JP3410580B2 - 積層体 - Google Patents
積層体Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性ポリウレタン層
と繊維質基体層を有する積層体に関する。詳細には、本
発明は、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐ブリード白化性に
優れ、しかも引張強さなどの力学的性質、耐水性、耐寒
性などの特性においても良好であり、柔軟性や屈曲性に
も富んでいて、皮革様製品、スポーツ用品、靴、鞄、バ
ックなどの袋状物、箱状物、家屋などの建築物の内装
材、家具用の化粧材、衣料、フィルム、シートなどの広
範な用途に有効に使用することのできる熱可塑性ポリウ
レタン層と繊維質基体層を有する積層体に関する。 【0002】 【従来の技術】繊維質基体の表面に有孔または無孔の熱
可塑性エラストマー層を設けた皮革様の外観を有するシ
ート状物は、その低価格、耐水性、耐汚染性、軽量性な
どの特性を活かして天然皮革の代替物として従来から広
く用いられている。そして、従来の皮革様のシート状物
では、熱可塑性エラストマーよりなる表層は、熱可塑
性エラストマーを押出成形してフィルムを製造した後、
このフィルムを接着剤を用いたり加熱して繊維質基体と
積層させる方法;熱可塑性エラストマーを溶解した溶
液を繊維質基体に塗布し熱可塑性エラストマーに対して
相溶性の低い溶剤や水などで熱可塑性エラストマーを析
出させて繊維質基体の表面に熱可塑性エラストマーの層
を形成する方法;熱可塑性エラストマーを溶解した溶
液を繊維質基体上に塗布した後、溶剤を熱風乾燥などに
よって除去して熱可塑性エラストマー層を表面に形成さ
せる方法などにより形成されている。そして、これらの
場合に、熱可塑性エラストマー表層への絞付けに当たっ
ては、加熱ロールによって型押しする方法、熱可塑性エ
ラストマーフィルムの押出成形時に同時に賦型して絞付
けする方法などが採用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の皮革様シート状物の場合は、熱可塑性エラスト
マーの柔軟性、風合を活かすことに重点が置かれている
ために、耐摩擦溶融性、耐摩耗性などの特性が低く、ま
た引張強度などの力学的性質、耐熱性などの性能も十分
であるとは言えない。そのため、過酷な摩耗などに耐え
ることが必要な用途には、熱可塑性エラストマー層の厚
さを厚くすることが行われているが、その場合には、柔
軟性や風合が損なわれるという欠点があり、柔軟性や風
合を保ちながら耐摩擦溶融性、耐摩耗性などの特性に優
れ、しかも引張強さ、耐熱性などの諸特性にも従来の皮
革様シート状物と比較して遜色のないことが求められて
いる。 【0004】しかして、本発明の目的は、柔軟性で良好
な風合を保ちながら、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐ブリ
ード白化性に優れ、しかも引張強さなどの力学的性質、
耐熱性などの諸特性でも従来の皮革様のシート状物と比
較して遜色のない熱可塑性エラストマー層と繊維質基体
とからなる積層体を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、1,4−ブタンジ
オールを25〜75モル%の割合で含有し、かつ炭素数
5〜9の脂肪族ジオールを75〜25モル%含有する特
定の高分子ジオールを、有機ジイソシアネートおよび鎖
伸長剤と反応させて製造される特定の熱可塑性ポリウレ
タンが、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐ブリード白化性に
優れ、しかも引張強さなどの力学的性質、耐熱性などの
諸特性でも従来のものと遜色がなく、しかも良好な柔軟
性や屈曲性を有すること、そしてこの熱可塑性ポリウレ
タンの溶融成形層と繊維質基体層からなる積層体が、皮
革様の外観および手触りなどを有していて、上記した優
れた諸特性により、種々の用途に有効に使用できること
を見いだした。 【0006】すなわち、本発明は、ポリウレタン層およ
び繊維質基体層を有する積層体であって、ポリウレタン
層が、数平均分子量が1800〜3500の高分子ジオ
ール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤から構成さ
れ、DMF中での対数粘度が0.9dl/g以上で、か
つ100℃での引張破断強度が250kgf/cm2以
上である熱可塑性ポリウレタンの溶融成形層であり、し
かも熱可塑性ポリウレタンを構成する前記高分子ジオー
ルを構成する低分子ジオール単位として1,4−ブタン
ジオール単位を25〜75モル%含有し、炭素数5〜9
の脂肪族ジオール単位を75〜25モル%含有してお
り、かつ該高分子ジオールの結晶化エンタルピー(△
H)が30〜75J/gであり、前記鎖伸長剤の80モ
ル%以上が1,4−ブタンジオールであることを特徴と
する積層体である。 【0007】本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン(以
下、これをポリウレタンと略称する)は、1,4−ブタ
ンジオールを25〜75モル%含み、かつ炭素数5〜9
の脂肪族ジオールを75〜25モル%含む低分子ジオー
ルを用いて得られた上記特定の高分子ジオール、有機ジ
イソシアネートおよび1,4−ブタンジオールを80モ
ル%以上含む鎖伸長剤を用いて製造されたポリウレタン
であることが必要であり、ポリウレタンの製造に用いら
れる高分子ジオールは、ポリエステルジオール、ポリエ
ステルポリカーボネートジオール、ポリカーボネートジ
オール、ポリエーテルエステルジオールなどのエステル
結合を有する高分子ジオールであり、本発明では高分子
ジオールとしてこれらの高分子ジオールの1種または2
種以上を使用することができる。 【0008】より具体的には、高分子ジオールとして
は、例えば低分子の脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン
酸またはそれらのエステル形成性誘導体の反応により得
られる脂肪族ポリエステルジオール、低分子の脂肪族ジ
オールと芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステル形
成性誘導体の反応により得られる芳香族ポリエステルジ
オールなどのポリエステルジオール;ポリアルキレング
リコールと脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸ま
たはそれらのエステル形成性誘導体との反応により得ら
れるポリエーテルエステルジオール、ポリアルキレング
リコールと脂肪族または芳香族ポリエステルとの反応に
より得られるポリエーテルポリエステルジオールなどの
ポリエーテルエステルジオール;低分子の脂肪族ジオー
ルとカーボネート化合物との反応により得られるポリカ
ーボネートジオール;前記したポリエステルジオールと
ポリカーボネートジオールとの反応により得られるポリ
エステルポリカーボネートジオールなどを挙げることが
できる。 【0009】そして、上記した高分子ジオールのいずれ
を使用する場合であっても、本発明では、高分子ジオー
ルは、高分子ジオールを構成する低分子ジオール単位
(グリコール単位)の25〜75モル%が1,4−ブタ
ンジオール単位[−O−(CH2 )4 −O−]であり、
かつその75〜25モル%が炭素数5〜9の脂肪族ジオ
ールから誘導される単位であることによって、得られる
ポリウレタンの耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐熱性、耐水
性、力学強度などの諸性能が優れたものになる。1,4
−ブタンジオール単位および炭素数5〜9の脂肪族ジオ
ール単位のそれぞれの割合が上記の範囲を外れる場合に
は、上記の優れた特性を有するポリウレタンを得ること
は困難となる。上記の脂肪族ジオール単位は、1,6−
ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオー
ル、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの炭素
数5〜9の脂肪族ジオールから誘導される。特に、結晶
性とのバランスから、側鎖にメチル基を有する脂肪族ジ
オールを共重合するのがよい。 【0010】また、上記した高分子ジオールを構成する
ジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、或
いはそれらのエステル形成性誘導体を用いることがで
き、ジカルボン酸成分は単独で使用しても2種以上を併
用してもよい。前記した脂肪族ジカルボン酸成分または
芳香族ジカルボン酸成分のうちで、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸などの炭素数6〜10の脂肪族ジカ
ルボン酸成分またはそれらの混合物を用いて得られた高
分子ジオールを用いると耐寒性および力学的性質に優れ
るポリウレタンを得ることができる。また、高分子ジオ
ールを構成するジカルボン酸単位の20モル%以上を、
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸またはそ
れらの混合物からなる芳香族ジカルボン酸単位、特にテ
レフタル酸単位および/またはイソフタル酸単位より構
成すると、得られるポリウレタンの耐熱性および力学的
性質が優れたものとなる。 【0011】そして、本発明では、高分子ジオールの結
晶化エンタルピー(△H)が30〜75J/gであるこ
とが必要である。結晶化エンタルピー(△H)が75J
/gを超えると、結晶性が強くなり過ぎて、得られるポ
リウレタンの溶融成形層の表面、シート、フィルムなど
の溶融成形品の表面が曇化して外観が不良になり(耐白
化ブリード性が劣り)、さらに耐寒性、低温屈曲性も低
下する。高分子ジオールの結晶化エンタルピー(△H)
を75J/g以下にする方法としては、高分子ジオール
の主鎖中にジオール成分として1,4−ブタンジオール
以外に75モル%を限度にメチル基を有する低分子ジオ
ール、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,8−オ
クタンジオールなどのジオール成分を共重合させるか、
1,6−ヘキサンジオールを30〜75モル%共重合さ
せるか、或いは高分子ジオール中にジカルボン酸成分と
して芳香族ジカルボン酸であるイソフタル酸、オルトフ
タル酸、テレフタル酸などを50モル%を限度に共重合
させる方法が採用される。一方、結晶化エンタルピー
(△H)が30J/gより小さい場合、得られるポリウ
レタンの耐溶融摩耗性、耐摩耗性、耐水性、耐熱性、引
張強度が低下する。なお、本明細書でいう結晶化エンタ
ルピー(△H)は、いずれも下記の実施例の項に記載し
た方法により測定した時の値をいう。 【0012】該熱可塑性ポリウレタン組成物を構成する
高分子ジオールのジカルボン酸成分は、例えばコハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸から誘導さ
れ、これらの脂肪族ジカルボン酸は単独で使用しても2
種以上併用してもよく、特にアジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸などの炭素数が6〜10の整数である脂
肪族ジカルボン酸またはそれらの混合物からなるものが
耐寒性、引張強度の面から好ましい。また、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸またはそれらの混合
物から誘導される芳香族ジカルボン酸成分を含有しても
良く、特にイソフタル酸、テレフタル酸が耐摩擦溶融
性、耐摩耗性、耐水性、耐熱性、引張強度などの面から
好ましい。 【0013】そして、本発明では、ポリウレタンを構成
する高分子ジオールの数平均分子量が1800〜350
0であることが、得られるポリウレタンの力学的性質、
低温特性、成形性などの点から必要である。高分子ジオ
ールの数平均分子量は2000〜3200であるのが好
ましい。高分子ジオールの数平均分子量が3500を越
えると、得られるポリウレタンを押出成形した場合にフ
ィッシュアイなどのブツが発生し、吐出量の安定性の確
保が困難になる。一方、高分子ジオールの数平均分子量
が1800より小さい場合には、得られるポリウレタン
の耐摩擦溶融性、低温特性、力学的性質が低下する。こ
こで、本明細書でいう高分子ジオールの数平均分子量
は、いずれもJIS K 1557に準拠して測定した
水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。 【0014】本発明で使用する高分子ジオールは、高分
子ジオールの種類に応じて、ジオール、ジカルボン酸、
カーボネート化合物、エーテル化合物から選ばれる化合
物を用いて、望ましくはチタン系エステル化触媒(以
下、これを単に「チタン系触媒」という)の存在下に、
直接エステル化反応、エステル交換反応、開環重合など
の重縮合反応または重合反応を行うことにより製造する
ことができる。以下、高分子ジオールを製造するための
上記の反応を総称して「エステル化反応」という。チタ
ン系触媒としては、一般に、ポリエステル、ポリカーボ
ネート等のエステル系高分子を製造する際に使用し得る
ことが知られているチタン系触媒を使用することができ
る。好ましいチタン系触媒の例としては、チタン酸、テ
トラアルコキシチタン化合物、チタンアシレート化合
物、チタンキレート化合物などを挙げることができる。
より具体的には、テトライソプロピルチタネート、テト
ラ−n−ブチルチタネート、テトラー2ーエチルヘキシ
ルチタネート、テトラステアリルチタネート等のテトラ
アルコキシチタン化合物、ポリヒドロキシチタンステア
レート、ポリイソプロポキシチタンステアレート等のチ
タンアシレート化合物、チタンアセチルアセトネート、
トリエタノールアミンチタネート、チタンアンモニウム
ラクテート、チタンエチルラクテート、チタンオクチレ
ングリコレート等のチタンキレート化合物などを挙げる
ことができる。その場合のチタン系触媒の使用量は特に
制限されないが、通常、高分子ジオールを形成するため
のジオール成分およびジカルボン酸成分の合計重量に対
して、約0.1〜50ppmの範囲内であるのが好まし
く、約1〜30ppmの範囲内であるのがより好まし
い。 【0015】そして、チタン系触媒を用いてエステル化
反応を行った場合は、反応の終了後に、チタン系触媒を
失活させておくのがよい。チタン系触媒を失活させてい
ない高分子ジオールを用いると、溶融成形後のポリウレ
タンの積層体における耐摩擦溶融性、耐摩耗性が低下す
る。チタン系触媒の失活方法としては、例えば、エステ
ル化反応により得られた高分子ジオールを加熱条件下に
水と接触させる方法、高分子ジオールをリン酸、リン酸
エステル、亜リン酸、亜リン酸エステル等のリン化合物
で処理する方法を挙げることができ、それらのうちでも
加熱条件下に水と接触させる前者の方法が好ましい。水
と接触させてチタン系触媒を失活させる場合は、エステ
ル化反応により得られた高分子ジオールに水を1重量%
以上接触させ、70〜150℃の範囲内、好ましくは9
0〜130℃の範囲内で1〜3時間加熱することにより
行う。チタン系触媒の失活処理は常圧下で行っても、ま
た加圧下で行ってもよい。チタン系触媒を失活させた後
に系を減圧にすると、失活に使用した水分を除去するこ
とができ、望ましい。 【0016】そして、本発明では、ポリウレタンの製造
に用いる有機ジイソシアネートとして、ポリウレタンの
製造に従来用いられている有機ジイソシアネートのいず
れもが使用でき、その種類は特に制限されず、芳香族ジ
イソシアネート、脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイ
ソシアネートのうちの1種または2種以上を使用するこ
とができる。本発明で使用し得る有機ジイソシアネート
の例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソ
シアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネートなどを挙げることができ、これらのう
ちで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
パラフェニレンジイソシアネートが好ましい。 【0017】また、本発明では、ポリウレタンの製造に
用いる鎖伸長剤は、得られるポリウレタンの耐摩擦溶融
性、耐摩耗性、耐水性、耐熱性、引張強度、押出成形性
の点から、その80モル%以上は1,4−ブタンジオー
ルである必要がある。20モル%以下の割合でポリウレ
タンの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれ
もが使用できる。これらの鎖伸長剤としては、特に、脂
肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールの
うちの1種または2種以上が好ましく用いられる。かか
るジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,5−ペンタンジオール、2−メチ
ル−1,3−プロパンジオール、1,6−へキサンジオ
ール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、2−メチ
ル−1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(β−
ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどを挙げることができ
る。鎖伸長剤としては、特に、80モル%以上の1,4
−ブタンジオールと20モル%以下の1,9−ノナンジ
オールの組合わせ、80モル%以上の1,4−ブタンジ
オールと20モル%以下の1,4−ビス(β−ヒドロキ
シエトキシ)ベンゼンの組合わせで使用するのが好まし
い。 【0018】また、本発明では、上記した高分子ジオー
ル、有機ジイソシアネート、鎖伸長剤および必要に応じ
て他の成分を用いてポリウレタンを製造するに当って、
高分子ジオールおよび鎖伸長剤およびその他の成分が有
している活性水素原子の全量に基づいて、活性水素原子
1当量当り、イソシアネート基当量を約0.98〜1.
08の範囲内にすることが適当であり、1.00〜1.
