JP3415343B2 - セラミックス接合材およびそれを用いたセラミックス−金属接合体の製造方法 - Google Patents

セラミックス接合材およびそれを用いたセラミックス−金属接合体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空バルブ、サイ
リスタ等に用いられる真空気密容器の作製用として好適
なセラミックス接合材、およびセラミックス−金属接合
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】真空バルブやサイリスタ等に用いられる
真空気密容器は、セラミックス部材からなる絶縁容器の
開口端部に、その内部を真空気密状態に保持しながら、
金属部材からなる端板(封止金具)を接合(封着)した
ものである。このような真空気密容器の作製にあたっ
て、セラミックス容器と金属端板との封着は、従来、 M
o-Mn法を用いて行われてきたが、 Mo-Mn法は工程が複雑
であると共に、高温の熱処理を必要とする等の問題を有
していた。
【0003】そこで、 Mo-Mn法に代わる封着方法とし
て、活性金属法を適用した封着が検討されている(特開
昭 61-123120号公報参照)。活性金属ろう材としては、
Ag、CuおよびTiの 3元素を含むものが一般的であり、ま
たろう材の具体的な構成としては、Ag、CuおよびTiの 3
元素を合金化したAg-Cu-Ti合金ろう材や、Ag、Cuおよび
Tiの箔を順に積層あるいはクラッドした構造のろう材等
が検討されている(特開昭 62-102071号公報参照)。
【0004】ところで、真空バルブ等に用いられる高真
空気密容器を作製する際には、容器内部の焼き出し(脱
ガス処理)を行う必要があり、セラミックス容器と金属
端板とを封着する前に、活性金属ろう材(封着材)を介
して積層したセラミックス容器と金属端板等の構成部品
全てを、ろう材の溶融温度未満の高温で長時間熱処理す
ることが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような高温での脱ガス熱処理を行うことで、活性金属
ろう材も固相状態で高温・長時間の熱処理を受け、接合
に悪影響を及ぼす原因となるろう材構成元素の過剰な反
応が起こるという問題があった。
【0006】すなわち、前述したAg-Cu-Ti系のろう材の
場合、上記した固相熱処理で一般にCu-Ti化合物が生成
する。この Cu-Ti化合物は安定であるため、ろう材溶融
時においてもろう材液相中に残留し、その結果として本
来はセラミックス部材と反応して接合に寄与するTi活量
を低下させたり、またろう材組成が共晶組成からずれて
融点が上昇する等の悪影響を及ぼす。さらに、溶融接合
後のろう材層中に Cu-Ti化合物が存在していると、この
化合物の周囲にボイドが発生しやすく、破壊の起点にな
りやすい等、接合特性に悪影響を及ぼすという問題を招
いていた。
【0007】上述したように、従来の活性金属法を適用
したセラミックス部材と金属部材との封着(接合)にお
いては、脱ガス熱処理等の高温・長時間の熱処理を行っ
た場合に、接合に悪影響を及ぼす活性金属ろう材中の構
成元素の過剰な反応を抑制することが課題とされてい
た。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、脱ガス熱処理等の高温・長時間の固
相熱処理を行った場合においても、活性金属ろう材中の
構成元素の接合に悪影響を及ぼす反応を抑制することを
可能にしたセラミックス接合材、および脱ガス熱処理等
の高温・長時間の固相熱処理を行った場合においても、
良好な接合状態を安定して得ることを可能にしたセラミ
ックス−金属接合体の製造方法を提供することを目的と
している。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミックス接
合材は、請求項1に記載したように、Ag層、Cu層および
Ag層が順に積層された積層体と、前記積層体の少なくと
も一方の表面に形成された、少なくとも Ti-Ag化合物を
含むTi含有層とを具備することを特徴としている。
【0010】本発明における第1のセラミックス−金属
接合体の製造方法は、請求項2に記載したように、セラ
ミックス部材と金属部材との間に、上記した本発明のセ
ラミックス接合材を前記Ti含有層が前記セラミックス部
材と当接するように配置し、これらを真空中にて前記接
合材の溶融温度以上の温度で熱処理して、前記セラミッ
