JP3412476B2 - ポリカーボネートの製造法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造法

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JP3412476B2 JP26200297A JP26200297A JP3412476B2 JP 3412476 B2 JP3412476 B2 JP 3412476B2 JP 26200297 A JP26200297 A JP 26200297A JP 26200297 A JP26200297 A JP 26200297A JP 3412476 B2 JP3412476 B2 JP 3412476B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1工程におい
て、まず、ジフェニルオキサレート(DPO)等のジア
リールオキサレートを脱CO触媒の存在下に脱CO反応
させて、ジフェニルカーボネート(DPC)等のジアリ
ールカーボネートを生成させ、次いで、脱CO反応で得
られた反応液を分離・精製して、ジアリールオキサレー
トの含有率が2000ppm以下である高純度の精製ジ
アリールカーボネートを得て、第2工程において、精製
ジアリールカーボネートと多価ヒドロキシ化合物とを縮
重合(溶融重合)反応させてポリカーボネートを製造す
る工業的に全く新規な製造プロセスによるポリカーボネ
ートの製造法に関する。
【0002】ポリカーボネートは、機械的強度、透明
性、電気特性などにおいて優れているので、コンパクト
ディスクなどの電気・電子材料製品、有機ガラス、光学
レンズなどの工業材料製品として有用である極めて重要
なポリマーである。
【0003】
【従来の技術】従来、ポリカーボネートの製造法として
は、種々の公知の方法で得られたジフェニルカーボネー
ト(DPC)等のジアリールカーボネートとビスフェノ
ール系化合物等の多価ヒドロキシ化合物とを、触媒の存
在下に縮重合(溶融重合)することによって得る方法が
多数の先行技術として知られている。
【0004】ジフェニルカーボネート(DPC)等のジ
アリールカーボネートの製造法としては、公知の方法で
得られたジアルキルカーボネートからエステル交換反応
により製造する方法や、ホスゲンとフェノール化合物と
からジアリールカーボネートを直接生成させる方法や、
その他の種々の製造法が提案されていたが、それらの方
法は、ジアリールカーボネート中に種々の不純物を含有
していたり、生産性が充分でなかったり、製造及び/又
は精製工程が複雑であったりすることなどから、必ずし
も工業的に満足すべき製法ではなかった。
【0005】即ち、特公昭58−50977号公報に記
載されている代表的なホスゲン法によるジアリールカー
ボネートの製造法では、猛毒のホスゲンを使用するので
その毒性が極めて問題であった。また、得られるジアリ
ールカーボネート中にハロゲン化合物の不純物がかなり
の含有量比で混入しており、ジアリールカーボネートか
らそのハロゲン化合物の不純物を除去することが極めて
困難なことがあり、ポリカーボネートの製造に使用した
場合に重合度、透明度等において問題が生じることがあ
った。
【0006】非ホスゲン法として代表的な公知のジフェ
ニルカーボネートの製法としては、ジアルキルカーボネ
ートとフェノール化合物をエステル交換反応させてジア
リールカーボネートを得る方法(特開平3−29125
7号公報及び特開平4−211038号公報を参照)、
或いは、アルキルアリールカーボネートの不均化反応に
よりジアリールカーボネートとジアルキルカーボネート
を製造する方法(特開平4−9358号公報を参照)な
どが知られていた。
【0007】しかし、ジアルキルカーボネートのエステ
ル交換による製造法では、エステル交換反応が中間体と
してアルキルアリールカーボネートを経由する2段階の
平衡反応であり、そして、ジアリールカーボネートが生
成する反応の速度が遅いという問題がある。これらの点
を改良するために、種々の特殊な触媒や、複雑な製造工
程及び製造装置が種々提案されていた。(特開平4−2
35951号公報及び特開平4−224547号公報を
参照)
【0008】また、前記のアルキルアリールカーボネー
トの不均化による製造法は、アルキルアリールカーボネ
ートがエステル交換反応における中間生成物であり、他
の生成物と原料とを含有するエステル交換反応の混合液
(反応液)からアルキルアリールカーボネートのみを単
離することが極めて困難であり、また、アルキルアリー
ルカーボネート自体を工業的に生産し入手することも極
めて困難であるので、工業的な製造法として満足できる
ものではなかった。
【0009】即ち、ジアリールカーボネートの製造法と
しては、従来から、ジメチルカーボネート等のジアルキ
ルカーボネートとフェノール等のフェノール化合物とを
エステル交換反応させる方法が、非ホスゲン法の代表的
な例として工業化が期待されているが、実際には工業的
にかなり問題があったのである。
【0010】一方に、ジアリールオキサレートの脱CO
反応については、『有機合成化学、5、報47(194
8)』における「ジカルボン酸ジフェニルエステルの熱
分解について(第2報)」において、ジフェニルオキサ
レートを高温で熱分解してジフェニルカーボネートを得
たとの報告がある。
【0011】そして、アメリカ特許第4,544,50
7号明細書には、オキサレートを溶媒中でアルコラート
触媒の存在下に50〜150℃の温度に加熱することに
よってカーボネートを製造する方法が開示されている
が、前記のオキサレートとしてジフェニルオキサレート
を用いた場合に主生成物がジフェニルオキサレートであ
った(ジフェニルカーボネートが生成したとの記載は無
い)との実施態様が示されているだけの状況であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来公
知のホスゲン法又は非ホスゲン法によるジアリールカー
ボネートの製造法における問題点を解決することができ
る新規な方法により、不純物の少ないジアリールカーボ
ネートを得て、そのジアリールカーボネートを用いてポ
リカーボネートを製造する方法について鋭意研究した結
果、ジアリールオキサレートを脱CO触媒の存在下に脱
CO反応させることによって不純物の少ないジフェニル
カーボネート等のジアリールカーボネートを工業的に容
易に得ることができ、さらに、そのジアリールカーボネ
ートから縮重合反応によってポリカーボネートを容易に
得ることができることを見出して、本発明を完成した。
本発明の製造法は、非ホスゲン法でジフェニルカーボネ
ート等のジアリールカーボネートを工業的に製造し、そ
して、そのジアリールカーボネートからポリカーボネー
トを得るというポリカーボネートの製造プロセスを初め