02の範囲内がより好ましい。活性水素原子とイソシア
ネート基の割合をその範囲内にすることによって、耐摩
擦溶融性や耐摩耗性が特に優れたポリウレタンを得るこ
とができる。 【0019】さらに、ポリウレタンの製造に当っては、
ウレタン化反応に対して触媒活性を有するスズ化合物
(以下「スズ系ウレタン化触媒化合物」という)を使用
するのが好ましく、スズ系ウレタン化触媒化合物を用い
た場合には、ポリウレタンの分子量が速やかに増大し
て、ポリウレタンの耐摩擦溶融性、耐摩耗性が一層向上
する。その場合に、スズ系ウレタン化触媒化合物の添加
量は、生成するポリウレタンに対してスズ原子換算で
0.3〜15ppmの範囲内になるようにするのが好ま
しく、0.5〜10ppmの範囲内になるようにするの
がより好ましい。スズ系ウレタン化触媒化合物の添加量
がスズ原子換算で0.3ppm未満の場合には、ポリウ
レタンの分子量が増大する速度が遅く、得られるポリウ
レタンの耐摩擦溶融性、耐摩耗性が低下する。一方、1
5ppmを超える場合には、ポリウレタンの耐摩耗溶融
性、耐摩耗性が低下する。 【0020】スズ系ウレタン化触媒化合物の例として
は、オクチル酸スズ、モノメチルスズメルカプト酢酸
塩、モノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズモ
ノオクチレート、モノブチルスズマレイン酸塩、モノブ
チルスズマレイン酸ベンジルエステル塩、モノオクチル
スズトリス(イソオクチルスズチオグリコール酸エステ
ル)、モノフェニルスズトリアセテート、ジメチルスズ
マレイン酸エステル塩、ジメチルスズビス(エチレング
リコールモノチオグリコレート)、ジメチルスズビス
(メルカプト酢酸)塩、ジメチルスズビス(3−メルカ
プトプロピオン酸)塩、ジメチルスズビス(イソオクチ
ルメルカプトアセテート)、ジブチルスズジアセテー
ト、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジステ
アレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマ
レイン酸塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジブ
チルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズビス(メ
ルカプト酢酸)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸ア
ルキルエステル)塩、ジブチルスズビスオクチルチオグ
リコールエステル塩、ジブチルスズビス(3−メルカプ
トプロピオン酸)塩、ジブチルスズビス(3−メルカプ
トプロピオン酸アルコキシブチルエステル)、ジオクチ
ルスズマレイン酸塩、ジオクチルスズマレイン酸エステ
ル塩、ジオクチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジオクチ
ルスズジラウレート、ジオクチルスズビス(イソオクチ
ルメルカプトアセテート)、ジオクチルスズビス(イソ
オクチルジオグリコール酸エステル)、ジオクチルスズ
ビス(3−メルカプトプロピオン酸)塩等のスズのアシ
レート化合物、メルカプトカルボン酸塩などを挙げるこ
とができ、これらは単独で使用しても2種以上を併用し
てもよい。 【0021】上記したスズ系ウレタン化触媒化合物のう
ちでも、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラ
ウレートなどのジアルキルスズジアシレート、ジブチル
スズビス(3−メルカプトプロピオン酸エトキシブチル
エステル)塩などのジアルキルスズビスメルカプトカル
ボン酸エステル塩などが好ましい。 【0022】そして、上記したスズ系ウレタン化触媒化
合物の1種または2種以上を用いて、高分子ジオール、
有機ジイソシアネート、鎖伸長剤および必要に応じて他
の成分を反応させてポリウレタンを製造すると、スズ系
ウレタン化触媒化合物を含有していて、耐摩耗溶融性お
よび耐摩耗性に一層優れるポリウレタンを得ることがで
きる。 【0023】また本発明では、必要に応じてポリウレタ
ンを製造する際に通常使用されている熱安定剤、酸化防
止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、着色剤、加水分解防止
剤、防黴剤などの各種添加剤、ガラス繊維や有機繊維な
どの各種有機および/または無機繊維、タルク、シリ
カ、その他の無機充填剤、各種カップリング剤などを重
合前、重合中または重合後に適宜添加してもよく、更に
必要に応じてオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カ
ルボジイミド化合物などを含有していてもよい。 【0024】ポリウレタンの製造法は特に制限されず、
上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネート、鎖伸
長剤および必要に応じて他の成分を使用して、公知のウ
レタン化反応技術を利用して、プレポリマー法またはワ
ンショット法のいずれで製造してもよい。そのうちで
も、有機溶剤などの不存在下に押出機(好ましくは多軸
スクリュー型押出機)を使用して連続溶融重合してポリ
ウレタンを製造するのが、重合時の操作性および得られ
るポリウレタンの均質性などの点から好ましい。 【0025】そして、本発明では、耐摩擦溶融性、耐摩
耗性、引張強度、耐水性、耐熱性などの点から、上記に
より得られるポリウレタンの対数粘度が、濃度0.5g
/dlのジメチルホルムアミド(DMF)溶液として3
0.0℃で測定した時に、0.9dl/g以上であるこ
とが必要であり、1.1dl/g以上であるのが好まし
い。ポリウレタンの対数粘度が0.9dl/gより小さ
い場合、上記した性能が著しく低下する。 【0026】上記により得られたポリウレタンを用いて
ポリウレタン層と繊維質基体層とからなる本発明の積層
体を作製することができる。積層体の製法としては、ポ
リウレタンを加熱溶融して繊維質基体層上に積層するい
ずれかの方法を採用する。特に、ポリウレタン層を繊維
質基体層上に積層させる際にポリウレタン層の表面に皮
革様のシボ模様、艶消し模様などを賦型すると、天然皮
革に極めて類似した良好な外観、風合、感触などを有す
る積層体を得ることができ好ましい。 【0027】本発明の積層体の製法の例として、(1)
ポリウレタンを離型紙上にフィルム状に溶融押出しまた
は流延するとともに、離型紙上のポリウレタンフィルム
層を押圧ロールや型板などを用いて繊維質基体に転写さ
せると同時に繊維質基体と接着させて固化させ、その際
に離型紙、押圧ロール、型板などにポリウレタン表面に
シボ模様や艶消し模様などを出現させるための凹凸模様
などを形成しておく方法;(2)ポリウレタンをフィル
ム状に押圧ロール表面に溶融押出しまたは流延するとと
もに、押圧ロール上のポリウレタンフィルム層を繊維質
基体に転写させると同時に繊維質基体と接着させて固化
させ、その際に押圧ロールにポリウレタン表面にシボ模
様や艶消し模様などを出現させるための凹凸模様などを
形成しておく方法;(3)ポリウレタンを繊維質基体上
に直接層状に溶融押出しまたは流延させて繊維質基体層
の上にポリウレタン層を形成し、ポリウレタンが固化す
るまでの間に凹凸模様を形成してある離型紙、押圧ロー
ル、型板などを用いてポリウレタンを押圧して、ポリウ
レタン表面にシボ模様や艶消し模様などを出現させる方
法;などを挙げることができる。これらの方法を実施す
るに当っては、予め繊維質基体に接着剤、コーティング
剤などによる前加工を施し、ポリウレタンフィルムと繊
維質基体の密着性を向上させることが可能である。かか
る方法により得られたシート状積層体は、シート表面に
任意の凹凸が賦型され、柔軟な風合いを有し、かつ表層
であるポリウレタンフィルムと繊維質基体との密着力が
強固である。 【0028】繊維質基体層上に設けるポリウレタン層の
厚みは、10〜800μmであるのが好ましく、30〜
500μmであるのがより好ましい。厚みが10μmよ
り薄い場合には、表面の耐摩擦溶融性、耐引っ掻き性が
十分ではなく、繊維質基体との接着性が損なわれる。ま
た、800μmを越える場合には、シート状積層物とし
ての柔軟性(風合い)、屈曲性が損なわれる。また、ポ
リウレタンフィルムの積層数は、繊維質基体と一体化さ
れたシート状積層体の風合い、物性を損ねない範囲であ
れば単層、多層を問わない。 【0029】本発明の積層体を構成する繊維質基体層と
しては、通常の合成皮革、人工皮革などに用いられてい
る織物、編み物、不織布、またはこれらを重ね合わせて
一体化した繊維質基体を使用することができる。また、
天然皮革に近い風合いを得るためにポリウレタンなどの
弾性樹脂を含浸した物を用いることも可能である。繊維
質基体を構成する繊維は、木綿、麻、羊毛などの天然繊
維、レーヨンやアセテートで代表される再生繊維、ナイ
ロン、ビニロン、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポ
リオレフィン繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維の
うちの1種または2種以上から形成しておくのがよい。 【0030】積層体に天然皮革調のしなやかさを出現さ
せるためには、繊維質基体を構成する繊維として、0.