クス部材と金属部材とを接合することを特徴としてい
る。
【0011】また、本発明における第2のセラミックス
−金属接合体の製造方法は、請求項3に記載したよう
に、セラミックス部材と金属部材との間に、Ag層、Cu
層、Ag層およびTi層が順に積層された接合材を、前記Ti
層が前記セラミックス部材と当接するように配置し、こ
れらを真空中にて一旦673K以上で前記接合材の溶融温度
未満の温度で保持した後、前記接合材の溶融温度以上の
温度に昇温して熱処理し、前記セラミックス部材と金属
部材とを接合することを特徴としている。
【0012】本発明のセラミックス接合材においては、
Cu層とTi含有層との間にCuをほとんど固溶しないAg層を
設けているため、固相状態での熱処理に伴う Cu-Ti化合
物の形成を抑制することができ、一方 Ti-Ag化合物の生
成が促進される。そして、Ti-Ag化合物は安定な Cu-Ti
化合物とは異なり、 Ag-Cuろう材に溶融する速度が速
く、 Ag-Cu液相と接触することですぐに液相に溶け込
み、Ti活量の高い液相を形成する。また、融点の上昇も
ほとんど認められない。従って、セラミックス部材との
良好な接合を安定して実現することができる。
【0013】本発明の第1のセラミックス−金属接合体
の製造方法は、上述したような本発明のセラミックス接
合材を用いているため、接合前に高温・長時間の固相熱
処理を行ったとしても、セラミックス部材と金属部材と
を良好かつ安定に接合することができる。
【0014】また、本発明の第2のセラミックス−金属
接合体の製造方法においては、 Ti-Ag化合物が生成され
るため、予備熱処理時に接合に悪影響を及ぼす Cu-Ti化
合物の生成を防止することができ、この Ti-Ag化合物の
形成により十分なTi活量が得られる。従って、セラミッ
クス部材と金属部材とを安定かつ良好に接合することが
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0016】本発明のセラミックス接合材は、Ag層、Cu
層、Ag層および少なくとも Ti-Ag化合物を含むTi含有層
を具備するものである。図1は、本発明の一実施形態に
よるセラミックス接合材の構造を示す断面図であり、1
はAg層2、Cu層3およびAg層4を順に積層した積層体で
あり、この積層体1の少なくとも一方の表面に Ti-Ag化
合物を含むTi含有層5が形成されている。
【0017】上述したような構造のセラミックス接合材
においては、Cu層3とTi含有層5との間にCuをほとんど
固溶しないAg層4が設けられているため、固相状態での
熱処理に伴う Cu-Ti化合物の形成を抑制することがで
き、一方 Ti-Ag化合物の生成が促進される。また、純粋
なTiではなく、Ti化合物として活性金属であるTiを存在
させることで接合前のTiの酸化が抑制され、接合に寄与
するTi活量を安定して得ることができる。
【0018】そして、 Ti-Ag化合物は安定な Cu-Ti化合
物とは異なり、 Ag-Cuろう材に溶融する速度が速く、 A
g-Cu液相と接触することですぐに液相に溶け込み、Ti活
量の高いろう材液相を形成する。また、融点の上昇もほ
とんど認められない。従って、セラミックス部材との良
好な接合を安定して実現することができると共に、微細
で接合性や気密性に優れるろう材層(接合層)を得るこ
とができる。これに対してCu -Ti化合物は Ag-Cu液相へ
の溶解速度が遅いため、長時間にわたって固相のまま安
定に存在し、Ti活量が低いろう材液相の形成原因とな
る。また、融点の上昇を引き起こすことも確認されてい
る。
【0019】Ti含有層5は、少なくとも Ti-Ag化合物を
含むものであればよく、例えば Ti-Ag化合物の単独層や
Ti-Ag化合物を含むTi層等により構成される。また、Ti
含有層5中における Ti-Ag化合物は10重量% 以上含まれ
ていることが好ましく、望ましくは60重量% 以上であ
る。Ti含有層5中の Ti-Ag化合物量が10重量% 未満であ
ると、上述したような効果を十分に得られないおそれが
ある。接合材全体としてのTiの組成は、 Ag-Cuろう材に
対して 0.1〜30重量% 程度の割合となるようにすること
が好ましい。Ti組成が 0.1重量% 未満であると、セラミ
ックス部材に対して十分なぬれ性が得られないおそれが
あり、一方30重量% を超えると必要以上の融点上昇を招
くおそれがある。さらに、接合に不都合な化合物相の生
