JP3413780B2 - 共重合ポリエステル - Google Patents
共重合ポリエステルInfo
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Description
性や機械的特性が優れた共重合ポリエステルに関するも
のであり、繊維、フィルム、飲用ボトルなどに広く利用
される。
(PET)に代表される芳香族ポリエステルは物理的性
質に優れているため、繊維、フィルム、飲用ボトルなど
に広く使用されている。一方、ポリエチレン2,6ナフ
タレート(PEN)に代表されるナフタレート系ポリエ
ステルはPETよりさらに高い物性や耐熱性を有するた
めPETでは使用困難な製品への応用が期待されるが、
可燃性でありその製品用途によっては使用に制限を受け
るという欠点を有している。これらの欠点をなくすため
芳香族ポリエステルに各種の燐化合物を共重合する方法
が特公昭53−13479号、特公昭55−41610
号、特公昭58−53093号などによって提案されて
いる。しかしながらPENにこれらの燐化合物を共重合
した場合、結晶性が著しく阻害されるという欠点があ
り、寸法安定性や耐熱性が悪くなるため製品用途に限界
があった。
善されたナフタレート系芳香族ポリエステル類のこの様
な欠点を克服し、優れた難燃性と結晶化特性、機械特性
をあわせ持つ共重合ポリエステルを得ることを課題とす
るものである。
解決するため、鋭意研究の結果、遂に本発明を完成する
に至った。すなわち本発明は、主としてナフタレンジカ
ルボン酸残基とエチレングリコール残基とから形成され
るエチレンナフタレートを繰り返し単位とするポリエス
テルにおいて、下記一般式化3で示される燐化合物を2
〜10モル%、および下記一般式化4で示されるグリコ
ールを0.1〜10モル%共重合成分として有し、かつ
極限粘度が0.3以上である共重合ポリエステルであ
る。
R2 、R3 は同じかまたは異なる基であって、それぞれ
ハロゲン原子、炭素原子数、1ー10の炭化水素基、R
1 より選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を表
す。またn1 は1または2、n2 、n3 はそれぞれ0〜
4の整数を表す)
炭化水素基、側鎖を有する脂肪族炭化水素基及び脂肪族
環を有する炭化水素基、m、nは同一または異なる整数
で3≦m+n<10を表す)
80モル%以上は2,6ナフタレンジカルボン酸または
そのエステル形成性誘導体をジカルボン酸成分とし、エ
チレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体をグ
リコール成分として得られるものである。また本発明で
は少なくとも2モル%以上、好ましくは3モル以上の前
記一般式化3で示される燐化合物またはそのエステル形
成性誘導体を用いる。一般に、難燃性の観点からは少な
くとも3モル%は必要であるがPENの場合ナフタレン
骨格がPETのテレフタル酸骨格よりも剛直であるため
少量の共重合成分で結晶性が著しく阻害される。そのた
め熱安定性や寸法安定性、機械的特性に劣り、機能性を
発現させるだけの機能性モノマーの共重合はPENにお
いては限界があった。
機能性を損なわず、PENの結晶性を改善することを目
的として、上記一般式化3で示される燐化合物とPEN
の共重合において、一般式化4で示されるグリコール成
分を0.1〜10モル%、好ましくは1〜10モル%共
重合することを特徴をするものである。式中、R4 は炭
素原子数2〜20の二価の直鎖脂肪族炭化水素基、側鎖
を有する脂肪族炭化水素基及び脂肪族環を有する炭化水
素基、m、nは同一または異なる整数で3≦m+n<1
0を表す。前記R4 として具体的には、−(CH2 )6
−、−(CH2)10−などの直鎖脂肪族炭化水素基、2
−メチルプロピル基、1ーメチルプロピル基、ネオペン
チル基などの側鎖を有する脂肪族炭化水素基、あるいは
シクロヘキシル基などの脂肪族環を有する炭化水素基な
どが挙げられ、そのなかで側鎖を有する脂肪族炭化水素
基が好ましく、特にネオペンチル基が最も好ましい。
グリコールは、共重合ポリエステルを得る際、重縮合反
応中に留出することが無いため、生成されるポリエステ
ル中の含有量が一定に制御され、品質の安定した製品が
得られる。また得られたポリエステルの難燃性は極めて
大きく、結晶性も優れている。なお一般式化4で示され
るグリコールの合成法としては、それぞれHO−R4 −
OHで示されるグリコール例えば、ネオペンチルグリコ
ール、プロピレングリコールなどに常法によってエチレ