て提供するものである。
【0013】
【問題点を解決する手段】本発明は、第1工程におい
て、(i)脱CO反応工程で、ジアリールオキサレート
を脱CO触媒の存在下に脱CO反応させてジアリールカ
ーボネートを生成させ、次いで、(ii)分離・精製工程
で、前記脱CO反応工程から得られた脱CO反応液を用
いて、ジアリールカーボネートを分離・精製し、ジアリ
ールオキサレートの含有率が2000ppm以下であ
り、ジアリールカーボネートの含有率が95重量%以上
である精製ジアリールカーボネートを得て、第2工程に
おいて、その精製ジアリールカーボネートと多価ヒドロ
キシ化合物とを縮重合反応させて、ポリカーボネートを
製造することを特徴とするポリカーボネートの製造法に
関する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳しく説明す
る。本発明は、概略、図1に示すように、ジアリールオ
キサレートの脱CO反応によりジアリールカーボネート
を生成させ、次いでその脱CO反応液を用いてジアリー
ルカーボネートを分離・精製して精製ジアリールカーボ
ネートを得る第1工程、及び、その精製ジアリールカー
ボネートを用いてポリカーボネートを製造する第2工程
からなるプロセスに係わるものである。
【0015】本発明において使用するジアリールオキサ
レートは、公知の方法で得ることができ、例えば、シュ
ウ酸とフェノール化合物とをエステル化触媒の存在下に
有機溶剤中で100〜130℃に加熱して直接エステル
化反応させてジアリールオキサレートを製造する方法
(特公昭52−43826号公報を参照)、ジアルキル
オキサレートとジアリールカーボネートとを反応させて
ジアリールオキサレートを製造する方法(特公昭56−
8019号公報及び特開昭49−42621号公報を参
照)、或いは、ジアルキルオキサレートと低級脂肪酸ア
リールエステルとをエステル交換反応させてジアリール
オキサレートを製造する方法(特公昭56−2541号
公報及び特公昭57−47658号公報を参照)が知ら
れていた。
【0016】ジアリールオキサレートは、ジアルキルオ
キサレートとフェノール化合物とを反応させて製造する
こともでき、例えば、ジアルキルオキサレート(ジメチ
ルオキサレート等)とフェノール化合物(フェノール
等)とを、エステル交換触媒の存在下、生成する低級ア
ルコール(メタノール等)を反応系外へ除去しながら反
応させて、ジアリールオキサレート(ジフェニルオキサ
レート等)を生成させて分離・精製することによって得
ることもできる。
【0017】前記のジアリールオキサレートの製造は、
例えば、ジアルキルオキサレート(a)とフェノール化
合物(b)とを、次に示す反応式(1)及び(2)に従
ってエステル交換反応させ、アルキルアリールオキサレ
ート(c−1)及びジアリールオキサレート(c−2)
および低級アルコール(d)を主として生成させ、そし
て、アルキルアリールオキサレート(d−1)を反応式
(3)で示すように不均化反応させて、ジアルキルオキ
サレート(c−2)及びジアリールオキサレート(a)
を主として生成させることによって製造するのである。
それらの反応は液相で行われることが好ましく、そして
いずれも平衡反応である。
【0018】
【化1】
【0019】反応式(1)、(2)及び(3)におい
て、Rは前述と同様の炭素数1〜6のアルキル基を示
し、Arは、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基
のような種々の置換基を有してもよいフェニル基であ
る。前記の炭素数1〜6のアルキル基は、メチル基、エ
チル基、プロピル基及びブチル基などから選ぶことがで
き、前記の炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メト
キシ基、エトキシ基、プロパキシ基、ブトキシ基などを
好適に挙げることができる。
【0020】前記のジアリールオキサレートの製造にお
いては、反応式(1)〜(3)の反応が全て起っている
けれども、主として反応式(1)のエステル交換反応に
よりアルキルアリールオキサレート(c−1)及び低級
アルコール(d)が生成し、次いで、主として反応式
(3)の不均化反応(エステル交換反応の1種である)
によりジアリールオキサレート(c−2)とジアルキル
オキサレート(a)とが生成する反応が行われる。
【0021】本発明の第1工程の(i)脱CO反応工程
では、例えば、次に示す反応式(4)に従って、ジアリ
ールオキサレート(c−2)を、必要であれば、脱CO
触媒の存在下に、脱CO反応させることによって、ジア
リールカーボネート(e)及び一酸化炭素気体(COガ
ス)が併産されるのである。なお、反応式(4)におけ
るArは、反応式(1)〜(3)において既に説明した
Arと全く同じ内容である。
【0022】
【化2】
【0023】本発明の第1工程では、例えば、i)ジア
リールオキサレートを、有機リン系化合物などからなる
リン化合物系脱CO触媒の存在下に脱CO反応させて、
副生する一酸化炭素気体を反応系外へ排出しながら、ジ
アリールカーボネートを生成させ、ii)その反応混合物
(脱CO反応液)を用いて、蒸発及び/又は蒸留によ
り、触媒成分を含む反応液とジアリールカーボネートと
を分離すると共に、ジアリールカーボネートを回収及び
/又は精製するのである。
【0024】前記の脱CO反応に使用する触媒として
は、ジアリールオキサレートの脱CO反応を比較的低温
(約100〜350℃)で行うことができ、ジアリール
カーボネートを高い選択率(特に60〜100モル%)
で得ることができるような触媒が好ましく、例えば、少
なくとも1個の炭素−リン結合を有する有機リン系化合
物などを脱CO触媒として使用することができる。この
ような有機リン系化合物としては、一般式(w)〜
(z)で示されるホスフィン系化合物(w)、ホスフィ
ンオキシド系化合物(x)、ホスフィンジハライド系化
合物(y)、及びホスホニウム塩系化合物(z)から選
択された少なくとも一種の有機リン系化合物を好適に挙
げることができる。
【0025】
【化3】
【0026】〔式中、R1 〜R13は、水素原子、炭素数
1〜16のアルキル基、炭素数6〜20のフェニル基、
ナフチル基等のアリール基、及び炭素数7〜25のアラ
ルキル基から選ばれた少なくとも一種の置換基を示し、
Xは対イオンを形成しうる原子又は原子団を示し、Y1
及びY2 は独立して塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等
のハロゲン原子をそれぞれ示す。化合物(w)〜(z)
は少なくとも1つが水素原子以外の前述の基を有してい
る。〕
【0027】前記のアリール基及びアラルキル基は、そ
の芳香環を形成している炭素と直接に結合する置換基と
