JP3411100B2 - フィルター用支持板の製造方法およびその方法により製造されたフィルター用支持板 - Google Patents

フィルター用支持板の製造方法およびその方法により製造されたフィルター用支持板

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JP3411100B2 JP19233394A JP19233394A JP3411100B2 JP 3411100 B2 JP3411100 B2 JP 3411100B2 JP 19233394 A JP19233394 A JP 19233394A JP 19233394 A JP19233394 A JP 19233394A JP 3411100 B2 JP3411100 B2 JP 3411100B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィルター用支持板
製造方法およびその方法により製造されたフィルター用
支持板に関し、とくに、耐圧強度が高くかつポリマーミ
キシング効果にも優れたフィルター用支持板の製造方法
およびその方法により製造されたフィルター用支持板
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えばポリマー濾過用フィル
ターとして、円板状のフィルターが知られており、いわ
ゆるリーフディスク形フィルターと呼ばれるものや、リ
テーナの上下に円板状フィルター部材を積層して一つの
フィルターエレメントを組立てる3層タイプのもの等が
知られている。このようなフィルターは、濾過の容量
(濾過すべき溶融ポリマーの流量)に応じた枚数だけ、
積層されて使用されることが多い。
【0003】従来の代表的なフィルターの構造として、
例えば図13に示すようなものが知られている。図13
は、リーフディスク形フィルター101の内周側の一部
を示しており、例えば金網からなるリテーナ102の両
側に多孔板(例えばパンチングメタル)からなる濾材支
持体103を介して濾材104が設けられている。フィ
ルター101の内周にはハブリング105が設けられて
おり、ハブリング105には、周方向に沿って多数の小
孔106が穿設されている。フィルター101の両面側
から濾材104に流入し、濾材104によって濾過され
た溶融ポリマー107は、矢印で示すようにリテーナ1
02部からハブリング105の小孔106を通して中央
部に集められ、次の工程へと送られる。
【0004】フィルター101が複数枚積層される場合
には、円筒状支柱108に所定枚数のフィルター101
が嵌め込まれて積層され、ハブリング105部分を基準
に各フィルター101の濾材104間の間隔が決められ
る。積層された各フィルター101のハブリング105
は、上方または下方から、濾過前後のポリマーをシール
するに足る圧力、例えば総締上力にて5〜10トン程度
の大きな圧力で締め上げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来構造
においては、以下のような問題が残されている。まず、
リテーナ102は、所定のフィルター形態を保つため
に、および、リテーナ102部におけるフィルター径方
向のポリマー流路を確保するために、とくにその厚み方
向変形に対して、通常、最大耐圧強度200kg/cm
2 程度あるいはそれ以上の圧力に耐え得るだけの強度が
要求され、金網タイプのリテーナ102であっても、こ
のような高い耐圧強度を満足させることはできている。
しかし、金網タイプのリテーナ102では、とくに、以
下に述べるような圧力損失と滞留に関する問題がある。
【0006】すなわち、金網タイプのリテーナ102で
は、フィルターの周方向に波打ちながら延びるワイヤ
(通常、リテーナ102の厚みの1/2の径あるいはそ
れよりも若干大きめの径を有する)が、フィルター径方
向のポリマーの流れに対して大きな抵抗となるので、リ
テーナ102部分での圧力損失、ひいてはフィルター1
01全体の圧力損失を小さく抑えることが難しい。
【0007】さらに、リテーナ102部においては、ポ
リマーは主としてフィルター径方向に延びるワイヤに沿
ってフィルター内径側に向けて流れることになるが、こ
のフィルター径方向に延びるワイヤは、ポリマー通路を
形成するというよりはむしろ、ポリマー通路に対してデ
ッドボリュームを形成しているので、ポリマーの流れに
フィルター径方向の指向性が乏しく、かつ、円滑な流れ
状態が得られにくい。ポリマーが円滑に流れにくいとい
うことは、ポリマー同士が混合する機会に乏しいという
ことにもつながり、ポリマーミキシング効果(スタティ
ックミキサー効果とも言う。)が小さいという潜在的な
問題をもっている。また、ポリマーの滞留の問題が生じ
るおそれもある。フィルターの周方向に延びるワイヤに
ついても、ポリマー流れに対してデッドボリュームを形
成するので、同様の問題がある。
【0008】一方、ハブリング105の構造について
も、以下のような問題がある。すなわち、ハブリング1
05には、濾過後のポリマー通過用に多数の小孔106
が設けられているが、開口率が高々20%程度であり、
この小さな開口率がこの部位で大きな圧力損失を生じる
原因となっている。開口率を大きくするために、孔径を
大きくすることが考えられるが、前述の如き大きな締め
上げ力を考慮すれば、孔径の大きさには自づと限界が生
じる。
【0009】また、小孔穿設構造では、ポリマー流入側
からみれば、小孔106の周囲部分がポリマーの流れに
対して大きなデッドスペースを形成するおそれがある。
デッドスペースは、ポリマーに滞留を生じさせるが、滞
留はポリマーの劣化、さらにはその劣化ポリマーの流出
につながるので、極力防止されなければならない。
【0010】さらに、小孔106は、ハブリング105
にラジアル方向に穿設されなければならないので、加工