ンオキサイドを付加して合成することが出来る。またプ
ロピレンオキサイドなどのその他のアルキレンオキサイ
ドを付加して合成したグリコール類も本発明の効果を損
なわない範囲で併用してもよい。
HO−R4 −OHで示されるグリコールやm+nの平均
値が3よりも小さい変性グリコールの場合には前記留出
の問題とともに得られたポリエステルの融点の低下とい
う欠点が有り、またm+nが10を超える場合には耐光
性の低下といった問題が発生し実用性に欠けるので好ま
しくない。好ましい範囲は3〜6である。
と一般式化4で示されるグリコール成分を共重合したP
ENを基本とするが、共重合ポリエステルの品質を落と
さない範囲で、前記成分以外に5−金属スルホイソフタ
ル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸異性体、ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジ
カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、グルタル
酸、アジピン酸、アゼライン酸、などの脂肪族ジカルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体、パラオキシ安息
香酸のようなオキシカルボン酸またはそのエステル形成
性誘導体などを共重合成分として少量使用することが出
来る。
を示すためには前記一般式化3で示される燐化合物を共
重合ポリエステル中の燐原子含有量が500〜5000
0ppmとなるように共重合するのが好ましい。一般式
化3中R1 は一価のエステル形成性官能基であり具体的
にはカルボキシル基、カルボキシル基の炭素原子数が1
〜6のアルキルエステル、シクロアルキルエステル、ア
リールエステル、ヒドロキシル基、炭素原子数2〜7の
ヒドロキシアルコキシカルボニル基および酸無水物の形
になっていてもよい。またR2 、R3 は、塩素原子、臭
素原子などのハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキ
ル基、シクロアルキル基、アリール基及び上記したR1
より選ばれ、一方Aとしてメチレン、エチレン、1,2
プロピレン、1,3プロピレン、などの低級アルキレン
基、もしくは1,3ーフェニレン、1,4ーフェニレン
などのアリーレン基、などが挙げられる。具体的には下
記一般式化5および化6で示されるような燐化合物が挙
げられる。
ロ−9ホスファ−10オキサフェナンスレン−9オキシ
ドとイタコン酸との反応により合成できる。
ては、ジカルボン酸エステルとグリコールとをエステル
交換反応した後重縮合する方法、ジカルボン酸とグリコ
ールとをエステル化反応した後重縮合する方法等、通常
のポリエステル製造方法に従って得ることが可能であ
る。なお、前記ジカルボン酸として2,6ナフタレンジ
カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と一般式化3
で示される燐化合物またはそのエステル形成性誘導体と
を用いる場合、これらを同時に反応させてもよいし、こ
れらのジカルボン酸は別々にグリコール成分と反応させ
ておいて重縮合反応段階で両者を混合してもよい。これ
らの反応を促進する触媒としては通常ポリエステル製造
に使用されている触媒であり、例えばナトリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、
ゲルマニウム、チタンなどの金属化合物が用いられる。
また本発明共重合ポリエステルを得る際に用いられる触
媒、つや消し剤や安定剤などの添加剤についての制限は
なく、得られたポリエステルの成型は公知の方法によっ
て行われ紡糸、製膜、成型される。
難燃性を発現させることは知られているが、本発明者等
はPENに難燃性に機能を発現させるだけの量を共重合
すると結晶化特性が著しく阻害されるという欠点を見出
し、その欠点を解消したものである。本発明共重合ポリ
エステルが優れた結晶化特性をもつ理由としては、共重
合成分として用いられる化4で示されるグリコールが、
その柔軟な分子構造により結晶化に必要な分子鎖の再配
列を容易にして結晶化を高めるものと考えられる。つま
り、PENの場合、PETのテレフタル酸にくらべて剛
直なナフタレン環を有するため、少量の共重合により結
晶化にともなう分子鎖の再配列が阻害され、非晶になり
やすいものと思われる。