3デニール以下、好ましくは0.1デニール以下の極細
繊維を用いるのがよく、その場合に極細繊維を集束体や
繊維内に繊維軸方向に多数の空隙を有するいわゆる多孔
繊維の形態にしておくのが好ましい。 【0031】本発明の積層体全体の厚さは、積層体の用
途などに応じて適宜調節することができるが、一般に、
約0.5〜5mm程度にしておくのが、柔軟性、屈曲
性、力学的性質、耐久性、触感などの点から好ましく、
約1〜2mm程度であるのがより好ましい。 【0032】 【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の例
において、高分子ジオールの結晶化エンタルピー(Δ
H)、ポリウレタンの対数粘度、耐摩耗性(テーバー摩
耗性)、耐摩擦溶融性、ブリードアウト/白化状態、引
張強度、耐熱性(耐熱引張強度)の測定または評価は下
記のようにして行った。 【0033】[高分子ジオールの結晶化エンタルピー
(ΔH)]示差走査熱量計(理学電気株式会社製「リガ
ク・サーマル・アナリシス・ステーション(Rigaku The
rmal Analysis Station )−TAS100」)を用い
て、高分子ジオールの融解エンタルピー(ΔH)を測定
して結晶化エンタルピー(ΔH)とした。測定の際の試
料量は約10mgとし、窒素気流中で、工程1(室温か
ら100℃まで100℃/分の昇温速度で昇温させた
後、100℃に3分間保持)、工程2(100℃から−
100℃まで10℃/分の降温速度で降温させた後、−
100℃に1分間保持)および工程3(−100℃から
100℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた後、1
00℃での保持時間0分)で順次処理して、工程3にお
けるピーク面積より融解エンタルピー(結晶化エンタル
ピー)(ΔH)を求めた。 【0034】[ポリウレタンの対数粘度]ポリウレタン
試料(積層体におけるポリウレタン層)を0.5g/d
lとなるようにN,N−ジメチルホルムアミド溶液に溶
解し、24時間後に30℃のウッベローデ型粘度計によ
り溶液の粘度を測定して、次式により対数粘度
(ηinh )を求めた。 【0035】 【数1】ηrel =t/t0 ηinh =ln(ηrel )/c [上記式中、t=溶液の流下時間(秒)、t0 =溶媒の
流下時間(秒)、ηrel=比粘度、ηinh =対数粘度、
c=ポリウレタンの濃度(g/dl)を表す] 【0036】[ポリウレタンの耐摩耗性(テーバー摩耗
性)]JIS K 7311に従って測定した。すなわ
ち、積層体から直径12cmの円盤状の試験片を切り出
した。この試験片をポリウレタン層側に摩耗輪(H−2
2)を当て、荷重1kgfで試験片を1000回回転さ
せて摩耗試験を行った。試験前の試験片の重量と試験後
の試験片の重量の差を摩耗損失重量(mg)とした。 【0037】[耐摩擦溶融性]積層体から短冊状試験片
(3cm×6cm)を切り出し、この短冊状試験片を1
800rpmで回転する桜製ローラ部(直径73mm、
幅26mm)に荷重1.5lb下で2秒間接置した後の
試験片の摩擦溶融面積(cm2 )を測定し、併せて摩擦
溶融面の状態を肉眼で観察して、下記の表1に示す基準
によってランク付けを行った。 【0038】 【表1】【0039】[ブリードアウト/白化状態]積層体を温
度80℃で1週間連続的に加熱処理し、加熱処理後のポ
リウレタン層の外観を目視により観察して、ブリードア
ウト/白化の生じていないものを○、ブリードアウト/
白化が生じているがその程度が少ないものを×、ブリー
ドアウト/白化の程度がかなり大きいものを××、ブリ
ードアウト/白化の程度が極めて大きいものを×××と
して評価した。 【0040】[引張強度]JIS K 7311に従っ
て測定した。積層体の製造時に、ポリウレタン層と繊維
質基体層の間に離型紙を挟み込み、後ほどポリウレタン
層単独フィルムを得、幅5mm、長さ5cmの短冊状試
験片に切り出した。オートグラフAG−D型を用いて、
23℃、65%RHの相対湿度下で該短冊状試験片の引
張試験を行い、破断時の引張応力を「常態引張強度」と
して評価した。 【0041】[耐熱性(耐熱引張強度)]JIS K
7311に従って測定した。積層体の製造時に、ポリウ
レタン層と繊維質基体層の間に離型紙を挟み込み、後ほ
どポリウレタン層単独フィルムを得、幅5mm、長さ5
cmの短冊状試験片に切り出した。オートグラフAG−
D型を用いて、100℃の環境下で該短冊状試験片の引
張試験を行い、破断時の引張応力を「耐熱引張強度」と
して評価した。 【0042】また、下記の参考例、実施例および比較例
で用いた化合物に関する略号とその化合物内容は、次の
表2に示すとおりである。 【0043】 【表2】 【0044】[参考例1〜10]表3に示すジオール成
分およびジカルボン酸成分を反応器に仕込み(但し、ジ
オール成分は必要な理論モル量の1.03倍を仕込ん
だ)、常圧下、200℃で生成する水を系外に留去しな
がらエステル化反応を行った。反応物の酸価が30以下
になった時点で、テトライソプロピルチタネートを90
mg加えて、200mmHg〜100mmHgに減圧し
ながら反応を続け、酸価が1.0になった時点で、徐々
に真空度を上げて反応を完結させた。得られた高分子ジ
オールについて水酸基価を測定し、この水酸基価から数
平均分子量を算出した。 【0045】 【表3】【0046】[実施例1] (1)ポリウレタンの製造:70℃に加温された高分子
ジオールA、BDおよび50℃に加温されたMDIを溶
融状態で表4に示す比率で定量ポンプにより同軸方向に
回転する2軸スクリュー押出機(φ30mm、L/D=
36)に連続的に供給して(総量:200g/mi
n,)、最高温度260℃の条件で連続溶融重合を行っ
た。生成したポリウレタンをストランド状に約13℃の
水中に押出し、次いでペレタイザーにて所望のペレット
サイズに切断した。さらに、このペレットを80℃で6
時間除湿乾燥した後、密閉容器に取り出し保存した。 【0047】(2)繊維質基体の製造:海成分としてポ
リエチレン50重量部および島成分として6−ナイロン
50重量部を同一溶融系で溶融紡糸して、単繊維繊度1
0デニールの複合繊維を得た。この複合繊維を3.0倍
に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断
し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーでウェ
ブとした。次に、ニードルパンチにより、目付650g
/m2 の繊維絡合不織布とした。この不織布にポリエー
テル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン組成物1
3重量部とジメチルホルムアミド87重量部よりなる溶
液を含浸し、凝固、水洗後、複合繊維中のポリエチレン
をトルエン中で抽出除去して、6−ナイロン極細繊維束
状繊維とポリウレタン結合剤とからなる厚さ約1.3m
mの繊維質基体を得た。 【0048】(3)積層体の製造:上記(1)で得られ
たポリウレタンペレットを、窒素ガス雰囲気下、押出成
形機(φ115mm、最高バレル温度225℃、ダイス
温度220℃)により溶解し、幅1.2mのT字型ダイ
スからフィルム状に押出し、離型紙と押圧ロールの間に
挟み込んで、300μm厚に調整した。その後、上記
(2)で得られた繊維質基体をフィルム状に押出した該
ポリウレタンと押圧ロールの間に挟み込んで繊維質基体
とポリウレタンを接着してシート状積層体を得た。該ポ
リウレタン単独のフィルムは、繊維質基体層とポリウレ
タン層の間に20cm×30cmの長方形の離型紙を挟
み込み、その後、剥離することにより得た。上記のシー
ト状積層体について、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、ブリー
ドアウト/白化状態を測定または評価し、同時に得られ
たポリウレタンフィルムについて、状態引張強度、耐熱
性(耐熱引張強度)を測定した。得られた結果を表5に
示す。 【0049】[実施例2〜4および比較例1〜7]表4
に示す高分子ジオール、鎖伸長剤およびMDIを用いて
実施例1におけると同様にしてポリウレタンを製造し、
同様にしてシート状積層体を得た。これらのシート状積
層体についての諸性能を測定または評価した。得られた
結果を表5に示す。 【0050】 【表4】【0051】 【表5】 【0052】上記の表4および表5から、本発明の積層
体については、それらのいずれもが耐摩擦溶融性、耐摩
耗性(テーバー摩耗性)、ブリードアウト/白化状態、
引張強度、耐熱引張強度(耐熱性)のすべてにおいて優
れていることがわかる。それに対し、ポリウレタンの製
造に用いる高分子ジオールおよび/またはそれから得ら
れるポリウレタンが、本発明の上記要件を1ないし2以
上満たしていない場合には、比較例1〜7に示すよう
に、シート状積層体の耐摩擦溶融性、耐摩耗性(テーバ
ー摩耗性)、ブリードアウト/白化状態、引張強度、耐
熱引張強度(耐熱性)のうちの少なくとも1つの性能、
おおむね2つ以上の性能において本発明の積層体に比べ
て大幅に劣っていることがわかる。 【0053】 【発明の効果】本発明の積層体は、耐摩擦溶融性、耐摩
耗性、耐ブリード白化性に優れ、しかも引張強さなどの
力学的性質、耐水性、耐寒性などの特性においても良好