が比較的難しく加工に時間を要し、ハブリング105の
製作費用は比較的高いものになっている。
【0011】本発明の目的は、上記のような問題点に着
目し、耐圧強度が高く、かつ容易に低圧力損失形状に形
成でき、しかもポリマー流れに滞留等を生じさせること
なく望ましい方向への指向性を容易にもたせることがで
きるとともに、優れたポリマーミキシング効果の得られ
る、フィルターエレメント内層に設けられるリテーナに
適用して最適な、フィルター用支持板およびその製造方
法を提供することにある。
【0012】また、本発明の別の目的は、ポリマー通路
の開口率を大きくとることができ圧力損失の極めて低
い、かつ滞留が極めて生じにくい、しかも容易にかつ安
価に製作できるフィルター用ハブリングの構造を、上述
のフィルター用支持板と同時に実施することにより、一
層低圧力損失、高耐圧、高性能のフィルターを実現する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的に沿う本発明の
フィルター用支持板の製造方法は、円板状平板部材から
なる素材に、プレスにより、厚み方向に交互に波打ちか
つ実質的に周方向に延びる波形部を、複数条径方向に互
いに隣接させて、かつ、隣接する波形部がいずれかの部
位で元の素材により互いに接合された形態で成形するこ
とを特徴とする方法からなる。互いに隣接する波形部の
波形は、周方向に実質的に半ピッチずらして成形するこ
ともでき、1/3や1/4程度のピッチのずれをもって
成形することもできる。 この製造方法においては、上記
波形部を、円板状平板部材の、予め定めれた一定の円周
角領域にプレス成形し、続いて隣接する円周角領域に同
じパターンで波形部をプレス成形し、これを順次繰り返
して、円板状平板部材の実質的に全周にわたって波形部
をプレス成形することができる。あるいは、上記円板状
平板部材の径方向に複数条成形される波形部を、環状に
延び、互いに径の異なる複数の型を用いて順次プレス成
形することもできる。後者の方法においては、環状に延
びる波形部を、円板状平板部材の径方向に、1列づつプ
レス成形する型としてもよく、複数列づつプレス成形す
る型としてもよい。
【0014】上記方法により製造された本発明に係るフ
ィルター用支持板は、表層部に濾材を有する円板状フィ
ルターの内層部に設けられる支持板であって、フィルタ
ーの厚み方向に交互に波打ちかつ実質的にフィルターの
周方向に延びる波形部が、複数条フィルターの径方向に
互いに隣接して成形されている支持板が、上記の方法に
より製造されていることを特徴とするものからなる。こ
こで、互いに隣接する波形部の形成態様は特に限定され
ず、任意の形態を採ることができる。たとえば、互いに
隣接する波形部の波形が、フィルターの周方向に実質的
に半ピッチずれている形態としてもよく、1/3や1/
4程度のピッチのずれをもって隣接していてもよい。
た、上記波形部の波形のピッチとしては、波形部形成全
領域にわたって実質的に一定であってもよく、フィルタ
ーの外径側に形成される波形部と内径側に形成される波
形部とで互いに異なっていてもよい。例えば、フィルタ
ーの外径側に比べ内径側の方が、あるいは内径側にいく
程、波形部の波形のピッチが小さく、あるいはその逆に
大きくなるようにしてもよい。波形のピッチとしては、
特に限定されず、一つの波形部の幅、波形部のプレス成
形のやり易さ、波形部にプレス成形される素材としての
円板状平板部材の板厚およびその材質、等に応じて適当
に定めればよい。
【0015】例えば素材が板厚0.3〜1.2mmのス
テンレス鋼の場合、一つの波形の幅としては0.5〜
4.0mm、より好ましくは1.0〜3.0mm、波形
のピッチとしては2.0〜8.0mm、より好ましくは
3.0〜6.0mmの範囲内から選定すればよい。
【0016】この波形部の形成パターンについても、前
述の要件を満たす限り、任意に設定できる。例えば、上
記波形部が、予め定められた一定の円周角領域におい
て、実質的にフィルターの周方向に、フィルターの中心
に対して(つまり、フィルターの半径方向に対して)一
定の角度をなして直線状に延びており、その円周角領域
に隣接する円周角領域において、実質的にフィルターの
周方向に、フィルターの半径方向に対し上記一定の角度
と同一の角度をなして直線状に延びている構成を採るこ
とができる。
【0017】あるいは、上記波形部が、予め定められた
一定の円周角領域において、実質的にフィルターの周方
向に、フィルターの半径方向に対して一定の角度をなし
て直線状に延びており、その円周角領域に隣接する円周
角領域において、実質的にフィルターの周方向に、フィ
ルターの半径方向に対し上記一定の角度とは別の角度を
なして直線状に延びている構成とすることもできる。
【0018】さらに、上記複数条の波形部がフィルター
の周方向に同心円状に延びている構成、つまり、各波形
部が円状に延びている構成とすることもできる。
【0019】また、支持板としては、一体物の円板状部
材から構成することが好ましいが、フィルターの周方向
に分割された複数の部材から構成することも可能であ
る。
【0020】この支持板の材質としては、プレス成形可
能な金属であれば使用可能であるが、とくに、ステンレ
ス鋼が好ましい。ステンレス鋼からなる素材をプレス成
形することにより、成形した波形部に加工硬化を生じさ
せることができ、耐圧強度の一層の向上が可能となる。
また、防錆上からもステンレス鋼が望ましい。プレス成
形のみで、多少の残留応力があったとしても、波形部に
十分に高い耐圧強度をもたることが可能であるが、必要
に応じて一層高い耐圧強度を確保するために、プレス成
形後に低温焼鈍してもよい。ステンレス鋼の場合、低温
焼鈍の温度は410〜440℃程度が適当である。ま
た、強度向上のため、析出硬化型のステンレスを用いる
ことも可能である。
