JP3418927B2 - 耐食性と被削性が優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐食性と被削性が優れたフェライト系ステンレス鋼

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐食性と被削性が優れた
フェライト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】人体に接触して使用される各種の装飾部
品の鋼種としては、体汗による腐食を防ぐために、従
来、SUS304やSUS316のような耐食性に優れ
たオーステナイト系ステンレス鋼が主流になっている。
例えば、リューズ,バンド,ケースのような時計の外装
部品用の鋼種の場合、所定形状に切削加工して上記外装
部品を製造することからして高い被削性が要求されるの
で、SUS316Fを主体とした快削オーステナイト系
ステンレス鋼が広く使用されている。
【0003】しかしながら、上記したSUS316Fの
場合、Ni成分が10〜16重量%程度含有されている
ので、時計を装着しているときに、Ni成分が溶出して
肌と接触し、いわゆるNiアレルギー症状を引き起こす
ことがある。とくに、ヨーロッパにおいては、上記症状
が傾向的に多発している。そのため、例えばドイツ国で
は、1993年8月以降、装飾部品の分野で、オーステ
ナイト系ステンレス鋼の使用に対する法規制が始められ
た。
【0004】このようなNiアレルギー症状に対して
は、Ti材を用いて装飾部品を製造することも行われて
いる。しかしながら、Ti材は高価であり、高級品以外
への使用は困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、装飾部品の
材料として用いられていたオーステナイト系ステンレス
鋼の上記した問題を解決し、Ni成分の含有量が微少で
あるのでNiアレルギー症状を引き起こさないことは勿
論のこと、耐食性と被削性がいずれもSUS316Fと
同等であり、しかも安価であるフェライト系ステンレス
鋼の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、C:0.03重量%以下,S
i:0.10〜2.00重量%,S:0.01〜0.30重量
%,Mn:0.50重量%以下,Ni:0.60重量%以
下,Cr:16.0〜30.0重量%,Mo:1.0〜4.0重
量%,O:0.020重量%以下,残部がFeから成り、
Mn/S比が2以下であり、かつ、硫化物系介在物にお
ける長さ50μm以下の硫化物系介在物の個数割合が8
0%以上であることを特徴とする、耐食性と被削性が優
れたフェライト系ステンレス鋼が提供される。
【0007】本発明のステンレス鋼は、フェライト組織
を基地とし、快削性成分であるSをJIS規格で定める
含有量よりも大幅に増量して被削性を高めた鋼種であ
る。そして、Sの増量に伴って派生してくる耐食性の低
下に対しては、M/S比が2以下となるようにMn量を
規制し、また、生成する硫化物系介在物のうち、長さが
50μm以下の硫化物系介在物の個数割合を規制するこ
とにより、耐食性を向上させた鋼種である。
【0008】この鋼種は、フェライト組織の基地である
ため軟質であり、SUS316Fと同等またはそれ以上
の被削性を備えている。しかし、Mn量とS量との比:
M/S比が2より大きい値になっていると、被削性はS
US316Fとそれほど変わらないが、耐食性は低下す
る。そのため、この鋼種においては、M/S比を2以下
とすることにより、被削性の確保と同時に、SUS31
6Fと同等の耐食性が確保される。
【0009】また、本発明の鋼種においても、通常のス
テンレス鋼と同じように、MnやCrとSとの反応によ
り硫化物系介在物が生成する。その場合、本発明の鋼種
においては、断面の顕微鏡観察によって測定したときの
長さが50μm以下である硫化物系介在物の個数が、硫
化物系介在物の全体個数に対して80%以上であるよう
に制御される。
【0010】この個数割合が80%より小さい場合は、
SUS316Fに比べて耐食性が悪くなる。また、めっ
きののり具合も悪くなり、時計の外装部品のように、め
っき処理を必要とする材料としては好ましいものでなく
なる。この硫化物系介在物の大きさや個数割合は、後述
する鋼の製造時に、インゴットの大きさや冷却速度を調
整することによって制御可能である。
【0011】本発明のステンレス鋼において、Cは、原
料などから不可避的に混入してくる成分であるが、あま
り多量に含有されていると、Crとの間で炭化物を生成
して粒界腐食を引き起こすようになるので、その含有量
は0.03重量%を上限とする。Siはフェライト化元素
であると同時に脱酸剤としても機能し、その含有量は0.
