JP3415957B2 - 自動列車制御装置の車上装置 - Google Patents

自動列車制御装置の車上装置

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JP3415957B2
JP3415957B2 JP6303795A JP6303795A JP3415957B2 JP 3415957 B2 JP3415957 B2 JP 3415957B2 JP 6303795 A JP6303795 A JP 6303795A JP 6303795 A JP6303795 A JP 6303795A JP 3415957 B2 JP3415957 B2 JP 3415957B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動列車制御(以下、
ATCとする)装置の車上装置に関し、特に、交流電化
区間において使用されることの多い電源同期SSB方式
を採用したものにおいて、き電区分切替セクション通過
時における信号現示出力の安定化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】ATC装置は、列車前方の閉塞区間の開
通状況に応じて、地上側から車上側に列車の許容速度を
示すATC信号を送信し、列車速度が、受信したATC
信号の信号現示に対応する許容速度を越えた場合に、自
動的に車上のブレーキが作動して列車事故を未然に防止
するものである。
【0003】かかるATCの信号処理方式に、例えば新
幹線に採用されている電源同期SSB方式がある。これ
は、地上装置では、架線に流れるパイロット信号(変電
所から送電される信号)の周波数を逓倍して搬送波周波
数とし、この搬送波周波数を変調波(ATC信号波)周
波数で変調して単側帯波を軌道に送出する。車上装置で
は、軌道より受信した信号を復調し、ATC信号波周波
数を抽出する。車上装置の復調で使用する搬送波周波数
は、地上装置側と同一電源からパンタグラフを介して取
り入れたパイロット信号周波数を逓倍した搬送波周波数
を用いることにより、周波数の変動による異信号現示の
発生を防止している。
【0004】しかし、この方式は、列車がき電区分切替
セクション(架線がスイッチで2ヵ所の変電所のどちら
か一方と選択的に接続可能に構成された、パイロット信
号の供給元の変電所を切替える区間)を通過する時、き
電区分切替操作(前記スイッチの切替操作)により架線
が一時的に停電状態となり、その間、車上側に取り入れ
るパイロット信号が一時的にレベル低下又は停止状態と
なり、復調が行えなくなる虞れがある。
【0005】この対策のため、従来のこの種のATC車
上装置では、列車走行中において図7のフローチャート
のステップ1〜9(図中、S1〜S9で示す)に示すよ
うな信号処理方式を採用している。即ち、パイロット信
号のゼロクロス点を基準に1周期分の周期を常時測定し
(S1)、測定したパイロット周波数が、本来のパイロ
ット周波数、例えば60Hzの±3%以内か否かを判定
し、±3%以内であればデータとして取り入れ(S
2)、今回取り入れたデータを含めて測定データが所定
数、例えば32個分あるか否かを判定し(S3)、32
個分あれば32個のデータの移動平均値を演算する(S
4)。
【0006】次に、演算した移動平均値が前記60Hz
の±1.5%以内か否かを判定し(S5)、±1.5%
以内の場合は、パイロット信号の電圧レベルを判定し
(S7)、通常レベルの70%より高い場合は復調用搬
送波を発生する。また、S5の判定において、±1.5
%をオーバーした場合はエラーとし、エラーが2回連続
した時は、S6からS8,9に進み、移動平均処理用デ
ータを全てクリアし(S8)、再び32個の移動平均処
理用データが得られるまで復調用搬送波を停止する(S
9)。また、パイロット信号の電圧レベルが通常レベル
の70%以下の状態になった場合は、移動平均処理用デ
ータをクリアし(S8)、復調用搬送波を停止する(S
9)。
【0007】以上のように、パイロット信号のレベル低
下と周波数ずれによる復調用搬送波周波数のずれの影響
を極力少なくするために行う移動平均処理動作によっ
て、き電区分切替操作が開始されてからパイロット信号
周波数のずれが規定以上と判定されて復調用搬送波が停
止されるまでの時間を遅らせることができ、き電区分切