【0021】本発明に係るフィルター用支持板は、表層
部に濾材を有する円板状フィルターの内層部に設けら
れ、図13に示したような構造のリテーナに代わるリテ
ーナとして、あるいは濾材支持体兼リテーナとして用い
ることができる。
【0022】例えば、フィルターが、表層部に濾材、そ
の内層側に濾材支持体、最内層部にリテーナを有する構
成の場合、このリテーナを本発明に係る支持板から構成
すればよい。また、フィルターが表層部に濾材、内層部
に濾材支持体兼リテーナを有する構成の場合、この濾材
支持体兼リテーナを本発明に係る支持板から構成するこ
ともできる。
【0023】さらに、本発明に係るフィルター用支持板
は、ポリマー通路の開口率を大きくとることができ圧力
損失の極めて低い、かつ滞留が極めて生じにくい、しか
も容易にかつ安価に製作できる、特定のフィルター用ハ
ブリングの構造と併せ実施されることにより、一層低圧
力損失、高耐圧、高性能のフィルターを構成することが
可能となる。
【0024】すなわち、上述の如きフィルター用支持板
を備えた円板状フィルターであって、該円板状フィルタ
ーの内周および外周の少なくとも一方にハブリングが設
けられており、該ハブリングは、(a)間隔をもって対
向配置された、環状に延びる一対の帯状平板部材からな
る押え板と、(b)該一対の押え板間に介在された環状
に延びる部材からなり、該一対の押え板に対し実質的に
垂直方向に該一対の押え板間にわたって延びると同時に
ハブリング径方向に延びる支持片が多数ハブリング周方
向に互いに間隔をもって配設されているとともに、該多
数の支持片が接続された環状片を有する支持部材と、か
らなることを特徴とするフィルターである。
【0025】この支持部材は、前述の本発明に係る支持
板と一体物に構成することが可能である。但し、別体構
成として、両者を同時に実施してもよい。
【0026】
【0027】
【0028】
【作用】上記のような本発明に係る方法により製造され
フィルター用支持板においては、フィルターの厚み方
向に交互に波打ちながら実質的にフィルターの周方向に
延びる波形部が、複数条、フィルターの径方向に互いに
隣接するようにプレス成形されている。プレス成形であ
るから、隣接する波形部は、いずれかの部位で元の素材
により互いに接合されている。したがって、複数条の波
形部が互いに隣接配置されても、支持板としては、一枚
の板形態を保持する。波形部は、フィルターの厚み方向
に凹凸構造を有するものであり、凹凸構造を有する複数
条の波形部が互いに隣接配置されるから、互いに隣接す
る凹凸構造によってフィルターの径方向に流体通路が形
成される。
【0029】たとえば、互いに隣接する波形部の波形
が、フィルターの周方向に実質的に半ピッチ分ずれてい
る場合、ある波形部の波形における一面側への凸部の、
フィルター径方向の隣の位置には、隣接する波形部の波
形の凹部が位置することになり、ある波形部の波形の凹
部の隣には、隣接する波形部の波形の凸部が位置するこ
とになる。複数条の波形部をフィルターの径方向にみる
と、実質的に、各波形部の支持板一面側への凸部と凹部
が交互に位置することになる。その結果、互いに隣接す
る波形の凸部と凹部とにより、あたかもパイプ状の通路
が形成される状態となり、このパイプ状の通路は実質的
にフィルターの径方向に延設されるから、上記複数条の
波形部をプレス成形するだけで、フィルターの径方向に
放射状に延びる複数の流体通路が効率よく形成されるこ
とになる。
【0030】また、互いに隣接する波形部の波形が、フ
ィルターの周方向に1/3や1/4ピッチ分ずらして配
置されている場合、隣接する波形部の波形の凹部や凸部
が互いに周方向にオフセットした状態で流体通路が形成
される。このような構成にあっては、フィルターの径方
向に放射状に延びるように形成される流体通路は、複雑
に屈曲あるいは入り乱れるように形成されるので、極め
て優れた流体ミキシング効果が期待できる。
【0031】上記のような流体通路は、平板状素材に波
形の凹凸プレス成形を施すことにより成形されるもので
あるから、フィルター径方向への流体流れに対する障害
は、実質的に素材の板厚分のみとなる。したがって、従
来の金網構造のような大きな障害はなくなるので、フィ
ルター径方向流れに対する圧力損失は低く抑えられる。
【0032】また、互いに隣接配置される複数条の波形
部の凸部は、支持板の上下面側それぞれにおいて、あた
かも、千鳥状に配設されることになる。この千鳥状に配
設された凸部は、上下面に負荷される圧力に対し、極め
て高い耐力を発揮する。したがって、本発明に係るフィ
ルター用支持板は、極めて高い耐圧強度を発揮できる。
【0033】さらに、前述の如く形成されるフィルター
径方向に延びる流体通路は、互いに連通状態にあり、隣
接する流体通路間で流体は容易にかつ自由に出入りす
る。その結果、自然に、極めて優れたスタティックミキ
サー効果が得られ、均一に混合された流体がフィルター
径方向に流れ、集められることになる。
【0034】このような本発明に係るフィルター用支持
板を、フィルターエレメント内層に設けられるリテー
ナ、あるいは濾材支持体兼リテーナに適用することによ
り、ポリマーミキシング効果に優れた、低圧力損失、高
耐圧強度のフィルターが実現される。
【0035】また、前記特定のハブリングの構造を本発
明に係るフィルター用支持板に同時に適用することによ
り、一層高性能のフィルターが実現される。すなわち、
前記のようなフィルター用ハブリングにおいては、一対
の押え板間に、該一対の押え板に対し実質的に垂直方向
に延びる多数の支持片が介在することになり、互いに隣
接する支持片の間の空間が、径方向に延びる、濾過され
たポリマーの通路に形成される。この一対の押え板間の
上記多数の支持片が介在する部位においては、支持片以
外の部分は、全てポリマーの通路として機能する。した