であり、柔軟性や屈曲性にも富んでいて、皮革様製品、
スポーツ用品、靴、鞄、バックなどの袋状物、箱状物、
家屋などの建築物の内装材、家具用の化粧材、衣料、フ
ィルム、シートなどの広範囲な用途に有効に使用するこ
とができる。
と繊維質基体層を有する積層体に関する。詳細には、本
発明は、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐ブリード白化性に
優れ、しかも引張強さなどの力学的性質、耐水性、耐寒
性などの特性においても良好であり、柔軟性や屈曲性に
も富んでいて、皮革様製品、スポーツ用品、靴、鞄、バ
ックなどの袋状物、箱状物、家屋などの建築物の内装
材、家具用の化粧材、衣料、フィルム、シートなどの広
範な用途に有効に使用することのできる熱可塑性ポリウ
レタン層と繊維質基体層を有する積層体に関する。 【0002】 【従来の技術】繊維質基体の表面に有孔または無孔の熱
可塑性エラストマー層を設けた皮革様の外観を有するシ
ート状物は、その低価格、耐水性、耐汚染性、軽量性な
どの特性を活かして天然皮革の代替物として従来から広
く用いられている。そして、従来の皮革様のシート状物
では、熱可塑性エラストマーよりなる表層は、熱可塑
性エラストマーを押出成形してフィルムを製造した後、
このフィルムを接着剤を用いたり加熱して繊維質基体と
積層させる方法;熱可塑性エラストマーを溶解した溶
液を繊維質基体に塗布し熱可塑性エラストマーに対して
相溶性の低い溶剤や水などで熱可塑性エラストマーを析
出させて繊維質基体の表面に熱可塑性エラストマーの層
を形成する方法;熱可塑性エラストマーを溶解した溶
液を繊維質基体上に塗布した後、溶剤を熱風乾燥などに
よって除去して熱可塑性エラストマー層を表面に形成さ
せる方法などにより形成されている。そして、これらの
場合に、熱可塑性エラストマー表層への絞付けに当たっ
ては、加熱ロールによって型押しする方法、熱可塑性エ
ラストマーフィルムの押出成形時に同時に賦型して絞付
けする方法などが採用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の皮革様シート状物の場合は、熱可塑性エラスト
マーの柔軟性、風合を活かすことに重点が置かれている
ために、耐摩擦溶融性、耐摩耗性などの特性が低く、ま
た引張強度などの力学的性質、耐熱性などの性能も十分
であるとは言えない。そのため、過酷な摩耗などに耐え
ることが必要な用途には、熱可塑性エラストマー層の厚
さを厚くすることが行われているが、その場合には、柔
軟性や風合が損なわれるという欠点があり、柔軟性や風
合を保ちながら耐摩擦溶融性、耐摩耗性などの特性に優
れ、しかも引張強さ、耐熱性などの諸特性にも従来の皮
革様シート状物と比較して遜色のないことが求められて
いる。 【0004】しかして、本発明の目的は、柔軟性で良好
な風合を保ちながら、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐ブリ
ード白化性に優れ、しかも引張強さなどの力学的性質、
耐熱性などの諸特性でも従来の皮革様のシート状物と比
較して遜色のない熱可塑性エラストマー層と繊維質基体
とからなる積層体を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、1,4−ブタンジ
オールを25〜75モル%の割合で含有し、かつ炭素数
5〜9の脂肪族ジオールを75〜25モル%含有する特
定の高分子ジオールを、有機ジイソシアネートおよび鎖
伸長剤と反応させて製造される特定の熱可塑性ポリウレ
タンが、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐ブリード白化性に
優れ、しかも引張強さなどの力学的性質、耐熱性などの
諸特性でも従来のものと遜色がなく、しかも良好な柔軟
性や屈曲性を有すること、そしてこの熱可塑性ポリウレ
タンの溶融成形層と繊維質基体層からなる積層体が、皮
革様の外観および手触りなどを有していて、上記した優
れた諸特性により、種々の用途に有効に使用できること
を見いだした。 【0006】すなわち、本発明は、ポリウレタン層およ
び繊維質基体層を有する積層体であって、ポリウレタン
層が、数平均分子量が1800〜3500の高分子ジオ
ール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤から構成さ
れ、DMF中での対数粘度が0.9dl/g以上で、か
つ100℃での引張破断強度が250kgf/cm2以
上である熱可塑性ポリウレタンの溶融成形層であり、し
かも熱可塑性ポリウレタンを構成する前記高分子ジオー
ルを構成する低分子ジオール単位として1,4−ブタン
ジオール単位を25〜75モル%含有し、炭素数5〜9
の脂肪族ジオール単位を75〜25モル%含有してお
り、かつ該高分子ジオールの結晶化エンタルピー(△
H)が30〜75J/gであり、前記鎖伸長剤の80モ
ル%以上が1,4−ブタンジオールであることを特徴と
する積層体である。 【0007】本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン(以
下、これをポリウレタンと略称する)は、1,4−ブタ
ンジオールを25〜75モル%含み、かつ炭素数5〜9
の脂肪族ジオールを75〜25モル%含む低分子ジオー
ルを用いて得られた上記特定の高分子ジオール、有機ジ
イソシアネートおよび1,4−ブタンジオールを80モ
ル%以上含む鎖伸長剤を用いて製造されたポリウレタン
であることが必要であり、ポリウレタンの製造に用いら
れる高分子ジオールは、ポリエステルジオール、ポリエ
ステルポリカーボネートジオール、ポリカーボネートジ
オール、ポリエーテルエステルジオールなどのエステル
結合を有する高分子ジオールであり、本発明では高分子
ジオールとしてこれらの高分子ジオールの1種または2
種以上を使用することができる。 【0008】より具体的には、高分子ジオールとして
は、例えば低分子の脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン
酸またはそれらのエステル形成性誘導体の反応により得
られる脂肪族ポリエステルジオール、低分子の脂肪族ジ
オールと芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステル形
成性誘導体の反応により得られる芳香族ポリエステルジ
オールなどのポリエステルジオール;ポリアルキレング
リコールと脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸ま
たはそれらのエステル形成性誘導体との反応により得ら
れるポリエーテルエステルジオール、ポリアルキレング
リコールと脂肪族または芳香族ポリエステルとの反応に
より得られるポリエーテルポリエステルジオールなどの
ポリエーテルエステルジオール;低分子の脂肪族ジオー
ルとカーボネート化合物との反応により得られるポリカ
ーボネートジオール;前記したポリエステルジオールと
ポリカーボネートジオールとの反応により得られるポリ
エステルポリカーボネートジオールなどを挙げることが
できる。 【0009】そして、上記した高分子ジオールのいずれ
を使用する場合であっても、本発明では、高分子ジオー
ルは、高分子ジオールを構成する低分子ジオール単位
(グリコール単位)の25〜75モル%が1,4−ブタ
ンジオール単位[−O−(CH2 )4 −O−]であり、
かつその75〜25モル%が炭素数5〜9の脂肪族ジオ
ールから誘導される単位であることによって、得られる
ポリウレタンの耐摩擦溶融性、耐摩耗性、耐熱性、耐水
性、力学強度などの諸性能が優れたものになる。1,4
−ブタンジオール単位および炭素数5〜9の脂肪族ジオ
ール単位のそれぞれの割合が上記の範囲を外れる場合に
は、上記の優れた特性を有するポリウレタンを得ること
は困難となる。上記の脂肪族ジオール単位は、1,6−
ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオー
ル、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの炭素
数5〜9の脂肪族ジオールから誘導される。特に、結晶
性とのバランスから、側鎖にメチル基を有する脂肪族ジ
オールを共重合するのがよい。 【0010】また、上記した高分子ジオールを構成する
ジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、オルトフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、或
いはそれらのエステル形成性誘導体を用いることがで
き、ジカルボン酸成分は単独で使用しても2種以上を併
用してもよい。前記した脂肪族ジカルボン酸成分または
芳香族ジカルボン酸成分のうちで、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸などの炭素数6〜10の脂肪族ジカ
ルボン酸成分またはそれらの混合物を用いて得られた高
分子ジオールを用いると耐寒性および力学的性質に優れ
るポリウレタンを得ることができる。また、高分子ジオ
ールを構成するジカルボン酸単位の20モル%以上を、