して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン
原子、ニトロ基、炭素数1〜20のアルキル基、及び炭
素数1〜15のアルコキシ基から選ばれた少なくとも1
個の置換基が結合されていてもよい。
【0028】前記のR1 〜R13の置換基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基等
のアルキル基や、フェニル基、ナフチル基、メチルフェ
ニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エト
キシフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル
基、メチルナフチル基、メトキシナフチル基、クロロナ
フチル基等のアリール基や、ベンジル基、フェネチル
基、p−メチルベンジル基、p−メトキシベンジル基、
p−メチルフェネチル基等のアラルキル基を挙げること
ができる。
【0029】前記の有機リン系化合物(w)〜(z)と
しては、それぞれが有する各置換基(R1 〜R13)の全
てがアリール基であることが好ましいが、前記の有機リ
ン系化合物の置換基の1〜2個(特に2個)がアリール
基であり、残部がアルキル基又はアラルキル基であって
もよい。
【0030】一般式(w)のR1 〜R3 の全てがアリー
ル基であるホスフィン系化合物としては、例えば、トリ
フェニルホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホ
スフィン、トリス(4−トリル)ホスフィン、α−ナフ
チル(フェニル)−4−メトキシフェニルホスフィンな
どを好適に挙げることができる。一般式(w)のR1
3 の2個がアリール基であるホスフィン系化合物とし
ては、例えば、メチルジフェニルホスフィン、フェニル
(p−メトキシフェニル)メチルホスフィンなどを挙げ
ることができる。
【0031】一般式(x)のR4 〜R6 の全てがアリー
ル基であるホスフィンオキシド系化合物としては、例え
ば、トリフェニルホスフィンオキシド、トリス(4−ク
ロロフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(4−トリ
ル)ホスフィンオキシド、α−ナフチル(フェニル)−
4−メトキシフェニルホスフィンオキシドを好適に挙げ
ることができる。一般式(x)のR4 〜R6 の2個がア
リール基であるホスフィンオキシド系化合物としては、
例えば、メチルジフェニルホスフィンオキシド、フェニ
ル(p−メトキシフェニル)メチルホスフィンオキシ
ド、フェニル(p−メトキシフェニル)メチルホスフィ
ンオキシドなどを挙げることができる。
【0032】一般式(y)のR7 〜R9 の全てがアリー
ル基であるホスフィンジハライド系化合物としては、例
えば、トリフェニルホスフィンジクロライド、トリフェ
ニルホスフィンジブロマイド、トリフェニルホスフィン
ジヨーダイドなどを挙げることができる。
【0033】前記のホスホニウム塩(z)としては、一
般式(z)のR10〜R13の全てがアリール基であって、
しかも、対イオンX- がハロゲンイオン、脂肪族カルボ
ン酸イオン、フルオロボレートなどであるホスホニウム
塩が好適であるが、一般式(z)のR10〜R13の1〜3
個、特に2〜3個がアリール基であって、残部がアラル
キル基又はアルキル基であり、更に、対イオンX- がハ
ロゲンイオン、脂肪族カルボン酸イオン、フルオロボレ
ートなどであるものであってもよい。
【0034】前記の一般式(z)で示されるR10〜R13
が全てアリール基であるホスホニウム塩(z)として
は、例えば、テトラフェニルホスホニウムクロライド、
テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニ
ルホスホニウムヨーダイド、4−クロロフェニルトリフ
ェニルホスホニウムクロライド、4−クロロフェニルト
リフェニルホスホニウムブロマイド、4−クロロフェニ
ルトリフェニルホスホニウムヨーダイド、4−エトキシ
フェニルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−エ
トキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、
4−エトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヨーダ
イド、4−メチルフェニルトリフェニルホスホニウムク
ロライド、4−メチルフェニルトリフェニルホスホニウ
ムブロマイド、4−メチルフェニルトリフェニルホスホ
ニウムヨーダイド、9−フルオレニルフェニルトリフェ
ニルホスホニウムクロライド、9−フルオレニルフェニ
ルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の『対イオン
- がハロゲンイオンであるホスホニウム塩』や、テト
ラフェニルホスホニウムアセテート、4−クロロフェニ
ルトリフェニルホスホニウムアセテート、4−エトキシ
フェニルトリフェニルホスホニウムアセテート、4−メ
チルフェニルトリフェニルホスホニウムアセテート等の
『対イオンX- が脂肪族カルボン酸イオンであるホスホ
ウニウム塩』や、テトラフェニルホスホニウムフルオロ
ボレート、4−クロロフェニルトリフェニルホスホニウ
ムフルオロボレート、4−エトキシフェニルトリフェニ
ルホスホニウムフルオロボレート、4−メチルフェニル
トリフェニルホスホニウムフルオロボレート等の『対イ
オンX- がフルオロボレートであるホスホニウム塩』を
挙げることができる。
【0035】前記の脱CO反応触媒は有機リン系化合物
単独であっても、また二種以上の混合物であってもよ
い。また、それらの触媒は反応液中で均一に溶解及び/
又は懸濁されていてもよい。第1工程において使用され
る脱CO触媒の量はジアリールオキサレートに対して
0.001〜50モル%、特に0.01〜20モル%程
度であることが好ましい。
【0036】前記の有機リン系化合物からなる有機リン
化合物系脱CO反応触媒には、アルミニウムのハロゲン
化物(塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等)、白金
族金属のハロゲン化物(塩化白金酸、塩化ルテニウム、
塩化パラジウム等)、リンのハロゲン化物、硫黄のハロ
ゲン化物などの無機ハロゲン化物、及び、ハロゲン化炭
化水素(ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル
等)、ハロゲン置換脂肪族カルボン酸などの有機ハロゲ
ン化物から選ばれる少なくとも1種のハロゲン化合物が
助触媒成分として併用されていてもよい。その場合、併
用される助触媒の量は、有機リン系化合物に対して0.