がって、従来の小孔を設けるデッドスペースの大きな構
造に比べ、ポリマー通路の開口率が大幅に増大され、圧
力損失が大幅に低減される。
【0036】この支持片は、一対の押え板に対し実質的
に垂直方向に延びており、一対の押え板に加わる圧縮荷
重に対してつっかい棒(板)の機能を果たし、それらが
座屈を起こさない限り、たとえば単なるワイヤー状のも
のを波状に形成した部材等に比べ、極めて大きな耐圧縮
強度を発揮できる。一対の押え板間寸法は、通常それ程
大きくなく、高々5mm程度であるから、上記支持片に
は座屈は生じない。したがって、一対の押え板間に大き
な圧縮荷重が加わっても、つまり、複数のフィルターの
積層構成により積層された各ハブリングに大きな締め上
げ力が加わっても、変形することがなく、上記開口率の
大きなポリマー通路が問題なく所定形状に維持される。
【0037】このように、開口率を大きくとれることに
より、ハブリング部全体としての圧力損失が極めて小さ
く抑えられ、しかも、ハブリング内のポリマー流路にお
いて、ポリマーの滞留のおそれがある部位が無くなり、
濾過されたポリマーの全量が円滑にハブリング部を通過
できるようになる。
【0038】このハブリング部は、前述のフィルター用
支持板の内径側あるいは外径側に、該支持板と一体的に
形成可能なものであり、両者の構造を組み合わせること
により、一層高性能のフィルターの実現が可能となる。
【0039】さらに、上述のようなハブリング構造にお
いては、環状に延びる一対の帯状平板部材からなる押え
板と、支持片および環状片を備えた支持部材とを、それ
ぞれ別々に製作でき、押え板は勿論のこと、支持部材
も、後述の実施例に示す如く、環状の平板状部材に径方
向に延びる多数の切れ目を入れ、切れ目間部分を90度
捩じることにより、簡単に製作できる。また、各押え板
と支持部材とを溶接等により適当に接合すれば、これら
部材を一体物とでき、取扱い性に極めて優れたハブリン
グ部が製作される。このように、ハブリング部を構成す
る各部材のみならず、ハブリング部全体としても極めて
簡単に製作でき、短時間で大量生産が可能になるととも
に、製造費用も従来のものに比べ大幅に低減される。
【0040】
【実施例】以下に、本発明のフィルター用支持板の望ま
しい実施例を、その製造方法とともに、図面を参照して
説明する。図1ないし図3は、本発明の一実施例に係る
フィルター用支持板およびその支持板を用いたフィルタ
ーエレメントを示している。図1において、1はリーフ
ディスク形のフィルターエレメント全体を示している。
フィルターエレメント1は、その厚み方向中央部に配設
されたリテーナ2と、リテーナ2の両面側に配設された
濾材支持体としての多孔板3と、各多孔板3の外側にそ
れぞれ配設された濾材4と、フィルターエレメント1の
内周に配設されたハブリング5と、からなっている。フ
ィルターエレメント1が所定枚数積層される場合には、
各フィルターエレメント1間に所定のポリマー流路を確
保するために、本実施例では、各フィルターエレメント
1間に所定厚みの放射状に延びる部材からなるスペーサ
6が介装されている。濾過すべき溶融ポリマー7は、矢
印で示すように、濾材4で濾過された後、多孔板3、リ
テーナ2部を通過し、ハブリング5を通過した後中央の
支柱8内に集められ、次の工程へと送られる。なお、本
実施例ではスペーサ6を別部材として設けたが、ハブリ
ング5をスペーサの機能を有するものに構成してもよ
い。
【0041】本実施例においては、上記リテーナ2が、
本発明に係るフィルター用支持板として構成されてい
る。図2にリテーナ2(フィルター用支持板)のプレス
成形のパターン、図3に波形にプレス成形された支持板
2の部分拡大斜視図を示す。なお、図2において、黒く
塗りつぶした部分は、支持板2を一面側から見た場合に
凸状に湾曲突出した部分を示している。後述の図4〜図
6においても同様である。
【0042】波形部9のプレス成形は、次のように行わ
れている。すなわち、図3に示すように、フィルターの
厚み方向に交互に波打ちかつ実質的にフィルターの周方
向X−Xに延びる波形部9が、複数条、フィルターの径
方向Y−Yに互いに隣接して(つまり隣接接合された状
態で)プレス成形されている。そして、本実施例では、
互いに隣接する波形部9の波形が、フィルターの周方向
に実質的に半ピッチ分ずらされている。このピッチのず
れ分は特に限定されず、1/3ピッチ、1/4ピッチ
等、任意のずれ分に設定可能である。図3におけるP
は、波形の1ピッチ分を示している。
【0043】本実施例においては、図2に示すように、
複数条の波形部9はフィルターの中心O(支持板2の中
心でもある)に対して、つまり、フィルターの中心Oを
通るフィルターの半径方向に対しある一定の角度をなし
て、つまり、フィルターの中心Oに対してある一定の角
度をなして、実質的にフィルターの周方向に直線状に延
びている。但しこの直線状に延びる波形部9の角度は、
フィルターの中心Oに対して(つまり、フィルターの中
心Oを通るフィルターの半径方向に対して)上記方向以
外の角度でもよい。
【0044】そして、波形部9は、上記延設方向にて、
予め定められたある一定の円周角領域A1にプレス成形
され、続けて、同じプレス成形を用いて次の隣接する円
周角領域A2にて、同一のパターンで波形部9が成形さ
れている。これを順次くり返して、支持板2の全周にわ
たって波形部9がプレス成形されている。
【0045】上記円周角領域の中心Oに対する円周角は
10〜90度程度の範囲内から任意に設定できるが、順
次プレス成形をくり返す加工のし易さ、プレス型の製作
の容易性等の面から、20〜60度程度が適当である。
図2においては、約30度に設定してある。
【0046】図2の波形部形成パターンにおいては、波
形部9の波形のピッチは、波形部形成全領域にわたって
実質的に一定のピッチに設定されている。
【0047】なお、図2においては、各円周角領域の境
