT’に過大な変化が生じて
いる。従って、道路の曲率γあるいはその時間微分値
γ’と、操舵トルクTあるいはその微分値T’とを比較
し、T及びT’が、γ及びγ’に対して過大な場合に
は、図2のBで示す如き異常走行状態にあると判断する
ことができる。
【0025】このように、道路の曲率を示すγ及びγ’
と、操舵トルクを示す情報T及びT’とを比較し、両者
の差異が所定量以上となった場合には、道路の曲率に応
じた操舵がなされておらず、従って、脇見運転あるいは
居眠り運転状態にあると判断することができる。この場
合、上述の如く、操舵トルクTに運転者による操舵操作
が時間遅れを伴うことなく反映されることで、例えば図
2に○印で示す如く、脇見運転あるいは居眠り運転の開
始後速やかにこれらの運転状態が検出される。このた
め、運転者に対する警報が早期に発生され、かかる警報
により注意を喚起された運転者が、時間的な余裕をもっ
て正常運転に復帰するための操作を行うことが可能とさ
れる。このように、操舵トルクTに基づいて脇見運転あ
るいは居眠り運転等の異常運転を検出することで、車両
の安全性をより向上させることが可能な運転警報装置を
実現することができる。
【0026】そこで、本実施例においては、ECU20
が、ナビゲーション装置30の出力する道路の曲率γと
トルクセンサ32の出力する操舵トルクTとに基づい
て、上述の如き脇見運転あるいは居眠り運転等の異常運
転の検出を行い、異常運転が検出された場合に、警報発
生装置46により警報を発生させることとしている。
【0027】ところで、上述の如く、操舵トルクTが変
化してから、かかる操舵トルクの変化に応じた車両の挙
動変化が現れるまでに時間遅れが生ずる。車両がカーブ
路を走行する場合、正常な走行状態においては、運転者
はかかる車両挙動変化の遅れを考慮して、道路の曲率に
応じて車両の挙動が変化するように、早めに操舵を行う
ものと考えられる。従って、脇見運転あるいは居眠り運
転の検出に当たっては、上記した遅れを考慮した上で、
道路の曲率γと操舵トルクTとの比較を行う必要があ
る。
【0028】図5は、操舵トルクTのステップ状の変化
に対する車両の旋回曲率φの応答の一例を示す。図5に
示す如く、車両の旋回曲率φは、操舵トルクTに対して
一次遅れ的な応答を示す。従って、図5に示す如き応答
を用いて、操舵トルクTに基づいて車両の旋回曲率φを
推定し、推定されたφと道路の曲率γとを比較すること
により、上記した時間遅れを考慮した脇見運転あるいは
居眠り運転等の異常運転の検出を行うことができる。
【0029】上述の如き操舵トルクTに基づく車両の旋
回曲率φの推定は、伝達関数を用いて行うことができ
る。即ち、図5に示す如き応答をラプラス変換すること
により伝達関数K(s)を求め、操舵トルクTのラプラ
ス変換L〔T〕(関数*のラプラス変換をL〔*〕で表
現する)と伝達関数K(s)との積K(s)・L〔T〕
を、旋回曲率φのラプラス変換L〔φ〕と推定すること
ができる。
【0030】また、車両が定常旋回走行を行う場合、一
定の操舵角を保持するための操舵トルクTは車速Vに依
存する。図6に、車両の旋回曲率が一定の場合の、車速
Vと操舵トルクTとの関係を示す。図6に示す如く、操
舵トルクTは車速Vの増加に応じて増加する。即ち、道
路の曲率γが一定であっても、かかる曲率の道路を走行
する際の操舵トルクTは車速Vの増加に応じて増加する
ことになる。従って、脇見運転あるいは居眠り運転の検
出に当たっては、かかる車速Vの影響を補償した上で道
路の曲率γと操舵トルクTとの比較を行う必要がある。
かかる車速Vの影響の補償は、伝達関数K(s)に車速
Vに応じた係数A(V)を乗ずることにより行うことが
できる。
【0031】なお、上述の如きラプラス変換に基づく処
理は煩雑であるため、本実施例においては、伝達関数K
(s)が図5に示す如く1次応答的な特性を示すことを
利用して、K(s)の分母・分子を1次式で近似するこ
とことにより、処理の簡略化を図っている。即ち、本実