01〜150倍モル、特に0.1〜100倍モル程度で
あることが好ましい。
【0037】前記の第1工程における脱CO反応では、
ジアリールオキサレートと有機リン系化合物を主成分と
する脱CO触媒とを脱CO反応装置に供給して、反応温
度100〜450℃、特に160〜400℃、更には1
80〜350℃で、発生する一酸化炭素気体(COガ
ス)を除去しながら、ジアリールオキサレートを脱CO
反応させることによってジアリールカーボネートを生成
させることが好ましい。この場合、反応圧力は減圧、常
圧又は加圧下のいずれであってもよく特に制限されない
が、例えば、10mmHg〜10kg/cm2 の範囲で
あればよい。前記の脱CO反応は液相反応で行うことが
好ましく、又、その脱CO反応においては特別の溶媒を
必要としないが、必要に応じて非プロトン性の極性溶媒
を併用してもよい。
【0038】第1工程における反応装置は、ジアリール
オキサレートを、必要であれば脱CO触媒の存在下に、
脱CO反応させ、COガスと共にジアリールカーボネー
トを生成させることができるものであれば、どのような
形式の反応装置でも使用することができる。その第1工
程の反応装置(反応器)としては、例えば、1槽又は多
槽式の完全混合型反応器(攪拌槽)、多管式熱交換式の
管型反応器、塔型反応器などを挙げることができる。な
お、反応器の材質は、脱CO反応における充分な耐熱性
があれば特に制限されるものではないが、例えば、ガラ
ス(ライニングも含む)、ステンレス鋼(SUS)、ア
ルミニウム合金、ニッケル合金、ジルコニウム、タンタ
ル等が使用される。
【0039】第1工程の脱CO反応で得られる反応液
(脱CO反応液)には、未反応のジアリールオキサレー
トや脱CO触媒が含有されているので、この反応液から
ジアリールカーボネートを分離・精製するには、蒸発
器、薄膜蒸発器などの蒸発装置で触媒を分離し、蒸発成
分をある程度の理論段数(特に5〜50段)を有する充
填塔、棚段塔などの蒸留装置を用いて蒸留する一般的な
方法を用いることが好ましい。
【0040】第1工程における脱CO反応液を用いてジ
アリールカーボネートの分離・精製を行う工程は、例え
ば、図2に示すように、未反応のジアリールオキサレー
ト、ジアリールカーボネート、その他の有機成分、脱C
O触媒成分を含有する脱CO反応液を、脱CO反応装置
の底部から抜き出して多段蒸留塔60等の蒸留装置に供
給して、脱CO反応液中の触媒成分が高濃度で含まれる
触媒残留液(缶液61)の一部をライン66から抜き出
して回収すると共に、一方、前記の脱CO反応液が蒸留
精製されて塔頂から抜き出される蒸気をクーラー64
冷却して蒸留留分としてライン63から抜き出すことに
より、高い濃度でありかつ不純物が少ない精製ジアリー
ルカーボネートを得ることができる。
【0041】本発明の第1工程の(ii)分離・精製工程
においては、図3に示すように、脱CO反応液を蒸発器
70などの蒸発装置へ供給して処理して、触媒成分が高
濃度で含まれる触媒残留液71の一部をライン72から
抜き出して回収すると共に、脱CO反応液からジアリー
ルカーボネート等の大部分を蒸発させてその蒸気をクー
ラー73で冷却して蒸発留分として回収して、ライン
から次の分離・精製装置へ供給するのである。ジアリ
ールカーボネート等を含有する蒸発留分の分離・精製
は、図3に示すように、ある程度の理論段数(特に5〜
50段)を有する多段蒸留塔80などの蒸留装置を用い
て一般的に用いられる蒸留法により行われる。そして、
純度の高い精製ジアリールカーボネートを得ることがで
きる。
【0042】前記の(ii)分離・精製工程から得られ
る、触媒成分が高濃度で含まれる『蒸発器70の触媒残
留液71(図3)』又は『多段蒸留塔60の触媒残留液
である缶液61(図2)』は、それぞれライン75又は
65経由で、必要であれば触媒の再活性化を行って、脱
CO反応装置へ供給して脱CO触媒として再使用するこ
とができる。また、前記の脱CO反応において反応装置
から抜き出された一酸化炭素気体(COガス)は高い純
度を有するので、種々の化学合成反応に再利用すること
ができる。
【0043】前記のようにして得られる精製ジアリール
カーボネートは、有機不純物の含有率がジアリールオキ
サレートについて2000ppm以下、好ましくは10
00ppm以下、更に好ましくは500ppm以下であ
って、ジアリールカーボネートの含有率が95重量%以
上、好ましくは98重量%以上、更に好ましくは99重
量%以上であることが必要である。
【0044】前記の精製ジアリールカーボネートは、有
機不純物の含有率が、1)ジアリールオキサレートの含
有率が1000ppm以下であると共に、2)パラクロ
ロ安息香酸フェニルエステルの含有率が200ppm以
下であることが好ましく、更には、1)ジアリールオキ
サレートについて1000ppm以下、特に500pp
m以下、2)パラクロロ安息香酸フェニルエステルにつ
いて200ppm以下、特に100ppm以下、3)安
息香酸フェニルエステルについて200ppm以下、特
に100ppm以下、及び、4)サリチル酸フェニルエ
ステルについて200ppm以下、特に100ppm以
下であることが好適である。
【0045】本発明においては、前記の精製ジアリール
カーボネート中の有機不純物の含有率が、1)ジアリー
ルオキサレートについて200ppm以下、特に100
ppm以下、更には50ppm以下、2)パラクロロ安
息香酸フェニルエステルについて50ppm以下、特に
5ppm以下、3)安息香酸フェニルエステルについて
50ppm以下、特に5ppm以下、及び、4)サリチ
ル酸フェニルエステルについて50ppm以下、特に5
ppm以下であることが第2工程の縮重合反応において
最適である。
【0046】なお、前記の精製ジアリールカーボネート
は、無機系不純物を実質的に含有しないことが好まし
く、例えば、鉄、ニッケルなどの第VIII族金属成分の合
計含有率、クロム成分の合計含有率、ナトリウム、カリ
ウムなどのアルカリ金属成分の合計含有率、更にリン系
化合物の合計含有率が、それぞれ1ppm以下、特に5
00ppb以下であることが縮重合反応において好適で
ある。
【0047】本発明において、第2工程では、第1工程
で得られた精製ジアリールカーボネートと多価ヒドロキ