10〜2.00重量%に設定される。含有量が0.10重量
%より少ない場合は上記した効果が発揮されず、また2.
00重量%より多くすると鋼の靱性低下が起こりはじめ
るからである。
【0012】Sは鋼の被削性を高めるための必須成分で
あり、その含有量は、0.01〜0.30重量%に設定され
る。この含有量が0.01重量%よりも少ない場合は、被
削性の向上効果は充分に発揮されず、また、0.30重量
%より多くしても被削性の向上効果は飽和に達するのみ
ならず、逆に耐食性の低下を引き起こしてしまう。Mn
は、Sとおなじように鋼の被削性を向上させる成分であ
る。その含有量は、鋼におけるM/S比を2以下にする
ことが必要であることからすると、S含有量の2倍値、
すなわち0.60重量%までは許容できる。しかし、Mn
量が多くなるにつれて、鋼の耐食性は低下していくの
で、Mnの含有量は0.5重量%を上限とする。
【0013】Niは、Niアレルギー症状の発症を防止
する目的からすると全く含有されていないことが好まし
い。しかしながら、そのようなステンレス鋼を工業的に
調製することは非常に困難であり、不可避的にNiが含
まれてくる。しかし、Niの含有量が0.60重量%以下
であれば、Niアレルギー症状は引き起こされないの
で、本発明においては、Niの含有量の上限値を0.60
重量%に制限する。
【0014】Crはフェライト化元素であり、同時に耐
食性の向上に寄与する成分であり、その含有量は16.0
〜30.0重量%に設定される。この含有量が16.0重量
%より少ない場合は、耐食性の低下が引き起こされ、ま
た逆に30.0重量%より多くしても含有量に見合った耐
食性の向上は得られず、原料費のコスト高を招くように
なるので、その含有量は30.0重量%以下に制限する。
【0015】Moは耐食性の向上に寄与する成分であ
り、その含有量は1.0〜4.0重量%に設定される。この
含有量が1.0重量%より少ない場合は上記した効果が充
分に発揮されず、また4.0重量%より多くしてもCrの
場合と同様に含有量に見合った耐食性の向上は得られ
ず、経済性の点から4.0重量%以下に制限する。Oは、
基地内における硫化物系介在物の大きさを規制する成分
であり、その含有量は0.020重量%以下に制限され
る。
【0016】Oの含有量が0.020重量%より多い場合
には、生成する硫化物系介在物が傾向的に大きくなり、
長さ50μm以下の硫化物系介在物の個数割合が80%
より少なくなり、鋼の耐食性の低下が起こりはじめる。
本発明のステンレス鋼は、上記した組成を必須とする
が、更に、Nb,Ti,Bの1種または2種以上を配合
することが好ましい。
【0017】これらの成分は、いずれも、基地を構成す
るフェライト組織を微細化して全体の靱性を高めるとと
もに、Cをカーバイトの形で固定することにより、耐食
性の向上に資する。しかし、あまり多量に添加しても、
一定以上の効果は得られないため、Nb,Ti,Bの配
合量は、それぞれ、Nb:0.01〜0.50重量%,T
i:0.01〜0.20重量%,B:0.0005〜0.005
0重量%の範囲内に設定することが好ましい。
【0018】本発明のステンレス鋼は次のようにして製
造することができる。すなわち、まず、例えば、溶解炉
で上記した成分組成の鋼種を溶製する。ついで、その溶
湯を鋳造して所定形状の鋼塊としたのち熱間鍛造または
熱間圧延を行い焼鈍する。この一連の過程において、鋼
塊の大きさと冷却速度を適宜に選定することにより、生
成する硫化物系系介在物の大きさが調整される。具体的
には、鋼塊の冷却速度を6℃/min以上に確保し、900
℃以下の温度になるまで冷却することにより、長さ50
μm以下の硫化物系介在物の存在割合を80%以上にす
ることができる。
【0019】
【実施例】
実施例1〜7,比較例1〜5 真空溶解炉で表1で示した組成の鋼を溶製し、50kg鋼