施例においては、 K(s)=(c+d・s)/(a+b・s) (1) なる近似を行っている。この場合、K(s)・L〔T〕
とL〔γ〕との比較は、(c+d・s)・L〔T〕と
(a+b・s)L〔γ〕との比較に置き換えることがで
き、更に、これを時間領域に戻して考えると、(c・T
+d・T’)と(a・γ+b・γ’)との比較に置き換
えることができる。即ち、(c・T+d・T’)と(a
・γ+b・γ’)とを比較することによっても、異常運
転の検出を行うことができるのである。時間微分γ’及
びT’の演算は、例えば差分を求めることにより容易に
行うことができる。従って、(c・T+d・T’)と
(a・γ+b・γ’)との比較に基づいて、異常運転の
検出を行うことで、ラプラス変換自体を求める場合に比
して、演算処理を簡単化することができる。そこで、本
実施例においては、(c・T+d・T’)と(a・γ+
b・γ’)との差異が所定値D以上となった場合に、脇
見運転あるいは居眠り運転等の異常運転状態であると判
断することとしている。
【0032】ここで、係数a、b、c、及びdは、上述
の如く、図5に示す応答及び車速Vを考慮して伝達関数
K(s)を求め、K(s)を(1)式の如く近似するこ
とにより求めることができる。あるいは、異常運転状態
におけるT及びT’とγ及びγ’との関係を予め実験的
に求め、かかる関係を用いて、異常運転状態の検出が高
信頼度で行われるような係数a、b、c、及びdを直接
求めることとしてもよい。ただし、この場合にも、係数
a、b、c、及びdを車速Vに応じて補正することが必
要である。
【0033】なお、同一の曲率の道路を走行する場合で
あっても、運転者によってコースの取り方が異なるた
め、操舵トルクTの変化には個人差が生ずる。そこで、
本実施例においては、かかる個人差を考慮して上記した
所定値Dを設定することにより、異常走行の検出を上記
個人差の影響を受けることなく行うことを可能としてい
る。
【0034】また、正常な走行が行われている場合であ
っても、路上の障害物の回避等のための一時的な操舵に
より、道路の曲率に対応しない大きな操舵トルクが生ず
る場合がある。かかる場合には、操舵トルクが過大な状
態は一時的なものである。一方、脇見運転や居眠り運転
等の異常運転により生ずる過大な操舵トルクは、一定期
間以上持続される。そこで、本実施例においては、上記
した差異が所定値を越えた状態が所定期間以上持続され
た場合にのみ警報を発することとしている。これによ
り、正常運転中に上述の如き一時的な操舵トルクの増大
が生じた場合に警報が発せられることが防止される。
【0035】本実施例においては、脇見運転あるいは居
眠り運転等の異常運転を検出するための上記処理は、C
PU22がメモリ24に記憶された運転警報ルーチンを
実行することにより実現される。以下、図7を参照し
て、本実施例のシステムにおいてCPU22が実行する
運転警報ルーチンの内容を説明する。図7は、CPU2
2が実行する運転警報ルーチンのフローチャートであ
る。本ルーチンは所定の時間間隔Δtで繰り返し実行さ
れる。
【0036】図7に示すルーチンが起動されると、先
ず、ステップ100において、車速センサ34から車速
Vが入力される。ステップ100の処理が終了される
と、次に、ステップ102の処理が実行される。ステッ
プ102では、係数a、b、c、及びdが決定される。
この場合、上述の如く、係数a、b、c、及びdを伝達
関数K(s)から決定することとしてもよいし、あるい
は、直接実験的に決定することとしてもよい。ステップ
102の処理が終了されると、次に、ステップ104の
処理が実行される。
【0037】ステップ104では、ナビゲーション装置
30より道路の曲率γが入力され、続くステップ106
において、γの時間微分γ’の演算が行われる。ステッ
プ106の処理が終了されると、次にステップ108に
おいて、(a・γ+b・γ’)が演算された後、ステッ
プ110の処理が実行される。
【0038】ステップ110では、トルクセンサ32よ
り操舵トルクTが入力され、続くステップ112におい
て、Tの時間微分T’の演算が行われる。なお、ステッ