界線上でも波形部9をプレス成形することとしているた
め、該境界線にかかった波形の凸部又は凹部が、中途半
端な形のまま成形される部位も生じる。このような形態
のまま、境界線上あるいはその近傍に成形された波形部
9を、隣接する円周角領域に成形された波形部9につな
げていくことも可能であるが、境界線上あるいはその近
傍において、境界線両側の円周角領域に成形されようと
する波形部9の互いの干渉や不都合の発生を防ぐために
は、次のような方法がある。
【0048】まず、境界線に沿って、ある適当な小幅の
不成形帯(非プレス加工帯)を設ける方法がある。また
別の方法として、一方の円周角領域において境界線にま
たがる波形の凸部又は凹部が生じた場合には、その凸部
又は凹部を境界線を越える位置まで延ばしてその凸部又
は凹部の形状が完結するまで成形し、その代りに、隣接
する円周角領域においては、上記境界線を越えて成形さ
れた凸部又は凹部に対応する位置に成形を予定していた
凸部又は凹部の成形を止める、つまり、隣接する円周角
領域においてはそれらの分境界線から引っ込めた位置か
らプレス成形を開始する方法も適用できる。
【0049】また、図4に別の成形パターンを示すよう
に、型を用いて1回のプレス成形で波形部を形成する1
つの円周角領域A1において、さらにその中を左右2つ
の領域B1、B2に分け、それぞれの分割領域B1、B
2において、中心Oに対し互いに異なる角度をもって実
質的にフィルターの周方向に直線状に延びる波形部10
a、10bをプレス成形してもよい。図4に示した例で
は、各波形部10a、10bは中心Oに対してハの字形
になるように直線状に延設されているが、逆ハの字形で
もよい。このようなパターンに形成すると、結果的に円
周角領域B1、B2で中心Oに対して異なる角度をもっ
て延びる波形部10a、10bが形成される。このプレ
ス型を用いて、後述の実施例と同様、順次A2領域、以
降の領域へとプレス成形をくり返していけばよい。
【0050】このような成形パターンにおいては、一つ
の円周角領域A1の中において、波形部10a(領域B
1)と波形部10b(領域B2)とを通るフィルター径
方向のポリマー流れを、左右対称かつ左右均等の流れと
できる。
【0051】図5はさらに別の成形パターンを示してい
る。本実施例においては、支持板2の波形部の波形のピ
ッチが、フィルターの外径側に形成される波形部11a
と内径側に形成される波形部11bとで互いに異なって
いる。本実施例では、内径側の波形部11bの波形のピ
ッチの方が、外径側の波形部11aのそれよりも大きく
設定されているが、逆も可能である。また、ピッチ変更
についても、上記例では2段階であるが、3段階以上も
可能である。
【0052】支持板2部(リテーナ2部)においては、
図1に示したように外径側から内径側へと濾材2を通過
したポリマーが集められるので、内径側程ポリマー流量
が多くなる。内径側の波形部11bの波形のピッチを大
きくしておくことにより、個々の波形で形成される個々
の流路の幅を内径側で大きくとることができ、内径側で
ポリマー流量が増大しても抵抗を小さく抑えることがで
きる。
【0053】図6はさらに別の成形パターンを示してい
る。本実施例においては、複数条の波形部12が、フィ
ルターの周方向に同心円状に延びている。つまり個々の
円周角領域A1、A2についてみれば、波形部12は同
心状にかつ円弧状にフィルター周方向に延びている。そ
して、隣接する波形部12の凸部と凹部とで順次形成さ
れていくポリマー通路を、中心Oの方向に向けるため
に、波形部12の波形のピッチは中心に向かう程小さく
なっている。
【0054】このような成形パターンでは、ポリマー流
れの指向性を、より精度よく中心O方向に向けることが
できる。
【0055】また、上記のように各円周角領域に順次プ
レス成形していく方法以外に、環状に延び、互いに径の
異なる複数の型を用いて、各波形部を、フィルター径方
向に順次プレス成形していくこともできる。この方法に
おいては、個々の型で、波形部を1列づつプレス成形し
ていってもよく、複数列づつプレス成形していってもよ
い。
【0056】波形部のプレス成形パターンは、上述の如
く各種採り得るが、図1ないし図3に示した実施例につ
いて、その作用、効果を説明する。図3に示すように、
互いに隣接し半ピッチずれた波形部9の凸部とそれに隣
接する凹部とにより、径方向Y−Y内側に向いて延びる
ポリマー通路が形成される。
【0057】濾材2で濾過され、濾材支持体3を通過し
たポリマーは、支持板2(リテーナ2)の上下両面側か
ら、矢印で示すように容易に支持板2内に流入する。そ
して、上記の如く形成された、径方向内側に向けてのポ
リマー通路に沿って円滑にかつ容易に流れる。この径方
向内側に向けての流れにおいて、抵抗となるのは支持板
2の素材板厚分だけであるから、上記ポリマー通路に沿
う方向に良好な指向性が付与されるとともに、圧力損失
は、図13に示したような構造に比べ極めて小さく抑え
られる。たとえば、2.5mm厚さの支持板の場合、本
発明では、素材の板厚が0.5〜0.7mm程度で十分
であるが、従来の金網構造の場合、1.3〜1.5mm
の素線径となる。したがって、全厚みに対するデッドボ
リュームの割合が、本発明の場合極めて小さく抑えられ
る。
【0058】また、図3の矢印で示すように、上記径方
向内側に向くポリマー通路における流れは、分流して、
隣接するポリマー通路との間で自由に出入りできる。こ
のポリマーの自由な出入りにより、極めて優れたスタテ
ィックミキサー効果が得られ、ポリマーは支持板2を支
柱8方向に集められつつ、自然に均一に混合される。ま
た、互いに隣接する波形部のピッチずれを1/3ピッチ
や1/4ピッチずれに設定しておくと、一層優れたスタ
ティックミキサー効果が得られる。
【0059】また、複数条の波形部9の波形凸部および