塊鋳型に鋳込んだのち900℃まで除冷し、放置した。
ついで、熱間鍛造をおこない、直径20mmの棒材を製造
したのち、温度750℃で3時間の焼鈍を行った。
【0020】上記各鋼種のうち、比較例1はSUS31
6F相当品である。
【0021】
【表1】
【0022】得られた鍛造品を長手方向に切断し、切断
面にバフ研磨を行ったのち顕微鏡で検鏡して生成してい
る硫化物系介在物の個数と長さを測定し、長さ50μm
以下の硫化物系介在物の個数割合(%)を算出した。そ
の結果を表2に示した。また、各鍛造品につき、下記の
仕様で耐食性,被削性を判定した。 耐食性(1) :JIS 2371で規定する方法に準拠
し、5%塩水を96時間噴霧し、発錆の有無を観察して
レイティングNoを決定。
【0023】耐食性(2) :キャス試験を行って、A,
B,Cのグレードを判定。すなわち、NaCl5%,酢
酸0.2%,CuCl2 0.26g/lから成り、温度49
℃の腐食液に試料を16時間浸漬して判定。A,B,C
評価において、 A:発錆皆無 B:発錆若干有り(面積率10%未満) C:発錆有り を意味する。
【0024】被削性:SKH51製のストレートシャン
クドリル(直径5mm)を使用し、潤滑油なしの条件下
で、送り0.07mmとし、切削距離が1000mm時に切削
不能となる切削速度(m/min) を測定し、工具寿命とし
た。その値を、SUS316F(比較例1)の場合を1.
00としたときの比率として示した。
【0025】以上の結果を一括して表2に示した。
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、まず、本
発明のフェライト系ステンレス鋼は、Ni含有量が微量
であるため、Niアレルギー症状を引き起こす虞れが全
くない。そして、同時に、快削オーステナイト系ステン
レス鋼であるSUS316F(比較例1)と同等の耐食
性と被削性を備えている。
【0028】これは、同じフェライト系ステンレス鋼で
ある比較例2〜5と対比すれば明らかなように、快削成
分であるSの含有量を増量し、かつ、Mn/S比を2以
下に制御し、また長さ50μm以下の硫化物系介在物の
個数割合を80%以上にしたことがもたらす効果であ
る。本発明の鋼種は、高度の耐食性と被削性が要求され
る時計の外装部品のように人体に直接装着する装飾部品
の材料としてその工業的価値は大である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−310037(JP,A) 特開 昭58−167752(JP,A) 特開 平4−41651(JP,A) 特開 平5−339680(JP,A) 特開 平3−111542(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.03重量%以下,Si:0.10〜
    2.00重量%,S:0.01〜0.30重量%,Mn:0.5
    0重量%以下,Ni:0.60重量%以下,Cr:16.0
    〜30.0重量%,Mo:1.0〜4.0重量%,O:0.02
    0重量%以下,残部がFeから成り、Mn/S比が2以
    下であり、かつ、硫化物系介在物における長さ50μm
    以下の硫化物系介在物の個数割合が80%以上であるこ
    とを特徴とする、耐食性と被削性が優れたフェライト系
    ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 更に、Nb:0.01〜0.50重量%,T
    i:0.01〜0.20重量%,B:0.0005〜0.005
    0重量%が少なくとも1種含有されている、請求項1の
    耐食性と被削性が優れたフェライト系ステンレス鋼。
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