プ106及び112における時間微分γ’及びT’の演
算は、例えば、前回のルーチンの実行時における値と現
在の値との差分を時間間隔Δtで除することにより行う
ことができる。ステップ112の処理が終了されると、
次に、ステップ114において(c・T+d・T’)が
演算された後、ステップ116の処理が実行される。
【0039】ステップ116では、|(c・T+d・
T’)−(a・γ+b・γ’)|≧Dが成立するか否か
が判別される。ステップ116において上記条件が成立
すると判別されると、道路の曲率に応じた操舵がなされ
ていないと判断される。この場合、次にステップ118
において、変数PがΔtだけ増加される。従って、Pは
道路の曲率に応じた操舵がなされていない状態の持続時
間を示すことになる。一方、ステップ116において上
記条件が成立しないと判別されると、道路の曲率に応じ
た操舵がなされていると判断される。この場合、次に、
ステップ120において、Pの値がゼロに設定された
後、今回のルーチンは終了される。
【0040】ステップ118の処理が終了されると、次
にステップ122の処理が実行される。ステップ122
では、P≧P0 が成立するか否かが判別される。ステッ
プ122においてP≧P0 が成立すると判別された場
合、道路の曲率に応じた操舵がなされていない状態が所
定時間以上持続されていることになる。従って、この場
合には、脇見運転又は居眠り運転等の異常運転状態にあ
ると判断されて、次に、ステップ124において、警報
発生装置46に対して駆動信号が出力される。一方、ス
テップ122においてP≧P0 が成立しないと判別され
た場合は、道路の曲率に応じた操舵がなされていない状
態が所定時間以上持続されていないことになる。従っ
て、この場合には、警報の発生はなされずに今回のルー
チンは終了される。
【0041】上述の如く、本実施例のシステムにおいて
は、運転者による操舵操作が時間遅れを伴うことなく直
接反映される操舵トルクが用いることで、脇見運転、居
眠り運転等の、道路の曲率に応じた車両の操舵がなされ
ない異常運転状態を速やかに検出し、かかる異常運転に
対する警報の発生を早期に行うことが可能とされてい
る。このため、警報発生時点から実際に逸脱が生ずるま
での間に、運転者が正常な走行状態に復帰するための操
作を行う時間的余裕が生まれている。即ち、本実施例に
おいては、車両の安全性向上効果に優れた運転警報装置
が実現されている。
【0042】また、本実施例においては、本発明に係わ
る運転警報装置が電気式パワーステアリング装置を備え
る車両に適用されることで、トルクセンサを新たに設け
ることは不要である。従って、本実施例においては、本
発明に係わる運転警報装置が、大きなコスト上昇を伴う
ことなく実現されている。ただし、電気式パワーステア
リング装置を備えない車両であっても、追加部品として
トルクセンサを設けることのみで、本発明に係わる運転
警報装置を容易に実現することができる。
【0043】また、上記実施例においては、(c・T+
d・T’)と(a・γ+b・γ’)との大小関係にかか
わらず、両者の差異が所定値を越えた場合に、異常運転
と判断することとしているが、本発明はこれに限定され
るものではなく、(c・T+d・T’)が(a・γ+b
・γ’)よりも所定量以上大きい場合、即ち、道路の曲
率に対して過大な操舵が行われている場合にのみ、異常
運転と判別することとしてもよいし、あるいは、(c・
T+d・T’)が(a・γ+b・γ’)よりも所定量以
上小さい場合、即ち、道路の曲率に対して十分な操舵が
行われていない場合にのみ、異常運転と判別することと
してもよい。
【0044】なお、上記実施例においては、CPU22
が、トルクセンサ32の出力に基づいて上記運転警報ル
ーチンのステップ110〜114を実行することで上記
した操舵トルク情報出力手段が、ナビゲーション装置3
0の出力に基づいて上記運転警報ルーチンのステップ1
04〜108の処理を実行することで上記した道路曲率
情報出力手段が、上記運転警報ルーチンのステップ11