替セクション通過時における信号現示出力が無信号状態
となる期間をなくすようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
車上装置では、き電区分切替セクションの無信号状態の
期間は短くできる一方、次のような問題点があり、き電
区分切替セクション通過時の信号現示出力の安定度が十
分とは言えなかった。即ち、パイロット信号をディジタ
ルフィルタ処理した後に、パイロット信号のレベル検定
を行うが、このフィルタ処理等のハード機器の影響によ
りレベル検定までに時間遅れがあり、また、車上の回転
機の起電力等の影響によって急減なレベル低下はせず、
周波数が低下しながら徐々にレベル低下する。このた
め、通常レベルの70%以下まで低下しない状況が発生
する虞れがある。この場合、パイロット周波数の移動平
均値が±1.5%の範囲を越える事で、復調用搬送波の
送出は停止されるが、パイロット信号の入力停止から復
調用搬送波が停止されるまでの間で信号現示の読み違い
が発生する虞れがある。
【0009】即ち、従来の信号処理では、復調用搬送波
が停止されるまでにパイロット周波数のずれを±1.5
%(移動平均値)まで許容して、搬送波を発生して復調
動作が実行される。このため、パイロット周波数を逓倍
した復調用搬送波の周波数もずれ、抽出されるATC信
号周波数にずれが生じる。図8に、搬送波周波数のずれ
とATC信号周波数の関係を示す。例えば、実際の周波
数が32HzのATC信号に対して搬送波周波数が±
1.5%ずれた場合、抽出されるATC信号周波数は1
4Hz〜50Hzの範囲でずれが生じる。このように、
パイロット信号の入力が停止してから復調用搬送波の発
生が停止されるまでの間で、パイロット周波数のずれ
(搬送波周波数のずれ)に伴って、抽出されるATC信
号の周波数にもずれが発生し、このずれの範囲内に割り
当てられている別のATC信号に読み違える可能性があ
った。
【0010】また、前述したように従来では、き電区分
切替セクション通過時のパイロット周波数のずれの影響
による搬送波周波数のずれを抑制するため、32回分の
データの移動平均処理値をパイロット周波数として使用
している。しかし、パイロット周波数のこの処理方法で
は、き電区分切替セクション以外の通常の走行区間にけ
るパイロット周波数の変動に対する追従が遅れるという
問題がある。
【0011】本発明はこのような従来技術の問題点に着
目してなされたもので、き電区分切替セクション通過時
の信号現示読み違いを未然に防止しまた、き電区分通過
時の搬送波周波数のずれを抑制しつつ、通常区間のパイ
ロット周波数の変動に対する追従精度を向上することを
目的とし、以て、き電区分切替セクション通過時等にお
けるATC装置の車上装置の信号現示出力の安定化を向
上させることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の発明では、図1に示すように、電源からの信号をパイ
ロット信号として当該パイロット信号の周波数を逓倍し
た搬送波周波数をATC信号波周波数で変調してその側
帯波の1つを地上装置側から送信される送信信号として
軌道を介して受信し、この受信した前記送信信号を、地
上装置側と同一電源から得たパイロット信号周波数を逓
倍した復調用搬送波周波数で復調して前記ATC信号波
周波数を抽出し、抽出したATC信号波周波数に対応す
る信号現示出力を発生する構成の自動列車制御装置の車
上装置であって、入力するパイロット信号の周波数の移
動平均値を算出する移動平均処理手段と、該移動平均処
理手段で算出されたパイロット周波数が所定範囲内か否
かを判定するパイロット周波数判定手段と、前記パイロ
ット信号のレベルが所定レベルより高いか否かを判定す
るパイロットレベル判定手段と、パイロット信号の周波
数とレベルが所定範囲内且つ所定レベルより高い時に入
力したパイロット信号周波数に基づいて前記復調用搬送
波を発生する復調用搬送波発生手段と、該復調用搬送波
発生手段からの復調用搬送波で地上装置側からの送信信
号を復調してATC信号波を抽出する復調手段と、該復
調手段で抽出されたATC信号波の周波数に応じてそれ
ぞれの信号現示出力を発生する信号現示発生手段とを備
えたものにおいて、入力するパロット信号の変化率を演
算する変化率演算手段と、演算されたパイロット信号の
変化率が予め設定した範囲内か否かを判定する変化率判