凹部は、図2に示したように千鳥状に配列されることに
なるが、一面側からみて凹部となる部位は、他面側から
みると凸部を形成している。つまり、支持板2の両面側
に凸部が千鳥状に配設されることになる。この両面側に
突出する凸部は、支持板2に必要な厚みをもたせるとと
もに、両側に配置されている濾材支持体3の支持面を形
成している。
【0060】図13に示した金網リテーナ102におい
ては、波形に湾曲した各ワイヤの濾材支持体103との
各接触支持部では、実質的に点接触となるから、接触部
における局部応力は高い。これに対し本発明において
は、波形部9は帯状部が波形に延びているものであるか
ら、濾材支持体3との接触支持部は線接触に近い。した
がって、図13に示した構造に比べ局部応力は大幅に低
減され、その分上下面から負荷される圧力に対し局部変
形しにくくなり、極めて高い耐力を発揮できる。
【0061】波形部9の個々の凸部が高い耐力を発揮
し、該凸部が図2に示したように千鳥状に多数配設され
ているのであるから、支持板2全体としても、極めて高
い耐圧強度を発揮する。
【0062】そして、複数条の波形部9はプレス成形に
よって形成され、隣接する波形部9は、波形のいずれか
の部位で一体的につながっているので、各波形部9が互
いに強度的に補い合い、支持板2全体として一層高い耐
圧強度を発揮する。
【0063】なお、図2、図4〜図6に示したプレス成
形パターンにおいては、予め定められたパターンで円周
角領域A1、A2と順次プレス成形を進めていき、実質
的に全円周角領域に波形部が形成された支持板2を一体
物の部材として成形する方法を示した。しかしこのリテ
ーナとしての支持板2は、フィルターエレメント1の内
層に配置されるものであるから、周方向に複数に分割し
た構成としておくことも可能である。例えば、前記円周
角領域A1、A2、さらにはそれに続く領域で分割され
た、扇形の部材に形成しておき、それらを円板状に配列
して使用することも可能である。
【0064】また、前述の各実施例においては、支持板
2をフィルターエレメント1の最内層に配設されるリテ
ーナとして用いたが、濾材支持体兼リテーナとして用い
ることも可能である。
【0065】たとえば図7に示すように、濾材支持体兼
リテーナとしての支持板20の両面側に直接濾材4を支
持させ、支持板20に、従来構造における濾材支持体と
リテーナの両方の機能を併せもたせることが可能であ
る。すなわち、本発明に係るフィルター用支持板は、極
めて高い耐圧強度を有するとともに、前述の如く比較的
広い表面接触部を形成する波形凸部が千鳥状に密に配設
されたものであるから、支持板全体として平面性の良好
な見かけ上平らな表面を形成することが可能であり、こ
のように濾材支持体とリテーナの機能を併せもたせるこ
とが可能となる。
【0066】さらに、本発明に係るフィルター用支持板
は、特定の低圧損ハブリング構造と組み合わせて用いた
り、あるいはそのハブリングと一体に成形したりするこ
とができる。
【0067】図8は、本発明に係る支持板2と、特定の
ハブリング31とを組み合わせたフィルター30を例示
している。図8において、支持板2の内周部に配置され
るハブリング31は、所定の間隔をもって対向配置され
た、上下一対の、環状に延びる帯状平板部材からなる押
え板32a、32bと、両押え板32a、32b間に介
在された環状に延びる支持部材33と、から構成されて
いる。支持部材33には、図9〜図11にも示すよう
に、一対の押え板32a、32bに対し実質的に垂直方
向に該一対の押え板32a、32b間にわたって延びる
と同時にハブリング径方向(半径方向)に延びる支持片
33aが多数ハブリング周方向に互いに間隔をもって配
設されている。この多数の支持片33aは、該多数の支
持片33aのハブリング外径側で、環状片33bに接続
されている。なお、34は積層ハブリング間に介装され
るスペーサを示している。
【0068】上記多数の支持片33aは、たとえば、次
のように形成できる。所定厚みを有する単なる環状の帯
状平板状部材の内周側に、径方向に延びる切れ目(スリ
ット)を所定間隔で多数刻設し、各隣接切れ目間部分
を、適当な治具(図示略)で図9の湾曲矢印で示すよう
に同一方向に90度捩じる。このとき、切れ目の刻設さ
れていない環状部(環状片33bを形成する部分)が、
90度捩じられた切れ目間部分の丁度中央に位置するよ
うにする。これによって、各90度捩じられた切れ目間
部分は、上記環状部に対して、それと垂直の方向に高
さ、位置が揃う。この90度捩じられた切れ目間部分が
上記多数の支持片33aを形成し、切れ目の刻設されて
いない環状部が上記環状片33bを形成できる。
【0069】このような加工は、たとえば素材となる環
状の平板状部材を、厚さ1mm程度のステンレス鋼で構
成しておけば、簡単に施すことができる。ステンレス鋼
は、一般に加工硬化が期待でき、上記のように90度捩
じられることにより形成された支持片33aに、圧縮荷
重が加わる際の曲げや座屈に対して大きな剛性を持たせ
ることが可能となる。
【0070】上記のようなフィルター用ハブリング構造
においては、濾材4によって濾過され、リテーナとして
の支持板2部からハブリング部31へと流入する溶融ポ
リマー7は、両押え板32a、32b間に形成されるポ
リマー通路35を通って支柱8内へと集められる。両押
え板32a、32b間において、まず、支持片33aが
環状に配列されている部位についてみるに、この部位で
は支持片33a以外の空間部は、全てポリマー通路35
として形成されることになるので、従来の小孔穿設構造
等に比べ、極めて大きな開口率が得られる。この開口率
は、支持片33aの板厚と配設ピッチ、支持片33aの
内端部における径から計算上求められる。設計に当たっ
ては、押え板32a、32bに加わる圧縮荷重、つまり
複数枚のフィルターが積層、組み立てられた場合にハブ