4の処理を実行することで上記した運転異常検出手段
が、それぞれ実現されている。また、警報発生装置46
が上記した警報発生手段に相当している
【0045】なお、道路曲率情報出力手段は、ナビゲー
ション装置の出力に基づいて情報を出力する必要はな
く、実際の道路状況を何らかの方法で入力し、その入力
に基づいて情報を出力するものであってもよい。また、
運転異常検出手段は、本実施例に限らず、操舵トルクの
み或いは操舵トルクの変化量のみと、実際の道路の曲率
或いは曲率の変化量との相対関係から運転状態の異常を
検出してもよい。
【0046】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、運転者に
よる操舵操作が遅れを伴うことなく反映される操舵トル
クを用いて運転状態の異常を検出することにより、かか
る異常に対する警報を早期に発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図である。
【図2】カーブ路を正常走行する場合、及び異常走行す
る場合の車両の走行軌跡を示す図である。
【図3】図2に示す道路の曲率及び正常走行状態におけ
る操舵トルク、操舵角、及び旋回曲率の時間変化を示す
図である。
【図4】図2に示す異常走行状態における操舵トルク及
びその時間微分の変化を、道路の曲率及びその時間微分
と共に示す図である。
【図5】操舵トルクのステップ状の変化に対する車両の
旋回曲率の時間応答を示す図である。
【図6】車両が一定の曲率の道路を走行する場合の車速
と操舵トルクとの関係を示す図である。
【図7】本実施例のシステムにおいてCPUが実行する
運転警報ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
20 ECU 22 CPU 30 ナビゲーション装置 32 トルクセンサ 38 警報発生装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 28/06 B62D 6/00 B60R 21/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の操舵トルクと車速とに基づいて推
    定した旋回曲率を出力する操舵トルク情報出力手段と、 走行中の道路の曲率を出力する道路曲率情報出力手段
    と、 前記旋回曲率と前記道路曲率との差異が所定以上である
    場合に、運転状態が異常であると判断する運転異常検出
    手段とを備えることを特徴とする運転異常検出装置。
  2. 【請求項2】 車両の操舵トルクと車速とに基づいて推
    定した旋回曲率を出力する操舵トルク情報出力手段と、 走行中の道路の曲率を出力する道路曲率情報出力手段
    と、 前記旋回曲率が前記道路曲率に比して所定量以上小さい
    場合に、運転状態が異常であると判断する運転異常検出
    手段とを備えることを特徴とする運転異常検出装置。
  3. 【請求項3】 車両の操舵トルクと車速とに基づいて推
    定した旋回曲率を出力する操舵トルク情報出力手段と、 走行中の道路の曲率を出力する道路曲率情報出力手段
    と、 前記旋回曲率が前記道路曲率に比して所定量以上大きい
    場合に、運転状態が異常であると判断する運転異常検出
    手段とを備えることを特徴とする運転異常検出装置。
  4. 【請求項4】 車両の操舵トルクと車速とに基づいて推
    定した旋回曲率を出力する操舵トルク情報出力手段と、 走行中の道路の曲率を出力する道路曲率情報出力手段
    と、 前記旋回曲率と前記道路曲率との差異が所定以上である
    場合に、運転状態が異常であると判断する運転異常検出
    手段と、 前記運転異常検出手段により運転状態が異常であると判
    断された場合に警報を発する警報発生手段 とを備えるこ
    とを特徴とする運転警報装置。
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