定手段と、演算した変化率が設定範囲内の時に、き電区
分切替セクション通過時と判断して前記パイロット周波
数判定手段及びパイロットレベル判定手段の判定結果に
関係なく復調用搬送波の発生を停止する搬送波停止手段
とを備えて構成した。
【0013】また、前記搬送波停止手段は、演算した変
化率が所定回数連続して設定範囲内となった時に復調用
搬送波の発生を停止する構成とするとよい。請求項3記
載の発明では、図2に示すように、電源からの信号をパ
イロット信号として当該パイロット信号の周波数を逓倍
した搬送波周波数をATC信号波周波数で変調してその
側帯波の1つを地上装置側から送信される送信信号とし
て軌道を介して受信し、この受信した前記送信信号を、
地上装置側と同一電源から得たパイロット信号周波数を
逓倍した復調用搬送波周波数で復調して前記ATC信号
波周波数を抽出し、抽出したATC信号波周波数に対応
する信号現示出力を発生する構成の自動列車制御装置の
車上装置であって、入力するパイロット信号の周波数の
移動平均値を算出する移動平均処理手段と、該移動平均
処理手段で算出されたパイロット周波数が所定範囲内か
否かを判定するパイロット周波数判定手段と、前記パイ
ロット信号のレベルが所定レベルより高いか否かを判定
するパイロットレベル判定手段と、パイロット信号の周
波数とレベルが所定範囲内且つ所定レベルより高い時に
入力したパイロット信号周波数に基づいて前記復調用搬
送波を発生する復調用搬送波発生手段と、該復調用搬送
波発生手段からの復調用搬送波で地上装置側からの送信
信号を復調してATC信号波を抽出する復調手段と、該
復調手段で抽出されたATC信号波の周波数に応じてそ
れぞれの信号現示出力を発生する信号現示発生手段とを
備えたものにおいて、入力するパロット信号の変化率を
演算する変化率演算手段と、該変化率演算手段で算出さ
れた変化率値に基づいて当該変化率が小さくなるに従い
新しい入力周波数データ値を移動平均値に反映するよう
前記移動平均処理手段の移動平均演算処理を可変する移
動平均処理可変手段とを備えて構成した。
【0014】
【作用】請求項1記載の構成において、変化率演算手段
は、車上装置に入力するパイロット信号の変化率を演算
する。変化率判定手段は、変化率演算手段で演算された
変化率が、予め設定した範囲内か否かを判定する。ここ
で、前記変化率の判定基準となる設定範囲は、き電区分
切替セクションにおけるパイロット周波数の変化率に相
当する範囲とする。搬送波停止手段は、演算された変化
率が設定範囲内である時は、き電区分切替セクション通
過時と判断してパイロット周波数及びパイロットレベル
の判定結果に関係なく直ちに復調用搬送波の発生を停止
する。
【0015】これにより、き電区分切替セクション通過
時にパイロット信号の周波数ずれによるATC信号の読
み違いを未然に防止できるようになる。また、請求項2
記載のように、変化率の演算値が所定回数連続した時
に、搬送波の発生を停止させるようにすることで、過渡
的なパイロット周波数の変化時とき電区分切替セクショ
ン通過時とを区別することができるようになる。
【0016】また、請求項3記載の構成においては、パ
イロット周波数の変化率を演算し、演算された変化率が
小さくなるに従い新しい入力周波数データ値を移動平均
値に反映するよう、変化率に応じて移動平均演算処理を
変更する。こうすることにより、き電区分切替セクショ
ン通過時に、パイロット周波数のずれによる復調用搬送
波周波数のずれを抑制でき、しかも、通常の走行区間に
おけるパイロット周波数の変動に対する追従性を高める
ことができるようになる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図3に第1の発明(請求項1記載の発明)に係る
ATCの車上装置の一実施例のハード構成を示す。図3
において、地上側のATC地上装置1では、地上の変電
所からのパイロット信号を入力し、該パイロット信号の
周波数を逓倍して搬送周波数を得、主信号波と副信号波
とで構成されるATC信号波で変調して側帯波の1つを
送信信号として軌道2に送出する。
【0018】一方、列車3側は、ATC車上受信装置10
が搭載されている。ATC車上受信装置10は、軌道2に
送出された送信信号を受信する受電器11と、該受電器11
からのATC信号や、図示しないパンタグラフを介して