リング31部分に加わる締め上げ力に対し、ハブリング
31が十分な耐変形強度を有するように設計されなけれ
ばならないが、総締上力10トン程度以上の大きな圧力
に対しても十分に高い耐変形強度をもたせつつ、開口率
を40%以上、好ましくは45%以上に容易に設定する
ことができる。
【0071】また、環状片33bが位置する部位におい
ては、環状片33bがポリマー通路35を一部遮弊する
ことになるが、単に環状に延びる部材がポリマー通路中
に介在するだけであるから、大きな抵抗にもならず、か
つこの部位においても大きな開口率が容易に確保され
る。
【0072】たとえば一対の押え板32a、32b間寸
法が2.5mm、支持部材33の厚み、つまり環状片3
3bの厚みが1mmとすると、60%もの大きな開口率
が確保される。環状片33bの厚みが0.6mmとする
と、76%もの極めて大きな開口率となる。
【0073】このような大きな開口率により、ポリマー
通過の際の圧力損失が大幅に低減される。通常フィルタ
ー装置においては、濾材部の目詰まりに伴う濾圧(濾材
の入口圧)上昇によってフィルターの寿命を判定し、濾
圧が一定の上限値に達するとフィルターが交換される
が、上記の如く開口率が増大されハブリング部分での圧
力損失が大幅に低減されると、初期濾圧が著しく低くな
り、その分上記一定の上限値に達するまでのフィルター
使用可能時間が長くなり(つまりポリマーの累積通過流
量が大きくなり)、フィルターの寿命が大幅に延長され
る。
【0074】また、支持片33aは、押え板32a、3
2bに対し垂直に延び、押え板32a、32b間に加わ
る圧縮荷重を最も効率よく受けることになるので、極め
て大きな耐圧縮強度を発揮する。したがって、まず構造
的に、総締上力10トン程度以上に対しても容易に十分
な耐圧縮強度をもつように設計可能となる。また、支持
部材33をステンレス鋼から構成すれば、該支持部材3
3に前述の如き支持片33aを形成する加工を施す際、
ステンレス鋼特有の加工硬化が生じ、耐圧縮強度が一層
向上される。
【0075】また、前述の如く開口率を極めて大きくと
れるので、ハブリング31のポリマー通路35全体にわ
たってポリマーの滞留のおそれのある部位が全く無くな
る。つまりポリマー全量が、円滑にハブリング31のポ
リマー通路35を通過できる。滞留が生じないため、劣
化ポリマーの発生はなく、劣化ポリマー流出によるフィ
ッシュアイ等の製品品質上の欠陥の発生が防止されると
ともに、劣化ポリマー流出による後続の工程での生産上
のトラブルの発生も防止される。
【0076】さらに、上記ハブリング31は、従来構造
のものに比べ、製造方法的にも大幅に簡素化、容易化さ
れる。すなわち、上記ハブリング31は、各押え板32
a、32bと支持部材33とをそれぞれ別部材として加
工でき、押え板32a、32bは極めて簡単に大量生産
できることは勿論のこと、支持部材33にあっても、前
述の如く、単に環状平板部材に切れ目を入れる加工と、
切れ目間部分を90度捩じる加工を施すだけで済むか
ら、従来のラジアル方向に多数の小孔を設ける場合に比
べ加工が極めて容易である。そしてこれら部材を組み合
わせれば、容易に所定のハブリング31が得られる。し
たがって、ハブリング31は、簡単な加工工程にて、簡
単にかつ短時間で大量に製造でき、安価に製造できる。
【0077】また、上記のようなハブリング構造は、本
発明に係るフィルター用支持板と一体物に形成できる。
つまり、両者共に好ましい素材材料はステンレス鋼であ
るから、ステンレス鋼からなる円板状素材を用いて、た
とえば図12に示すように、支持板2とハブリングの支
持部材33を一体物に形成できる。
【0078】図12においては、前述の波形部9を有す
る支持板2に内周側に、支持片33a、環状片33bか
らなる支持部材33が一体に形成されている。波形部9
はプレス成形により、支持片33aは前述の如き90度
捩り加工により形成できる。
【0079】このような一体化により、フィルターエレ
メントとしての部品点数が低減されるとともに、取扱
い、フィルターエレメントの組立、さらには複数のフィ
ルターエレメントの積層組立が容易化される。
【0080】さらに、押え板32a、32bについて
も、スポット溶接等により支持部材33と一体化するこ
とが可能であり、一層組立性、取扱い性の向上をはかる
ことが可能である。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のフィルタ
ー用支持板の製造方法およびその方法により製造された
フィルター用支持板によるときは、プレス成形された複
数条の波形部により、高耐圧強度、低圧力損失で、かつ
優れたポリマー流れの指向性、ポリマーミキシング効果
を有するリテーナ、あるいは濾材支持体兼リテーナを実
現できる。また、この高性能のフィルター用支持板を、
安価にかつ効率よく製造することができる。
【0082】また、支持片、環状片を備えた特定のハブ
リング構造と本発明に係るフィルター用支持板を組み合
わせることにより、一層低圧損のフィルターエレメント
を実現できる。さらに、ハブリングの支持部材とフィル
ター用支持板を一体物に形成することにより、組立、取
扱い性に優れたフィルターエレメントを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るフィルター用支持板を
用いたフィルター装置の部分縦断面図である。
【図2】本発明に係るフィルター用支持板の波形部形成
パターンの一例を示す支持板の部分平面図である。
【図3】波形部の部分斜視図である。
【図4】別の波形部形成パターン例を示す支持板の部分
平面図である。
【図5】さらに別の波形部形成パターン例を示す支持板
の部分平面図である。
【図6】さらに別の波形部形成パターン例を示す支持板
の部分平面図である。
【図7】本発明に係るフィルター用支持板を濾材支持体