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸またはそ
れらの混合物からなる芳香族ジカルボン酸単位、特にテ
レフタル酸単位および/またはイソフタル酸単位より構
成すると、得られるポリウレタンの耐熱性および力学的
性質が優れたものとなる。 【0011】そして、本発明では、高分子ジオールの結
晶化エンタルピー(△H)が30〜75J/gであるこ
とが必要である。結晶化エンタルピー(△H)が75J
/gを超えると、結晶性が強くなり過ぎて、得られるポ
リウレタンの溶融成形層の表面、シート、フィルムなど
の溶融成形品の表面が曇化して外観が不良になり(耐白
化ブリード性が劣り)、さらに耐寒性、低温屈曲性も低
下する。高分子ジオールの結晶化エンタルピー(△H)
を75J/g以下にする方法としては、高分子ジオール
の主鎖中にジオール成分として1,4−ブタンジオール
以外に75モル%を限度にメチル基を有する低分子ジオ
ール、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,8−オ
クタンジオールなどのジオール成分を共重合させるか、
1,6−ヘキサンジオールを30〜75モル%共重合さ
せるか、或いは高分子ジオール中にジカルボン酸成分と
して芳香族ジカルボン酸であるイソフタル酸、オルトフ
タル酸、テレフタル酸などを50モル%を限度に共重合
させる方法が採用される。一方、結晶化エンタルピー
(△H)が30J/gより小さい場合、得られるポリウ
レタンの耐溶融摩耗性、耐摩耗性、耐水性、耐熱性、引
張強度が低下する。なお、本明細書でいう結晶化エンタ
ルピー(△H)は、いずれも下記の実施例の項に記載し
た方法により測定した時の値をいう。 【0012】該熱可塑性ポリウレタン組成物を構成する
高分子ジオールのジカルボン酸成分は、例えばコハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸から誘導さ
れ、これらの脂肪族ジカルボン酸は単独で使用しても2
種以上併用してもよく、特にアジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸などの炭素数が6〜10の整数である脂
肪族ジカルボン酸またはそれらの混合物からなるものが
耐寒性、引張強度の面から好ましい。また、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸またはそれらの混合
物から誘導される芳香族ジカルボン酸成分を含有しても
良く、特にイソフタル酸、テレフタル酸が耐摩擦溶融
性、耐摩耗性、耐水性、耐熱性、引張強度などの面から
好ましい。 【0013】そして、本発明では、ポリウレタンを構成
する高分子ジオールの数平均分子量が1800〜350
0であることが、得られるポリウレタンの力学的性質、
低温特性、成形性などの点から必要である。高分子ジオ
ールの数平均分子量は2000〜3200であるのが好
ましい。高分子ジオールの数平均分子量が3500を越
えると、得られるポリウレタンを押出成形した場合にフ
ィッシュアイなどのブツが発生し、吐出量の安定性の確
保が困難になる。一方、高分子ジオールの数平均分子量
が1800より小さい場合には、得られるポリウレタン
の耐摩擦溶融性、低温特性、力学的性質が低下する。こ
こで、本明細書でいう高分子ジオールの数平均分子量
は、いずれもJIS K 1557に準拠して測定した
水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。 【0014】本発明で使用する高分子ジオールは、高分
子ジオールの種類に応じて、ジオール、ジカルボン酸、
カーボネート化合物、エーテル化合物から選ばれる化合
物を用いて、望ましくはチタン系エステル化触媒(以
下、これを単に「チタン系触媒」という)の存在下に、
直接エステル化反応、エステル交換反応、開環重合など
の重縮合反応または重合反応を行うことにより製造する
ことができる。以下、高分子ジオールを製造するための
上記の反応を総称して「エステル化反応」という。チタ
ン系触媒としては、一般に、ポリエステル、ポリカーボ
ネート等のエステル系高分子を製造する際に使用し得る
ことが知られているチタン系触媒を使用することができ
る。好ましいチタン系触媒の例としては、チタン酸、テ
トラアルコキシチタン化合物、チタンアシレート化合
物、チタンキレート化合物などを挙げることができる。
より具体的には、テトライソプロピルチタネート、テト
ラ−n−ブチルチタネート、テトラー2ーエチルヘキシ
ルチタネート、テトラステアリルチタネート等のテトラ
アルコキシチタン化合物、ポリヒドロキシチタンステア
レート、ポリイソプロポキシチタンステアレート等のチ
タンアシレート化合物、チタンアセチルアセトネート、
トリエタノールアミンチタネート、チタンアンモニウム
ラクテート、チタンエチルラクテート、チタンオクチレ
ングリコレート等のチタンキレート化合物などを挙げる
ことができる。その場合のチタン系触媒の使用量は特に
制限されないが、通常、高分子ジオールを形成するため
のジオール成分およびジカルボン酸成分の合計重量に対
して、約0.1〜50ppmの範囲内であるのが好まし
く、約1〜30ppmの範囲内であるのがより好まし
い。 【0015】そして、チタン系触媒を用いてエステル化
反応を行った場合は、反応の終了後に、チタン系触媒を
失活させておくのがよい。チタン系触媒を失活させてい
ない高分子ジオールを用いると、溶融成形後のポリウレ
タンの積層体における耐摩擦溶融性、耐摩耗性が低下す
る。チタン系触媒の失活方法としては、例えば、エステ
ル化反応により得られた高分子ジオールを加熱条件下に
水と接触させる方法、高分子ジオールをリン酸、リン酸
エステル、亜リン酸、亜リン酸エステル等のリン化合物
で処理する方法を挙げることができ、それらのうちでも
加熱条件下に水と接触させる前者の方法が好ましい。水
と接触させてチタン系触媒を失活させる場合は、エステ
ル化反応により得られた高分子ジオールに水を1重量%
以上接触させ、70〜150℃の範囲内、好ましくは9
0〜130℃の範囲内で1〜3時間加熱することにより
行う。チタン系触媒の失活処理は常圧下で行っても、ま
た加圧下で行ってもよい。チタン系触媒を失活させた後
に系を減圧にすると、失活に使用した水分を除去するこ
とができ、望ましい。 【0016】そして、本発明では、ポリウレタンの製造
に用いる有機ジイソシアネートとして、ポリウレタンの
製造に従来用いられている有機ジイソシアネートのいず
れもが使用でき、その種類は特に制限されず、芳香族ジ
イソシアネート、脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイ
ソシアネートのうちの1種または2種以上を使用するこ
とができる。本発明で使用し得る有機ジイソシアネート
の例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソ
シアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネートなどを挙げることができ、これらのう
ちで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
パラフェニレンジイソシアネートが好ましい。 【0017】また、本発明では、ポリウレタンの製造に
用いる鎖伸長剤は、得られるポリウレタンの耐摩擦溶融
性、耐摩耗性、耐水性、耐熱性、引張強度、押出成形性
の点から、その80モル%以上は1,4−ブタンジオー
ルである必要がある。20モル%以下の割合でポリウレ
タンの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれ
もが使用できる。これらの鎖伸長剤としては、特に、脂
肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールの
うちの1種または2種以上が好ましく用いられる。かか
るジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,5−ペンタンジオール、2−メチ
ル−1,3−プロパンジオール、1,6−へキサンジオ
ール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、2−メチ
ル−1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(β−
ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどを挙げることができ
る。鎖伸長剤としては、特に、80モル%以上の1,4
−ブタンジオールと20モル%以下の1,9−ノナンジ
オールの組合わせ、80モル%以上の1,4−ブタンジ
オールと20モル%以下の1,4−ビス(β−ヒドロキ
シエトキシ)ベンゼンの組合わせで使用するのが好まし
い。 【0018】また、本発明では、上記した高分子ジオー
ル、有機ジイソシアネート、鎖伸長剤および必要に応じ
て他の成分を用いてポリウレタンを製造するに当って、
高分子ジオールおよび鎖伸長剤およびその他の成分が有
している活性水素原子の全量に基づいて、活性水素原子
1当量当り、イソシアネート基当量を約0.98〜1.
08の範囲内にすることが適当であり、1.00〜1.