地上側と同一の変電所から架線より取り入れたパイロッ
ト信号を共通入力する共通部12と、該共通部12を介して
前記各種の信号を入力する受信部13とを備えて構成され
る。また、列車3には、受信部13からの信号現示出力に
基づいてブレーキ装置14を駆動制御する制御部15と、受
信部13からの信号現示出力を入力し対応する信号現示を
表示する車内信号16とが搭載されている。
【0019】次に、前記受信部13内のハード構成を図4
に示し説明する。図4において、受信部13は、共通部12
からパイロット信号と受電器11で受信した軌道に流れる
ATC信号波を入力する信号入力部21と、該信号入力部
21で抽出されるATC信号波を入力して所定の処理を実
行するCPU内蔵の入力信号処理部22と、受信したAT
C信号波に対応する信号現示出力を制御部15や車内信号
16に出力する信号現示出力部23と、これら信号入力部2
1、入力信号処理部22及び信号現示出力部23を制御する
CPU内蔵の論理部24とで構成され、これらはバスライ
ンによって双方向通信可能に接続されている。
【0020】前記信号入力部21は、雑音除去のフィルタ
リングをした後に、パイロット信号の1周期分の周期を
測定してパイロット周波数の測定を行って周波数測定結
果を論理部24に入力すると共に、例えばシュミット回路
等のレベル検定回路を用いてパイロット信号のレベル判
定を行う。そして、論理部24において後述の図5のパイ
ロット周波数変化率判定処理フロー及び図7に示す従来
同様の処理フローの結果に応じて論理部24から搬送波発
生許可指令が入力すれば、復調用搬送波を発生して軌道
から入力した主信号波変調信号と副信号波変調信号を別
々に復調してATC信号波の主信号波と副信号波を抽出
し、この抽出信号を入力信号処理部22に出力する。ま
た、論理部24から搬送波発生停止指令が入力した時は搬
送波の発生を停止して復調動作を停止する。ここで、信
号入力部21が、パイロットレベル判定手段、復調手段及
び搬送波発生手段の機能を備えている。
【0021】入力信号処理部22は、信号入力部21からの
ATC信号波(主信号波と副信号波)をマルチプレクサ
で周期的に切替入力してA/D変換を行いディジタル信
号に変換して論理部24に入力する。信号現示出力部23
は、論理部24の後述する処理結果に基づいて信号現示出
力を制御部15及び車内信号16に出力する。ここで、信号
現示出力部23が信号現示発生手段の機能を備えている。
【0022】論理部24は、図5のフローチャートに示す
ように、信号入力部21から入力する周波数測定値に基づ
いて周波数の変化率の演算及び判定を行い、変化率が設
定範囲外である時は図7に示す従来同様の処理フローに
従って測定パイロット周波数の移動平均値が基準のパイ
ロット周波数(例えば60Hz)の±1.5%以内か否
か、及び、所定レベル(通常の70%)より高いか否か
を判断して搬送波発生条件を満足していれば、前記信号
入力部21に復調用搬送波の発生許可指令を発生する。一
方、周波数変化率が設定範囲内である時はパイロット周
波数の移動平均値及びレベル値に関係なく信号入力部21
に搬送波発生停止指令を発生する。
【0023】また、入力信号処理部22を介して入力され
たATC信号波の主信号波と副信号波の各周波数の組み
合わせに対応する信号現示出力を前記信号現示出力部23
に指令する。更には、ATC信号波のレベルが閾値以下
に低下した時に対応する信号現示の復旧タイマを動作さ
せて現在出力中の信号現示出力を予め当該復旧タイマ用
に設定したタイマ時間保持する。また、新たな別のAT
C信号波のレベルが閾値以上に上昇した場合には対応す
る信号現示の動作タイマを動作させて新たな信号現示出
力を予め動作タイマ用に設定したタイマ時間遅延して発
生させる。
【0024】ここで、論理部24は、移動平均処理手段、
パイロット周波数判定手段、変化率演算手段、変化率判
定手段及び搬送波停止手段の機能を備えている。次に、
図5のフローチャートを参照しながら本実施例装置の論
理部24におけるパイロット周波数の変化率判定動作につ
いて説明する。ステップ11では、測定周波数の変化率を
演算する。これは、前回測定値と今回測定値との差、即
ち、変化率=今回測定値−前回測定値として演算する。
【0025】ステップ12では、ステップ11で演算した変
化率が下限値をX、上限値をYとする設定範囲内(X<
変化率<Y)か否かを判定する。ここで、設定範囲は、