成を抑制するためには、Ti組成を 0.5〜15重量% とする
ことが望ましい。
【0020】AgとCuとの比率(Ag層2とCu層3およびAg
層4とCu層3の比率)は、共晶組成としてもよいが、例
えば42アロイ等のNiを含む金属部材との接合に使用する
場合には、Niのろう材中への拡散が接合性に悪影響を及
ぼす可能性があるため、接合材中のCuの一部が溶け残る
ような組成とし、溶け残ったCu中間層を拡散バリアとし
て機能させることが好ましい。具体的にはAg:Cuの厚さ
比(重量比)を1:0.7〜10程度とすることが好ましく、
このような組成比とすることでCu層3の一部がろう材中
で固相を維持する。
【0021】本発明のセラミックス接合材は、真空バル
ブやサイリスタ等の真空気密容器を作製する際のセラミ
ックス部材と金属部材との接合(封着)等に対して有効
であるが、例えばTi含有層5を積層体1の両面に形成す
ることで、セラミックス部材同士の接合に用いることも
可能である。
【0022】上述したようなセラミックス接合材は、例
えば以下のようにして作製することができる。すなわ
ち、まずCu板(3)の両面にAg層(2、4)をクラッド
やめっき等で形成して積層体1を作製する。AgとCuとの
比率は上述した通りである。
【0023】次に、上記積層体1の少なくとも一方の表
面のAg層(2、4)に接して、 Ti-Ag化合物を含むTi含
有層5を形成する。このTi含有層5の形成方法として
は、TiAgやTi3 Ag等の Ti-Ag化合物を直接クラッドした
り、スパッタ法等のΡVD法でTi-Ag化合物層を形成し
てもよい。
【0024】また、上記積層体1の少なくとも一方のAg
層(2、4)上に、クラッドやPVD法でTi層を形成し
た後、熱処理を施すことで、TiAgやTi3 Ag等の Ti-Ag化
合物を含むTi含有層5を形成することもできる。このよ
うな場合には、TiとAgとの反応を促進するために、蒸着
法やスパッタ法等のPVD法でTi層を形成することが好
ましい。熱処理により Ti-Ag化合物を形成するにあたっ
て、両層の結晶方位関係に特に限定されるものではない
が、 Ag(200)配向と Ti(002)配向とを組合せることで、
熱処理による化合物の形成を促進することができる。上
記 Ti-Ag化合物を形成するための熱処理は、Tiの酸化を
防ぐために 0.1Paオーダより高真空中にて、 673〜973K
の温度で行うことが好ましい。熱処理温度が673K未満で
あるとTi-Ag化合物を十分に形成できないおそれがあ
り、一方973Kを超えると Ti-Ag化合物以外の接合に不都
合な化合物相が生成されるおそれがある。
【0025】本発明の第1のセラミックス−金属接合体
の製造方法は、上述した本発明のセラミックス接合材を
用いて、セラミックス部材と金属部材とを接合(封着)
する方法である。
【0026】すなわち、まず上述した本発明のセラミッ
クス接合材を、Ti含有層5がセラミックス部材と当接す
るように、セラミックス部材と金属部材との間に配置す
る。この状態で真空中で熱処理を施して、セラミックス
部材と金属部材とを接合(封着)する。被接合部材であ
るセラミックス部材および金属部材は、特に限定される
ものではないが、本発明は特に予め高温で長時間熱処理
(脱ガス熱処理)する必要がある真空バルブ等、真空気
密容器の構成部材であるセラミックス容器と金属端板と
の接合(封着)に好適である。
【0027】熱処理時の真空度は 0.1Paよりも高い方が
好ましい。また、熱処理温度は、Ag-Cu ろう材の溶融温
度以上で、当該温度から100K高い温度以内とすればよ
い。Ti-Ag 化合物は Ag-Cuろう材に溶融しやすく、 Cu-
Ti化合物のような融点の上昇を引き起こさないため、通
常の Ag-Cuろう材の溶融する熱処理条件で十分に接合が
可能である。保持時間は、ろう材が溶ける条件であれば
短い方が好ましくい。具体的な保持時間としては、ろう
材が完全に溶融するように 1分以上で、かつろう材の構
成元素の蒸発を防ぐために 1時間以下とすることが好ま
しい。
【0028】本発明のセラミックス接合材を用いて、か
つ上述したような条件下で熱処理を行うことによって、
例えば接合(封着)前に脱ガス熱処理等の高温・長時間
の熱処理を行ったとしても、接合に悪影響を及ぼす Cu-
Ti化合物の生成を防止することができると共に、 Ti-Ag
化合物により十分なTi活量を得ることができるため、セ
ラミックス部材と金属部材とを安定かつ良好に接合する
ことができる。また、接合熱処理後には、微細で接合性