02の範囲内がより好ましい。活性水素原子とイソシア
ネート基の割合をその範囲内にすることによって、耐摩
擦溶融性や耐摩耗性が特に優れたポリウレタンを得るこ
とができる。 【0019】さらに、ポリウレタンの製造に当っては、
ウレタン化反応に対して触媒活性を有するスズ化合物
(以下「スズ系ウレタン化触媒化合物」という)を使用
するのが好ましく、スズ系ウレタン化触媒化合物を用い
た場合には、ポリウレタンの分子量が速やかに増大し
て、ポリウレタンの耐摩擦溶融性、耐摩耗性が一層向上
する。その場合に、スズ系ウレタン化触媒化合物の添加
量は、生成するポリウレタンに対してスズ原子換算で
0.3〜15ppmの範囲内になるようにするのが好ま
しく、0.5〜10ppmの範囲内になるようにするの
がより好ましい。スズ系ウレタン化触媒化合物の添加量
がスズ原子換算で0.3ppm未満の場合には、ポリウ
レタンの分子量が増大する速度が遅く、得られるポリウ
レタンの耐摩擦溶融性、耐摩耗性が低下する。一方、1
5ppmを超える場合には、ポリウレタンの耐摩耗溶融
性、耐摩耗性が低下する。 【0020】スズ系ウレタン化触媒化合物の例として
は、オクチル酸スズ、モノメチルスズメルカプト酢酸
塩、モノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズモ
ノオクチレート、モノブチルスズマレイン酸塩、モノブ
チルスズマレイン酸ベンジルエステル塩、モノオクチル
スズトリス(イソオクチルスズチオグリコール酸エステ
ル)、モノフェニルスズトリアセテート、ジメチルスズ
マレイン酸エステル塩、ジメチルスズビス(エチレング
リコールモノチオグリコレート)、ジメチルスズビス
(メルカプト酢酸)塩、ジメチルスズビス(3−メルカ
プトプロピオン酸)塩、ジメチルスズビス(イソオクチ
ルメルカプトアセテート)、ジブチルスズジアセテー
ト、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジステ
アレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマ
レイン酸塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジブ
チルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズビス(メ
ルカプト酢酸)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸ア
ルキルエステル)塩、ジブチルスズビスオクチルチオグ
リコールエステル塩、ジブチルスズビス(3−メルカプ
トプロピオン酸)塩、ジブチルスズビス(3−メルカプ
トプロピオン酸アルコキシブチルエステル)、ジオクチ
ルスズマレイン酸塩、ジオクチルスズマレイン酸エステ
ル塩、ジオクチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジオクチ
ルスズジラウレート、ジオクチルスズビス(イソオクチ
ルメルカプトアセテート)、ジオクチルスズビス(イソ
オクチルジオグリコール酸エステル)、ジオクチルスズ
ビス(3−メルカプトプロピオン酸)塩等のスズのアシ
レート化合物、メルカプトカルボン酸塩などを挙げるこ
とができ、これらは単独で使用しても2種以上を併用し
てもよい。 【0021】上記したスズ系ウレタン化触媒化合物のう
ちでも、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラ
ウレートなどのジアルキルスズジアシレート、ジブチル
スズビス(3−メルカプトプロピオン酸エトキシブチル
エステル)塩などのジアルキルスズビスメルカプトカル
ボン酸エステル塩などが好ましい。 【0022】そして、上記したスズ系ウレタン化触媒化
合物の1種または2種以上を用いて、高分子ジオール、
有機ジイソシアネート、鎖伸長剤および必要に応じて他
の成分を反応させてポリウレタンを製造すると、スズ系
ウレタン化触媒化合物を含有していて、耐摩耗溶融性お
よび耐摩耗性に一層優れるポリウレタンを得ることがで
きる。 【0023】また本発明では、必要に応じてポリウレタ
ンを製造する際に通常使用されている熱安定剤、酸化防
止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、着色剤、加水分解防止
剤、防黴剤などの各種添加剤、ガラス繊維や有機繊維な
どの各種有機および/または無機繊維、タルク、シリ
カ、その他の無機充填剤、各種カップリング剤などを重
合前、重合中または重合後に適宜添加してもよく、更に
必要に応じてオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カ
ルボジイミド化合物などを含有していてもよい。 【0024】ポリウレタンの製造法は特に制限されず、
上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネート、鎖伸
長剤および必要に応じて他の成分を使用して、公知のウ
レタン化反応技術を利用して、プレポリマー法またはワ
ンショット法のいずれで製造してもよい。そのうちで
も、有機溶剤などの不存在下に押出機(好ましくは多軸
スクリュー型押出機)を使用して連続溶融重合してポリ
ウレタンを製造するのが、重合時の操作性および得られ
るポリウレタンの均質性などの点から好ましい。 【0025】そして、本発明では、耐摩擦溶融性、耐摩
耗性、引張強度、耐水性、耐熱性などの点から、上記に
より得られるポリウレタンの対数粘度が、濃度0.5g
/dlのジメチルホルムアミド(DMF)溶液として3
0.0℃で測定した時に、0.9dl/g以上であるこ
とが必要であり、1.1dl/g以上であるのが好まし
い。ポリウレタンの対数粘度が0.9dl/gより小さ
い場合、上記した性能が著しく低下する。 【0026】上記により得られたポリウレタンを用いて
ポリウレタン層と繊維質基体層とからなる本発明の積層
体を作製することができる。積層体の製法としては、ポ
リウレタンを加熱溶融して繊維質基体層上に積層するい
ずれかの方法を採用する。特に、ポリウレタン層を繊維
質基体層上に積層させる際にポリウレタン層の表面に皮
革様のシボ模様、艶消し模様などを賦型すると、天然皮
革に極めて類似した良好な外観、風合、感触などを有す
る積層体を得ることができ好ましい。 【0027】本発明の積層体の製法の例として、(1)
ポリウレタンを離型紙上にフィルム状に溶融押出しまた
は流延するとともに、離型紙上のポリウレタンフィルム
層を押圧ロールや型板などを用いて繊維質基体に転写さ
せると同時に繊維質基体と接着させて固化させ、その際
に離型紙、押圧ロール、型板などにポリウレタン表面に
シボ模様や艶消し模様などを出現させるための凹凸模様
などを形成しておく方法;(2)ポリウレタンをフィル
ム状に押圧ロール表面に溶融押出しまたは流延するとと
もに、押圧ロール上のポリウレタンフィルム層を繊維質
基体に転写させると同時に繊維質基体と接着させて固化
させ、その際に押圧ロールにポリウレタン表面にシボ模
様や艶消し模様などを出現させるための凹凸模様などを
形成しておく方法;(3)ポリウレタンを繊維質基体上
に直接層状に溶融押出しまたは流延させて繊維質基体層
の上にポリウレタン層を形成し、ポリウレタンが固化す
るまでの間に凹凸模様を形成してある離型紙、押圧ロー
ル、型板などを用いてポリウレタンを押圧して、ポリウ
レタン表面にシボ模様や艶消し模様などを出現させる方
法;などを挙げることができる。これらの方法を実施す
るに当っては、予め繊維質基体に接着剤、コーティング
剤などによる前加工を施し、ポリウレタンフィルムと繊
維質基体の密着性を向上させることが可能である。かか
る方法により得られたシート状積層体は、シート表面に
任意の凹凸が賦型され、柔軟な風合いを有し、かつ表層
であるポリウレタンフィルムと繊維質基体との密着力が
強固である。 【0028】繊維質基体層上に設けるポリウレタン層の
厚みは、10〜800μmであるのが好ましく、30〜
500μmであるのがより好ましい。厚みが10μmよ
り薄い場合には、表面の耐摩擦溶融性、耐引っ掻き性が
十分ではなく、繊維質基体との接着性が損なわれる。ま
た、800μmを越える場合には、シート状積層物とし
ての柔軟性(風合い)、屈曲性が損なわれる。また、ポ
リウレタンフィルムの積層数は、繊維質基体と一体化さ
れたシート状積層体の風合い、物性を損ねない範囲であ
れば単層、多層を問わない。 【0029】本発明の積層体を構成する繊維質基体層と
しては、通常の合成皮革、人工皮革などに用いられてい
る織物、編み物、不織布、またはこれらを重ね合わせて
一体化した繊維質基体を使用することができる。また、
天然皮革に近い風合いを得るためにポリウレタンなどの
弾性樹脂を含浸した物を用いることも可能である。繊維
質基体を構成する繊維は、木綿、麻、羊毛などの天然繊
維、レーヨンやアセテートで代表される再生繊維、ナイ
ロン、ビニロン、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポ
リオレフィン繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維の
うちの1種または2種以上から形成しておくのがよい。 【0030】積層体に天然皮革調のしなやかさを出現さ
せるためには、繊維質基体を構成する繊維として、0.