例えば予めき電区分切替セクションにおけるパイロット
周波数の変化状態を測定し、測定結果に基づいてき電区
分切替セクションにおける変化率の変化範囲に近似させ
て設定し、予めメモリ等に記憶保持させておく。ステッ
プ12の判定がNO(範囲外である)の時は、き電区分切
替セクションではないとして処理を終了する。一方、判
定がYES(範囲内)の時はステップ13に進む。
【0026】ステップ13では、ステップ12においてYE
Sの判定が予め設定したn回連続したか否かを判定す
る。ここで連続回数のnは任意に設定すればよい。ステ
ップ13の判定がNOの時はこの時の周波数の変化が過渡
的なものとしてそのまま処理を終了し、図7に示す移動
平均処理値の判定処理とレベル判定処理に移行し、従来
と同様にその判定結果に基づいて復調用搬送波の発生指
令又は停止指令を出力する。一方、n回連続した時は、
き電区分切替セクショッの通過時と判断してステップ14
に進み、直ちに復調用搬送波の発生停止指令を出力す
る。
【0027】このようにすれば、き電区分切替セクショ
ン通過時において、パイロット周波数のずれに起因する
ATC信号の読み違いを未然に防止することができる。
また、変化率が所定回数連続して設定範囲内となった時
に搬送波の停止指令を出力する構成としたので、過渡的
なパイロット周波数の変動に対して搬送波の発生を停止
することがなく、き電区分切替セクション以外の走行区
間で搬送波の発生を停止するような誤動作を防止でき
る。
【0028】尚、き電区分切替セクションが複数箇所あ
る場合には、各き電区分切替セクション毎にパイロット
周波数の変化状態が異なることがあるので、この場合に
は、各き電区分切替セクション毎に適切な変化率の判定
基準範囲を設定するとよい。次に、第2の発明(請求項
3記載の発明)の一実施例について説明する。尚、本実
施例のハードウエア構成は、第1の発明の実施例と同様
で図3及び図4に示す通りであり、論理部24のソフトウ
エアのみが異なるものであるため、以下では論理部24の
異なるソフトウエア構成のみについて説明する。
【0029】本実施例の論理部24では、図6のフローチ
ャートに示すように、信号入力部21から入力する周波数
測定値に基づいて周波数の変化率の演算及び判定を行
い、変化率の演算値に基づいて、演算した変化率が小さ
くなるに従い新しい入力周波数データ値を移動平均値に
反映するよう、図7に示す移動平均処理における演算式
を可変する。
【0030】移動平均処理後の動作は従来と同様で、移
動平均値が基準のパイロット周波数(例えば60Hz)
の±1.5%以内か否か、及び、所定レベル(通常の7
0%)より高いか否かを判断して搬送波発生条件を満足
していれば、前記信号入力部21に復調用搬送波の発生許
可指令を発生する。従って、本実施例の論理部24は、移
動平均処理手段、パイロット周波数判定手段、変化率演
算手段及び移動平均処理可変手段の機能を備えている。
【0031】次に図6のフローチャートを参照して本実
施例のパイロット周波数の移動平均処理動作について説
明する。図7に示すフローチャートで32個分のパイロ
ット周波数の測定データが得られてステップ3の判定が
YESとなってステップ4の移動平均処理が実行され
る。
【0032】そして、この移動平均処理は、図6のフロ
ーチャートに示す如く以下のように実行される。ステッ
プ21で、今回測定されたパイロット周波数に基づきその
変化率を演算する。この演算は、前述と同様で、前回測
定値と今回測定値との差、即ち、変化率=今回測定値−
前回測定値として演算する。
【0033】次に、ステップ22で、演算された変化率が
予め設定した最大設定値A1 以上か否かを判定する。変
化率≧A1 の場合はステップ23に進み、パイロット周波
数の移動平均値FA を、以下の演算式により算出する。 FA = (過去32〜17回分積算値/16)+(過去16〜今回値分積算値/16) /2 また、変化率<A1 の時は、ステップ24に進み、変化率
を設定値A2 と比較する。変化率≧A2 の場合はステッ
プ25に進み、移動平均値FA を以下の演算式により算出
する。
【0034】 FA = (過去32〜16回分積算値/17)+(過去15〜今回値分積算値/15) /2 また、変化率<A2 の時は、ステップ26に進み、変化率
を設定値A3 と比較する。変化率≧A3 の場合はステッ