シ化合物とを縮重合反応させて副生成物であるフェノー
ル化合物を分離・回収しながらポリカーボネートを製造
するのである。
【0048】前記の多価ヒドロキシ化合物は、芳香族系
化合物の芳香環に複数(特に2個)のヒドロキシ基が直
接に結合している芳香族系多価ヒドロキシ化合物を主成
分とするものである。特に、多価ヒドロキシ化合物が全
て芳香族2価ヒドロキシ化合物であるものか、多価ヒド
ロキシ化合物の全使用量に対して60モル%以上、特に
80〜100モル%の芳香族2価ヒドロキシ化合物が配
合されているものであってもよい。このような多価ヒド
ロキシ化合物としては、例えば、多価ヒドロキシ化合物
の全量が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパンであるか、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンが80〜100モル%、好ましくは90〜
100モル%の割合で配合されている多価ヒドロキシ化
合物が挙げられる。
【0049】また、前記の多価ヒドロキシ化合物として
は、ヒドロキシ基を2個以上有する脂肪族炭化水素系多
価ヒドロキシ化合物(例えば、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオー
ルなどの脂肪族ジオール化合物)が前述の芳香族系多価
ヒドロキシ化合物と共に一部併用されていてもよい。
【0050】前記の芳香族系多価ヒドロキシ化合物とし
て、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−t−ブチルフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3
−ブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシア
リール)アルカン類や〔以上の化合物をビスフェノール
系化合物とも言う〕、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメ
チルジフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエ
ーテル類や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジ
フェニルスルフィドなどのジヒドロキシアリールスルフ
ィド類や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキ
シド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジ
フェニルスルホキシドなどのジヒドロキシアリールスル
ホキシド類や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジ
フェニルスルホンなどのジヒドロキシアリールスルホン
類などが挙げられる。
【0051】また、前記のジアリールカーボネートとし
ては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリールカ
ーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ビ
ス(m-クレジル)カーボネート、ジナフチルカーボネー
ト等を挙げることができる。これらの内では、炭素数が
13〜20であるジアリールカーボネートが好ましく、
特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0052】また、これらのジアリールカーボネート
は、ジカルボン酸エステル類を含有していてもよい。こ
のようなジカルボン酸エステル類としては、例えば、テ
レフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニルなどの
芳香族系カルボン酸ジエステル類を挙げることができ
る。本発明において、ジアリールカーボネートと前述の
ジカルボン酸エステルとを併用した場合には、ポリエス
テルカーボネートが得られるが、本発明ではポリカーボ
ネートとしてこのポリエステルカーボネートが製造され
てもよい。
【0053】本発明の第2工程では、ポリカーボネート
を製造するに際して、上記のようなジアリールカーボネ
ートは、多価ヒドロキシ化合物(2価ヒドロキシ化合
物、特に芳香族系2価ヒドロキシ化合物)1モルに対し
て、1.001〜1.5モル、特に1.01〜1.3モ
ルの量で用いられることが好ましい。また、前記の第3
工程において、前記のジアリールカーボネートと多価ヒ
ドキシ化合物の他に、適当な重合調節剤、末端変性剤、
モノフェノール類などが併用されてもよい。
【0054】本発明の第2工程においては、ジアリール
カーボネートと多価ヒドロキシ化合物とを、適当な塩基
性触媒(例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の
有機酸塩、無機酸塩、水酸化物、水素化物、アルコラー
ト、或いは、含窒素塩基性化合物など)の存在下に、約
100〜330℃の温度で、副生するフェノール化合物
を蒸発させて除去しながら、そして、次第に重合温度を
上昇させ減圧度を高めながら、1段又は2段以上で溶融
重合してポリカーボネートを製造することが好ましい。
【0055】前記の塩基性触媒としては、例えば、
(1)アルキル、アリール、アラルキル基などを有する
アンモニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルア
ンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒ
ドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等)、三
級アミン類(例えば、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン
等)、二級アミン類、一級アミン類、テトラメチルアン
モニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウム
ボロハイドライドなどの含窒素塩基性化合物、(2)水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど
のアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、
リン酸二水素カリウム、リン酸二水素リチウム、亜リン
酸二水素カリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、リン酸
水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素
二リチウムなどのアルカリ金属の無機酸塩、酢酸ナトリ
ウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナト
リウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属の有機
酸塩、水酸化ホウ素ナトリウムなどのアルカリ金属の水
素化物、フェノールのナトリウム塩などのアルカリ金属
のアルコラート、(3)水酸化カルシウム、水酸化バリ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウムなど
のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素カルシウム、
炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロン
チウムなどのアルカリ土類金属の無機酸塩、酢酸カルシ
ウム、酢酸バリウム、ステアリン酸バリウム、ステアリ
ン酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の有機酸塩な
どの単独又は複数を組み合わせた触媒を挙げることがで
きる。
【0056】前記の塩基性触媒はホウ酸又はホウ酸エス
テルなどと併用することができる。そのホウ酸エステル
としては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ
酸トリブチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリフェニ
ル、ホウ酸トリトリルなどを挙げることができる。
【0057】本発明の第2工程では、前記の塩基性触媒
の使用量は、縮重合反応に使用する多価ヒドロキシ化合
物(特に芳香族系2価ヒドロキシ化合物)1モルに対し
て10-8〜10-1モル、特に10-7〜10-2モルである
ことが好ましい。
【0058】本発明の第2工程における縮重合反応は、
従来知られているポリカーボネートの製造法における重
縮合反応条件と同様な条件下で行うことができ、特に、
第1段目で、多価ヒドロキシ化合物(特に芳香族系2価
ヒドロキシ化合物)とジアリールカーボネートとの縮重
合反応を、80〜250℃、特に100〜230℃、更
には150〜200℃の温度で、0.01〜5時間、特
に0.0〜4時間、更には0.25〜3時間、常圧付近
又は減圧下で行い、次いで、第2段目の縮重合反応を、
第1段目より反応温度及び減圧度をさらに高めて行い、
最終的には1mmHg以下の減圧下、240〜320℃
の温度で行うことが好ましい。
【0059】上記の縮重合反応は連続式で行ってもよ
く、またバッチ式で行ってもよい。また、上記の縮重合
反応において用いられる反応装置は、槽型反応装置であ
っても、管状反応装置(特に第2段目の縮重合ではセル
フクリーニング型反応装置がよい)であっても、塔型反
応装置であってもよい。そして、本発明の第2工程で
は、前述の縮重合反応において副生するフェノール化合
物を蒸発させて分離し、その分離されたフェノール化合
物を精製装置(例えば、蒸発装置、蒸留装置など)によ
って精製して、精製フェノール化合物を得ることができ
る。
【0060】本発明で得られたポリカーボネートは、前
述の第1工程で得られた、縮重合に影響する不純物が少
ない精製ジアリールカーボネートを使用して縮重合して
得られたものであることが特徴的である。本発明では、
他のポリカーボネートの製造法と同じような溶融重合等
の重合条件を採用することができ、その公知の縮重合法
(溶融重合法)で得られた一般的なポリカーボネートと
同様の高い分子量(10000〜80000)を達成す
ることができると共に、その他のポリマー物性について
も一般的なポリカーボネートと同様の高いレベルを達成
することができる。また、そのポリカーボネートは着色
が殆どないものである。本発明で得られたポリカーボネ
ートは工業的に利用価値の高いものである。
【0061】
【実施例】本発明の実施例を以下に示す。なお、反応液
などの分析はガスクロマトグラフィーにより行った。 実施例1 〔第1工程:ジフェニルカーボネートの製造〕ジフェニ
ルオキサレートを用いて、以下のようにジフェニルカー
ボネートを製造した。ジフェニルオキサレートにテトラ
フェニルホスホニウムクロライドを1モル%加え、15
0℃に加熱して溶解した。この液を、温度計、攪拌機及
びオーバーフロー管を備えた内容積1リットルのガラス
製反応器2個を直列に連結した反応器に、定量ポンプを
用いて300ミリリットル/hrで供給すると共に、2
個の反応器をマントルヒーターで加熱して230℃に保
持してジフェニルオキサレートの脱CO反応を行った。
なお、各反応器のオーバーフロー位置は600ミリリッ
トルとした。
【0062】原料の供給開始から20時間後、第2反応
器のオーバーフロー液(脱CO反応液)の組成は、ジフ
ェニルオキサレート14.6重量%、ジフェニルカーボ
ネート84.0重量%、フェノール0.08重量%であ
り、その抜き出し量は約270ミリリットル/hrであ
った。また、各反応器から発生するガスの組成は一酸化
炭素約100%であり、その一酸化炭素の回収量の合計
は25リットル(標準状態)/hrであった。
【0063】この脱CO反応で得られた反応液を、図3
の分離・精製工程に示すように、回転薄膜式蒸発器に、
20mmHgの減圧下、250ミリリットル/hrで供
給すると共に、該蒸発器を熱媒で200℃に加熱して触
媒のテトラフェニルホスホニウムクロライドを分離し
た。得られた留出液(組成:ジフェニルカーボネート9
2.2重量%、ジフェニルオキサレート7.7重量%)
を、ガラス製の多段蒸留塔に供給して連続的に蒸留し
(塔頂圧力:20torr、還流比:5)、純度99.