3デニール以下、好ましくは0.1デニール以下の極細
繊維を用いるのがよく、その場合に極細繊維を集束体や
繊維内に繊維軸方向に多数の空隙を有するいわゆる多孔
繊維の形態にしておくのが好ましい。 【0031】本発明の積層体全体の厚さは、積層体の用
途などに応じて適宜調節することができるが、一般に、
約0.5〜5mm程度にしておくのが、柔軟性、屈曲
性、力学的性質、耐久性、触感などの点から好ましく、
約1〜2mm程度であるのがより好ましい。 【0032】 【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の例
において、高分子ジオールの結晶化エンタルピー(Δ
H)、ポリウレタンの対数粘度、耐摩耗性(テーバー摩
耗性)、耐摩擦溶融性、ブリードアウト/白化状態、引
張強度、耐熱性(耐熱引張強度)の測定または評価は下
記のようにして行った。 【0033】[高分子ジオールの結晶化エンタルピー
(ΔH)]示差走査熱量計(理学電気株式会社製「リガ
ク・サーマル・アナリシス・ステーション(Rigaku The
rmal Analysis Station )−TAS100」)を用い
て、高分子ジオールの融解エンタルピー(ΔH)を測定
して結晶化エンタルピー(ΔH)とした。測定の際の試
料量は約10mgとし、窒素気流中で、工程1(室温か
ら100℃まで100℃/分の昇温速度で昇温させた
後、100℃に3分間保持)、工程2(100℃から−
100℃まで10℃/分の降温速度で降温させた後、−
100℃に1分間保持)および工程3(−100℃から
100℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた後、1
00℃での保持時間0分)で順次処理して、工程3にお
けるピーク面積より融解エンタルピー(結晶化エンタル
ピー)(ΔH)を求めた。 【0034】[ポリウレタンの対数粘度]ポリウレタン
試料(積層体におけるポリウレタン層)を0.5g/d
lとなるようにN,N−ジメチルホルムアミド溶液に溶
解し、24時間後に30℃のウッベローデ型粘度計によ
り溶液の粘度を測定して、次式により対数粘度
(ηinh )を求めた。 【0035】 【数1】ηrel =t/t0 ηinh =ln(ηrel )/c [上記式中、t=溶液の流下時間(秒)、t0 =溶媒の
流下時間(秒)、ηrel=比粘度、ηinh =対数粘度、
c=ポリウレタンの濃度(g/dl)を表す] 【0036】[ポリウレタンの耐摩耗性(テーバー摩耗
性)]JIS K 7311に従って測定した。すなわ
ち、積層体から直径12cmの円盤状の試験片を切り出
した。この試験片をポリウレタン層側に摩耗輪(H−2
2)を当て、荷重1kgfで試験片を1000回回転さ
せて摩耗試験を行った。試験前の試験片の重量と試験後
の試験片の重量の差を摩耗損失重量(mg)とした。 【0037】[耐摩擦溶融性]積層体から短冊状試験片
(3cm×6cm)を切り出し、この短冊状試験片を1
800rpmで回転する桜製ローラ部(直径73mm、
幅26mm)に荷重1.5lb下で2秒間接置した後の
試験片の摩擦溶融面積(cm2 )を測定し、併せて摩擦
溶融面の状態を肉眼で観察して、下記の表1に示す基準
によってランク付けを行った。 【0038】 【表1】【0039】[ブリードアウト/白化状態]積層体を温
度80℃で1週間連続的に加熱処理し、加熱処理後のポ
リウレタン層の外観を目視により観察して、ブリードア
ウト/白化の生じていないものを○、ブリードアウト/
白化が生じているがその程度が少ないものを×、ブリー
ドアウト/白化の程度がかなり大きいものを××、ブリ
ードアウト/白化の程度が極めて大きいものを×××と
して評価した。 【0040】[引張強度]JIS K 7311に従っ
て測定した。積層体の製造時に、ポリウレタン層と繊維
質基体層の間に離型紙を挟み込み、後ほどポリウレタン
層単独フィルムを得、幅5mm、長さ5cmの短冊状試
験片に切り出した。オートグラフAG−D型を用いて、
23℃、65%RHの相対湿度下で該短冊状試験片の引
張試験を行い、破断時の引張応力を「常態引張強度」と
して評価した。 【0041】[耐熱性(耐熱引張強度)]JIS K
7311に従って測定した。積層体の製造時に、ポリウ
レタン層と繊維質基体層の間に離型紙を挟み込み、後ほ
どポリウレタン層単独フィルムを得、幅5mm、長さ5
cmの短冊状試験片に切り出した。オートグラフAG−
D型を用いて、100℃の環境下で該短冊状試験片の引
張試験を行い、破断時の引張応力を「耐熱引張強度」と
して評価した。 【0042】また、下記の参考例、実施例および比較例
で用いた化合物に関する略号とその化合物内容は、次の
表2に示すとおりである。 【0043】 【表2】 【0044】[参考例1〜10]表3に示すジオール成
分およびジカルボン酸成分を反応器に仕込み(但し、ジ
オール成分は必要な理論モル量の1.03倍を仕込ん
だ)、常圧下、200℃で生成する水を系外に留去しな
がらエステル化反応を行った。反応物の酸価が30以下
になった時点で、テトライソプロピルチタネートを90
mg加えて、200mmHg〜100mmHgに減圧し
ながら反応を続け、酸価が1.0になった時点で、徐々
に真空度を上げて反応を完結させた。得られた高分子ジ
オールについて水酸基価を測定し、この水酸基価から数
平均分子量を算出した。 【0045】 【表3】【0046】[実施例1] (1)ポリウレタンの製造:70℃に加温された高分子
ジオールA、BDおよび50℃に加温されたMDIを溶
融状態で表4に示す比率で定量ポンプにより同軸方向に
回転する2軸スクリュー押出機(φ30mm、L/D=
36)に連続的に供給して(総量:200g/mi
n,)、最高温度260℃の条件で連続溶融重合を行っ
た。生成したポリウレタンをストランド状に約13℃の
水中に押出し、次いでペレタイザーにて所望のペレット
サイズに切断した。さらに、このペレットを80℃で6
時間除湿乾燥した後、密閉容器に取り出し保存した。 【0047】(2)繊維質基体の製造:海成分としてポ
リエチレン50重量部および島成分として6−ナイロン
50重量部を同一溶融系で溶融紡糸して、単繊維繊度1
0デニールの複合繊維を得た。この複合繊維を3.0倍
に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断
し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーでウェ
ブとした。次に、ニードルパンチにより、目付650g
/m2 の繊維絡合不織布とした。この不織布にポリエー
テル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン組成物1
3重量部とジメチルホルムアミド87重量部よりなる溶
液を含浸し、凝固、水洗後、複合繊維中のポリエチレン
をトルエン中で抽出除去して、6−ナイロン極細繊維束
状繊維とポリウレタン結合剤とからなる厚さ約1.3m
mの繊維質基体を得た。 【0048】(3)積層体の製造:上記(1)で得られ
たポリウレタンペレットを、窒素ガス雰囲気下、押出成
形機(φ115mm、最高バレル温度225℃、ダイス
温度220℃)により溶解し、幅1.2mのT字型ダイ
スからフィルム状に押出し、離型紙と押圧ロールの間に
挟み込んで、300μm厚に調整した。その後、上記
(2)で得られた繊維質基体をフィルム状に押出した該
ポリウレタンと押圧ロールの間に挟み込んで繊維質基体
とポリウレタンを接着してシート状積層体を得た。該ポ
リウレタン単独のフィルムは、繊維質基体層とポリウレ
タン層の間に20cm×30cmの長方形の離型紙を挟
み込み、その後、剥離することにより得た。上記のシー
ト状積層体について、耐摩擦溶融性、耐摩耗性、ブリー
ドアウト/白化状態を測定または評価し、同時に得られ
たポリウレタンフィルムについて、状態引張強度、耐熱
性(耐熱引張強度)を測定した。得られた結果を表5に
示す。 【0049】[実施例2〜4および比較例1〜7]表4
に示す高分子ジオール、鎖伸長剤およびMDIを用いて
実施例1におけると同様にしてポリウレタンを製造し、
同様にしてシート状積層体を得た。これらのシート状積
層体についての諸性能を測定または評価した。得られた
結果を表5に示す。 【0050】 【表4】【0051】 【表5】 【0052】上記の表4および表5から、本発明の積層
体については、それらのいずれもが耐摩擦溶融性、耐摩
耗性(テーバー摩耗性)、ブリードアウト/白化状態、
引張強度、耐熱引張強度(耐熱性)のすべてにおいて優
れていることがわかる。それに対し、ポリウレタンの製
造に用いる高分子ジオールおよび/またはそれから得ら
れるポリウレタンが、本発明の上記要件を1ないし2以
上満たしていない場合には、比較例1〜7に示すよう
に、シート状積層体の耐摩擦溶融性、耐摩耗性(テーバ
ー摩耗性)、ブリードアウト/白化状態、引張強度、耐
熱引張強度(耐熱性)のうちの少なくとも1つの性能、
おおむね2つ以上の性能において本発明の積層体に比べ
て大幅に劣っていることがわかる。 【0053】 【発明の効果】本発明の積層体は、耐摩擦溶融性、耐摩
耗性、耐ブリード白化性に優れ、しかも引張強さなどの
力学的性質、耐水性、耐寒性などの特性においても良好
であり、柔軟性や屈曲性にも富んでいて、皮革様製品、
スポーツ用品、靴、鞄、バックなどの袋状物、箱状物、
家屋などの建築物の内装材、家具用の化粧材、衣料、フ
ィルム、シートなどの広範囲な用途に有効に使用するこ
とができる。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平5−59674(JP,A)
特開 平6−207381(JP,A)
特開 平6−158557(JP,A)
特開 平6−146175(JP,A)
特開 平6−108368(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
D06N 3/14
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリウレタン層および繊維質基体層を有
する積層体であって、ポリウレタン層が、数平均分子量
が1800〜3500の高分子ジオール、有機ジイソシ
アネートおよび鎖伸長剤から構成され、DMF中での対
数粘度が0.9dl/g以上で、かつ100℃での引張
破断強度が250kgf/cm2 以上である熱可塑性ポ
リウレタンの溶融成形層であり、しかも熱可塑性ポリウ
レタンを構成する前記高分子ジオールを構成する低分子
ジオール単位として1,4−ブタンジオール単位を25
〜75モル%含有し、炭素数5〜9の脂肪族ジオール単
位を75〜25モル%含有しており、かつ該高分子ジオ
ールの結晶化エンタルピー(△H)が30〜75J/g
であり、前記鎖伸長剤の80モル%以上が1,4−ブタ
ンジオールであることを特徴とする積層体。
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