や気密性に優れるろう材層が得られるため、健全な接合
体(封着体)を得ることができる。
【0029】次に、本発明の第2のセラミックス−金属
接合体の製造方法について述べる。まず、セラミックス
部材と金属部材との間に、Ag層、Cu層、Ag層およびTi層
が順に積層された接合材を、Ti層がセラミックス部材と
当接するように配置する。上記した接合材は、前述した
本発明の接合材の製造工程において、 Ti-Ag化合物形成
のための熱処理を行う前の状態と同じものである。すな
わち、製造方法やTi組成、 Ag-Cu組成等は前述した通り
である。
【0030】上述した状態で真空中で熱処理を施して、
セラミックス部材と金属部材とを接合するのであるが、
接合熱処理すなわちろう材の溶融前に、一旦673K以上で
接合材の溶融温度未満の温度で保持(予備熱処理)す
る。この予備熱処理を行うことによって、 Cu-Ti化合物
の形成を抑制した上で Ti-Ag化合物が生成される。予備
熱処理の温度が673K未満であると Ti-Ag化合物を十分に
形成できないおそれがある。予備熱処理温度の上限は、
具体的には 1050Kとすることが好ましい。
【0031】この予備熱処理は、真空気密容器を作製す
る際の脱ガス熱処理と共通して行うことができる。ま
た、予備熱処理の保持時間は、 Ti-Ag化合物の生成に関
しては30分〜 5時間程度とすればよいが、脱ガス熱処理
と共通して行う場合には、その条件に応じて行えばよ
い。
【0032】この後、 Ag-Cuろう材の溶融温度以上で、
かつ当該温度から100K高い温度以内の温度まで昇温し
て、ろう材を溶融してセラミックス部材と金属部材とを
接合する。予備熱処理時の真空条件や接合熱処理時の条
件は、前述した第1の製造方法と同様とすることが好ま
しい。
【0033】上述した第2のセラミックス−金属接合体
の製造方法によれば、接合(封着)前に脱ガス熱処理等
の高温・長時間の固相熱処理を行ったとしても、これは
予備熱処理に相当し、接合に悪影響を及ぼす Cu-Ti化合
物の生成が防止されて、 Ti-Ag化合物が生成される。そ
して、この Ti-Ag化合物によって、十分なTi活量が得ら
れるため、セラミックス部材と金属部材とを安定かつ良
好に接合することが可能となる。また、接合熱処理後に
は、微細で接合性や気密性に優れるろう材層が得られる
ため、健全な接合体(封着体)を得ることができる。
【0034】ところで、被接合部材を炉内に設置する際
に、接合面に傾き等があると溶融金属が低い方へ流れて
偏りを起こす可能性がある。特に、金属部材の面積がセ
ラミックス部材の接合面より小さい場合には、ろう材流
れが不十分となるおそれがある。このような場合には、
第1および第2の製造方法のいずれにおいても、接合材
中のCu層の一部を接合面と同程度の面積を有する拡散バ
リア層として、接合中も固相として存在させればよく、
このCu層とセラミックス部材との間隙にろう材液相が保
持されるため、欠陥がなく全面が均一に接合された良好
な封着を行うことができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0036】実施例1 まず、厚さ 0.2mmのCu板の両面に、Ag層を約40μm の厚
さでめっきし、さらに一方のAg層上にTi層を厚さ 3μm
で蒸着して接合材とした。一方、被接合部材として、直
径30mm、厚さ 5mmのアルミナ部材と同形状のSUS304部材
とを準備した。上述したアルミナ部材とSUS304部材との
間に、上記した接合材をTi層がアルミナ部材と当接する
ように配置し、これらを 2.5×10-4Paの真空中にて、昇
温速度10K/minで 1013Kまで昇温し、この状態で 2時間
保持して Ti-Ag化合物を形成した。続いて、昇温速度 1
0K/minで 1058Kまで加熱し、この温度で 5分間保持し
て、アルミナ部材とSUS304部材との接合を行った。
【0037】一方、本発明との比較例1として、厚さ 2
00μm の平板状のTi-Ag-Cu合金ろう材を接合材として用
い、これを同サイズのアルミナ部材とSUS304部材との間
に配置し、上記実施例1と同一条件で熱処理を行って、
アルミナ部材とSUS304部材とを接合した。
【0038】これら実施例1および比較例1により得た
各セラミックス−金属接合体の状態を観察した。その結
果、実施例1による接合体では良好な接合がなされてい
た。また、接合部の断面を観察したところ、図2に模式
的に示すように、接合層11内のアルミナ部材12との