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。なおポリマー特性の評価方法は下記に従った。 a極限粘度:ポリマーを0.4g/dlの濃度でフェノ
ール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=3/2混
合溶液に溶解し,30℃において測定した。 bポリマーの結晶性:示差走査型熱量計(島津TA−5
0)を用いアルゴン雰囲気下300℃でポリマーを溶融
し、この溶融ポリマーを10℃/分で降温した時の結晶
化温度で判断した。 c難燃性:45度コイル法(JISLー1091D)に
従い、共重合ポリエステルを常法により、紡糸延伸して
得た糸をメリヤス編みとして、その1gを長さ10cm
の針金コイルに入れ、45度の角度に保持し、下端から
点火し、消火した場合は再度点火を繰り返し、全試料を
燃焼するに要する点火の回数で示した。
チルエステル485重量部、エチレングリコール295
重量部、触媒として酢酸マンガン0.03モル%および
三酸化アンチモンを0.02モル%(2,6ジカルボキ
シナフタレンジメチルエステルに対して)加え、エチレ
ングリコールとのエステル交換反応を160〜230℃
で行なった。理論量のメタノールが析出した時点で酢酸
マンガンに対し1.2倍モル量のトリメチルフォスフェ
ートを加えた。次に235℃に保持し、前記化6に示す
燐化合物を36重量部(共重合PEN中5モル%)、化
7に示すグリコール(平均的にm+n=6)を13重量
部加えた。
285℃に上げながら、減圧し、最終的に0.1mmH
gまで減圧し、同温度で40分重合して共重合ポリエス
テルを得、ストランドとして取り出した。得られた共重
合ポリエステルの極限粘度は0.41、DSCによる融
点は258℃、降温結晶化温度は193℃であった。ま
た比色法による燐含有量は約5000ppm、難燃性の
尺度である点火回数は4〜5回であり良好な難燃性を示
した。
合物、化7で示されるグリコール成分(表中ではG成分
と表示)の量を表1に示すように変えて、それぞれ重合
を行ない、結晶化温度(表中、NDは検出されないこと
を示す)および難燃性の評価を行なった。その結果を表
1に併記する。
ない比較例1では、難燃性は良好であったものの結晶性
が悪く、また比較例2、3の様に燐化合物が少ないと難
燃性が悪く、多すぎると結晶性が阻害されることが判
る。なお本発明の実施例である実施例1、2に示すよう
に特定の燐及びグリコール成分を特定量共重合したポリ
エステルは、難燃性と結晶性とを両立させることが可能
になっていることが判る。つまり、本発明は特定のグリ
コール、燐化合物をPENに共重合することにより、従
来、結晶性が著しく阻害され寸法安定性や耐熱性が悪く
なるため製品用途に限界があったPENに難燃性ととも
に結晶性を付与することが可能になり、本発明共重合ポ
リエステルより、繊維、フィルム、その他の成型品を製
造することができ、特に難燃性と結晶性を兼ね備えてい
ることから、従来では展開できなかったような工業用途
の繊維、フィルムとして利用できるので、産業界に寄与
すること大である。
Claims (3)
- 【請求項1】 主としてナフタレンジカルボン酸残基と
エチレングリコール残基とから形成されるエチレンナフ
タレートを繰り返し単位とするポリエステルにおいて、
下記一般式化1で示される燐化合物を2〜10モル%、
および下記一般式化2で示されるグリコールを0.1〜
10モル%共重合成分として有し、かつ極限粘度が0.
3以上である共重合ポリエステル。 【化1】 (式中、R1 は一価のエステル形成性官能基でありR
2 、R3 は同じかまたは異なる基であって、それぞれハ
ロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、R1 よ
り選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を表す。ま
たn1 は1または2、n2 、n3 はそれぞれ0〜4の整
数を表す) 【化2】 (式中、R4 は炭素原子数2〜20の二価の直鎖脂肪族
炭化水素基、側鎖を有する脂肪族炭化水素基及び脂肪族
環を有する炭化水素基、m、nは同一または異なる整数
であり、3≦m+n<10を表す) - 【請求項2】 m+nが3〜6の範囲内であることを特
徴とする請求項1記載の共重合ポリエステル。 - 【請求項3】 R4がネオペンチル基であることを特徴
とする請求項1又は2記載の共重合ポリエステル。
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