9%の精製ジフェニルカーボネートを約220ミリリッ
トル/hrで得た。
【0064】前記の精製ジフェニルカーボネートは、ジ
フェニルオキサレート(DPO)が10ppm以下、パ
ラクロロ安息香酸フェニル(PPCB)が5ppm以
下、安息香酸フェニル(PB)が5ppm以下、更にサ
リチル酸フェニル(PS)が5ppm以下であった。ま
た、前記の精製ジフェニルカーボネートは、鉄、ニッケ
ルなどのVIII族金属成分の合計含有率、クロム成分の合
計含有率、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属成
分の合計含有率、リン系成分の合計含有率がそれぞれ1
ppm以下であった。
【0065】〔第2工程:ポリカーボネートの製造(A
法)〕ビスフェノールA400gを、トルエン800ミ
リリットル及びエタノール36ミリリットル(容量比:
22/1)の混合溶媒から再結晶して、ビスフェノール
Aの精製品を得た。ジフェニルカーボネートは前記のよ
うにして得られたものをそのまま使用した。また、リン
酸二水素カリウム(純度:99.99%)0.6815
gをイオン交換水50ミリリットルに溶解させて、濃
度:0.1モル/リットルの重合触媒溶液(pH:4.
35)を調製した。
【0066】ステンレス製(SUS316L製)の10
0ミリリットル反応器に、ビスフェノールA(精製品)
22.83g(0.1モル)、ジフェニルカーボネート
22.71g(0.106モル)、及び0.1モル/リ
ットルの重合触媒溶液0.03ミリリットル(ビスフェ
ノールAに対してK金属として5ppm)を加えて、室
温で反応器内の真空脱気を0.5時間行い、次いで窒素
ガスを導入して反応系を常圧に戻した後、反応器を加熱
して縮重合反応を行わせた。即ち、200℃で10分
間、そして230℃で10分間加熱した後、230℃で
減圧を始め、230℃、100torrでフェノールの
留出が始まって1時間、次いで240℃、100tor
rで0.5時間、更に255℃において、100tor
rで10分間維持し、そして100torrから50t
orrまで15分で減圧しその状態で15分間維持して
縮重合反応させ、更に270℃において、50torr
から0.1torrまで30分間で減圧しその状態で1
時間維持して縮重合反応させた。その結果、ポリカーボ
ネート25.44g(収率:100%)を得た。上記の
縮重合反応において、合計で約17.5ミリリットルの
フェノールが反応系から回収された。
【0067】得られたポリカーボネートは、その対数粘
度(単位:dl/g、濃度:0.5g/100ミリリッ
トル、溶媒:CHCl3 、測定温度:30℃)が0.4
97dl/gであり、その重量平均分子量(ポリスチレ
ン換算法)が53000であった。また、ポリカーボネ
ートは目視によりほぼ無色であった。
【0068】実施例2 〔第1工程:ジフェニルカーボネートの製造〕実施例1
と同様にして、脱CO反応を24時間行って、図2に示
すように、直ちに多段蒸留塔を用いて触媒の分離と蒸留
精製を行い、純度99.8%の精製ジフェニルカーボネ
ートを約220ミリリットル/hrで得た。前記の精製
ジフェニルカーボネートは、ジフェニルオキサレート
(DPO)が20ppm以下、パラクロロ安息香酸フェ
ニル(PPCB)が5ppm以下、安息香酸フェニル
(PB)が5ppm以下、更にサリチル酸フェニル(P
S)が5ppm以下であった。また、前記の精製ジフェ
ニルカーボネートは、鉄、ニッケルなどのVIII族金属成
分の合計含有率、クロム成分の合計含有率、ナトリウ
ム、カリウムなどのアルカリ金属成分の合計含有率、リ
ン系成分の合計含有率がそれぞれ1ppm以下であっ
た。
【0069】〔第2工程:ポリカーボネートの製造(A
法)〕前述のようにして得られたジフェニルカーボネー
トをそのまま使用したほかは、実施例1と同様にしてポ
リカーボネートを得た。得られたポリカーボネートは、
その対数粘度(濃度:0.5g/100ミリリットル、
溶媒:CHCl3 、測定温度:30℃)が0.497d
l/gであり、その重量平均分子量(ポリスチレン換算
法)が53000であった。また、ポリカーボネートは
目視によりほぼ無色であった。
【0070】実施例3 〔第1工程:ジフェニルカーボネートの製造〕実施例1
と同様にして、脱CO反応を24時間行って、図3に示
すように、直ちに多段蒸留塔を用いて蒸留精製を行い、
純度99.9%の精製ジフェニルカーボネートを約22
0ミリリットル/hrで得た。その精製ジフェニルカー
ボネートは前述の各不純物の含有量について実施例1と
実質的に同じ程度の値を示した。
【0071】〔第2工程:ポリカーボネートの製造(B
法)〕槽型反応装器(ニッケル金属系合金張り)に、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン約2
0モル、上記の第2工程で得られたジフェニルカーボネ
ート21モル、及びリン酸二水素カリウム(純度:9
9.99%)0.1モル/リットル溶液6ミリリットル
を加え、窒素下160℃で融解後、1時間攪拌し、徐々
に減圧しながら昇温させた。そして、最終的に1tor
r、270℃で4時間縮重合反応させ、副生するフェノ
ールを蒸発させて回収しながらポリカーボネートプレポ
リマーを生成させ、最後に縦型二軸セルフクリーニング
型反応器で270℃、0.1torrで50分間反応さ
せることにより、無色透明なポリカーボネート(分子
量:約55000)を押し出した。
【0072】上記の縮重合反応において、反応系から回
収されたフェノールは約3760gであった。この回収
フェノールから通常の蒸留操作により得られた精製フェ
ノールは有機化合物系不純物(合計量)が10ppm以
下のものであり、実質的に他の成分を含有していない高
純度のものであった。
【0073】
【発明の効果】本発明は、第1工程で、ジアリールオキ
サレートの脱CO反応によってジアリールカーボネート
を生成させ、その脱CO反応液の分離・精製によって、
不純物の少ない高濃度の精製ジアリールカーボネート
(ジアリールオキサレートの含有率:2000ppm以
下、ジアリール炭酸エステルの含有率:95重量%以
上)を得て、続いて、第2工程で、その精製ジアリール
カーボネートを使用して、多価ヒドロキシ化合物と縮重
合反応させることにより、高い分子量であり着色の少な
いポリカーボネートを工業的に容易に製造することがで