界面側にTi偏析層11aが形成されており、またろう材
層12自体も微細な共晶組織を有していた。図中13は
SUS304部材である。
【0039】一方、比較例1による接合体では、ろう材
がまだ完全には溶融しておらず、ろう材が簡単にアルミ
ナ部材から剥離した。また、接合部の断面を観察したと
ころ、図3に模式的に示すように、接合層11中に Cu-
Ti化合物14が存在しているのが確認された。ろう材1
5自体は粗大な二相組織であり、Ti偏析層は形成されて
いなかった。
【0040】実施例2 実施例1と同様にして作製した接合材に対して、予め
2.5×10-4Paの真空中にて973K× 2時間の条件で熱処理
を施した。この熱処理後の接合材の状態を確認したとこ
ろ、Ti層には Ti-Ag化合物が生成した。
【0041】この Ti-Ag化合物を含むTi層を有する接合
材を、実施例1と同サイズのアルミナ部材とSUS304部材
との間に Ti-Ag化合物を含むTi層がアルミナ部材と接す
るように配置し、 2.5×10-4Paの真空中にて昇温速度 1
0K/ min で 1058Kまで加熱し、この温度で 5分間保持し
て、アルミナ部材とSUS304部材との接合を行った。
【0042】このようにして得た接合体の状態を観察し
たところ、実施例1と同様に、良好な接合がなされてい
た。また、接合部の組織も実施例1と同様であった。
【0043】実施例3 外径49mm、内径41mm、厚さ0.2mm のCuからなるリングの
両面に、Ag層を厚さ約40μm でめっきし、さらに一方の
Ag層上にTi層を 3μm の厚さで蒸着して接合材とした。
【0044】次に、外径50mm、内径40mm、高さ60mmのア
ルミナ製円筒容器を準備し、両端の接合面上に上記接合
材を、Ti層がアルミナ製円筒容器と接するように配置
し、次いで SUS304L製のエッジシールタイプの端板を配
置した。これらを 2.5×10-4Paの真空中で、昇温速度 1
0K/minで973Kまで昇温し、この温度で 2時間保持して、
Ti-Ag化合物の形成と容器内部の焼き出しを同時に行っ
た。続いて、昇温速度10K/minで 1083Kまで昇温し、こ
の温度で20分間保持して真空気密容器を作製した。
【0045】一方、本発明との比較例2として、外径49
mm、内径41mm、厚さ0.2mm のTi-Ag-Cu合金ろう材を接合
材として用いる以外は、上記実施例3と同様にして真空
気密容器を作製した。
【0046】これら実施例3および比較例2により作製
した各真空気密容器の状態を観察した。その結果、実施
例3による真空気密容器は、図5に模式的に示すよう
に、封着部21のろう材22の流れが良好で、十分な脚
長が形成されていた。図5中の23は、拡散バリアとし
て固相状態を維持させたCu中間層であり、このCu中間層
23とアルミナ容器24との間には、アルミナ容器24
との界面側にTi偏析層25が形成されており、またろう
材26自体も微細な共晶組織を有していた。図中27は
SUS304L製のエッジシール型端板である。また、実施例
3による真空気密容器ではリークは認められず、さらに
引張り試験を行ったところ、 1000kgfの強度を示した。
【0047】一方、比較例2による真空気密容器では、
図6に模式的に示すように、ろう材28が完全には溶融
しておらず、表面は梨肌状で、一部脚長の形成されてい
ない領域も見られた。ろう材28の断面組織を観察した
ところ、微細な共晶組織がほとんど認められず、 Cu-Ti
化合物を含む粗大な組織であり、Ti偏析層も形成されて
いなかった。また、比較例2による真空気密容器ではリ
ークが明らかに認められ、さらに引張り試験を行ったと
ころ 300kgf で界面から剥離した。
【0048】実施例4 外径49mm、内径41mm、厚さ0.15mmのCuからなるリングの
両面に、Ag層を厚さ約30μm でめっきし、さらに一方の
Ag層上にTiAg化合物層を 5μm の厚さでスパッタ成膜し
て接合材とした。
【0049】次に、外径50mm、内径40mm、高さ60mmのア
ルミナ製円筒容器を準備し、両端の接合面上に上記接合
材を、TiAg化合物層がアルミナ製円筒容器と接するよう
に配置し、次いで SUS304L製の封止金具を配置した。こ
れらを 2.5×10-4Paの真空中で、昇温速度 10K/minで 1
103Kまで昇温し、この温度で20分間保持して、アルミナ
製円筒容器と SUS304L製封止金具とを封着した。
【0050】一方、本発明との比較例3として、外径49