プ27に進み、移動平均値FA を以下の演算式により算出
する。 FA = (過去32〜15回分積算値/18)+(過去14〜今回値分積算値/14) /2 このようにして、図示しないがステップ28〜ステップ49
まで、順次変化率の値を設定値A4 ,A5 ,・・・と比
較し、その時の判定結果に基づいて所定の演算式により
移動平均値FA を演算する。
【0035】更に、ステップ50で、今回の変化率の値を
最小設定値A15と比較し、変化率≧A15と判定された時
は、ステップ51で以下の演算式で移動平均値FA を演算
する。 FA = (過去32〜2回分積算値/30)+(過去1〜今回値分積算値/2) /2 そして、今回の変化率の値が最小設定値A15より小(変
化率<A15)の時は、ステップ52に進み、以下の演算式
で移動平均値FA を演算する。
【0036】 FA = (過去32〜1回分積算値/31)+今回値 /2 即ち、本実施例の移動平均処理では、今回測定されたパ
イロット周波数の変化率を予め設定した値A1 〜A
15(但しA1 >A2 >・・・>A15である)と比較し、
変化率の値が小さくなるに従い新しい測定データ値側の
重み付けを増大するようにして、変化率が大きい時は移
動平均値が、32個分全体の略均等な値となるように
し、変化率が小さくなるに従い移動平均値に新しいデー
タ値が反映されるようにしている。
【0037】ここで、最大設定A1 は、き電区分切替セ
クション通過時に想定されるパイロット周波数の変化率
に近似させて設定する。かかる構成によれば、パイロッ
ト周波数の変化率の大きいき電区分切替セクション通過
時における、パイロット周波数のずれにより搬送波周波
数のずれを従来と同様に抑制できる。しかも、き電区分
切替セクション以外の通常の走行区間における、微小な
パイロット周波数の変動に対する追従精度を高めること
ができ、通常走行区間での車上装置のATC信号の抽出
精度をより一層向上できる。
【0038】尚、本実施例では、変化率の判定区分をA
1 〜A15の15段階としたが、これに限るものではな
く、これよりも少なくて多くてもよい。そして、移動平
均値の演算式の数も判定区分の数に応じて増減すること
は言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、き電区分切替セクション通過時に、パイロッ
ト周波数のずれに起因するATC信号の読み違いを未然
に防止することができる。また、請求項2記載のよう
に、パイロット周波数の変化率が連続して所定の範囲内
になった時に搬送波の発生を停止するようにすれば、過
渡的なパイロット周波数変化と、き電区分切替セクショ
ン通過に伴うパイロット周波数変化とを確実に区別する
ことができ、き電区分切替セクション以外の走行区間お
いて過渡的なパイロット周波数変化で搬送波周波数の発
生を停止するような誤動作を防止できる。
【0040】また、請求項3記載の発明によれば、き電
区分切替セクション通過時のパイロット周波数のずれに
よる搬送波周波数のずれを抑制しつつ、通常の走行区間
におけるパイロット周波数の変化に対する追従精度を向
上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の構成を説明するブロック図
【図2】第2の発明の構成を説明するブロック図
【図3】本発明のハードウエア構成の一実施例を示す構
成図
【図4】同上実施例の要部構成を示すブロック図
【図5】第1の発明の一実施例の動作を説明するフロー
チャート
【図6】第2の発明の一実施例と動作を説明するフロー
チャート
【図7】従来装置の信号処理方式を説明するフローチャ
ート
【図8】復調用搬送波周波数のずれとATC信号波周波
数との関係を示す図
【符号の説明】
3 列車 10 ATC車上受信装置 11 受電器 13 受信部 14 ブレーキ装置 15 制御部 16 車内信号 21 信号入力部 22 入力信号処理部 23 信号現示出力部 24 論理部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−242510(JP,A) 特開 平8−201454(JP,A) 実開 平4−52972(JP,U) 実開 平5−49556(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60L 15/40 B61L 23/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電源からの信号をパイロット信号として