兼リテーナとして用いた場合のフィルターエレメントの
部分縦断面図である。
【図8】本発明に係るフィルター用支持板と特定のハブ
リングとを組み合わせたフィルターエレメントの部分斜
視図である。
【図9】図8のハブリングの支持部材の平面図である。
【図10】図9の支持部材の拡大部分斜視図である。
【図11】図8のハブリングの正面図である。
【図12】フィルター用支持板とハブリングの支持部材
を一体形成した場合の部分平面図である。
【図13】従来のフィルターの部分斜視図である。
【符号の説明】
1 フィルターエレメント 2 リテーナとして用いられた支持板 3 濾材支持体 4 濾材 5 ハブリング 6 スペーサ 7 ポリマー 8 支柱 9、10a、10b、11a、11b、12 波形部 20 濾材支持体兼リテーナとして用いられた支持板 30 フィルターエレメント 31 ハブリング 32a、32b 押え板 33 支持部材 33a 支持片 33b 環状片 34 スペーサ 35 ポリマー通路 40 支持板とハブリングの支持部材を一体形成した部
材 A1、A2 円周角領域 B1、B2 分割領域 O フィルターの中心

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円板状平板部材からなる素材に、プレス
    により、厚み方向に交互に波打ちかつ実質的に周方向に
    延びる波形部を、複数条径方向に互いに隣接させて、か
    つ、隣接する波形部がいずれかの部位で元の素材により
    互いに接合された形態で成形することを特徴とする、フ
    ィルター用支持板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記波形部を、前記円板状平板部材の、
    予め定めれた一定の円周角領域にプレス成形し、続いて
    隣接する円周角領域に同じパターンで波形部をプレス成
    形し、これを順次繰り返して、前記円板状平板部材の実
    質的に全周にわたって波形部をプレス成形する、請求項
    1のフィルター用支持板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記円板状平板部材の径方向に複数条成
    形される波形部を、環状に延び、互いに径の異なる複数
    の型を用いてプレス成形する、請求項1のフィルター用
    支持板の製造方法。
  4. 【請求項4】 表層部に濾材を有する円板状フィルター
    の内層部に設けられる支持板であって、フィルターの厚
    み方向に交互に波打ちかつ実質的にフィルターの周方向
    に延びる波形部が、複数条フィルターの径方向に互いに
    隣接して成形されている支持板が、請求項1〜3のいず
    れかに記載の方法により製造されていることを特徴とす
    るフィルター用支持板。
  5. 【請求項5】 前記複数条の波形部のうち、互いに隣接
    する波形部の波形が、フィルターの周方向に実質的に半
    ピッチずれている、請求項4のフィルター用支持板。
  6. 【請求項6】 前記波形部の波形のピッチが、波形部形
    成全領域にわたって実質的に一定である、請求項4また
    は5のフィルター用支持板。
  7. 【請求項7】 前記波形部の波形のピッチが、フィルタ
    ーの外径側に形成される波形部と内径側に形成される波
    形部とで互いに異なっている、請求項4または5のフィ
    ルター用支持板。
  8. 【請求項8】 前記波形部が、予め定められた一定の円
    周角領域において、実質的にフィルターの周方向に、フ
    ィルターの半径方向に対して一定の角度をなして直線状
    に延びており、前記円周角領域に隣接する円周角領域に
    おいて、実質的にフィルターの周方向に、フィルターの
    半径方向に対し前記一定の角度と同一 の角度をなして直
    線状に延びている、請求項4ないし7のいずれかに記載
    のフィルター用支持板。
  9. 【請求項9】 前記波形部が、予め定められた一定の円
    周角領域において、実質的にフィルターの周方向に、フ
    ィルターの半径方向に対して一定の角度をなして直線状
    に延びており、前記円周角領域に隣接する円周角領域に
    おいて、実質的にフィルターの周方向に、フィルターの
    半径方向に対し前記一定の角度とは別の角度をなして直
    線状に延びている、請求項4ないし7のいずれかに記載
    のフィルター用支持板。
  10. 【請求項10】 前記複数条の波形部がフィルターの周
    方向に同心円状に延びている、請求項4ないし7のいず
    れかに記載のフィルター用支持板。
  11. 【請求項11】 前記支持板が一体物の円板状部材から
    なる、請求項4ないし10のいずれかに記載のフィルタ
    ー用支持板。
  12. 【請求項12】 前記支持板がフィルターの周方向に分
    割された部材からなる、請求項4ないし10のいずれか
    に記載のフィルター用支持板。
  13. 【請求項13】 前記支持板がステンレス鋼からなる、
    請求項4ないし12のいずれかに記載のフィルター用支
    持板。
  14. 【請求項14】 前記フィルターが、表層部に濾材、そ
    の内層側に濾材支持体、最内層部にリテーナを有し、該
    リテーナが前記支持板からなる、請求項4ないし13の
    いずれかに記載のフィルター用支持板。
  15. 【請求項15】 前記フィルターが、表層部に濾材、内
    層部に濾材支持体兼リテーナを有し、該濾材支持体兼リ
    テーナが前記支持板からなる、請求項4ないし13のい
    ずれかに記載のフィルター用支持板。
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