mm、内径41mm、厚さ0.2mm のCuリングの両面に、Ag層を
厚さ約30μm でめっきし、さらに一方のAg層上にTi層を
3μm の厚さでスパッタ成膜した接合材を、上記実施例
4と同様に、アルミナ製円筒容器と SUS304L製封止金具
との間に配置し、 Ti-Ag化合物を形成させる熱処理を行
うことなく、直接昇温速度 10K/minで 1103Kまで昇温
し、この温度で20分間保持して、アルミナ製円筒容器と
SUS304L製封止金具とを封着した。
【0051】これら実施例4および比較例3による封着
部を観察したところ、実施例4による封着部の表面は、
通常の Ag-Cuろう材と同じであったが、比較例3による
封着部の表面にはTi酸化物の黒色皮膜が部分的に形成し
ていた。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のセラミッ
クス接合材によれば、高温・長時間の固相熱処理を行っ
た場合においても、活性金属ろう材中の構成元素の接合
に悪影響を及ぼす反応を抑制することができ、良好な接
合状態を実現することが可能となる。そして、このよう
なセラミックス接合材を用いた本発明の第1のセラミッ
クス−金属接合体の製造方法によれば、高温・長時間の
固相熱処理を行う場合においても、良好な接合状態を安
定して得ることができる。また、第2のセラミックス−
金属接合体の製造方法によっても、同様に良好な接合状
態を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるセラミックス接合
材の構成を示す断面図である。
【図2】 実施例1によるセラミックス−金属接合体の
接合部の断面観察結果を模式的に示す図である。
【図3】 比較例1によるセラミックス−金属接合体の
接合部の断面観察結果を模式的に示す図である。
【図4】 実施例3による真空気密容器の封着部の断面
観察結果を模式的に示す図である。
【図5】 比較例2による真空気密容器の封着部の断面
観察結果を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1……積層体 2、4……Ag層 3……Cu層 5…… Ti-Ag化合物を含むTi含有層 11……接合層 11a…Ti偏析層 11b…ろう材層 12……アルミナ部材 13……SUS304部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中橋 昌子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平6−227871(JP,A) 特開 平7−10644(JP,A) 特開 昭61−82993(JP,A) 特開 平8−245275(JP,A) 特開 昭59−232693(JP,A) 特開 昭62−187594(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 37/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ag層、Cu層およびAg層が順に積層された
    積層体と、前記積層体の少なくとも一方の表面に形成さ
    れた少なくとも Ti-Ag化合物を含むTi含有層とを具備す
    ることを特徴とするセラミックス接合材。
  2. 【請求項2】 セラミックス部材と金属部材との間に、
    請求項1記載のセラミックス接合材を前記Ti含有層が前
    記セラミックス部材と当接するように配置し、これらを
    真空中にて前記接合材の溶融温度以上の温度で熱処理し
    て、前記セラミックス部材と金属部材とを接合すること
    を特徴とするセラミックス−金属接合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 セラミックス部材と金属部材との間に、
    Ag層、Cu層、Ag層およびTi層が順に積層された接合材
    を、前記Ti層が前記セラミックス部材と当接するように
    配置し、これらを真空中にて一旦673K以上で前記接合材
    の溶融温度未満の温度で保持した後、前記接合材の溶融
    温度以上の温度に昇温して熱処理し、前記セラミックス
    部材と金属部材とを接合することを特徴とするセラミッ
    クス−金属接合体の製造方法。
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