    当該パイロット信号の周波数を逓倍した搬送波周波数を
    ATC信号波周波数で変調してその側帯波の1つを地上
    装置側から送信される送信信号として軌道を介して受信
    し、この受信した前記送信信号を、地上装置側と同一電
    源から得たパイロット信号周波数を逓倍した復調用搬送
    波周波数で復調して前記ATC信号波周波数を抽出し、
    抽出したATC信号波周波数に対応する信号現示出力を
    発生する構成の自動列車制御装置の車上装置であって、 入力するパイロット信号の周波数の移動平均値を算出す
    る移動平均処理手段と、 該移動平均処理手段で算出されたパイロット周波数が所
    定範囲内か否かを判定するパイロット周波数判定手段
    と、 前記パイロット信号のレベルが所定レベルより高いか否
    かを判定するパイロットレベル判定手段と、 パイロット信号の周波数とレベルが所定範囲内且つ所定
    レベルより高い時に入力したパイロット信号周波数に基
    づいて前記復調用搬送波を発生する復調用搬送波発生手
    段と、 該復調用搬送波発生手段からの復調用搬送波で地上装置
    側からの送信信号を復調してATC信号波を抽出する復
    調手段と、 該復調手段で抽出されたATC信号波の周波数に応じて
    それぞれの信号現示出力を発生する信号現示発生手段
    と、 を備えたものにおいて、 入力するパロット信号の変化率を演算する変化率演算手
    段と、 演算されたパイロット信号の変化率が予め設定した範囲
    内か否かを判定する変化率判定手段と、 演算した変化率が設定範囲内の時に、き電区分切替セク
    ション通過時と判断して前記パイロット周波数判定手段
    及びパイロットレベル判定手段の判定結果に関係なく復
    調用搬送波の発生を停止する搬送波停止手段と、 を備えたことを特徴とする自動列車制御装置の車上装
    置。
  2. 【請求項2】前記搬送波停止手段は、演算した変化率が
    所定回数連続して設定範囲内となった時に復調用搬送波
    の発生を停止する構成である請求項1記載の自動列車制
    御装置の車上装置。
  3. 【請求項3】 電源からの信号をパイロット信号として
    当該パイロット信号の周波数を逓倍した搬送波周波数を
    ATC信号波周波数で変調してその側帯波の1つを地上
    装置側から送信される送信信号として軌道を介して受信
    し、この受信した前記送信信号を、地上装置側と同一電
    源から得たパイロット信号周波数を逓倍した復調用搬送
    波周波数で復調して前記ATC信号波周波数を抽出し、
    抽出したATC信号波周波数に対応する信号現示出力を
    発生する構成の自動列車制御装置の車上装置であって、 入力するパイロット信号の周波数の移動平均値を算出す
    る移動平均処理手段と、 該移動平均処理手段で算出されたパイロット周波数が所
    定範囲内か否かを判定するパイロット周波数判定手段
    と、 前記パイロット信号のレベルが所定レベルより高いか否
    かを判定するパイロットレベル判定手段と、 パイロット信号の周波数とレベルが所定範囲内且つ所定
    レベルより高い時に入力したパイロット信号周波数に基
    づいて前記復調用搬送波を発生する復調用搬送波発生手
    段と、 該復調用搬送波発生手段からの復調用搬送波で地上装置
    側からの送信信号を復調してATC信号波を抽出する復
    調手段と、 該復調手段で抽出されたATC信号波の周波数に応じて
    それぞれの信号現示出力を発生する信号現示発生手段
    と、 を備えたものにおいて、 入力するパロット信号の変化率を演算する変化率演算手
    段と、 該変化率演算手段で算出された変化率値に基づいて当該
    変化率が小さくなるに従い新しい入力周波数データ値を
    移動平均値に反映するよう前記移動平均処理手段の移動
    平均演算処理を可変する移動平均処理可変手段と、 を備えたことを特徴とする自動列車制御装置の車上装
    置。
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