きる新規なポリカーボネートの製造プロセスを提供する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロセスを概略示す図である。
【図2】本発明の第1工程の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1工程の一例を示す図である。
【符号の説明】58 :脱CO反応液の供給ライン70 :蒸発器71 :触媒残留液72 :触媒残留液の抜き出しライン73 :冷却器(クーラー)74 :蒸発留分の供給ライン65、75 :触媒循環ライン60、80 :多段蒸留塔61、81 :缶液62、82 :棚段63、83 :ジアリールカーボネートの抜き出しライン64、84 :冷却器(クーラー)67、85 :触媒循環ライン66 :触媒残留液の抜き出しライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩谷 陽則 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部 興産株式会社 高分子研究所内 (72)発明者 鷲尾 勝利 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部 興産株式会社 高分子研究内 (56)参考文献 特開 平10−59905(JP,A) 特開 平8−59815(JP,A) 特開 平6−179744(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 69/96 C08G 64/00 - 64/42

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1工程において、(i)脱CO反応工
    程で、ジアリールオキサレートを脱CO触媒の存在下に
    脱CO反応させてジアリールカーボネートを生成させ、
    次いで、(ii)分離・精製工程で、前記脱CO反応工程
    から得られた脱CO反応液を用いて、ジアリールカーボ
    ネートを分離・精製し、ジアリールオキサレートの含有
    率が2000ppm以下であり、ジアリールカーボネー
    トの含有率が95重量%以上である精製ジアリールカー
    ボネートを得て、 続いて、第2工程において、その精製ジアリールカーボ
    ネートと多価ヒドロキシ化合物とを縮重合反応させて、
    ポリカーボネートを製造することを特徴とするポリカー
    ボネートの製造法。
  2. 【請求項2】 第1工程の(i)脱CO反応工程で、リ
    ン化合物系脱CO触媒の存在下、液相で脱CO反応を行
    う請求項1記載のポリカーボネートの製造法。
  3. 【請求項3】 第1工程の(ii)分離・精製工程で、
    (i)脱CO反応工程から得られた脱CO反応液を蒸留
    精製して、精製ジアリールカーボネートを得る請求項1
    記載のポリカーボネートの製造法。
  4. 【請求項4】 第2工程の縮重合反応を溶融重合によっ
    て行う請求項1記載のポリカーボネートの製造法。
  5. 【請求項5】 第2工程の縮重合反応を塩基性触媒の存
    在下で行う請求項1記載のポリカーボネートの製造法。
  6. 【請求項6】 第1工程の(ii)分離・精製工程で、ジ
    アリールオキサレートの含有率が1000ppm以下で
    あり、ジアリールカーボネートの含有率が98重量%以
    上である精製ジアリールカーボネートを得る請求項1記
    載のポリカーボネートの製造法。
  7. 【請求項7】 第1工程において、(i)脱CO反応工
    程で、ジアリールオキサレートをリン化合物系脱CO触
    媒の存在下に副生成物の一酸化炭素を除去しながら脱C
    O反応させて、ジアリールカーボネートを生成させ、次
    いで、(ii)分離・精製工程で、前記脱CO反応工程か
    ら得られた脱CO反応液を用いて、ジアリールカーボネ
    ートを蒸留精製して、ジアリールオキサレートの含有率
    が1000ppm以下であり、ジアリールカーボネート
    の含有率が98重量%以上である精製ジアリールカーボ
    ネートを得て、続いて、第2工程において、その精製ジ
    アリールカーボネートと多価ヒドロキシ化合物とを塩基
    性触媒の存在下に副生物のフェノール化合物を除去しな
    がら溶融重合してポリカーボネートを製造することを特
    徴とするポリカーボネートの製造法。
  8. 【請求項8】 第1工程の(ii)分離・精製工程で、ジ
    アリールオキサレートの含有率が500ppm以下であ
    り、ジアリールカーボネートの含有率が99重量%以上
    である精製ジアリールカーボネートを得る請求項1又は
    7記載のポリカーボネートの製造法。
  9. 【請求項9】 第1工程の(ii)分離・精製工程で、
    1)ジアリールオキサレートの含有率が1000ppm
    以下であると共に、2)パラクロロ安息香酸フェニルエ
    ステルの含有率が200ppm以下である精製ジアリー
    ルカーボネートを得る請求項1又は7記載のポリカーボ
    ネートの製造法。
  10. 【請求項10】 第1工程の(ii)分離・精製工程で、
    1)ジアリールオキサレートの含有率が1000ppm
    以下、2)パラクロロ安息香酸フェニルエステルの含有
    率が200ppm以下、3)安息香酸フェニルエステル
    の含有率が200ppm以下、及び、4)サリチル酸フ
    ェニルエステルの含有率が200ppm以下である精製
    ジアリールカーボネートを得る請求項1又は7記載のポ
    リカーボネートの製造法。
  11. 【請求項11】 第1工程の(ii)分離・精製工程で、
    1)ジアリールオキサレートの含有率が500ppm以
    下、2)パラクロロ安息香酸フェニルエステルの含有率
    が100ppm以下、3)安息香酸フェニルエステルの
    含有率が100ppm以下、及び、4)サリチル酸フェ
    ニルエステルの含有率が100ppm以下である精製ジ
    アリールカーボネートを得る請求項1又は7記載のポリ
    カーボネートの製造法。
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